JP2020045254A - 光学素子、光学素子の製造方法および光学素子成形用金型 - Google Patents
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この光学素子の製造方法は、第1の金型と第2の金型とが協働して素材を加圧成形することによりレンズ面を含む光学素子を製造する光学素子の製造方法であって、前記第2の金型の内部空間の当該内部空間における型締め方向に関する横断面の形状が角型であり、前記第2の金型の前記内部空間における前記第1の金型の前記型締め方向に関する横断面の形状が円形であり、前記第2の金型の前記内部空間の中に前記第1の金型が進入して前記素材を加圧成形して前記レンズ面を形成し、かつ、加圧成形時に当該レンズ面の周囲において当該第1の金型と当該第2の金型との間の隙間から当該素材がはみ出して突出部を形成することを特徴としている。
また、光学素子1は、4つの突出部4を備えており、側面1a,1bの面積を増やしている。このため、光学素子1をフラットベンチ51に接着剤で接着する際に接着面積が増えるので、より強固に接着を行うことができる。
このため、フラットベンチの装着面に複数の光学素子を搭載するとともに、それぞれの光学素子のレンズ部の光軸の高さを異なるようにしたい場合、光学素子のうち、フラットベンチの装着面に接着される側の側面を切除することで光軸を低くしたり、また当該側面とフラットベンチの装着面との間にスペーサを挿入することで光軸と高くしなければならず、このため、装着面への光学素子の装着、つまり光学素子の実装に手間がかかる。
しかしながら、上述した従来の光学素子は、略矩形板状の本体部の中央部にレンズ部を有し、上下面のそれぞれの4つの角部に突出部を有しているため、実装装置の把持部によって容易に掴むことができない場合がある。つまり、光学素子のフラットベンチに載置する面と逆側の部分を把持部によって掴もうとすると、この部分にある突出部が把持部に干渉してしまい、容易に掴めない場合あり、光学素子の実装が困難になる。
前記レンズ部の光軸が、前記本体部の上面および下面を通る中心軸に対して、前記4つの側面のうちの一の側面側に偏心し、
前記一の側面と直角方向に隣り合う他の2つの側面は、前記一の側面側に寄っていることを特徴とする。
したがって、フラットベンチ等の装着面に複数の光学素子を搭載するとともに、それぞれの光学素子のレンズ部の光軸の高さを異なるようにしたい場合に、従来と異なり、フラットベンチの装着面に接着される側の側面を切除して光軸を低くしたり、また当該側面とフラットベンチの装着面との間にスペーサを挿入することで光軸を高くする必要がなく、一の側面または当該側面と対向する他の側面をそのまま装着面に装着すればよい。このため光学素子を容易に実装できる。
前記キャビティの横断面形状が四角形であり、
前記第1金型は、前記キャビティ側を向く面に前記レンズ部を成形するレンズ成形部を有する略四角形板状に形成され、4つの角部がそれぞれ1つの軸を中心とする断面円弧面状に形成されるとともに、4つの側面が前記キャビティを形成する4つの内壁面に接するように構成され、
前記第1金型は、前記キャビティに前記軸を前記キャビティの中心から一の内壁面側に偏心させて配置され、
前記キャビティにおいて、前記第1の金型によって、前記素材を加圧成形することによって、略四角形板状の本体部と、この本体部に設けられる前記レンズ部とを有し、前記レンズ部の光軸が、前記本体部の上面および下面を通る中心軸に対して、前記4つの側面のうちの一の側面側に偏心し、
前記一の側面と直角方向に隣り合う他の2つの側面が前記一の側面の側に寄っている光学素子を形成することを特徴とする。
前記キャビティの横断面形状が四角形であり、
前記第1金型は、前記キャビティ側を向く面に前記レンズ部を成形するレンズ成形部を有する略四角形板状に形成され、4つの角部がそれぞれ1つの軸を中心とする断面円弧状に形成されるとともに、4つの側面が前記キャビティを形成する4つの内壁面に接するように構成され、
前記第1金型は、前記キャビティに前記軸を前記キャビティの中心から一の内壁面側に偏心させて配置されていることを特徴とする。
本実施の形態の光学素子は、光通信で用いられるものであり、例えば、光接続装置のシリコンベンチ(フラットベンチ)の装着面に表面実装されるものである。
本体部11は、ガラスの素材によって、略四角形板状に形成され、上面13および下面14、4つの側面15,16,17,18を備えている。上面13には上方に凸のレンズ部12が本体部11と一体的に形成され、下面14には下方に凸のレンズ部12が本体部11と一体的形成されている。これらレンズ部12,12は、光軸О1を中心に回転対象である非球面形状を有し、それぞれの光軸О1は、上下のレンズ部12,12おいて一致している。
光軸O1方向から見て、側面15,16、側面16,17、側面17,18及び側面18,15をそれぞれ結ぶ曲面は光軸O1を中心とする同一円上に存在している。すなわち、光軸O1方向からみて、各曲面の曲率半径は一致しており、各曲面の中心は一致している。
すなわち、図1B(b)に示すように、側面16は、略矩形状に形成された矩形側面部16aと、この矩形側面部16aに連続して形成された略三角形状の三角形側面部16bとから構成され、矩形側面部16aの方が三角形側面部16bより面積が大きくなっている。また、B方向から見て、矩形側面部16aと側面17との間の最短距離は、三角形側面部16bと側面15との間の最短距離より短くなっている。したがって、側面16は側面17側の方が、大面積となっているとともに、側面17側に寄っている。また、側面16は上面13および下面14から等しい距離に配置されている。
すなわち、図1B(b),(d)に示すように、突出部20,20は、凸形のレンズ部12,12のレンズ面の最も低い位置より外側において、上面13および下面14から立ち上がるようにして形成され、その上端部は側面視において円弧状に形成されている。図1B(b),(d)に示される突出部20,20は連続的な形状を有しており、レンズ光軸O1方向から見たときのレンズ光軸O1からの距離に応じた高さを有している。すなわち、レンズ光軸O1からの距離が短いほど突出部20の高さは高くなっている。また、本実施の形態においては、突出部20の最も高い頂点は、図1A(a)の線分S2上の側面17に近接した位置に形成されており、レンズ部12,12のレンズ面の頂点より高くなっている。このため、レンズ部12を突出部20により保護することが可能になる。例えば、セッティングする際に誤って光学素子10を転がしてしまってレンズ部12にキズが付いてしまうことを防止することができる。また、セッティングする際にレンズ部12が他の部品と接触することによりレンズ部12が損傷してしまうことを防止することができる。
また、突出部20,20の外縁は、図1Aに示すように、平面視および底面視において、側面17と、側面16,18とを滑らかに接続する円弧状に形成されている。
さらに、本体部11の上面13と4つの側面15〜18はそれぞれ滑らかな曲面によって接続され、下面14と4つの側面15〜18もそれぞれ滑らかな曲面によって接続されている。
図2は、光学素子成形用金型30の縦断面図である。この光学素子成形用金型30は、上下に対向して設けられた上下一対の第1金型31,31と、キャビティ33を有するスリーブ状の第2の金型32とを備えている。
このような光学素子成形用金型30は、第1の金型31,31と第2の金型32とが協働して素材Mを第2の金型32のキャビティ33で加圧成形することによりレンズ部12,12を有する光学素子10を製造するようになっている。
また、第1の金型31のキャビティ33側を向く面は、前記レンズ部12を成形するレンズ成形部34を有している。このレンズ成形部34は平面視略円状でかつ凹曲面状に形成されている。このレンズ成形部34は、平面視において、その中心は前記軸O3上に位置している。つまり、平面視においてレンズ成形部34の中心と、円弧状に形成されている4つの角部31e,31e,31f,31fの円弧の中心とは一致している。
また、第1の金型31の4つの側面31a,31b,31c,31dおよび角部31e,31e,31f,31fとレンズ成形部34を含む金型面はなだらかに連続するように(図示しない)C面が形成されている。
なお、図2に示すように、第1の金型31は上下一対、対向して配置されるので、パンチ部35,35を対向させて配置し、当該パンチ部35,35の固定部35a,35aの先端面に第1の金型31,31が対向して固定される。
そして、被挿入部32aに上下のパンチ部35,35の固定部35a,35aが挿入され、第2の金型32のキャビティ33に上下の第1の金型31,31が配置され、キャビティ33で素材Mを上下の第1の金型31,31によって加圧成形することで、光学素子10が成形されるようになっている。
また、キャビティ33の一の内壁面33c側に位置する第1金型31の2つの角部31f,31fとキャビティ33を形成する内壁面33b,33c,33dとの間に、素材Mを加圧成形する際に、当該素材Mの一部が流入する空間38,38が設けられている。
まず、図6に示すように、上側の第1の金型31(以下、上型31と言うこともある。)が上方に移動する型開きの際に、素材Mで形成された所定容量のプリフォームPを第2の金型32のキャビティ33に投入する。
すなわち、下側の第1の金型31(以下、下型31と言うこともある。)のレンズ成形部34に球状のプリフォームPを載せる。この場合、図5に示すように、下型31は、キャビティ33に前記軸O3をキャビティ33の中心O4から一の内壁面33c側に偏心させて配置されているので、下型31のレンズ成形部34は一の内壁面33c側に寄っている。つまり、レンズ成形部34はキャビティ33の内壁面33cからの距離が内壁面33aからの距離より短くなっている。また、レンズ成形部34は、内壁面33b,33dからの距離が内壁面33cからの距離より短くっている。さらに、レンズ成形部34のキャビティ33の内壁面33b,33dからの距離は等しくなっている。
したがって、レンズ成形部34に載せられたプリフォームPは、内壁面33cからの距離が内壁面33aからの距離より短くなっているとともに、内壁面33b,33dからの距離が内壁面33cからの距離より長く、さらに、内壁面33aからの距離が内壁面33b,33dの距離より長くなっている。
加圧が進んでいくと、プリフォームPが上型31と下型31とによって上下から圧し潰されるように変形していき、当該プリフォームPの外周面が上型31のレンズ成形部34を含む成形面および下型31のレンズ成形部34を含む成形面に密着して、これら成形面を含む金型面によって光学素子10の上面および下面が形成される。
また、プリフォームPが上下から圧し潰されるようにして変形するに伴って、水平方向にも押し拡げられ、当該プリフォームPの外周面がキャビティ33を形成する4つの内壁面33a,33b,33c,33dに密着していく。
この際、プリフォームPは、キャビティ33の内壁面33cからの距離が内壁面33aからの距離より短くなっているので、プリフォームPを加圧成形してなる光学素子10では、図7に示すように、内壁面33cへの接触面積が内壁面33aへの接触面積より広くなる。また、プリフォームPは、内壁面33cからの距離が内壁面33b,33dからの距離より短くなっているので、プリフォームPを加圧成形してなる光学素子10では、内壁面33cへの接触面積が内壁面33b,33dへの接触面積より広くなる。さらに、プリフォームPは、内壁面33b,33dからの距離が内壁面33aからの距離より短くなっているので、プリフォームPを加圧成形してなる光学素子10では、内壁面33b,33dへの接触面積が内壁面33aへの接触面積より広くなる。
また、プリフォームPは、内壁面33c側に寄るようにして内壁面33b,33dに接触する。
また、図1Aに示すように、本体部11の上面13および下面14にそれぞれレンズ部12を有し、レンズ部12の光軸O1が、本体部11の上面13および下面14を通る中心軸O2に対して、一の側面17側に偏心し、図1Bに示すように、一の側面17と直角方向に隣り合う他の2つの側面16,18が一の側面17の側に寄っている。
したがって、プリフォームPを加圧成形する際、プリフォームPは最初に光軸対応する軸O3から距離の最も近い内壁面33cに到達し本体部11の側面17を形成しながら、C面で形成された空間に突出部20を形成し始め、その後空間38,38に素材Mの一部が流入して、本体部11の厚さ方向に突出する突出部20を形成していく。
つまり、空間38,38は、水平方向において、第1金型31,31の2つの角部31f,31fと、キャビティ33を形成する内壁面33b,33c,33dとで囲まれ、それ以上の水平方向への拡がりを規制されているので、空間38に流入した素材Mの一部は空間38,38において上下方向に流動していき、本体部11の厚さ方向に突出する突出部20,20が形成される。
また、前記C面に形成される突出部と空間38,38に形成される突出部は連続的に形成されており、C面に形成される突出部と空間38,38に形成される突出部の形状は、レンズの厚みや空間38,38とO3との距離、C面の大きさ等に依存し、最も高い頂点はC面に形成される突出部の場合もあり、空間38,38に形成された突出部の場合もある。
しかし、プリフォームPは所定容量が投入されるとともに、当該プリフォームPからは空間38,38の方が空間39,39より近いので、加圧成形されたプリフォームPは、空間38,38に流入するとともに、内壁面33aに所定面積だけ接触した後は、空間39,39に流入することはないか、または流入しても空間39,39を充満させることがない。逆から言うと、プリフォームPは、空間38,38に流入して当該空間38,38を充満させるが、空間39,39に流入しないか、または流入しても空間39,39を充満させないように、その容量が設定される。
なお、プリフォームPの容量を、空間39,39を充満させる容量に設定してもよい。この場合、空間39,39に流入した素材Mの一部は空間39,39において上下方向に流動していき、本体部11の厚さ方向に突出する突出部が形成される。
さらに、本体部11の上面13および下面14における角部のうち記一の側面17側に位置する角部に、本体部11の厚さ方向に突出する突出部20,20が設けられているので、一の側面17の面積を増やすことができ、一の側面17をフラットベンチ等の装着面に設置する際に、突出部20,20によって設置の安定化を図ることができる。
また、本体部11の上面13および下面14における角部のうち、一の側面17側と対向する他の側面15側に位置する角部に、上面13および下面14と他の側面15とを滑からに繋ぐR面21,21が形成されているので、光学素子10を実装する際に、本体部11の他の側面15側において上面13および下面14を実装装置の把持部によって挟み付けて容易に掴むことができ、よって、光学素子10を容易に実装できる。
なお、本実施の形態の第1の金型31の変形例として、断面円弧面状の角部31eのみが第1の金型30の角部の2箇所に形成され、断面円弧面状の角部31fは第1の金型30の角部に形成されていなくてもよい。この場合、図1Aに示すように、成形される光学素子10において、光軸O1方向から見て、側面15,16および側面15,18をそれぞれ結ぶ曲面が光学素子10の2の角部に存在し、側面16,17および側面17,18をそれぞれ結ぶ曲面は存在しないことになる。
11 本体部
12 レンズ部
13 上面
14 下面
15,16,17,18 側面
20 突出部
21 R面
30 光学素子成形用金型
31 第1の金型
31a,31b,31c,31d 側面
31e,31f 角部
32 第2の金型
33 キャビティ
33a,33b,33c,33d 内壁面
34 レンズ成形部
38 隙間
O1 光軸
O2 本体部の中心軸
O3 軸
O4 キャビティの中心
M 素材
Claims (7)
- 略四角形板状に形成され、4つの側面、上面および下面を有する本体部と、この本体部の前記上面および前記下面にそれぞれ形成されたレンズ部とを有する光学素子であって、
前記レンズ部の光軸が、前記本体部の上面および下面を通る中心軸に対して、前記4つの側面のうちの一の側面側に偏心し、
前記一の側面と直角方向に隣り合う他の2つの側面は、前記一の側面側に寄っていることを特徴とする光学素子。 - 前記本体部の前記上面および前記下面における角部のうち、前記一の側面側に位置する角部に、前記本体部の厚さ方向に突出する突出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記本体部の前記上面および前記下面における角部のうち、前記一の側面側と対向する他の側面側に位置する角部に、前記上面および前記下面と前記他の側面とを滑からに繋ぐR面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
- 第1の金型と第2の金型とが協働して素材を前記第2の金型のキャビティで加圧成形することによりレンズ部を有する光学素子を製造する光学素子の製造方法であって、
前記キャビティの横断面形状が四角形であり、
前記第1金型は、前記キャビティ側を向く面に前記レンズ部を成形するレンズ成形部を有する略四角形板状に形成され、4つの角部がそれぞれ1つの軸を中心とする断面円弧状に形成されるとともに、4つの側面が前記キャビティを形成する4つの内壁面に接するように構成され、
前記第1金型は、前記キャビティに前記軸を前記キャビティの中心から一の内壁面側に偏心させて配置され、
前記キャビティにおいて、前記第1の金型によって、前記素材を加圧成形することによって、略四角形板状の本体部と、この本体部に設けられる前記レンズ部とを有し、前記レンズ部の光軸が、前記本体部の上面および下面を通る中心軸に対して、前記4つの側面のうちの一の側面側に偏心し、
前記一の側面と直角方向に隣り合う他の2つの側面が前記一の側面の側に寄っている光学素子を形成することを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記素材を加圧成形する際に、前記一の内壁面側に位置する前記第1金型の2つの角部と前記キャビティを形成する内壁面との間の隙間から前記素材の一部がはみ出して、前記本体部の厚さ方向に突出する突出部を形成することを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
- 第1の金型と第2の金型とが協働して素材を前記第2の金型のキャビティで加圧成形することによりレンズ部を有する光学素子を製造するための光学素子成形用金型であって、
前記キャビティの横断面形状が四角形であり、
前記第1金型は、前記キャビティ側を向く面に前記レンズ部を成形するレンズ成形部を有する略四角形板状に形成され、4つの角部がそれぞれ1つの軸を中心とする断面円弧状に形成されるとともに、4つの側面が前記キャビティを形成する4つの内壁面に接するように構成され、
前記第1金型は、前記キャビティに前記軸を前記キャビティの中心から一の内壁面側に偏心させて配置されていることを特徴とする光学素子成形用金型。 - 前記一の内壁面側に位置する前記第1金型の2つの角部と前記キャビティを形成する内壁面との間に、前記素材を加圧成形する際に、当該素材の一部が流入する空間が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形用金型。
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