JP2024065580A - ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発泡性、難燃性に優れるウレタンフォームを提供することを可能とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子、それを含むポリウレタンフォーム用難燃剤を提供する。【解決手段】 平均重合度1300~1800のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し、ラウリル硫酸金属塩を0.4~1.0重量部、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールを少なくとも2種類以上で合計0.1~2.0重量部含有する乾燥粉砕粒子であって、平均粒子径2~15μmを有することを特徴とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びその用途に関するものであり、更に詳細にはポリウレタン用、特にポリウレタンフォーム用の難燃剤として有用なポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びその用途に関するものである。
ポリウレタンフォームは、主にイソシアネートとポリオールとの反応により製造され、連通気泡を有し柔軟性、回復性を特性とする軟質ポリウレタンフォームは車両・家具のクッション材等の緩衝材として、独立気泡を有し軽量性、断熱性を特性とする硬質ポリウレタンフォームは建築、貯蔵タンク、船舶等における断熱材や構造材等として、それぞれ幅広い用途に使用されている。従来、ポリウレタンフォームを難燃化するために、樹脂自体の難燃性能を高める難燃剤が使用されており、その際の難燃剤としては、リン酸エステルモノマーに代表される常温で液状の難燃剤や、赤燐やポリリン酸塩類、膨張黒鉛といった固形の難燃剤が用いられてきた。
しかしながら、一般的に常温で液状のリン酸エステルモノマーを難燃剤として使用した場合、このような難燃剤はポリウレタンの可塑化作用を有することから、ポリウレタンフォームの圧縮硬度の低下を誘引しやすい。また、固形の難燃剤を使用した際にはフォームとした際の柔軟性が低下しやすい、という特に軟質ポリウレタンフォームの特性低下を著しく誘引する課題があり、リン酸エステル系難燃剤の使用量低減や、物性に悪影響を及ぼさない他の難燃剤への代替が検討されている。
そして、リン酸エステル系難燃剤を用いないでポリウレタンフォームを難燃化する方法として、ポリ塩化ビニル粒子を含有するポリオールをその原料として用いる方法が提案されており、例えば、ポリオール中で塩化ビニル単量体を重合してポリ塩化ビニル粒子を分散させたポリオールの調製法(例えば特許文献1参照。)、ポリ塩化ビニル粒子と安定剤としてカルボニル基含有化合物を用いる方法(例えば特許文献2参照。)、0.05μm~1μmのポリ塩化ビニル粒子及び/又は塩化ビニル-不飽和ビニル共重合体粒子を分散させたポリオール組成物を用いる方法(例えば特許文献3参照。)、等が提案されている。また、塩化ビニルポリマーとリン酸エステル系難燃剤とを併用するものとして有機ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、発泡剤、整泡剤並びに難燃剤として塩化ビニルポリマー粒子及びリン酸エステル系難燃剤を含む硬質ポリウレタンフォーム用組成物、それより得られる硬質ポリウレタンフォーム(例えば特許文献4参照。)、等が提案されている。
特開平03-097715号公報 特開平09-059341号公報 特開2010-31169号公報 特開2017-171760号公報
しかし、特許文献1~3に提案された方法は、特定のポリオール組成物、塩化ビニル系樹脂組成物を調製することが必要な煩雑なものであると共に、ポリウレタン、更にはフォームとしての難燃化には何ら検討のなされていないものであった。また、特許文献4に提案された方法は、独立した気泡を有するポリ塩化ビニル粒子及び硬質ポリウレタンフォームについて、それぞれ検討されたものであり、特に軟質、連続気泡のウレタン発泡、それに適した難燃剤、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子に関してはなんら検討されていないものである。
そこで、難燃性、発泡性が良好なウレタンフォーム、特に軟質、連続気泡のウレタンフォームが求められ、それに用いられる難燃剤として適したポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子が求められている。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の平均重合度の塩化ビニル系重合体に対し、特定量のラウリル硫酸金属塩及び2種以上の脂肪族高級アルコールを組み合わせで含み、特定の平均粒子径を有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子が、発泡性に優れるウレタンフォーム向けの難燃剤として優れた適性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、平均重合度1300~1800のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し、ラウリル硫酸金属塩を0.4~1.0重量部、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールを少なくとも2種類以上の合計で0.1~2.0重量部を含有する乾燥粉砕粒子であって、平均粒子径2~15μmを有することを特徴とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子及びその用途に関するものである。
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、平均重合度1300~1800のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し、ラウリル硫酸金属塩を0.4~1.0重量部、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールを少なくとも2種類以上の合計で0.1~2.0重量部含有するものであり、この含有物、例えば重合後のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の乾燥回収物、を粉砕した乾燥粉砕粒子であって、平均粒子径2~15μmを有するものである。
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を構成するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均重合度1300~1800のものであり、特に機械的強度と発泡性のバランスに優れるポリウレタンフォームを提供することが可能となることから1400~1700であることが好ましい。そして、平均重合度は、例えばJIS-K6721に準拠した方法で求めることができる。ここで、平均重合度が、1300未満のものである場合、ポリウレタンフォームは寸法安定性に劣るものとなるため好ましくない。一方、1800を越えるものである場合、ポリウレタンフォームとした際の発泡性に劣るものとなる。
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を構成するラウリル硫酸金属塩としては、その範疇に属するものであればよく、例えばラウリル硫酸リチウム,ラウリル硫酸カリウム,ラウリル硫酸ナトリウム等のラウリル硫酸アルカリ金属塩、ラウリル硫酸カルシウム、ラウリル硫酸マグネシウム,ラウリル硫酸亜鉛等のラウリル硫酸アルカリ土類金属塩、等を挙げることができ、中でもラウリル硫酸リチウム,ラウリル硫酸カリウム,ラウリル硫酸ナトリウム等のラウリル硫酸アルカリ金属塩であることが好ましい。また、その含有量は、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し、0.4~1.0重量部であり、0.5~0.9重量部であることが好ましい。ここで、ラウリル硫酸金属塩の含有量が0.4重量部未満である場合、重合時の分散安定性が不安定となり、粒子を調製することが困難となる。一方、含有量が1.0重量部を越える場合、ポリウレタンフォームを調製する際のウレタン形成性組成物の粘度が高いものとなり、その加工性に劣るものとなる。
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を構成する脂肪族高級アルコールとしては、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールであればいずれでもよく、例えばデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールのような直鎖または分枝の高級アルコールをあげることができる。そして、該脂肪族高級アルコールは、これらを少なくとも2種類以上組み合わせて使用するものである。ここで、高級アルコールの炭素数が9以下である場合、ウレタンフォームの発泡性が劣るものとなる。一方、炭素数が21以上である場合、重合時の分散安定性が不安定となり、塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を調製することが困難となる。また、該脂肪族高級アルコールを単独で用いた場合、ポリウレタンフォームを調製した際に内部にクラックが発生し、発泡性、寸法安定性に課題を発生しやすいものとなる。そして、該脂肪族高級アルコールの合計の含有量は、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し0.1~2.0重量部であり、好ましくは0.5~1.8重量部である。ここで、合計の含有量が0.1重量部未満である場合、ウレタンフォームを調製した際に内部にクラックが発生し、発泡性、寸法安定性に劣るものとなる。一方、該含有量が2.0重量部を越える場合、塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を調製することが困難となる。該脂肪族高級アルコールを組み合わせて用いる際には、その配合割合は任意であり、中でも発泡時のクラックの発生を抑制し発泡特性に優れるポリウレタンフォームを調製することが可能となることから、脂肪族高級アルコール(1)/脂肪族高級アルコール(2)=30/70~70/30であることが好ましい。この際の脂肪族高級アルコール(1)、(2)とは、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールに属するものの中より、任意に選択した2種のものを便宜上脂肪族高級アルコール(1)、(2)と示したものである。
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、塩化ビニル系ペースト樹脂を調製した際の乾燥物を粉砕することにより得られる粒子であって、その平均粒子径2~15μmを有するものである。ここで、平均粒子径が2μm未満のものである場合、ポリウレタンフォームを調製する際の安定性に劣るものとなる。一方、15μmを越えるものである場合、又は未粉砕物である場合、粒子径が大きすぎるために発泡時の発泡性に課題を発生するものとなる。この際の平均粒子径は、例えば一般に知られているレーザー回折法及び動的光散乱法を原理とした粒度分布測定装置であればどのような装置を使用しても測定可能であり、例えば、ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPSInstruments製、(商品名)CPSDiscCentrifuge)等の粒度分布測定装置で測定することが可能である。
そして、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、ポリウレタンフォームに優れた難燃性を付与できることから、ポリウレタンフォーム用難燃剤として用いることができる。
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子の製造方法としては、本発明の範疇に属するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子の製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば一般的にポリ塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法として知られている塩化ビニル系単量体の乳化重合法、ミクロ懸濁重合法、シード乳化重合法、シードミクロ懸濁重合法等の重合法により得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスを噴霧乾燥等の乾燥法により、粉状又は粒状のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂とし、粉砕機により粉砕する方法等を挙げることができる。その際、ラウリル硫酸金属塩及び2種以上の炭素数10~20の脂肪族高級アルコールは、それぞれ独立して重合開始前、重合中、重合終了後のいずれの段階にて添加してもよく、これらを含有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスとすることができる。
また、塩化ビニル系単量体としては、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物を挙げることができ、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類:ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
そして、重合反応により得られたラウリル硫酸金属塩及び2種以上の炭素数10~20の脂肪族高級アルコールを含有するポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスからポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を回収する方法としては、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂が回収できる限りにおいていかなる方法を用いてもよく、その中でも、特に効率よく該ラテックスから水分を除去しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を回収することができることから、噴霧乾燥による方法が好ましい。この際の噴霧乾燥に使用する乾燥機としては、一般的に使用されているものでよく、例えば「SPRAY DAYING HANDBOOK」(K.Masters著、3版、1979年、George godwin Limitedより出版)の121頁第4.10図に記載されている各種のスプレー乾燥機があげられる。そして、乾燥条件である乾燥温度としては、例えば乾燥機入口温度で80~200℃、乾燥機出口温度で40~70℃、好ましくは45~65℃を挙げることができる。
乾燥後のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕機にて粉砕することにより、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得ることができる。
本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、例えばイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)、触媒(C)及び発泡剤(D)、更に場合によっては難燃剤(E)、整泡剤(F)等を含むポリウレタンフォーム形成性組成物に難燃剤として配合し、ポリウレタンフォームとして車両・家具のクッション材等の緩衝材等の各種用途に用いることができ、該ポリウレタンフォーム形成性組成物は優れた硬度等の機械物性及び難燃性を有するポリウレタンフォーム、特に連続気泡ポリウレタンフォームを提供することができる。
そのポリウレタンフォームの製造方法としては、ポリウレタンフォームの製造方法として知られている方法を用いることができ、例えばイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)、触媒(C)及び発泡剤(D)、更に場合によっては難燃剤(E)、整泡剤(F)等を含むポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、イソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを重付加してポリウレタンを形成しながら発泡を行う発泡成形によりポリウレタンフォーム、更には軟質ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム、とする方法を挙げることができる。
該イソシアネート成分(A)としては、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができ、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、それらとポリオールとの反応によるイソシアネート含有プレポリマー、及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。さらに、これらのイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基含有変性物)やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体(多核体と称されることもある)をも挙げることができる。中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることから、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、その変性物であることが好ましい。
該ポリオール成分(B)としては、イソシアネート成分(A)と重付加してポリウレタンを形成するものであればよく、ポリオールと称される範疇に属するものであり、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等を挙げることができ、中でも特に柔軟性、圧縮硬度に優れる軟質ポリウレタンフォームとなることからポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。さらに、硬度、耐久性の指標である圧縮残留歪みに優れるフォームとなることから数平均分子量1000~10000で、公称官能基数2以上のものがより望ましい。なお。公称官能基数とは、ポリオールの重合反応中に副反応が生じないと仮定した場合の理論平均官能基数(分子当たりの活性水素原子の数)を示す。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が例示される。)を出発原料として、これとアルキレンオキサイド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等が例示される。)との付加反応により製造されたもの等が挙げられる(例えば、Gunter Oertel,’’Polyurethane Handbook’’(1985) Hanser Publishers社(ドイツ),p.42-53に記載の方法参照)。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、重縮合型ポリエステル系ポリオールであるアジピン酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール等の二塩基酸とグリコールの反応から得られるものや、ラクトン系ポリエステルポリオールのポリカプロラクトンポリオール等、更にはナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる(例えば、岩田敬治「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(1987)日刊工業新聞社 p.117の記載参照)。
ポリマーポリオールとしては、特に限定するものではなく、例えば、前記ポリエーテルポリオールとエチレン性不飽和単量体(例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等)をラジカル重合触媒の存在下に反応させた重合体ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールの市販品としては、例えば、サンニックス(商品名、三洋化成工業株式会社製)、エクセノール(商品名、旭硝子株式会社製)、アクトコール(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製)、VORANOL(商品名、DOW社製)等を挙げることができる。
なお、ポリウレタンフォームを調製する際にその取扱い性に優れることから、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子はポリオール成分(B)に分散したポリオール組成物として取り扱うことが好ましく、さらに触媒(C)、発泡剤(D)、難燃剤(E)、整泡剤(F)等を分散したポリオール組成物であってもよい。
該触媒(C)としては、各種のウレタン化触媒として知られているものを挙げることができ、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモリホリン、N-エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、さらにこれらの有機酸塩;スタナスオクトエート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物;ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチル-ビスアミノエチルエーテル等の活性水素を有すアミン触媒;等を挙げることができ、その中でもウレタン化の反応性と発泡性に優れるものとなることからトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミンであることが好ましい。また、その際の触媒(C)の量としては、発泡性に優れる軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることからポリオール成分(B)100重量部に対して、0.01~10重量部が好ましい。
該発泡剤(D)としては、各種発泡剤として知られているものを用いることができ、中でもポリウレタンフォームの発泡剤としては、イソシアネート基との反応により炭酸ガスを発生し、該炭酸ガスにより炭酸ガス発泡を可能とすることから水を挙げることができる。また、水と付加的に任意の発泡剤を使用してもよく、例えばシクロペンタンやイソペンタン等の低沸点有機化合物を挙げることができる。さらに、ガスローディング装置を用いて原液中に空気や窒素ガスや液化二酸化炭素を混入溶解させて発泡することもできる。発泡剤(D)として水を使用する際のその量は、低見掛け密度の発泡体を安定し提供することが容易となることからポリオール成分(B)100重量部に対して0.5~10重量部であることが好ましく、特に4.0~8.0重量部、更に5.0~8.0重量部であること好ましい。
また、場合によっては難燃剤(E)を用いることができ、中でも、リン酸エステル系難燃剤と本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子とを併用して用いることが好ましく、場合によって他の難燃剤を併用することもできる。リン酸エステル系難燃剤としては、特に制限はなく、例えばトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、2,2-ビス(クロロメチル)-1,3-プロパンビス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート、含ハロゲン系ホスフェートホスホネートオリゴマーエステル(大八化学工業社製、(商品名)CR-504L、CR-530、CR-570、CR-509等)、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ジメチルメチルホスフォネート、ジエチルフェニルホスフォネート、ジメチルフェニルホスフォネート、レゾルシノールジフェニルホスフェート、亜リン酸エチル、亜リン酸ジエチル、エチルエチレンフォスフェートオリゴマー(ICL製、(商品名)FR-PNX等)、芳香族系リン酸オリゴマーエステル(レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート、大八化学工業社製、(商品名)CR-735等)、リン酸化合物に水酸基を有するいわゆる含リンポリオール(アデカ製、(商品名)FC-450;ICL製、(商品名)ファイロール6、クラリアント製、(商品名)OP-550等)等の、ハロゲン系リン酸エステル又は非ハロゲン系リン酸エステル及びそのオリゴマーが挙げられる。中でも耐加水分解性に優れ、加工性に優れることからトリス(2-クロロプロピル)ホスフェート及び含ハロゲン系ホスフェートホスホネートオリゴマーエステルが好ましい。そして、難燃剤(E)として、リン酸エステル系難燃剤を用いる際の配合量としては、リン濃度0.1~1.5重量%に相当する量であることが好ましく、特に難燃性と圧縮硬度物性のバランスに優れる軟質ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム、となることからリン濃度0.3~1.2重量%に相当する量であることが好ましい。また、難燃剤(E)として、リン酸エステル系難燃剤を併用する際のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子の配合量としては、難燃性、発泡性、柔軟性に優れる軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることからポリオール成分(B)100重量部に対して、1~10重量部を配合したポリオール組成物とすることが好ましい。その際には、難燃性、発泡性、柔軟性に優れる軟質ポリウレタンフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム、を効率的に得ることができることからポリオール成分(B)100重量部に対して、リン酸エステル系難燃剤3~25重量部を配合したポリオール組成物とすることが好ましい。
場合によっては用いてもよい整泡剤(F)としては、通常の界面活性剤が使用され、有機珪素系の界面活性剤が好適に使用でき、例えば(商品名)SRX-280A、SZ-1327、SZ-1325、SZ-1336、SZ-3601(東レ・ダウコーニング社製);(商品名)Y-10366、L-5309(モメンティブ社製)、(商品名)B-8724LF2、B-8715LF2(エボニック社製);(商品名)F-122(信越化学社製)等が挙げられ、これら整泡剤(F)の配合量としては、ポリオール成分(B)100重量部に対し0.1~3重量部であることが好ましい。
さらに、沈降防止剤や、必要に応じて、添加剤として、破泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料・染料、抗菌剤・抗カビ剤等の公知の各種添加剤等を用いることができる。
そして、該ポリウレタンフォーム形成性組成物を調製する際のイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)の割合としては、任意であり、中でも気泡が連通した軟質ポリウレタンフォームを効率的に得ることができることから全イソシアネート基と水を含む全活性水素基とのモル比(NCO/活性水素)として、0.7~1.4(イソシアネートインデックス(NCOINDEX)=70~140)であることが好ましく、フォームの耐久性や成形サイクルの良好な範囲として0.7~1.2(NCOINDEX=70~120)がより好ましい。
ポリウレタンフォームの製造方法としては、該ポリウレタンフォーム形成性組成物、特に軟質ポリウレタンフォーム形成性組成物をスラブ発泡、注入モールド発泡、スプレー発泡、連続生産パネル発泡等の公知発泡方法に供する製造方法を挙げることができ、一般な種々の用途、例えば建築、土木関係の断熱材や構造材;電気機器関係では、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍ショーケース等の断熱材;プラントや船舶関係では、LPG、LNGタンカーやパイプラインの断熱材;車両関係では、保冷庫や保冷車の断熱材等、また寝具や自動車等のシート、クッション材、吸音材、制振材、工事用床材等に使用でき、なかでも、寝具や自動車等のシート、クッション材に使用される。
さらに、本発明のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を含むポリウレタンフォームは、特に自動車、二輪車等の内燃機関搭載車両用のシートクッション材等として優れるものとなることから、FMVSSNo.302燃焼試験に準拠した判定が着火しない又は自消であるものが好ましい。なお、ここでの自消とは、単に自然と消化されることを意味するものではなく、燃焼距離51mm以内かつ60秒以内で自然と自消されることを意味するものである。
本発明は、特定の平均重合度を持ち、ラウリル硫酸金属塩及び2種以上の脂肪族高級アルコールを含む事により発泡性及び難燃性に優れるポリウレタンフォームを提供することが可能となる塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を提供するものであり、そのポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームは、寝具や自動車等のシート、クッション材に代表される用途に用いられるものとなる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
ポリオールA:ポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、(商品名)GP-3050V:官能基数3、水酸基価56.4mgKOH/g)。
難燃剤A:ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
難燃剤B:含ハロゲン縮合リン酸エステル(大八化学工業社製、(商品名)CR-504L:リン濃度10.8wt%)。
発泡剤A:水。
整泡剤A:シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、(商品名)SRX280A)。
触媒A:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液(東ソー社製、(商品名)TEDA-L33)。
触媒B:オクタン酸第一スズ(EVONIK社製、(商品名)DABCOT-9)。
イソシアネート:トリレンジイソシアネート(東ソー社製、(商品名)コロネートT-80、NCO含量=48.2%)。
以下に実施例より得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子、ポリウレタンフォームの評価方法を示す。
<平均重合度>
JIS K 6721を準拠し測定した。
<平均粒子径>
ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPSInstruments製、(商品名)CPSDiscCentrifuge)を用いて測定した。
<ポリウレタンフォーム形成性組成物の調製方法>
室温下(20~25℃)にて、ポリオールA100重量部に対し、触媒A0.24重量部、触媒B0.23重量部、整泡剤A1重量部、発泡剤A4.1重量部、難燃剤A4.8重量部及び難燃剤B12.5重量部を混合しポリオール組成物を調製し20℃に調温した。そして、ポリオールA100重量部に対して20℃に調温したイソシアネート48.7重量部を加え、攪拌速度3500rpmで10秒間攪拌混合することによりポリウレタンフォーム形成性組成物を得た。
<発泡評価>
実施例により得られたポリウレタンフォームの目視観察により発泡評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
〇;ウレタンフォームが収縮せず、内部にクラックがない状態。
×;ウレタンフォームの収縮や内部クラックが発生した状態。
<寸法安定性の評価>
実施例により得られたポリウレタンフォームを一日保管してからコア部を50(縦)×50(横)×30(厚み)mmの直方体に切り出し、縦、横、厚み、各方向の寸法(T1)を測定し、高温条件(70℃)で20時間経過した後の各方向の寸法(T2)を測定。寸法変化(T2-T1)を測定した。評価基準は以下の通りとした。
〇;いずれの方向も3.5%以下。
×;3.5%以上の方向がある。
<25%圧縮硬度>
実施例により得られたポリウレタンフォームにより、JIS K6400-2 D法を準拠し25%圧縮硬度を測定した。
<難燃性の評価>
実施例により得られたポリウレタンフォームを一日保管してから100×200×10mmサイズのサンプルを切り出し、FMVSSNo.302燃焼試験に従い難燃性を測定した。
評価基準は以下の通りとした。
〇;試験片に着火しない又は燃焼距離51mm以内かつ60秒以内で自消する。
×;燃焼距離が51mmを越える、又は、60秒を越えて燃焼する。
合成例1(重合開始剤等含有シードラテックスの製造例)
1mオートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニル単量体300kg、過酸化ラウロイル6kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、ホモジナイザーを用いて2時間循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて、重合を進めた。45℃における塩化ビニルの飽和蒸気圧より0.2MPa圧力が低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、重合開始剤等含有シードラテックスを調製した。
実施例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg、ラウリルアルコール3kg、ミリスチルアルコール3kgを投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kgを加え、30分間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理を行った後、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス54kgを加え、この反応用混合物の温度を48℃に上げるとともに、0.1重量% アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、平均粒子径9.2μm、平均重合度1460であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部、ラウリルアルコール0.75重量部及びミリスチルアルコール0.75重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、連続気泡を有する軟質ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス54kgを加え、この反応用混合物の温度を47.5℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が47.5℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスにポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してセチルアルコール0.5重量部相当、ステアリルアルコール0.5重量部相当を添加し、スプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、平均粒子径9.4μm、平均重合度1650であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部、セチルアルコール0.5重量部及びステアリルアルコール0.5重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、連続気泡を有する軟質ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液10kg、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス54kgを加え、この反応用混合物の温度を53℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が53℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径8.4μm、平均重合度1300であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは発泡体内部にクラックが発生していた。
比較例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg 、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シード54kgを加え、この反応用混合物の温度を48℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径3.3μm、平均重合度1650であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは発泡体内部にクラックが発生していた。
比較例3
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg 、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シード54kgを加え、この反応用混合物の温度を64.5℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が64.5℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径10μm、平均重合度850であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは発泡体内部にクラックが発生し、寸法安定性に劣るものであった。
比較例4
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg 、硫酸銅0.002kg、合成例1で得られた重合開始剤等含有シード54kgを加え、この反応用混合物の温度を54℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が54℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径62μm、平均重合度1200であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製したが、発泡中にフォームが潰れ物性評価を行うことができなかった。
比較例5
1mオートクレーブ中に脱イオン水300kg、ラウリルアルコール4kgを投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10kg 、硫酸銅0.002kgを加え、30分間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理を行った後、合成例1で得られた重合開始剤等含有シードラテックス54kgを加え、この反応用混合物の温度を48℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。重合圧が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂ラテックスをスプレードライヤーにて、熱風入口160℃、出口温度55℃で噴霧乾燥をした後、粉砕しポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を得た。
得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂は、平均粒子径8.8μm、平均重合度1650であり、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してラウリル硫酸ナトリウム0.8重量部及びラウリルアルコール1重量部を含有するものであった。得られたポリ塩化ビニル系ペースト樹脂を用いて上記したポリウレタンフォーム形成性組成物を調製し、ポリウレタンフォームを得、物性を評価した。その結果を表1に示す。得られたポリウレタンフォームは発泡体内部にクラックが発生し、寸法安定性に劣るものであった。
本発明は、発泡性及び難燃性に優れるポリウレタンフォーム、特に軟質ポリウレタンフォームを提供することのできる難燃剤としての適用が可能なポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を提供するものであり、該ポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子は、ポリウレタン、ポリウレタンフォームの製造工業、更にはその製品として好適な使用が期待されるものである。

Claims (6)

  1. 平均重合度1300~1800のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂100重量部に対し、ラウリル硫酸金属塩を0.4~1.0重量部、炭素数10~20の脂肪族高級アルコールを少なくとも2種類以上の合計で0.1~2.0重量部を含有する乾燥粉砕粒子であって、平均粒子径2~15μmを有することを特徴とするポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
  2. 炭素数10~20の脂肪族高級アルコールが、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールよりなる群より脂肪族高級アルコール(1)と脂肪族高級アルコール(2)として選択される2種であり、その配合割合が脂肪族高級アルコール(1)/脂肪族高級アルコール(2)=30/70~70/30であることを特徴とする請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子を含んでなることを特徴とするポリウレタンフォーム用難燃剤。
  4. ポリオール100重量部に対し、請求項1又は2に記載のポリ塩化ビニル系ペースト樹脂粒子1~10重量部及びリン系難燃剤3~25重量部を含むことを特徴とするポリオール組成物。
  5. 少なくともイソアネート成分とポリオール成分とを含むポリウレタン形成性組成物の発泡体であるポリウレタンフォームであって、ポリオール成分が請求項4に記載のポリオール組成物であることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
  6. FMVSSNo.302燃焼試験に準拠した判定が着火しない又は自消であることを特徴とする請求項5に記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
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