JP2020053660A - 磁気記録アレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時における磁壁移動素子の故障を抑制できる磁気記録アレイを提供する。【解決手段】本実施形態にかかる磁気記録アレイは、複数の磁壁移動素子と、基準電位と電気的に接続され、かつ、前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも1つの磁壁移動素子と電気的に接続された第1配線と、前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも2つ以上の磁壁移動素子と電気的に接続された第2配線と、前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第1配線との間に接続された第1スイッチング素子と、前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第2配線との間に接続された第2スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子のOFF抵抗は、前記第2スイッチング素子のOFF抵抗より小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録アレイに関する。
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリ等に代わる次世代の不揮発性メモリに注目が集まっている。例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、ReRAM(Resistance Randome Access Memory)、PCRAM(Phase Change Random Access Memory)等が次世代の不揮発性メモリとして知られている。
MRAMは、磁化の向きの変化によって生じる抵抗値変化をデータ記録に利用している。記録メモリの大容量化を実現するために、メモリを構成する素子の小型化、メモリを構成する素子一つあたりの記録ビットの多値化が検討されている。
特許文献1及び2には、磁壁移動素子が記載されている。特許文献1は磁壁移動素子をセンサとして用い、特許文献2はデータの記録素子として用いている。例えば磁壁移動素子を記録素子として用いる場合、磁壁移動素子は、磁壁の位置によって情報をアナログに記録する。磁壁の位置は、磁壁移動部に接続されたスイッチング素子により制御する。
特開2016−157815号公報 特開2016−178252号公報
磁壁移動素子は、複数の磁壁移動素子が集積された磁気記録アレイとして用いられ、特に和積演算アレイとして用いられる場合が多い。和積演算アレイとして使用する際には、特に低消費電力のために素子の抵抗面積積(RA)を大きくすることが求められる。磁気記録アレイは、スイッチング素子及び配線等の制御部と磁壁移動素子とを有する。複数の磁壁移動素子は、制御部を作製後に、制御部の所定の位置に作製される。しかしながら、複数の磁壁移動素子の一部は、磁気記録アレイを作製後に、故障している場合がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、製造時における磁壁移動素子の故障を抑制できる磁気記録アレイを提供することを目的とする。
(1)第1の態様に係る磁気記録アレイは、複数の磁壁移動素子と、基準電位と電気的に接続され、かつ、前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも1つの磁壁移動素子と電気的に接続された第1配線と、前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも2つ以上の磁壁移動素子と電気的に接続された第2配線と、前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第1配線との間に接続された第1スイッチング素子と、前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第2配線との間に接続された第2スイッチング素子と、を備え、前記磁壁移動素子はそれぞれ、前記第1配線及び前記第2配線と電気的に接続され磁壁を含む磁気記録層と、第1強磁性層と、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との間に位置する非磁性層と、を備え、前記第1スイッチング素子のOFF抵抗は、前記第2スイッチング素子のOFF抵抗より小さい。
(2)上記態様にかかる磁気記録アレイにおいて、前記第1スイッチング素子のOFF抵抗は、前記非磁性層の抵抗値よりも小さくてもよい。
(3)上記態様にかかる磁気記録アレイにおいて、前記第1配線は接地されていてもよい。
(4)上記態様にかかる磁気記録アレイは、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を支持し、外部に露出した基板をさらに有し、前記第1配線は、前記基板と電気的に接続されていてもよい。
(5)上記態様にかかる磁気記録アレイにおいて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、トランジスタであってもよい。
(6)上記態様にかかる磁気記録アレイにおいて、前記磁壁移動素子の抵抗面積積(RA)は、1×10Ωμm以上であってもよい。
上記態様にかかる磁気記録アレイによれば、製造時における磁壁移動素子の故障を抑制できる。
第1実施形態に係る磁気記録アレイの回路図である。 第1実施形態に係る磁気記録アレイの磁壁移動素子の断面図である。 第1実施形態に係る磁気記録アレイの磁壁移動素子の別の例の断面図である。 第1実施形態にかかる磁気記録アレイの構成図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(磁気記録アレイ)
図1は、第1実施形態にかかる磁気記録アレイ200の回路図である。磁気記録アレイ200は、磁壁移動素子100と、第1配線Cm1〜Cmnと、第2配線Wp1〜Wpnと、第3配線Rp1〜Rpnと、第1スイッチング素子110と、第2スイッチング素子120と、第3スイッチング素子130とを備える。
<第1配線、第2配線、第3配線>
第1配線Cm1〜Cmnは、共通配線である。共通配線は、データの書き込み時及び読み出し時の両方で用いられる配線である。第1配線Cm1〜Cmnは、基準電位と電気的に接続されている。例えば、第1配線Cm1〜Cmnが接地されている場合、基準電位はグラウンドとなる。また第1配線Cm1〜Cmnは、複数の磁壁移動素子100のうち少なくとも一つの磁壁移動素子100に接続されている。第1配線Cm1〜Cmnは、複数の磁壁移動素子100のそれぞれに設けられてもよいし、複数の磁壁移動素子100に亘って設けられてもよい。
第2配線Wp1〜Wpnは、書き込み配線である。第2配線Wp1〜Wpnは、複数の磁壁移動素子100のうち少なくとも2つ以上の磁壁移動素子100と電気的に接続されている。第2配線Wp1〜Wpnは、磁気記録アレイ200の使用時に、電源と接続される。第2配線Wp1〜Wpnは、磁気記録アレイ200の製造時には、電源と接続されておらず、第2配線Wp1〜Wpnの電位は浮遊している。
第3配線Rp1〜Rpnは、読み出し配線である。第3配線Rp1〜Rpnは、複数の磁壁移動素子100のうち少なくとも1つ以上の磁壁移動素子100と電気的に接続されている。第3配線Rp1〜Rpnは、磁気記録アレイ200の使用時に、電源と接続される。第3配線Rp1〜Rpnは、磁気記録アレイ200の製造時には、電源と接続されておらず、第3配線Rp1〜Rpnの電位は浮遊している。
<第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子>
第1スイッチング素子110は、磁壁移動素子100のそれぞれと第1配線Cm1〜Cmnとの間に接続されている。第2スイッチング素子120は、磁壁移動素子100のそれぞれと第2配線Wp1〜Wpnとの間に接続されている。第3スイッチング素子130は、磁壁移動素子100のそれぞれと第3配線Rp1〜Rpnとの間に接続されている。
第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120をONにすると、所定の磁壁移動素子100に接続された第1配線Cm1〜Cmnと第2配線Wp1〜Wpnとの間に書き込み電流が流れる。第1スイッチング素子110及び第3スイッチング素子130をONにすると、所定の磁壁移動素子100に接続された第1配線Cm1〜Cmnと第3配線Rp1〜Rpnとの間に読み出し電流が流れる。
第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120及び第3スイッチング素子130は、電流の流れを制御する素子である。例えば、第1スイッチング素子110、第2スイッチング素子120及び第3スイッチング素子130として、トランジスタ、オボニック閾値スイッチ(OTS:Ovonic Threshold Switch)のように結晶層の相変化を利用したもの、金属絶縁体転移(MIT)スイッチのようにバンド構造の変化を利用したもの、ツェナーダイオード及びアバランシェダイオードのように降伏電圧を利用したもの、原子位置の変化に伴い伝導性が変化するもの等を用いることができる。
第1スイッチング素子110のOFF抵抗は、第2スイッチング素子120のOFF抵抗より小さい。また第1スイッチング素子110のOFF抵抗は、後述する非磁性層30の抵抗値よりも小さいことが好ましい。ここでOFF抵抗とは、電圧を印加していない状態における抵抗値を意味し、例えば製造時における第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120の抵抗を意味する。
第2スイッチング素子120及び第3スイッチング素子130は、一つの第2配線Wp1〜Wpn又は一つの第3配線Rp1〜Rpnに接続された磁壁移動素子100で、共用してもよい。例えば、いずれかの第2配線Wpnの上流側に一つの第2スイッチング素子120を設けてもよい。また例えば、いずれかの第3配線Rpnの上流側に一つの第3スイッチング素子130を設けてもよい。各磁壁移動素子100に接続された第1スイッチング素子110のON/OFFを切り替えることで、特定の磁壁移動素子100を選択できる。
<磁壁移動素子>
図2は、第1実施形態に係る磁気記録アレイの磁壁移動素子の断面図である。磁壁移動素子100は、第1強磁性層10と磁気記録層20と非磁性層30とを備える。以下、磁気記録層20の延びた方向をx方向、磁気記録層20の存在する面内でx方向と交差(例えば、略直交)する方向をy方向、x方向及びy方向と交差(例えば、略直交)する方向をz方向とする。z方向は、例えば、磁気記録層20に対する非磁性層30及び第1強磁性層10の積層方向である。
「磁気記録層」
磁気記録層20は、x方向に延びている。磁気記録層20は、内部に磁壁21を有する。磁壁21は、互いに反対方向の磁化を有する第1の磁区22と第2の磁区23との境界である。図2に示す磁壁移動素子100は、第1の磁区22が+z方向、第2の磁区23が−z方向に配向した磁化を有する。
図2では、磁化がz軸方向に沿って配向した例を用いて説明する。磁気記録層20及び第1強磁性層10の磁化はx軸方向に沿って配向してもよいし、これら以外の方向に配向していてもよい。
磁壁移動素子100は、磁気記録層20の磁壁21の位置によって、データを多値又は連続的に記録する。磁気記録層20に記録されたデータは、読み出し電流を印加した際に、磁壁移動素子100の抵抗値変化として読み出される。
磁気記録層20における第1の磁区22と第2の磁区23との比率は、磁壁21が移動すると変化する。第1強磁性層10の磁化M10は、第1の磁区22の磁化M22と同じ方向(平行)であり、第2の磁区23の磁化M23と反対方向(反平行)である。磁壁21が+x方向に移動し、z方向からの平面視で第1強磁性層10と重畳する部分における第1の磁区22の面積が広くなると、磁壁移動素子100の抵抗値は低くなる。反対に、磁壁21が−x方向に移動し、z方向からの平面視で第1強磁性層10と重畳する部分における第2の磁区23の面積が広くなると、磁壁移動素子100の抵抗値は高くなる。
磁壁21は、磁気記録層20の延在方向に書き込み電流を流す、又は、外部磁場を印加することによって移動する。磁気記録層20は第1配線Cm1〜Cmn及び第2配線Wp1〜Wpnに接続されている。例えば、磁気記録層20の+x方向に書き込み電流(例えば、電流パルス)を印加すると、磁壁21が移動する。この時、電子は、電流と逆の−x方向に流れる。第1の磁区22から第2の磁区23に向って電流が流れる場合、第1の磁区23でスピン偏極した電子は、第1の磁区22の磁化M22を磁化反転させる。第1の磁区22の磁化M22が磁化反転することで、磁壁21が移動する。
磁気記録層20は、磁性体により構成される。磁気記録層20を構成する磁性体は、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
磁気記録層20は、Co、Ni、Pt、Pd、Gd、Tb、Mn、Ge、Gaからなる群から選択される少なくとも一つの元素を有することが好ましい。磁気記録層20に用いられる材料として、例えば、CoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜、MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料が挙げられる。MnGa系材料、GdCo系材料、TbCo系材料等のフェリ磁性体は飽和磁化が小さく、磁壁を移動するために必要な閾値電流を下げることができる。またCoとNiの積層膜、CoとPtの積層膜、CoとPdの積層膜は、保磁力が大きく、磁壁の移動速度を抑えることができる。
「第1強磁性層」
第1強磁性層10は、磁化固定層である。磁化固定層は、所定の外力が印加された際に磁化の向きが磁気記録層20よりも変化しにくい磁性体からなる層である。所定の外力は、例えば外部磁場により磁化に印加される外力や、スピン偏極電流により磁化に印加される外力である。
第1強磁性層10は、強磁性体を含む。第1強磁性層10を構成する強磁性材料としては、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
第1強磁性層10を構成する材料は、ホイスラー合金でもよい。ホイスラー合金はハーフメタルであり、高いスピン分極率を有する。ホイスラー合金は、XYZ又はXYZの化学組成をもつ金属間化合物であり、Xは周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、ZはIII族からV族の典型元素である。ホイスラー合金として例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoMnSi、CoMn1−aFeAlSi1−b、CoFeGe1−cGa等が挙げられる。
第1強磁性層10の膜厚は、第1強磁性層10の磁化容易軸をz方向とする(垂直磁化膜にする)場合は、1.5nm以下とすることが好ましく、1.0nm以下とすることがより好ましい。第1強磁性層10の膜厚を薄くすると、第1強磁性層10と他の層(非磁性層30)との界面で、第1強磁性層10に垂直磁気異方性(界面垂直磁気異方性)を付加できる。第1強磁性層10の磁化が、z方向に配向しやすくなる。
第1強磁性層10の磁化は、一例としてz方向に固定される。z方向に磁化を固定する際には、第1強磁性層10をCo、Fe、Niからなる群から選択された強磁性体とPt、Pd、Ru、Rhからなる群から選択された非磁性体と積層体とすることが好ましく、中間層としてIr、Ruからなる群から選択された非磁性体を積層体のいずれかの位置に挿入することがより好ましい。強磁性体と非磁性体を積層すると垂直磁気異方性を付加することができ、中間層を挿入することによって強磁性層10の磁化はより強く垂直方向に固定することができる。
磁壁移動素子100は、第1強磁性層10の非磁性層30と反対側の面に、スペーサ層を介して、反強磁性層を有してもよい。第1強磁性層10と反強磁性層とが反強磁性カップリングすると、第1強磁性層10の保磁力が大きくなる。反強磁性層は、例えば、IrMn,PtMn等である。スペーサ層は、例えば、Ru、Ir、Rhからなる群から選択される少なくとも一つを含む。
「非磁性層」
非磁性層30は、例えば、絶縁体からなる。非磁性層30は、Mg、Al、Siからなる群からなる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。非磁性層30は、例えば、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等である。Al、Si、Mgの一部が、Zn、Be等に置換されていてもよい。これらの材料は、バンドギャップが大きく、絶縁性に優れる。
非磁性層30の厚みは、20Å以上であることが好ましく、30Å以上であることがより好ましい。非磁性層30の厚みが厚いと、磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)が大きくなる。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)は、1×10Ωμm以上であることが好ましく、1×10Ωμm以上であることがより好ましい。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)は、一つの磁壁移動素子100の素子抵抗と磁壁移動素子100の素子断面積(非磁性層30をxy平面で切断した切断面の面積)の積で表される。
磁気記録アレイ200は、磁壁移動素子100が複数集積されている。磁気記録アレイ200全体には、データの書き込み時及び読み込み時に、磁壁移動素子100のそれぞれに流す電流の総和の電流が印加される。各磁壁移動素子100に流す電流量が大きくなると、磁気記録アレイ200全体に印加する電流量は非常に大きくなる。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)が大きいと、各磁壁移動素子100に流れる電流量が小さくなる。つまり、磁気記録アレイ200に印加される電流の総和が小さくなり、磁気記録アレイ200の消費電力が低減する。
図2に示す磁壁移動素子100は一例であり、その他の構成でもよい。図3は、第1実施形態に係る磁気記録アレイの磁壁移動素子の別の例の断面図である。図3に示す磁壁移動素子101は、磁気記録層20と非磁性層30との間に、第2強磁性層40を備える点が、図2に示す磁壁移動素子100と異なる。第2強磁性層40は、磁気記録層20の磁気状態を反映する。
第2強磁性層40は、磁性体を含む。第2強磁性層40を構成する磁性体は、第1強磁性層10と同様のものを用いることができる。
第2強磁性層40は、磁気記録層20と互いに隣り合う。第2強磁性層40の磁化は、磁気記録層20の磁化と磁気結合している。第2強磁性層40は、磁気記録層20の磁気状態を反映する。第2強磁性層40と磁気記録層20とが強磁性カップリングする場合は、第2強磁性層40の磁気状態は磁気記録層20の磁気状態と同一になる。第2強磁性層40と磁気記録層20とが反強磁性カップリングする場合は、第2強磁性層40の磁気状態は磁気記録層20の磁気状態と反対になる。
磁壁移動素子101のMR比は、非磁性層30を挟む2つの磁性体(第1強磁性層10と第2強磁性層40)の磁気状態の変化により生じる。第2強磁性層40は、第1強磁性層10との間で、コヒーレントトンネル効果を得やすい材料を含むことが好ましい。
一方で、磁気記録層20は、磁壁21の移動速度が遅くなる材料を含むことが好ましい。図2に示す磁壁移動素子100の場合、磁気記録層20は、非磁性層30を挟む2つの磁性体の一方である。図2に示す磁壁移動素子100の場合、磁気記録層20は、磁壁21の移動速度が遅く、かつ、磁壁移動素子100のMR比を向上できる材料により構成されていることが好ましい。これに対し、図3に示す磁壁移動素子101の場合、磁気記録層20は、非磁性層30を挟む2つの磁性体ではない。図3に示す磁壁移動素子101の場合、磁気記録層20を構成する材料は、磁壁移動素子101のMR比への影響が少ない。したがって、図3に示す磁壁移動素子101は、磁気記録層20の材料選択の自由度が高い。
図4は、第1実施形態にかかる磁気記録アレイの構成図である。図4は、磁気記録アレイ200における各構成の接続関係を理解しやすくするためのイメージ図である。磁壁移動素子100に代えて、上述の磁壁移動素子101を用いてもよい。
図4では、第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120が電界効果型トランジスタ(FET)の場合を例に図示している。第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120は、ソース領域112、122と、ドレイン領域111、121と、ゲート電極113、123と、ゲート絶縁膜114、124を有する。
図1に示すように、磁気記録アレイ200は、磁壁移動素子100と、第1配線Cm1〜Cmnと、第2配線Wp1〜Wpnと、第3配線Rp1〜Rpnと、第1スイッチング素子110と、第2スイッチング素子120と、第3スイッチング素子130とを備える。第1配線Cmnは、例えば、それぞれの磁壁移動素子100に接続された複数のドレイン領域111を繋ぐように紙面鉛直方向に配設されている。第2配線Wpnは、例えば、それぞれの磁壁移動素子100に接続された複数のソース領域122を繋ぐように紙面鉛直方向に配設されている。第3配線Rpnは、例えば、複数の磁壁移動素子100の第1強磁性層10を繋ぐように紙面鉛直方向に配設されている。第3スイッチング素子130(図示略)は、紙面と異なる位置に配設されている。
次いで、図4を参照しながら、磁気記録アレイ200の製造方法の一例について説明する。まず基板Sbを準備する。基板Sbは、例えば、半導体基板である。基板Sbは、第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120を作製するための支持体である。基板Sbは、外部に露出する。基板Sbを接地すると、基板Sbはグラウンドとなる。
基板Sbの一面に、第1層61を積層する。第1層61は、例えば、層間絶縁膜、半導体層等が用いられる。第1層61は、配線等が配設された層間絶縁膜上に、第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120が形成される半導体層が積層されたものでもよい。
第1層61のz方向に、ビア配線71を形成する。ビア配線71は、フォトリソグラフィー等で加工される。ビア配線71は、ホールを加工後、ホール内部を導電体で充填して作製する。ビア配線71は、製造時において、ドレイン領域111と後述するビア配線81とを介して、第1配線Cmnに繋がる。ビア配線71は、製造時において第1配線Cmnと基板Sbとを繋ぐ。ビア配線72は、第1配線Cmnと基板Sbとを等電位にする。ビア配線71は、第1層61の第1面と第2面とを等電位にする。ビア配線71は、電荷が第1層61に蓄積することを抑制する。第1配線Cmnは、基板Sbと電気的に接続され、基準電位となる。ビア配線71は、磁気記録アレイ200を構成する複数の磁壁移動素子100のそれぞれに設けられている必要はなく、いずれか一つの磁壁移動素子100に設けられていれば、基板Sbと第1配線Cmnとが等電位となる。
第1層61の一部に、不純物イオンを注入し、トランジスタを形成する。不純物のドープ量を調整することでトランジスタの抵抗値を変えられる。例えば、第1層61の表面がp型半導体層の場合、n型の不純物をドープする。n型の不純物がドープされた部分は、第1スイッチング素子110及び第2スイッチング素子120のソース領域112、122及びドレイン領域111、121となる。第1スイッチング素子110のソース領域112及びドレイン領域111には、第2スイッチング素子120のソース領域122及びドレイン領域121より多くの不純物をドープする。第1スイッチング素子110のOFF抵抗が、第2スイッチング素子120のOFF抵抗より小さくなる。また、第1スイッチング素子110の拡散層に第2スイッチング素子120の拡散層よりも多くのドープを行ってもよい。第1スイッチング素子110のOFF抵抗が、第2スイッチング素子120のOFF抵抗より小さくなる。
第1層61の基板Sbと反対側の面に、ゲート絶縁膜114、124及びゲート電極113、123を積層する。ゲート絶縁膜114、124及びゲート電極113、123は、ソース領域112、122とドレイン領域111、121との間の領域を覆うように形成する。ゲート絶縁膜114、124及びゲート電極113、123は、マスクを介したスパッタリング等を用いて作製してもよいし、層を形成後にエッチングでパターン加工してもよい。
次いで、第1層61の基板Sbと反対側の面に第2層62を積層する。第2層62は、ゲート絶縁膜114、124及びゲート電極113、123を覆う。第2層62は、第1層61と第3層63の間に位置する層間絶縁膜である。第2層62は、例えば、SiO、SiN等が用いられる。第2層62の内部には、例えば、第1配線Cmn、第2配線Wpnが配設される。第1配線Cmn及び第2配線Wpnは、フォトリソグラフィー等で加工される。
第2層62内に、ビア配線50、51、81、82を形成する。ビア配線50は、第1スイッチング素子110のソース領域112と重なる位置に形成する。ビア配線51は、第2スイッチング素子120のドレイン領域121と重なる位置に形成する。ビア配線81は、第1スイッチング素子110のドレイン領域111と重なる位置に形成する。ビア配線82は、第2スイッチング素子120のソース領域122と重なる位置に形成する。ビア配線81は、第1配線Cmnとドレイン領域111とを繋ぐ。ビア配線82は、第2配線Wpnとソース領域122とを繋ぐ。ビア配線50、51、81、82は、ホールを加工後、ホール内部を導電体で充填して作製する。
次いで、第2層62の表面に、磁壁移動素子100を作製する。強磁性層、非磁性層、強磁性層を、第2層62上に順に積層する。フォトリソグラフィー等を用いて積層した各層を加工して、磁気記録層20、非磁性層30、第1強磁性層10が得られる。磁壁移動素子100の周囲を層間絶縁膜で覆い、第3層63が得られる。
最後に、第1強磁性層10の一面に第3配線Rpnを作製する。第3配線Rpnの周囲を層間絶縁膜で覆い、第4層64が得られる。
第1実施形態にかかる磁気記録アレイは、第1スイッチング素子110のOFF抵抗が、第2スイッチング素子120のOFF抵抗より小さいため、製造時における磁壁移動素子100の故障を抑制できる。この理由について説明する。
磁壁移動素子100は、磁気記録アレイ200の消費電力を抑えるために、抵抗面積積(RA)が大きくなる場合が多い。磁壁移動素子100の抵抗面積積(RA)の主要因は、非磁性層30である。抵抗が大きい非磁性層30は、コンデンサのように電荷を蓄積しやすい。磁壁移動素子100は、様々な処理工程が行われる。例えば、処理面を改質する際は、処理面にプラズマを照射する。プラズマ処理を行うと、非磁性層30に電荷が蓄積される。非磁性層30に電荷が蓄積されると、磁壁移動素子100に異常電圧がかかり、磁壁移動素子100が故障する場合がある。
製造時において第2配線Wp1〜Wpnは、電源と接続されていない。つまり第2配線Wp1〜Wpnは、電位的に浮遊している。これに対し、第1配線Cm1〜Cmnは、基準電位に接続されている。
第2スイッチング素子120のOFF抵抗が、第1スイッチング素子110のOFF抵抗より小さいと、非磁性層30に蓄積された電荷の一部が、第2配線Wp1〜Wpn側に向かう。図1に示すように第2配線Wp1〜Wpnは、複数の磁壁移動素子100のうち少なくとも2つ以上の磁壁移動素子100と電気的に接続されている。ある磁壁移動素子100の非磁性層30に蓄積された電荷は、第2配線Wp1〜Wpnを介して、他の磁壁移動素子100に流れる。一方で、第2配線Wp1〜Wpnは電位的に浮遊しているため、電荷は磁気記録アレイ200から除去されない。
これに対し、第1スイッチング素子110のOFF抵抗が、第2スイッチング素子120のOFF抵抗より小さい場合は、非磁性層30に蓄積された電荷は、第1配線Cm1〜Cmn側に向かう。第1配線Cm1〜Cmnの電位は、基準電位である。電荷は、第1配線Cm1〜Cmnを介して効率的に除去される。したがって、電荷は磁気記録アレイ200内に蓄積されず、異常電圧に伴う磁壁移動素子100の故障を抑制できる。
第1スイッチング素子110のOFF抵抗が、非磁性層30の抵抗値より小さいと、第1スイッチング素子110に蓄積される電荷は、非磁性層30に蓄積される電荷よりも小さくなる。そのため、電荷は、第1スイッチング素子110、および、第1配線Cm1〜Cmnを介してより効率的に除去される。したがって、電荷は磁気記録アレイ200内に蓄積されず、異常電圧に伴う磁壁移動素子100の故障をより抑制できる。
磁壁移動素子100は、“1”と“0”のデジタル信号ではなく、アナログにデータを記録できる。そのため、磁気記録アレイ200は、脳を模倣したニューロモロフィックデバイスとして機能する。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1強磁性層
20 磁気記録層
21 磁壁
22 第1の磁区
23 第2の磁区
30 非磁性層
40 第2強磁性層
50、51、71、81、82 ビア配線
61 第1層
62 第2層
63 第3層
64 第4層
100、101 磁壁移動素子
110 第1スイッチング素子
120 第2スイッチング素子
130 第3スイッチング素子
111、121 ドレイン領域
112、122 ソース領域
113、123 ゲート電極
114、124 ゲート絶縁膜
200 磁気記録アレイ
Cm1〜Cmn 第1配線
Wp1〜Wpn 第2配線
Rp1〜Rpn 第3配線
Sb 基板

Claims (6)

  1. 複数の磁壁移動素子と、
    基準電位と電気的に接続され、かつ、前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも1つの磁壁移動素子と電気的に接続された第1配線と、
    前記複数の磁壁移動素子のうち少なくとも2つ以上の磁壁移動素子と電気的に接続された第2配線と、
    前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第1配線との間に接続された第1スイッチング素子と、
    前記磁壁移動素子のそれぞれと前記第2配線との間に接続された第2スイッチング素子と、を備え、
    前記磁壁移動素子はそれぞれ、前記第1配線及び前記第2配線と電気的に接続され磁壁を含む磁気記録層と、第1強磁性層と、前記第1強磁性層と前記磁気記録層との間に位置する非磁性層と、を備え、
    前記第1スイッチング素子のOFF抵抗は、前記第2スイッチング素子のOFF抵抗より小さい、磁気記録アレイ。
  2. 前記第1スイッチング素子のOFF抵抗は、前記非磁性層の抵抗値よりも小さい、請求項1に記載の磁気記録アレイ。
  3. 前記第1配線は接地されている、請求項1又は2に記載の磁気記録アレイ。
  4. 前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を支持し、外部に露出した基板をさらに有し、
    前記第1配線は、前記基板と電気的に接続されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録アレイ。
  5. 前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子はトランジスタである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気記録アレイ。
  6. 前記磁壁移動素子の抵抗面積積(RA)は、1×10Ωμm以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気記録アレイ。
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