JP2020050600A - 新規のパーフルオロ六員環化合物 - Google Patents

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誠之 岸本
Masayuki Kishimoto
誠之 岸本
真裕 冨田
Masahiro Tomita
真裕 冨田
翼 仲上
Tsubasa Nakagami
翼 仲上
長門 康浩
Yasuhiro Nagato
康浩 長門
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Asahi Kasei Corp
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Daikin Industries Ltd
Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】新規のパーフルオロ六員環化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(1):[化1](式中、Rは、−F、又は、−CF3である。)で示されることを特徴とするパーフルオロ六員環化合物。【選択図】なし

Description

本開示は、新規のパーフルオロ六員環化合物に関する。
極性基を有するパーフルオロ環状化合物の合成は困難であり例が少ない。例えば、特許文献1には、式:
Figure 2020050600

(式中Xはフッ素および三フッ化メチル基である)を有する化合物が記載されている。
特公昭47−2083号公報
本開示の目的は、新規のパーフルオロ六員環化合物を提供することにある。
本開示は、下記一般式(1):
Figure 2020050600
(式中、Rは、−F、又は、−CFである。)で示されることを特徴とするパーフルオロ六員環化合物に関する。上記一般式(1)において、Rは−Fであることが好ましい。
本開示は、新規のパーフルオロ六員環化合物を提供する。
本発明者等が鋭意検討したところ、後述する新規な合成方法を用いることによって、極性基を有する新規なパーフルオロ六員環化合物を製造することに成功した。
以下に、本開示を詳細に説明する。
本開示のパーフルオロ六員環化合物は、下記一般式(1):
Figure 2020050600
(式中、Rは、−F、又は、−CFである。)で示されるものである。製造コストの観点から、上記一般式(1)において、Rは−Fであることが好ましい。
本開示のパーフルオロ六員環化合物は、例えば、溶媒、熱媒、反応溶媒、電解液材料等のパーフルオロ非プロトン性極性媒体として使用できる。また、電解質膜、イオン性液体等の機能性材料や、医薬の中間体等として使用することができる。
本開示のパーフルオロ六員環化合物は、下記の方法で製造することができる。
本開示のパーフルオロ六員環化合物は、下記一般式(2):
FSOCFR−CF−O−CFCFH (2)
(式中、Rは上記と同じ)で示される化合物(2)を触媒の存在下で反応させて、一般式(1):
Figure 2020050600
(式中、Rは上記と同じ。)で示される化合物を得る工程(1)を含む製造方法により得ることができる。
工程(1)における触媒としては、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド(LHMDS)等のような強塩基を触媒として用いることが好ましい。
上記触媒の量は、化合物(2)1モルに対して、0.8〜4.0モルであることが好ましく、0.9〜1.5モルであることがより好ましい。
工程(1)における温度は、反応を効率よく進行させる観点から、−100℃〜20℃であることが好ましく、−90℃〜0℃であることがより好ましい。工程(1)における圧力は特に限定されず、常圧でよい。
工程(1)の反応は、溶媒中で実施することができる。溶媒としては特に限定されないが、テトラヒドロフラン〔THF〕、ジエチルエーテル、ジグライム、トリグライム等の有機溶媒を使用できる。
工程(1)の反応は、具体的には、反応容器中に一般式(2)で示される化合物、溶媒等を添加し、反応容器中に触媒の溶液を添加する方法等により実施することができる。
反応後、反応容器中に塩酸等を滴下して、反応を停止させてもよい。
上記製造方法は、工程(1)の前に、下記一般式(3):
Figure 2020050600
(式中、Rは上記と同じ)で示される環状化合物(3)と、テトラフルオロエチレン〔TFE〕と、フッ素化金属とを反応させて化合物(2)を得る工程(2)を含んでもよい。
上記環状化合物(3)としては、テトラフルオロエタン−β−サルトン、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2−トリフルオロ−2−ヒドロキシエタンスルホン酸1,2−スルトンが挙げられる。
上記フッ素化金属としては、フッ化銀、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等が挙げられる。工程(2)におけるフッ素化金属の量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.8〜4.0モルであることが好ましく、0.9〜2.5モルであることがより好ましい。
工程(2)における温度は、例えば、−20℃〜80℃で実施することができる。好ましくは、0℃〜50℃である。工程(2)における圧力は特に限定されず、使用するTFEの量により決定すればよい。
工程(2)は硫酸の存在下で実施することが好ましい。硫酸の量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.5〜3.0モルであることが好ましく、0.8〜2.0モルであることがより好ましい。
工程(2)は溶媒中で実施することができる。溶媒としては特に限定されないが、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を使用できる。
工程(2)は、例えば、反応容器中にフッ素化金属、溶媒等を投入し、その反応容器を氷浴等により冷却しながら、反応容器中に上記環状化合物(3)を滴下すること等により実施することができる。
反応後、反応容器中に水とクロロホルムを滴下して、反応を停止させてもよい。
本開示のパーフルオロ六員環化合物は、また、下記一般式(4):
FSOCFR−CF−O−CFCFI (4)
(式中、Rは上記と同じ)で示される化合物(4)を触媒の存在下で反応させて、一般式(1):
Figure 2020050600
(式中、Rは上記と同じ。)で示される化合物を得る工程(3)を含む製造方法により得ることができる。
工程(3)における触媒としては、金属亜鉛、塩化ニッケル、トリフェニルホスフィン、金属マグネシウム、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル等が挙げられ、金属亜鉛と塩化ニッケルとトリフェニルホスフィンとを併用することが好ましい。
上記金属亜鉛と塩化ニッケルとトリフェニルホスフィンを併用する場合、化合物(4)1モルに対して、金属亜鉛が0.8〜4.0モル、塩化ニッケルが0.1〜1.5モル、トリフェニルホスフィンが0.1〜1.5モルであることが好ましい。より好ましくは、金属亜鉛が1.0〜3.0モル、塩化ニッケルが0.5〜1.2モル、トリフェニルホスフィンが0.5〜1.2モルである。
工程(3)における温度は、反応を効率よく進行させる観点から、0℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。また、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。工程(3)における圧力は特に限定されず、常圧でよい。
工程(3)の反応は、溶媒中で実施することができる。溶媒としては特に限定されないが、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の有機溶媒を使用できる。
工程(3)の反応は、具体的には、反応容器中に化合物(4)、溶媒等を添加し、反応容器中に触媒の溶液を添加する方法等により実施することができる。
反応後、反応容器中に塩酸等を滴下して、反応を停止させてもよい。
上記製造方法は、工程(3)の前に、下記一般式(3):
Figure 2020050600
(式中、Rは上記と同じ)で示される環状化合物(3)と、TFEと、フッ素化金属と、ヨウ素(I)とを、触媒の存在下で反応させて、化合物(4)を得る工程(4)を含んでもよい。
上記環状化合物(3)としては、テトラフルオロエタン−β−サルトン、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2−トリフルオロ−2−ヒドロキシエタンスルホン酸1,2−スルトンが挙げられる。
上記フッ素化金属としては、フッ化銀、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられる。工程(4)におけるフッ素化金属の量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.8〜4.0モルであることが好ましく、0.9〜3.0モルであることが好ましい。
工程(4)におけるTFEの量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.9〜3.0モルであることが好ましく、1.0〜2.0モルであることがより好ましい。
工程(4)におけるヨウ素の量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.9〜3.0モルであることが好ましく、1.0〜2.0モルであることがより好ましい。
工程(4)における触媒としては、Br、N−ブロモスクシンイミド等が挙げられる。上記触媒の量は、環状化合物(3)1モルに対して、0.1〜1.0モルであることが好ましく、0.2〜0.5モルであることがより好ましい。
工程(4)における温度は、例えば、10℃〜40℃で実施することができる。工程(4)における圧力は特に限定されず、常圧でよい。
工程(4)は溶媒中で実施することができる。溶媒としては特に限定されないが、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を使用できる。
工程(4)は、例えば、反応容器中にフッ素化金属、溶媒等を投入し、その反応容器を氷浴等により冷却しながら、反応容器中に上記環状化合物(3)を滴下した後、室温に戻して反応容器中にヨウ素、触媒、溶媒を加え、再度冷却し、気相部を真空にした後、室温に戻し、TFEを圧入することで実施することができる。反応後、反応容器中の気相を窒素置換することで反応を停止させてもよい。
つぎに本開示の新規パーフルオロ六員環化合物を実施例をあげて説明するが、本開示の新規パーフルオロ六員環化合物はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
圧力計を備えた1Lオートクレーブに、フッ化銀(I)25g(200mmol、2.0eq.)を入れて気相部を窒素置換した。脱水ジグライム200mLを添加し、オートクレーブを氷浴で冷却した後、撹拌しながらテトラフルオロエタンβ−サルトン18g(100mmol、1.0eq.)を1分かけて滴下した。次いで、硫酸15g(150mmol、1.5eq.)を添加した。オートクレーブをドライアイス−アセトンバスで冷却しながら、真空にした。室温に戻し、TFEを0.40MPaG(20g、200mmol、2.0eq.)まで圧入し、300時間経過したところで撹拌を停止した。反応液を水(200g)とクロロホルム(200g)の入った容器に滴下することで反応を停止した。ろ過後、二層分離した下層を回収し、水(200g)で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下でクロロホルムを留去し、蒸留操作によってFSOCFCFOCFCFHで示される化合物をGC純度99%で16g得た(収率52%)。
温度計を備えた100mLガラスフラスコに、FSOCFCFOCFCFHを15g(50mmol、1.0eq.)と、テトラヒドロフランを42mL加えた。反応容器を−78℃に冷却し、撹拌しながら2Mリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のTHF溶液25mL(50mmol、1.0eq.)を滴下した。−78℃で1時間撹拌し、1N塩酸(10g)を滴下することで反応を停止した。水(50g)とクロロホルム(50g)の入った容器に反応液を注ぎ、下層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、蒸留することにより下記式で表される化合物をGC純度99%で11g得た(収率75%)。
Figure 2020050600
[19F−NMR]
19F−NMR(376MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−83(4F),−119(4F)
[GCMS]
GCMS(EI)m/e:248、183、164、150、133、119、100、69
実施例2
圧力計及び攪拌機を備えた300mLオートクレーブにフッ化カリウム7.2g(120mmol、1.0eq.)、及びジグライム40gを添加した。次に、氷浴冷却下、撹拌しながら、テトラフルオロエタンβ−サルトン22g(120mmol、1.0eq.)を3分かけて滴下し、30分かけて室温に戻した。ヨウ素38g(150mmol、1.2eq.)、臭素5.0g(31mmol、0.25eq.)及びジグライム40gを添加し、氷浴冷却下、気相部の窒素置換を行った。気相部を真空(−0.08MPaG)にし、室温に戻した後、TFEを0.40MPaGまで圧入した。室温で12時間、1時間毎に0.40MPaGまでTFEを圧入する操作を繰り返した。さらに室温で12時間撹拌した後、気相を窒素置換することで反応を停止した。
反応液を水(100g)とクロロホルム(100g)の入った容器に滴下し、下層を1M亜硫酸カリウム水溶液(100g)及び水(100g)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を留去し、減圧蒸留によってFSOCFCFOCFCFIで示される化合物を純度98%で30g得た(収率56%)。
ジムロート冷却器を備えた100mLガラスフラスコに亜鉛粉末1.4g(20mmol、2.0eq.)、塩化ニッケル(II)1.3g(10mmol、1.0eq.)、及びトリフェニルホスフィン2.6g(10mmol、1.0eq.)を加え、窒素置換を行った。さらに、ジメチルアセトアミド43mL、及び、FSOCFCFOCFCFIの4.3g(10mmol、1.0eq.)を加え、100℃で2時間撹拌した。室温に戻し、1N塩酸(10g)を滴下することで反応を停止し、水(50g)とクロロホルム(50g)の入った容器に加えた。ろ過後、二層分離した下層を回収し、1N塩酸(50g)及び水(50g)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、減圧蒸留することにより下記式で表される化合物をGC純度99%で2.0g得た(収率70%)。
Figure 2020050600

Claims (2)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2020050600
    (式中、Rは、−F、又は、−CFである。)で示されることを特徴とするパーフルオロ六員環化合物。
  2. 一般式(1)において、Rは−Fである請求項1記載のパーフルオロ六員環化合物。
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