JP2020041066A - ポリマーポリオール及びポリウレタンフォーム - Google Patents

ポリマーポリオール及びポリウレタンフォーム Download PDF

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JP2020041066A JP2018170129A JP2018170129A JP2020041066A JP 2020041066 A JP2020041066 A JP 2020041066A JP 2018170129 A JP2018170129 A JP 2018170129A JP 2018170129 A JP2018170129 A JP 2018170129A JP 2020041066 A JP2020041066 A JP 2020041066A
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Abstract

【課題】 ポリウレタンフォームの難燃性を向上させることができ、リン原子含有ポリマー粒子が高濃度に分散し、経時的にも分散安定性がよいポリマーポリオールを提供することを目的とする。【解決手段】 ポリオール(B)中でリン原子を含有するエチレン性不飽和モノマー(A)を重合させてなるリン原子含有ポリマー粒子(C)及び前記ポリオール(B)を含有するポリマーポリオール(D);このポリマーポリオール(D)を含むポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)を反応させてなるポリウレタンフォーム(G)を用いる。【選択図】 なし

Description

本発明はリン原子含有ポリマーを含有するポリマーポリオールおよびそれを用いた難燃性のポリウレタンフォームに関する。
従来より、ウレタンフォームの難燃性を向上させるために、ウレタン原料中に、リン化合物、ハロゲン化合物、リン含有ハロゲン化合物、トリアジン化合物(メラミン)、金属水酸化物、酸化アンチモンなどの難燃剤が添加されている(例えば特許文献1)。
難燃剤には液体と固体の難燃剤の2種類があり、このうち液体の難燃剤についてはウレタン原料中への添加が容易で、ウレタン原料の粘度も低く抑えることができるが、その一方で難燃剤は可塑剤としても働くため、添加量を多くするとウレタンフォームのフォーム物性が下がってしまうという問題、経時的に難燃剤が揮発して難燃効果が低減してしまうという問題がある。
また、固体の難燃剤は、添加によってウレタンフォームの物性は低下しないが、添加によりウレタン原料の粘度が上がってしまったり、沈降分離してしまうという問題があり、このため、難燃剤の添加量はある程度までしか上げることができなかった。
特開2014−47274号公報
本発明は、ポリウレタンフォームの難燃性を向上させることができ、リン原子含有ポリマー粒子が高濃度に分散し、経時的にも分散安定性がよいポリマーポリオールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリオール(B)中でリン原子を含有するエチレン性不飽和モノマー(A)を重合させてなるリン原子含有ポリマー粒子(C)及び前記ポリオール(B)を含有するポリマーポリオール(D);並びにこのポリマーポリオール(D)を含むポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)を反応させてなるポリウレタンフォーム(G)である。
本発明のポリマーポリオール(D)は、リン原子含有ポリマー粒子の分散安定性が高く、高強度で、難燃性の高いポリウレタンフォームが得られるという効果を奏する。
本発明のポリマーポリオール(D)は、ポリオール(B)中でリン原子を含有するエチレン性不飽和モノマー(A)を重合させてなるリン原子含有ポリマー粒子(C)及び前記ポリオール(B)を含有するポリマーポリオールである。
本発明におけるリン原子を含有するエチレン性不飽和モノマー(A)としては、エチレン性不飽和基とリン原子を含有している化合物であれば特に限定されない。
リン化合物としては、ホスフィン化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホン酸化合物、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル(ホスファイト)、リン酸エステル(ホスフェート)などが挙げられる。
具体的な(A)としては、ジフェニル−2−メタクロイルオキシエチルホスフェート、2−メタクロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビニルホスホン酸、ビニルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
また、(A)と共重合させる目的で、リン原子を含有しないその他のエチレン性不飽和モノマーが併用できる。
その他のエチレン性不飽和モノマーとしては、(A)と共重合可能なエチレン性不飽和を含有する化合物であれば特に限定されず、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸およびアクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル類等があげられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリオール(B)としては、ポリオキシアルキレンポリオール(B1)、ポリエステルポリオール(B2)などのポリオールが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオール(B1)は、多価アルコール(b1)[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖などの4価以上の多価アルコール];エチレンジアミン、トルエンジアミンなどのポリアミン(b2) ;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の多価フェノール(b3)等およびそれらの混合物に、アルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある。)を付加したポリオールである。
付加するAOとしては炭素数2〜4のものが好ましく、プロピレンオキサイド(以下、POと略記することがある)、エチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)、ブチレンオキサイド等が挙げられ、2種以上用いてもよいが、好ましいものはPO単独、EO単独、およびPOとEOの混合である。2種以上併用の際の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。
ポリエステルポリオール(B2)は、前記の多価アルコール(b1)、前記のポリオキシアルキレンポリオール(B1)(特に2価のポリエーテルポリオール)と、アジピン酸、セバシン酸などのポリカルボン酸、もしくはそのエステル形成性誘導体〔無水マレイン酸、無水フタル酸など酸無水物、テレフタル酸ジメチルなどの低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等〕とのポリエステルポリオール;前記カルボン酸無水物およびAOとの縮合反応物;これらの縮合反応物のAO(EO、PO等)付加物;多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるポリラクトンポリオール;多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応で得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(B2)としては、天然由来のポリエステルポリオールとして、ひまし油、ひまし油誘導体、およびそれらの混合物を含むものも挙げられる。
ポリオール(B)の水酸基価(単位:mgKOH/g)は、20〜2,000が好ましい。水酸基価が20未満では、後述の成形品の強度が不十分であり、水酸基価が2,000を超えると工業的にポリウレタン樹脂組成物が得られにくい。
水酸基価は、好ましくは20〜1,500、さらに好ましくは20〜1000である。
なお、本発明における水酸基価は、JIS K0070(1995年版)に規定の方法で測定される。また、ポリオールが2種または3種以上の場合、水酸基価は各ポリオールの水酸基価の重量による相加平均値である。
エチレン性不飽和モノマー(A)をラジカル重合させて本発明におけるリン原子含有ポリマー粒子(C)を製造する際に用いるラジカル開始剤としては、アゾ化合物及び過酸化物等{特開2005−162791号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)に記載のもの等}が使用できる。また、(C)の10時間半減期温度は、(B)の重合率及び重合時間とポリマーポリオールの生産性の観点から、30〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜140℃、特に好ましくは80〜130℃である。
ラジカル開始剤の使用量は、(B)の重合度及び得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から(B)の合計重量に基づいて、0.05〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.2〜10重量%である。
エチレン性不飽和モノマー(A)をラジカル重合させて得られる本発明のリン原子含有ポリマー粒子(C)の含有量は、ポリマーポリオール(D)の重量に基づいて5〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
5重量%未満では、充分な難燃性を発現する事が出来ず、50重量%を超えると粘度が上昇し取り扱いが困難になる。
本発明のリン原子含有ポリマー粒子(C)のレーザー回折散乱法で測定された体積平均粒子径は、粒子の分散安定性(沈降のしにくさ)の観点から0.01〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μmである。
エチレン性不飽和モノマー(A)に含まれるリン原子の含量は、難燃性の発現と粘度の観点からポリマーポリオール(D)の重量に基づいて0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜8重量%である。
なお、リン原子の含量は、分光光度計(島津製作所製UV−1700)を用いて、フラスコ燃焼法によるバナドモリブデン酸比色定量法で行った。
本発明のポリウレタンフォーム(G)は、上記のポリマーポリオール(D)を含むポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)を反応させてなるポリウレタンフォームである。
本発明に用いられるポリオール成分(D)としては、上記のポリマーポリオール(D)以外のポリオール(H)としては、前述のポリオール(B)で例示したポリオキシアルキレンポリオール(B1)、ポリエステルポリオール(B2)などのポリオールが挙げられる。
本発明に用いられるポリイソシアネート成分(F)としては、イソシアネート基を分子内に2個以上有する化合物であればとくに限定されない。
ポリイソシアネート(F)としては、芳香族ポリイソシアネート(F1)、脂肪族ポリイソシアネート(F2)、脂環式ポリイソシアネート(F3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(F4)およびこれらの変性物(F5)(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)が挙げられる。(F)は1種でも、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネート(F1)としては、炭素数(NCO基中の炭素原子を除く;以下のポリイソシアネートの炭素数も同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。
具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI、またはポリメリックMDI)、などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート(F2)としては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート(F3)としては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート(F4)としては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネート(F5)の変性としてはウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。
具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
上記(F)のうち、難燃性の観点からは芳香族ポリイソシアネート(F1)およびその変性物を使用することが好ましい。
また、ポリイソシアネート(F)中のイソシアネート基含有率は、10〜40重量%が好ましい。
本発明のポリウレタンフォーム(G)は、上記のポリオール成分(E)、ポリイソシアネート成分(F)と、必要によりウレタン化触媒(J)、整泡剤(I)、及び必要により後述の各種添加剤とを、容器に入れて、混合し、ウレタン反応により硬化させて得られる。
ポリオール成分(E)、およびそれ以外の水酸基を含むポリオール成分の混合物と、ポリイソシアネート成分(F)との割合をイソシアネート指数[(NCO基/OH基の当量比)×100]で表した場合、指数は種々変えることができるが、好ましくは80〜140、さらに好ましくは85〜120、とくに好ましくは90〜115である。
また、ポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)成分の反応方法としては、ワンショット法であっても、予め(F)の混合物の一部と(E)を反応させてNCO末端プレポリマーを形成させた後、残りの(F)と反応させるか、あるいは予めポリオール成分(E)と、(F)の一部を反応させてOH末端プレポリマーを形成させた後、残りの(E)と反応させるプレポリマー法であってもよい。
本発明のポリウレタンフォーム(G)を得るために、ポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)とを硬化反応させる際に用いることのできるウレタン化触媒(J)としては、ウレタン化反応を促進する通常のウレタン化触媒はすべて使用でき、例として、トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンのPO付加物などの3級アミンおよびそのカルボン酸塩、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、スタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。
本発明のポリウレタンフォーム(G)を得るために、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを硬化反応させる際に用いることのできる整泡剤(I)としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用できる。
具体例として、ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」、「PRX−607」等]及びポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1142」、「SRX−294A」、「SH−193」、「SZ−1720」、「SZ−1675t」、「SF−2936F」、「SZ−1346」、「SF−2962」、「SZ−1327」及びデグサジャパン(株)製「B8715LF2」、「B8738LF2」、「B8737」、「B8742」、「B4900」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ合同会社製の「L−(540」、「L−595」、「L−3601」、「L−3640」、「L−5309」等]が挙げられる。
整泡剤の使用量は、機械物性、機械物性の経時変化及びフォームの変色の観点から、ポリオール成分(G)100重量部に対して、0.1〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0重量部である。
本発明のポリウレタンフォーム(G)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、脱水剤、滑剤、可塑剤、チクソ性付与剤、充填剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、抗酸化剤、着色剤、難燃剤、防黴剤、抗菌剤、分散剤(沈降防止剤)、消泡剤、無機フィラー、有機フィラー、マイクロバルーン等が挙げられる。
各種添加剤の添加量はポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)の合計重量に基づいて、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
本発明のポリウレタンフォーム(G)を得るために用いることのできる発泡剤(K)としては、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を用いることができる。
2種以上を併用してもよいが、好ましくは水を使用していることであり、特に好ましくは水のみを単独で使用していることである。
発泡剤(K)として水のみを単独で用いる場合の水の使用量は、ポリオール成分(E) 100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、1.0〜7.0重量部が好ましく、さらに好ましくは2.0〜5.5重量部である。
他の発泡剤と併用する場合の水の使用量は、ポリオール成分(G)100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、1.0〜5.5重量部が好ましく、さらに好ましくは2.0〜4.0重量部である。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22及びHCFC−142b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc)などが挙げられる。
フォームの燃焼性の観点から、これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、HFC−365mfc及びこれらの2種以上の混合物である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール成分(G)100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜45重量部である。
低沸点炭化水素は、沸点が−5〜50℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、ポリオール成分(G)100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、40重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜30重量部である。
また、液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、ポリオール成分(G)100重量部に対して、フォームの成形性及び機械物性の観点から、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
実施例1
温度調節器、攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口および流出口を備えた4口フラスコに、ポリオール(B−1)[三洋化成工業(株)製「サンニックスFA−703」、グリセリンのPO/EO付加物で数平均分子量5000]900部を投入し、200rpmで撹拌しながら130℃に昇温した。
ついで、リン原子を含有するエチレン性不飽和モノマーのジフェニル−2−メタクロイルオキシエチルホスフェート(A−1)[大八化学工業(株)製「MR−260」]、リン含量8.6重量%、分子量362]100部とラジカル重合開始剤の1,1’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(X−1)[和光純薬工業(株)製「V−59」]1部の混合物を、滴下ポンプを用いて、滴下速度2部/分の速度で連続的に滴下し、滴下終了後さらに130℃で30分重合させた。開始剤分解物を130℃減圧下で留去し、ポリマーポリオール(D−1)を得た。
ポリマーポリオール(D−1)中のポリマー粒子(C−1)の体積平均粒子径は0.5μm、ポリマー粒子(C−1)の含有量は10%、リン原子の含量は0.86重量%であった。
実施例2〜5及び比較例1と2
表1に記載の部数で、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜5のポリオール組成物(D−2)〜(D−5)および比較例1、2のポリオール組成物(D’−1)と(D’−2)を得た。
Figure 2020041066
なお、表1に記載の化合物は以下の通りである。
(1)リン原子含有エチレン性不飽モノマー(A−1):ジフェニル−2−メタクロイルオキシエチルホスフェート、商品名「MR−260」大八化学工業(株)製]、リン含量8.6重量%、分子量362。
(2)エチレン性不飽和基含有モノマー(A’−1):スチレン、分子量104.15
(3)エチレン性不飽和基含有モノマー(A’−2):アクリロニトリル、分子量53.06
(4)ラジカル重合開始剤(X−1):1,1’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)[商品名「V−59」、和光純薬工業(株)製]
(5)ポリオール(B−1):数平均分子量5000の、グリセリンのPO/EO付加物、[商品名「サンニックスFA−703」三洋化成工業(株)製]
(6)ポリオール(B−2):数平均分子量400の、グリセリンのPO付加物。[商品名「サンニックス GP−400」三洋化成工業(株)製]
(7)リン系難燃剤(Y−1):ノンハロゲン縮合リン酸エステル[商品名「DAIGUARD−850」、大八化学工業(株)製]、リン含量16%
実施例1〜5のポリオール組成物(D−1)〜(D−5)および比較例1と2のポリオール組成物(D’−1)と(D’−2)のリン含量、ポリマー粒子含量、ポリマーの体積平均粒子径を表1に示した。
また、製造直後の25℃での目視による外観と、25℃で保存した30日後の外観を表1に示した。
実施例6
実施例3で作成したポリオール組成物(D−3)55部、ポリオール(H−1)[三洋化成工業(株)製「サンニックスKC−725」、数平均分子量5000でグリセリンのPO/EO付加物]45部、整泡剤(I−1)[ゴールドシュミット社製「TEGOSTAB B8738LF2」]0.8部、ウレタン化触媒「DABCO−33LV」(J−1)0.4部、ウレタン化触媒「TOYOCAT ET」(J−2)0.3部、発泡剤として水3.6部を1Lカップに入れて、ミキサーで3000RPMの回転数で60秒間撹拌して均一に混合した。
得られた混合液に、ポリイソシアネートとして「コロネート1021」(F−1)を入れ、直ちにミキサーで3000RPMの回転数で15秒間撹拌した。
この混合液を段ボールで作製した30cm×30cm×10cmの型の中に入れ、発泡させることで実施例6のポリウレタンフォーム(G−1)を得た。
実施例7と比較例3
表2記載の部数で、実施例6と同様の操作で、実施例7のポリウレタンフォーム(G−2)と比較例3のポリウレタンフォーム(G’−1)を得た。
Figure 2020041066
なお、表2に記載の化合物で表1に記載のないものは以下の通りである。
(1)ポリオール(H−1):数平均分子量5000の、グリセリンのPO/EO付加物、[商品名「サンニックス KC−725」三洋化成工業(株)製]
(2)ポリイソシアネ−ト(F−1):TDI−80[2,4−及び2,6−TDIの混合物で2,4−体の重量比率が80%]/粗製MDIの重量比率が80/20の混合物[東ソー(株)製「コロネート1021」、イソシアネート基含有率=44.6重量%]
(3)整泡剤(I−1):ゴールドシュミット社製「TEGOSTAB B8738LF2」。
(4)ウレタン化触媒(J−1):エアプロダクツジャパン(株)社製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)。
(5)ウレタン化触媒(J−2):東ソー(株)社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液)。
(6)発泡剤:水
実施例6,7および比較例3で作成したポリウレタンフォーム(G−1)、(G−2)、および(G’−1)について、フォーム密度、25%圧縮硬さ、50%圧縮硬さ、難燃性について以下の方法で測定した。
その結果を表2に示す。
<フォーム密度>
JIS K6400に準拠してフォーム密度(kg/m)を測定する。
<圧縮硬さ>
JIS K6400に準拠して25%圧縮硬さと50%圧縮硬さ(N/100cm)を測定する。
<難燃性(燃焼試験)>
FMVSS 302に準拠して難燃性を評価する。
下記の基準で判定する。
◎:試験片に着火しない、あるいはA標線の手前で自消する。
○:燃焼距離が51mm以下かつ燃焼時間が60秒以内で消火する。
△:燃焼距離が50mm以上かつ燃焼速度が80mm/分未満
×:燃焼距離が50mm以上かつ燃焼速度が80mm/分以上
本発明の実施例1〜5および比較例1のポリマーポリオールの外観は白色均一で、30日後も同様で、固形物が分離したり沈降したりすることはなかった。
一方、フォームにしたときに難燃性が十分発揮できるのに必要な部数のリン系難燃剤を添加した比較例2の難燃剤分散ポリオールの製造直後の外観は白色均一であるが、30日後には固形分が分離し、沈降していた。
本発明のポリマーポリオールを使用した実施例6と7のポリウレタンフォームは高強度であり、高い難燃性能を示す。
一方、リン原子含有エチレン性不飽和モノマーを用いず比較例1で得られた一般的なアクリロニトリル系ポリマーポリオール(D’−1)を用いた比較例3のポリウレタンフォームは、難燃性能が不良であり、強度も低い。
本発明のポリマーポリオールは、リン原子を含有するポリマー粒子の分散安定性が優れているため、難燃性の求められるウレタンフォーム用途の原料として好適に使用できる。 さらに、本発明のポリマーポリオールを用いたウレタンフォームは、高強度であり難燃性に優れた樹脂粒子を高濃度に含有するため、高い難燃性と物性の求められるウレタン樹脂製エンジンカバー、鉄道車両用ウレタンシートクッション、交通車両用ウレタンシートクッション、建材用断熱ウレタンボード、などの用途として好適である。

Claims (5)

  1. ポリオール(B)中でリン原子を含有するエチレン性不飽和モノマー(A)を重合させてなるリン原子含有ポリマー粒子(C)及び前記ポリオール(B)を含有するポリマーポリオール(D)。
  2. エチレン性不飽和モノマー(A)中のリン原子の含量がポリマーポリオール(D)の重量に基づいて0.1〜10重量%である請求項1記載のポリマーポリオール。
  3. ポリマー粒子(C)の含量がポリマーポリオール(D)の重量に基づいて5〜50重量%である請求項1又は2記載のポリマーポリオール。
  4. ポリマー粒子(C)の体積平均粒子径 が0.01〜10.0 μmである請求項1〜3いずれかに記載のポリマーポリオール。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリマーポリオール(D)を含むポリオール成分(E)とポリイソシアネート成分(F)を反応させてなるポリウレタンフォーム(G)。

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