JP2020051281A - 吐出弁ユニット - Google Patents

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雄弥 大金
Yuya Ogane
雄弥 大金
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Abstract

【課題】弁体が燃料出口と摺動することがなく、弁体のストローク量が少ない吐出弁ユニットを提供する。【解決手段】吐出弁ユニット1は、弁座4と、弁体5と、弁体5を付勢する圧縮コイルばね6と、弁体5及び圧縮コイルばね6を収容するホルダ部7とを備える。ホルダ部7は、弁座4に固定された固定部9と、燃料出口8が設けられた大径部10と、大径部10に隣接した小径部11と、弁体5の移動範囲を制限する制限壁12と、圧縮コイルばね6を支持する支持壁13とを備える。弁体5は、小径部11により摺動自在に案内された摺動壁17を備える。圧縮コイルばね6の弁座4側の部分は、摺動壁17の内側に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧燃料ポンプの加圧室からの燃料を吐出する吐出弁ユニットに関する。
従来、直噴エンジンの高圧燃料ポンプにおいては、加圧室で開弁圧まで昇圧された燃料を吐出する吐出弁ユニットが用いられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の吐出弁ユニットは、燃料入口を有する弁座と、弁座と協働する弁体と、弁体を弁座に向けて付勢する圧縮コイルばねと、弁座に固定され、圧縮コイルばねを収容するとともに、燃料出口を側壁に有するホルダ部とを備える。
この吐出弁ユニットにおいて、加圧室の圧力が開弁圧以上になると、弁体が開弁状態となって加圧室から燃料がホルダ部内に流入し、燃料出口から吐出される。加圧室の圧力が開弁圧を下回ると、再び弁体は閉弁状態に戻る。この動作を繰り返して、燃料の吐出が行われる。
この間、弁体は燃料出口の内側を摺動するので、弁体のストローク量は、燃料流量と燃料出口の周方向の幅に応じて決まる。すなわち、「ストローク量×燃料出口の幅×係数=燃料流量」の関係が成立する。
また、このような吐出弁ユニットでは、弁体が開いたときに、弁体周辺の圧力分布の偏りから弁体が傾いて不具合が生じるおそれがある。これを防止するために、特許文献1の吐出弁ユニットにおいては、弁体を案内する弁体案内手段が設けられる。弁体案内手段は、ホルダ部の内面と、これと摺動する円筒状の摺動壁とで構成される。
特開2011−80391号公報
しかしながら、上記特許文献1の吐出弁ユニットによれば、摺動壁が弁体の周縁部から弁座と反対方向に延在するようにして、弁体及び摺動壁が一部品として構成される。そして、摺動壁の内側に圧縮コイルばねの弁体側が配置される。
このため、弁体案内手段と燃料出口とが同一部位に位置し、燃料出口の端部を弁体が摺動する。これにより、該端部のめくれや、偏摩耗、ヘルツ応力の局所的な拡大により、吐出弁ユニットに損傷が生じるおそれがある。
また、弁体のストローク量は、上述のように燃料出口の幅に依存して設計されるので、このストローク量を少なくするには、燃料出口の幅を大きくしなければならない。このことは、ストローク量を少なくして圧縮コイルばねを小さくし、吐出弁ユニットのコンパクト化を図るには不都合である。
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、弁体が燃料出口と摺動することがなく、弁体のストローク量が少ない吐出弁ユニットを提供することにある。
本発明の吐出弁ユニットは、
高圧燃料ポンプの加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出弁ユニットであって、
前記加圧室に通じた燃料入口を有する弁座と、
前記弁座と協働して前記燃料入口を開閉する弁体と、
前記弁体を前記弁座に対して閉方向に付勢する圧縮コイルばねと、
前記弁座に固定され、前記弁体及び前記圧縮コイルばねを収容するとともに、前記燃料を吐出させるための燃料出口を側壁に有する中空円筒状のホルダ部とを備え、
前記ホルダ部は、その中心軸線に沿って前記弁座側から順に、
該弁座に固定された固定部と、
前記燃料出口が設けられた大径部と、
該大径部に段差部を介して隣接し、該大径部よりも径が小さい小径部と、
該小径部の端部から径方向内側に延びて前記弁体の前記弁座と反対側への移動範囲を制限する円環状の制限壁と、
該制限壁の径方向内側に位置して前記圧縮コイルばねの前記弁体と反対側の端部を支持する支持壁とを備え、
前記弁体は、その周縁部から前記弁座と反対方向に延び、前記小径部の内壁により前記中心軸線方向に摺動自在に案内され、前記弁座と反対側の端部が前記移動範囲の制限に際して前記制限壁に当接する摺動壁を備え、
前記圧縮コイルばねの前記弁座側の部分は、前記摺動壁の内側に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、ホルダ部は、大径部に燃料出口を設け、小径部により弁体の摺動壁を中心軸線方向に案内するようにしたので、燃料出口の端部を弁体が摺動して吐出弁ユニットに損傷が生じるのを防止することができる。
また、圧縮室からの燃料は、ホルダ部の大径部と閉弁状態における弁体との間の円環状空間を経て、弁体のストローク位置とは関係なく、燃料出口の全体を通して吐出される。したがって、弁体のストローク量の設定と、燃料出口の周方向の幅の設定とを独立して行うことができる。これにより、ストローク量を少なくし、圧縮コイルばねのサイズを小さくして、高圧燃料ポンプのコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る吐出弁ユニットの断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る吐出弁ユニット1を示す。この吐出弁ユニット1は、直噴エンジンの燃料供給システムの高圧燃料ポンプにおいて、燃料タンクから送られて加圧室2内に吸入され、エンジンカムの動力を利用して加圧室2で加圧された燃料を、インジェクタに通じた高圧配管側に吐出するために用いられる。
図1に示すように、吐出弁ユニット1は、加圧室2に通じた燃料入口3を有する弁座4と、弁座4と協働して燃料入口3を開閉する弁体5と、弁体5を弁座4に対して閉方向に付勢する圧縮コイルばね6と、弁座4に固定された中空円筒状のホルダ部7とを備える。ホルダ部7は、弁体5及び圧縮コイルばね6を収容するとともに、側壁に、燃料を吐出させるための燃料出口8を有する。
ホルダ部7は、その中心軸線AXに沿って弁座4側から順に、弁座4に固定された固定部9と、大径部10と、大径部10よりも径が小さい小径部11と、小径部11の端部から径方向内側に延びた円環状の制限壁12と、圧縮コイルばね6の弁体5と反対側の端部を支持する支持壁13とを備える。燃料出口8は、大径部10に設けられる。
小径部11は、大径部10に段差部14を介して隣接している。段差部14から小径部11に移行する部分は、滑らかに繋がるように、比較的大きい径Rで面取りがなされている。制限壁12は、弁体5の弁座4と反対側への移動範囲を制限する。支持壁13は、段差部15を介して制限壁12の径方向内側に隣接している。支持壁13の中央部には、弁体5が燃料による抵抗を受けることなく案内されるように、開口16が設けられる。
弁体5は、その周縁部から弁座4と反対方向に延びた円筒状の摺動壁17を備える。したがって、弁体5が閉弁状態にあるとき、摺動壁17とホルダ部7の大径部10との間に円環状空間18が形成される。
また、弁体5は、摺動壁17の内側に圧縮コイルばね6を収容するばね収容部19を構成する。圧縮コイルばね6は、弁座4側の端部がばね収容部19の底部に当接し、反対側の端部がばね収容部19の開放端から突出して支持壁13に当接するように、ばね収容部19内に収容される。
摺動壁17の弁座4と反対側の端部は、上述の弁体5の移動範囲が制限される際に、制限壁12に対して当接するように構成される。なお、図1においては、弁体5が開弁状態にあり、制限壁12に当接しているときの状態が示されている。
弁体5は、ホルダ部7の小径部11の内壁により、摺動壁17の外周面を介して、中心軸線AXに沿った方向に摺動自在に案内される。この案内に際して弁体5の摺動壁17とホルダ部7の小径部11とが摺動する面は、完全な円筒面である。
ホルダ部7の小径部11、制限壁12及び段差部15は、ホルダ部7の他の部位よりも薄肉に形成される。ホルダ部7は、プレス等の塑性加工により形成される。その際の加工硬化により、薄肉である小径部11、制限壁12及び段差部15は、他の部位に対して相対的に高硬度の部位として形成される。
この構成において、直噴エンジンの駆動による高圧燃料ポンプのプランジャの往復動に伴い、吐出弁ユニット1から高圧配管側への高圧燃料の吐出が、次のようにして繰り返される。
すなわち、プランジャが下降するときに、高圧燃料ポンプの吸入弁が開いて加圧室2に燃料が流入する。その後、プランジャが上昇するときに、吸入弁が閉じられてプランジャにより加圧室2内の燃料が圧縮される。
これにより、加圧室2内の圧力が所定の開弁圧に達すると、吐出弁ユニット1の弁体5が開弁状態となる。これにより、加圧室2内の高圧燃料が、弁体5と弁座4との間を経て弁体5とホルダ部7の大径部10との間の円環状空間18内に流入し、そして燃料出口8から吐出される。
このとき、円環状空間18内に流入した高圧燃料は、弁体5により妨げられることなく、すなわち弁体5のストローク位置とは無関係に、燃料出口8の全開口面積を経て吐出される。
プランジャが上昇から下降に転じ、加圧室2内が上記開弁圧を下回ると、弁体5が閉塞状態となって燃料の吐出が停止し、再び高圧燃料ポンプの吸入弁が開いて加圧室2への燃料の吸入が開始される。
このようにして、吐出弁ユニット1からの高圧燃料の吐出が繰り返される間、弁体5は、その摺動壁17を介してホルダ部7の小径部11により中心軸線AXに沿って案内されているので、弁座4から離れている間においても、姿勢が一定に維持される。
以上のように、本実施形態によれば、弁体5の開閉動作時に弁体5の摺動壁17がホルダ部7の小径部11により常時案内されているので、弁体5が傾くのを抑制することができる。これにより、弁体5と接触する圧縮コイルばね6の座面の移動範囲が小さくなるので、圧縮コイルばね6の横ずれや傾きを抑制することができる。
また、弁体5の摺動壁17とホルダ部7の小径部11とが摺動する面は完全な円筒面であるため、弁体5の摺動壁17における接触面圧やヘルツの応力を低減させることができる。
また、段差部14から小径部11に移行する部分が、比較的大きい径Rで面取りされているので、段差部14から小径部11に滑らかに繋がる曲面となる。これにより、段差部14における接触面圧やヘルツの応力を低減させることができる。
また、ホルダ部7の大径部10と弁体5との間に円環状空間18を有するので、これをチャンバ室として機能させ、ここから高圧燃料を燃料出口8に供給し、吐出させることができる。このため、弁体5のストローク位置に拘わらず、燃料出口8の全開口面積を経て高圧燃料の吐出が行われる。したがって、燃料出口8の幅Wと、高圧燃料の流量に応じた弁体5のストローク量とを相互に独立して設定することができる。
この結果、弁体5のストローク量を少なくし、圧縮コイルばね6のストローク量を小さくすることができる。これにより、圧縮コイルばね6の径や全長を小さくすることができる。かかる圧縮コイルばね6の小型化は、ホルダ部7をはじめとする吐出弁ユニット1の周辺部の部品の小型化に大きく寄与し、ひいては高圧燃料ポンプの小型化、低コスト化に貢献する。
さらに、ホルダ部7の小径部11、制限壁12及び段差部15は、加工硬化により硬度及び強度が他の部位よりも高いので、弁体5とホルダ部7との衝突や摺動による破損や摩耗を低減させることができる。すなわち、弁体5及びホルダ部7は、相互に摺動する部分の齧りをはじめとする破損を防止しながら、圧縮コイルばね6の姿勢の保持、弁体5の案内、弁体5の制限壁12による移動範囲の制限の3つの機能を満足することができる。
したがって、本実施形態の吐出弁ユニット1によれば、その耐久性を維持するとともに、部品点数の削減及び小型化によりコストの低減を実現することができる。
1…吐出弁ユニット、2…加圧室、3…燃料入口、4…弁座、5…弁体、6…圧縮コイルばね、7…ホルダ部、8…燃料出口、9…固定部、10…大径部、11…小径部、12…制限壁、13…支持壁、14…段差部、15…段差部、16…開口、17…摺動壁、18…円環状空間、19…ばね収容部。

Claims (1)

  1. 高圧燃料ポンプの加圧室で加圧された燃料を吐出する吐出弁ユニットであって、
    前記加圧室に通じた燃料入口を有する弁座と、
    前記弁座と協働して前記燃料入口を開閉する弁体と、
    前記弁体を前記弁座に対して閉方向に付勢する圧縮コイルばねと、
    前記弁座に固定され、前記弁体及び前記圧縮コイルばねを収容するとともに、前記燃料を吐出させるための燃料出口を側壁に有する中空円筒状のホルダ部とを備え、
    前記ホルダ部は、その中心軸線に沿って前記弁座側から順に、
    該弁座に固定された固定部と、
    前記燃料出口が設けられた大径部と、
    該大径部に段差部を介して隣接し、該大径部よりも径が小さい小径部と、
    該小径部の端部から径方向内側に延びて前記弁体の前記弁座と反対側への移動範囲を制限する円環状の制限壁と、
    該制限壁の径方向内側に位置して前記圧縮コイルばねの前記弁体と反対側の端部を支持する支持壁とを備え、
    前記弁体は、その周縁部から前記弁座と反対方向に延び、前記小径部の内壁により前記中心軸線方向に摺動自在に案内され、前記弁座と反対側の端部が前記移動範囲の制限に際して前記制限壁に当接する摺動壁を備え、
    前記圧縮コイルばねの前記弁座側の部分は、前記摺動壁の内側に配置されることを特徴とする吐出弁ユニット。
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