JP2020044588A - 物品移動装置およびロボットアームのエンドエフェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】物品の被吸着面が水平面に対して傾いている場合であっても、物品を安定して吸着させるとともに、吸着された物品の姿勢を安定させることが可能なロボットアームのエンドエフェクタおよびこれを備えた物品移動装置を提供する。【解決手段】ロボットアームのエンドエフェクタは、吸着機構と、回動機構とを備える。吸着機構は、集積領域に集積された物品を吸着する吸着部を含む。回動機構は、吸着部を4つ以上の回動軸まわりに回動させる。【選択図】 図2
Description
本発明の実施形態は、各種のマニピュレータ(ロボットアーム)で物品を集積領域から所望の領域に移動させる移動装置(以下、物品移動装置という)、および該物品移動装置に含まれるロボットアームのエンドエフェクタに関する。
物品の物流センタなどでは、荷物、部品、製品などの様々な物品が荷下ろしなどの上流工程から仕分けや組み立てなどの下流工程へ、物品移動装置によって順次移動される。物品の移動には、例えばロボットアームが使用される。ロボットアームは、制御装置によって動作制御される。
ロボットアームは、仕分けや組み立て等の用途、包装を含む物品の外形、あるいは物品の材質などに応じたエンドエフェクタをアーム部の先端に備えている。エンドエフェクタは、ピッキング時に物品を把持する機構(把持機構)として、例えばエアによって物品の吸着と解放を行う吸着機構などを有している。なお、把持は、吸着のみならず、挟持なども含む物品の保持態様全般を包含する概念である。
例えば、集積領域から物品をピッキングして所望の領域に移動させる場合、画像センサ(カメラ)などの検出装置によって検出された物品群の集積態様に基づいて、ピッキング対象の物品が物品群の中から選択される。選択された物品は、ロボットアームのエンドエフェクタで把持され、集積領域から所望の領域に移動される。
物品を把持する際には、エンドエフェクタの把持機構を物品の被把持部位と正対させるように、ロボットアームを動作させる。例えば、エンドエフェクタが物品を吸着する機構を備えている場合、吸着時には、吸着機構の吸着面が物品の被吸着面に沿うように位置付けられている必要がある。また、吸着面が被吸着面に沿わない状態で物品を吸着できたとしても、エンドエフェクタがロボットアームの動作時に揺れると、吸着された物品の姿勢が安定しない場合がある。この場合、物品を所望の姿勢で所望の領域に移動させられないおそれがある。
そこで、物品の被吸着面が水平面に対して傾いている場合であっても、物品を安定して吸着させるとともに、吸着された物品の姿勢を安定させることが可能な物品移動装置およびロボットアームのエンドエフェクタを提供する。
実施形態のロボットアームのエンドエフェクタは、集積領域に集積された物品を吸着する吸着部を含む吸着機構と、吸着部を4つ以上の回動軸まわりに回動させる回動機構とを備える。
以下、実施形態に係る物品移動装置、および該物品移動装置を構成するマニピュレータ(以下、ロボットアームという)のエンドエフェクタについて図1から図10を参照して説明する。物品移動装置1は、物品2を所望の領域間で移動させる装置であり、例えば物流センタなどで稼働する物流システムを構成する装置の一つである。物品2は、宅配物、小包、郵便物等を含む荷物、各種の部品や製品など、移動の対象となり得る有形物である。物品2の形態(大きさ、形状、重量、梱包状態など)は、一律、多種多様のいずれであってもよい。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。図1には、本実施形態の物品移動装置1の構成を示す。図1は、物品移動装置1の模式図である。図示するように、物品移動装置1は、ロボットアーム3と、検出機構4と、制御機構5を備えて構成されている。検出機構4は、物品2を移動させる際の各種の検出を行う。制御機構5は、ロボットアーム3および検出機構4の動作をそれぞれ制御する。検出機構4および制御機構5についての詳細は、後述する。
まず、第1の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。図1には、本実施形態の物品移動装置1の構成を示す。図1は、物品移動装置1の模式図である。図示するように、物品移動装置1は、ロボットアーム3と、検出機構4と、制御機構5を備えて構成されている。検出機構4は、物品2を移動させる際の各種の検出を行う。制御機構5は、ロボットアーム3および検出機構4の動作をそれぞれ制御する。検出機構4および制御機構5についての詳細は、後述する。
ロボットアーム3は、集積領域20に集積された物品2をピッキングし、ピッキングした物品2を集積領域20から所望の領域(以下、移動先領域という)に移動させる。移動先領域は、例えば、物品2を次工程へ引き渡すための容器(箱)やコンベア(いずれも図示省略)などであり、特に限定されない。
図1に示すように、ロボットアーム3は、基台部31と、アーム部32と、エンドエフェクタ33とを備えて構成されている。
基台部31は、設置面30に設置されている。本実施形態では、基台部31は、集積領域20と同一の床面を設置面30として位置決め固定されている。なお、基台部31は、このように位置決め固定されることなく、床面に対して移動可能となっていてもよい。例えば、床面に敷設したガイドレールなどに沿って基台部31をスライド可能に支持する構成としてもよい。これにより、ロボットアーム3を床面に対して移動させることが可能となる。
基台部31は、設置面30に設置されている。本実施形態では、基台部31は、集積領域20と同一の床面を設置面30として位置決め固定されている。なお、基台部31は、このように位置決め固定されることなく、床面に対して移動可能となっていてもよい。例えば、床面に敷設したガイドレールなどに沿って基台部31をスライド可能に支持する構成としてもよい。これにより、ロボットアーム3を床面に対して移動させることが可能となる。
アーム部32は、基台部31との接続部位である基端から先端まで、複数の関節部34で連結されて伸長している。アーム部32は、関節部34によって複数に細分されている。各部分32a〜32eは、基台部31から順次所定の関節部34a〜34eで連結され、それぞれ所定の軸35a〜35gまわりに回動可能とされている。本実施形態では、アーム部32は、5つの部分32a〜32eが5つの関節部34a〜34eで連結され、7つの軸35a〜35gまわりに回動する。ただし、アーム部32の構成はこれに限定されず、例えば6軸以下あるいは8軸以上の軸まわりに動作制御される構成であってもよい。
エンドエフェクタ33は、アーム部32の先端(アーム先端部36)に取り付けられており、アーム部32とともに軸35gまわりに回動可能とされている。また、エンドエフェクタ33は、物品2を解放可能に把持する。把持は、例えば吸着、挟持など、物品2の保持態様全般を包含する概念として規定される。
図2には、エンドエフェクタ33の構成を示す。図2に示すように、エンドエフェクタ33は、吸着機構6と、回動機構7とを有する。
吸着機構6は、エアによって物品2の吸着と解放を行う機構であり、吸着部61の他、コンプレッサ、電磁弁、圧力センサ(いずれも図示省略)などを含む。
吸着機構6は、エアによって物品2の吸着と解放を行う機構であり、吸着部61の他、コンプレッサ、電磁弁、圧力センサ(いずれも図示省略)などを含む。
吸着部61は、回動機構7で支持され、真空発生器によって内部が真空とされて物品2を吸着し、真空破壊(大気開放)されて物品2を解放する。吸着部61は、例えば1つの吸着パッドであってもよいし、複数の吸着パッドを並べた構成であってもよい。吸着パッドの数は、例えば吸着する物品2の大きさ、形状、重量などの態様によって任意に設定すればよい。真空発生器は、電磁弁を介してコンプレッサに接続され、吸着部61の内部へのエアの吸い込みと吹き出しを行う。電磁弁は、真空発生器によるエアの吸い込みと吹き出しを弁の開閉によって制御している。圧力センサは、吸着部61と真空発生器との間に設けられ、吸着部61の内圧(物品2の吸着圧)を測定する。真空発生器、コンプレッサ、電磁弁、圧力センサは、いずれも制御機構5から受信した制御信号によって動作が制御される。
回動機構7は、吸着機構6の吸着部61を所定の回動軸まわりに回動(変位)させる機構であり、ベース部71と、軸部72と、支持部73とを含む。
ベース部71は、アーム先端部36に固定されてアーム部32に対して変位しない部位であり、吸着部61を回動させる際の基準となる部位である。軸部72は、その軸芯72cを中心として、支持部73を介して吸着部61を回動させる。本実施形態において、軸部72は、二組の十字軸を組み合わせた4軸(回動軸)で構成される。十字軸は、互いの軸芯が同一平面上で交差する2本の軸である。なお、軸部は、三組以上の十字軸の組み合わせであってもよい。
ベース部71は、アーム先端部36に固定されてアーム部32に対して変位しない部位であり、吸着部61を回動させる際の基準となる部位である。軸部72は、その軸芯72cを中心として、支持部73を介して吸着部61を回動させる。本実施形態において、軸部72は、二組の十字軸を組み合わせた4軸(回動軸)で構成される。十字軸は、互いの軸芯が同一平面上で交差する2本の軸である。なお、軸部は、三組以上の十字軸の組み合わせであってもよい。
図2および図3に示すように、十字軸72aおよび十字軸72bをそれぞれ構成する2つの軸は、軸芯72c同士が同一平面上で略直交するように、ジョイント8で連結されている。2つの軸のうち、一方の軸(以下、X軸という)XSは連続した1本の軸体であり、他方の軸(以下、Y軸という)YSは2つに分割された2本の軸体である。Y軸YSの分割軸YSa,YSbは、軸芯YC1,YC2が略同一となるように、X軸XSを挟んで軸端を対向させてジョイント8で連結されている。X軸XSとY軸YSは、略同一径(差渡し寸法)であるが、異径であってもよい。Y軸YSの分割軸YSa,YSbは、軸端にフランジSFa,SFbが設けられている。フランジSFa,SFbは、後述するジョイント8のジョイント軸受83の回転部材(例えば、転がり軸受の回転輪)に固定される。
二組の十字軸72a,72bは、吸着部61が物品2を吸着していない状態において、X軸XSの軸芯XCとY軸の軸芯YCの交点Ca,Cbが同一の鉛直線上に所定間隔をあけて並ぶように配置される。また、これらの十字軸72a,72bは、例えば、第1のX軸XS1と第2のX軸XS2が略平行をなすとともに、第1のY軸YS1と第2のY軸YS2が略平行をなすように配置される。第1のX軸XS1と第2のX軸XS2の軸芯XC,XC間の距離は、第1のY軸YS1と第2のY軸YS2の軸芯YC,YC間の距離とほぼ一致する。そして、軸芯XC,XC間の距離および軸芯YC,YC間の距離は、交点Ca,Cb間の距離とほぼ一致する。第1のX軸XS1および第2のX軸XS2は、軸芯XCまわり、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2は、軸芯YCまわりにそれぞれ独立して回動する。
本実施形態において、交点Ca,Cb間の距離は、交点Cb(第2のX軸XS2の軸芯XCと第2のY軸YS2の軸芯YCとの交点)と吸着面61aの中心点61cとの距離よりも長い。図2において、交点Ca,Cb間の距離はL1、交点Cbと中心点61cとの距離はL2に相当し、L1>L2である。交点Cbは、第2のX軸XS2の軸芯XCと第2のY軸YS2の軸芯YCとの交点であり、十字軸72a,72bにおける交点Ca,Cbのうち、中心点61cに最も近い交点に当たる。これにより、後述するように吸着部61で物品2を吸着する際、吸着面61aを物品2の被吸着面に沿わせやすくなる。
なお、Y軸は、分割軸でなくともよく、X軸XSと同様に連続した1本の軸体であってもよい。この場合、X軸の軸芯とY軸の軸芯は、それぞれ略平行な別々の面に位置し、一方が位置する面に他方を投影した場合に、軸芯同士が略直交するように配置される。ただし、このような2軸とする場合と比べ、本実施形態のように2軸のうちの一方が分割軸である十字軸とすることで、回動機構7を有するエンドエフェクタ33を小型軽量化することが可能となる。双方の軸(例えば、X軸とY軸)を分割軸としてもよい。
ジョイント8は、X軸XSとY軸YSとを連結して一体化させる部材であり、本実施形態では一例として内部が空洞の六面体となっている。図3に示すように、六面体の各面をなす6つの壁部のうち、4つの壁部81a,81b,81c,81dには、X軸XSとY軸YSを挿通する貫通孔82が形成されている。4つの壁部81a,81b,81c,81dは、X軸XSとY軸YSを水平面と略平行に位置付けた際、水平面と略直交して位置付けられる4つの壁部(側壁部分)である。各貫通孔82には、軸受(以下、ジョイント軸受という)83が取り付けられている。ジョイント軸受83は、X軸XSおよびY軸YSを回転自在に壁部81a,81b,81c,81dに対して支持する。ジョイント軸受83は、転がり軸受であってもすべり軸受であっても構わない。なお、ジョイント軸受83を省略した構成としてもよいが、この場合には、例えばX軸およびY軸にそれぞれフランジや球体関節などを設けて、貫通孔82からの抜け止めを図る。
図2に示すように、支持部73は、第1の支持部73a、第2の支持部73b、第3の支持部73cの3つにより構成され、軸部72をベース部71に支持する。
第1の支持部73aは、第1のX軸XS1をベース部71に支持する。第1の支持部73aは、第1のX軸XS1の軸端とベース部71との間をそれぞれ連結する一対の支持片a1と、これらの支持片a1の間に架け渡される梁片a2と、第1のX軸XS1の軸端を支持する軸受(以下、プレート軸受という)a3とを含む。一対の支持片a1は、ベース部71に固定されている。ベース部71はアーム部32に対して変位しないので、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動可能となっている。
第1の支持部73aは、第1のX軸XS1をベース部71に支持する。第1の支持部73aは、第1のX軸XS1の軸端とベース部71との間をそれぞれ連結する一対の支持片a1と、これらの支持片a1の間に架け渡される梁片a2と、第1のX軸XS1の軸端を支持する軸受(以下、プレート軸受という)a3とを含む。一対の支持片a1は、ベース部71に固定されている。ベース部71はアーム部32に対して変位しないので、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動可能となっている。
第2の支持部73bは、Y軸YS1,YS2同士を支持する。第2の支持部73bは、第1のY軸YS1と第2のY軸YS2の軸端同士それぞれ連結する一対の支持片b1と、これらの軸端を支持するプレート軸受b2,b3とを含む。したがって、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2と、一対の支持片b1とは、相対的に変位可能となっている。また、第1のY軸YS1は、第1のX軸XS1とジョイント8で連結されている。したがって、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2は、第1のX軸XS1、換言すれば一対の支持片a1に対して回動可能となっている。
第3の支持部73cは、吸着部61を第2のX軸XS2に吊り下げ支持する。第3の支持部73cは、第2のX軸XS2の軸端と吸着部61との間をそれぞれ連結する一対の支持片c1と、これらの支持片c1の間に架け渡された一対の梁片c2と、第2のX軸XS2の軸端を支持するプレート軸受c3とを含む。一対の支持片c1は、吸着部61に固定されている。したがって、第2のX軸XS2と、一対の支持片c1および吸着部61とは、それぞれ相対的に変位可能となっている。また、第2のX軸XS2は、第2のY軸YS2とジョイント8で連結されている。したがって、一対の支持片c1および吸着部61は、第2のY軸YS2、換言すれば一対の支持片b1に対して回動可能となっている。
これにより、吸着部61は、第1のX軸XS1、第2のX軸XS2、第1のY軸YS1、第2のY軸YS2の4つの軸まわりに回動(変位)可能に、ベース部71に対して支持される。したがって、例えば吸着対象の物品2が水平面に対して傾いていても、物品2の被吸着面の傾きに倣って(合わせて)吸着部61を変位させ、その吸着面61aを被吸着面に沿わせて正対させることができる。被吸着面は、物品2の外面のうち、吸着部61に吸着される面であり、基本的には集積領域20に載置された状態で最も上方に位置する面(最上面)である。
図4から図6には、吸着部61で物品2を吸着する際の回動機構7の動作例を示す。図4は、物品2が吸着される前の状態を示す。図5は、物品2が吸着された時の状態を示す。図6は、物品2が吸着されて、エンドエフェクタ33を上昇させた状態を示す。以下に説明する回動機構7の動作は、例えば制御機構5によって制御されるものではなく、ロボットアーム3の動作に伴うエンドエフェクタ33の変位に追従する(倣う)ものである。
吸着対象となる物品2は、集積領域20の物品群2s(図1参照)の中から選択される(以下、選択された物品2を選択物品という)。図4および図5においては、物品21が選択物品として選択され、その被吸着面21aは水平面に対して傾いた状態となっている。
吸着対象となる物品2は、集積領域20の物品群2s(図1参照)の中から選択される(以下、選択された物品2を選択物品という)。図4および図5においては、物品21が選択物品として選択され、その被吸着面21aは水平面に対して傾いた状態となっている。
次いで、エンドエフェクタ33は、アーム部32とともに被吸着面21aに向けて下降する。この時、図4に示すように、支持部73には吸着部61の重量が作用し、第1の支持部73a、第2の支持部73b、第3の支持部73cは、重力方向(下方)に向かって引っ張られた状態となる。この状態では、第1のX軸XS1と第1のY軸YS1の軸芯同士の交点Caと、第2のX軸と第2のY軸の軸芯同士の交点Cbが同一の鉛直線上に並ぶ。例えば、交点Ca,Cbは、吸着部61の重心を通る鉛直線上に並ぶ。また、吸着部61の吸着面61aは、水平面に対して傾くことなく、略平行となる。吸着面61aは、吸着部61が物品2と吸着する面であり、本実施形態では吸着部61の下面(第3の支持部73cで支持される面側とは反対側の面)である。そして、吸着部61は、被吸着面21aと接触する。この状態においては、被吸着面21aと吸着面61aとの間には、空隙が生じている。
吸着部61が被吸着面21aと接触すると、アーム部32を下降させる力(以下、押圧力という)の反力が被吸着面21aから軸部72および支持部73に作用する。これにより、図5に示すように、吸着部61は、一対の支持片c1を介して第2のX軸XS2まわりに回動し、被吸着面21aに対して変位する。その際、一対の支持片b1は、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2まわりに回動し、吸着部61(別の捉え方をすれば、被吸着面21a)に対して変位する。さらに、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動する。
その結果、図4に示す状態から、吸着面61aが被吸着面21aとの接触部位を中心に、被吸着面21aに向けて回動する。すなわち、吸着面61aの回動距離に相当する分だけ、軸部72と支持部73が相対的に変位する。これにより、吸着面61aと被吸着面21aとの間の空隙が徐々に減少し、両面61a,21が接近していく。その後、吸着面61aは、被吸着面21aと正対して吸着する。
このように、エンドエフェクタ33が回動機構7を備えることで、被吸着面21aが水平面、端的には吸着面61aに対して傾いた状態である場合であっても、被吸着面21aの傾きに倣って(合わせて)吸着部61を変位させ、吸着面61aを被吸着面21aと正対させることができる。したがって、アーム部32とともにエンドエフェクタ33を下降させるだけで、その下降動作に追随してスムーズに吸着面61aを被吸着面21aに吸着させることができる。このため、例えば吸着面61aと被吸着面21aとの間の距離を計測するデプスカメラなどの付随機器を備えなくとも、被吸着面21aが吸着面61aに対して傾いた物品21を集積領域20から移動先領域まで容易に移動させることができる。
例えば、回動機構が本実施形態のような4軸構成ではなく、2軸構成である場合、アーム部とともにエンドエフェクタを下降させた際、アーム部とエンドエフェクタのそれぞれの変位方向が一致せず、アーム部の下降動作に追随してエンドエフェクタが適正に変位(回動)しないおそれがある。本実施形態の回動機構7のように4軸構成(二組の十字軸72a,72bの組み合わせ)である場合、これを抑制することができる。
例えば、回動機構が本実施形態のような4軸構成ではなく、2軸構成である場合、アーム部とともにエンドエフェクタを下降させた際、アーム部とエンドエフェクタのそれぞれの変位方向が一致せず、アーム部の下降動作に追随してエンドエフェクタが適正に変位(回動)しないおそれがある。本実施形態の回動機構7のように4軸構成(二組の十字軸72a,72bの組み合わせ)である場合、これを抑制することができる。
また、回動機構7において、交点Ca,Cb間の距離は、吸着面61aの中心点61c、端的には物品2により近い交点Cbと中心点61cとの距離よりも長い。したがって、物品2により近い一対の支持片c1の変位領域を、一対の支持片b1の変位領域よりも小さくすることができ、よりコンパクトな動きで吸着面61aを被吸着面21aに吸着させることができる。
吸着面61aが被吸着面21aに吸着した後、エンドエフェクタ33は、アーム部32とともに上昇する。この時、図6に示すように、支持部73には吸着部61に加えて物品21の重量も作用し、第2の支持部73b、第3の支持部73cは、重力方向(下方)に向かって引っ張られ、第1の支持部73aに吊り下がった状態となる。この状態では、吸着面61aおよび被吸着面21aは、水平面と略平行になる。すなわち、物品21が水平面に対してほぼ傾くことなく、水平を保った状態となる。したがって、移動時における物品21の姿勢が水平に維持されるので、移動先領域、例えば容器(箱)やコンベアなどに物品21をスムーズに載置することができる。
上述したように、本実施形態では、回動機構7の動作をエンドエフェクタ33の変位に追従する(倣う)ものとしている。これに代えて、例えば軸部72と支持部73とを、エンドエフェクタ33の変位に追従して相対的に変位可能な状態と変位不能な状態とに切り換え可能な仕様とすることができる。
(第2の実施形態)
図7には、本実施形態に係るエンドエフェクタ33aが備える切換機構9の構成を示す。なお、本実施形態においては、このような切換機構をさらに備えることを除き、第1の実施形態に係るエンドエフェクタ33と同様として構わない。したがって、以下では、本実施形態の特徴(第1の実施形態との相違点)についての説明にとどめる。その際、第1の実施形態と同様の構成については、説明中で同一符号を用いるとともに、図面上で同一符号を付す。
図7には、本実施形態に係るエンドエフェクタ33aが備える切換機構9の構成を示す。なお、本実施形態においては、このような切換機構をさらに備えることを除き、第1の実施形態に係るエンドエフェクタ33と同様として構わない。したがって、以下では、本実施形態の特徴(第1の実施形態との相違点)についての説明にとどめる。その際、第1の実施形態と同様の構成については、説明中で同一符号を用いるとともに、図面上で同一符号を付す。
切換機構9は、制御機構5から受信した制御信号によって動作が制御され、軸部72と支持部73とを相対的に変位可能な状態と変位不能な状態とに切り換える。これにより、回動機構7は、エンドエフェクタ33aの変位に追従する動作と、追従しない動作とが、制御機構5によって適宜切り換え可能に構成される。本実施形態においては一例として、切換機構9は、回動軸であるX軸XSおよびY軸YSを、支持部73に対して回動可能な状態と回動不能な状態とに切り換える。切換機構9は、X軸XSの両端部XE,XEおよびY軸YSの両端部YE,YEにそれぞれ1つずつ、合計8つ配置されている。図7には、そのうちの4つを示す。ただし、連続した1本の軸体であるX軸XSには、必ずしも両端部XE,XEに切換機構9を配置しなくともよく、少なくとも一端部XEに配置すればよい。
切換機構9は、爪部91と、アクチュエータ部92とを含む。
爪部91は、一対をなし、X軸XSもしくはY軸YSの両端部を挟んで対向するように配置されている。本実施形態において、X軸XSは、第1の実施形態よりも延長され、両端部XE,XEが支持片a1,b1,c1よりも外方へ突出している。Y軸YSも同様に延長され、両端部YE,YEが支持片a1,b1,c1よりも外方へ突出している。
爪部91は、一対をなし、X軸XSもしくはY軸YSの両端部を挟んで対向するように配置されている。本実施形態において、X軸XSは、第1の実施形態よりも延長され、両端部XE,XEが支持片a1,b1,c1よりも外方へ突出している。Y軸YSも同様に延長され、両端部YE,YEが支持片a1,b1,c1よりも外方へ突出している。
アクチュエータ部92は、支持片a1,b1,c1に位置決め固定され、制御機構5から受信した制御信号をトリガーとして一対の爪部91を第1の態様と第2の態様とに遷移させる。図8(a)には第1の態様、図8(b)には第2の態様をそれぞれ示す。
第1の態様は、一対の爪部91の対向間隔がX軸XS(もしくはY軸YS)の径(差渡し寸法)よりも広く、一対の爪部91とX軸XS(もしくはY軸YS)とが接触しない態様である。第1の態様では、X軸XSは軸芯XCまわり、Y軸YSは軸芯YCまわりにそれぞれ回動可能となる。
第1の態様は、一対の爪部91の対向間隔がX軸XS(もしくはY軸YS)の径(差渡し寸法)よりも広く、一対の爪部91とX軸XS(もしくはY軸YS)とが接触しない態様である。第1の態様では、X軸XSは軸芯XCまわり、Y軸YSは軸芯YCまわりにそれぞれ回動可能となる。
したがって、第1の態様において、吸着部61は、一対の支持片c1を介して第2のX軸XS2まわりに回動し、被吸着面21aに対して変位可能となる。また、一対の支持片b1は、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2まわりに回動し、吸着部61(別の捉え方をすれば、被吸着面21a)に対して変位可能となる。そして、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動し、変位可能となる。
これに対し、第2の態様は、一対の爪部91の対向間隔がX軸XS(もしくはY軸YS)の径(差渡し寸法)とほぼ一致し、一対の爪部91がX軸XS(もしくはY軸YS)を挟み付けた態様である。第2の態様では、X軸XSは軸芯XCまわり、Y軸YSは軸芯YCまわりにそれぞれ回動不能となる。
したがって、第2の態様において、吸着部61は、一対の支持片c1を介して第2のX軸XS2まわりに回動せず、被吸着面21aに対して変位不能となる。また、一対の支持片b1は、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2まわりに回動せず、吸着部61(別の捉え方をすれば、被吸着面21a)に対して変位不能となる。そして、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動せず、変位不能となる。
したがって、第2の態様において、吸着部61は、一対の支持片c1を介して第2のX軸XS2まわりに回動せず、被吸着面21aに対して変位不能となる。また、一対の支持片b1は、第1のY軸YS1および第2のY軸YS2まわりに回動せず、吸着部61(別の捉え方をすれば、被吸着面21a)に対して変位不能となる。そして、第1のX軸XS1は、一対の支持片a1に対して回動せず、変位不能となる。
第1の態様から第2の態様に遷移させる際、アクチュエータ部92は、爪部91同士の対向間隔を狭めるように一対の爪部91を変位させる。逆に、第2の態様から第1の態様に遷移させる際、アクチュエータ部92は、爪部91同士の対向間隔を広げるように一対の爪部91を変位させる。爪部91を変位させる動力源は、特に限定されず、例えばエア(圧縮空気)や油圧、電動モータなどを適用できる。
このように切換機構9を備えることで、例えば吸着部61で物品2を吸着した後、一対の爪部91を第2の態様とすれば、吸着部61に吸着された物品2の姿勢を安定させることができる。これにより、移動先領域、例えば容器(箱)やコンベアなどに物品2を所望の姿勢でより確実に載置させることができる。なお、切換機構は、上述したような一対の爪部91でX軸XSやY軸YSを挟み付けるような機構には限定されない。例えば、クランプ状の部材でX軸XSやY軸YSを締め付けるような機構、ピン状の部材をX軸XSやY軸YSに当て付ける機構などであってもよい。
上述したように、第1の実施形態および第2の実施形態に係るエンドエフェクタ33,33aを適用することで、アーム部32とともにエンドエフェクタ33,33aを下降させるだけで、その下降動作に追随して吸着面61aを被吸着面21aにスムーズに吸着させることができる。このような吸着は、被吸着面21aが吸着時に水平面に対して傾いているか否かを問わず実行できる。すなわち、吸着時において、被吸着面21aが水平面に対して略平行である場合のみならず、傾いている場合であっても、吸着部61で物品2を適正に吸着することができる。
このとき、重心が見かけ上の略中心にある物品であれば、被吸着面の中心近傍を吸着部61で吸着することで、吸着後吸着後(換言すれば、移動先領域まで移動中)の物品2の姿勢を水平面と略平行に保ち、安定させやすい。これに対し、重心が見かけ上の中心およびその近傍にないような物品(以下、偏心物品という)の場合、吸着後(換言すれば、移動先領域まで移動中)の偏心物品の姿勢を安定させるためには、被吸着面上の吸着位置の調整が必要となる。すなわち、吸着部61で被吸着面のどこを吸着するかによって、吸着後に偏心物品の姿勢を水平面と略平行に保てるか否かが左右される。そこで、偏心物品の吸着後の姿勢を安定させることを可能とした物品移動装置について、第3の実施形態として以下に説明する。
(第3の実施形態)
本実施形態に係る物品移動装置は、上述した図1に示す物品移動装置1の構成を踏襲する。図1に示すように、物品移動装置1は、ロボットアーム3と、検出機構4と、制御機構5とを備えて構成されている。図9には、物品移動装置1のブロック図を示す。
ロボットアーム3は、上述した第1の実施形態と同様に構成されている。このため、ロボットアーム3の各構成部材についての説明は省略する。
本実施形態に係る物品移動装置は、上述した図1に示す物品移動装置1の構成を踏襲する。図1に示すように、物品移動装置1は、ロボットアーム3と、検出機構4と、制御機構5とを備えて構成されている。図9には、物品移動装置1のブロック図を示す。
ロボットアーム3は、上述した第1の実施形態と同様に構成されている。このため、ロボットアーム3の各構成部材についての説明は省略する。
検出機構4は、物品検出部41と、吸着状況検出部42とを有する。物品検出部41は、集積領域20における物品群2sの集積態様を検出する。物品群2sは、集積領域20に集積されている複数の物品2として規定する。物品群2sの集積態様は、例えば集積された各物品2の輪郭、大きさ、向き、姿勢、重なり、境界などの態様である。これらの集積態様を検出するべく、本実施形態では、物品検出部41として3Dカメラを適用している。これにより、物品検出部41は、物品群2sの集積態様を立体的に捉え、より正確に物品群2sの集積態様を把握することが可能とされている。ただし、物品検出部41は、2Dカメラであっても構わない。この場合、複数の2Dカメラで集積領域の物品群2sを異なる角度から捉えられるようにすればよい。
物品検出部41は、集積領域20から鉛直上方に所定距離だけ離して位置決め固定されている。所定距離は、集積領域20に集積された物品群2sの全体を物品検出部41が画角内に収め、ピントを合わせることが可能な距離である。例えば、物品検出部41は、ロボットアーム3を囲むフレーム(図示省略)の上部などに、ロボットアーム3の可動範囲を避けて配置される。物品検出部41は、制御機構5に有線もしくは無線で接続されている。これにより、物品検出部41は、制御機構5から受信した制御信号によって動作が制御されるとともに、検出した情報(後述する物品群2sの集積態様、物品2の吸着位置データなどの各データ)を制御機構5に送信する。制御機構5は、物品検出部41から送信された情報を解析して、ロボットアーム3で移動させる物品2を物品群2sの中から選択する。そして、制御機構5は、選択した物品2を吸着する際の目標位置を特定する。基本的には、物品2の重心が見かけ上の略中心位置にあるものとして、被吸着面の略中心位置を目標位置として特定する。
吸着状況検出部42は、ロボットアーム3(端的にはエンドエフェクタ33)での物品2(選択物品)の吸着状況を検出する。本実施形態では、吸着状況検出部42は、吸着部61に吸着された物品2の基準面に対する傾きを検出する。基準面は、水平面であり、一例としてロボットアーム3の基台部31が設置される設置面30である。このような物品2の傾きを検出するべく、本実施形態では、吸着状況検出部42として距離検出器を適用している。距離検出器は、対象物(本実施形態では、吸着部61に吸着された選択物品)に向けて入射光を照射し、該入射光に対する対象物からの反射光を受光(感知)するまでの時間に基づいて、距離検出器から対象物までの距離を計測する。一例として、吸着状況検出部42には、レーザー光を発振、照射するとともに、対象物からはね返ったレーザー光を感知するレーザーレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)を適用する。
吸着状況検出部42は、ロボットアーム3が吸着した物品2の吸着後の移動軌跡上で、該物品2までの距離を検出(計測)し、検出部位間の距離差に基づいて物品2の水平面に対する傾きを検出する。本実施形態では一例として、距離検出器は、前記移動軌跡上のいずれかの箇所を通過する物品2と、レーザー光の照射感知部42aとが対向可能な任意の位置に固定されている。すなわち、吸着状況検出部42は、移動軌跡上の定点である距離検出位置を物品2が通過するタイミングで該物品2までの距離を検出する。
制御機構5は、ロボットアーム3および検出機構4の動作をそれぞれ制御する。制御機構5は、演算処理部51と、動作制御部52と、データ蓄積部53と、データ制御部54とを有する。
演算処理部51は、例えば、CPU、メモリ、入出力回路、タイマなどを含み、各種データを入出力回路により読み込み、メモリから読み出したプログラムを用いてCPUで演算し、演算結果に基づいた制御を行う。演算処理部51は、ロボットアーム3および検出機構4と有線もしくは無線で接続されている。
演算処理部51は、例えば、CPU、メモリ、入出力回路、タイマなどを含み、各種データを入出力回路により読み込み、メモリから読み出したプログラムを用いてCPUで演算し、演算結果に基づいた制御を行う。演算処理部51は、ロボットアーム3および検出機構4と有線もしくは無線で接続されている。
動作制御部52は、演算処理部51を介してロボットアーム3および検出機構4との間で各種データや演算結果などを送受信し、これらに基づいてロボットアーム3と検出機構4の動作をそれぞれ制御する。すなわち、動作制御部52は、演算処理部51に読み出されて実行されるプログラムである。例えば、動作制御部52は、検出機構4に検出させた集積領域20における物品群2sの集積状況の検出データ、およびデータ蓄積部53の蓄積データ(後述するマスターデータ)に基づいてロボットアーム3の動作を制御する。
データ蓄積部53は、物品2の吸着位置調整のためのマスターデータを蓄積するデータベースである。マスターデータは、物品2の吸着位置を調整する際に動作制御部52によって読み出され、後述するデータ制御部54によって更新される。本実施形態では一例として、データ蓄積部53は、物品2(選択物品)の吸着位置データと、吸着後の物品2の姿勢データとを、物品2の属性をキーとして蓄積している。
吸着位置データは、吸着部61が物品2を吸着する際、目標とする被吸着面上の位置(座標)データであり、物品検出部41によって検出、取得される。吸着位置データの初期値(デフォルト値)は、被吸着面の中心位置(中心点)である。被吸着面の中心点は、物品2の見かけ上の重心を通って被吸着面と略直交する直線と、被吸着面との交点である。
姿勢データは、吸着部61に吸着された後における物品2の水平面に対する傾きを示すデータ(以下、傾きデータという)であり、吸着状況検出部42によって検出、取得される。物品2の水平面に対する傾きを示すデータは、例えば、物品2の底面(被吸着面とは反対側の下向きの面)の水平面に対する傾斜角度である。
物品2の属性は、例えば形態(大きさ、形状、梱包状態など)を示すデータ(以下、物品IDという)であり、集積領域20に集積された物品2について物品検出部41によってそれぞれ検出、取得される。
姿勢データは、吸着部61に吸着された後における物品2の水平面に対する傾きを示すデータ(以下、傾きデータという)であり、吸着状況検出部42によって検出、取得される。物品2の水平面に対する傾きを示すデータは、例えば、物品2の底面(被吸着面とは反対側の下向きの面)の水平面に対する傾斜角度である。
物品2の属性は、例えば形態(大きさ、形状、梱包状態など)を示すデータ(以下、物品IDという)であり、集積領域20に集積された物品2について物品検出部41によってそれぞれ検出、取得される。
データ制御部54は、データ蓄積部53のマスターデータを追加、更新する。具体的には、物品検出部41の検出結果に基づいて、データ制御部54は、物品2と紐付いた物品IDのレコードをマスターデータに追加し、追加後のマスターデータを適宜更新する。また、データ制御部54は、物品検出部41の検出結果に基づいて物品IDに対する吸着位置データを更新し、吸着状況検出部42の検出結果に基づいて物品IDの吸着位置データに対する傾きデータを更新する。これにより、動作制御部52によるロボットアーム3(端的には、エンドエフェクタ33)の動作制御時において、吸着部61が吸着する物品2の被吸着面上の吸着位置が物品2の重心位置に基づいて調整される。
次に、このような物品2の吸着位置の調整について、説明する。図10には、物品2(22)の吸着位置調整の状況を模式的に示す。図10の(a)は吸着位置の調整前に吸着部61で物品22を吸着した状態を示す図であり、(b)はその後に物品22を持ち上げた状態を示す図である。図10の(c)は吸着位置の調整後に吸着部61で物品22を吸着した状態を示す図であり、(d)はその後に物品22を持ち上げた状態を示す図である。
図10に示すように、物品22は、重心22gが見かけ上の中心およびその近傍にないような偏心物品である。
吸着位置の調整前に相当するケースとして、物品22が吸着部61で初めて吸着される場合、つまり吸着位置の調整が一度もなされていない場合を一例に説明する。図10(a)に示すように、物品22は、被吸着面22aが水平面(設置面30)に対して傾いた状態で吸着部61に吸着されている。吸着にあたって、動作制御部52は、データ蓄積部53の物品22に対する吸着位置データに基づいて、エンドエフェクタ33を被吸着面22aに向けて下降させる。この場合、吸着位置データが示す位置は、初期値である被吸着面22aの中心点22cである。したがって、動作制御部52は、吸着面61aの中心点61cと被吸着面22aの中心点22cとがほぼ重なるように、吸着部61を被吸着面22aに吸着させる。
吸着位置の調整前に相当するケースとして、物品22が吸着部61で初めて吸着される場合、つまり吸着位置の調整が一度もなされていない場合を一例に説明する。図10(a)に示すように、物品22は、被吸着面22aが水平面(設置面30)に対して傾いた状態で吸着部61に吸着されている。吸着にあたって、動作制御部52は、データ蓄積部53の物品22に対する吸着位置データに基づいて、エンドエフェクタ33を被吸着面22aに向けて下降させる。この場合、吸着位置データが示す位置は、初期値である被吸着面22aの中心点22cである。したがって、動作制御部52は、吸着面61aの中心点61cと被吸着面22aの中心点22cとがほぼ重なるように、吸着部61を被吸着面22aに吸着させる。
次いで、動作制御部52は、物品22を移動先領域に移動させるため、物品22が上昇するようにエンドエフェクタ33を上方へ変位させる。その際、物品22は、吸着状況検出部42の距離検出位置を通過する。
エンドエフェクタ33を上方へ変位させると、図10(b)に示すように、第2の支持部73bおよび第3の支持部73cは、吸着部61と物品22の重量を受けて、第1の支持部73aに吊り下がった状態となる。この時、物品22の重心22gと吸着面61aの中心点61cとは、物品22が偏心物品であるため同一の鉛直線上に並ばない。したがって、物品22の重量が吸着部61に対して偏って負荷され、吸着面61aおよび被吸着面22aは、水平面と略平行にはならず、傾いた状態となる。
エンドエフェクタ33を上方へ変位させると、図10(b)に示すように、第2の支持部73bおよび第3の支持部73cは、吸着部61と物品22の重量を受けて、第1の支持部73aに吊り下がった状態となる。この時、物品22の重心22gと吸着面61aの中心点61cとは、物品22が偏心物品であるため同一の鉛直線上に並ばない。したがって、物品22の重量が吸着部61に対して偏って負荷され、吸着面61aおよび被吸着面22aは、水平面と略平行にはならず、傾いた状態となる。
データ制御部54は、データ蓄積部53における物品22の物品IDに紐つく吸着位置データを、吸着状況検出部42によって検出された物品22の傾きデータに基づいて補正し、補正後の値に吸着位置データを更新する。また、動作制御部52は、物品22の物品IDに紐つく吸着位置データに対する傾きデータを更新する。これにより、吸着部61が物品22を再吸着する際、物品22の吸着位置の調整を行うことができる。物品22を再吸着するケースとしては、例えば同一の物品22を再度吸着するケース、同一形態の別の物品22を吸着するケースなどが挙げられる。
物品22の再吸着にあたって、動作制御部52は、データ蓄積部53の物品22に対する更新後の吸着位置データに基づいて、エンドエフェクタ33を被吸着面22aに向けて下降させる。例えば、図10(c)に示す場合、吸着位置データが示す位置は、初期値である被吸着面22aの中心点22cからずれた補正後の位置(以下、調整点という)22dである。したがって、動作制御部52は、吸着面61aの中心点61cと被吸着面22aの調整点22dとがほぼ重なるように、吸着部61を被吸着面22aに吸着させる。なお、図10(c)には、図10(a)に示す傾き状態で被吸着面22aが吸着部61に吸着された状態を示す。
次いで、図10(d)に示すように、動作制御部52は、物品22が上昇するようにエンドエフェクタ33を上方へ変位させる。その際、物品22は、吸着状況検出部42の距離検出位置を再度通過する。
エンドエフェクタ33を上方へ変位させると、第2の支持部73bおよび第3の支持部73cは、吸着部61と物品22の重量を受けて、第1の支持部73aに吊り下がった状態となる。図10(d)に示す場合、物品22の吸着位置が被吸着面22aの中心点22cから調整点22dにずれており、物品22の重心22gと吸着面61aの中心点61cとは、同一の鉛直線上に並んでいる。したがって、物品22が偏心物品であっても、物品22の重量が吸着部61に対して偏って負荷されず、略均等に負荷される。その結果、吸着面61aおよび被吸着面22aは水平面に対して傾いた状態とはならず、これらを水平面と略平行に保つことができる。これにより、例えば、集積領域に集積された物品群が同一の偏心物品を複数含んでいる場合などには、吸着位置の調整を行うことによって、該偏心物品の吸着後の姿勢を確実に安定させることができる。そして、このような吸着位置の調整を繰り返すことで、データ蓄積部53に蓄積されたマスターデータの精度を高めることができ、偏心物品の吸着位置をより一層精度よく調整することが可能となる。
エンドエフェクタ33を上方へ変位させると、第2の支持部73bおよび第3の支持部73cは、吸着部61と物品22の重量を受けて、第1の支持部73aに吊り下がった状態となる。図10(d)に示す場合、物品22の吸着位置が被吸着面22aの中心点22cから調整点22dにずれており、物品22の重心22gと吸着面61aの中心点61cとは、同一の鉛直線上に並んでいる。したがって、物品22が偏心物品であっても、物品22の重量が吸着部61に対して偏って負荷されず、略均等に負荷される。その結果、吸着面61aおよび被吸着面22aは水平面に対して傾いた状態とはならず、これらを水平面と略平行に保つことができる。これにより、例えば、集積領域に集積された物品群が同一の偏心物品を複数含んでいる場合などには、吸着位置の調整を行うことによって、該偏心物品の吸着後の姿勢を確実に安定させることができる。そして、このような吸着位置の調整を繰り返すことで、データ蓄積部53に蓄積されたマスターデータの精度を高めることができ、偏心物品の吸着位置をより一層精度よく調整することが可能となる。
なお、本実施形態では一例として、ロボットアーム3は、エンドエフェクタ33を備える仕様としているが、第2の実施形態に係るエンドエフェクタ33a(図7)を適用し、切換機構9を備えた構成であってもよい。例えば、図10(d)に示す状態において、切換機構9の一対の爪部91を第2の態様(図8(b))とすれば、吸着部61に吸着された物品22の姿勢をより一層安定させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…物品移動装置、2,21,22…物品、3…マニピュレータ(ロボットアーム)、4…検出機構、5…制御機構、6…吸着機構、7…回動機構、8…ジョイント、9…切換機構、20…集積領域、21a,22a…被吸着面、22c…中心点、22d…調整点、22g…重心、30…設置面、31…基台部、32…アーム部、33,33a…エンドエフェクタ、34…関節部、35a〜35g…軸、36…アーム先端部、41…物品検出部、42…吸着状況検出部、51…演算処理部、52…動作制御部、53…データ蓄積部、54…データ制御部、61…吸着部、61a…吸着面、61c…中心点、71…ベース部、72…軸部、72a,72b…十字軸、72c…軸芯、73(73a,73b,73c)…支持部、81a,81b,81c,81d…壁部、82…貫通孔、83…軸受(ジョイント軸受)、a1,b1,c1…支持片、a2,c2…梁片、a3,b2,b3,c3…軸受(プレート軸受)、Ca,Cb…X軸とY軸の軸芯同士の交点、L1…交点Ca,Cb間の距離、L2…交点Cbと中心点61cとの距離、SFa,SFb…フランジ、XC…X軸の軸芯、XE…X軸の端部、XS(XS1,XS2)…X軸、YC(YC1,YC2)…Y軸の軸芯、YE…Y軸の端部、YS(YS1,YS2)…Y軸、YSa,YSb…Y軸の各分割軸。
Claims (7)
- 集積領域に集積された物品を吸着する吸着部を含む吸着機構と、
前記吸着部を4つ以上の回動軸まわりに回動させる回動機構と、を備える
ロボットアームのエンドエフェクタ。 - 前記回動機構は、同一平面上で互いの軸芯が略直交する2つの前記回動軸で構成される十字軸を二組以上有する
請求項1に記載のロボットアームのエンドエフェクタ。 - 二組以上の前記十字軸における2つの前記回動軸の軸芯同士の各交点は、前記吸着部が前記物品を吸着していない状態において同一の鉛直線上に所定間隔をあけて並ぶ
請求項2に記載のロボットアームのエンドエフェクタ。 - 前記回動機構は、二組の前記十字軸を有し、
これらの前記十字軸における2つの前記回動軸の軸芯同士の交点間の距離は、前記吸着部の吸着面の中心点と前記中心点に最も近い前記交点との距離よりも長い
請求項2に記載のロボットアームのエンドエフェクタ。 - 2つの前記回動軸のうち、一方は連続した1本の軸体であり、他方は2つに分割された2本の軸体であり、これら2本の前記軸体は、軸芯同士が略同一となるように、一方の前記回動軸を挟んで軸端を対向させるように連結されている
請求項2に記載のロボットアームのエンドエフェクタ。 - 前記回動軸を回動可能状態と回動不能状態とに切り換える切換機構をさらに備える
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットアームのエンドエフェクタ。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載のエンドエフェクタで前記物品を吸着して移動させるロボットアームと、
前記物品の形態と、前記物品に対する前記吸着部の吸着位置と、前記吸着部に吸着された前記物品の水平面に対する傾きと、を検出する検出機構と、
前記ロボットアームおよび前記検出機構の動作を制御する制御機構と、を備え、
前記制御機構は、
前記検出機構によって検出された前記形態、前記吸着位置、前記傾きについてのデータをそれぞれ蓄積するデータ蓄積部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記形態および前記吸着位置に基づいて、前記吸着部に前記物品を吸着させる動作制御部と、
前記データ蓄積部に蓄積された前記形態に対応する前記吸着位置を、前記傾きに基づいて補正するデータ制御部と、を有する
物品移動装置。
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Cited By (3)
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JP2021142247A (ja) * | 2020-03-13 | 2021-09-24 | 株式会社ユニバーサルエンターテインメント | 遊技機 |
JP2021142248A (ja) * | 2020-03-13 | 2021-09-24 | 株式会社ユニバーサルエンターテインメント | 遊技機 |
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-
2018
- 2018-09-14 JP JP2018172392A patent/JP2020044588A/ja active Pending
Cited By (3)
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