本発明のガラス板において、全体板厚偏差は、好ましくは2μm未満、1.5μm以下、1μm以下、1μm未満、0.8μm以下、0.1〜0.9μm、特に0.2〜0.7μmである。全体板厚偏差が小さい程、加工処理の精度を高め易くなる。特に配線精度を高めることができるため、高密度の配線が可能になる。またガラス板の強度が向上して、ガラス板及び積層体が破損し難くなる。更にガラス板の再利用回数(耐用数)を増やすことができる。
本発明のガラス板は、端面の全部又は一部が溶融固化面であり、面積比で端面の70%以上が溶融固化面であることが好ましく、端面の90%以上が溶融固化面であることがより好ましく、端面の全部が溶融固化面であることが更に好ましい。端面において溶融固化面の割合が高い程、ガラス板の端面強度を高めることができる。
端面に溶融固化面を形成する方法として、種々の方法を採択することができる。例えば、バーナーで直接加熱する方法、レーザー照射により局所加熱する方法等が挙げられるが、後者の方法は、照射条件の調節により、溶融固化する領域を調節し易く、溶融固化面の膨出状態を調節し易いため好ましい。またガラス板をレーザー照射により溶断すれば、ガラス板の端面に溶融固化面を形成することもできる。レーザーとして種々のレーザーが使用可能である。例えば、CO2レーザー、YAGレーザー等が使用可能であり、特に10.6μmの波長を有するCO2レーザーを使用することが好ましい。このようにすれば、レーザーの光をガラス板に的確に吸収させることが可能になる。
端面は、端面強度を高める観点から、R状(半球状)であることが好ましい。なお、このような端面形状は、例えば、レーザー照射により、端面に球状の膨出部を形成した後に、表面から盛り上がった膨出部を研磨処理により除去することで形成することができる。
反り量は、好ましくは60μm以下、55μm以下、50μm以下、1〜45μm、特に5〜40μmである。反り量が小さい程、加工処理の精度を高め易くなる。特に配線精度を高めることができるため、高密度の配線が可能になる。更にガラス板の再利用回数(耐用数)を増やすことができる。
表面の算術平均粗さRaは、好ましくは10nm以下、5nm以下、2nm以下、1nm以下、特に0.5nm以下である。表面の算術平均粗さRaが小さい程、加工処理の精度を高め易くなる。特に配線精度を高めることができるため、高密度の配線が可能になる。またガラス板の強度が向上して、ガラス板及び積層体が破損し難くなる。更にガラス板の再利用回数(支持回数)を増やすことができる。なお、「算術平均粗さRa」は、原子間力顕微鏡(AFM)により測定可能である。
本発明のガラス板は、表面の全部又は一部が研磨面であることが好ましく、面積比で表
面の50%以上が研磨面であることがより好ましく、表面の70%以上が研磨面であることが更に好ましく、表面の90%以上が研磨面であることが特に好ましい。このようにすれば、全体板厚偏差を低減し易くなり、また反り量も低減し易くなる。
研磨処理の方法としては、種々の方法を採用することができるが、ガラス板の両面を一対の研磨パッドで挟み込み、ガラス板と一対の研磨パッドを共に回転させながら、ガラス板を研磨処理する方法が好ましい。更に一対の研磨パッドは外径が異なることが好ましく、研磨の際に間欠的にガラス板の一部が研磨パッドから食み出すように研磨処理することが好ましい。これにより、全体板厚偏差を低減し易くなり、また反り量も低減し易くなる。なお、研磨処理において、研磨深さは特に限定されないが、研磨深さは、好ましくは50μm以下、30μm以下、20μm以下、特に10μm以下である。研磨深さが小さい程、ガラス板の生産性が向上する。
本発明のガラス板は、ウエハ状(略真円状)が好ましく、その直径は100mm以上500mm以下、特に150mm以上450mm以下が好ましい。このようにすれば、半導体パッケージの製造工程に適用し易くなる。必要に応じて、それ以外の形状、例えば矩形等の形状に加工してもよい。
本発明のガラス板において、板厚は、好ましくは2.0mm未満、1.5mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、特に0.9mm以下である。板厚が薄くなる程、積層体の質量が軽くなるため、ハンドリング性が向上する。一方、板厚が薄過ぎると、ガラス板自体の強度が低下して、支持板としての機能を果たし難くなる。よって、板厚は、好ましくは0.1mm以上、0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、0.5mm以上、0.6mm以上、特に0.7mm超である。
本発明のガラス板は、以下の特性を有することが好ましい。
本発明のガラス板において、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数は0×10−7/℃以上、且つ165×10−7/℃以下が好ましい。これにより、加工基板とガラス板の熱膨張係数を整合させ易くなる。そして、両者の熱膨張係数が整合すると、加工処理時に加工基板の寸法変化(特に、反り変形)を抑制し易くなる。結果として、加工基板の一方の表面に対して、高密度に配線することが可能になり、また半田バンプを正確に形成することも可能になる。なお、「30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定可能である。
30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数は、加工基板内で半導体チップの割合が少なく、封止材の割合が多い場合は、上昇させることが好ましく、逆に、加工基板内で半導体チップの割合が多く、封止材の割合が少ない場合は、低下させることが好ましい。
30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を0×10−7/℃以上、且つ50×10−7/℃未満とする場合、ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 55〜75%、Al2O3 15〜30%、Li2O 0.1〜6%、Na2O+K2O 0〜8%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することが好ましく、或いはSiO2 55〜75%、Al2O3 10〜30%、Li2O+Na2O+K2O 0〜0.3%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜20%を含有することも好ましい。30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を50×10−7/℃以上、且つ75×10−7/℃未満とする場合、ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 55〜70%、Al2O3 3〜15%、B2O3 5〜20%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%、Na2O 5〜15%、K2O 0〜10%を含有することが好ましい。30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を75×10−7/℃以上、且つ85×10−7/℃以下とする場合、ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 60〜75%、Al2O3 5〜15%、B2O3 5〜20%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%、Na2O 7〜16%、K2O 0〜8%を含有することが好ましい。30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を85×10−7/℃超、且つ120×10−7/℃以下とする場合、ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 55〜70%、Al2O3 3〜13%、B2O3 2〜8%、MgO 0〜5%、CaO 0〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%、Na2O 10〜21%、K2O 0〜5%を含有することが好ましい。30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数を120×10−7/℃超、且つ165×10−7/℃以下とする場合、ガラス板は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 53〜65%、Al2O3 3〜13%、B2O3 0〜5%、MgO 0.1〜6%、CaO 0〜10%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%、Na2O+K2O 20〜40%、Na2O 12〜21%、K2O 7〜21%を含有することが好ましい。このようにすれば、熱膨張係数を所望の範囲に規制し易くなると共に、耐失透性が向上するため、全体板厚偏差が小さいガラス板を成形し易くなる。
ヤング率は、好ましくは65GPa以上、67GPa以上、68GPa以上、69GPa以上、70GPa以上、71GPa以上、72GPa以上、特に73GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、積層体の剛性を維持し難くなり、加工基板の変形、反り、破損が発生し易くなる。
液相温度は、好ましくは1150℃未満、1120℃以下、1100℃以下、1080℃以下、1050℃以下、1010℃以下、980℃以下、960℃以下、950℃以下、特に940℃以下である。このようにすれば、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなるため、板厚が小さいガラス板を作製し易くなると共に、成形後の板厚偏差を低減することができる。更に、ガラス板の製造工程時に、失透結晶が発生して、ガラス板の生産性が低下する事態を防止し易くなる。ここで、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶が析出する温度を測定することにより算出可能である。
液相温度における粘度は、好ましくは104.6dPa・s以上、105.0dPa・s以上、105.2dPa・s以上、105.4dPa・s以上、105.6dPa・s以上、特に105.8dPa・s以上である。このようにすれば、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなるため、板厚が小さいガラス板を作製し易くなると共に、成形後の板厚偏差を低減することができる。更に、ガラス板の製造工程時に、失透結晶が発生して、ガラス板の生産性が低下する事態を防止し易くなる。ここで、「液相温度における粘度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。なお、液相温度における粘度は、成形性の指標であり、液相温度における粘度が高い程、成形性が向上する。
102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1580℃以下、1500℃以下、1450℃以下、1400℃以下、1350℃以下、特に1200〜1300℃である。102.5dPa・sにおける温度が高くなると、溶融性が低下して、ガラス板の製造コストが高騰する。ここで、「102.5dPa・sにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。なお、102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当し、この温度が低い程、溶融性が向上する。
本発明のガラス板において、板厚方向、波長300nmにおける紫外線透過率は、好ましくは40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、特に80%以上である。紫外線透過率が低過ぎると、紫外光の照射により、接着層により加工基板とガラス板を接着し難くなることに加えて、剥離層により加工基板からガラス板を剥離し難くなる。なお、「板厚方向、波長300nmにおける紫外線透過率」は、例えば、ダブルビーム型分光光度計を用いて、波長300nmの分光透過率を測定することで評価可能である。
本発明のガラス板は、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下頂端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス原板を成形する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、板厚が小さいガラス板を作製し易くなると共に、全体板厚偏差を低減することができ、結果として、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
ガラス原板の成形方法として、オーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、スロットダウン法、リドロー法、フロート法、ロールアウト法等を採択することもできる。
本発明のガラス板は、表面に研磨面を有し、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。このようにすれば、研磨処理前の全体板厚偏差が小さくなるため、研磨処理により全体板厚偏差を可及的に低減することが可能になる。例えば、全体板厚偏差を1.0μm以下に低減することが可能になる。
本発明のガラス板は、反り量を低減する観点から、化学強化処理がなされていないことが好ましい。一方、機械的強度の観点から、化学強化処理がなされていることが好ましい。つまり反り量を低減する観点から、表面に圧縮応力層を有しないことが好ましく、機械的強度の観点から、表面に圧縮応力層を有することが好ましい。
本発明のガラス板の製造方法は、(1)ガラス原板を切断して、ガラス板を得る工程と、(2)レーザー照射により、ガラス板の端面の一部又は全部を溶融した後、固化する工程と、(3)ガラス板の全体板厚偏差が2.0μm未満になるように、ガラス板の表面を研磨する工程と、を有することを特徴とする。ここで、本発明のガラス板の製造方法の技術的特徴(好適な構成、効果)は、本発明のガラス板の技術的特徴と重複する。よって、本明細書では、その重複部分について、詳細な記載を省略する。
本発明のガラス板の製造方法は、ガラス原板を切断して、ガラス板を得る工程を有する。ガラス原板を切断する方法として、種々の方法を採択することができる。例えば、レーザー照射時のサーマルショックにより切断する方法、スクライブした後に折り割りを行う方法が利用可能である。
本発明のガラス板の製造方法は、レーザー照射により、ガラス板の端面の一部又は全部を溶融した後、固化する工程を有するが、この工程の好適な態様は上記の通りである。
本発明のガラス板の製造方法は、ガラス板の端面に溶融固化面を形成した後に、ガラス板をアニールする工程を有することが好ましい。端面の残留応力とガラス板の反り量を低減する観点から、アニール温度は、ガラス板の軟化点以上とすることが好ましく、アニール温度における保持時間は、30分間以上とすることが好ましい。なお、アニールは、電気炉等の熱処理炉で行うことができる。
本発明のガラス板の製造方法は、本発明のガラス板の製造方法は、ガラス板の全体板厚偏差が2.0μm未満になるように、ガラス板の表面を研磨する工程を有するが、この工程の好適な態様は上記の通りである。
本発明の積層体は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するためのガラス板とを備える積層体であって、ガラス板が上記のガラス板であることを特徴とする。ここで、本発明の積層体の技術的特徴(好適な構成、効果)は、本発明のガラス板の技術的特徴と重複する。よって、本明細書では、その重複部分について、詳細な記載を省略する。
本発明の積層体は、加工基板とガラス板の間に、接着層を有することが好ましい。接着層は、樹脂であることが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化樹脂)等が好ましい。また半導体パッケージの製造工程における熱処理に耐える耐熱性を有するものが好ましい。これにより、半導体パッケージの製造工程で接着層が融解し難くなり、加工処理の精度を高めることができる。
本発明の積層体は、更に加工基板とガラス板の間に、より具体的には加工基板と接着層の間に、剥離層を有すること、或いはガラス板と接着層の間に、剥離層を有することが好ましい。このようにすれば、加工基板に対して、所定の加工処理を行った後に、加工基板をガラス板から剥離し易くなる。加工基板の剥離は、生産性の観点から、レーザー照射等により行うことが好ましい。
剥離層は、レーザー照射等により「層内剥離」又は「界面剥離」が生じる材料で構成される。つまり一定の強度の光を照射すると、原子又は分子における原子間又は分子間の結合力が消失又は減少して、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離を生じさせる材料で構成される。なお、照射光の照射により、剥離層に含まれる成分が気体となって放出されて分離に至る場合と、剥離層が光を吸収して気体になり、その蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。
本発明の積層体において、ガラス板は、加工基板よりも大きいことが好ましい。これにより、加工基板とガラス板を支持する際に、両者の中心位置が僅かに離間した場合でも、ガラス板から加工基板の縁部が食み出し難くなる。
本発明に係る半導体パッケージの製造方法は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するためのガラス板とを備える積層体を用意する工程と、加工基板に対して、加工処理を行う工程と、を有すると共に、ガラス板が上記のガラス板であることを特徴とする。ここで、本発明に係る半導体パッケージの製造方法の技術的特徴(好適な構成、効果)は、本発明のガラス板及び積層体の技術的特徴と重複する。よって、本明細書では、その重複部分について、詳細な記載を省略する。
本発明に係る半導体パッケージの製造方法は、少なくとも加工基板と加工基板を支持するためのガラス板とを備える積層体を用意する工程を有する。少なくとも加工基板と加工基板を支持するためのガラス板とを備える積層体は、上記の材料構成を有している。
本発明に係る半導体パッケージの製造方法は、更に積層体を搬送する工程を有することが好ましい。これにより、加工処理の処理効率を高めることができる。なお、「積層体を搬送する工程」と「加工基板に対して、加工処理を行う工程」とは、別途に行う必要はなく、同時であってもよい。
本発明に係る半導体パッケージの製造方法において、加工処理は、加工基板の一方の表面に配線する処理、或いは加工基板の一方の表面に半田バンプを形成する処理が好ましい。本発明に係る半導体パッケージの製造方法では、これらの処理時に加工基板が寸法変化し難いため、これらの工程を適正に行うことができる。
加工処理として、上記以外にも、加工基板の一方の表面(通常、ガラス板とは反対側の表面)を機械的に研磨する処理、加工基板の一方の表面(通常、ガラス板とは反対側の表面)をドライエッチングする処理、加工基板の一方の表面(通常、ガラス板とは反対側の表面)をウェットエッチングする処理の何れかであってもよい。なお、本発明の半導体パッケージの製造方法では、加工基板に反りが発生し難いと共に、積層体の剛性を維持することができる。結果として、上記加工処理を適正に行うことができる。
本発明に係る半導体パッケージは、上記の半導体パッケージの製造方法により作製されたことを特徴とする。ここで、本発明の半導体パッケージの技術的特徴(好適な構成、効果)は、本発明のガラス板、積層体及び半導体パッケージの製造方法の技術的特徴と重複する。よって、本明細書では、その重複部分について、詳細な記載を省略する。
本発明に係る電子機器は、半導体パッケージを備える電子機器であって、半導体パッケージが、上記の半導体パッケージであることを特徴とする。ここで、本発明の電子機器の技術的特徴(好適な構成、効果)は、本発明のガラス板、積層体、半導体パッケージの製造方法、半導体パッケージの技術的特徴と重複する。よって、本明細書では、その重複部分について、詳細な記載を省略する。
図面を参酌しながら、本発明を更に説明する。
図3は、本発明の積層体1の一例を示す概念斜視図である。図3では、積層体1は、ガラス板10と加工基板11とを備えている。ガラス板10は、加工基板11の寸法変化を防止するために、加工基板11に貼着されている。ガラス板10と加工基板11との間には、剥離層12と接着層13が配置されている。剥離層12は、ガラス板10と接触しており、接着層13は、加工基板11と接触している。
図3から分かるように、積層体1は、ガラス板10、剥離層12、接着層13、加工基板11の順に積層配置されている。ガラス板10の形状は、加工基板11に応じて決定されるが、図3では、ガラス板10及び加工基板11の形状は、何れも略円板形状である。剥離層12は、非晶質シリコン(a−Si)以外にも、酸化ケイ素、ケイ酸化合物、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン等が用いられる。剥離層12は、プラズマCVD、ゾル−ゲル法によるスピンコート等により形成される。接着層13は、樹脂で構成されており、例えば、各種印刷法、インクジェット法、スピンコート法、ロールコート法等により塗布形成される。接着層13は、剥離層12により加工基板11からガラス板10が剥離された後、溶剤等により溶解除去される。
図4は、fan out型のWLPの製造工程を示す概念断面図である。図4(a)は、支持部材20の一方の表面上に接着層21を形成した状態を示している。必要に応じて、支持部材20と接着層21の間に剥離層を形成してもよい。次に、図4(b)に示すように、接着層21の上に複数の半導体チップ22を貼付する。その際、半導体チップ22のアクティブ側の面を接着層21に接触させる。次に、図4(c)に示すように、半導体チップ22を樹脂の封止材23でモールドする。封止材23は、圧縮成形後の寸法変化、配線を成形する際の寸法変化が少ない材料が使用される。続いて、図4(d)、(e)に示すように、支持部材20から半導体チップ22がモールドされた加工基板24を分離した後、接着層25を介して、ガラス板26と接着固定させる。その際、加工基板24の表面の内、半導体チップ22が埋め込まれた側の表面とは反対側の表面がガラス板26側に配置される。このようにして、積層体27を得ることができる。なお、必要に応じて、接着層25とガラス板26の間に剥離層を形成してもよい。更に、得られた積層体27を搬送した後に、図4(f)に示すように、加工基板24の半導体チップ22が埋め込まれた側の表面に配線28を形成した後、複数の半田バンプ29を形成する。最後に、ガラス板26から加工基板24を分離した後に、加工基板24を半導体チップ22毎に切断し、後のパッケージング工程に供される。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
ガラス組成として、質量%で、SiO2 65.2%、Al2O3 8%、B2O3 10.5%、Na2O 11.5%、CaO 3.4%、ZnO 1%、SnO2 0.3%、Sb2O3 0.1%になるように、ガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉に投入して1500〜1600℃で溶融し、次いで溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー成形装置に供給し、板厚が0.7mmになるように成形した。
次に、得られたガラス原板をウエハ形状にくり抜いて、ガラス板を得ると共に、このガラス板の端面の全部に対して、CO2レーザーを連続して照射することにより、ガラス板の端面全体を溶融し、球状の膨出部を形成した後、冷却固化した。更に(ガラス板の軟化点+50℃)の温度で90分間の条件で、ガラス板をアニールすることにより、膨出部の残留応力を除去した。なお、CO2レーザーの波長は10.6μmであり、レーザー出力を9〜18Wに調整した。
続いて、ガラス板の表面を研磨装置で研磨処理することにより、ガラス板の膨出部を除去すると共に、ガラス板の全体板厚偏差を低減した。具体的には、ガラス板の両表面を外径が相違する一対の研磨パットで挟み込み、ガラス板と一対の研磨パッドを共に回転させながらガラス板の両表面を研磨処理した。研磨処理の際、時折、ガラス板の一部が研磨パッドから食み出すように制御した。なお、研磨パッドはウレタン製、研磨処理の際に使用した研磨スラリーの平均粒径は2.5μm、研磨速度は15m/分であった。得られた研磨処理前後のガラス板(各5サンプル)について、コベルコ科研社製のSBW−331ML/dにより最大板厚(Maximum Thickness)、最小板厚(Minimum Thickness)、平均板厚(Average Thickness)及び全体板厚偏差(TTV)を測定した。研磨処理前のガラス板の測定結果(但し、膨出部を除く領域で測定)を表1に示し、研磨処理後のガラス板の測定結果を表2に示す。
表1、2から分かるように、ガラス板の全体板厚偏差は0.8μm以下まで低減されていた。
更に、上記研磨処理済みガラス板(10サンプル)と上記CO2レーザー照射前のガラス板(10サンプル)について、島津製作所社製精密万能試験機オートグラフAG−ISを用いて、四点曲げ試験を行った。その結果を表3に示す。なお、四点曲げ試験の条件は、加圧冶具幅25mm、支持冶具幅50mm、クロスヘッド下降速度5mm/minとした。
表3から明らかなように、ガラス板の端面を溶融固化面とすることにより、端面強度を大幅に高めることができた。
まず、表4に記載の試料No.1〜7のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉に投入して1500〜1600℃で溶融し、次いで溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー成形装置に供給し、板厚が0.8mmになるようにそれぞれ成形した。その後、[実施例1]と同様の条件にて、ガラス原板をウエハ形状にくり抜いて、得られたガラス板の端面全体を溶融固化面とし、更にアニール処理を行った。得られた各ガラス板について、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数α30〜380、密度ρ、歪点Ps、アニール点Ta、軟化点Ts、高温粘度104.0dPa・sにおける温度、高温粘度103.0dPa・sにおける温度、高温粘度102.5dPa・sにおける温度、高温粘度102.0dPa・sにおける温度、液相温度TL及びヤング率Eを評価した。なお、切断後、溶融固化前の各ガラス板について、コベルコ科研社製のSBW−331ML/dにより全体板厚偏差と反り量を測定したところ、全体板厚偏差がそれぞれ3μmであり、反り量がそれぞれ70μmであった。
30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張係数α30〜380は、ディラトメーターで測定した値である。
密度ρは、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
歪点Ps、アニール点Ta、軟化点Tsは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0dPa・s、103.0dPa・s、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を顕微鏡観察にて測定した値である。
ヤング率Eは、共振法により測定した値を指す。
続いて、ガラス板の表面を研磨装置により研磨処理した。具体的には、ガラス板の両表面を外径が相違する一対の研磨パットで挟み込み、ガラス板と一対の研磨パッドを共に回転させながらガラス板の両表面を研磨処理した。研磨処理の際、時折、ガラス板の一部が研磨パッドから食み出すように制御した。なお、研磨パッドはウレタン製、研磨処理の際に使用した研磨スラリーの平均粒径は2.5μm、研磨速度は15m/分であった。得られた各研磨処理済みガラス板について、コベルコ科研社製のSBW−331ML/dにより全体板厚偏差と反り量を測定した。その結果、全体板厚偏差がそれぞれ0.45μmであり、反り量がそれぞれ35μmであった。