JP2020052033A - レーザ式ガス分析計 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力または他のガス成分の変動の影響を低減しつつ、高精度かつ高安定に測定対象ガス濃度を測定することができるレーザ式ガス分析計を提供する。【解決手段】レーザ式ガス分析計は、受光素子から受信したガス吸収信号に対し、レーザ光の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出して得た測定波形に基づいてガス分析を行う受光信号処理部を有する受光部を備え、受光信号処理部は、予め設定された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、対象ガスの濃度を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象空間内における測定対象ガスの有無や濃度を分析するレーザ式ガス分析計に関する。
従来、測定対象空間内における測定対象ガスの有無または濃度を分析するレーザ式ガス分析計が用いられている。レーザ式ガス分析計において、測定対象ガスの圧力が高くなると、ガス分子同士の衝突に起因して測定波形が変動する。測定対象ガス成分の濃度が同じであったとしても、測定対象空間内に含まれる他のガス成分の組成が異なる場合には、測定波形が変動する。測定波形が変動することによって、測定誤差が生じる可能性がある。
「圧力に対する作用点」と呼ばれる、圧力の変動に対して測定波形の変動が最小となるような波長変調振幅に設定することにより、ガス濃度の圧力依存性および他のガス成分の影響を低減させている(例えば、特許文献1参照)。関連する技術として、測定波形に対して基準パターンをフィッティングしてガス濃度を算出する技術が報告されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の技術においてはフィッティングした上で、波形のピークの高さからガス濃度を推定している。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2012−233900号公報
[特許文献2] 特開2016−70687号公報
圧力に対する作用点においても測定波形は、圧力変動に対して必ずしも不変ではない。したがって、ガス濃度の測定誤差が残るおそれがある。また、測定対象空間内に含まれる他のガス成分の組成ガス組成および濃度が変動することに起因する測定誤差が残るおそれがある。また、「圧力に対する作用点」は、測定波形が極大値となる動作点ではない。したがって、信号ノイズ比が極大値での信号ノイズ比と比べて劣る場合がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、圧力または他のガス成分の組成の影響を低減しつつ、高精度かつ高安定に特定のガス濃度を測定することができるレーザ式ガス分析計を提供する。
本発明の第1の態様においては、レーザ式ガス分析計を提供する。レーザ式ガス分析計は、波長変調分光法により、測定対象空間に存在する測定対象ガスの濃度を測定してよい。レーザ式ガス分析計は、発光部を備えてよい。発光部は、レーザ素子を有してよい。レーザ素子は、測定対象ガスの特定の吸収線スペクトルを含む波長帯域のレーザ光を出射してよい。発光部は、変調光生成部を有してよい。変調光生成部は、測定対象ガスの特定の吸収線スペクトルを含む波長帯域で波長が繰り返し掃引され、かつ波長が変調されるように駆動電流をレーザ素子に供給してよい。レーザ式ガス分析計は、受光部を備えてよい。受光部は、受光素子を有してよい。受光素子は、測定対象空間を通過したレーザ光を検出してよい。受光部は、受光信号処理部を備えてよい。受光処理部は、受光素子から受信したガス吸収信号に対し、レーザ光の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出して得た測定波形に基づいてガス分析を行ってよい。受光信号処理部は、予め設定された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出してよい。
受光信号処理部は、ガス吸収信号に対し、レーザ光の波長変調の基本周波数の2倍の周波数でロックイン検出することによって、測定波形を得てよい。
複数種類のガス成分について、それぞれ基準波形が設定されてよい。受光信号処理部は、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を比較用波形として、合成波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、重み付け係数を決定してよい。受光信号処理部は、決定された重み付け係数に基づいて、測定対象ガスの濃度を算出してよい。
各ガス成分の基準波形は、それぞれの標準ガスを用いて測定されてよい。
成波形は、ノイズ成分を表すノイズ波形についても合成されてよい。
ガス成分毎の基準波形は、複数のガス温度別に設定されてよい。受光信号処理部は、複数のガス温度別に、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を比較用波形として、合成波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、重み付け係数を決定してよい。受光信号処理部は、複数のガス温度において重み付け係数が決定された場合において、誤差が最小となるガス温度を算出してよい。受光信号処理部は、誤差が最小となるガス温度において決定された重み付け係数に基づいて、測定対象ガスの濃度を算出してよい。
各ガス成分の基準波形は、複数のガス温度別に、それぞれの標準ガスを用いて測定されることによって得られてよい。
測定対象ガスのガス成分について、測定対象空間に共存する他ガス濃度別に複数の比較用波形が設定されてよい。受光信号処理部は、複数の比較用波形のうちから測定波形との間の誤差が小さくなる特定の他ガス濃度に対応する比較用波形を選択してよい。受光信号処理部は、選択された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、選択された比較用波形のフィッティングパラメータを決定してよい。受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出してよい。
測定対象ガスのガス成分について、測定対象空間に共存する他ガス濃度別、かつ、複数のガス温度別に複数の比較用波形が設定されてよい。受光信号処理部は、複数の比較用波形のうちから測定波形との間の誤差が小さくなる特定の他ガス濃度かつ特定のガス温度に対応する比較用波形を選択してよい。受光信号処理部は、選択された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、選択された比較用波形のフィッティングパラメータを決定してよい。受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出してよい。
受光信号処理部は、複数の比較用波形のうちから誤差が最小となる特定の他ガス濃度かつ特定のガス温度に対応する比較用波形を選択してよい。
受光信号処理部は、選択された比較用波形に基づいて、ガス温度を特定してよい。
他ガス濃度別かつ複数のガス温度別に設定された複数の比較用波形は、測定対象ガスのガス成分について、他ガス濃度別かつ複数のガス温度別に設定された基準波形と、ノイズ成分を表すノイズ波形とが合成された波形であってよい。
測定対象ガスのガス成分についての基準波形は、複数濃度の他ガス濃度別、かつ、複数のガス温度別に、標準ガスを用いて測定されることによって得られてよい。
ガス吸収信号を近似するスペクトル形状関数が設定されてよい。スペクトル形状関数を二階微分して得られる波形が比較用波形として設定されてよい。受光信号処理部は、予め設定された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように比較用波形のフィッティングパラメータを決定してよい。受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前のスペクトル形状関数の波形情報を決定してよい。スペクトル形状関数の波形情報から、ガス濃度を算出してよい。
受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前のスペクトル形状関数の半値幅であるスペクトル線幅を波形情報として決定してよい。受光信号処理部は、スペクトル線幅からガス濃度を算出する。
スペクトル形状関数は、ローレンツ関数であってよい。受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前のローレンツ関数のスペクトル線幅を波形情報として決定してよい。受光信号処理部は、決定されたローレンツ関数のスペクトル線幅からガス濃度を算出してよい。
ローレンツ関数は、ガス温度をTとし、ガス圧力をpとし、スペクトル線幅をγと、波数をνとし、吸収性スペクトル中心における波数をνとしたとき、式(1)で与えられてよい。
Figure 2020052033
スペクトル線幅であるγ(p、T)は、Trefを既知の基準温度とし、γairを既知の基準圧力および基準温度における空気の既知のスペクトル線幅とし、γselfを基準圧力および基準温度における測定対象ガスの既知のスペクトル線幅とし、nを空気に対する温度依存指数としたとき、式(2)で与えられてよい。なお、nの値は、事前に実験的または計算によって算出されてデータベースに格納されていてよい。
Figure 2020052033
受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前のローレンツ関数のスペクトル線幅γ(p、T)を波形情報として決定してよい。
受光信号処理部は、決定されたγ(p、T)と、測定によって得られたガス温度Tおよびガス圧力pと、既知の基準温度Tref、既知のγair、γselfとを式(2)に適用して、測定対象ガスの分圧Pselfを演算して、分圧Pselfに対応する測定対象ガスの濃度を算出してよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の第1実施形態のレーザ式ガス分析計の構成の一例を示す。 第1実施形態のレーザ式ガス分析計による較正処理の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態のレーザ式ガス分析計によるガス測定処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態のレーザ式ガス分析計による基準波形およびノイズ波形の設定処理の一例を示すフローチャートである。 設定される基準波形のマトリックスの一例を示す。 第2実施形態のレーザ式ガス分析計によるガス測定処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態のレーザ式ガス分析計によるガス測定処理の他の例を示すフローチャートである。 ガス分析の圧力依存性の説明図であり、図8(a)は理想状態の波長−吸収線スペクトルの特性図、図8(b)は理想状態の波長−ロックイン検波波形の特性図、図8(c)は圧力変動状態の波長−吸収線スペクトルの特性図、図8(d)は圧力変動状態の波長−ロックイン検波波形の特性図である。 本発明の第3実施形態のレーザ式ガス分析計1による比較用波形を測定波形にフィティングした例を示す図である。波長変調振幅の決定方法の一例を示す説明図である。 第3実施形態のレーザ式ガス分析計による基準波形の算出処理の一例を示すフローチャートである。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
〔第1実施形態〕
図1は、発明の第1実施形態のレーザ式ガス分析計1の構成の一例を示す。本形態のレーザ式ガス分析計1は、壁50aと壁50bの内部にある測定対象空間中を通流するガスに含まれる測定対象ガスのガス濃度を測定する。また、ガス濃度が0や所定値以下であるならばガスが無いと判別できるため、ガスの有無も検出できる。
レーザ式ガス分析計1は、発光部10、受光部20、および通信線30を備えている。発光部10と受光部20との間が電気信号により通信可能となるように、通信線30が発光部10と受光部20との間に電気的に接続される。また、通信線30に代えて無線や光通信のような通信部が採用されもよい。
発光部10は、変調光生成部11、レーザ素子12、コリメートレンズ13、発光部窓板14、および発光部容器15を備える。受光部20は、受光信号処理部21、受光素子22、集光レンズ23、受光部窓板24、および受光部容器25を備える。さらに、受光部20は、記憶部26を備えてよい。
測定対象ガスを含むガスが流通する配管等の壁50a,50bにそれぞれ穴が開けられている。フランジ51a,51bは、溶接等によりそれらの穴に固定されている。光軸調整フランジ52a,52bは、これらフランジ51a,51bに対して機械的に移動可能に取り付けられる。発光部10、受光部20は光軸調整フランジ52a,52bにより位置調整することができる。したがって、光軸調整フランジ52aは、レーザ光40の出射角を調整し、また、光軸調整フランジ52bは、レーザ光40の入射角を調整する。光軸調整フランジ52a,52bにより、発光部10から出射されるレーザ光40が受光部20において最大の光量で受光される。
発光部容器15は、その内部にレーザ素子12、コリメートレンズ13、および、電気電子回路を内蔵し、それらを外気から隔絶して風雨、塵埃、および、汚れ等から保護する。受光部容器25は、その内部に受光素子22、集光レンズ23、および電気電子回路を内蔵し、それらを外気から隔絶して保護する。
発光部窓板14および受光部窓板24は、発光部容器15および受光部容器25の一部に開けられた開口部を塞ぐように設けられている。発光部窓板14および受光部窓板24は、レーザ光40の光路内にあり、レーザ光40を透過させつつ、測定対象空間におけるガスが発光部10の内部および受光部20の内部に進入しないようにする。これにより、レーザ素子、光学部品、および、電気電子回路が直接ガスに触れないことになり、発光部10の内部および受光部20の内部が保護される。
次に、発光部10および受光部20の光学的機能について説明する。測定対象ガスが吸収する特定の吸収線スペクトルの中心波長をλとする。レーザ素子12は中心波長λ及びその周辺の波長で発光する。コリメートレンズ13は中心波長λ及びその周辺の波長において透過率が高い材料で構成する。コリメートレンズ13により、レーザ光40は略平行光に変換され、拡散による損失を抑えながら受光部20まで伝送することができる。
受光素子22は、中心波長λ及びその周辺の波長において、感度を有する受光素子であってよい。集光レンズ23は、中心波長λ及びその周辺の波長において、透過率が高い材料で構成する。集光レンズ23により、レーザ光40は受光素子22に集光されるため、高い信号強度を得ることができる。
次に、発光部10および受光部20による光学系処理および信号処理について説明する。変調光生成部11は、信号処理回路および電流駆動回路として機能する。発光部10は、測定対象ガスの吸光特性に応じたレーザ光40を照射する必要がある。加えて、レーザ光40を周波数変調された変調光とする必要がある。そこで、変調光生成部11は、これらのようなレーザ光を発光するための駆動電流信号を、レーザ素子12に供給する。
レーザ素子12は、例えば、DFBレーザ(Distributed Feedback Laser Diode)、VCSELVertical Cavity Surface Emitting Laser)、または、DBRレーザダイオード(Distributed Bragg Reflector Laser Diode)である。
レーザ素子12は、駆動電流と温度により、発光波長を可変制御可能である。そこで、レーザ素子12が発光するレーザ光40の中心波長が、測定対象ガスの吸収線スペクトルの中心波長となるように温度制御されてよい。また、レーザ光40の中心波長の周辺の波長が時間的に繰り返し掃引されるように、駆動電流が制御される。さらに、波長変調分光法により高感度にて測定できるように、適切な波長変調振幅および周波数を有する正弦波が駆動電流に重畳される。
レーザ素子12の発光点は、コリメートレンズ13の焦点付近に配置されている。レーザ素子12からの出射光はコリメートレンズ13に入射する。コリメートレンズ13は、レーザ光を略平行光であるレーザ光40に変換する。本形態ではコリメートレンズ13を用いるものとして説明するが、コリメートレンズを用いる構成に限れない。例えば、コリメートレンズの代わりに放物面鏡を用いることもできる。略平行光であるレーザ光40は、発光部窓板14を透過し、壁50a,50bの内部、すなわち測定対象ガスを含むガスが流通する空間に伝播する。
受光部20は、受光部窓板24を透過したレーザ光40を受光し、測定対象ガスにより吸収された光量について分析する。レーザ光40は、集光レンズ23の焦点付近に受光面が配置された受光素子22に入射する。なお、本形態では集光レンズ23を用いているが、集光レンズ23に代えて、放物面鏡、ダブレットレンズや回折レンズなどを採用することもできる。
受光素子22は、測定対象空間中を通過したレーザ光40を受光して、受光量に応じたガス吸収信号を出力する。受光信号処理部21は、受光素子22から受信したガス吸収信号に対し、レーザ光40の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出する。特に、受光信号処理部21は、受光素子22から受信したガス吸収信号に対し、レーザ光40の波長変調の基本周波数の2倍の周波数でロックイン検出してよい。この結果、受光信号処理部21は、ロックイン検波波形を測定波形として得る。ロックイン検波波形の振幅は2f信号と称される。受光信号処理部21は、ロックイン検波波形を測定波形として処理することによってガス濃度を算出する。ロックイン検出により信号ノイズ比が向上することによって、受光信号処理部21は、微量ガスの濃度を精度よく計測することができる。
このように構成されるレーザ式ガス分析計1の基本原理は、以下のとおりである。気体状のガス分子は、それぞれ固有の光吸収波長および吸収強度を表す吸収線スペクトルを有する。また、レーザ光40は、特定の波長でスペクトル線幅が狭い光である。レーザ式ガス分析計1では、発光部10が、レーザ光40を出射する。そして、レーザ光40は壁50aと壁50bの内部の測定対象空間に投光される。このとき、レーザ光40の一部は、測定対象ガスによって吸収される。具体的には、レーザ素子12が、気体状のガス分子である測定対象ガスが吸収する光吸収波長のレーザ光40を発光し、測定対象ガスにレーザ光40を吸収させる。
吸収されなかった残りの光、すなわち透過光が、受光部20に入射する。受光部20において受光素子22は透過光の受光量に応じた信号を出力する。透過光は、ガス吸収特性を反映している。したがって、本明細書において、受光素子22が透過光の受光量に応じて出力する信号をガス吸収信号と称する。ガス吸収信号から測定対象ガスのガス濃度が求められる。
特に、波長変調分光法により検出を行う場合には、駆動電流によって波長が掃引され、かつ特定の周波数で変調したレーザ光40をレーザ素子12が出射する。そして、受光素子22は、測定対象空間中を通過したレーザ光40を受光して、受光量に応じたガス吸収信号を出力する。そして、受光信号処理部21は、ガス吸収信号に対し、レーザ光40の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出して測定波形を得る。
一般的には、レーザ式ガス分析計は、ロックイン検波波形の振幅からガス濃度を算出する。しかしながら、本実施形態のレーザ式ガス分析計1は、ロックイン検波波形の振幅の大きさのみからガス濃度を算出するのに代えて、測定波形に対して、事前に設定された比較用波形をフィッティング処理することによって、対象ガスの濃度を算出する。そのフィッティングによって得られたフィティングパラメータから、対象ガスの濃度を算出する。
測定対象空間に複数存在するガスの中から特定の測定対象ガスのみ選択して分析する必要がある。そこで、測定対象空間中の測定対象ガスおよびその他のガスの光吸収波長のうち、測定対象ガスのみ吸収するがその他のガスが吸収しない光吸収波長が選択される。この測定対象ガスの光吸収波長における吸収線スペクトルは、仮にガスの圧力が低いとスペクトル線幅の狭い理想的な吸収線スペクトルとなる。しかしながら、実際はガスの圧力が高く、圧力広がりが起きた吸収線スペクトルとなる。この圧力広がりは、ガス分子同士の衝突に起因するものであり、圧力広がりが生じた吸収線スペクトルは、スペクトル線幅が広がるとともに吸収強度が低くなる。
測定対象空間に存在する複数ガスの組成が定まっている場合には、測定対象ガスの吸光によって得られるロックイン検波波長の振幅は波長変調振幅の関数であり、極大値が存在する。したがって、標準ガスを較正する際には、ロックイン検波波形の振幅が極大となるように波長変調振幅を調節して、信号ノイズ比を最大化することができる。そして、測定対象ガスのガス濃度とロックイン検波波形の振幅の対応関係(比例関係など)に基づき、ガス濃度を演算することができる。
ところが、実際の測定対象空間には、着目している測定対象ガス以外に他のガス成分が含まれる場合がある。他のガス成分の濃度および組成が変動して、圧力広がりも変化する場合には、スペクトル線幅(半値幅)が変動し、この影響がロックイン検波波形の振幅に現れる。したがって、ロックイン検知波形の振幅のみによってガス濃度を測定する場合には、ガス濃度測定の誤差が生じ得る。このような場合に、スペクトル線幅の変動の影響を補正しなければ、ガス濃度測定が不確定となる。
そこで、本実施形態のレーザ式ガス分析計1では、ロックイン検波波形の振幅の大きさのみからガス濃度を算出することに代えて、測定波形に対して、事前に設定された比較用波形をフィッティングする。受光信号処理部21は、予め設定された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように比較用波形のフィッティングパラメータを決定する。受光信号処理部21は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出する。したがって、測定対象の特定のガス以外の他のガス成分の濃度および組成を考慮して、ガス測定が可能となる。
本実施形態においては、複数種類のガス成分に対して、それぞれ基準波形が設定される。測定対象空間に、アンモニア(NH)、水蒸気(HO)、およびその他ガスが存在している場合を例にとると、アンモニア(NH)に対して、基準波形INH3(T,λ)が設定され、水蒸気(HO)に対して、基準波形IH2O(T,λ)が設定される。その他のガスに対しても基準波形(T、λ)が設定されてよい。ここで、Tはガス温度を意味し、λは、光波長を意味する。但し、ガスの種類は、アンモニアおよび水蒸気の場合に限定されない。
複数種類のガス成分のうち、一部が測定対象ガスであり、その他が非測定対象ガスであってよい。具体的には、アンモニア(NH)、水蒸気(HO)、およびその他ガスが、測定対象ガスであってよい。あるいは、アンモニア(NH)が測定対象ガスである一方、水蒸気(HO)、およびその他ガスは測定対象のガスでなくてもよい。
記憶部26は、予め複数のガス成分に対する基準波形INH3(T,λ)、IH2O(T,λ)をデータベースとして記憶してよい。ガス成分毎基準波形は、複数のガス温度別に設定されてよい。上記の例では、各基準波形複数のガス温度において、それぞれ複数のガス成分に対する基準波形INH3(T,λ)およびIH2O(T,λ)が予め設定されてよい。
各ガス成分の基準波形は、それぞれの標準ガスを用いて測定されることによって得られてよい。標準ガスは、分析機器の較正、分析方法の評価など、化学計測における測定値を決定するために必要な正確に値付けされた認証標準物質であってよい。各ガス成分の基準波形は、それぞれの標準ガスを用いて測定されたロックイン検波波形であってよい。各ガス成分の基準波形は、複数のガス温度別に、それぞれの標準ガスを用いて測定されることによって得られてよい。レーザ式ガス分析計1は、ガス温度を変化させながら、複数の標準ガスに対して測定し、それぞれのロックイン検波波形の測定結果を基準波形INH3(T,λ)、IH2O(T,λ)として格納してよい。
バックグラウンドのノイズ成分を表すノイズ波形が事前に設定されよい。一例において、バックグラウンドのノイズ波形がn次の多項式にて設定される。n次の多項式は、Inoise(λ)=A+Aλ+Aλ・・・+Aλで定義されてよい。ここで、A・・・Aはノイズ多項式の係数であり、λは光波長である。nは1以上の整数である。ノイズ多項式の係数は、測定対象ガスおよびその他のガスが存在しない状態での測定結果に基づいて決定されてよい。一例において、測定対象ガスおよびその他のガスが存在しない状態での測定結果に対して、最小二乗法によるカーブフィッティングによって多項式の係数A、A、A・・・Aが算出されてもよい。
受光信号処理部21は、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を作成してよい。特に、受光信号処理部21は、複数のガス温度(ガス温度)別に、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を作成してよい。合成波形は、ノイズ成分を表すノイズ波形についても合成されてよい。合成波形は、CNH3・INH3(T,λ)+CH2O・IH2O(T,λ)・・・Inoise(λ)という式で表現できる。CNH3およびCH2Oは、それぞれ重み付け係数である。各重み付け係数は、濃度係数とも呼ばれ、各ガス成分の濃度に対応する。
受光信号処理部21は、合成波形を比較用波形として用いて、合成波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、重み付け係数を決定してよい。好ましくは、合成波形と測定波形との間の誤差が最小となるように、重み付け係数を決定してよい。重み付け係数の決定には、例えば最小二乗法が用いられる。しかしながら、重み付け係数の決定には、カーブフィッティングで用いられる種々の手法を用いてよい。一例において、受光信号処理部21は、誤差が予め定められた閾値以下になった場合に、誤差が小さくなったと判断する。受光信号処理部21における較正処理およびガス測定処理について、フローチャートを用いて説明する。
図2は、第1実施形態のレーザ式ガス分析計1による較正処理を示すフローチャートである。本例における較正処理は、複数種類のガス成分に対する基準波形、およびノイズ波形の設定処理に対応する。複数種類のガス成分に対して、それぞれ基準波形が設定される(ステップS1)。各ガス成分の基準波形INH3(T,λ)、IH2O(T,λ)は、複数のガス温度別に、それぞれの標準ガスを用いて、ガス吸収信号からロックイン検波波形を測定することで得られてよい。記憶部26は、各ガス成分の基準波形INH3(T,λ)、IH2O(T,λ)をデータベースとして格納してよい。
ノイズ成分を表すノイズ波形が設定される(ステップS2)。ノイズ成分は、ノイズ成分Inoise(λ)=A+Aλ+Aλ・・・+Aλ(ここで、A0・・・Anはノイズ多項式の係数であり、λは光波長である。nは1以上の整数である)として定義されてよい。ノイズ多項式の係数A0・・・Anは、測定対象ガスおよびその他のガスが存在しない状態での測定結果に基づいて決定されてよい。以上の較正処理(ステップS1およびステップS2)は、ガス測定に先立って実行される。
図3は、第1実施形態のレーザ式ガス分析計1によるガス測定処理の一例を示すフローチャートである。受光信号処理部21は、ガス吸収信号に基づいて、測定波形fexp(λ)を取得する(ステップS101)。ガス吸収信号は、測定対象空間中を通過したレーザ光40の受光量に応じて受光素子22が出力する信号である。測定波形fexp(λ)は、ガス吸収信号をレーザ光40の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出するロックイン検波波形であってよい。特に、測定波形fexp(λ)は、ガス吸収信号に対し、レーザ光40における変調周波数の2倍の周波数でロックイン検出して得られるロックイン検波波形であってよい。
受光信号処理部21は、推定ガス温度Tを初期値に設定する(ステップS102)。例えば、受光信号処理部21は、複数の推定ガス温度T1、T2、T3・・・TN(N1以上の整数)のうち、最も低い温度T1を初期値として設定してよい。但し、これと異なり、最も高い温度を初期値として設定してよい。受光信号処理部21は、推定ガス温度T1においてガス成分毎に設定されている基準波形INH3(T1,λ)、IH2O(T1,λ)をデータベースから読み出す(ステップS103)。データベースは、記憶部26に設けられていてもよく、外部の記憶装置に設けられていてもよい。
受光信号処理部21は、ステップS103で読み出されたガス成分毎の基準波形INH3(T,λ)、IH2O(T,λ)を重み付けしつつ合成して合成波形を比較用波形として設定する(ステップS104)。合成波形には、さらに、ノイズ成分を表すノイズ波形Inoise(λ)が合成されていてよい。この場合、合成波形は、CNH3・INH3(T,λ)+CH2O・IH2O(T,λ)+・・・+Inoise(λ)という式で表されてよい。CNH3およびCH2Oは、それぞれ重み付け係数である。但し、ノイズ成分が問題とならない場合等には、ノイズ波形Inoise(λ)が省略されてよい。
受光信号処理部21は、比較用波形である合成波形と、取得された測定波形fexp(λ)と比較する(ステップS104)。受光信号処理部21は、合成波形を比較用波形として用いて、合成波形と測定波形fexp(λ)との間の誤差ERが小さくなるように、重み付け係数CNH3、CH2Oを決定してよい(ステップS104)。換言すれば、受光信号処理部21は、実験的に得られた測定波形fexp(λ)に最もよくあてはまる比較用波形を決定するためにフィッティング処理を実行する。例えば、受光信号処理部は、ER(T)=Σ(fexp(λ)−(CNH3・INH3(T,λ)+CH2O・IH2O(T,λ)+・・・+Inoise(λ))が最小となるように、重み付け係数CNH3、CH2Oを決定する。重み付け係数の決定には、例えば最小二乗法が用いられる。
次いで、受光信号処理部21は、推定ガス温度を変更した場合において、誤差ER(T)が最小値であるかを判断する(ステップS105)。例えば、推定ガス温度を徐々に上昇または下降させる場合、誤差ER(T)は推定ガス温度に応じて変化して極小値を示す。受光信号処理部21は、誤差ER(T)の極小値を最小値と判断してよい。
一例において、ステップS103からステップS105の処理ループにおいて、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1)に比べて、今回の推定ガス温度Tの場合の誤差ER(T)が大きくなっていれば、受光信号処理部21は、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1)が最小値(ステップS105:YES)であると判断してよい。一方、今回の推定ガス温度Tの場合の誤差ER(T)が、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1)以下の場合には、受光信号処理部21は、誤差ERの最小値が得られていない(ステップS105:NO)と判断してよい。
推定ガス温度に関して、誤差ERの最小値が得られていない場合には(ステップS105:NO)、受光信号処理部21は、推定ガス温度を変更する(ステップS106)。受光信号処理部21は、初期値から順々に上昇させるように推定ガス温度を変更してもよく、初期値から順々に下降させるように推定ガス温度を変更してもよい。処理は、ステップS103に戻る。受光信号処理部21は、推定ガス温度を変更した場合における誤差ERの最小値が得られるまで(ステップS105:YES)、ステップS103からステップS105の処理を繰り返してよい。
但し、ガス温度に関して最小値となる誤差ER(T)を算出する処理は、ステップS102からステップS105の場合に限られない。ノイズの影響等を考えて、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1)に比べて、複数回にわたって誤差ER(T)、誤差ER(TN+1)・・が上回った場合に、誤差ER(TN−1)が最小値となると判断してもよい。また、予め設定されている推定ガス温度T1、T2、・・TNの全てについて誤差ER(T)を演算した上で、最小となる誤差ER(T)を算出してもよい。
受光信号処理部21は、複数のガス温度において重み付け係数が決定された場合において、誤差が最小となるガス温度を算出する(ステップS107)。受光信号処理部21は、誤差が最小となるガス温度において決定された重み付け係数CNH3、CH2Oに基づいて、対象ガスの濃度を算出する。各ガス成分の重み付け係数は、各ガス成分の濃度に対応する。一例において、受光信号処理部21は、変換式またはテーブルを用いて、各ガス成分の重み付け係数を、各ガス成分の濃度に変換してよい。変換式またはテーブルは、記憶部26に予め記憶されていてよい。
本実施形態のレーザ式ガス分析計1によれば、測定対象空間内に含まれる複数種類のガスの組成や濃度の変動による影響を低減しつつ、ガス濃度の測定精度を高めることができる。測定対象空間内に複数種類の測定対象ガスが存在する場合においても、ガス濃度の測定精度を高めることができる。測定対象空間内に測定対象ガス以外の雑ガスが存在する場合であっても、雑ガスの組成や濃度の変動による影響を低減することができる。
特に、ロックイン検波波形に対して基準パターンをフィッティングした上で、単にピークの高さからガス濃度を測定する場合と異なり、重み付け係数を用いて、各ガス濃度を推定するので、複数種類のガス濃度を考慮して、ガス濃度の測定精度を高めることができる。また複数種類のガス濃度のそれぞれのガス濃度や有無をある程度、推定することができる。
また、ガス温度別にガス成分毎の基準波形が設定されており、複数のガス温度において重み付け係数が決定された場合において、誤差が最小となるガス温度を算出することで、ガス濃度のみならず、ガス温度についても推定することができる。誤差が最小となるガス温度において決定された重み付け係数に基づいて、対象ガスの濃度を算出することができるので、ガス温度についても考慮した高感度、高精度な高濃度ガスの測定が可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態のレーザ式ガス分析計1について説明する。第2実施形態のレーザ式ガス分析計1の構造は、図1に示された第1実施形態のレーザ式ガス分析計1の構造と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
図4は、第2実施形態のレーザ式ガス分析計1による基準波形およびノイズ波形の設定処理の一例を示すフローチャートである。本例における処理は、レーザ式ガス分析計1の較正処理であってよい。
着目する測定対象ガスに対して、他ガス濃度Nとガス温度Tとをパラメータとした基準波形が設定される(ステップS11)。他ガス濃度は、測定対象空間において測定対象ガスと共存する他の成分のガス濃度である。複数種類のガス成分のうち、一部が測定対象ガスであり、その他が他ガスであってよい。具体的には、測定対象ガスは、アンモニア(NH)または塩化水素等であってよい。他ガスは、水蒸気(HO)であってよい。但し、測定対象ガスおよび他ガスは、これらの場合に限定されない。
測定対象ガスのガス成分についての基準波形fij(T,N,λ)は、複数濃度の他ガス濃度(N)別、かつ複数のガス温度(T)別に、測定対象ガスに対応する標準ガスを用いて測定されることによって得られる。なお、他ガスに対応する標準ガスを予め定められた割合で混合して目的とする他ガス濃度を実現してもよい。測定対象ガスの基準波形fij(T,N,λ)は、測定対象ガスに対応する標準ガスを用いて測定されたロックイン検波波形であってよい。
レーザ式ガス分析計1は、ガス温度および他ガス濃度を変化させながら、測定対象ガスに対応する標準ガスを測定し、そのロックイン検波波形の測定結果を基準波形fij(T,N,λ)として記憶部26に格納してよい。この結果、記憶部26は、ガス温度T、共存する他ガス濃度N、および光波長λの関数として、測定対象ガスの基準波形fij(T,N,λ)をデータベースとして記憶する。このように、測定対象ガスの基準波形fij(T,N,λ)は、複数濃度の他ガス濃度(N)別、かつ複数のガス温度(T)別に設定されてよい。
図5は、設定される基準波形のマトリックスの一例を示す。図5に示される例では、基準波形fij(T,N,λ)は、ガス温度について、TからTのi個の条件で基準波形を計測し、他ガス濃度について、NからNのj個の条件で基準波形を計測してよい。この場合i×j個の基準波形fij(T,N,λ)が設定される。
次に、図4のステップS12において、ノイズ成分を表すノイズ波形が設定される。ノイズ成分は、ノイズ成分Inoise(λ)=A+Aλ+Aλ・・・+Aλ(ここで、A0・・・Anはノイズ多項式の係数であり、λは光波長である。nは1以上の整数である)として定義されてよい。ノイズ多項式の係数A0・・・Anは、測定対象ガスおよびその他のガスが存在しない状態での測定結果に基づいて決定されてよい。以上の較正処理(ステップS1およびステップS2)は、ガス測定に先立って実行される。
図6は、第2実施形態のレーザ式ガス分析計1によるガス測定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS151は、図3のステップS101と同様の処理などで説明を省略する。
受光信号処理部21は、推定ガス温度Tおよび推定他ガス濃度Nを初期値に設定する(ステップS152)。例えば、受光信号処理部21は、複数の推定ガス温度T、T、T・・・T(iは、2以上の整数)のうち、最も低い温度Tを初期値として設定してよい。但し、これと異なり、最も高い温度を初期値として設定してよい。受光信号処理部21は、複数の推定他ガス濃度N、N、N・・・Nは、2以上の整数)のうち、最も低い濃度Nを初期値として設定してよい。但し、これと異なり、最も高い他ガス濃度Nを初期値として設定してよい。
受光信号処理部21は、推定ガス温度T1および推定他ガス濃度Nにおいて、測定対象ガスに対する基準波形fij(T,N,λ)をデータベースから読み出す(ステップS153)。データベースは、記憶部26に設けられていてもよく、外部の記憶装置に設けられていてもよい。
受光信号処理部21は、ステップS153で読み出された測定対象ガスに対する基準波形fij(T,N,λ)に係数Cを乗じる。さらに、ノイズ成分を表すノイズ波形Inoise(λ)が合成されて比較用波形が作成されてよい。この場合、比較用波形は、C・fij(T,N,λ)+Inoise(λ)という式で表されてよい。但し、ノイズ成分が問題とならない場合等には、ノイズ波形Inoise(λ)が省略されてよい。
受光信号処理部21は、比較用波形と、取得された測定波形fexp(λ)と比較する(ステップS154)。受光信号処理部21は、比較用波形と測定波形fexp(λ)との間の誤差ERが小さくなるように、係数Cを決定してよい(ステップS154)。換言すれば、受光信号処理部21は、実験的に得られた測定波形fexp(λ)に最もよくあてはまる比較用波形を決定するためにフィッティング処理を実行する。例えば、受光信号処理部は、ER(T、N)=Σ(fexp(λ)−(C・fij(T,N,λ)+Inoise(λ))が最小となるように、係数Cを決定する。重み付け係数の決定には、例えば最小二乗法が用いられる。
次いで、受光信号処理部21は、推定ガス温度および推定他ガス濃度を変更した場合において、誤差ER(T、N)が最小値であるかを判断する(ステップS155)。例えば、推定ガス温度を徐々に上昇または下降させる場合、誤差ER(T、N)は推定ガス温度に応じて変化して極小値を示す。推定他ガス濃度Nを徐々に上昇または低下させる場合、誤差ER(T、N)は推定他ガス濃度に応じて変化して極小値を示す。受光信号処理部21は、誤差ER(T、N)の極小値を最小値と判断してよい。
一例において、ステップS153からステップS155の処理ループにおいて、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1、N)に比べて、今回の推定ガス温度Tの場合の誤差ER(T、N)が大きくなっていれば、受光信号処理部21は、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1、N)が、温度Tを変数とした場合における最小値であると判断してよい。同様に、直前の推定他ガス濃度NM−1の場合の誤差ER(NM−1)に比べて、今回の推定他ガス濃度Nの場合の誤差ER(N)が大きくなっていれば、受光信号処理部21は、直前の推定他ガス濃度NM−1の場合の誤差ER(NM−1)が、他ガス濃度Nを変数とした場合における最小値であると判断してよい。したがって、ガス温度Tと他ガス濃度Nとを変化させた場合において、ガス温度がTN−1であり、他ガス濃度がNM−1であるときの誤差ER(TN−1、NM−1)が最小値であると判断してもい。
推定ガス温度および推定他ガス濃度に関して、誤差ERの最小値が得られていない場合には(ステップS155:NO)、受光信号処理部21は、推定ガス温度および推定他ガス濃度を変更する(ステップS156)。受光信号処理部21は、初期値から順々に上昇または下降させるように推定ガス温度を変更した後に、初期値から順々に上昇または下降させるように推定他ガス濃度を変更していってもよい。推定ガス濃度および推定他ガス濃度は、図4のステップS11の処理において作成したデータベースに格納された基準波形の測定範囲内において仮定される。
処理は、ステップS153に戻る。受光信号処理部21は、推定ガス温度および推定ガス濃度を変更した場合における誤差ERの最小値が得られるまで(ステップS155:YES)、ステップS153からステップS155の処理を繰り返してよい。
但し、ガス温度に関して最小値となる誤差ER(T、N)を算出する処理は、ステップS152からステップS155の場合に限られない。ノイズの影響等を考えて、直前の推定ガス温度TN−1の場合の誤差ER(TN−1)に比べて、複数回にわたって誤差ERが上回った場合、および、直前の推定他ガス濃度NM−1の場合の誤差ER(NM−1)に比べて、複数回にわたって誤差ERが上回った場合に、誤差ER(TN−1)が最小値となると判断してもよい。また、予め設定されている推定ガス温度T1、T2、・・Tiの条件、および推定他ガス濃度N1、N2、・・・Njの条件のすべてについて誤差ER(T、N)を演算した上で、最小となる誤差ER(T、N)を算出してもよい。
受光信号処理部21は、複数の比較用波形の中から、誤差ER(T、N)が最小となる特定の推定ガス温度および特定の推定他ガス濃度に対応する比較用波形を選択する。受光信号処理部21は、選択された比較用波形において誤差ER(T、N)が最小となる係数Cが決定される。受光信号処理部21は、選択された比較用波形において誤差ER(T、N)が最小となる係数Cに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出する。測定対象ガスの係数Cは、測定対象ガスの濃度に対応する。一例において、受光信号処理部21は、変換式またはテーブルを用いて、係数Cを、測定対象ガス成分の濃度に変換してよい。変換式またはテーブルは、記憶部26に予め記憶されていてよい。
本実施形態のレーザ式ガス分析計1によれば、測定対象空間内に含まれる他ガスの濃度およびガス温度の変動による影響を低減しつつ、ガス濃度の測定精度を高めることができる。
特に、ロックイン検波波形に対して、他ガス濃度およびガス温度を考慮した比較用波形をフィッティングするので、ガス濃度の測定精度を高めることができる。また、ガス濃度のみならず、ガス温度についても推定することができる。
図6に示される処理においては、他ガス濃度別、かつガス温度別に複数の比較用波形が設定されている場合を説明したが、本実施形態のレーザ式ガス分析計1は、この場合に限られない。
図7は、第2実施形態のレーザ式ガス分析計によるガス測定処理の他の例を示すフローチャートである。本例では、測定対象ガスのガス成分について、測定対象空間に共存する他ガス濃度別に複数の比較用波形が設定されている。ステップS151は、図3のステップS101と同様の処理などで説明を省略する。受光信号処理部21は、複数の比較用波形のうちから測定波形との間の誤差が小さくなる特定の他ガス濃度に対応する比較用波形を選択する(ステップS172からステップS177)。受光信号処理部21は、選択された比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、選択された比較用波形のフィッティングパラメータである係数Cを決定する(ステップS172からステップS177)。受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、測定対象ガスの濃度を算出する。ガス温度が一定の場合等においては、図7のような処理を実行するレーザ式ガス分析計1によっても、測定対象空間内に含まれる他ガスの濃度の変動による影響を低減しつつ、ガス濃度の測定精度を高めることができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態のレーザ式ガス分析計1について説明する。第3実施形態のレーザ式ガス分析計1の構造は、図1に示された第1実施形態のレーザ式ガス分析計1の構造と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
次に、特定のガスの吸収線スペクトルの形状とロックイン検波波形、およびそれらの濃度変化あるいは圧力変化による波形変化について図8を用いて説明する。図8(a)は、理想状態の吸収線スペクトルを示しており、横軸は波長を、縦軸は吸収強度を示している。図8(a)の破線は、測定対象ガスのガス濃度がcのときにピークの高さがAを示す吸収線スペクトルを示し、また、図8(a)の実線は、測定対象ガスのガス濃度が0.5cのときにピークの高さが0.5Aを示す吸収線スペクトルを示している。ただし、吸収が線形である、すなわち、吸収が飽和しておらず、ランベルト−ベールの法則が1次近似で表現できる条件を前提としている。以下も同様である。
これらのような吸収線スペクトルは、一般的に、圧力広がりなどの効果によりスペクトル線幅)が広がっている。その関数形は、圧力広がりが支配的である場合はローレンツ関数でよく近似される。
図8(b)は、図8(a)で表された吸収線スペクトルを波長変調の周波数の2倍の周波数でロックイン検出した際のロックイン検波波形信号を示しており、横軸は波長を、縦軸はロックイン検波波形の信号レベルを示している。ロックイン検波波形は吸収線スペクトルの2階微分で近似される形状をしている。
図8(b)の破線で示すように、測定対象ガスのガス濃度がcのときのピークの高さをA2fとすると、図8(b)の実線で示すように、ガス濃度が0.5cのときにはピークの高さは0.5A2fとなり、その振幅はガス濃度に比例する。このことから、測定対象ガス以外の他のガスによる圧力広がりの変化が無ければ、ロックイン検波波形の振幅からガス濃度が演算できることが分かる。
続いて、測定対象空間内において、測定対象ガスの濃度は一定であるが、他のガスの濃度または圧力が変化するような実際の測定状態でガス分析を行ったときの測定対象ガスの吸収線スペクトルの形状とロックイン検波波形について説明する。
図8(c)は、図8(a)の理想状態と異なり、実際の測定状態の吸収線スペクトルを示している。図8(c)の横軸は波長を、縦軸は吸収強度を示している。図8(c)の破線は、測定対象ガスのガス濃度がcでスペクトル線幅がγのときにピークの高さがAを示す吸収線スペクトルを示す。図8(c)の実線は、測定対象ガスのガス濃度が同じくcでスペクトル線幅が2γのときにピークの高さが0.5Aを示す吸収線スペクトルを示す。
スペクトル線幅は、測定対象ガスの濃度及びそれ以外のガスのガス濃度と、それぞれの圧力広がり係数の線形和によって決まる。吸収線スペクトルの関数形はローレンツ関数のまま、線幅とピーク高さが変化するものと近似できる。図8(c)の場合は、濃度が同じでも、スペクトル線幅が倍(γから2γへ)になると、ピーク高さが半分(Aから0.5Aへ)になることを示している。
図8(d)は、図8(c)で表された吸収線スペクトルを波長変調の周波数の2倍の周波数でロックイン検出した際のロックイン検波波形信号を示しており、横軸は波長を、縦軸はロックイン検波波形の信号レベルを示している。
図8(d)の破線で示すように、吸収線スペクトルを波長変調の周波数でロックイン検出した波形であり、測定対象ガスのガス濃度がcでスペクトル線幅がγのときのピークの高さをA2fとすると、図8(d)の実線で示すように、吸収線スペクトルを波長変調の周波数でロックイン検出した波形を測定対象ガスのガス濃度がcでスペクトル線幅が2γのときのピークの高さはaA2fとなり、検波波形の高さの変化は僅かであり、かつ検波線幅の変化はほとんど見られない。
つまり、線幅が2倍になった場合に、ロックイン検波波形の振幅が非線形にふるまうことを示している。また、その結果、測定対象ガスのガス濃度が変動し、かつ他ガスの濃度も変動するような測定状態では、測定対象ガスにおいては、いずれのガスのガス濃度が変動したかを分離できないため、ロックイン検波波形の振幅変化の原因が特定できず、ガス濃度測定に誤差を生じることとなる。
レーザ式ガス分析計1は、図8に示されるような測定波形のスペクトル線幅の変動によるガス濃度測定の誤差を低減する。レーザ式ガス分析計1は、受光信号処理部21の処理内容が第1実施形態の場合と異なる。
受光信号処理部21が、ガス吸収信号を変調周波数の逓倍でロックイン検出する。この結果、受光信号処理部21は、ロックイン検波波形を取得する。
本例では、ガス吸収信号をスペクトル形状関数で近似する。スペクトル形状関数として、ローレンツ関数を用いることができる。ローレンツ関数は、ローレンツ型と呼ばれる曲線で表される。ローレンツ関数を式(1)に示す。Tは温度、pは圧力、γはスペクトル線幅(半値幅)、νは波数(2π/λ)、νは、吸収線スペクトル中心における波数である。
Figure 2020052033
ロックイン検波波形は、ガス吸収信号を2階微分した形状で近似できる。したがって、ローレンツ関数f(ν、T、p)を二階微分した関数を比較用波形として用いることができる。
また、スペクトル線幅γ(p、T)は、以下の式(2)により与えられる。Trefは基準温度、γairは基準圧力および基準温度における空気のスペクトル線幅、γselfは基準圧力および基準温度における対象ガスのスペクトル線幅である。nは空気に対する温度依存指数としたとき、式(2)で与えられてよい。なお、nの値は、事前に実験的または計算によって事前に算出されてデータベースに格納されていてよい。
Figure 2020052033
スペクトル形状関数f(ν,T,p)をガス吸収信号のモデルとし、これを二階微分した関数を比較用波形とする。本実施形態では、スペクトル形状関数f(ν,T,p)は、ローレンツ関数である。ローレンツ関数は、上述した式(1)で与えられる。
図9は、本発明の第3実施形態のレーザ式ガス分析計1による比較用波形を測定波形にフィティングした例を示す図である。図9において、点線はロックイン検波波形を示す。実線は、誤差ERが最小となるにフィッティングされた比較用波形f´´を示す。
図10は、第3実施形態のレーザ式ガス分析計による基準波形の算出処理の一例を示すフローチャートである。ステップS201は、第1実施形態の図3のステップS101と同様である。受光信号処理部21は、ガス吸収信号に基づいて、測定波形を取得する(ステップS201)。
受光信号処理部21は、ガス吸収信号を近似するモデルであるスペクトル形状関数を設定し、さらに、スペクトル形状関数を二階微分した波形を比較用波形として設定する(ステップS202)。具体的には、受光信号処理部21は、スペクトル形状関数として、上記の式(1)で与えられるローレンツ関数を用いる。受光信号処理部21は、ローレンツ関数を二階微分した波形を比較用波形に設定する。
受光信号処理部21は、比較用波形と測定波形との間の誤差が小さくなるように、比較用波形のフィッティングパラメータを決定する(ステップS203)。受光信号処理部21は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、スペクトル形状関数のスペクトル線幅(半値幅)を決定する(ステップS204)。スペクトル形状関数のスペクトル線幅(半値幅)は、二階微分する前のスペクトル形状関数の波形情報の一例である。
具体的には、レーザ式ガス分析計1は、上記の式(1)で与えられるスペクトル形状関数fを二階微分した関数f´´を比較用波形として用いる。そして、比較用波形f´´と測定波形fexpとの誤差ERが小さくなるように、スペクトル形状関数fの吸収線スペクトル中心における波数νおよびスペクトル線幅(半値幅)を決定する。好ましくは、比較用波形f´´と測定波形fexpとの誤差ERが最小となるように、スペクトル形状関数fの吸収線スペクトル中心における波数ν0、およびスペクトル形状関数fのスペクトル線幅(半値幅)γを決定する。スペクトル形状関数fがローレンツ関数である場合、受光信号処理部21は、ローレンツ関数のスペクトル線幅(半値幅)γを決定する。
受光信号処理部21は、決定されたスペクトル線幅(半値幅)から、対象ガス濃度を算出する(ステップS205)。一例において、受光信号処理部21は、決定されたスペクトル形状関数のスペクトル線幅(半値幅)γ(p、T)の値と、測定によって得られたガス温度Tおよびガス圧力pと、既知の基準温度Tref、既知のγair、γselfとを上記式(2)に適用して、測定対象ガスの分圧Pselfを演算する。受光信号処理部21は、さらに、分圧Pselfに対応する対象ガスの濃度を算出する。一例において、受光信号処理部21は、変換式またはテーブルを用いて、分圧Pselfを対象ガスの濃度に変換してよい。変換式またはテーブルは、記憶部26に予め記憶されていてよい。
以上のように、本実施形態によれば、フィッティングにおいては、スペクトル形状関数fを二階微分した比較用波形f´´を用いる一方、特定のガス濃度の算出においては、微分していない状態のスペクトル形状関数fにおける波形情報、例えば、スペクトル線幅(半値幅)を用いる。本例によっても、測定対象ガスに含まれる特定のガス濃度を、高精度、高安定に測定することができる。
以上のように本発明の第1実施形態および第3実施形態のレーザ式ガス分析計1について説明したが、一つのレーザ式ガス分析機1が第1実施形態および第3実施形態のそれぞれの機能を有してよい。例えば、第1実施形態の受光信号処理部21によって誤差ERが最小となるように決定されたガス温度Tを、第3実施形態の式(2)におけるガス温度Tとして用いてもよい。
本発明のレーザ式ガス分析計は、ボイラ、ゴミ焼却等の燃焼排ガス測定用、燃焼制御用として最適である。その他、鉄鋼用ガス分析[高炉、転炉、熱処理炉、焼結(ペレット設備)、コークス炉]、青果貯蔵および熟成、生化学(微生物)[発酵]、大気汚染[焼却炉、排煙脱硫・脱硝]、自動車・船等の内燃機関の排ガス(除テスタ)、防災[爆発性ガス検知、有毒ガス検知、新建築材燃焼ガス分析]、植物育成用、化学用分析[石油精製プラント、石油化学プラント、ガス発生プラント]、環境用[着地濃度、トンネル内濃度、駐車場、ビル管理]、理化学各種実験用などの分析計としても有用である。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
1・・レーザ式ガス分析計、10・・発光部、11・・変調光生成部、12・・レーザ素子、13・・コリメートレンズ、14・・発光部窓板、15・・発光部容器、20・・受光部、21・・受光信号処理部、22・・受光素子、23・・集光レンズ、24・・受光部窓板、25・・受光部容器、26・・記憶部、30・・通信線、40・・レーザ光、50・・壁、51・・フランジ、52・・光軸調整フランジ

Claims (17)

  1. 波長変調分光法により、測定対象空間に存在する測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
    前記測定対象ガスの特定の吸収線スペクトルを含む波長帯域のレーザ光を出射するレーザ素子と、
    前記測定対象ガスの特定の吸収線スペクトルを含む波長帯域で波長が繰り返し掃引され、かつ波長が変調されるように駆動電流を前記レーザ素子に供給する変調光生成部と、
    を有する発光部と、
    測定対象空間を通過した前記レーザ光を検出する受光素子と、
    前記受光素子から受信したガス吸収信号に対し、前記レーザ光の波長変調の基本周波数または高調波周波数でロックイン検出して得た測定波形に基づいてガス分析を行う受光信号処理部と、
    を有する受光部と、
    を備え、
    前記受光信号処理部は、
    予め設定された比較用波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように前記比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、前記測定対象ガスの濃度を算出する
    レーザ式ガス分析計。
  2. 前記受光信号処理部は、前記ガス吸収信号に対し、前記レーザ光の波長変調の基本周波数の2倍の周波数でロックイン検出することによって、前記測定波形を得る
    請求項1に記載のレーザ式ガス分析計。
  3. 複数種類のガス成分について、それぞれ基準波形が設定されており、
    前記受光信号処理部は、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を前記比較用波形として、前記合成波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように、重み付け係数を決定し、決定された重み付け係数に基づいて、前記測定対象ガスの濃度を算出する
    請求項1または2に記載のレーザ式ガス分析計。
  4. 各ガス成分の基準波形は、それぞれの標準ガスを用いて測定されることによって得られる
    請求項3に記載のレーザ式ガス分析計。
  5. 前記合成波形は、ノイズ成分を表すノイズ波形についても合成されている
    請求項3または4に記載のレーザ式ガス分析計。
  6. 前記ガス成分毎の基準波形は、複数のガス温度別に設定されており、
    前記受光信号処理部は、前記複数のガス温度別に、ガス成分毎の基準波形を重み付けして合成した合成波形を前記比較用波形として、前記合成波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように、重み付け係数を決定し、
    前記受光信号処理部は、複数のガス温度において前記重み付け係数が決定された場合において、前記誤差が最小となるガス温度を算出し、
    前記受光信号処理部は、前記誤差が最小となるガス温度において決定された前記重み付け係数に基づいて、前記測定対象ガスの濃度を算出する
    請求項3から5のいずれか一項に記載のレーザ式ガス分析計。
  7. 各ガス成分の基準波形は、前記複数のガス温度別に、それぞれの標準ガスを用いて測定されることによって得られる
    請求項6に記載のレーザ式ガス分析計。
  8. 前記測定対象ガスのガス成分について、測定対象空間に共存する他ガス濃度別に複数の比較用波形が設定されており、
    前記受光信号処理部は、前記複数の比較用波形のうちから前記測定波形との間の誤差が小さくなる特定の他ガス濃度に対応する比較用波形を選択するとともに、選択された比較用波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように、選択された比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、
    前記受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、前記測定対象ガスの濃度を算出する
    請求項3から5のいずれか一項に記載のレーザ式ガス分析計。
  9. 前記測定対象ガスのガス成分について、測定対象空間に共存する他ガス濃度別、かつ、複数のガス温度別に複数の比較用波形が設定されており、
    前記受光信号処理部は、前記複数の比較用波形のうちから前記測定波形との間の誤差が小さくなる特定の他ガス濃度かつ特定のガス温度に対応する比較用波形を選択するとともに、選択された比較用波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように、選択された比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、
    前記受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、前記測定対象ガスの濃度を算出する
    請求項3から5のいずれか一項に記載のレーザ式ガス分析計。
  10. 前記受光信号処理部は、前記複数の比較用波形のうちから前記誤差が最小となる特定の他ガス濃度かつ特定のガス温度に対応する比較用波形を選択する、
    請求項9に記載のレーザ式ガス分析計。
  11. 前記受光信号処理部は、選択された前記比較用波形に基づいて、前記ガス温度を特定する、
    請求項9または10に記載のレーザ式ガス分析計。
  12. 前記他ガス濃度別かつ前記複数のガス温度別に設定された複数の比較用波形は、前記測定対象ガスのガス成分について、前記他ガス濃度別かつ前記複数のガス温度別に設定された基準波形と、ノイズ成分を表すノイズ波形とが合成された波形である
    請求項9から11の何れか一項に記載のレーザ式ガス分析計。
  13. 前記測定対象ガスのガス成分についての前記基準波形は、複数濃度の前記他ガス濃度別、かつ、前記複数のガス温度別に、標準ガスを用いて測定されることによって得られる
    請求項9から12の何れか一項に記載のレーザ式ガス分析計。
  14. 前記ガス吸収信号を近似するスペクトル形状関数が設定され、
    前記スペクトル形状関数を二階微分して得られる波形が前記比較用波形として設定されており、
    前記受光信号処理部は、予め設定された比較用波形と前記測定波形との間の誤差が小さくなるように前記比較用波形のフィッティングパラメータを決定し、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前の前記スペクトル形状関数の波形情報を決定し、前記スペクトル形状関数の波形情報から、ガス濃度を算出する、
    請求項2に記載のレーザ式ガス分析計。
  15. 前記受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前の前記スペクトル形状関数の半値幅であるスペクトル線幅を前記波形情報として決定し、前記スペクトル線幅からガス濃度を算出する、
    請求項14に記載のレーザ式ガス分析計。
  16. 前記スペクトル形状関数は、ローレンツ関数であり、
    前記受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前の前記ローレンツ関数のスペクトル線幅を前記波形情報として決定し、決定された前記ローレンツ関数のスペクトル線幅からガス濃度を算出する
    請求項15に記載のレーザ式ガス分析計。
  17. 前記ローレンツ関数は、ガス温度をTとし、ガス圧力をpとし、スペクトル線幅をγと、波数をνとし、吸収性スペクトル中心における波数をνとしたとき、式(1)で与えられており、
    Figure 2020052033
    前記スペクトル線幅であるγ(p、T)は、Trefを既知の基準温度とし、γairを既知の基準圧力および前記基準温度における空気の既知のスペクトル線幅とし、γselfを前記基準圧力および前記基準温度における測定対象ガスの既知のスペクトル線幅とし、nを空気に対する温度依存指数としたとき、式(2)で与えられており、
    Figure 2020052033
    前記受光信号処理部は、決定されたフィッティングパラメータに基づいて、二階微分する前の前記ローレンツ関数のスペクトル線幅γ(p、T)を前記波形情報として決定し、
    前記受光信号処理部は、決定されたγ(p、T)と、測定によって得られたガス温度Tおよびガス圧力pと、既知の基準温度Tref、既知のγair、γselfとを前記式(2)に適用して、前記測定対象ガスの分圧Pselfを演算して、分圧Pselfに対応する前記測定対象ガスの濃度を算出する、
    請求項16に記載のレーザ式ガス分析計。
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