JP2020048547A - 乳酸菌、及びセロトニン分泌促進剤 - Google Patents

乳酸菌、及びセロトニン分泌促進剤 Download PDF

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Atsuhisa Nishimura
篤寿 西村
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紀之 浅井
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利彦 熊澤
淑男 西田
Yoshio Nishida
淑男 西田
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Abstract

【課題】食品適性が高く、製造し易く、更に、セロトニンの分泌を促進する能力を有する乳酸菌を提供する。【解決手段】セロトニンの分泌を促進する能力を有し、耐塩性を有する乳酸菌。【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸菌、及びセロトニン分泌促進剤に関する。更に詳しくは、食品適性が高く、製造し易く、更に、セロトニンの分泌を促進する乳酸菌、及びセロトニン分泌促進剤に関する。
乳酸菌は、古くから発酵食品の生産などに利用され、我々はこの発酵食品を通して乳酸菌を摂取してきた。そして、乳酸菌(生菌)のプロバイオティクス効果は広く認知されるに至っている。
近年、乳酸菌の加熱殺菌菌体にも健康増進効果があることが解明され、味への影響が少なく、汎用性に富むこと、工程汚染がないなど製造における使い勝手がよいこと、安定性が高いことなどの理由から健康素材として加工食品への利用が広がっている。具体的な健康増進効果としては、整腸作用、腸内細菌叢改善作用、免疫調節作用、コレステロール低減作用、抗肥満・内臓脂肪低減効果、美容効果などが報告されている。
整腸作用や美容効果を発揮する要因として、乳酸菌によるセロトニンの分泌促進効果がある(例えば、特許文献1参照)。そして、例えば、セロトニンの分泌を促進する能力を有する乳酸菌として、特定のビフィズス菌が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
このように乳酸菌は、食品を通して摂取されてきたものであるので人体に対する安全性が高く、副作用の懸念が低いという利点があることに加え、上記のような有益な作用を発揮するものである。
特開2013−224287号公報 特開2017−175949号公報
しかし、特許文献1に記載のセロトニン分泌促進剤で利用する乳酸菌や引用文献2に記載のビフィズス菌は、その生育に際して環境を十分に整える必要があったり、厳密な培養液の処理が必要であったりするなど製造に手間やコストがかかるという問題がある。
そこで、セロトニンの分泌を促進することができ、培養が容易な乳酸菌、この乳酸菌を用いることでセロトニンの分泌を促進することができ且つ製造が簡便なセロトニン分泌促進剤の開発が切望されていた。
本発明は、セロトニンの分泌を促進することができ、培養が容易な乳酸菌、この乳酸菌を含むセロトニン分泌促進剤を提供するものである。
本発明によれば、以下に示す乳酸菌、及びセロトニン分泌促進剤が提供される。
[1] セロトニンの分泌を促進させる能力を有し、耐塩性を有する乳酸菌。
[2] 味噌の醸造工程で単離される前記[1]に記載の乳酸菌。
[3] 塩分濃度12w/v%である培地で培養したときの増殖倍率が30倍以上となる前記[1]または[2]に記載の乳酸菌。
[4] 受託番号NITE BP−02318の乳酸菌である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の乳酸菌。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の乳酸菌を含有するセロトニン分泌促進剤。
[6] 整腸剤である前記[5]に記載のセロトニン分泌促進剤。
[7] 肌質改善剤である前記[5]に記載のセロトニン分泌促進剤。
本発明の乳酸菌は、食品適性が高く(即ち、安全性が高く)、培養が簡単であるため製造し易い。更に、本発明の乳酸菌は、セロトニンの分泌を促進することができるものである。
本発明のセロトニン分泌促進剤は、本発明の乳酸菌を含むものであるため、食品適性が高く(即ち、安全性が高く)且つ製造し易く、更に、セロトニンの分泌を促進することができるものである。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]乳酸菌:
本発明の乳酸菌は、セロトニンの分泌を促進させる能力を有し、耐塩性を有する乳酸菌である。この乳酸菌は、食品適性が高く(即ち、安全性が高く)、培養が簡単であるため製造し易い。更に、本発明の乳酸菌は、セロトニンの分泌を促進させる能力を有するものである。なお、本発明における乳酸菌は、テトラジェノコッカス・ハロフィラスとすることができる。
ここで、通常の乳酸菌(耐塩性などを有していない乳酸菌)を商業的に生産する場合には、菌体の濃縮や精製、培養液の処理(例えばオートクレーブ相当による殺菌)などが必要である。更に、培養の際には、雑菌などの汚染菌が混入しないような環境下を維持する必要があり、製造における手間やコストがかかっている。一方、本発明の乳酸菌は、耐塩性を有するものであるため、汚染菌が増殖し難い環境である塩分濃度の高い環境下での培養が可能であり、汚染菌の増殖を抑えた状態での培養が容易である。
本明細書において、「セロトニンの分泌を促進させる能力」を有するとは、継続的に乳酸菌を経口摂取することによって、摂取前後の比較において血中のセロトニン濃度を増加させる能力をいう。なお、より具体的には、本発明における乳酸菌を継続的に経口摂取することによって、この乳酸菌が腸内でのセロトニンの分泌を促進し、腸内のセロトニン濃度を増加させ、これにより血中のセロトニン濃度が増加する。そして、更に、腸内で分泌されたセロトニンは、脳に伝達されるので、脳内のセロトニン濃度が増加することが考えられる。
本明細書において、「耐塩性を有する」とは、塩分濃度の高い(具体的には、塩分濃度11w/v%以上)培地での培養が可能である性質を有することをいう。耐塩性の程度としては、塩分濃度12w/v%である培地で培養したときの増殖倍率が30倍以上となることが好ましい。
本発明の乳酸菌は、例えば、味噌(特に米味噌)の醸造工程で単離されたものとすることができる。米味噌の醸造工程で単離される耐塩性を有する乳酸菌としては、具体的には、商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」(イチビキ社製)などを挙げることができる。
また、「味噌の醸造工程で単離される」乳酸菌とは、味噌醸造工程における「蔵」、「室(ムロ)」、「桶」などに定着している耐塩性を有する乳酸菌のことをいう。更には、味噌の仕込みから熟成工程において増殖可能な乳酸菌のことをいう。この「味噌の醸造工程で単離される」乳酸菌は、味噌に含まれる耐塩性の乳酸菌(即ち、味噌乳酸菌)ということもでき、別言すれば、味噌由来の耐塩性の乳酸菌(即ち、味噌を起源とする耐塩性の乳酸菌)のことである。なお、本発明において、「味噌の醸造工程で単離される」乳酸菌とは、味噌の醸造工程で単離したそのものに限らず、味噌の醸造工程で単離され、その後に培養(継代培養)されたものも含む。
本発明の乳酸菌は、上述の通り、セロトニンの分泌を促進させ、耐塩性を有する乳酸菌である限り特に制限はないが、例えば、受託番号NITE BP−02318の乳酸菌であることが好ましい。
なお、受託番号NITE BP−02318の乳酸菌は、2016年8月3日(国内寄託日)に、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託され、2017年9月6日に、ブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管されている。
なお、本発明の乳酸菌は、死菌体であってもよいし生菌体であってもよい。
[2]本発明の乳酸菌の培養方法:
本発明の乳酸菌の培養条件は、特に制限はないが、例えば塩分濃度11〜18w/v%の培地で培養することができ、塩分濃度11〜16w/v%とすることが好ましく、12〜14w/v%とすることが特に好ましい。なお、「w/v%」は、(質量(g)/体積(100mL))%を意味する。
このような条件で培養すると、他の細菌(雑菌などの汚染菌)は増殖し難く、一方で、本発明の乳酸菌は培養可能であるので簡単且つ良好に本発明の乳酸菌を主として培養することができる。更には、上記範囲の塩分濃度で培養すると、耐塩性を有さない汚染菌については増菌を防止し、一方で、耐塩性スタフィロコッカス属細菌などのように耐塩性を有する細菌(耐塩性汚染菌)よりも増菌速度が速くなる。つまり、耐塩性を有する汚染菌との関係でも、当該汚染菌が増殖する前に培養を終了させて回収することができる。塩分濃度11w/v%未満の培地で培養すると、汚染菌が増殖し易くなり、十分な収量を確保することが難しくなる傾向にある。また、塩分濃度18w/v%超の培地で培養すると、汚染菌がより増殖し難くなるが、必要な収量を得るためには培養日数が長くなり、耐塩性汚染菌が増殖してしまうことにもなる。
以上のように、上記塩分濃度の培地で培養すると、密閉系の無菌培養装置などの特別な装置を用いることなく簡易な開放系の培養装置(但し、殺菌・保温ができるもの)であっても、効率的に且つ多量に本発明の乳酸菌を培養することができる。
培養温度は、20〜40℃が好ましく、28〜37℃が更に好ましい。培養時間は、24〜120時間程度であり、培養中に攪拌してもよい。また、培地のpHは、5〜9が好ましく、6〜7が更に好ましい。
培地としては、窒素源及び炭素源を含有するものを用いることができる。
窒素源としては、特に制限はなく、例えば、醤油、味噌、肉エキス、ペプトン、グルテン、カゼイン、酵母エキス、アミノ酸等を挙げることができる。また、炭素源としては、特に制限はなく、例えば、グルコース、麹消化液、米の糖化液、スクロース、澱粉、粉飴、グリセリン等を挙げることができる。更に、窒素源および炭素源の他に、無機質として、例えば、酢酸ナトリウム、マグネシウム、マンガン、鉄等の無機塩などを含有していてもよく、ビタミン類などを含有していてもよい。
[3]本発明の乳酸菌の調製方法:
本発明の乳酸菌は、培養後、殺菌などの処理を行って調製することができる。具体的には、培養終了後、遠心分離などの手段により食塩を含む培地成分を取り除き、洗浄・精製する。そして、必要な場合、加熱殺菌を行い、その後、凍結乾燥・減圧乾燥・熱風乾燥などの手段により乾燥・濃縮する。このようにして、本発明の乳酸菌を調製することができる。
なお、加熱殺菌は、特に制限はないが、具体的にはオートクレーブ殺菌(121℃、20分)または同程度の殺菌が好ましい。
[4]乳酸菌の摂取期間:
本発明の乳酸菌は、1週間以上の摂取を続けることが好ましく、2週間以上の摂取を続けることが更に好ましい。
[5]セロトニン分泌促進剤:
本発明のセロトニン分泌促進剤は、本発明の乳酸菌を含有するものであり、一定期間摂取することで、セロトニンの分泌を促進させることができるものである。そして、上記乳酸菌は、耐塩性であるために培養し易いので、当該乳酸菌を使用する本発明のセロトニン分泌促進剤は、その製造が容易になる。
ここで、セロトニンは、動植物に広く分布する生理活性アミンの一種であり、体内では主に小腸における腸クロム親和性細胞、及び腸クロム親和性細胞様細胞が産生し、腸の蠕動運動を促進する。消化管で生成されたセロトニンの一部は、血小板中に取り込まれ、血液凝固・血管収縮、疼痛閾値の調節、脳血管の収縮活動の調節に働く。
また、神経伝達物質の一種であるセロトニンは、自律神経に作用し、例えば、胃迷走神経亢進作用、皮膚動脈交感神経抑制作用、褐色脂肪組織交感神経亢進作用を発揮することになる。この点からすると、セロトニン分泌促進剤(本発明の乳酸菌を含むもの)は、そのままの状態で、または、その他の成分を添加した状態で、自律神経調節剤や整腸剤として使用することもできる。なお、胃迷走神経亢進作用とは、胃迷走神経の活動を亢進する作用を有することであり、これにより、整腸効果、便通、及び食欲を促進する効果が発揮されることが考えられる。
また、セロトニンは、血流量増加作用(血流促進作用)、及び経皮水分蒸散量低下作用(経皮水分蒸散抑制作用)を有しているため、皮膚の保湿度を高めることができる。この点からすると、セロトニン分泌促進剤(本発明の乳酸菌を含むもの)は、経口摂取によって保湿剤や血流促進剤として使用することもできる。
更に、腸管には多数の求心神経(迷走神経、脊髄求心神経)が分布しており、腸クロム親和性細胞から遊離されたセロトニンが迷走神経あるいは脊椎求心神経末端のセロトニンType3レセプターに作用し、孤束核を経由して脳へ情報を伝達していることが明らかにされつつある。また、脳内のセロトニンの増加により、脳機能の改善効果、学習能力増強効果、記憶力増強効果が発揮されることが考えられる。更には、セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあるため、ストレス改善効果や睡眠の質改善効果が発揮されることが考えられる。
本発明のセロトニン分泌促進剤は、セロトニンの分泌を促進する効果として、整腸作用、肌保湿作用、及びこれらの両方を発揮するものであるので、整腸剤や、肌の保湿剤などの肌質改善剤とすることができる。なお、本発明のセロトニン分泌促進剤を含む整腸剤、本発明のセロトニン分泌促進剤を含む肌質改善剤は、本発明の乳酸菌を用いるものであるため、上述したセロトニンの分泌を促進できることに加え、有効成分である上記乳酸菌の培養が容易であるので製造が簡便であることなどの利点がある。なお、肌質改善剤は、肌状態を改善する作用を有するものであり、例えば、肌における、水分(保湿状態)、油分、弾力(即ち、ハリ)などについて良好な状態となるように働くものである。
[5−1]乳酸菌:
本発明のセロトニン分泌促進剤は、上述した本発明の乳酸菌を有効成分として含有するものである。本発明の乳酸菌を採用することによって、腸内でのセロトニンの分泌を促進することができ、腸内のセロトニン濃度を増加させ、これにより血中のセロトニン濃度を増加させ、更に、脳内のセロトニン濃度を増加させることができる。そして、その結果として、整腸作用や美容効果(肌保湿などの肌質改善効果)、更には、脳機能改善効果、学習能力増強効果、記憶力増強効果、ストレス改善効果、睡眠の質改善効果などの作用を得ることができる。更には、この乳酸菌を採用することによって、安全性が高く、製造が容易になる。
本発明のセロトニン分泌促進剤は、本発明の乳酸菌を有効成分として含有する限りその含有割合は特に制限はなく適宜決定することができる。例えば、1回当たりの菌数で100億個(約2.5mg相当)〜5兆個(約1.25g相当)程度摂取するように、本発明の乳酸菌を含有させることができる。セロトニン分泌促進剤は、医薬品やサプリメントとして食前または食後に経口摂取すればよい。
本発明のセロトニン分泌促進剤は、本発明の乳酸菌の培養方法で得られる培養物、菌体または菌体成分を含有してもよい。
[5−2]その他の成分:
本発明のセロトニン分泌促進剤は、本発明の乳酸菌(または、培養物等を含むもの)のみから構成されていてもよいし、本発明の乳酸菌以外にその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、医薬品、医薬部外品、飲食品などの用途に合わせて適宜配合される成分を採用することができる。
医薬品、医薬部外品の場合、その他の成分としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤等を挙げることができる。なお、本発明の目的を損なわない限り、本発明の乳酸菌以外の有効成分や薬理成分を含有してもよい。
飲食品の場合、その他の成分としては、例えば、甘味料、酸味料、炭酸ガス、無機塩類、香料、果汁、ビタミン、酸化防止剤、エステル類、色素、乳化剤、保存料、調味料、野菜エキス、花蜜エキス、品質安定剤、苦味抑制剤等を挙げることができる。なお、飲食品の場合についても、本発明の目的を損なわない限り、本発明の乳酸菌以外の有効成分や薬理成分を含有してもよい。
本発明のセロトニン分泌促進剤は、任意の形態(経口摂取の形態や非経口摂取の形態)で摂取することができる。例えば、経口摂取する場合、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形状の形態、エリキシル、シロップのような液体状の形態などが挙げられる。
[6]セロトニン分泌促進剤の製造方法:
本発明のセロトニン分泌促進剤は、例えば、乳酸菌準備工程と、原料調製工程と、を備える方法により製造することができる。このような製法により、簡便にセロトニン分泌促進剤を製造することができる。この方法は、乳酸菌自体が耐塩性を有するものであるため、培養が容易であるという利点がある。
乳酸菌準備工程は、上述した本発明の乳酸菌を準備する工程である。当該乳酸菌は、種菌を入手し、この種菌を上述した方法で培養することで準備してもよいし、市販の乳酸菌(例えば、商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」(イチビキ社製)など)を購入等して準備してもよい。
原料調製工程は、乳酸菌準備工程で準備した本発明の乳酸菌と、必要に応じてその他の成分とを混合して、セロトニン分泌促進剤の原料を調製する工程である。
錠剤のような固形状の形態の場合、原料調製工程の後に、固形状の形態を形成するための工程(状態形成工程)を採用してもよい。
[7]セロトニン分泌促進剤の摂取期間:
本発明のセロトニン分泌促進剤は、1週間以上の摂取を続けることが好ましく、2週間以上の摂取を続けることが更に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
20歳以上で45歳以下の健常な日本人20名を対象に、乳酸菌の摂取前、摂取後(28日目)における血中のセロトニン濃度を測定した。なお、セロトニン濃度は、HPLC法(高速液体クロマトグラフィ法)にて測定した。結果を表1に示す。
更に、便秘傾向(摂取開始直前1週間の平均排便回数1回/日未満)にある被験者(9名)を対象として、摂取前及び摂取後(摂取期間中)の排便回数をアンケートにより調査した。結果を表2に示す。いずれの被験者も、1日における排便回数が平均1回未満という状況であり、摂取開始直前の1週間においても当該状況であった。
また、乾燥傾向(顔の肌水分が40%以下)にある被験者(6名)を対象として、摂取期間中の顔の肌の状態を、肌画像解析装置である「Robo Skin Analyzer RSA50(インフォワード社製)」で撮影し、撮影した画像を画像解析ソフトである「Clinical Suite 2.1(インフォワード社製)」を用いて解析し、顔の肌水分(%)を算出した。なお、測定は、24℃±4℃の範囲で過ごしやすい温度に設定した室内で実施した。結果を表3に示す。
摂取方法は、乳酸菌として商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」(イチビキ社製)を含む錠剤(セロトニン分泌促進剤)を、1日10錠(「蔵華乳酸菌LTK−1」を1250mg含有する)水とともに経口摂取することとした。摂取期間は、28日間とした。
なお、商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」の摂取による安全性についても確認し、副作用は確認されなかった。
経口摂取した錠剤の成分は、以下の通りである。商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」が41.7質量%、デキストリンが39.0質量%、粉末セルロースが15.0質量%、ショ糖脂肪酸エステルが2.0質量%、微粒二酸化ケイ素が2.0質量%、セラックが0.3質量%であった。
Figure 2020048547
表1から明らかなように、本発明の乳酸菌を含む錠剤(セロトニン分泌促進剤)を摂取する前に比べて、摂取した後(摂取開始から28日目)の血中のセロトニン濃度が増加することが分かる。
そして、この結果からすると、本発明の乳酸菌(及び本発明の乳酸菌を含むセロトニン分泌促進剤)は、セロトニンの分泌を促進することができることが分かる。
Figure 2020048547
表2から明らかなように、便秘傾向(摂取開始直前1週間の平均排便回数1回/日未満)にある被験者の摂取期間中(摂取開始から28日間)における排便回数が、本発明の乳酸菌を含む錠剤(セロトニン分泌促進剤)を摂取する前に比べて、増加することが分かる。具体的には、摂取開始直前1週間における排便回数は、4回(被験者9人の平均値)であったが、摂取期間中における排便回数は、1週間当たり6回(被験者9人の平均値)であった。この結果から、本発明の乳酸菌を含むもの(セロトニン分泌促進剤)は、便通を改善できること(つまり、整腸作用があること)が分かる。
Figure 2020048547
表3から明らかなように、乾燥傾向にある(肌水分が40%以下)被験者の肌水分(%)は、本発明の乳酸菌を含む錠剤(セロトニン分泌促進剤)を摂取する前に比べて、摂取した後(摂取から4週目(28日目))において増加することが分かる。この結果から、本発明の乳酸菌を含むもの(セロトニン分泌促進剤)は、肌の保湿効果を促進する作用を有することが分かる。
(乳酸菌の耐塩性評価)
培地の塩分濃度を12w/v%とした場合において、商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」を対象として、増殖倍率の試験を行った。以下に具体的に説明する。
(培地)
窒素源及び微量ミネラル分として、こいくちしょうゆ(イチビキ社製)、炭素源として、ぶどう糖(関東化学社製)を使用し、その他の原料としては、食塩(関東化学社製)と水を使用した。このようにして食品原料のみからなる培地を作成した。
上記培地は、具体的には、こいくちしょうゆが20v/v%、ぶどう糖が1.7w/v%、塩分濃度が12w/v%となるように、こいくちしょうゆ、ぶどう糖、及び食塩を水と混ぜ、その後、食品添加物の水酸化ナトリウム(関東化学社製)でpHが7.0になるように調整したものを用いた。
作製した培地を試験管(直径18mm×180mm)に10mL入れ、シリコセン(登録商標)で栓をした後、121℃、15分間オートクレーブで滅菌処理した。
(培養)
継代培養を想定して、上記培地で前培養しておいた乳酸菌を1v/v%添加した。このとき初発菌数は1.0×10cfu/mLであった。これを30℃の恒温器の中で20時間静置培養した。
(生菌数の測定)
静置培養後、生菌数の測定を行った。生菌数の測定は、「10SG10N平板培地」に希釈菌液を塗布した後、培養(30℃で4日間、嫌気培養)し、その後にコロニー数を計測することで行った。
「10SG10N平板培地」は、醤油(イチビキ社製の商品名「こいくちしょうゆ」)10v/v%、ぶどう糖1.0w/v%、酵母エキス1.0w/v%、ポリペプトン0.5w/v%、酢酸ナトリウム3水和物0.2w/v%、塩化ナトリウム10w/v%、「Tween80」0.0025w/v%、硫酸マグネシウム7水和物0.02w/v%、硫酸マンガン4水和物0.001w/v%、硫酸鉄7水和物0.001w/v%を含有する、pH6.8、寒天2w/v%のものであった。
20時間培養後の菌数を初発菌数で割った値(20時間後の菌数/初発菌数)を20時間の増殖倍率(倍/20時間)として算出した。結果を表4に示す。
Figure 2020048547
本発明の乳酸菌は、塩分濃度12w/v%でも旺盛に増殖することが分かる。一方で、通常このような塩分濃度の高い条件では他の細菌(雑菌などの汚染菌)は増殖することが難しい状態となる。そのため、敢えて高い塩分濃度の条件で乳酸菌を培養することによって、汚染菌が混入したとしても優先的に本発明の乳酸菌が培養されることになり、容易に培養物を得ることができる。
(実施例2)
20歳以上60歳以下の健常な日本人女性45名を対象とし、この対象である被験者は、乳酸菌として商品名「蔵華乳酸菌」(アダプトゲン製薬社製)(商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」(イチビキ社製)125mgを含む錠剤)を1日2錠、水とともに経口摂取した。摂取期間は2ヶ月間とした。
経口摂取した錠剤の成分は、以下の通りであった。商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」が41.7質量%、デキストリンが39.0質量%、粉末セルロースが15.0質量%、ショ糖脂肪酸エステルが2.0質量%、微粒二酸化ケイ素が2.0質量%、セラックが0.3質量%であった。
(1)排便に関する評価:
摂取直前1週間及び摂取期間中における「排便回数」と「便性状スコア」を評価し、更に、排便に関するアンケート(「排便の状態」及び「おなかの調子(総合)」に関するQOLアンケート)を実施した。結果を表5、表6、表11に示す。
(排便回数)
本実施例における「排便回数」の結果を表5に示す。
Figure 2020048547
表5から明らかなように、便秘傾向(摂取開始直前1週間の平均排便回数が1回/日未満)にある被験者(23名)の摂取期間中(摂取開始から2ヶ月間)における排便回数が、本発明の乳酸菌を含む錠剤を摂取する前に比べて、増加することがわかる。具体的には、摂取開始直前1週間における排便回数は、4.5回(被験者23人の平均値)であったが、摂取期間中における排便回数は、1週間当たり5.5回(被験者23人の平均値)であった。
(便性状スコア)
本実施例における「便性状スコア」の結果を表6に示す。
Figure 2020048547
表6から明らかなように、下痢傾向(摂取開始直前1週間の便性状スコアの平均値が3.5以上)である被験者(5名)の摂取期間中(摂取開始から2ヶ月間)における便性状スコアの平均が改善されていること(つまり、整腸作用があること)が分かる。なお、便性状スコアは、期間中の排便の度に評価(以下の1〜5のスコアを付す)を行い、被験者(5名)の平均値として算出している。
<便性状スコアの評価基準>
1:コロコロ便(即ち、硬くてコロコロの便)
2:硬い便(即ち、ソーセージ状であるが硬い便)
3:普通便(即ち、柔らかいソーセージ状もしくは蛇のようなとぐろを巻く便)
4:境界がほぐれてふにゃふにゃの泥状の便
5:固形物を含まない液体状の便
(2)インドキシル硫酸濃度の評価:
腸内の腐敗産物の一種であるインドールに着目し、摂取直前1週間及び摂取開始後2ヶ月の尿中のインドールの濃度を「腸活チェック(ヘルスケアシステムズ社製)」を用いて測定した。なお、上記「インドール」は、体内でインドキシル硫酸に変換された後に、尿と共に体外に排出される。そのため、尿中のインドキシル硫酸の濃度を測定することで、インドールの濃度の増減を評価することができる。
「インドキシル硫酸の濃度」の結果を表7に示す。
Figure 2020048547
表7より明らかなように、錠剤の経口摂取によって、腸内細菌の腐敗産物の一種であるインドール(直接の測定対象は尿中のインドキシル硫酸)が減少し、腸内環境を改善する効果があること(つまり、整腸作用があること)が分かる。
(3)ビフィドバクテリウム属細菌の占有率の評価:
被験者の腸内細菌叢を以下の方法で解析した。摂取直前1週間及び摂取開始後2ヶ月の糞便から、「QIAamp DNA Stool Mini Kit(キアゲン社製)」を用いてDNA抽出し、抽出したDNAについて、「16S Metagenomic Sequencing Library Preparation(イルミナ社製)」に準じて、V4領域の16Sライブラリーを調整した。
調整したライブラリーを「Miseq(イルミナ社製)」を用いてシークエンス(sequence)し、その後、データの解析は「BaseSpase QIIME(イルミナ社製)」にて実施した。
統計解析は、Bartlettの方法にて正規性を検定し、対応のあるt検定を実施した。この際、17名は解析時のリード数が少ないため除外した。
データ解析によって得られた「ビフィドバクテリウム属細菌の占有率(%)」の結果を表8に示す。
Figure 2020048547
表8より明らかなように、被験者の便中の細菌叢を調べた結果、善玉菌であるビフィドバクテリウム属細菌の占有率が増加していることが分かる。この結果からすると、本発明の乳酸菌が整腸作用を有することが分かる。
(4)肌状態の評価:
摂取後(摂取開始から2ヶ月後)の顔の肌の状態を、肌水分計の「モイスチャーチェッカーMY−808S」(スカラ社製)、及び、肌センサーの「トリプルセンス」(モリテックス社製)で測定した。なお、測定は、24℃±4℃の範囲で過ごしやすい温度に設定した室内で実施した。結果を表9、表10に示す。
また、2ヶ月の摂取期間終了後、アンケート(QOLアンケート:「肌のうるおい」、「肌のハリ・弾力」)を実施した。結果を表11に示す。
(肌水分(%))
本実施例における「肌水分(%)」の結果を表9に示す。
Figure 2020048547
表9から明らかなように、乾燥傾向にある(肌水分が40%以下)被験者(27名)の肌水分(%)は、本発明の乳酸菌を含む錠剤を摂取する前に比べて、摂取した後(摂取開始から2ヶ月(8週目)後)において増加することが分かる。この結果から、本発明の乳酸菌を含むものは、肌の保湿効果を促進する作用(つまり保湿作用があること)があることが分かる。
(肌状態)
「トリプルセンス」(モリテックス社製)を用いて、被験者(38名)の顔の肌における、試験前後の、水分スコア、油分スコア、及び、弾力(ハリ)スコアを測定した。結果を表10に示す。
Figure 2020048547
表10から明らかなように、本発明の乳酸菌を含む錠剤を摂取する前に比べて、摂取した後(摂取から2ヶ月(8週目))において水分スコア、油分スコア、及び、弾力(ハリ)スコアが増加しており、肌状態が改善していることが分かる。この結果から、本発明の乳酸菌を含むものは、顔の肌の保湿や顔の肌の弾力(肌のハリ)を高める作用(つまり、肌状態の改善作用がある)があることが分かる。なお、被験者の45名中、測定時の測定機器のエラー(例えばセンサーの汚れなど)により途中のデータが欠落していた7名を除外している。
(5)QOL(Quality of life)アンケート結果:
摂取2ヶ月後に被験者全員(45名)を対象にしてQOLアンケートを行った。QOLアンケートの結果を以下の表11に示す。表11に示すQOLアンケートの結果からすると、表5〜表10に示した検査データの数値の上の改善だけでなく、改善が実感できている傾向にあることが分かる。
Figure 2020048547
(実施例3)
本実施例における試験は、層別無作為化、二重盲検法によるプラセボ対照2期クロスオーバー試験で行った。本実施例では、事前検査の結果から判断して臨床的異常が認められず、前観察期間での排便回数が5回/週以下の日本人30名を対象とした。前観察期間は、試験前2週間の期間をいう。
この試験対象者30名を、年齢、男女比に偏りがないように2群(A群、B群で各15名)に分けた。そして、A群(対照食品摂取群)には、本発明の乳酸菌である商品名「蔵華乳酸菌LTK−1(イチビキ社製)」を含有しない食品(対照食品)を1日2錠、毎日、4週間経口摂取してもらい、更に、B群(被験食品摂取群)には、本発明の乳酸菌である商品名「蔵華乳酸菌LTK−1(イチビキ社製)」を含有する食品(被験食品)を1日2錠、毎日、4週間経口摂取してもらった。次に、4週間の休止期間(試験食品(被験食品及び対照食品)を摂取しない期間)を設けた後、A群に被験食品、B群に対照食品を1日2錠、毎日、4週間経口摂取してもらい、その際の整腸効果について検証した。
経口摂取した錠剤の成分割合は、具体的には、以下の通りであった。
(被験食品)
被験食品は、商品名「蔵華乳酸菌LTK−1」(イチビキ社製)が41.7質量%、デキストリンが39.0質量%、粉末セルロースが15.0質量%、ショ糖脂肪酸エステルが2.0質量%、微粒二酸化ケイ素が2.0質量%、セラックが0.3質量%であった。
(対照食品)
対照食品は、デキストリンが79.7質量%、粉末セルロースが15.0質量%、ショ糖脂肪酸エステルが2.0質量%、微粒二酸化ケイ素が2.0質量%、カラメル色素が1.0質量%、セラックが0.3質量%であった。
<結果>
(内分泌検査)
「セロトニン」について、被験食品摂取群では、本発明の乳酸菌の摂取前と比較して、摂取開始4週後で有意に高値を示していた。一方で、対照食品摂取群では、変動は認められなかった。結果を表12に示す。また、試験食品群間の比較では、実測値および変化量の摂取開始4週後で、被験食品摂取群は対照食品摂取群より有意に高値を示した。
Figure 2020048547
更に、セロトニン以外に、コルチゾールの結果について、表12に示す。
表12に示すように、コルチゾールについては、被験食品摂取群では、本発明の乳酸菌の摂取前と比較して、摂取開始4週後では上昇の程度が小さく、一方で、対照食品摂取群では、摂取開始4週後では大きく上昇していた。この結果から、本発明の乳酸菌を摂取することで、ストレスを軽減する効果が期待される。
(便性状)
被験食品摂取群では、表13に示すように、摂取開始前2週間と比較して、摂取開始後1〜2週間、及び摂取開始後3〜4週間で有意に便性状が改善していた。一方、対照食品摂取群では、便性状の改善は認められなかった。なお、便性状の評価は、被験者が目視にて確認し、以下の評点を付すことで行った(なお、排便1回あたりの評点(2週間ごとの総点数/2週間ごとの総回数)とした)。1点:コロコロ,2点:硬い,3点:やや硬い,4点:普通,5点:やや軟らかい,6点:泥状,7点:水様とした。
Figure 2020048547
(便中腐敗産物)
便中腐敗産物として、フェノール、p−クレゾール、4−エチルフェノール、及び、スカトールを対象として、本発明の乳酸菌の摂取前及び摂取開始4週後の測定を行った。なお、表14中、「摂取前」とは、試験開始日の直近で排便があった日(なお、当該排便があった日に採血を行い、セロトニン及びコルチゾールの測定を行っている)をいう。また、便中腐敗産物の測定に際して、定量下限(0.3μg/g)未満であった場合には、0.3μg/gとした。
便中腐敗産物全体の結果は、被験食品摂取群では摂取前と比較して、摂取開始4週後で低下し、一方で、対照食品摂取群では、便中腐敗産物の合計の低下は認められなかった。ここで、各成分について見ると、便中腐敗産物の中でも発がん性物質であるフェノールは、被験食品摂取群では摂取前と比較して、摂取開始4週後で有意に低下していた。一方、対照食品摂取群では、フェノールの低下は認められなかった。また、スカトールは、フェノールと同様に、被験食品摂取群では摂取前と比較して、摂取開始4週後で低下し、一方で、対照食品摂取群では、スカトールの低下は認められなかった。また、p−クレゾール及び4−エチルフェノールでは、被験食品摂取群では摂取前と比較して、摂取開始4週後で低下していた。一方、対照食品摂取群では、低下の程度は非常に小さいものであった。
Figure 2020048547
(お腹の状態)
お腹の状態は、「過剰なガスの発生」、「お腹の張り」、「ゴロゴロ感」、及び「違和感」について評価を行った。なお、「お腹の状態」の評価は、被験者が該当する項目の状態の発生を確認したか否かによって、以下の評点を付すことで行った(なお、2週間ごとの状態発生総日数とした)。0点:発生なし、1点:発生あり、とした。
「過剰なガスの発生」とは、過剰におならが出る状態(即ち、おならが頻繁に出る状態)を意味する。「お腹の張り」とは、胃や腸にガスが溜まっている状態であり、腹部膨満感のある状態ということができる。「ゴロゴロ感」とは、腹部がゴロゴロする状態を意味する。「違和感」とは、普段とは異なり腹部に異常を感じる状態を意味する。
お腹の状態のうち、特に「お腹の張り」については、被験食品摂取群では、摂取開始前2週間における状態と比較して、摂取開始後1〜2週間、及び摂取開始後3〜4週間で有意に改善していた。一方、対照食品摂取群では、「お腹の張り」の改善は認められなかった。
また、「過剰なガスの発生」については、被験食品摂取群では、摂取開始前2週間における状態と比較して、摂取開始後1〜2週間、及び摂取開始後3〜4週間で改善が確認された。一方、対照食品摂取群では、「過剰なガスの発生」の改善は認められなかった。
また、「ゴロゴロ感」及び「違和感」については、被験食品摂取群及び対照食品摂取群のいずれも違いが認められなかった。これは、本発明の乳酸菌を摂取することによっても「ゴロゴロ感」や「違和感」が生じないことを示している。
Figure 2020048547
表1、表12に示すように、本発明の乳酸菌(本発明のセロトニン分泌促進剤)は、所定期間経口摂取することでセロトニンの分泌を促進し、血中のセロトニン濃度が増加した。これは、具体的には、本発明の乳酸菌(本発明のセロトニン分泌促進剤)によって、ヒトの腸内のセロトニン濃度が増加し、これにより血中のセロトニン濃度を増加させることになる。そして、更に、腸内で分泌されたセロトニンは、脳に伝達され、脳内のセロトニン濃度を増加させる効果があると考えらえる。
実施例3(表12〜表15)の結果から、被験食品摂取による整腸作用の改善、特に、便性状改善や便中腐敗産物減少し、特に発がん性物質であるフェノールの減少の可能性が示唆された。また、表12の結果から、対照食品摂取群では、臨床試験のストレスにより血中コルチゾールの増加が認められた。一方で、被験食品摂取群では、被験食品の摂取によって、血中セロトニン濃度が上昇し、セロトニンの作用によりストレスが緩和されることで、コルチゾールの上昇が抑えられている可能性が示唆された。つまり、被験食品(本発明の乳酸菌(セロトニン分泌促進剤)を摂取することにより精神的な安定を亢進する可能性が示された。
本発明の乳酸菌は、セロトニン分泌促進剤の有効成分として利用することができる。本発明のセロトニン分泌促進剤は、ヒトの腸内におけるセロトニンの分泌を促進し、血中のセロトニン濃度を増加させ、更には脳内のセロトニン濃度を増加させるためのものとして利用することができる。
受託番号NITE BP−02318

Claims (7)

  1. セロトニンの分泌を促進させる能力を有し、耐塩性を有する乳酸菌。
  2. 味噌の醸造工程で単離される請求項1に記載の乳酸菌。
  3. 塩分濃度12w/v%である培地で培養したときの増殖倍率が30倍以上となる請求項1または2に記載の乳酸菌。
  4. 受託番号NITE BP−02318の乳酸菌である請求項1〜3のいずれか一項に記載の乳酸菌。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳酸菌を含有するセロトニン分泌促進剤。
  6. 整腸剤である請求項5に記載のセロトニン分泌促進剤。
  7. 肌質改善剤である請求項5に記載のセロトニン分泌促進剤。
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