JP2020051326A - 排気再循環制御装置 - Google Patents

排気再循環制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020051326A
JP2020051326A JP2018181239A JP2018181239A JP2020051326A JP 2020051326 A JP2020051326 A JP 2020051326A JP 2018181239 A JP2018181239 A JP 2018181239A JP 2018181239 A JP2018181239 A JP 2018181239A JP 2020051326 A JP2020051326 A JP 2020051326A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amount
exhaust gas
learning
gas recirculation
egr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018181239A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7168397B2 (ja
Inventor
浩輝 前川
Hiroteru Maekawa
浩輝 前川
一成 脇本
Kazunari Wakimoto
一成 脇本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Subaru Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Subaru Corp filed Critical Subaru Corp
Priority to JP2018181239A priority Critical patent/JP7168397B2/ja
Publication of JP2020051326A publication Critical patent/JP2020051326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7168397B2 publication Critical patent/JP7168397B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

【課題】EGR量を精度よく制御可能な、排気再循環制御装置を提供する。【解決手段】排気再循環制御装置は、排気再循環バルブよりも上流側の圧力である上流側圧力と排気再循環バルブよりも下流側の圧力である下流側圧力との差圧を所定の基準差圧と比較することにより排気再循環バルブの駆動量の補正量を学習する学習制御部を備え、学習制御部は、学習する駆動量を車両のドライビングサイクルごとに変更し、それぞれの駆動量についての補正量を学習する。【選択図】図10

Description

本発明は、排気再循環制御装置に関する。
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関においては、排気中のNOX量を低減するために、排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置が備えられる。EGR装置は、排気の一部を吸気側に戻すことにより吸気中の酸素濃度を低下させ、これにより燃焼温度を低下させることで、NOXの発生を抑制する。
EGR装置を用いた排気再循環制御を実行する際に、内燃機関に導入される混合気の空燃比を精度よく制御するには、EGR量を精度よく制御することが求められる。特に、内燃機関の気筒に導入する混合気中の燃料の割合を少なくするリーン燃焼の安定性を向上させるには、EGR量を精度よく制御することが求められる。このため、従来、EGR装置を用いて内燃機関を精度よく制御するために、種々の学習制御を行う制御装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、キースイッチがオンの状態からスタータスイッチがオンの状態になるまでの間にEGRバルブの上流側の圧力を検出するセンサと下流側の圧力を検出する圧力センサの検出値の差圧を基準圧力値として算出し、さらに内燃機関の作動時に検出される差圧を基準圧力値で補正する制御装置が開示されている。
また、特許文献2には、内燃機関のフューエルカット中に所定の駆動量でEGR機構を駆動した後、内燃機関の実際の吸気圧がそのときの機関運転での理論上の吸気圧に近づくようにEGR機構の駆動量を補正し、実際の吸気圧が理論上の吸気圧に許容レベルまで近づいたときの補正量をEGR学習値として学習する制御装置が開示されている。
また、特許文献3には、検出されたEGRバルブの開度と算出されたEGRバルブ有効開口面積との関係を学習し、学習した関係に基づいて排気再循環量を推定するようにした制御装置が開示されている。
特開2001−173521号公報 特開2004−108329号公報 特開2015−17569号公報
ここで、EGRバルブの駆動量は、所定の基準品(中央品)をもとに設定される。個々のEGRバルブには個体差があり、また、EGRバルブは使用に伴って劣化するため、実際のEGRバルブの駆動量にはばらつきが生じる。このうち、使用に伴う劣化は、例えば排気中に含まれるデポジットがEGRバルブに付着することにより生じる劣化であり、温度や走行距離、燃料成分等の使用環境によって変動するため予測することが困難である。特に、使用に伴う劣化によるEGRバルブの駆動量のばらつきの程度は、駆動量ごとに異なり得る。
しかしながら、上記の特許文献1〜3はいずれも、駆動量ごとに所定の学習を行うものではないために、それぞれの駆動量においてEGR量を精度よく制御することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、EGR量を精度よく制御可能な、排気再循環制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両に搭載された内燃機関の排気系から吸気系へ排気を再循環させるための排気再循環通路に設けられて開口面積が変化する排気再循環バルブの制御を行う排気再循環制御装置において、排気再循環バルブよりも上流側の圧力である上流側圧力と排気再循環バルブよりも下流側の圧力である下流側圧力との差圧を所定の基準差圧と比較することにより排気再循環バルブの駆動量の補正量を学習する学習制御部を備え、学習制御部は、学習する駆動量を車両のドライビングサイクルごとに変更し、それぞれの駆動量についての補正量を学習する、排気再循環制御装置が提供される。
学習制御部は、差圧から基準差圧を引いた差分が正の値のときに開口面積が拡大するよう排気再循環バルブの駆動量を所定量調整し、また、差圧から基準差圧を引いた差分が負の値のときに開口面積が縮小するよう排気再循環バルブの駆動量を所定量調整し、調整後の差分の絶対値が調整前の差分の絶対値を上回った場合に補正量を学習しない一方、調整後の差分の絶対値が調整前の差分の絶対値を下回った場合に所定量を補正量として学習してもよい。
調整する所定量は、駆動量にかかわらずあらかじめ一定量に設定された値であってもよい。
学習制御部は、所定の駆動量について学習済みの補正量が存在する場合、学習済みの補正量を反映させた状態で学習を行い、補正量を更新してもよい。
基準差圧は、排気再循環バルブの基準品を基本駆動量にしたがって操作した場合の差圧としてあらかじめ駆動量ごとに設定された値であってもよい。
学習制御部は、初回の学習時に、排気再循環バルブの基準品の流路が開き始める駆動量である開き始め駆動量で排気再循環バルブを駆動した場合における差圧を基準差圧と比較することにより、排気再循環バルブの駆動量にかかわらず設定されて排気再循環バルブの個体差のバラつきを補正する補正係数を求めてもよい。
学習制御部は、基準差圧に対する差圧の比に基づいて推定される流量変化率が所定値を上回ったときに、補正係数を再学習してもよい。
学習制御部は、内燃機関が燃料噴射停止状態で駆動し、かつ、内燃機関の吸気スロットル弁の開度が所定の値に固定された状態で、補正量を学習してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、EGR量を精度よく制御することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関のEGRシステムの概略構成を示す模式図である。 同実施形態に係るEGR制御装置の構成例を示すブロック図である。 EGRバルブの個体差ばらつきを説明するための図である。 EGRバルブの劣化ばらつきを説明するための図である。 個体差学習を実行する際に設定されるEGRバルブの駆動量の設定例を示す説明図である。 測定される実差圧と基準差圧とを示す説明図である。 学習された補正量に応じて設定される補正係数を示す説明図である。 EGRバルブの中央品、流量上限品及び流量下限品それぞれの流量特性を示す説明図である。 1ドライビングサイクルごとに異なる値に設定される学習対象の駆動量の設定例を示す説明図である。 駆動量ごとに学習される補正量の例を示す説明図である。 同実施形態に係るEGRバルブの駆動量の学習制御の一例を示すフローチャートである。 同実施形態に係る個体差学習処理の一例を示すフローチャートである。 同実施形態に係る差圧差を算出する処理の一例を示すフローチャートである。 同実施形態に係る補正量の仮設定処理の一例を示すフローチャートである。 同実施形態に係る補正量の確定処理を示すフローチャートである。 同実施形態に係る劣化学習処理の一例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.内燃機関のEGRシステム>
まず、本発明の実施形態に係る排気再循環制御装置(EGR制御装置)を適用可能な内燃機関のEGRシステムの構成例について説明する。
図1は、EGRシステム10を備えた内燃機関11の吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す。本実施形態において、EGRシステム10を備えた内燃機関11は車両に搭載される。ただし、EGRシステム10を備えた内燃機関11は、車両に搭載されるものに限られない。内燃機関11は、例えば自己着火式の内燃機関であるディーゼルエンジンである。内燃機関11は、例えば4つの気筒を備える。各気筒には、筒内に燃料を直接噴射する図示しない燃料噴射弁が備えられる。各気筒は、吸気ポート及び排気ポートを介してインテークマニホールド14及びエキゾーストマニホールド22に連通する。
インテークマニホールド14には吸気通路15が接続される。吸気通路15には、エキゾーストマニホールド22内の排気の一部を吸気通路15に還流させるためのEGR通路31が接続される。EGR通路31の合流位置よりも上流側の吸気通路15には、吸気の流入量を調節するための吸気スロットル弁16が備えられる。吸気スロットル弁16は、ステッピングモータ等のアクチュエータ17により駆動される。アクチュエータ17は、EGR制御装置50により制御される。
吸気スロットル弁16よりも上流側の吸気通路15には、吸気を冷却するためのインタークーラー18が備えられる。インタークーラー18よりも上流側の吸気通路15には、過給機70のコンプレッサ71が備えられる。コンプレッサ71よりも上流側の吸気通路15には、吸気通路15に流入する空気量を測定するエアフローメータ13が備えられる。
インテークマニホールド14には吸気圧を測定するための吸気圧センサ27が備えられる。吸気圧センサ27のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。吸気圧センサ27は、吸気スロットル弁16よりも下流側の吸気通路15のいずれかの位置に備えられてもよい。
エキゾーストマニホールド22には排気通路21が接続される。排気通路21には、上述したEGR通路31が接続される。排気通路21には、過給機70のタービン73が備えられる。エキゾーストマニホールド22とタービン73との間の排気通路21には、空燃比センサ25が備えられる。空燃比センサ25のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。空燃比センサ25は、エキゾーストマニホールド22に備えられてもよい。
タービン73よりも下流側の排気通路21には、排気を浄化するための排気浄化装置26が備えられる。排気浄化装置26は、例えば、排気中の微粒子物質を捕集するパティキュレートフィルタや、排気中のNOXを浄化するための触媒等を備える。
EGR通路31には、開口面積を調節可能なEGRバルブ33が備えられる。EGRバルブ33は、EGRバルブ33の開口面積を調節することにより、EGR通路31を介して排気通路21から吸気通路15に還流させるEGRガスの流量を調節する。EGRバルブ33は、ステッピングモータ等のアクチュエータ34により駆動される。アクチュエータ34は、EGR制御装置50により制御される。本実施形態において、EGRバルブ33は、ステッピングモータにより駆動され、EGR制御装置50により設定される駆動量としてステップ数に応じて弁体のリフト量が調節されて開口面積が変化する。
EGR通路31における、EGRバルブ33よりも上流側(排気通路21側)には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ35が備えられる。EGRクーラ35とEGRバルブ33との間のEGR通路31には、EGRガス圧センサ37及びEGRガス温度センサ38が備えられる。EGRガス圧センサ37は、EGRバルブ33の上流側の圧力を測定する。EGRガス温度センサ38は、EGRバルブ33の上流側でEGRガスの温度を測定する。EGRガス圧センサ37及びEGRガス温度センサ38のセンサ信号は、EGR制御装置50に送信される。EGRガス圧センサ37は、EGRクーラ35よりも上流側に備えられてもよい。
EGR制御装置50の一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の一つ又は複数のプロセッサを備える。また、EGR制御装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。EGR制御装置50には、大気圧センサ41のセンサ信号も入力される。EGR制御装置50は、互いに通信可能な複数の制御装置により構成されてもよい。
EGRシステム10では、差圧が生じたときに、高圧側から低圧側へとEGRガスが流れるメカニズムを利用しており、少なくともEGRバルブ33の前後の差圧と、EGRバルブ33の開口面積とによりEGRガスの流量特性が変化し得る。また、排気は、圧縮性の流体であるとともに高温の気体であることから、周囲との温度差によって冷却されて体積又は密度が変化しやすい。このため、EGRガスの流量特性は、排気温度によっても変化し得る。
<2.排気再循環制御装置>
内燃機関11のEGRシステム10には、EGRシステム10を制御するEGR制御装置50が備えられる。本実施形態に係るEGR制御装置50は、内燃機関11の制御も実行可能に構成される。
図2は、本実施形態に係るEGR制御装置50の構成のうち、EGRバルブ33の駆動量の学習制御に関連する部分の機能構成を示すブロック図である。EGR制御装置50は、CPU又はMPU等のプロセッサからなる制御部60と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子を含む記憶部55とを備える。記憶部55には、制御プログラムや各種制御に用いる情報、演算結果等が記憶される。
制御部60は、スロットル制御部61、可変バルブタイミング機構(VVT:Variable Valve Timing)制御部63、EGR制御部65及び学習制御部67を備える。これらの各部は、具体的には、プロセッサによるプログラムの実行によって実現される機能である。また、EGR制御装置50は、エアフローメータ13、大気圧センサ41、吸気圧センサ27、EGRガス圧センサ37、EGRガス温度センサ38及び空燃比センサ25のセンサ信号を読み取り可能になっている。
EGR制御装置50は、大気圧センサ41のセンサ信号に基づき、大気圧Paを検出する。EGR制御装置50は、吸気圧センサ27のセンサ信号に基づき、内燃機関11の吸気圧を検出する。吸気圧Pdは、EGRバルブ33よりも下流側の圧力である下流側圧力Pdに相当する。EGR制御装置50は、EGRガス圧センサ37のセンサ信号に基づき、EGRバルブ33よりも上流側の圧力である上流側圧力Puを検出する。EGR制御装置50は、EGRガス温度センサ38のセンサ信号に基づき、EGRガスの温度Tegrを検出する。
なお、本実施形態では、ステッピングモータにより駆動され、ステップ数がゼロのときにEGRバルブ33が閉じられ、ステップ数の増大に伴って弁体のリフト量が増大し開口面積が増大する形式のEGRバルブ33が用いられる。以下の説明において、EGRバルブ33の駆動量とは、ステップ数を意味する。
(2−1.スロットル制御部)
制御部60のスロットル制御部61は、吸気スロットル弁16のアクチュエータ17を駆動することによりスロットル開度を制御し、内燃機関11の吸気量を調節する。例えば、スロットル制御部61は、内燃機関11の回転数及びアクセル開度に基づいてアクチュエータ17の駆動量を制御する。また、スロットル制御部61は、学習制御の実行時には、吸気スロットル弁16の開度を所定の開度に固定する。
(2−2.VVT制御部)
制御部60のVVT制御部63は、内燃機関11の可変バルブタイミング機構(VVT)を制御することにより吸気バルブ及び排気バルブの開閉時期を調節する。具体的に、VVT制御部63は、吸気バルブあるはい排気バルブを開閉するカムが固定された吸気カムシャフトあるいは排気カムシャフトの位相を進角又は遅角方向に変化させて、吸気バルブ及び排気バルブの開閉時期を調節する。また、VVT制御部63は、学習制御の実行時には、可変バルブタイミング機構を所定の位置に固定する。
(2−3.EGR制御部)
EGR制御部65は、内燃機関11に導入される吸気中の酸素濃度が目標値となるように、EGRバルブ33のアクチュエータ34を駆動することによりEGRバルブ33の開口面積を制御し、EGRガスの流量を調節する。EGR制御部65は、EGRバルブ33の上流側圧力Pu及び下流側圧力Pdと、要求されるEGRガスの流量とに基づいてEGRバルブ33の駆動量を設定してアクチュエータ34を駆動する。
EGR制御部65は、EGRバルブ33の上流側圧力Pu及び下流側圧力Pdと、要求されるEGRガスの流量とに対してあらかじめ設定された基本駆動量を、学習制御部67により実行される学習制御の結果求められる補正係数K及び補正量N(Sn)を用いて補正して、EGRバルブ33の駆動量を設定する。
本実施形態において、EGR制御部65は、アクチュエータ34としてのステッピングモータの駆動量(ステップ数)を設定してアクチュエータ34を駆動し、EGRバルブ33の開口面積を制御する。また、EGR制御部65は、学習制御の実行時には、EGRバルブ33の駆動量(ステップ数)を、個体差学習あるいは劣化学習の学習点に設定する。
(2−4.学習制御部)
学習制御部67は、EGRバルブ33の上流側圧力Puから下流側圧力Pdを引いた値である差圧ΔPを基準差圧ΔP0と比較することによりEGRバルブ33の駆動量の補正量を学習する。ここで、基準差圧ΔP0とは、EGRバルブ33の基準品を基本駆動量にしたがって操作した場合に得られる差圧である。つまり、学習制御部67は、基準差圧ΔP0に対する実測される差圧ΔPのばらつきをEGRガスの流量のばらつきとして学習し、差圧ΔPのばらつきを抑制するための補正量を学習する。本実施形態において、学習制御部67は、補正量を学習する駆動量を車両のドライビングサイクルごとに変更し、それぞれの駆動量についての補正量を学習する。
学習制御部67は、EGRバルブ33ごとの個体差によるばらつき(以下、「個体差ばらつき」ともいう。)を抑制するための補正係数Kと、デポジットの付着等の劣化によるばらつき(以下、「劣化ばらつき」ともいう。)を抑制するための補正量N(Sn)とを学習する。このうち、個体差ばらつきは、少なくとも、EGRバルブ33の使用開始の初期や、同一のEGRバルブ33の駆動量に対してEGRガスの流量が急激に変化したときなどに学習すればよい。
図3は、EGRバルブの個体差ばらつきを説明するための図であり、3つのEGRバルブの使用開始時の駆動量に対する流量特性を示している。図3に示すように、EGRバルブの流量のばらつきは、EGRバルブが開き始めるステップ数に依存する。つまり、EGRバルブの全駆動範囲における流量のずれは、開き始めの駆動量のずれに依存する。このため、個体差ばらつきは、例えば2点の駆動量での流量を把握することにより学習することができる。
これに対して、劣化ばらつきは、EGRバルブ33の使用環境によって変動するために、所定の頻度で学習することが望ましい。特に、劣化ばらつきは、EGRバルブ33の駆動量ごとに異なり得るため、学習制御部67は、それぞれの駆動量について学習制御を行って補正量N(Sn)を学習する。
図4は、EGRバルブの劣化ばらつきを説明するための図であり、1つのEGRバルブの駆動量に対する流量低下率を車両の走行距離ごとに示している。図4に示すように、同じEGRバルブであっても、車両の走行距離が大きくなるにつれてEGRガスの流量低下率が増大する。それぞれの駆動量における流量低下率は、概ね車両の走行距離に比例して増大するものの、EGRバルブの駆動量ごとに流量低下率が異なる。このため、劣化ばらつきは、それぞれの駆動量について学習することが望ましい。
ここで、本実施形態において、学習制御部67は、EGRバルブ33の上流側圧力Puと下流側圧力Pdとの差圧ΔPに基づいて、EGRガスの流量のばらつきを学習する。具体的に説明すると、EGRバルブ33を通過するEGRガスの流量は、公知のオリフィスモデルにより下記式(1)で表すことができる。
Figure 2020051326
Q:流量(L/秒)
α:流量係数(−)
A:開口面積(m2
ΔP:差圧(kPa)
ρ:ガス密度(kg/m3
ある駆動量でEGRバルブを駆動する場合のEGRガスの流量のばらつきは、EGRバルブの開口面積の変化(ばらつき)によるものであるため、当該開口面積のばらつきは流量のばらつきに基づいて学習することができる。そこで、固有値である流量係数αと同様に、ある駆動量でのEGRバルブの開口面積Aを固定値と仮定する。そして、EGRバルブの新品の基準品(中央品)を用いて、内燃機関11の回転数Ne及び開口面積Aに対応する差圧ΔP1を測定するとともに、測定時のEGRガス温度Tegrや大気圧Paをもとにガス密度ρ’を求めることにより、新品の基準品の流量基準値Q1を得ることができる。
Figure 2020051326
一方、EGRバルブの個体差ばらつきや劣化ばらつきを反映した流量Q2は、学習制御実行時に測定される差圧ΔP2とガス密度ρ’、駆動量(開口面積A)に基づき得ることができる。
Figure 2020051326
上記式(2)及び(3)より、EGRバルブ33の新品の基準品の流量Q1に対する個体差ばらつきや劣化ばらつきを反映した流量Q2の変化率nは、下記式(4)で示すように、差圧ΔPで表すことができる。
Figure 2020051326
このように、学習制御部67は、EGRバルブ33の駆動量ごとにEGRバルブ33の上流側圧力Puと下流側圧力Pdとの差圧ΔPのばらつきをEGRガスの流量のばらつきとして学習する。差圧ΔPを用いてEGRバルブ33のばらつきによる補正係数K及び補正量N(Sn)を学習するにあたり、EGRバルブ33の開口面積の違いによる差圧ΔPの感度が高い状態で学習制御を実行することが好ましい。このため、学習制御部67は、排気圧力が変動しにくい内燃機関11の燃料噴射停止状態で学習制御を実行することが好ましい。
また、内燃機関11の燃料噴射停止状態において、内燃機関11の回転数が大きいと吸気圧が低下し、同一の流量において負圧が大きくなって流量変化が現れにくくなることから、内燃機関11の回転数が小さい状態で学習制御を実行することが好ましい。ただし、内燃機関11の回転数が小さすぎると、吸気圧が高くなって差圧ΔPが小さくなるために流量変化が表れにくくなる。このため、学習制御部67は、内燃機関11が燃料噴射停止状態で駆動した状態で、内燃機関11の回転数が1,100〜1,300rpmの範囲内で学習制御を実行することが好ましい。
また、誤学習を抑制するには、それぞれの駆動量において発生する差圧ΔPのばらつきを小さくすることが望ましい。本実施形態では、吸気圧が下流側圧力Pdとして用いられるが、吸気圧は、吸気スロットル弁16の開度の変化に対して感度が高い。したがって、学習制御部67は、内燃機関11の吸気スロットル弁16の開度が所定の値に固定された状態で、学習制御を実行してもよい。
同様に、それぞれの駆動量において発生する差圧ΔPのばらつきを小さくするため、学習制御部67は、可変バルブタイミング機構が所定の位置に固定された状態で、学習制御を実行してもよい。
なお、以下の説明において、車両の走行中に、内燃機関11の燃料噴射停止状態で、内燃機関11の回転数が1,200rpm前後で、かつ、吸気スロットル弁16の開度及び可変バルブタイミング機構の位置を固定した状態を、「学習許可状態」という場合がある。
学習制御部67は、EGRバルブの使用開始時及び流量急変時に、所定の2点の駆動量(ステップ)で上記学習制御を実行し、個体差ばらつきを補正するために全駆動範囲における駆動量の演算に用いる補正係数Kを学習する。また、学習制御部67は、補正係数Kを学習した後に、劣化ばらつきを補正するための補正量N(Sn)を駆動量Snごとに学習するように構成される。
以下、個体差ばらつきの学習(個体差学習)及び劣化ばらつきの学習(劣化学習)の一例を説明する。
(個体差学習)
図5〜図8を参照して、個体差ばらつきを補正するための補正係数Kの学習制御について説明する。図5は、個体差学習を実行する際に設定されるEGRバルブ33の駆動量Snの設定例を示す。図6は、学習許可状態において、EGRバルブ33の駆動量Snを所定のステップ数Sa,Sbに設定した場合に測定される実差圧ΔPactと、新品の基準品を用いた場合に生じる基準差圧ΔP0とを示す。
上述のとおり、個体差ばらつきによりEGRバルブ33の全駆動範囲に生じる流量のずれは開き始めの駆動量Snのずれに依存するため、少なくとも2点のステップで流量特性を把握できれば、個体差ばらつきを補正するための補正係数Kを求めることができる。学習制御部67は、個体差学習の実行時に、EGRバルブ33の駆動量Snを、例えば、基準品が開口し始めるステップSaと、プラスマイナス1ステップでの差圧差の感度が高いステップSbとに設定する(図5を参照)。このような差圧差の感度が高い駆動量Sa,Sbを学習点とすることにより、1ドライビングサイクルで個体差ばらつきを学習する確実性を向上させることができる。
図6に示すように、学習制御部67は、それぞれ設定されたステップSa,Sbにおいて測定される実差圧ΔPactから基準差圧ΔP0を引いた差圧差D(=ΔPact−ΔP0)を求める。この差圧差Dが負の値で、あらかじめ設定した下限値Dmin(例えば−2kPa)以下の場合、ステップ数を1ステップ減算(Sx−1,Sy−1)する。一方、差圧差Dが正の値で、あらかじめ設定した上限値Dmax(例えば2kPa)以上の場合、ステップ数を1ステップ加算(Sx+1,Sy+1)する。
ステップ数を加算又は減算して実差圧ΔPact’を測定し、求められた差圧差D’(=ΔPact’−ΔP0)の絶対値|D’|が、補正前の差圧差Dの絶対値|D|よりも小さくなった場合に、学習制御部67は、加減算したステップ数Nを反映して補正量N(Sa),N(Sb)を学習する。
このとき学習された補正量N(Sa),N(Sb)は、設定されたステップSa,Sbにおける補正量であるため、学習制御部67は、当該ステップSa,Sbにおける補正量N(Sa),N(Sb)をもとに、全駆動範囲の駆動量を補正するための補正係数Kを求める。
図7は、学習された補正量N(Sa),N(Sb)に応じて求められる補正係数Kの例を示す。補正量N(Sa),N(Sb)が正の値で大きくなるほど、つまり、実差圧ΔPactと基準差圧ΔP0との差圧差Dが正の値で大きくなるほど、補正係数Kは1未満の小さい値となる。一方、補正量N(Sa),N(Sb)が負の値で大きくなるほど、つまり、実差圧ΔPactと基準差圧ΔP0との差圧差Dが負の値で大きくなるほど、補正係数Kは1以上の大きい値となる。学習制御部67は、例えばあらかじめ設定されたマップ情報を参照して、補正量N(Sa),N(Sb)のそれぞれについて補正係数Kを求めてもよい。
求められた2つの補正係数K(Ka,Kb)は、EGRバルブ33の駆動量Snに応じて選択的に用いられてよい。EGRバルブ33は、低流量側、つまり駆動量Snが小さい領域と、高流量側、つまり駆動量Snが大きい領域とで、個体差のばらつき度合いが異なる。このため、例えば、ステップSaとステップSbとの間の所定の駆動量Snを流量管理点として設定し、当該流量管理点よりも小さいステップSa側の駆動量Snの場合には補正量N(Sa)に対応する補正係数Kaが用いられ、流量管理点よりも大きいステップSb側の駆動量Snの場合には補正量N(Sb)に対応する補正係数Kbが用いられてもよい。その際に、補正量N(Sa),N(Sb)の大きさに応じて、補正係数Ka,Kbに重み付けをしてもよい。
図8は、EGRバルブ33の中央品、流量上限品及び流量下限品それぞれの流量特性を示す。図8に示すように、個体差ばらつきは、全駆動範囲において所定の補正係数Kを中央品の流量特性に基づいて設定された基本駆動量に乗じることにより抑制することができる。例えば流量下限品のEGRガス流量は、1未満の補正係数Kを基本駆動量に乗じることにより中央品のEGRガス流量に近似させることができる。一方、流量上限品のEGRガス流量は1を超える補正係数Kを基本駆動量に乗じることにより中央品のEGRガス流量に近似させることができる。
(劣化学習)
図9〜図10を参照して、劣化ばらつきを補正するための補正量N(Sn)の学習制御について説明する。上述のとおり、劣化ばらつきによるEGRガスの流量のずれは、駆動量Snごとに異なり得る。学習制御部67は、劣化学習を実行するにあたり、車両のイグニッションスイッチがオンにされてからオフになるまでの1ドライビングサイクルごとに設定する駆動量Snを変更し、それぞれの駆動量Snについて補正量N(Sn)を学習する。
車両の走行中に、内燃機関11の燃料噴射停止状態で、内燃機関11の回転数が1,200rpm前後で、かつ、吸気スロットル弁16の開度及び可変バルブタイミング機構の位置を固定した学習許可状態となる期間は比較的短いことから、学習制御部67は、1ドライビングサイクルごとに所定数の駆動量Snについての学習制御を実行するようになっている。
学習制御部67は、個体差学習と同様に、それぞれ設定されたステップSnにおいて測定される実差圧ΔPactから基準差圧ΔP0を引いた差圧差D(=ΔPact−ΔP0)を求める(図6を参照)。この差圧差Dが負の値で、あらかじめ設定した下限値Dmin(例えば−2kPa)以下の場合、ステップ数を1ステップ減算(Sn−1)する。一方、差圧差Dが正の値で、あらかじめ設定した上限値Dmax(例えば2kPa)以上の場合、ステップ数を1ステップ加算(Sn+1)する。ステップ数を加算又は減算して測定される実差圧ΔPact’から基準差圧ΔP0を引いた差圧差D’(=ΔPact’−ΔP0)の絶対値|D’|が、補正前の差圧差Dの絶対値|D|よりも小さくなった場合に、学習制御部67は、加減算したステップ数Nを反映させて補正量N(Sn)を学習する。
図9は、1ドライビングサイクルごとに異なる値に設定される学習対象の駆動量Snの設定例を示す。図9に示した例では、1ドライビングサイクルあたり、2つの学習点の駆動量Snが設定される。学習制御部67は、1ドライビングサイクル目にステップSc及びステップSeについての補正量N(Sc),N(Se)を学習し、次のドライビングサイクルにステップSd及びステップSfについての補正量N(Sd),N(Sf)を学習し、さらに次のドライビングサイクルにステップSg及びステップShについての補正量N(Sg),N(Sh)を学習する。
以降も、ドライビングサイクルごとに駆動量Snを変更しながら補正量N(Sn)の学習を続け、すべての学習点についての補正量N(Sn)の学習が完了した場合、1ドライビングサイクル目の学習点に戻って補正量N(Sn)の学習を継続する。
本実施形態において、1ドライビングサイクルごとに補正量N(Sn)が1ステップずつ加算又は減算され、あるいは、現状維持とされる。劣化学習は、個体差学習とは異なり、1ステップごとの差圧の感度が低い領域においても学習を行う必要があることから、加減算されるステップ数は、駆動量Snにかかわらず1ステップずつに設定されている。そして、それぞれの駆動量Snについての補正量N(Sn)が繰り返されることにより、学習精度が高められるようになっている。これにより、1ドライビングサイクルにおいて、少ない学習許可状態の中で複数点での学習を可能にしつつ、補正量N(Sn)の学習精度を高めることができる。
図10は、駆動量Snごとに学習される補正量N(Sn)の例を示す。それぞれの駆動量Sc〜Shについて、学習制御の実行ごとに補正量N(Sn)がプラスマイナス1ステップずつ加減算され、これが繰り返されることにより、それぞれの駆動量Sc〜Shについて異なる補正量N(Sn)が学習される。
学習制御部67により学習された個体差ばらつきを抑制するための補正係数K及び劣化ばらつきを抑制するための補正量N(Sn)は、EGR制御部65によるEGRバルブ33の駆動量Snの設定に用いられる。
<3.排気再循環制御装置の動作例>
ここまで、EGR制御装置50の構成例を説明した。以下、図11〜図16を参照して、EGR制御装置50の動作例を説明する。
図11は、EGRバルブ33の駆動量Snの学習制御の一例を示すフローチャートである。まず、学習制御部67は、EGRバルブ33の初回の個体差学習が完了しているか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11では、車両の組立後の最初の個体差学習が完了しているか否かが判別される。初回の個体差学習が完了していない場合(S11/No)、学習制御部67は、個体差学習を実行する(ステップS17)。一方、初回の個体差学習が完了している場合(S11/Yes)、学習制御部67は、EGRガスの流量チェックを行う(ステップS13)。
流量チェックは、EGRバルブ33が交換されたり、付着していたデポジットが剥がれ落ちたりする等によって、EGRバルブ33の流量特性が変化したか否かを確認することである。例えば、学習制御部67は、車両の走行中において、任意の一つ又は複数点のEGRバルブ33の駆動量Snに対するEGRガスの流量変化率nを上記式(4)により求め、流量変化率nが所定範囲を超える場合に流量特性が変化したと判定してもよい。流量チェックの誤判定を抑制するには、個体差学習や劣化学習と同様に、所定の学習許可状態において流量チェックが行われることが好ましい。
学習制御部67は、流量チェックの結果、流量特性が変化したか否かを判別する(ステップS15)。流量特性が変化したと判定される場合(S15/Yes)、学習制御部67は、個体差学習を実行する(ステップS17)。初回の個体差学習の実行時(S11/Noの場合)及びEGRバルブ33の流量特性が変化した場合(S15/Yesの場合)に、学習制御部67は、個体差学習を実行する。
図12は、個体差学習処理の一例を示すフローチャートである。
学習制御部67は、車両が減速による燃料噴射停止状態になったことを検知すると(ステップS31)、吸気スロットル弁16を所定の開度で固定するとともに、可変バルブタイミング機構を所定の位置で固定する(ステップS33)。これにより、学習許可状態となる。
次いで、学習制御部67は、補正量が仮設定されているか否かを判別する(ステップS35)。補正量が仮設定されていない場合(S35/No)、学習制御部67は、EGRバルブ33の補正量N(Sn)を学習する駆動量Snを設定する(ステップS37)。ここで設定される駆動量Snは、補正前の基本駆動量である。本実施形態では、1ドライビングサイクル当たり2点の駆動量Sa,Sbについて補正量N(Sn)の学習が行われる。次いで、学習制御部67は、設定された駆動量Sa,SbにしたがってEGRバルブ33を2段階に駆動させて、それぞれの駆動量Sa,Sbについて差圧差Da,Dbを算出する(ステップS39)。
図13は、差圧差Dを算出する処理の一例を示すフローチャートである。
学習制御部67は、設定された駆動量Sa,Sbにしたがって、EGRバルブ33を2段階に駆動させる(ステップS71)。このとき、すでに補正係数K及び補正量N(Sn)が設定されている場合には、補正係数K及び補正量N(Sn)を用いて駆動量Sa,Sbを補正してEGRバルブ33を駆動させる。EGRバルブ33の上流側圧力Puと下流側圧力Pdとの差圧ΔPを安定させるため、EGR制御部65は、それぞれの駆動量Sa,Sbを例えば1.5〜2.0秒程度維持する。
次いで、学習制御部67は、あらかじめ記憶されたデータを参照して、それぞれの駆動量Sa,Sbについての基準差圧ΔP0nを読み込む(ステップS73)。次いで、学習制御部67は、各種センサ信号に基づいて、EGRガス温度Tegr、大気圧Pa、上流側圧力Pu及び下流側圧力Pdを取得する(ステップS75)。
次いで、学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、上流側圧力Puから下流側圧力Pdを引くことにより実差圧ΔPactnを算出する(ステップS77)。次いで、学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、実差圧ΔPactnから基準差圧ΔP0nを引いて差圧差Dnを算出する(ステップS79)。
図12に戻り、ステップS39で、それぞれの駆動量Sa,Sbについての差圧差Dnが算出された後、学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、差圧差Dnに基づいて補正量を仮設定する(ステップS41)。
図14は、補正量の仮設定処理の一例を示すフローチャートである。
学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、差圧差Dn(=ΔPactn−ΔP0n)が負の値で、あらかじめ設定された下限値Dmin(例えば−2kPa)未満であるか否かを判別する(ステップS91)。差圧差Dnが下限値Dmin未満である場合(S91/Yes)、学習制御部67は、1ステップマイナスして補正量を仮設定する(ステップS95)。本実施形態において、仮設定される補正量は、駆動量Snにかかわらずあらかじめ一定量(1ステップずつ)で設定されている。
一方、差圧差Dnが下限値Dmin未満でない場合(S91/No)、学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、差圧差Dn(=ΔPactn−ΔP0n)が正の値で、あらかじめ設定された上限値Dmax(例えば+2kPa)を超えるか否かを判別する(ステップS93)。差圧差Dnが上限値Dmaxを超える場合(S93/Yes)、学習制御部67は、1ステッププラスして補正量を仮設定する(ステップS97)。差圧差Dnが下限値Dmin未満でなく、かつ、上限値Dmaxを超えない場合(S93/No)、学習制御部67は、補正量を仮設定せずに終了する(ステップS99)。
図12に戻り、ステップS41において、補正量の仮設定処理が行われた後は、再びステップS31に戻る。補正量が仮設定された状態では、上記のステップS35において肯定判定され(S35/Yes)、学習制御部67は、仮設定された補正量を反映して駆動量Sa,Sbを補正しつつEGRバルブ33を2段階に駆動させて、それぞれの駆動量Sa,Sbについて差圧差Da’,Db’を算出する(ステップS43)。差圧差Da’,Db’の算出処理は、図13に示すフローチャートに沿って行われる。次いで、学習制御部67は、補正量N(Sn)の確定処理を行う(ステップS45)。
図15は、補正量N(Sn)の確定処理を示すフローチャートである。学習制御部67は、それぞれの駆動量Sa,Sbについて、仮設定された補正量を反映した場合の差圧差Dn’の絶対値|D’|が、反映前の差圧差Dの絶対値|D|よりも小さくなったか否かを判別する(ステップS101)。絶対値|Dn’|が絶対値|D|未満である場合(S101/Yes)、学習制御部67は、仮設定された補正量(プラスマイナス1ステップ)を反映して補正量N(Sn)を更新する(ステップS103)。一方、絶対値|Dn’|が絶対値|D|以上である場合(S101/No)、学習制御部67は、仮設定された補正量(プラスマイナス1ステップ)を反映せずに補正量N(Sn)を維持する(ステップS105)。
図12に戻り、ステップS45において、補正量N(Sn)が確定された後、学習制御部67は、例えば、図7に示すようなマップデータを参照して、補正量N(Sn)に基づいて、個体差ばらつきを抑制するための補正係数Kを設定する(ステップS47)。これにより、個体差学習処理が終了する。
図11に戻り、ステップS17において個体差学習が実行され、個体差ばらつきを抑制するための補正係数Kが求められると、学習制御部67は、リーン燃焼を許可する(ステップS19)。これにより、内燃機関11のリーン燃焼が実行可能となって、リーン燃焼の安定性が向上する。学習制御部67は、リーン燃焼を許可した後、ステップS13に戻って流量チェックを行う。
ステップS15において、流量チェックの結果として流量特性が変化していない場合(S15/No)、学習制御部67は、リーン燃焼を許可し、あるいは、許可を維持する(ステップS21)。次いで、学習制御部67は、劣化学習を実行する(ステップS23)。
図16は、劣化学習処理の一例を示すフローチャートである。劣化学習処理は、基本的には図12に示した個体差学習処理と同様に行われる。ただし、図16に示すフローチャートにおけるステップS38で設定される2点の駆動量Sx,Syは、ドライビングサイクルごとに変更し(図9を参照)、それぞれの駆動量Snについて補正量N(Sn)を学習する。また、それぞれの駆動量Snにすでに学習済みの補正量N(Sn)が存在する場合には、駆動量Snに学習済みの補正量N(Sn)を反映させた状態で学習を行う。そして、劣化学習処理では、ステップS45において、それぞれの駆動量Snごとに補正量N(Sn)が設定され、記憶される。これにより、劣化学習処理が終了する。
図11に戻り、劣化学習処理が行われた後、学習制御部67は、劣化学習において補正量N(Sn)が更新されたか否かを判別する(ステップS25)。補正量N(Sn)が更新されなかった場合(S25/No)、つまり、仮設定された補正量を反映した場合の差圧差Dn’の絶対値|D’|が、反映前の差圧差Dの絶対値|D|よりも小さくならなかった場合、学習制御部67は、ステップS13に戻って流量チェックを行う。一方、補正量N(Sn)が更新された場合(S25/Yes)、つまり、絶対値|D’|が絶対値|D|よりも小さくなった場合、学習制御部67は、今回のドライビングサイクルにおける学習制御を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係るEGR制御装置50は、EGRバルブ33の上流側圧力Puと下流側圧力Pdとの差圧ΔPのばらつきに基づいて、個体差ばらつき及び劣化ばらつきを学習する。EGR制御装置50は、劣化ばらつきを学習する際に、ドライビングサイクルごとに学習する駆動量Snを変更し、それぞれの駆動量Snについて補正量N(Sn)を学習する。このため、駆動量Snごとに異なり得る、デポジット付着等による劣化ばらつきを抑制するための補正量N(Sn)が学習され、EGRガスの流量を精度よく制御することができる。これにより、例えば、高精度の空燃比の制御が要求されるリーン燃焼時においても、空燃比を精度よく制御することができる。
また、EGR制御装置50は、ドライビングサイクルごとに補正量N(Sn)を学習する駆動量Snを変更する。このため、1ドライビングサイクル中に、発生する差圧ΔPのばらつきを抑制可能となる所定の学習許可状態となる期間が短時間に限られるとしても、それぞれの駆動量Snについての補正量N(Sn)の学習を行える確実性が向上する。
また、EGR制御装置50は、駆動量Snにかかわらず、1ドライビングサイクルにおいては1ステップずつ加算又は減算しながら補正量N(Sn)を更新しつつ、次回のドライビングサイクル以降も補正量N(Sn)の更新を繰り返す。このため、1ドライビングサイクル中に所定の学習許可状態となる期間が短時間に限られるとしても、それぞれの駆動量Snについての補正量N(Sn)の学習精度を高めることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、高圧EGRシステムのEGRバルブ33の学習制御を例に採って説明したが、本発明はかかる例に限定されない。学習制御を行うEGRバルブは、過給機70のタービン73よりも下流側の排気通路から、過給機70のコンプレッサ71よりも上流側の吸気通路に排気を循環させる低圧EGRシステムのEGRバルブであってもよい。
10 EGRシステム
11 内燃機関
15 吸気通路
16 吸気スロットル弁
21 排気通路
27 吸気圧センサ
31 EGR通路
33 EGRバルブ
37 EGRガス圧センサ
38 EGRガス温度センサ
41 大気圧センサ
50 EGR制御装置
61 スロットル制御部
63 VVT制御部
65 EGR制御部
67 学習制御部

Claims (8)

  1. 車両に搭載された内燃機関の排気系から吸気系へ排気を再循環させるための排気再循環通路に設けられて開口面積が変化する排気再循環バルブの制御を行う排気再循環制御装置において、
    前記排気再循環バルブよりも上流側の圧力である上流側圧力と前記排気再循環バルブよりも下流側の圧力である下流側圧力との差圧を所定の基準差圧と比較することにより前記排気再循環バルブの駆動量の補正量を学習する学習制御部を備え、
    前記学習制御部は、
    学習する前記駆動量を前記車両のドライビングサイクルごとに変更し、それぞれの前記駆動量についての前記補正量を学習する、
    排気再循環制御装置。
  2. 前記学習制御部は、
    前記差圧から前記基準差圧を引いた差分が正の値のときに前記開口面積が拡大するよう前記排気再循環バルブの駆動量を所定量調整し、また、前記差圧から前記基準差圧を引いた差分が負の値のときに前記開口面積が縮小するよう前記排気再循環バルブの駆動量を所定量調整し、
    調整後の前記差分の絶対値が調整前の前記差分の絶対値を上回った場合に前記補正量を学習しない一方、調整後の前記差分の絶対値が調整前の前記差分の絶対値を下回った場合に前記所定量を補正量として学習する、
    請求項1に記載の排気再循環制御装置。
  3. 調整する前記所定量は、前記駆動量にかかわらずあらかじめ一定量に設定された値である、
    請求項2に記載の排気再循環制御装置。
  4. 前記学習制御部は、
    所定の前記駆動量について学習済みの前記補正量が存在する場合、学習済みの前記補正量を反映させた状態で学習を行い、前記補正量を更新する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気再循環制御装置。
  5. 前記基準差圧は、前記排気再循環バルブの基準品を基本駆動量にしたがって操作した場合の差圧としてあらかじめ前記駆動量ごとに設定された値である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気再循環制御装置。
  6. 前記学習制御部は、
    初回の学習時に、前記排気再循環バルブの基準品の流路が開き始める駆動量である開き始め駆動量で前記排気再循環バルブを駆動した場合における前記差圧を前記基準差圧と比較することにより、前記排気再循環バルブの駆動量にかかわらず設定されて前記排気再循環バルブの個体差のバラつきを補正する補正係数を求める、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気再循環制御装置。
  7. 前記学習制御部は、
    前記基準差圧に対する前記差圧の比に基づいて推定される流量変化率が所定値を上回ったときに、前記補正係数を再学習する、
    請求項6に記載の排気再循環制御装置。
  8. 前記学習制御部は、
    前記内燃機関が燃料噴射停止状態で駆動し、かつ、前記内燃機関の吸気スロットル弁の開度が所定の値に固定された状態で、前記補正量を学習する、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の排気再循環制御装置。
JP2018181239A 2018-09-27 2018-09-27 排気再循環制御装置 Active JP7168397B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018181239A JP7168397B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 排気再循環制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018181239A JP7168397B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 排気再循環制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020051326A true JP2020051326A (ja) 2020-04-02
JP7168397B2 JP7168397B2 (ja) 2022-11-09

Family

ID=69996499

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018181239A Active JP7168397B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 排気再循環制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7168397B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021134748A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 株式会社Subaru 排気再循環制御装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173521A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の流量制御装置
JP2017014946A (ja) * 2015-06-29 2017-01-19 ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング Egr制御方法及びegr装置
JP2018021525A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP2018145927A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 三菱電機株式会社 内燃機関の制御装置及び制御方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001173521A (ja) * 1999-12-17 2001-06-26 Mitsubishi Motors Corp 内燃機関の流量制御装置
JP2017014946A (ja) * 2015-06-29 2017-01-19 ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング Egr制御方法及びegr装置
JP2018021525A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP2018145927A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 三菱電機株式会社 内燃機関の制御装置及び制御方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021134748A (ja) * 2020-02-28 2021-09-13 株式会社Subaru 排気再循環制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7168397B2 (ja) 2022-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7801669B2 (en) Exhaust gas control system for internal combustion engine
US7305828B2 (en) Engine boost pressure control
JP4534514B2 (ja) ディーゼル機関の制御装置
EP0965740A2 (en) Turbocharger control system for turbocharged internal combustion engines equipped with exhaust gas recirculation control system
US7680586B2 (en) Mass air flow sensor signal compensation system
JP2001082197A (ja) 過給機付エンジンの吸気制御装置
WO2018135265A1 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2011055431A1 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2014169684A (ja) 内燃機関のegr制御装置
JP2005188392A (ja) 内燃機関の制御装置
US6253546B1 (en) Torque control scheme for low emission lean burn vehicle
JPS6011665A (ja) 内燃エンジンの排気還流弁制御方法
JP2004100517A (ja) 内燃機関の故障検出装置
JP4192759B2 (ja) ディーゼル機関の噴射量制御装置
JP4969546B2 (ja) 内燃機関の制御装置および方法
JP5267744B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US7769531B2 (en) Control device of internal combustion engine
US10428750B2 (en) Turbocharged internal combustion engine system
JP5146619B2 (ja) 内燃機関の制御装置
US20090306877A1 (en) Combustion control system for internal combustion engine with rich and lean operating conditions
JP2007303380A (ja) 内燃機関の排気制御装置
EP1536121B1 (en) Catalyst control apparatus for internal combustion engine and method for performing catalyst control
JP7168397B2 (ja) 排気再循環制御装置
JP4228953B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2001073789A (ja) 内燃機関の過給圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190208

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20190214

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190222

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20190410

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190411

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221027

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7168397

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150