JP2020056024A - 紫外線硬化性樹脂組成物、発光装置の製造方法及び発光装置 - Google Patents

紫外線硬化性樹脂組成物、発光装置の製造方法及び発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光源が発する光を透過させる光学部品を作製するために使用でき、発光装置における無機質層と光学部品とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる、紫外線硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】紫外線硬化性樹脂組成物は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有する。アクリル化合物(A)は、屈折率1.459以下のアクリル化合物(A1)を含有する。アクリル化合物(A)に対するアクリル化合物(A1)の百分比は50質量%以上である。紫外線硬化性樹脂組成物は、1.459以下の屈折率を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線硬化性樹脂組成物、発光装置の製造方法及び発光装置に関し、詳しくは、光源が発する光を透過させる光学部品を作製するための紫外線硬化性樹脂組成物、この紫外線硬化性樹脂組成物を用いる発光装置の製造方法、及びこの光学部品を備える発光装置に関する。
有機EL発光装置などの発光装置は、照明、ディスプレイなどに適用されており、今後の普及が期待されている。
有機EL発光装置のうち、トップエミッションタイプと呼ばれるものは、例えば支持基板上に有機EL素子を配置し、支持基板に対向するように透明基板を配置して構成される。この場合、有機EL素子が発する光は透明基板を通過して外部へ出射する。
有機EL素子は水分によって劣化すると、ダークスポットとよばれる発光しない部分が生じることがある。そのため、有機EL素子を透明な封止材及び窒素化合物製のパッシベーション層で覆うことで、外部から有機EL素子への水分の侵入を抑制することが行われている(特許文献1参照)。
特開2014−186850号公報
有機EL発光装置には、ダークスポットを抑制することだけでなく、高い発光効率も要求される。発明者は、有機EL発光装置に封止材及びパッシベーション層を設けることが、発光効率の低下を招き、特に封止材の厚みが薄いと発光効率の低下が顕著になることを見出した。
本発明の課題は、光源が発する光を透過させる光学部品を作製するために使用でき、発光装置における無機質層と光学部品とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる、紫外線硬化性樹脂組成物、この紫外線硬化性樹脂組成物を用いる発光装置の製造方法、及びこの紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学部品を備える発光装置を提供することである。
本発明の一態様に係る、光源が発する光を透過させる光学部品を作製するための紫外線硬化性樹脂組成物は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有し、前記アクリル化合物(A)は、屈折率1.459以下のアクリル化合物(A1)を含有し、かつ前記アクリル化合物(A)に対する前記アクリル化合物(A1)の百分比は50質量%以上である。
本発明の一態様に係る発光装置の製造方法は、光源と、前記光源が発する光を透過させる光学部品及び無機質層とを備え、前記光学部品と前記無機質層とは重なっている発光装置を製造する方法であり、前記紫外線硬化性樹脂組成物をインクジェット法で成形してから、前記紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して
硬化させることで前記光学部品を作製することを含む。
本発明の一態様に係る発光装置は、光源と、前記光源が発する光を透過させる光学部品及び無機質層とを備え、前記光学部品と前記無機質層とは重なっており、前記光学部品は、前記紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
本発明の一態様には、紫外線硬化性樹脂組成物を発光装置の光学部品を作製するために使用すると、発光装置における無機質層と光学部品とに起因する発光効率の低下を生じにくくできるという利点がある。
本発明の一実施形態における発光装置を示す概略の断面図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る、光源が発する光を透過させる光学部品を作製するため紫外線硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有する。アクリル化合物(A)は、屈折率1.459以下のアクリル化合物(A1)を含有する。アクリル化合物(A)に対するアクリル化合物(A1)の百分比は50質量%以上である。
組成物(X)は、光源が発する光を透過させる光学部品を作製するために用いられる。光学部品は、光学系を有する装置(例えば発光装置1)における、発光素子などの光源が発する光を透過させるための部品である。光学部品は、例えば発光素子のための封止材5である。光学部材は、例えば薄膜であり、より具体的には例えば厚み2μm以上50μm以下、又は2μm以上30μm以下の膜である。
本実施形態では、組成物(X)から、発光装置1の封止材5といった、光学部品を作製できる(図1参照)。発光装置1は、例えば光源と、光源が発する光を透過させる光学部品及び無機質層とを備え、光学部品と無機質層とは重なっている。特に、発光素子4と、発光素子4を覆う封止材5及びパッシベーション層6とを備え、封止材5とパッシベーション層6とが重なっている発光装置1における、封止材5を、組成物(X)から作製することが好ましい。この場合、封止材5が光学部品であり、発光素子4が光源であり、パッシベーション層6が無機質層である。この場合、発光装置1におけるパッシベーション層6と封止材5とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる。これは、組成物(X)がアクリル化合物(A1)を含有することで、組成物(X)の硬化物からなる封止材5が、無機材料製のパッシベーション層6に比して適度に低い屈折率を有することができるためであると考えられる。すなわち、封止材5とパッシベーション層6との間の屈折率差に起因して生じるパッシベーション層6及び封止材5内での光の干渉によって、発光素子4から発せられる光の外部への取り出し効率が高まると考えられる。
なお、本明細書において、アクリル化合物(A1)の屈折率とは、波長589.3nmの光(ナトリウムのD線)についての、25℃での屈折率である。
組成物(X)の屈折率は1.459以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の硬化物の屈折率は、組成物(X)と同等の屈折率を有することができる。なお、硬化収縮等により組成物(X)の屈折率と硬化物の屈折率との間には多少の差は生じうる。この場合、無機質層及び光学部品において光の反射が特に生じにくくなる。
なお、本明細書において、組成物(X)の屈折率とは、波長589.3nmの光(ナトリウムのD線)についての、25℃での屈折率である。
組成物(X)の屈折率は1.400以上であることも好ましい。組成物(X)の屈折率は1.410以上1.480以下であればより好ましく、1.420以上1.460以下であれば更に好ましい。
また、組成物(X)の硬化物の屈折率は1.510以下であることが好ましい。この場合、無機質層及び光学部品において光の反射が特に生じにくくなる。硬化物の屈折率は1.420以上であることも好ましい。硬化物の屈折率は1.430以上1.505以下であればより好ましく、1.440以上1.499以下であれば更に好ましい。
なお、本明細書において、硬化物の屈折率とは、波長587.6nmの光(ヘリウムのd線)についての、25℃での屈折率である。
組成物(X)の硬化物のガラス転移温度は80℃以上であることが好ましい。すなわち、組成物(X)は、硬化することでガラス転移温度が80℃以上の硬化物になる性質を有することが好ましい。この場合、硬化物は良好な耐熱性を有することができる。そのため、例えば硬化物に温度上昇を伴う処理が施された場合に、硬化物が劣化しにくい。このため、例えば組成物(X)から作製された光学部品に重ねて無機質層をプラズマCVD法といった蒸着法で作製する場合、光学部品が加熱されても、光学部品が劣化しにくい。硬化物のガラス転移温度は90℃以上であればより好ましく、100℃以上であれば更に好ましい。この硬化物のガラス転移温度は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
組成物(X)の25℃での粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)を常温下でキャスティング法といった方法で成形することが容易であり、組成物(X)をインクジェット法で成形することも可能である。この粘度が25mPa・s以下であればより好ましく、20mPa・s以下であれば更に好ましく、15mPa・s以下であれば特に好ましい。この粘度が5mPa・s以上であることも好ましい。
組成物(X)の40℃における粘度が1mPa・s以上30mPa・s以下であることも好ましい。この場合、常温における組成物(X)の粘度がいかなる値であっても、組成物(X)を僅かに加熱すれば低粘度化させることが可能である。このため、加熱すれば、組成物(X)をキャスティング法といった方法で成形することが容易であり、組成物(X)をインクジェット法で成形することも可能である。また、組成物(X)を大きく加熱することなく低粘度化させることができるので、組成物(X)中の成分が揮発することによる組成物(X)の組成の変化を生じにくくできる。この粘度が25mPa・s以下であればより好ましく、20mPa・s以下であれば更に好ましく、15mPa・s以下であれば特に好ましい。この粘度が5mPa・s以上であることも好ましい。
なお、組成物(X)の粘度は、レオメータを用いて、せん断速度100s-1の条件で測定される。レオメータとして、例えばアントンパール・ジャパン社製の型番DHR−2を使用できる。
このような組成物(X)の25℃又は40℃における低い粘度は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
組成物(X)の硬化物の、厚み寸法が10μmである場合の、全光透過率は、90%以上であることが好ましい。この場合、硬化物を発光装置1における封止材5に適用すると、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を特に向上できる。このような硬化物の光透過性も、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
以下、本実施形態について、更に詳しく説明する。
1.発光装置の構造
まず、発光装置1の構造について説明する。発光装置1は、光源と、光源が発する光を透過させる光学部品とを備える。例えば、発光装置1は、発光素子4と、発光素子4を覆う封止材5及びパッシベーション層6とを備える。この場合、発光素子4が光源であり、封止材5が光学部品であり、パッシベーション層6が無機質層である。封止材5とパッシベーション層6とは重なっている。
発光素子4は、例えば発光ダイオードを含む。発光ダイオードは、例えば有機EL素子(有機発光ダイオード)とマイクロ発光ダイオードとのうち少なくとも一方を含む。発光素子4が有機発光ダイオードを含む場合は、発光素子4を備える発光装置1は例えば有機ELディスプレイである。発光素子4がマイクロ発光ダイオードを含む場合は、発光素子4を備える発光装置1は例えばマイクロLEDディスプレイである。なお、ELとはエレクトロルミネッセンスの略である。
発光装置1の構造の例を、図1を参照して説明する。この発光装置1は、トップエミッションタイプである。発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある発光素子4、並びに発光素子4を覆うパッシベーション層6及び封止材5を備える。
支持基板2は、例えば樹脂材料から作製されるが、これに限定されない。透明基板3は透光性を有する材料から作製される。透明基板3は、例えば、ガラス製基板又は透明樹脂製基板である。発光素子4は、例えば一対の電極41、43と、電極41、43間にある有機発光層42とを備える。有機発光層42は、例えば正孔注入層421、正孔輸送層422、有機発光層423及び電子輸送層424を備え、これらの層は前記の順番に積層している。
発光装置1は複数の発光素子4を備え、かつ複数の発光素子4が、支持基板2上でアレイ9(以下素子アレイ9という)を構成している。素子アレイ9は、隔壁7も備える。隔壁7は、支持基板2上にあり、隣合う二つの発光素子4の間を仕切っている。隔壁7は、例えば感光性の樹脂材料をフォトリソグラフィ法で成形することで作製される。素子アレイ9は、隣合う発光素子4の電極43及び電子輸送層424同士を電気的に接続する接続配線8も備える。接続配線8は、隔壁7上に設けられている。
パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましく、窒化ケイ素から作製されることが特に好ましい。図1に示す例では、パッシベーション層6は、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む。第一パッシベーション層61は素子アレイ9に直接接触した状態で、素子アレイ9を覆うことで、発光素子4を覆っている。第二パッシベーション層62は、第一パッシベーション層61に対して、素子アレイ9とは反対側の位置に配置され、かつ第二パッシベーション層62と第一パッシベーション層61との間には間隔があけられている。第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との間に、封止材5が充填されている。すなわち、発光素子4と、発光素子4を覆う封止材5との間に、第一パッシベーション層61が介在している。
さらに、第二パッシベーション層62と透明基板3との間に、第二封止材52が充填されている。第二封止材52は、例えば透明な樹脂材料から作製される。第二封止材52の材質は特に制限されない。第二封止材52の材質は、封止材5と同じであっても、異なっていてもよい。
2.紫外線硬化性樹脂組成物
本実施形態に係る紫外線硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)について説明する。
上記に例示した構造を有する発光装置1における封止材5を、組成物(X)から作製できる。すなわち、組成物(X)は、発光素子4のための封止材5を作製するために用いられる。さらに言い換えれば、組成物(X)は、好ましくは封止材作製用の組成物、発光素子封止用の組成物、あるいは発光装置製造用の組成物である。
上記のとおり、組成物(X)は、アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有する。組成物(X)に紫外線を照射すると、光重合開始剤(B)によって光ラジカル重合反応が開始されてアクリル化合物(A)が硬化することで、硬化物を作製できる。組成物(X)の成分について、下記で更に詳しく説明する。
上記のとおり、組成物(X)はアクリル化合物(A)を含有する。アクリル化合物(A)は、一分子中に一つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する。
アクリル化合物(A)全体の25℃での粘度は50mPa・s以下であることが好ましい。この場合、アクリル化合物(A)は組成物(X)を特に低粘度化させることができる。アクリル化合物(A)全体の粘度は30mPa・s以下であればより好ましく、25mPa・s以下であれば更に好ましく、20mPa・s以下であれば特に好ましい。また、アクリル化合物(A)全体の粘度は例えば3mPa・s以上である。
アクリル化合物(A)全体の40℃での粘度が50mPa・s以下であることも好ましい。この場合、アクリル化合物(A)は、加熱された場合の組成物(X)を特に低粘度化させることができる。アクリル化合物(A)全体の粘度は30mPa・s以下であれば更に好ましく、25mPa・s以下であれば更に好ましく、20mPa・s以下であれば特に好ましい。また、アクリル化合物(A)全体の粘度は、例えば3mPa・s以上である。
アクリル化合物(A)が含みうる化合物について説明する。
アクリル化合物(A)は、屈折率1.459以下のアクリル化合物(A1)を含有する。このため、アクリル化合物(A)は、組成物(X)の硬化物及び封止材5の屈折率を低めることができ、これにより組成物(X)の屈折率が1.459以下であることを達成できる。アクリル化合物(A1)の屈折率は1.456以下であることがより好ましく、1.450以下であれば更に好ましい。また、アクリル化合物(A1)の屈折率は、例えば1.400以上であり、又は1.420以上である。
アクリル化合物(A)に対するアクリル化合物(A1)の百分比は50質量%以上である。このため、アクリル化合物(A1)が硬化物の屈折率を効果的に低めることができる。アクリル化合物(A1)の百分比が55質量%以上であることが好ましい。また、アクリル化合物(A)に対するアクリル化合物(A1)の百分比は、例えば100質量%以下であり、又は85質量%以上であり、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下である。
アクリル化合物(A1)の沸点は270℃以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の保存中及び組成物(X)が加熱された場合に、組成物(X)からアクリル化合物(A1)が揮発しにくい。そのため、組成物(X)の保存安定性が損なわれにくい。また、硬化物中及び封止材5中にアクリル化合物(A1)が未反応で残留していても、硬化物及び封止材5からアクリル化合物(A1)に起因するアウトガスが生じにくい。そのため、発光装置1内の例えば封止材5とパッシベーション層6との間などに、アウトガスによる空隙が生じにくい。発光装置1中に空隙があると空隙を通じて発光素子4に水分が到達してしまうおそれがあるが、空隙が生じにくいと、発光素子4に水分が到達しにくいため、発光素子4が水分によって劣化しにくくなる。なお、沸点は、減圧下の沸点を換算して得られる常圧下の沸点であり、例えばScience of Petroleum, Vol.II. P.1281(1938)に示される方法で求められる。アクリル化合物(A1)の沸点は280℃以上であればより好ましく、290℃以上であれば更に好ましく、300℃
以上であれば特に好ましい。
アクリル化合物(A1)の25℃での粘度は25mPa・s以下であることが好ましい。この場合、アクリル化合物(A1)は組成物(X)の粘度を低めることができる。アクリル化合物(A1)の25℃での粘度は、40mPa・s以下であればより好ましく、25mPa・s以下であれば更に好ましい。また、アクリル化合物(A1)の25℃での粘度は、例えば1mPa・s以上であり、3mPa・s以上であれば好ましい。
アクリル化合物(A1)は、一分子中に二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能の化合物を含有することが好ましい。この場合、アクリル化合物(A1)は、硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物及び封止材5の耐熱性を高めることができる。
アクリル化合物(A1)は、屈折率1.459以下であり、或いは更に上記の好ましい条件を1つ以上満たす、適宜の化合物を含有できる。
アクリル化合物(A1)は、例えばアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルと、ポリアルキレングルコールのジ(メタ)アクリル酸エステルと、アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルとからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。なお、「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」と「メタクリ」とのうちの少なくとも一方のことである。
アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルにおけるアルキレングリコールの炭素数は2〜12であることが好ましく、4〜12であればより好ましい。アルキレングリコールは、直鎖状でもよく、1,3ブチレングリコール及びネオペンチルグリコールのように分岐を有していてもよい。特にアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。また、アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、サートマー社製の品番SR213、大阪有機化学工業社製の品番V195、サートマー社製の品番SR212、サートマー社製の品番SR247、共栄化学工業社製の品名ライトアクリレートNP−A、サートマー社製の品番SR238NS、大阪有機化学工業社製の品番V230、ダイセル社製の品番HDDA、共栄化学工業社製の品番1,6HX−A、大阪有機化学工業社製の品番V260、共栄化学工業社製の品番1,9−ND−A、新中村化学工業社製の品番A−NOD−A、及びサートマー社製の品番CD595、サートマー社製の品番SR214NS、新中村化学工業社製の品番BD、サートマー社製の品番SR297、サートマー社製の品番SR248、共栄化学工業社製の品名ライトエステルNP、サートマー社製の品番SR239NS、共栄化学工業社製の品名ライトエステル1,6HX、新中村化学工業社製の品番HD−N、共栄化学工業社製の品名ライトエステル1,9ND、新中村化学工業社製の品番NOD−N、共栄化学工業社製の品名ライトエステル1,10DC、新中村化学工業社製の品番DOD−N、及びサートマー社製の品番SR262からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルにおけるアルキレングリコールの炭素数は例えば2〜4である。ポリアルキレングリコールは、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種を含む。ポリアルキレングリコールの炭素数が多いほど、硬化物及び封止材5の疎水性が高くなり、封止材5に水分を透過させにくい。そのため、ポリアルキレングリコールは、プロピレングリコールであることが特に好ましい。アルキレングリコールの重合度は、例えば2〜7であり、2〜6であることが好ましく、2〜3であることも好ましい。ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、特にジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート及びトリテトラメチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。また、ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、特にサートマー社製の品番SR230、サートマー社製の品番SR508NS、ダイセル社製の品番DPGDA、サートマー社製の品番SR306NS、ダイセル社製の品番TPGDA、大阪有機化学工業社製の品番V310HP、新中村化学工業社製の品番APG200、共栄化学工業株式会社製の品名ライトアクリレートPTMGA−250、サートマー社製の品番SR231NS、共栄化学工業社製の品名ライトエステル2EG、サートマー社製の品番SR205NS、共栄化学工業社製の品名ライトエステル3EG、三菱化学社製の品名アクリエステルHX及び新中村化学工業社製の品番3PGからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、例えばプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールを含有する。また、アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、例えばダイセル社製の品番EBECRYL145を含有する。
アクリル化合物(A)は、上記のアクリル化合物(A1)以外の、多官能アクリル化合物(A2)を更に含有してもよい。多官能アクリル化合物(A2)は、一分子中に二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ屈折率が1.459より高い。多官能アクリル化合物(A2)は、硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物及び封止材5の耐熱性を高めることができる。多官能アクリル化合物(A2)は、例えば屈折率が1.459より高いポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。屈折率が1.459より高いポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルは、例えばテトラエチレングリコールジアクリレート(ポリエチレングリコール200ジアクリレート)、ノナエチレングリコールジアクリレート(ポリエチレングリコール400ジアクリレート)、及びテトラエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコール200ジメタクリレート)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
多官能アクリル化合物(A2)の沸点は270℃以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の保存中及び組成物(X)が加熱された場合に、組成物(X)から多官能アクリル化合物(A2)が揮発しにくい。そのため、組成物(X)の保存安定性が損なわれにくい。また、硬化物中及び封止材5中に多官能アクリル化合物(A2)が未反応で残留していても、硬化物及び封止材5から多官能アクリル化合物(A2)に起因するアウトガスが生じにくい。そのため、発光装置1内の例えば封止材5とパッシベーション層6との間などに、アウトガスによる空隙が生じにくい。発光装置1中に空隙があると空隙を通じて発光素子4に水分が到達してしまうおそれがあるが、空隙が生じにくいと、発光素子4に水分が到達しにくいため、発光素子4が水分によって劣化しにくくなる。多官能アクリル化合物(A2)の沸点は280℃以上であればより好ましい。なお、多官能アクリル化合物(A2)の沸点の定義は、アクリル化合物(A1)の沸点の定義と同じである。
アクリル化合物(A)は、一分子中に三つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(A3)を含有してもよい。化合物(A3)は、一分子中の(メタ)アクリロイル基の個数のみで規定される。このため、アクリル化合物(A1)及び多官能アクリル化合物(A2)の各々に含まれる化合物と、化合物(A3)に含まれる化合物とは、重複しうる。
化合物(A3)は、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種を含有できる。アクリル化合物(A)が化合物(A3)を含有すると、化合物(A3)は、硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物及び封止材5の耐熱性を特に高めることができる。
アクリル化合物(A)が化合物(A3)を含む場合、アクリル化合物(A)に対する化合物(A3)の百分比は0質量%より多く25質量%以下であることが好ましい。化合物(A3)の百分比は10質量%以上であればより好ましい。この場合、硬化物のガラス転移温度を特に高めることができる。また、化合物(A3)が25質量%以下であると、化合物(A3)に起因する組成物(X)の粘度上昇が生じにくい。化合物(A3)の百分比は20質量%以下であれば、組成物(X)の粘度上昇が特に生じにくくなる。
アクリル化合物(A)は、一分子中に一つのみの(メタ)アクリロイル基を有する単官能アクリル化合物(A4)を含有してもよい。単官能アクリル化合物(A4)は、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。また、単官能アクリル化合物(A4)は、組成物(X)の粘度の低減に寄与できる。ただし、単官能アクリル化合物(A4)は組成物(X)の屈折率を高めやすいため、組成物(X)の低屈折率化のためには、アクリル化合物(A)は単官能アクリル化合物(A4)を含有せず、又はアクリル化合物(A)中の単官能アクリル化合物(A4)の量が組成物(X)の屈折率を過度に高めない程度の量であることが好ましい。アクリル化合物(A)が単官能アクリル化合物(A4)を含有する場合、アクリル化合物(A)全量に対する単官能アクリル化合物(A4)の量は、0質量%より多く30質量%以下であることが好ましい。単官能アクリル化合物(A4)の量が0質量%より多ければ、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。また、単官能アクリル化合物(A4)の量が30質量%以下であれば、単官能アクリル化合物(A4)による組成物(X)の屈折率の上昇が起こりにくい。
単官能アクリル化合物(A4)は、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボロニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化(4)のニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートのエチレンオキサイド付加物、2−フェノキシエチルアクリレートのプロピレンオキサイド付加物、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレ−ト、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド及び3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アクリル化合物(A1)が、分子骨格中にケイ素を有する化合物(A5)を含有することも好ましい。この場合、硬化物及び封止材5と無機材料製の部材との間の密着性が向上する。このため、封止材5とパッシベーション層6との間に隙間が生じにくく、この隙間を通じた発光素子4への水分の侵入が起こりにくい。
なお、化合物(A5)は分子骨格中にある原子の種類のみで規定されている。そのため、アクリル化合物(A1)、多官能アクリル化合物(A2)、アクリル化合物(A3)及び単官能アクリル化合物(A4)の各々に含まれる化合物と、化合物(A5)に含まれる化合物とは、重複しうる。
分子骨格中にケイ素を有する化合物は、例えばアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(例えば信越化学工業社製の品番KBM5103)及び(メタ)アクリル基含有アルコキシシランオリゴマー(例えば信越化学工業社製の品番KR−513)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。分子骨格中にケイ素を有する化合物の沸点は270℃以上であることが好ましい。また、分子骨格中にケイ素を有する化合物は多官能の化合物であることも好ましい。このため、分子骨格中にケイ素を有する化合物は、特に(メタ)アクリル基含有アルコキシシランオリゴマーを含有することが好ましい。
アクリル化合物(A)が分子骨格中にケイ素を有する化合物を含有する場合、アクリル化合物(A)に対する分子骨格中にケイ素を有する化合物の百分比は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以下であれば更に好ましい。また、分子骨格中にケイ素を有する化合物の百分比が、20質量%以下であることも好ましい。
組成物(X)は、アクリル化合物(A)以外のラジカル重合性化合物(E)を更に含有してもよい。ラジカル重合性化合物(E)は、一分子に二つ以上のラジカル重合性官能基を有する多官能ラジカル重合性化合物(E1)と、一分子に一つのみのラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物(E2)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。アクリル化合物(A)とラジカル重合性化合物(E)との合計量に対するラジカル重合性化合物(E)の量は、例えば10質量%以下である。多官能ラジカル重合性化合物(E1)は、例えば一分子中にエチレン性二重結合を2つ以上有する芳香族ウレタンオリゴマー、脂肪族ウレタンオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー及びその他特殊オリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。単官能ラジカル重合性化合物(E2)は、例えばN−ビニルホルムアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
光重合開始剤(B)は、紫外線が照射されるとラジカル種を生じさせる化合物であれば、特に制限されない。光重合開始剤(B)は、例えば芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。組成物(X)100質量部に対する光重合開始剤(B)の量は、例えば1重量部以上10質量部以下である。
光重合開始剤(B)は、この光重合開始剤(B)の一部として増感剤を含有してもよい。増感剤は、光重合開始剤(B)のラジカル生成反応を促進させて、ラジカル重合の反応性を向上させ、かつ架橋密度を向上させうる。増感剤は、例えば9,10−ジブトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アントラキノン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ジエトキシナフタレン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、及びp−ジエチルアミノベンズアルデヒドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
組成物(X)中の増感剤の含有量は、例えば組成物(X)の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。増感剤の含有量がこのような範囲であれば、空気中で組成物(X)を硬化させることができ、組成物(X)の硬化を窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行う必要がなくなる。
組成物(X)は、光重合開始剤(B)に加えて、重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤は、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸−2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルといったアミン化合物を含有する。
組成物(X)は中空フィラー(C)を更に含有することが好ましい。中空フィラー(C)は、組成物(X)の屈折率を低減することができる。
中空フィラー(C)の平均粒径は、150nm以下であることが好ましい。この場合、中空フィラー(C)は硬化物及び封止材5の透明性を低下させにくい。中空フィラー(C)の平均粒径は10nm以上100nm以下であればより好ましく、20nm以上80nm以下であれば更に好ましい。なお、中空フィラー(C)の平均粒径は、動的光散乱法による測定結果から算出されるメディアン径である。測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のナノトラックNanotrac Waveシリーズを用いることができる。
中空フィラー(C)の中空率は、30%以上70%以下であることが好ましい。この場合、中空フィラー(C)は、硬化物及び光学部品の屈折率を効果的に低減できる。
中空フィラー(C)の屈折率は、1.40以下であることが好ましい。この場合、中空フィラー(C)は、硬化物及び封止材5の屈折率を効果的に低減できる。中空フィラー(C)の屈折率は、1.25以上1.40以下であればより好ましく、1.25以上1.35以下であれば更に好ましく、1.25以上1.30以下であれば特に好ましい。
中空フィラー(C)は、シリカ製の粒子(以下、中空シリカ粒子という)と樹脂製の粒子(以下、中空樹脂粒子という)とのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、中空フィラー(C)によって硬化物及び光学部品の光透過性が特に損なわれにくい。
中空フィラー(C)は、特に中空樹脂粒子を含むことが好ましい。中空樹脂粒子は、中空シリカ粒子と比べて、力が加わった場合に破損しにくい。そのため、中空樹脂粒子を含む組成物(X)を調製する場合の混練等の過程及び組成物(X)から封止材5を作製する過程で中空樹脂粒子に力が加わっても、中空樹脂粒子が破損しにくい。このため、封止材5の屈折率が低く維持されやすい。中空樹脂粒子は、例えばアクリル樹脂製であり、すなわち例えば中空アクリル粒子である。
中空シリカ粒子は、例えば日揮触媒化成社製のカタロイド−Siを含有できる。中空アクリル粒子は、例えば積水化成品工業社製のテックポリマーNHシリーズを含有できる。
組成物(X)が中空フィラー(C)を含有する場合、組成物(X)に対する中空フィラー(C)の百分比は、0体積%より多く7体積%以下であることが好ましい。中空フィラー(C)の百分比が7体積%以下であると、中空フィラー(C)による組成物(X)の粘度の増大が生じにくい。
組成物(X)は吸湿剤(D)を更に含有してもよい。組成物(X)が吸湿剤(D)を含有すると、組成物(X)の硬化物及び光学部品は吸湿性を有することができる。このため、光学部品である封止材5は、発光装置1における発光素子4へ水分が更に侵入しにくくできる。吸湿剤(D)の平均粒径は200nm以下であることが好ましい。この場合、硬化物は高い透明性を有することができる。
吸湿剤(D)は、吸湿性を有する無機粒子であることが好ましく、例えばゼオライト粒子、シリカゲル粒子、塩化カルシウム粒子、及び酸化チタンナノチューブ粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。吸湿剤(D)がゼオライト粒子を含有することが特に好ましい。
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子は、例えば一般的な工業用ゼオライトを粉砕することで製造できる。ゼオライト粒子を製造するに当たって、ゼオライトを粉砕してから水熱合成などによって結晶化させてもよく、この場合、ゼオライト粒子は特に高い吸湿性を有することができる。このようなゼオライト粒子の製造方法の例は、特開2016−69266号公報、特開2013−049602号公報などに開示されている。
組成物(X)が吸湿剤(D)を含有する場合、組成物(X)の全量に対する吸湿剤(D)の割合は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。吸湿剤(D)の割合が1質量%以上であれば硬化物は特に高い吸湿性を有することができる。また、吸湿剤(D)の割合が20質量%以下であれば組成物(X)の粘度を特に低減でき、組成物(X)がインクジェット法で塗布可能な程度の十分な低粘度を有することもできる。吸湿剤(D)の割合は、3質量%以上であれば更に好ましく、5質量%以上であれば特に好ましい。また、吸湿剤(D)の割合は、15質量%以下であればより好ましく、13質量%以下であれば特に好ましい。
組成物(X)が中空フィラー(C)を含有する場合、組成物(X)は更に分散剤(E)を含有することが好ましい。この場合、分散剤(E)は組成物(X)中での中空フィラー(C)の分散性を向上できる。このため、組成物(X)には、中空フィラー(C)による粘度の増大と保存安定性の低下とが生じにくい。
組成物(X)が吸湿剤(D)を含有する場合も、組成物(X)は更に分散剤(E)を含有することが好ましい。この場合、分散剤(E)は組成物(X)中での吸湿剤(D)の分散性を向上できる。このため、組成物(X)には、吸湿剤(D)による粘度の増大と保存安定性の低下とが生じにくい。
なお、分散剤(E)は、粒子に吸着しうる界面活性剤である。分散剤(E)は、粒子に吸着されうる吸着基(一般にアンカーともいう)と、吸着基が粒子に吸着することでこの粒子に付着する分子骨格(一般にテールともいう)とを、有する。分散剤(E)は、例えばテールがアクリル系の分子鎖であるアクリル系分散剤と、テールがウレタン系の分子鎖であるウレタン系分散剤と、テールがポリエステル系の分子鎖であるポリエステル系分散剤とからなら群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。吸着基は、例えば塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を含む。塩基性の極性官能基は、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、及び含窒素複素環基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。酸性の極性官能基は、例えばカルボキシル基とリン酸基とからなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。分散剤(E)は、例えば日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYKシリーズ及び味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
組成物(X)が中空フィラー(C)を含有する場合、中空フィラー(C)に対する分散剤(E)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。組成物(X)が吸湿剤(D)を含有する場合、吸湿剤(D)に対する分散剤(E)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。組成物(X)が中空フィラー(C)及び吸湿剤(D)を含有する場合、中空フィラー(C)と吸湿剤(D)との合計に対する分散剤(E)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。いずれの場合でも、分散剤(E)の量が5質量部以上であることで分散剤(E)の機能が効果的に発現でき、また60質量部以下であることで封止材5中の分散剤(E)の遊離の分子が封止材5と無機材料製の部材との間の密着性を阻害することを抑制できる。また、いずれの場合も、分散剤(D)の量は15質量部以上であればより好ましく、50質量部以下であることもより好ましく、40質量部以下であればより更に好ましく、30質量部以下であれば特に好ましい。
組成物(X)は、溶剤を含有しないことが好ましい。この場合、組成物(X)から硬化物を作製する際に組成物(X)を乾燥させて溶剤を揮発させるような必要がなくなる。また、組成物(X)の保存安定性が更に高くなる。
上述の成分を混合することで、組成物(X)を調製できる。組成物(X)は25℃で液状であることが好ましい。
3.封止材の作製方法及び有機EL発光装置の製造方法
組成物(X)を用いる封止材5の作製方法及び発光装置1の製造方法について説明する。
本実施形態では、組成物(X)をインクジェット法で成形してから、組成物(X)に紫外線を照射して硬化することで、封止材5を作製することが好ましい。本実施形態では、インクジェット法で組成物(X)を塗布して成形することが可能である。
組成物(X)をインクジェット法で塗布するに当たっては、組成物(X)が常温で十分に低い粘度を有する場合、例えば25℃における粘度が30mPa・s以下、特に15mPa・s以下である場合には、組成物(X)を加熱せずにインクジェット法で塗布することで成形できる。
組成物(X)が加熱されることで低粘度化する性質を有する場合、組成物(X)を加熱してから組成物(X)をインクジェット法で塗布して成形してもよい。組成物(X)の40℃における粘度が30mPa・s以下、特に15mPa・s以下である場合、組成物(X)を僅かに加熱しただけで低粘度化させることができ、この低粘度化した組成物(X)をインクジェット法で吐出することができる。組成物(X)の加熱温度は、例えば20℃以上50℃以下である。
より具体的には、例えばまず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に隔壁7を、例えば感光性の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィ法で作製する。続いて、支持基板2の一面上に複数の発光素子4を設ける。発光素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に発光素子4を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。これにより、支持基板2に素子アレイ9を作製する。
次に、素子アレイ9の上に第一パッシベーション層61を設ける。第一パッシベーション層61は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、第一パッシベーション層61の上に組成物(X)を、例えばインクジェット法で成形して、塗膜を作製する。発光素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、発光装置1の製造効率を特に向上できる。続いて、塗膜に紫外線を照射することで硬化させて、封止材5を作製する。封止材5の厚みは例えば5μm以上50μm以下である。
次に、封止材5の上に第二パッシベーション層62を設ける。第二パッシベーション層62は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、支持基板2の一面上に、第二パッシベーション層62を覆うように、紫外線硬化性の樹脂材料を設けてから、この樹脂材料に透明基板3を重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して紫外線硬化性の樹脂材料へ到達する。これにより、紫外線硬化性の樹脂材料が硬化し、第二封止材52が作製される。
本実施形態では、上述のとおり、発光装置1におけるパッシベーション層6と封止材5とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる。
封止材5の厚みは、例えば1μm以上20μm以下である。封止材5の厚みは、15μm以下であってもよい。この場合、封止材5を薄型化することで、発光装置1を薄型化することができ、フレキシブル性を有する発光装置1を得ることも可能となる。また、封止材5の厚みが10μm以下であっても、本実施形態では、発光装置1におけるパッシベーション層6と封止材5とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる。封止材5の厚みが8μm以下であればより好ましい。また、封止材5によって発光素子4への水分を効果的に抑制するためには、封止材5の厚みは3μm以上であることが好ましく、5μm以上であればより好ましい。
封止材5に重なっているパッシベーション層6の厚みは、例えば0.1μm以上2μm以下である。上記のようにパッシベーション層6が第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む場合、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との各々の厚みが0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
封止材5の屈折率の値は、パッシベーション層6の屈折率の値の70%以上80%以下であることが好ましい。例えばパッシベーション層6が屈折率1.87の窒化ケイ素製である場合、封止材5の屈折率は1.32以上1.50以下であることが好ましい。この場合、発光装置1におけるパッシベーション層6と封止材5とに起因する発光効率の低下を特に生じにくくできる。
なお、本明細書において、封止材5及びパッシベーション層6の各々の屈折率とは、波長587.6nmの光(ヘリウムのd線)についての、25℃での屈折率である。
なお、本実施形態に係る組成物(X)の用途は、発光素子4のための封止材5の作製に限られない。組成物(X)は、光源が発する光を透過させる種々の光学部品を作製するために用いることができる。例えば、光学部品がカラーレジストであってもよい。すなわち、例えば組成物(X)に蛍光体を含有させ、この組成物(X)からカラーフィルタにおけるカラーレジストを作製してもよい。このカラーフィルタを、例えば発光装置である有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイといった表示装置に設けることができる。
1.組成物の調製
下記表に示す成分を混合することで、実施例及び比較例の組成物を調製した。
なお、表中に示される成分の詳細は次のとおりである。また、下記の各成分の粘度はレオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR−2)を使用し、温度25℃、せん断速度1000s-1の条件で測定された値である。
(1)アクリル化合物
・KBM5103:ケイ素原子を有する単官能のアクリル化合物であるアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、信越化学工業社製の品番KBM5103、粘度4mPa・s、屈折率1.427、沸点260℃℃。
・KR513:ケイ素原子を有する平均3官能以上のアクリル化合物であるアクリル基含有アルコキシシランオリゴマー、粘度50mPa・s、屈折率1.427、沸点300℃以上。
・3PG:二官能のアクリル化合物であるトリス(プロピレングリコール)ジメタクリレート、新中村化学工業社製、品番3PG、粘度13mPa・s、ガラス転移温度−8℃、屈折率1.450、沸点400℃。
・APG200:二官能のアクリル化合物であるトリス(プロピレングリコール)ジアクリレート、新中村化学工業社製、粘度12mPa・s、ガラス転移温度55〜62℃、屈折率1.449、沸点295℃。
・SR297:二官能のアクリル化合物である1,3ブチレングリコールジメタクリレート、サートマー社製、品番SR297、粘度7mPa・s、ガラス転移温度85℃、屈折率1.449、沸点290℃。
・EBECRYL145:二官能のアクリル化合物であるプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、ダイセルオルネクス社製、品番EBECRYL145、粘度20mPa・s、ガラス転移温度60℃、屈折率1.459、沸点408℃。
・BD:二官能のアクリル化合物である1,4−ブタンジオールジメタクリレート、新中村化学工業社製、粘度7mPa・s、ガラス転移温度55℃、屈折率1.456、沸点280℃。
・TMPTA:三官能のアクリル化合物であるトリメチロールプロパントリアクリレート、粘度106mPa・s、ガラス転移温度62℃、屈折率1.472、沸点300℃以上

・TMPTMA:三官能のアクリル化合物であるトリメチロールプロパントリメタクリレート、粘度44mPa・s、ガラス転移温度27℃、屈折率1.470、沸点300℃以上。
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート:粘度342mPa・s、ガラス転移温度103℃、屈折率1.485、沸点300℃以上。
・ポリエチレングリコール200ジメタクリレート:粘度15mPa・s、ガラス転移温度−9℃、屈折率1.460、沸点350℃。
(2)光重合開始剤
・Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製、品名Irgacure184。
・IrgacureTPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF社製、品名IrgacureTPO。
(3)中空フィラー
・中空アクリル粒子:積水化成品工業社製、平均粒径80nm、中空率40%、屈折率1.30、比重0.75。
・中空シリカ粒子:日揮触媒化成社製、平均粒径50nm、中空率33%、屈折率1.30、比重1.32。
・中空シリカ粒子2:日揮触媒化成社製、平均粒径60nm、中空率44%、屈折率1.25、比重1.12。
(4)分散剤
・SOLSPERSE32000:吸着基としてアミノ基とリン酸基とを有するワックス状の櫛型分散剤、アミン価31mgKOH/g、酸価15mgKOH/g、粘度14000mP・s、重量平均分子量3900、ルーブリゾール社製、品番SOLSPERSE32000。
2.評価試験
実施例及び比較例について、次の評価試験を実施した。その結果を表に示す。
(1)透過率
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で50秒間紫
外線照射して光硬化させることで、厚み10μmのフィルムを作製した。このフィルムの、波長587.6nmの光の透過率をエリプソメータ(SCI社製のFilmtek3000)を用いて測定した。
(2)揮発性
組成物を20℃のアルゴン雰囲気(露点温度−70℃)中に24時間静置した。これにより生じる組成物の重量減少の割合を測定した。重量減少量が0.5%以下の場合を「A」、0.5〜1%の場合を「B」、1%以上の場合を「C」と評価した。
(3)粘度
組成物の粘度を、レオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR−2)を使用して、温度25℃、せん断速度1000s-1の条件で測定した。
(4)インクジェット性
組成物をインクジェットプリンター(リコー製 MH2420)のカートリッジに入れ
、インクジェットプリンターにおけるノズルからカートリッジ内の組成物を吐出しうることを確認してから、ノズルから組成物を吐出させてテストパターンを連続で印刷した。その結果、組成物を1時間吐出できるとともに吐出動作が安定していた場合を「A」、組成物を1時間吐出できたが吐出動作が断続的に不安定になった場合を「B」、吐出開始から1時間経過前にノズルが詰まって組成物を吐出できなくなった場合を「C」と、評価した。
(5)屈折率
組成物の波長589.3nmでの屈折率を、京都電子製の屈折率計(型番RA−620)を用いて測定した。
(6)硬化物の屈折率
上記の「(1)透過率」で作製したフィルムの、波長587.6nmの光の屈折率を、エリプソメータ(SCI社製のFilmtek3000)を用いて測定した。
(7)ガラス転移温度
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で50秒間紫
外線照射して光硬化させることで、厚み200μmのフィルムを作製した。このフィルムから切り出したサンプルのガラス転移温度を、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、型番DMA7100)を用いて測定した。
(8)密着性
石英ガラス片(寸法76mm×52mm×1mm)の表面上に、組成物を塗布して厚み50μmの塗膜を形成し、この塗膜の上に別の石英ガラス片(寸法76mm×52mm×1mm)を重ねた。続いて、塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で50秒間紫外線照射す
ることで、硬化させた。これにより、試験片を得た。
この試験片を85℃85%RHの恒温恒湿槽に24時間入れてから、二つの石英ガラス片の間の密着強度を、JIS K6854に基づくT字ピール試験を行うことで、評価した。その結果、密着強度が3MPa以上である場合を「A」、密着強度が3MPa未満である場合を「B」、石英ガラス片が剥がれてしまって密着強度が測定できなかった場合を「C」と評価した 。
(9)光取出効率の評価
二つの石英ガラス片(寸法76mm×52mm×1mm)の各々の表面上にプラズマCVD法により厚み1μmの窒化ケイ素膜を作製して、二つの基板を得た。一方の基板の窒化ケイ素膜の表面上に、組成物を塗布して厚み5μmの塗膜を形成し、この塗膜の上に他方の基板の窒化ケイ素膜を重ねた。続いて、塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で50秒
間紫外線照射することで、硬化させた。これにより、試験片を得た。
この試験片の可視光透過率を測定し、比較例1よりも可視光透過率が高い場合を「A」、そうでない場合を「B」と、評価した。

Claims (11)

  1. アクリル化合物(A)及び光重合開始剤(B)を含有し、
    前記アクリル化合物(A)は、屈折率1.459以下のアクリル化合物(A1)を含有し、かつ前記アクリル化合物(A)に対する前記アクリル化合物(A1)の百分比は50質量%以上である、
    光源が発する光を透過させる光学部品を作製するための紫外線硬化性樹脂組成物。
  2. 1.459以下の屈折率を有する、
    請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  3. 前記アクリル化合物(A1)は、一分子中に二つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する、
    請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記アクリル化合物(A1)の25℃での粘度は25mPa・s以下である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  5. インクジェット法で成形される、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  6. 硬化物のガラス転移温度が80℃以上である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  7. 中空フィラー(C)を更に含有する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  8. 前記中空フィラー(C)は、中空樹脂粒子を含有する、
    請求項7に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  9. 光源と、前記光源が発する光を透過させる光学部品及び無機質層とを備え、前記光学部品と前記無機質層とは重なっている発光装置を製造する方法であり、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物をインクジェット法で成形してから、前記紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させることで前記光学部品を作製することを含む、
    発光装置の製造方法。
  10. 前記紫外線硬化性樹脂組成物を加熱してから前記紫外線硬化性樹脂組成物をインクジェット法で成形する、
    請求項9に記載の発光装置の製造方法。
  11. 光源と、前記光源が発する光を透過させる光学部品及び無機質層とを備え、前記光学部品と前記無機質層とは重なっており、前記光学部品は、請求項1から8のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物である、
    発光装置。
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JP2006127815A (ja) * 2004-10-26 2006-05-18 Sekisui Chem Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2018070488A1 (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 デンカ株式会社 組成物

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