JP2020049757A - 光学用光透過性積層体および光学用光透過性積層体の製造方法 - Google Patents

光学用光透過性積層体および光学用光透過性積層体の製造方法 Download PDF

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健二 木村
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【課題】耐候性に優れるとともに、基材フィルムと金属酸化物薄膜の間の密着性に優れる光学用光透過性積層体および光学用光透過性積層体の製造方法を提供する。【解決手段】ポリオレフィン層12の面上に、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層14を形成し、第1薄膜層14の面上に、銀または銀合金を含む第2薄膜層16を形成し、第2薄膜層16の面上に、チタン酸化物を含む第3薄膜層18を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、遮熱性に優れる光学用光透過性積層体および光学用光透過性積層体の製造方法に関するものである。
ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどには日射を遮蔽する目的で遮熱性を有する光透過性積層フィルムが施工されることがある。その光透過性積層フィルムの基材フィルムには、赤外線の吸収が小さいポリプロピレンフィルムが用いられることがある。
特許文献1の光透過性積層フィルムの基材フィルムには、ポリプロピレンフィルムが用いられている。特許文献1の実施例2,3には、基材フィルムの面上に、第1のチタン酸化物薄膜と、銀合金薄膜と、第2のチタン酸化物薄膜と、がこの順で積層されてなる光透過性積層フィルムが記載されている。第1のチタン酸化物薄膜は、スパッタリングによって基材フィルムの面上に金属チタン薄膜を形成した後、金属チタン薄膜を熱酸化することにより形成している。
特開2016−190409号公報
スパッタリングによって基材フィルムの面上に金属チタン薄膜を形成する場合、緻密で耐候性に優れるものとなるものの、金属チタンの成膜レートが低く成膜時の電力が高いため、基材フィルムが熱エネルギーによるダメージを受けやすく、これにより基材フィルムとチタン酸化物薄膜の間の密着性が低下しやすいことがある。
本発明が解決しようとする課題は、耐候性に優れるとともに、基材フィルムと金属酸化物薄膜の間の密着性に優れる光学用光透過性積層体および光学用光透過性積層体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る光学用光透過性積層体は、ポリオレフィン層と、第1薄膜層と、第2薄膜層と、第3薄膜層と、をこの順で有し、前記第1薄膜層が、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含み、前記第2薄膜層が、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含み、前記第3薄膜層が、チタン酸化物を含むことを要旨とするものである。
前記第1薄膜層における金属の割合は、30atm%以下であることが好ましい。前記第1薄膜層の金属酸化物は、スズ酸化物またはインジウムスズ酸化物であることが好ましい。前記第1薄膜層の厚みは、0.5〜3.0nmの範囲内であることが好ましい。前記ポリオレフィン層は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムにより構成されていることが好ましい。前記ポリオレフィン層の前記第1薄膜層側の面上に、含酸素ポリマー層を有することが好ましい。前記含酸素ポリマー層の表面酸素濃度は、10atm%以上であることが好ましい。前記含酸素ポリマー層は、前記ポリオレフィン層が表面改質されてなる改質層であってもよい。
そして、本発明に係る光学用光透過性積層体の製造方法は、ポリオレフィン層の面上に、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層を形成する第1成膜工程と、前記第1薄膜層の面上に、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む第2薄膜層を形成する第2成膜工程と、前記第2薄膜層の面上に、チタン酸化物を含む第3薄膜層を形成する第3成膜工程と、を有することを要旨とするものである。
この際、前記ポリオレフィン層の面上に含酸素ポリマー層を有し、前記含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属を成膜することにより前記金属を酸化して、前記含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層を形成することが好ましい。あるいは、前記第1薄膜層は、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物をターゲットとするスパッタにより成膜してもよい。また、前記第1薄膜層は、スズ,亜鉛、ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属とその金属の酸化物を含んだアロイをターゲットとするスパッタにより成膜してもよい。そして、前記含酸素ポリマー層は、前記ポリオレフィン層が表面改質されてなる改質層であり、前記改質層は、前記ポリオレフィン層の表面をプラズマ処理することにより形成することが好ましい。そして、前記第1薄膜層の金属酸化物および前記第2薄膜層のチタン酸化物は、成膜された金属薄膜を後酸化することにより形成してもよい。
本発明に係る光学用光透過性積層体によれば、成膜レートが高く成膜時の電力が低い、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属から第1薄膜層が形成されるため、成膜時の熱エネルギーによる基材フィルムのダメージが抑えられる。これにより、基材フィルムと金属酸化物薄膜の間の密着性に優れる。そして、ポリオレフィン層と、第1薄膜層と、第2薄膜層と、第3薄膜層と、をこの順で有し、第1薄膜層がスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含み、第2薄膜層が銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含み、第3薄膜層がチタン酸化物を含むことから、光透過性、遮熱性、断熱性といった遮熱フィルムに必要な特性を満足するとともに、耐候性にも優れる。
そして、第1薄膜層における金属の割合が30atm%以下であると、光学用光透過性積層体の光透過性に優れる。そして、第1薄膜層の金属酸化物がスズ酸化物またはインジウムスズ酸化物であると、基材フィルムと金属酸化物薄膜の間の密着性が特に優れる。そして、第1薄膜層の厚みが0.5〜3.0nmの範囲内であると、密着性とバリア性を高度に両立することができる。そして、ポリオレフィン層が二軸延伸ポリプロピレンフィルムにより構成されていると、光透過性、耐久性、加工性により優れる。そして、ポリオレフィン層の第1薄膜層側の面上に含酸素ポリマー層を有すると、第1薄膜層の成膜時に金属の酸化が促進され、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。そして、含酸素ポリマー層の表面酸素濃度が10atm%以上であると、金属の酸化促進効果に優れる。
そして、本発明に係る光学用光透過性積層体の製造方法によれば、成膜レートが高く成膜時の電力が低い、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属から第1薄膜層が形成されるため、成膜時の熱エネルギーによる基材フィルムのダメージが抑えられる。これにより、基材フィルムと金属酸化物薄膜の間の密着性に優れる。そして、ポリオレフィン層と、第1薄膜層と、第2薄膜層と、第3薄膜層と、をこの順で有し、第1薄膜層がスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含み、第2薄膜層が銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含み、第3薄膜層がチタン酸化物を含むことから、光透過性、遮熱性、断熱性といった遮熱フィルムに必要な特性を満足するとともに、耐候性にも優れる。
そして、ポリオレフィン層の面上に含酸素ポリマー層を有し、含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属を成膜することにより金属を酸化して、含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層を形成することで、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。
また、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物をターゲットとするスパッタにより第1薄膜層を成膜する場合も、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。また、スズ,亜鉛、ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属とその金属の酸化物を含んだアロイをターゲットとするスパッタにより第1薄膜層を成膜する場合も、金属のみをターゲットとする場合に比べ、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。そして、金属酸化物のみをターゲットとする場合に比べ、成膜レートが高く成膜時の電力が低いため、基材フィルムへのダメージが抑えられる。
本発明の一実施形態に係る光学用光透過性積層体の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学用光透過性積層体の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学用光透過性積層体の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光学用光透過性積層体の断面図である。
本発明に係る光学用光透過性積層体について詳細に説明する。
本発明に係る光学用光透過性積層体は、ポリオレフィン層と、第1薄膜層と、第2薄膜層と、第3薄膜層と、をこの順で有する。
図1には、本発明に係る光学用光透過性積層体の一実施形態を示す。図1に示すように、一実施形態に係る光学用光透過性積層体10は、ポリオレフィン層12と、第1薄膜層14と、第2薄膜層16と、第3薄膜層18と、をこの順で有する。第1薄膜層14は、ポリオレフィン層12に接している。第2薄膜層16は、第1薄膜層14に接している。第3薄膜層18は、第2薄膜層16に接している。
光学用光透過性積層体10において、ポリオレフィン層12は、ポリオレフィンフィルムにより構成することができる。フィルムは、薄い膜状のものであり、一般には200μm以下あるいは250μm以下の厚みのものである。ロール状に巻けるほどの柔軟性を有するものであればよく、そのようなものであれば、200μm以上あるいは250μm以上の厚いものであってもよい。フィルムは、一般にロール状物として供出される。
ポリオレフィンフィルムは、光透過性を有するものである。光透過性とは、波長領域360〜830nmにおける透過率の値が50%以上であることをいう。ポリオレフィンフィルムのポリオレフィンとしては、鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。鎖状ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。環状ポリオレフィンとしては、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、光透過性、耐久性、加工性などの観点から、ポリプロピレンが好ましい。特に、光透過性などの観点から、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましい。
第1薄膜層14は、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む。これらの金属および金属酸化物は、成膜レートが高く、成膜時の電力を低く抑えることができる。第1薄膜層14は、金属酸化物成分のみで構成されていてもよいし、金属成分が含まれていてもよい。第1薄膜層14における金属の割合は30atm%以下であることが好ましい。30atm%以下とは、金属成分が含まれていない場合も含まれる。第1薄膜層14における金属の割合が30atm%以下であると、光学用光透過性積層体10の光透過性に優れる。また、光透過性により優れるなどの観点から、第1薄膜層14における金属の割合は、より好ましくは23atm%以下である。第1薄膜層14における金属の割合は、硬X線光電子分光装置(HAXPES)を用いて測定することができる。
第1薄膜層14の金属酸化物としては、スズの酸化物、亜鉛の酸化物、ケイ素の酸化物、インジウムの酸化物、クロムの酸化物、インジウムとスズの酸化物などが挙げられる。これらは第1薄膜層14の金属酸化物として1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複合酸化物であっても良い。これらのうちでは、屈折率が比較的大きいなどの観点から、スズの酸化物、インジウムとスズの酸化物が特に好ましい。
第1薄膜層14の厚みは、0.5〜3.0nmの範囲内であることが好ましい。第1薄膜層14の厚みが0.5nm以上であると、第2薄膜層16の金属が第2薄膜層16から移行するのを抑えるバリア性を満足することができる。この観点から、より好ましくは1.0nm以上、さらに好ましくは1.5nm以上である。また、第1薄膜層14の厚みが3.0nm以下であると、成膜時の電力を低く抑えやすい。これにより、ポリオレフィン層12と第1薄膜層14の間の密着性を高くしやすい。この観点から、より好ましくは2.5nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下である。そして、第1薄膜層14の厚みが0.5〜3.0nmの範囲内であると、密着性とバリア性を高度に両立することができる。
第2薄膜層16は、遠赤外線を反射しやすい金属から構成され、日射遮蔽層として機能することができる。第2薄膜層16は、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む。これらのうちでは、光透過性、日射遮蔽性、熱線反射性が優れるなどの観点から、銀または銀合金が好ましい。そして、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀合金がさらに好ましい。銀合金としては、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金が良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等が良い。
第2薄膜層16の厚みは、3.0〜30.0nmの範囲内が好ましい。第2薄膜層16の厚みが3.0nm以上であると、安定性、遮熱性に優れる。この観点から、第2薄膜層16の厚みは、より好ましくは5.0nm以上、さらに好ましくは7.0nm以上である。また、第2薄膜層16の厚みが30.0nm以下であると、光透過性、経済性に優れる。この観点から、第2薄膜層16の厚みは、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは11nm以下である。
第3薄膜層18は、チタン酸化物を含む。第3薄膜層18は、金属酸化物成分のみで構成されていてもよいし、金属成分が含まれていてもよい。第3薄膜層18における金属の割合は30atm%以下であることが好ましい。30atm%以下とは、金属成分が含まれていない場合も含まれる。第3薄膜層18における金属の割合が30atm%以下であると、光学用光透過性積層体10の光透過性に優れる。また、光透過性により優れるなどの観点から、第3薄膜層18における金属の割合は、より好ましくは23atm%以下である。第3薄膜層18における金属の割合は、硬X線光電子分光装置(HAXPES)を用いて測定することができる。
第3薄膜層18の厚みは、1.0〜3.0nmの範囲内であることが好ましい。第3薄膜層18の厚みが1.0nm以上であると、第2薄膜層16の金属が第2薄膜層16から移行するのを抑えるバリア性を満足することができる。この観点から、より好ましくは1.5nm以上である。また、第3薄膜層18の厚みが3.0nm以下であると、光透過性に優れる。この観点から、より好ましくは2.5nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下である。そして、第3薄膜層18の厚みが1.0〜3.0nmの範囲内であると、光透過性とバリア性を高度に両立することができる。
第2薄膜層16は、遠赤外線を反射しやすい金属で構成されており、日射遮蔽層として機能する。第1薄膜層14および第3薄膜層18は、金属酸化物を含むことで、高屈折率層として機能する。高屈折率層として機能する第1薄膜層14および第3薄膜層18は、金属薄膜である第2薄膜層16とともに積層されることで光透過性を高めるなどの機能を発揮する。第1薄膜層14および第3薄膜層18は、屈折率は、1.7以上であることが好ましい。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。
光学用光透過性積層体10は、本発明に係る光学用光透過性積層体の製造方法により製造することができる。本発明に係る光学用光透過性積層体の製造方法は、ポリオレフィン層12の面上に、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層14を形成する第1成膜工程と、第1薄膜層14の面上に、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む第2薄膜層16を形成する第2成膜工程と、第2薄膜層16の面上に、チタン酸化物を含む第3薄膜層18を形成する第3成膜工程と、を有する。
各薄膜層は、スパッタ法により形成することができる。第1薄膜層14および第3薄膜層18におけるスパッタ法のターゲットは、金属であってもよいし、金属酸化物であってもよい。金属と金属酸化物のアロイであってもよい。金属をターゲットとする場合、成膜された金属薄膜を後から酸化することにより金属酸化物を含む薄膜とすることができる。金属酸化物をターゲットとする場合、酸化工程を必要としないため、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。金属と金属酸化物のアロイをターゲットとする場合、金属をターゲットとする場合と比較して成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。また、金属酸化物をターゲットとする場合と比較して成膜レートが高く成膜時の電力が低く、基材フィルムへのダメージが抑えられる。
以上の構成の光学用光透過性積層体10によれば、成膜レートが高く成膜時の電力が低い、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属または金属酸化物から第1薄膜層14が形成されるため、成膜時の熱エネルギーによる基材フィルム(ポリオレフィン層12)のダメージが抑えられる。これにより、ポリオレフィン層12と第1薄膜層14の間の密着性に優れる。そして、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む第2薄膜層16により、遮熱性に優れるものとなる。そして、第2薄膜層16の両側に金属酸化物を含む第1薄膜層14と第3薄膜層18を有することで、光透過性に優れるものとなる。そして、基材フィルムであるポリオレフィン層12は赤外線の吸収が小さいため、断熱性に優れるものとなる。そして、チタン酸化物を含む第3薄膜層18は緻密な膜となるため、耐候性に優れるものとなる。以上より、光透過性、遮熱性、断熱性といった遮熱フィルムに必要な特性を満足するとともに、耐候性にも優れる。
次に、本発明に係る光学用光透過性積層体の他の実施形態について説明する。図2には、本発明に係る光学用光透過性積層体の他の実施形態を示す。
図2に示すように、他の実施形態に係る光学用光透過性積層体20は、ポリオレフィン層12と、第1薄膜層14と、第2薄膜層16と、第3薄膜層18と、をこの順で有し、ポリオレフィン層12の第1薄膜層14側の面上に、含酸素ポリマー層22を有する。第1薄膜層14は、含酸素ポリマー層22に接している。第2薄膜層16は、第1薄膜層14に接している。第3薄膜層18は、第2薄膜層16に接している。
光学用光透過性積層体20は、光学用光透過性積層体10と比較して、含酸素ポリマー層22を有する点が相違するのみであり、その他の構成は光学用光透過性積層体10と同様であるため、その説明は省略する。
含酸素ポリマー層22は、O(酸素原子)を含む官能基を有するポリマーで構成される。O(酸素原子)を含む官能基としては、ヒドロキシ基,カルボキシル基,エステル基,ケトン基などが挙げられる。そして酸素原子を含む官能基を有するポリマーとしては、アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂などが挙げられる。
含酸素ポリマー層22は、例えば、ポリオレフィン層12の面上に含酸素ポリマーを含む組成物を塗工することにより形成することができる。あるいは、ポリオレフィン層12を表面改質することにより形成することができる。前者は、表面改質する方法よりも含酸素ポリマーの酸素含有量を調整することで高い表面酸素濃度にすることができる点で好ましい。上記表面改質の方法としては、プラズマ処理、コロナ処理、エキシマ処理、UV処理などが挙げられる。
ポリオレフィン層12の第1薄膜層14側の面上に含酸素ポリマー層22を有することで、第1薄膜層14の成膜時に金属の酸化が促進され、成膜後の酸化処理の負荷を低減することができる。そして、含酸素ポリマー層22の表面酸素濃度が10atm%以上であると、金属の酸化促進効果に優れる。含酸素ポリマー層22の表面酸素濃度は、X線光電子分光装置(XPS)を用いて測定することができる。
光学用光透過性積層体20は、次のようにして製造することができる。まず、ポリオレフィン層12の面上に含酸素ポリマー層22を形成する。次いで、含酸素ポリマー層22の面上に、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属を成膜する。このとき、含酸素ポリマー層22の表面の酸素原子により金属の酸化が促進され、含酸素ポリマー層22の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層14が形成される。次いで、第1薄膜層14の面上に、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む第2薄膜層16を形成する。次いで、第2薄膜層16の面上に、チタン酸化物を含む第3薄膜層18を形成する。
本発明に係る光学用光透過性積層体においては、表面保護層を備えていてもよい。図3には、光学用光透過性積層体10に表面保護層24を追加した光学用光透過性積層体30を示す。図4には、光学用光透過性積層体20に表面保護層24を追加した光学用光透過性積層体40を示す。
図3に示すように、光学用光透過性積層体30は、ポリオレフィン層12の一方面上に、第1薄膜層14と、第2薄膜層16と、第3薄膜層18と、をこの順で有し、ポリオレフィン層12の他方面上に、表面保護層24を有する。
図4に示すように、光学用光透過性積層体40は、ポリオレフィン層12の一方面上に、含酸素ポリマー層22と、第1薄膜層14と、第2薄膜層16と、第3薄膜層18と、をこの順で有し、ポリオレフィン層12の他方面上に、表面保護層24を有する。
表面保護層16は、最外層として配置される層であり、例えばポリオレフィン層12の表面に傷が付くのを抑える。表面保護層16は、硬化性樹脂を含む材料により形成される。硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂やアクリル樹脂などが挙げられる。シリコーン樹脂やアクリル樹脂は、熱硬化性であっても良いし、光硬化性であっても良いし、水硬化性であっても良い。アクリル樹脂としては、アクリル・ウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂、アクリル・メラミン樹脂などが挙げられる。
表面保護層16は、有機無機ハイブリッド材料で構成されていてもよい。有機無機ハイブリッド材料は、有機材料(有機成分の原料)と無機材料(無機成分の原料)により形成され、有機材料と無機材料とがナノレベルあるいは分子レベルで複合化している。有機無機ハイブリッド材料は、例えば、有機材料中に分散させた無機材料と有機材料とが重合反応などの反応を起こし、化学結合を介して無機成分が有機成分中に高分散した網目状の架橋構造を有するものである。
表面保護層16が有機無機ハイブリッド材料で構成されると、ポリオレフィン層12との密着性が良好となる。これは、表面保護層16を形成する材料に無機成分を添加することで表面保護層16の硬化収縮が抑えられるためと推察される。つまり、表面保護層16の硬化収縮が抑えられることで歪みが小さくなり、ポリオレフィン層12と表面保護層16の層間で剥離させる応力が小さくなるためと推察される。
また、表面保護層16の硬化収縮は歪みに影響することから、表面保護層16の硬化収縮はポリオレフィン層12と第1薄膜層14の密着性にも影響を与えることがある。表面保護層16が有機無機ハイブリッド材料で構成されることにより、ポリオレフィン層12と第1薄膜層14の密着性が悪化するのを抑え、良好にする。
有機無機ハイブリッド材料を形成する有機成分の原料としては、硬化性樹脂が挙げられる。硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされてもよい。また、無機成分の原料としては、金属化合物などが挙げられる。金属化合物としては、Si化合物、Ti化合物、Zr化合物などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされてもよい。これらのうちでは、耐擦傷性、耐摩耗性、汎用性などの観点から、Si化合物がより好ましい。金属化合物は、Si、Ti、Zrなどの無機成分を含有する化合物で、有機成分の原料と重合反応などの反応を起こすなどにより複合化できるものからなる。金属化合物としては、より具体的には、有機金属化合物などが挙げられる。有機金属化合物としては、シランカップリング剤、金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレート、シラザンなどが挙げられる。
有機無機ハイブリッド材料を形成する無機成分の原料の配合比率は、5.0質量%以上が好ましい。より好ましくは5.5質量%以上である。無機成分の原料の配合比率が5.0質量%以上で、ポリオレフィン層12と表面保護層16の密着性が格段に向上する。また、無機成分の原料の配合比率が5.5質量%以上で、ポリオレフィン層12と表面保護層16の密着性が特に良好となる。ポリオレフィン層12と表面保護層16の密着性は、JIS K5600−5−6に準拠する碁盤目試験により評価することができる。
また、有機無機ハイブリッド材料を形成する無機成分の原料の配合比率は、12.3質量%以下が好ましい。より好ましくは10.0質量%以下である。無機成分の原料の配合比率が12.3質量%以下であると、塗液の安定性に優れ、表面保護層16の遠赤外線の吸収が抑えられる。無機成分の原料の配合比率が10.0質量%以下であると、その効果にさらに優れる。
有機無機ハイブリッド材料からなる表面保護層16に含まれる金属成分の含有比率は、2.1質量%以上が好ましい。より好ましくは2.3質量%以上である。金属成分の含有比率が2.1質量%以上であるとポリオレフィン層12と表面保護層16の密着性が格段に向上する。また、有機無機ハイブリッド材料からなる表面保護層16に含まれる金属成分の含有比率は、5.2質量%以下が好ましい。より好ましくは4.2質量%以下である。金属成分の含有比率が5.2質量%以下であると、塗液の安定性に優れ、表面保護層16の遠赤外線の吸収が抑えられることにより断熱性(熱貫流率)の悪化が抑えられる。
有機無機ハイブリッド材料からなる表面保護層16の膜厚1μmに含まれる金属成分の含有量は、蛍光X線元素分析(XRF)を用いて、金属強度(kcps)を測定することにより調べることができる。XRF(リガク Supermini 200)を用いて、測定範囲はφ30mmの範囲とする。
例えば、金属成分がSiの場合、有機無機ハイブリッド材料からなる表面保護層16に含まれるSi強度は、0.98kcps以上が好ましい。より好ましくは1.07kcps以上である。Si強度が0.98kcps以上であると、ポリオレフィン層12と表面保護層16の密着性が格段に向上する。また、有機無機ハイブリッド材料からなる表面保護層16に含まれるSi強度は、2.44kcps以下が好ましい。より好ましくは1.96kcps以下である。Si強度が2.44kcps以下であると、塗液の安定性に優れ、表面保護層16の遠赤外線の吸収が抑えられることにより断熱性(熱貫流率)の悪化が抑えられる。
表面保護層16の厚みは、断熱性に優れる(熱貫流率を低く抑える)などの観点から、2.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.6μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、耐擦傷性に優れるなどの観点から、0.4μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上である。
本発明に係る光学用光透過性積層体10は、粘着剤を用いて窓などの被着体に貼り付けることができる。光学用光透過性積層体10〜40においては、例えば第3薄膜層18の面上に粘着剤を含む粘着層を配置し、この粘着層により、窓に貼り付けることができる。
本発明に係る光学用光透過性積層体10においては、ポリオレフィン層12は、ポリオレフィンフィルムにより構成されている。フィルムが柔らかすぎて施工性が低下する場合には、また、腰がないために巻き換え時に静電気が発生してフィルム同士がくっつく現象が生じる場合には、第3薄膜層18の面上に比較的硬い高分子フィルムを積層してもよい。これにより、施工性の低下、フィルム同士のはり付きが抑えられる。このような高分子フィルムとしては、PETフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリスチレンフィルムなどが挙げられる。追加の高分子フィルムは、粘着剤を介して第3薄膜層18の面上に積層することができる。この際、上記窓貼り用の粘着層は、追加の高分子フィルムの面上に配置する。
光学用光透過性積層体10は、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに貼付する遮熱フィルムや導電性フィルムとして好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)の一方の表面にプラズマ処理を施して表面改質することにより、OPPフィルムの面上に含酸素ポリマー層を形成した。次いで、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、金属Snをターゲットとしてスパッタリングにより含酸素ポリマー層の面上に金属Snを成膜することにより、Sn酸化物を含む第1薄膜層を形成した。次いで、第1薄膜層の面上にスパッタリングによりAg−Cu合金を含む第2薄膜層を成膜した。次いで、第2薄膜層の面上に金属Tiをターゲットとしてスパッタリングによりチタン酸化物を含む第3薄膜層を形成した。また、OPPフィルムの他方の表面に表面保護層の材料(アクリル樹脂、DIC製「UVTクリア−TEF046」)を塗布した後、乾燥・UV硬化させることにより、表面保護層を形成した。以上により、実施例1の光透過性積層体を作製した。
(実施例2〜5)
第1薄膜層のためのターゲットを表1の金属に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の光透過性積層体を作製した。
(実施例6)
プラズマ処理に代えて、含酸素ポリマーとしてアクリル樹脂を含む組成物(三井化学製「アルマテックスL1057」)を塗工した後、乾燥・硬化させて、OPPフィルムの面上に含酸素ポリマー層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例6の光透過性積層体を作製した。
(実施例7)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)を用い、プラズマ処理を行わず、Sn酸化物をターゲット(豊島製作所製「SnOx(x<1)」)としてスパッタリングにより一方の表面にSn酸化物を成膜することにより、Sn酸化物を含む第1薄膜層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例7の光透過性積層体を作製した。
(実施例8)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)を用い、プラズマ処理を行わず、Sn酸化物に金属Snを5mol%添加したアロイをターゲットとしてスパッタリングにより一方の表面にSn酸化物を成膜することにより、Sn酸化物を含む第1薄膜層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例8の光透過性積層体を作製した。
(実施例9)
第3薄膜層の面上に粘着剤(アクリル樹脂系粘着剤(東洋インキ製「主剤:BPS5260、硬化剤:BHS8515」)、厚み1.5μm)を介して高分子フィルム(PETフィルム、東洋紡製「コスモシャインA4300」、厚み38μm)を貼付した以外は実施例7と同様にして、実施例9の光透過性積層体を作製した。
(実施例10)
第一薄膜層のためのターゲットをインジウムとスズの酸化物(SnO5mol%添加)に変更した以外は実施例7と同様にして、光透過性積層体を作製した。
(比較例1)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)を用い、プラズマ処理を行わず、金属Tiをターゲットとしてスパッタリングにより一方の表面に成膜することにより、Ti酸化物を含む第1薄膜層を形成した以外は実施例7と同様にして、比較例1の光透過性積層体を作製した。
(比較例2)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)を用い、プラズマ処理を行わず、金属Snをターゲットとしてスパッタリングにより一方の表面に成膜することによりSn酸化物を含む第1薄膜層を形成し、第1薄膜層の面上にスパッタリングにより形成したAg−Cu合金を含む第2薄膜層の面上に金属Snをターゲットとしてスパッタリングにより成膜することによりSn酸化物を含む第3薄膜層を形成した以外は実施例7と同様にして、比較例2の光透過性積層体を作製した。
(比較例3)
第3薄膜層のためのターゲットを金属Snとした以外は実施例1と同様にして比較例3の光透過性積層体を作製した。
(表面酸素濃度の測定)
表面処理されていないOPPフィルム(東レ製「トレファン2500」)の表面の酸素原子数濃度(a.c%)、プラズマ処理を施したOPPフィルムの表面の酸素原子数濃度(a.c%)、OPPフィルムの面上にアクリル樹脂を含む組成物から形成した含酸素ポリマー層の表面の酸素原子数濃度(a.c%)を、X線光電子分光装置(XPS)(アルバック・ファイ製「PHI5000」)を用いて測定した。
(金属割合)
硬X線光電子分光装置(HAXPES)を用い、作製した光透過性積層体の第3薄膜層側からX線を入射し、第1薄膜層の金属種のスペクトルを測定し、波形分離により第1薄膜層の金属成分の割合を算出した。
(膜厚測定)
各薄膜層の膜厚は、電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子製「JEM2001F」)による試験片の断面観察から測定した。
作製した光透過性積層体について、光透過性、遮熱性、断熱性、耐候性、第1薄膜層の密着性を評価した。
(光透過性)
光透過性積層体の第3薄膜層の表面に、厚さ25μmのアクリル粘着シート(積水化学工業社製「5402」)を介して厚さ3mmの板ガラスを貼り付けて、試験片1を作製した。試験片1を用い、JIS A5759に準拠し、分光光度計(島津製作所製「UV3100」)で波長300nm〜1000nmの透過スペクトルを測定し、計算により可視光線透過率(%)を求めた。可視光透過率が65%以上の場合を特に良好「◎」とし、60%以上を良好「○」、60%未満を不良「×」とした。なお、実施例9では、最外層であるPETフィルムの表面にアクリル粘着シートを介して板ガラスを貼り付けて試験片1とした。
(遮熱性)
上記試験片1を用い、JIS A5759に準拠して測定した。分光光度計(島津製作所製「UV3100」)を用い、波長300〜2500nmの透過スペクトル、反射スペクトルを測定することにより、日射透過率、日射反射率、修正放射率から日射遮蔽係数を計算により求めた。修正放射率は、JIS R3106に準拠して光透過性積層体全体の垂直放射率を求め、JIS A5759に記載されている係数で補正して遮蔽係数を算出した。遮蔽係数が0.63以下の場合を良好「○」、遮蔽係数が0.63を超える場合を劣る「×」とした。
(断熱性)
上記試験片1を用い、JIS R3106に準拠し、赤外分光分析装置(島津製作所製「IRAffinity−1S」)で波数400cm−1〜4000cm−1の反射スペクトルを測定することにより垂直放射率を求めてJIS A5759に記載されている係数で補正したガラス面側およびフィルム面側の修正放射率を求め、JIS A5759の計算方法で熱貫流率(W/(m・K))を求めた。測定光は光透過性積層体(フィルム)側から入射させた。熱貫流率4.8W/(m・K)以下を断熱性に優れる「○」、熱貫流率4.8W/(m・K)超を断熱性に劣る「×」とした。
(耐候性)
上記試験片1を用い、ガラス側からキセノンランプ(出力160W/m)を1000時間照射した(測定波長300〜390nm)。分光光度計にてフィルム面入射の拡散反射率と全反射率を測定した。全反射に対する拡散反射率の比率を分光波長ごとに求め、その値を使ってJIS A5759の可視光透過率の計算式で計算した。得た値(%)が5%以下の場合を良好「○」とし、5%超えの場合を不良「×」とした。
(密着性)
上記試験片1を用い、ガラス側からキセノンランプ(出力160W/m)を1000時間照射した(測定波長300〜390nm)。JIS A5759に準拠して、180度引きはがし試験を行い、剥離力(N/25mm)を求めた。剥離力が4N/25mm以上の場合を良好「○」とし、剥離力が4N/25mm未満の場合を不良「×」とした。
Figure 2020049757
比較例1では、第1薄膜層のためのターゲットが金属チタンであり、成膜レートが低く成膜時の電力が高いため、基材のOPPフィルムが成膜時の熱エネルギーによるダメージを受け、OPPフィルムと第1薄膜層の間の密着性に劣っている。比較例2,3では、第3薄膜層のためのターゲットが金属スズであり、チタンほど緻密ではないため、耐候性に劣っている。これに対し、実施例では、第1薄膜層のためのターゲットが金属スズであり、成膜レートが高く成膜時の電力が低いため、基材のOPPフィルムが成膜時の熱エネルギーによるダメージを受けにくく、OPPフィルムと第1薄膜層の間の密着性に優れている。また、第3薄膜層のためのターゲットが金属チタンであり、第3薄膜層が緻密な膜となっているため、耐候性に優れている。また、実施例によれば、光透過性、遮熱性、断熱性といった遮熱フィルムに必要な特性も満足している。そして、実施例9によれば、PETフィルムを含むことで、全体として柔らかすぎず腰があるため、施工性の低下、フィルム同士のはり付きが抑えられる。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10,20,30,40 光学用光透過性積層体
12 ポリオレフィン層
14 第1薄膜層
16 第2薄膜層
18 第3薄膜層
22 含酸素ポリマー層
24 表面保護層

Claims (14)

  1. ポリオレフィン層と、第1薄膜層と、第2薄膜層と、第3薄膜層と、をこの順で有し、
    前記第1薄膜層が、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含み、
    前記第2薄膜層が、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含み、
    前記第3薄膜層が、チタン酸化物を含むことを特徴とする光学用光透過性積層体。
  2. 前記第1薄膜層における金属の割合が、30atm%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学用光透過性積層体。
  3. 前記第1薄膜層の金属酸化物が、スズ酸化物またはインジウムスズ酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学用光透過性積層体。
  4. 前記第1薄膜層の厚みが、0.5〜3.0nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光学用光透過性積層体。
  5. 前記ポリオレフィン層が、二軸延伸ポリプロピレンフィルムにより構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学用光透過性積層体。
  6. 前記ポリオレフィン層の前記第1薄膜層側の面上に、含酸素ポリマー層を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学用光透過性積層体。
  7. 前記含酸素ポリマー層の表面酸素濃度が、10atm%以上であることを特徴とする請求項6に記載の光学用光透過性積層体。
  8. 前記含酸素ポリマー層は、前記ポリオレフィン層が表面改質されてなる改質層であることを特徴とする請求項6または7に記載の光学用光透過性積層体。
  9. 光学用光透過性積層体の製造方法であって、
    ポリオレフィン層の面上に、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層を形成する第1成膜工程と、
    前記第1薄膜層の面上に、銀、銀合金、金、白金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1種の金属を含む第2薄膜層を形成する第2成膜工程と、
    前記第2薄膜層の面上に、チタン酸化物を含む第3薄膜層を形成する第3成膜工程と、を有することを特徴とする光学用光透過性積層体の製造方法。
  10. 前記ポリオレフィン層の面上に含酸素ポリマー層を有し、前記含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属を成膜することにより前記金属を酸化して、前記含酸素ポリマー層の面上にスズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物を含む第1薄膜層を形成することを特徴とする請求項9に記載の光学用光透過性積層体の製造方法。
  11. 前記含酸素ポリマー層は、前記ポリオレフィン層が表面改質されてなる改質層であり、前記改質層は、前記ポリオレフィン層の表面をプラズマ処理することにより形成することを特徴とする請求項10に記載の光学用光透過性積層体の製造方法。
  12. 前記第1薄膜層は、スズ,亜鉛,ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属酸化物をターゲットとするスパッタにより成膜することを特徴とする請求項9に記載の光学用光透過性積層体の製造方法。
  13. 前記第一薄膜層は、スズ,亜鉛、ケイ素,インジウム,クロムのうちの少なくとも1種の金属とその金属の酸化物を含んだアロイをターゲットとするスパッタにより成膜することを特徴とする請求項9に記載の光学用光透過性積層体の製造方法。
  14. 前記第1薄膜層の金属酸化物および前記第3薄膜層のチタン酸化物は、成膜された金属薄膜を後酸化することにより形成することを特徴とする請求項9に記載の光学用光透過性積層体の製造方法。
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