JP2020050578A - 複層ガラスの樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム、複層ガラス用樹脂製スペーサ、および複層ガラス - Google Patents
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Abstract
Description
このような複層ガラスが使用される目的は、主に窓ガラス自体からの熱の出入りを抑制する、いわゆる断熱効果を窓全体へ付与することである場合が一般的で、複層化され周辺を固定・接着・封着することにより、複数枚のガラス板間に外部から隔絶された中空層である内部気体層を形成することが必要となる。
本開示の複層ガラスの樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム(以下、単にバリアフィルムと称する場合がある。)は、複層ガラスを構成する少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置される樹脂製スペーサの上記中空層とは反対側となる面に配置されるバリアフィルムであって、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側の全面に配置された接着層とを有するものである。
このような本開示のバリアフィルムは、複層ガラスに用いられる複層ガラス用の樹脂製スペーサに用いられるものである。以下、本開示のバリアフィルムが用いられる複層ガラスについて、図面を用いて簡単に説明する。
上記スペーサ本体14は、例えば、断面六角形状の中空のパイプ材によって構成され、スペーサ本体14の中空部14Aにはゼオライト等の乾燥剤16が充填されている。また、スペーサ本体14の中空層12側の内面14Bには、中空部14Aと中空層12とを連通する貫通孔14Cが形成され、これによって、中空層12内の気体(乾燥空気もしくは不活性ガス)が乾燥剤16によって乾燥される。
本開示のバリアフィルム15は、上述した位置に配置されることにより、樹脂製のスペーサ本体14を介して外気から水蒸気が中空層12内へ侵入することや、中空層12に不活性ガスが充填されている場合においては、樹脂製のスペーサ本体14を介して不活性ガスが中空層12から外気側へ漏出すること等を防止している。
特に、本開示のバリアフィルムの接着層2を押出成形後の加熱された状態の樹脂製スペーサにロール等により圧着させることにより、樹脂製スペーサに良好な接着力を有する状態でガスバリア層を貼着することを可能とすることができる。
本開示における接着層は、ガスバリア層の一方の表面の全面に配置されているものである。
このような、本開示における接着層は、表面に粘着性を有するものであってもよいが、好ましくは表面の粘着性が小さいものが好ましい。保存時、および製造時の取り扱いが容易となるからである。
以下、本開示に用いられる接着層を構成する材料の好ましい態様について説明する。
本開示における接着層を構成する材料としては、重量平均分子量(Mw)が60000〜600000の範囲内の樹脂であることが好ましく、特に80000〜550000の範囲内、中でも100000〜500000以下の範囲内の樹脂であることが好ましい。
・装置:センシュー科学 SSC−7120 HT−GPC System
・サンプル量:溶媒3mLに対してポリエチレンフィルムの試料3mg前後
・注入量:300μL
・ガードカラム:HT−G
・カラム:HT−806M 2本
・カラム温度:145℃
・移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025wt%BHT含有)
・流速:1.0mL/min
・検出器:示差屈折計
・分子量校正:ポリスチレン換算
本開示における接着層を構成する材料としては、融点が50℃〜300℃の範囲内の樹脂が好ましく、特に60℃〜280℃の範囲、中でも70℃〜250℃の範囲内の樹脂であることが好ましい。
融点がこの範囲内の樹脂を用いることにより、上記重量平均分子量(Mw)の場合と同様に、接着層を加熱された樹脂製スペーサに圧着することにより、バリアフィルムを樹脂製スペーサに接着させることが可能となるからである。
本開示の接着層を構成する樹脂としては、樹脂製スペーサを構成する樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。このような樹脂を用いることにより、上記重量平均分子量(Mw)の場合と同様に、接着層を加熱された樹脂製スペーサに圧着することにより、バリアフィルムを樹脂製スペーサに接着させることが可能となるからである。
ここで本開示における同種の樹脂としては、樹脂を構成する構成単位のうち、最もモル比率の高い構成単位の種類が同一の樹脂としてもよく、また、樹脂を構成する構成単位の種類が同一の樹脂としてもよい。
本開示においては、樹脂製スペーサを構成する樹脂と同種の樹脂であって、上記「(1)分子量が所定の範囲内の樹脂」の項で説明した重量平均分子量を有するものや、「(2)所定の融点を有する樹脂」の項で説明した融点を有するものが好ましい。
本開示の接着層を構成する樹脂としては、変性ポリオレフィン樹脂を挙げることができる。加熱した状態の樹脂製スペーサとの接着性に優れているからである。
このような変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンを挙げることができる。このような酸変性ポリオレフィンとしては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物で変性されたポリオレフィンを用いることが好ましい。さらに、酸変性ポリオレフィンは、(メタ)アクリル酸エステルでさらに変性されていてもよい。なお、(メタ)アクリル酸エステルでさらに変性された変性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸またはその酸無水物と(メタ)アクリル酸エステルとを併用して、ポリオレフィンを酸変性することにより得られるものである。本開示において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」または「メタアクリル酸エステル」を意味する。
ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方により構成することができ、ポリプロピレンにより構成することが好ましい。ポリエチレンは、例えば、ホモポリエチレン及びエチレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。ポリプロピレンは、例えば、ホモポリプロピレン及びプロピレンコポリマーの少なくとも一方により構成することができる。プロピレンコポリマーとしては、エチレン−プロピレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマーなどのプロピレンと他のオレフィンとのコポリマーなどが挙げられる。
ポリオレフィンは、1種類のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよいし、2種類以上のホモポリマーまたはコポリマーにより形成されていてもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、酸無水物としては、上記例示した不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましく、無水マレイン酸および無水イタコン酸がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数が1以上30以下のアルコールとのエステル化物、好ましくは(メタ)アクリル酸と炭素数が1以上20以下のアルコールとのエステル化物が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。ポリオレフィンの変性において、(メタ)アクリル酸エステルは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
上記変性ポリオレフィン樹脂においても、上記「(1)分子量が所定の範囲内の樹脂」の項で説明した重量平均分子量を有するものや、「(2)所定の融点を有する樹脂」の項で説明した融点を有するものが好ましい。
本開示の接着層を構成する樹脂としては、さらに、ビニルアルコールを構成単位として含む樹脂を挙げることができる。この樹脂も、加熱した状態の樹脂製スペーサとの接着性に優れているからである。また、ビニルアルコールを構成単位として含む樹脂は、酸素透過性が低いものであることから、ガスバリア層の補完の層としても有用であるからである。
また、上述した樹脂内に無機層状化合物を分散させたものを用いることも可能である。
無機層状化合物としては、層状構造を有するものであればよく、例えば、グラファイト;リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物);カルコゲン化物;粘土鉱物等が挙げられる。中でも粘土鉱物が好ましい。
このようなゾルゲル化合物は、上記接着層としての機能と、オーバーコート層としての機能とを有する。ここで、オーバーコート層としての機能とは、樹脂基材と、上記樹脂基材上に形成された金属もしくは無機化合物の薄膜からなるガスバリア膜とを有するガスバリア層において、上記ガスバリア膜の樹脂基材とは反対側の面に上記ゾルゲル化合物を形成すると、ガスバリア層のガスバリア性を向上させるといった機能である。
したがって、後述するガスバリア層として、上記ガスバリア膜を有するガスバリア層を用いた場合、上記ガスバリア膜の基材とは反対側の表面に上記ゾルゲル化合物を形成し、これを本開示における接着層として用いることが好ましい。
本開示に用いられるガスバリア層は、所望のガスバリア性が得られるものであれば特に限定されるものではない。例えば、金属箔をガスバリア層として用いてもよく(第1態様)、樹脂基材と、その樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、金属または無機化合物を含むガスバリア膜とを有する積層体をガスバリア層として用いてもよい(第2態様)。
以下、ガスバリア層の各態様について説明する。
本開示における第1態様は、前記ガスバリア層が金属箔である態様である。このような金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属箔を挙げることができ、中でもアルミニウム箔が好適に用いられる。金属箔はガスバリア性が良好で、かつ、耐屈曲性に優れているため、ガスバリア層として金属箔を用いることにより、ガスバリア性を高いものとすることができる。
本開示における第2態様のガスバリア層は、樹脂基材と、その樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、金属もしくは無機化合物を含むガスバリア膜とを有する積層体を含むものである。本開示においては、ガスバリア層が第2態様のものであることが好ましい。上記第1態様の金属箔は熱伝導性が高く、本開示のバリアフィルムが用いられる複層ガラスの断熱性に悪影響を与える可能性があるからである。
本開示におけるガスバリア膜は、樹脂基材の片方または両方の面側に配置され、金属もしくは無機化合物を含むものであり、ガスバリア層のガスバリア性に主に寄与するものである。前記ガスバリア膜は、所望のガスバリア性を発揮できるものであれば特に限定されるものではない。このようなガスバリア性を有する膜としては、例えば、金属層、および無機化合物を主成分とする層などを用いることができる。
金属層としては、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金から構成されるものを挙げることができる。
しやすくなり可撓性が低下するおそれや、ガスバリア膜が金属や合金を含む場合、断熱性に悪影響を与えるおそれがあるからである。
上記ガスバリア膜は、単層であってもよく、2つ以上を積層したものであってもよい。2つ以上のガスバリア膜を用いる場合は、同一組成のガスバリア膜を組み合わせてもよく、異なる組成のガスバリア膜を組み合わせてもよい。
樹脂基材は、上記ガスバリア膜を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。このような樹脂基材は、通常フィルム状であり、未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
樹脂基材に用いられる樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、(メタ)アクリル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール(PVA)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセタール、セルロース等の各種の樹脂を使用することができる。本開示においては、上述の樹脂の中でも、ポリアミド、PET、ポリプロピレン等が好適に用いられ、強靭性、耐油性、耐薬品性、入手容易性等の各観点から、ポリアミドおよびPETがより好適に用いられる。
本態様のガスバリア層は、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対の面側に、オーバーコート層を有していてもよい。ガスバリア膜のガスバリア性を向上させることができるからである。このようなオーバーコート層は、特に限定されるものではなく、一般にオーバーコート剤として用いられているものを用いることができる。
オーバーコート層の厚さは、特に限定されないが、例えば、50nm以上、500nm以下の範囲内とすることができる。
オーバーコート層には種々のものがあるが、例えば、株式会社クラレ社製のクラリスタCF(登録商標)などのリン酸アルミナ系の混合化合物、凸版印刷株式会社製のベセーラ(登録商標)などのアクリル酸亜鉛系の混合化合物等を挙げることができる。
上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸系樹脂、天然高分子系のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、多糖類などが挙げられる。
本態様のガスバリア層を用いる場合は、ガスバリア性等を考慮すると、上記積層体を複数層積層してなるガスバリア層を用いることが好ましい。具体的には、2層〜4層積層することが好ましく、特に3層積層することが好ましい。
本開示のバリアフィルムは、樹脂製スペーサに接着した状態のものを含むものではなく、単体として存在する状態のものを示す。
このような単体で存在する状態としては、例えば長尺状のもの、具体的には10m以上、特に50m〜4000mの範囲内のものを挙げることができる。また、ロール状に巻回されたものであってもよい。
本開示のバリアフィルムにおける接着層が粘着性を有するものである場合は、接着層側表面に剥離シートが配置されていてもよい。
本開示のバリアフィルムは、後述する複層ガラスに用いられる複層ガラス用樹脂製スペーサに用いられる。
本開示の複層ガラス用樹脂製スペーサは、複層ガラスを構成する少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置される複層ガラス用樹脂製スペーサであって、上記複層ガラス用樹脂製スペーサは、スペーサ本体と、「A.複層ガラスの樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム」の項で説明したバリアフィルム(以下、接着層具備バリアフィルムとする場合がある。)と、を有し、上記接着層具備バリアフィルムは、上記複層ガラス用樹脂製スペーサが上記複層ガラスに介在配置された状態で、上記スペーサ本体の上記中空層側の面とは反対側の面に配置されているものである。
上記スペーサ本体14は、例えば断面六角形状の中空のパイプ材によって構成されており、内部に中空部14Aを有する。また、スペーサ本体14は、複層ガラスとした際に中空層側となる内面14B、スペーサ本体14の中空層と反対側に面する部位である外面14Dと、スペーサ本体14が上記ガラス板11,11と対向する面である対向面14Eとを有する。上記内面14Bには、複層ガラスとした際に中空層と連通する貫通孔14Cが形成されている。接着層具備バリアフィルム15は、外面14Dおよび対向面14Eを被覆するように配置されている。
本開示の複層ガラス用樹脂製スペーサは、少なくともスペーサ本体と接着層具備バリアフィルムとを有するものである。
本開示におけるスペーサ本体は、複層ガラスに用いた際に中空層側となる内面と、複層ガラスに用いた際に中空層と反対側に面する部位である外面と、複層ガラスに用いた際に、複層ガラスの2枚のガラス板と対向する対向面とを有する。
上記スペーサ本体は、内部に乾燥剤を収納する必要があるため、中空状のものが好適に用いられるが、シリコーンフォームに乾燥剤が練り込まれた中実タイプのものも例示することができる。上記中空状のスペーサ本体の場合には、内部に収納した乾燥剤を複層ガラスの中空層と連通させる必要があることから、上記内面には貫通孔が形成されていることが好ましい。
外面は、平面であってもよいが、通常は台形状に中央部が外側、すなわち中空層側とは反対側に突出した形状であり、これによりスペーサ本体の横断面形状は、内面側の二つの角が直角である6角形形状となる。
このようなスペーサ本体は、樹脂のみで構成されていてもよいが、強度の関係で、ガラス繊維等の補強剤が充填されていることが好ましい。このようなガラス繊維等の補強材の含有率は、20質量%〜50質量%が好ましく、特に30質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
本開示においては、ABS、ポリ塩化ビニル、ブチルゴムを用いることが本開示の効果を発揮するうえで好ましいものといえる。
本開示に用いられる接着層具備バリアフィルムは、「A.複層ガラスの樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム」の項で説明したものであるので、ここでの説明は、省略する。
上記接着層具備バリアフィルムの配置位置は、少なくとも上記スペーサ本体の外面に配置されていればよいが、対向面に配置されていてもよい。
本開示の複層ガラスは、少なくとも2枚のガラス板と、上記「B.複層ガラス用樹脂製スペーサ」の項で説明した複層ガラス用樹脂製スペーサとを有し、上記複層ガラス用樹脂製スペーサは、前記少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置されており、上記複層ガラス用樹脂製スペーサは、上記樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムが、前記中空層とは反対側となるように配置されているものである。
図4に本開示の複層ガラスの一例を示す。なお、図4の説明は、上記「A.複層ガラスの樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム」の項で説明したので、ここでの説明は省略する。
上記2枚のガラス板の間には、上記複層ガラス用樹脂製スペーサにより中空層が形成されているが、この中空層には、乾燥空気、もしくはアルゴン、クリプトン、ヘリウム、ネオン又はキセノン等の断熱性能を有する不活性ガスが充填されている。
このような乾燥剤としては、シリカゲル、CaCl2、Na2SO4、活性炭、ケイ酸塩、ベントナイト、ゼオライト等を挙げることができる。
また、上記複層ガラス用樹脂製スペーサの上記中空層とは反対側には、上記2枚のガラスの端辺を封止し、2枚のガラスを接着させるためのシール材が配置されている。このようなシール材としては、ポリスルフィド、シリコーン、室温硬化型シリコーンゴム、高温硬化型シリコーンゴム、過酸化硬化型シリコーンゴム、付加硬化型シリコーンゴム、ポリウレタン、ブチルゴム、またはポリアクリレート等を好適に用いることができる。
樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム作製に用いるフィルムの詳細を以下に示す。
PET12(厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5120」))の片面に酸化アルミニウム蒸着膜(Al2O3膜)が直接形成されたフィルムを準備する。
(A液)
・ポリビニルアルコール: 1.81質量%
・イソプロピルアルコール: 39.80質量%
・水: 2.09質量%
(B液)
・テトラエトキシシラン: 21.49質量%
・イソプロピルアルコール: 5.03質量%
・0.5N塩酸水溶液: 0.69質量%
・イオン交換水: 29.10質量%
(*A液とB液とを合わせて100質量%とした)
PVA(ポリビニルアルコール)の顆粒(日本酢ビ・ポバール(株)製:JF−04、ケン化度98〜99%、平均重合度400)をイオン交換水に溶解し、20質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。この水溶液にモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製:クニピアF)を固形質量中10質量%になるように添加し、攪拌して無機層状化合物含有コート溶液を調製した。
次に、上記無機層状化合物含有コート溶液を、上記PET12上にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理することにより、上記PET12上に無機層状化合物膜を直接形成し、無機層化合物+PVA/PET12を得た。
厚み150μm、オカモト株式会社製を用いた。
厚み6μm、製品名:8021、UACJ製箔社製を用いた。
厚み6μmのアルミニウム箔の一方の面に酸変性ポリプロピレン(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、30μm)を押出ラミネートしたものを用いた。
両面にコロナ処理されたPET12(厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5200」))を用いた。
上述したフィルムを下記の表1の通り積層して、実施例1〜4、および比較例1〜2の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムを調製した。
なお、下記の記載において、各フィルムの記載の順序は、層構成の順所を示すものであり、//とあるのは、接着剤により、それぞれのフィルムを接着したことを示すものである。
実施例1〜4、および比較例1〜2の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムに対し、水蒸気透過度、屈曲後の水蒸気透過度、耐久性、およびスペーサ本体との密着性について評価した。結果を表2に示す。
各評価項目における評価方法は、以下の通りである。
樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムの水蒸気透過度は、ISO 15106−5:2015に準拠して、透過面積を約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。各フィルムにつき、少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をそのフィルムの水蒸気透過度の値とした。
実施例1〜4および比較例1〜2で得たガスバリアフィルムから、それぞれ幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形のサンプルを切り出し、幅方向の両端を貼り合わせて円筒状に丸め、筒状にした試験片を作成した。この試験片の両端をゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名BE1006)の固定ヘッドと駆動ヘッドとで保持し、ASTM F392に準拠して、440度の角度でひねりを加えながら固定ヘッドと駆動ヘッドの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、さらにひねりを加えた状態を維持したままヘッドの間隔を1インチまで狭め、その後、ヘッドの間隔を3.5インチまで広げて、さらにひねりを戻しながらヘッドの間隔を7インチまで広げるという往復運動を40回/minの速さで、温度25℃で3回行った。
屈曲処理を行って得られたガスバリアフィルムの水蒸気透過度を上記と同様に測定し、それらの測定値の平均をそのフィルムの水蒸気透過度の値とした。
50℃95%RH雰囲気下で三週間保管後のガスバリアフィルムの水蒸気透過度を測定し、耐久性試験前の水蒸気透過度と比較することで耐久性評価を実施した。
[評価基準]
◎:試験前後で水蒸気透過度に変化なし
〇:試験前後の水蒸気透過度の差が0.5g/(m2・day)未満
×:試験前後の水蒸気透過度の差が0.5g/(m2・day)以上
押出成形後、加熱された状態のABS製樹脂スペーサにロールでガスバリアフィルムを圧着させることで樹脂スペーサとガスバリアフィルムを貼着させ、冷却後に筐体との密着性を評価した。
[評価基準]
〇:筐体とガスバリアフィルムが密着している
×:筐体とガスバリアフィルムが密着していない
2 … 接着層
3 … 樹脂基材
4 … ガスバリア膜
5 … 積層体
6 … オーバーコート層
11 … ガラス板
12 … 中空層
13 … 複層ガラス用樹脂製スペーサ
14 … スペーサ本体
15 … 樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム
16 … 乾燥剤
17 … シール材
Claims (9)
- 複層ガラスを構成する少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置される樹脂製スペーサの前記中空層とは反対側となる面に配置される樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムであって、
ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一方の主面側の全面に配置された接着層とを有する、樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。 - 前記接着層は、重量平均分子量が60000〜600000の範囲である樹脂で構成されている、請求項1に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。
- 前記接着層は、融点が50℃〜300℃の範囲内である樹脂で構成されている、請求項1または請求項2に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。
- 前記接着層は、前記樹脂製スペーサを構成する樹脂と同種の樹脂で構成されている、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。
- 前記接着層は、変性ポリオレフフィン樹脂で構成されている、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。
- 前記接着層は、ビニルアルコールを構成単位として含む樹脂で構成されている、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。
- 前記ガスバリア層が、基材と、前記基材の一方の主面に形成された金属または無機化合物からなるガスバリア膜とを有し、
前記接着層が、前記ガスバリア膜の前記基材とは反対側の主面に形成されている、請求項6に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルム。 - 複層ガラスを構成する少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置される複層ガラス用樹脂製スペーサであって、
前記複層ガラス用樹脂製スペーサは、スペーサ本体と、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムとを有し、
前記樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムは、前記複層ガラス用樹脂製スペーサが前記複層ガラスに介在配置された状態で、前記スペーサ本体の前記中空層側の面とは反対側の面に配置されている、複層ガラス用樹脂製スペーサ。 - 少なくとも2枚のガラス板と、請求項8に記載の複層ガラス用樹脂製スペーサとを有し、
前記複層ガラス用樹脂製スペーサは、前記少なくとも2枚のガラス板の相互間に中空層を形成すべく介在配置されており、
前記複層ガラス用樹脂製スペーサは、前記樹脂製スペーサ用ガスバリアフィルムが、前記中空層とは反対側となるように配置されている、複層ガラス。
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