JP2020040937A - 歯科用重合硬化性組成物 - Google Patents

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Kyoko Uemura
恭子 上村
和彦 沖汐
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和彦 沖汐
宏伸 秋積
Hironobu Akitsumi
宏伸 秋積
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Abstract

【課題】 比較的単純な無機充填材配合の歯科用硬化性組成物であって、機械的・物理的性質が良好な硬化体を与え、深い窩洞に適用可能な流動性を有し、審美修復が可能であるばかりでなく、シリンジで容易に取り扱うことができるペースト性状を有し、更に形態保持性が良好な歯科用硬化性組成物を提供すること。【解決手段】 重合性単量体(A)、無機充填材(B)及び重合開始剤(C)を含有する歯科用重合硬化性組成物において、前記無機充填材(B)の少なくとも一部として、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用コンポジットレジン、特に支台築造用途の歯科用コンポジットレジンとして好適に使用できる歯科用重合硬化性組成物に関する。
歯科用コンポジットレジンは、天然歯牙色と同等の色調を付与でき、また、歯牙修復作業における取扱いが容易なことから、歯牙を修復するための材料として普及している。当該歯科用コンポジットレジンは、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を主成分とし、その用途に応じて成分の最適化が図られている。
たとえば、重合開始剤についてみてみると、審美性の要求される浅い窩洞の修復の修復に際しては、操作性が高く短時間で硬化するため患者への負担が軽いといった理由から光重合開始剤を含む歯科用コンポジットレジンが用いられている。光重合開始剤としては、環境光程度の弱い光に対しては活性を示さず、光照射器等による高強度の光照射に対しては高活性を示してコンポジットレジンを急速に硬化させることができるという理由から、α−ジケトン化合物、還元剤(脂肪族第3級アミン化合物など)及び光酸発生剤(トリハロメチル基により置換されたs−トリアジン化合物など)の組み合わせからなるものが使用されることが多い。
一方、光が届き難い深い窩洞を修復する場合には、化学重合開始剤が主に配合されている。化学重合開始剤は、通常、2成分以上の重合開始剤成分(たとえば、有機過酸化物と第三級アミン)で構成され、使用時においてこれら成分の全てを接触させて重合開始種を生成させるものであり、室温下でも硬化する化学重合開始剤を用いることで、光が届かない深部まで硬化させることが可能となる。なお、化学重合開始剤を用いる歯科用コンポジットレジンにおいては、使用前にラジカル重合性単量体が重合してしまうことを避けるために全ての化学重合開始剤成分が(たとえば、有機過酸化物と第三級アミンとが)一緒にならないように2つのペーストに分けて分包し、使用時に両者を混合するのが一般的である。
更に、抜髄後の歯根部に支台築造を行う場合等では、光硬化型と化学硬化型との両方の性質を兼ね備えた、所謂デュアルキュア型コンポジットレジンが使用されることもある(特許文献1、2及び3参照)。ここで、支台築造とは、抜髄後の歯根部等の深い窩洞にコンポジットレジンを充填・硬化(場合によってはこのときポストの固定が行われる)させた後に、更に(通常、同一組成の)歯科用コンポジットレジンを支台形状に築盛して歯冠補綴物用の支台を築造することを意味し、通常は築盛されたペーストを硬化後に研削器具を用いた形態修正により最終的な支台形態が築造される。そして、この支台築造にデュアルキュア型コンポジットレジンを用いた場合には、化学重合開始剤の機能によって深い窩洞中では良好な硬化性が発揮され、光重合開始剤の機能を活用して支台築造を効率的に操作性良く行うことが可能となる。
上記デュアルキュア型歯科用コンポジットレジンでは、化学重合開始剤を使用することから、化学重合開始剤成分を分けて2つの分包形態で提供されるが、光重合開始剤もこれに合わせて分包され、通常は、有機過酸化物(化学重合開始剤の一部)並びにα−ジケトン化合物及び必要に応じて光酸発生剤(光重合開始剤の一部)を含む第一のペーストと、第三級アミン(化学重合開始剤の残部)及び還元剤(光重合開始剤の残部。ただし前記第三級アミンが還元剤を兼ねることもある)を含む第二のペーストと、に分けて提供されている(特許文献1、2及び3参照)。
ところで、支台には高い機械的強度が要求されるため、支台築造用の歯科用コンポジットレジンには無機充填材が多めに配合されることが多く、その場合には、分包された2つのペーストはいずれも高粘度となる。たとえば、特許文献1の表1に示されるペーストでは、重合性単量体100質量部に対して400〜415質量部の無機充填材が配合され、その粘度は970〜1960ポイズとなっている。
これら2つのペーストは使用時に混錬する必要があるが、別途混錬し、得られた混錬物をシリンジに充填してから使用することは、時間的制約(すなわち、混錬により重合硬化が開始するため、限られた操作余裕時間内でこれら操作を全て完了させることは困難であるという理由)及び手間の観点から現実的でないことから、混錬とシリンジ押し出しを同時に行うことのできる専用器具が使用されている。すなわち、特許文献2及び特許文献3の実施例に記載されているように、上記2つのペーストは、2つのシリンジが平行に連結された所謂ダブルシリンジの各シリンジのシリンダー内に夫々充填されて提供され、これを専用のディスペンサーにセットすると共に前記ダブルシリンジの先端部に自動練和機能を有するノズルチップ取り付け、上記ディスペンサーにより両シリンジのピストンを同時に押すことによって混錬・押出しを同時に行うのが一般的となっている。なお、上記ノズルチップは、内部に(2つの流路が合流する)所謂逆Y字型の流路を有し、合流前の2つの流路は前記ダブルシリンジとのコネクト部において各シリンジの吐出口と連通し、合流してからノズルチップの吐出口までの流路には、各リンジから押出されたペーストを混錬する練和部が設けられており、当該練和部で混錬されたペーストを吐出口から押出すことができるような構造となっている。
このような専用の練和器具を用いて、混錬及び混錬された歯科用コンポジットレジンの窩洞への充填等を行うに際し、硬化体の機械的・物理的性質、充填時の流動性や吐出性、更にはペースト築盛時の形態保持性(支台形状を整えるときの整え易さ。賦形性とも言われる。)の観点から、充填剤の配合については様々な工夫がされている。たとえば、特許文献1では、主に硬化体の機械的・物理的強度、深い窩洞に対しても隅々まで容易に行き渡るような流動性、及び浅い窩洞を修復したときの審美性の観点などから、平均粒子径が1μm以上6μm以下の不定形無機粒子、平均粒子径が0.05μm以上1μm以下の球状無機粒子及び必要に応じて配合される粒径が0.05μm未満の無機粒子を所定量配合することが提案されている。また、特許文献3では、硬化体の機械的強度、吐出性及び賦形性の観点から、特定のシランカップリング剤で処理された平均粒子径1.6〜10μmの無機粒子、特定のシランカップリング剤で処理された平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子及び表面処理されていない平均粒子径0.01〜0.1μmの無機粒子を併用することが提案されている。
特開2005−170813号公報 特許第5687067号公報 特許第5634298号公報
特許文献3では、前記配合の無機充填材を使用することにより、硬化体の機械的強度、吐出性及び賦形性のバランスのとれた分包型の歯科用重合性支台築造材料となるとされているが、浅い窩洞を修復したときの審美修復性は不明である。また、特殊なシランカップリング剤を使用するばかりでなく、少なくとも3種の無機粒子を準備し、配合組成を調整する必要がある。
一方、特許文献1に記載された歯科用硬化性組成物では、粒径が0.05μm未満の無機粒子の配合は任意であることから、実質的には2種類の無機粒子を用いるだけで、硬化体の機械的強度、流動性及び審美性を良好なものとすることができるとされている。
しかしながら、特許文献1では支台築造におけるペースト築盛時の形態保持性(賦形性)に関しては特に記載されておらず、チキソトロピー性調整剤として粒径が0.05μm未満の無機粒子が使用できる旨が説明されているだけである。すなわち、ペースト築盛においては、盛られたペーストの形状が支台歯の形状となるように整える必要があるため、形態保持性(整えてから、少なくとも形状が変化しない程度にペーストが硬化するまでの間に、ペーストが垂れなどの流動により整えられた形状が損なわれずに、その形態を保持する特性)が重要となるが、これに関する直接的な記載はない。
なお、チキソトロピー性とは、粘度が時間経過とともに変化する性質、具体的には、剪断応力を受け続けると粘度が次第に低下し、逆に静止すると粘度が次第に上昇する性質であり、ペーストの形態保持性やシリンジから押出すときに必要な力などと相関を有すると考えられるが、チキソトロピー性調整剤として機能する前記無機粒子の添加効果の詳細は不明であり、前記形態保持性についても良く分かっていないのが現状である。
そこで本発明は、比較的単純な無機充填材配合の歯科用重合硬化性組成物であって、機械的・物理的性質が良好な硬化体を与え、深い窩洞に適用可能な流動性を有し、審美修復が可能であるばかりでなく、シリンジで容易に取り扱うことができるペースト性状を有し、更に形態保持性が良好な歯科用重合硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく、先ず、特許文献1に開示される歯科用硬化性組成物における前記チキソトロピー性調整剤、具体的には粒径が0.05μm未満の無機粒子(以下、「チキソ性調整用微粒子」ともいう。)の添加効果について検討を行った。その結果、チキソ性調整用微粒子の配合量が増えるに従って形態保持性は高くなるものの、ペーストの粘度は上昇し、前記専用練和器具を用いた場合に、稀に前記専用練和器具やディスペンサーの破損が起こることがあることが判明した。なお、チキソ性調整用微粒子の添加によりペーストの粘度が上昇することは特許文献1の表1からも確認できる。
そこで、チキソ性調整用微粒子を添加することなくペーストの形態保持性を改良する方法について更に検討を行ったところ、平均粒子径が0.05μm以上1μm以下の疎水化処理剤で処理された球状無機粒子に代えて、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を使用したところ、特許文献1に記載された歯科用重合性組成物の特長を損なうことなく、形態保持性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、重合性単量体(A)、無機充填材(B)及び重合開始剤(C)を含有する歯科用重合硬化性組成物において、前記無機充填材(B)が、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を含んでなることを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物である。
前記本発明の歯科用重合硬化性組成物においては、粘度を上昇させずに形態保持性(賦形性)を向上させる効果が高いという理由から、前記無機粒子(B1)が、重量平均分子量が2000以上、2000万以下である高分子界面活性剤並びにシランカップリング剤及び/又はチタネート系カップリング剤からなる疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である、球状又は略球状の無機粒子(B1´)であることが好ましい。
また、前記無機充填材(B)が、無機粒子(B1)以外の無機粒子として、平均粒子径が1μm以上、1000μm以下である不定形無機粒子(B2)を更に含有し、且つ粒子径が0.05μm未満の無機粒子を実質的に含まないことが好ましく、特に前記重合性単量体(A)100質量部に対する前記無機充填材(B)の含有量が100質量部以上、500質量部以下であり、当該無機充填材(B)の10質量%以上90質量%以下は前記無機粒子(B1)であり、残部は前記不定形無機粒子(B2)であることが好ましい。なお、ここで、実質的に含まないとは、無機充填材(B)中に占める割合が1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下であることを意味する。
さらに、所謂デュアルキュア型コンポジットレジンのメリット、すなわち照射光が届かない所においても硬化させることができ、照射光が届く部分では短時間で硬化させることができるという特長が得られるという観点から、前記重合開始剤(C)が、有機過酸化物と第三級アミンとを含んでなる化学重合開始剤と、複数の成分で構成される光重合開始剤と、の組み合わせからなる本発明の歯科用重合硬化性組成物であって、当該歯科用重合硬化性組成は、前記重合性単量体(A)の一部、前記無機充填材(B)の一部、及び有機過酸化物を含有してなる第一のペーストと、前記重合性単量体(A)の残部、前記無機充填材(B)の残部及び第三級アミンを含有する第二のペーストとに分包され、前記光重合開始剤を構成する複数の成分は、夫々、前記第一のペースト又は前記第二のペーストの何れかに配合されて成ることが好ましい。
第二の本発明は、上記分包タイプの歯科用重合硬化性組成物からなる、歯科用支台築造材料である。
第三の本発明は、重合性単量体及び無機充填材を含有する歯科用コンポジットレジンに直接配合される歯科用無機充填材料であって、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)からなることを特徴とする、前記歯科用無機充填材料である。なお、ここで、直接配合されるとは、有機無機複合フィラーの形態で配合されることを除くことを意味する。
そして、第四の本発明は平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子、界面活性剤及び水を含む第一分散液を準備する工程、加水分解性基を有する疎水化剤及び水を含み、前記疎水化剤の少なくとも一部が加水分解した状態で溶解又は分散してなる第二分散液を準備する工程、並びに前記第一分散液と前記第二分散液とを混合した後、得られた混合液を噴霧乾燥する工程、を含んでなることを特徴とする上記第三の本発明の歯科用無機充填材料の製造方法である。
本発明の歯科用重合硬化性組成物は、機械的・物理的強度が高い硬化体を与えることができるだけでなく、審美性の高い修復を行うことも可能である。さらに、無機充填材の含有量が高いにもかかわらず、深い窩洞に対しても隅々まで容易に行き渡り、且つシリンジから容易に吐出するようなペースト流動性を有し、更にペーストを盛り上げて大まかな支台形状を整えるときなどにおける形状保持性が良好であるという優れた特徴を有する。
このような優れた効果が得られる機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように考えている。すなわち、硬化体の機械的・物理的強度、審美性及び流動性・吐出性に関しては、基本的には特許文献1におけるチキソトロピー性調整剤と同様の特徴を踏襲することに加えて、粘度上昇を引起すチキソ性調整用微粒子を実質的に使用しないようにした(或いは使用量を極力減らした)ことにより発現したものと考えている。また、形状保持性に関しては、無機充填材の主要成分の一つである(B1)において、その表面は疎水化処理剤により処理された領域と(親水性部分と疎水性部分を有する)界面活性剤により処理された領域とが混在し、界面活性剤の親水性部の存在により疎水性を有するようになった微小領域が疎水性領域の中に点在する様な格好となったものと考えられる。そして、疎水性領域の寄与によって疎水性の高い重合性単量体との馴染みが良くなる一方で、前記親水性の微小領域において疎水性の高い重合性単量体との間に反発力が生じ、その力によって重合性単量体の流動が僅かに阻害されるようになったため、形状保持性が向上したものと推定している。
本発明の歯科用重合硬化性組成物は、従来から知られている歯科用コンポジットレジン等に使用される歯科用重合硬化性組成物と同様に、重合性単量体(A)、無機充填材(B)及び重合開始剤(C)を含有する。これら成分のうち重合性単量体(A)及び重合開始剤(C)については、従来の歯科用重合硬化性組成物と特に変わる点はないが、無機充填材(B)については、前記したような効果を得るために、特定の無機粒子を含む必要がある。すなわち、本発明の歯科用重合硬化性組成物は、上記したような歯科用重合硬化性組成物において、前記無機充填材(B)が、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を含んでなることを特徴とする。
以下、従来の歯科用重合硬化性組成物と特に変わる点のない重合性単量体(A)及び重合開始剤(C)を含めて、本発明の歯科用重合硬化性組成物の成分について説明する。
<重合性単量体(A)>
重合単量体(以下、「モノマー」ともいう。)としては、従来の歯科用硬化性組成物で使用されるものが特に制限なく使用できる。本発明で使用できる重合性単量体を例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリジジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート等の単官能性重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリオイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシエトキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能性重合性単量体;フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、α−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物などを挙げることができる。
上記モノマーの中でも、有機溶媒と相溶性を有する重合性単量体が好ましい。また、得られる重合体の機械的強度や生体安全性等が良好であることから、(メタ)アクリル系重合性単量体が好ましい。更に、重合性の高さや硬化体の機械的物性が特に高くなる等の理由から、二官能以上、より好適には二官能〜四官能の重合性単量体が好ましい。これらの重合性単量体は、単独で使用しても、異種を混合して使用してもよい。
<無機充填材(B)>
本発明で使用する無機充填材(B)は、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を含む必要がある。当該無機粒子(B1)を含有することにより、前記したような優れた効果を得ることが可能となる。粘度を上昇させずに形態保持性(賦形性)を向上させる効果が高いという理由から、前記無機粒子(B1)としては、重量平均分子量が2000以上、2000万以下である高分子界面活性剤並びにシランカップリング剤及び/又はチタネート系カップリング剤からなる疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である、球状又は略球状の無機粒子(B1´)を使用することが好ましい。
なお、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理されたとは、被処理体である無機粒子(「被処理無機粒子」とも言う。)の表面にこれら処理剤が化学的又は物理的に作用して固定化(化学反応により形成された化学結合による固定化の他、付着又は吸着による固定化も含む)されることにより、当該表面が改質された状態となっていることを意味する。後述する比較例2に示されるように、予め被処理無機粒子をこれら処理剤で処理することなく、硬化性組成物中に単に被処理無機粒子とこれら処理剤とを(別々に添加して)配合しただけでは、本発明の効果を得ることはできない。また、比較例3に示されるように、界面活性剤のみで処理した場合には、重合性単量体と界面活性剤のみで処理した粒子の反発により初期は形態保持性が高い状態にあるが、馴染みが悪いために吐出力が高くなりやすく、重合性単量体と固液分離を起こしやすいため、時間経過と共に形態保持性が低下する。
別言すれば、無機粒子(B1)は、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子であって、表面に界面活性剤及び疎水化処理剤を有する(表面に界面活性剤及び疎水化処理剤が化学反応により結合するか、吸着又は収着した)ことにより表面が改質されたが無機粒子であるといえる。
本発明の歯科用硬化性組成物における無機充填材(B)の配合量は、重合性単量体(A)100質量部に対して通常、100質量以上500質量部以下、好ましくは150質量以上400質量部以下である。特に、本発明の歯科用硬化性組成物を歯科支台築造用コンポジットレジン等の支台築造用材料として使用する場合には、硬化体の機械的強度の観点から、重合性単量体(A)100質量部に対して200質量以上400質量部以下配合することが好ましい。このとき、無機充填材(B)中に占める無機粒子(B1)の割合は、特に限定されるものではないが、得られる効果の観点から、通常は10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
以下、前記無機粒子(B1)について、処理剤である界面活性剤及び疎水化処理剤、被処理体である無機粒子(「被処理無機粒子」とも言う。)、処理方法、並びに無機充填材Bに含まれ得るB1以外の無機粒子(以下、「その他無機粒子」ともいう。)の詳細について説明する。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質であれば特に限定されず、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤が特に制限なく使用できるが、効果が高いという理由から、ノニオン系界面活性剤及び/又はアニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。
好適に使用できるノニオン系界面活性剤としては、何れも親水基としてポリオキシエチレン基を有する、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;脂肪酸ポリオキシエチレンラウリルエステルなどの脂肪酸ポリオキシエチレンエステル;ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステルなどのポリオキシエチレンソルビタンエステル類などを挙げることができる。
また、好適に使用できるアニオン系界面活性剤としては、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ヘキサンスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪族カルボン酸塩;ラウリルアルコールとエチレンオキサイドの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩;スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸ジエステル;高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩などを挙げることができる。
これらの中でも重量平均分子量が2000〜2000万、特に6000〜500万である高分子量界面活性剤を使用することが特に好ましい。好適に使用できる上記高分子量界面活性剤を例示すれば、ポリアクリル酸やポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。これらの中でも、強靭性の観点からはアクリル酸系高分子界面活性剤をしようすることが好ましく、生体安全性の観点からは、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸の部分又は完全ナトリウム塩を使用することが好ましい。
<疎水化処理剤>
疎水化剤としては、被処理無機粒子の表面に存在する水酸基と反応して当該表面に疎水性を付与できるものであれば特に限定されないが、反応性の高さの観点からは、シランカップリング剤及び/又はチタネート系カップリング剤が好適に使用される。好適に使用される疎水化剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルートリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
これら疎水化処理剤(Hydrophobic agent)の好適な使用量は使用する被処理無機粒子の総表面積(m)に応じて適宜決定すればよいが、通常は、被処理無機粒子100質量部に対して1〜30質量部である。
また、無機充填材の比表面積はBET法等で測定した値を用いればよく、たとえば、疎水化処理剤がシランカップリング剤である場合の使用量:y(g)は、無機粉体の比表面積:X(m/g)とシランカップリング剤被覆面積:Y(m/g)から下記式により求めることができる。
y=100X/Y
なお、Y(m/g)は、シランカップリング剤1分子当りの被覆面積である13×10−20(m)と、アボガドロ定数:AN(=6.02×1023/mol)と、シランカップリング剤1モルの質量:SmW(g/mol)に基づき、下記式により求めることができる。
Y=(13×10−20)×AN/SmW
<被処理無機粒子>
被処理無機粒子としては、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子が使用される。ここで、平均粒子径とは、粒子が独立粒子である場合には、当該粒子径の平均値を意味し、粒子が1次粒子の凝集粒子である場合には、1次粒子の粒子径の平均値を意味する。この点は、処理後に得られる無機粒子(B1)についても同様であり、(処理剤の分子は粒子径に比べて非常に小さいので)被処理無機粒子の平均粒子径と無機粒子(B1)の平均粒子径は実質的に同一となる。したがって、被処理無機粒子及び無機粒子(B1)が、それぞれ1次粒子が凝集した凝集粒子である場合には当該凝集粒子の粒子径及び平均粒子径は上記範囲を越えることもあり得る。
このような平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて求める。走査型電子顕微鏡で粒子を観察し、その単位視野内の粒子30個以上を無作為に選び、それぞれの一次粒子径(最大径)を計測する。その一次粒子径の合計を選択した粒子の数で徐して得られる値を平均一次粒子径とする。
平均粒子径が0.05μm未満の場合には重合硬化性組成物の粘度が高くなりやすく、平均粒子径が1μmを越える場合には表面積が小さくなってしまうため、粒子添加の効果を効率的に与えることが難しい。重合硬化性組成物の粘度を高くしにくく、粒子添加の効果を効率的に与える観点から、平均粒子径は0.05μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、1μm以下であることがより好ましい。また、粒子形状は特に限定されるものではないが、球状又は略球状であることが好ましい。
被処理無機粒子の材質は、疎水化処理剤で表面が疎水化され得る無機材料であれば特に限定されない。好適に使用できる材質を例示すれば、非晶質シリカ、石英、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム等の金属酸化物; シリカ‐ジルコニア、シリカ‐チタニア、シリカ‐チタニア‐酸化バリウム、シリカ‐チタニア‐ジルコニア等のシリカ系複合酸化物; ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等のガラスなどを挙げることができる。
上記金属酸化物及びシリカ系複合酸化物に関しては、高温焼成により緻密化することができ、ナトリウム等の少量の周期律表第I族金属の酸化物を含有させることにより緻密化効果を高めることもできる。更に、シリカ系複合酸化物は、屈折率の調整が容易であり、更に、粒子表面にシラノール基を多量に有するため、シランカップリング剤等を用いて表面改質が行い易いという特長を有している。このため、被処理無機粒子の材質としては、シリカ系複合酸化物を使用することが特に好適である。シリカ系複合酸化物としては、強いX線造影性を有するという理由からシリカ‐ジルコニア、シリカ‐チタニア、シリカ‐チタニア‐酸化バリウム、シリカ‐チタニア‐ジルコニアが好適に使用され、加えて耐摩耗性に優れた硬化体が得られるという理由からシリカ−ジルコニアが最も好適に使用される。なお、被処理無機粒子は、それぞれの平均粒子径が前記条件を満足するものであれば、異なる平均粒子径、材質、形状が異なる複数の無機粒子の混合物であっても良い。
<処理方法(無機粒子B1の製造方法)>
被処理無機粒子を界面活性剤及び疎水化処理剤で処理する方法、すなわち前記無機粒子(B1)を製造する方法は、無機粒子(「被処理無機粒子」とも言う。)の表面にこれら処理剤が化学的又は物理的に作用して固定化(化学反応により形成された化学結合による固定化の他、付着又は吸着による固定化も含む)し、当該表面を質された状態とすることができる方法であれば、特に限定されない。操作が簡便で、表面改質効果も高いという理由から、被処理無機粒子、界面活性剤及び水を含む第一分散液を準備する工程(第一分散液準備工程)、加水分解性基を有する疎水化剤及び水を含み、前記疎水化剤の少なくとも一部が加水分解した状態で溶解又は分散してなる第二分散液を準備する工程(第二分散液準備工程)、並びに前記第一分散液と前記第二分散液とを混合した後、得られた混合液を噴霧乾燥する工程(混合・噴霧乾燥工程)を含んでなる方法を採用することが好ましい。
上記第一分散液準備工程では、被処理無機粒子と界面活性剤の第一分散液を作製する。このとき使用する界面活性剤の量は、特に制限されるものではないが、混合・噴霧乾燥工程における噴霧乾燥の際に起こる粒子凝集に関し、凝集粒子内部にマクロ空隙が形成され難くなり、また、本発明の歯科用硬化性組成物としたときに、その硬化体の機械的物性(強度等)が良好になる言う理由から、被処理無機粒子100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.05〜5質量部であり、最も好ましくは0.1〜3質量部である。界面活性剤の含有量が粒子100質量部に対して0.01質量部以下の場合、親水部分が疎水部分よりも少なくなりすぎるため、形態保持性向上効果が現れにくい。他方、この界面活性剤の含有量が10質量部以上であると、親水部分が疎水部分より多くなりすぎるため、吐出力が高くなりやすく、また固液分離を起こしやすい。また同様の理由から界面活性剤と疎水化処理剤の量比にも好ましい範囲がある。疎水化処理剤1質量部に対し界面活性剤0.01〜3質量部が好ましく、より好ましくは、0.03〜2質量部、更に好ましくは0.05〜1質量部である。第一分散液の調製方法は特に限定されず、たとえば、ビーズミル等の混合装置を用いて、水系媒体に被処理無機粒子を分散させ、その後界面活性剤を添加してスラリー状とすることにより調製できる。分散媒には、水を用いるが、必要に応じて、エタノール、イソプロピルアルコール、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を添加してもよい。分散媒の使用量は、通常、被処理無機粒子100質量に対して400〜100質量部である。
第二分散液準備工程では、加水分解性基を有する疎水化剤を使用する。加水分解性基としてはSi原子やTi原子などに結合したアルコキシ基(−OR:Rは、非置換若しくは置換のアルキル基)が好適であり、上記疎水化剤としてはこのような基を有するシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤が特に制限なく使用できる。これら疎水化剤は、水(必要に応じて酢酸などの加水分解触媒を加えていてもよい。)と混合することにより自然に上記加水分解性基の結合部分で部分的な加水分解が起こり、Si−OH基やTi−OH基が形成される。上記疎水化剤の使用量は、前述したY及びyを求める式によりおおよその使用量を算出し、当該使用量をベースとして量を振って処理を行い、得られた各表面処理粒子の機械的物性等を予め実験で確認したうえで、適宜決定すれば良い。水を用いるが、必要に応じて、エタノール、イソプロピルアルコール、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を添加してもよい。分散媒の使用量は、通常、混合される第一分散液中の被処理無機粒子100質量に対して400〜100質量部である。
混合・噴霧乾燥工程では、前記第一分散液と前記第二分散液とを、たとえば撹拌機を用いるなどの方法により、均一になるまで混合した後、得られた混合液を噴霧乾燥する。このとき、噴霧乾燥時において粒子が凝集してできる凝集粒子の内部にマクロ空隙が形成され難いという理由から、混合液中における被処理無機粒子が5〜50質量%、好ましくは20〜45質量%となるように前記第一分散液の被処理無機粒子濃度及び/又は前記第二分散液の量を調整することが好ましい。なお、凝集粒子の内部にマクロ空隙が形成された場合には、無機粒子B1中に当該マクロ空隙が残存し、本発明の歯科用硬化性組成物としたときに、その硬化体の機械的物性(強度等)が低下してしまうことがある。
噴霧乾燥法としては、高速の気流を用いて、上記混合液を細かい液滴にして噴霧し、乾燥させる方法、1000〜50000rpmの回転速度で回転する円盤状の回転体上に前記混合液を滴下し、遠心力によってこれを霧状に弾き飛ばして、乾燥する方法などが採用できる。乾燥過程における不可避的な粒子の凝集により、得られう粒子は凝集粒子となるが、粒度の揃った凝集粒子が得られるという理由から、噴霧状にされた前記混合液を、直ちに高温の空気や不活性気体などによって乾燥させることが好ましく、このとき乾燥に使用する気体の温度は、60〜300℃、特に80〜250℃とすることが好ましい。
なお、上記噴霧乾燥により得られる凝集粒子には、僅かであるが分散媒の水に添加した溶媒が残留することがある。このため、噴霧乾燥の後に、更に真空乾燥を行うことが好ましい。真空乾燥は、0.01〜100ヘクトパスカル以下の減圧下、20〜150℃で1〜48時間行うのが一般的である。
得られる凝集粒子は、必要に応じて粉砕し、適度な粒子径(たとえば100μm以下、好ましくは70μm以下)に調整して使用される。粉砕手段としては、振動ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いることができる。また、粒径又は粒度調整には、フルイ、エアー分級機、あるいは水ひ分級等を用いることができる。
<その他無機粒子>
無機充填材(B)は、「その他無機粒子」を含むことが好ましい。当該「その他無機粒子」は無機粒子(B1)以外の無機粒子であり、(1次粒子の)平均粒子径、界面活性剤と疎水化処理剤の両方で処理されている点の2点のうち少なくとも一点において無機粒子(B1)とは異なるものである。「その他無機粒子」は、このような条件を満足するものであれば特に限定されないが、平均粒子径1μm以上1000μm以下、好ましくは1μm以上100μm以下、さらに好ましくは1μm以上50μm以下である不定形無機粒子(B2)であることが好ましい。また、本発明の歯科用重合硬化性組成物の粘度等に悪影響を及ぼさない範囲の微量(無機充填材(B)中に占める割合が1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下)であれば、粒子径が0.05μm未満無機粒子(B3)、好ましくは0.01μm以下の無機粒子(B3´)を含むこともできる。
無機充填材(B)において、無機粒子(B1)が占める配合割合の残部を「その他無機粒子」が占めることになるが、前記不定形無機粒子(B2)は、当該残部の実質的な全て(当該残部の全て又は、粒子径が0.05μm以下の無機粒子:B3を微量含む場合において前記残部から当該微量を除いた分)を占めることが好ましい。界面活性剤および疎水化処理剤で処理された粒子(B1)と不定形無機粒子(B2)の配合量は、形態保持性向上の効果及び硬化体の機械的強度の観点から、質量比で10:90〜90:10、特に20:80〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることが最も好ましい。
なお、前記「その他無機粒子」を構成する粒子の材質としては無機粒子(B1)と同様なものが使用できる。また、「その他無機粒子」は疎水化剤で処理されていても良い(この場合、界面活性剤処理は施されない)。更に、無機粒子(B2)に関しては、所謂有機−無機複合フィラーで配合することも可能である。
<重合開始剤(C)>
重合開始剤としては、光重合開始剤、化学重合開始剤、熱重合開始剤の何れも使用可能であるが、所謂デュアルキュア型コンポジットレジンのメリットを得ることができるという理由から光重合開始剤と化学重合開始剤とを併用することが好ましい。
光重合開始剤としては、従来の光硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンで使用されている光重合開始剤が特に制限なく使用できるが、硬化性が高いという理由から、α−ジケトン化合物及び還元剤を含む光重合開始剤、特にα−ジケトン化合物、還元剤及び光酸発生剤の組み合わせからなるものを使用することが好ましい。
好適に使用できるα−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等を挙げることができる。また、好適に使用できる還元剤としては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、p−トリルジエタノールアミン等を挙げることができる。更に、好適に使用できる光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換−S−トリアジン誘導体、ピリジニウム塩系化合物等を挙げることができる。
光重合開始剤の配合量も従来の光硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンにおけるものと特に変わる点はなく、光重合開始剤の合計質量で表して、通常は重合性単量体(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の割合で、好ましくは0.1〜5質量部の割合で使用される。
化学重合開始剤としては、従来の化学重合硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンで使用されている化学重合開始剤が特に制限なく使用できるが、高い硬化性が得られ、また取扱いが容易な理由から、有機過酸化物及びアミン類を含んでなる化学重合開始剤が好適に使用される。また、歯面前処理剤に含まれる酸性成分と接触した場合であってもても高い硬化性が得られるという理由から、有機過酸化物、アミン類及びアリールボレート類を含んでなる化学重合開始剤を使用することが特に好適である。好適に使用できる有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド;ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;α−クミルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル類;ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類などが挙げられる。これらの中でもラジカル生成能力と安定性の観点から、ベンゾイルパーオキサイドが特に好適に用いられる。
好適に使用されるアミン類としては、アミノ基がアリール基又はピリジル基等の芳香族基に結合した第二級または第三級芳香族アミンを挙げることができ、具体的には、光重合開始剤の還元剤として例示したアミン類が同様に使用か可能である。
好適に使用されるアリールボレート類としては、1分子中に1〜4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物を挙げることができ、具体的には、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラフェニルホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素などの金属塩、アンモニウム塩、ピリジウム塩、キノリニウム塩等を例示することができる。これらの中でも硬化性の観点からが特にテトラフェニルホウ素のトリエタノールアンモニウム塩を用いるのが特に好適である。
なお、有機過酸化物及びアミン類からなる化学重合開始剤においては、通常、有機過酸化物1モル当り、アミン類を0.01〜4モル、好ましくは0.05〜3モルの割合で使用される。また、有機過酸化物、アミン類及びアリールボレート類からなる化学重合開始剤においては、有機過酸化物1モル当り、アミン類については通常0.01〜4モル、好ましくは0.05〜3モルの割合で、アリールボレート類については通常0.01〜3モル、好ましくは0.05〜2モルの割合で使用される。
化学重合開始剤の配合量も従来の化学重合硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンにおけるものと特に変わる点はなく、化学重合開始剤の合計質量で表して、通常は重合性単量体(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の割合で、好ましくは0.1〜5質量部の割合で使用される。
本発明の歯科用硬化性組成物においては、前記A〜C成分の他に、任意成分としてさらに重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤は公知のものを制限なく配合できる。重合禁止剤を配合する場合の配合量は、重合性単量体(A)100質量部に対して、通常は、0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部である。さらに、任意成分として紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を必要に応じて配合しても良い。
本発明の歯科用硬化性組成物が化学重合開始剤、特に有機過酸化物と第三級アミンとを含んでなる化学重合開始剤を含む場合には、保存時に硬化しないように、従来の従来の化学重合硬化型歯科用コンポジットレジンやデュアルキュア型歯科用コンポジットレジンと同様に、前記重合性単量体(A)の一部、前記無機充填材(B)の一部、及び有機過酸化物を含有してなる第一のペーストと、前記重合性単量体(A)の残部、前記無機充填材(B)の残部及び第三級アミンを含有する第二のペーストとに分包される。このとき、光重合開始剤を更に含む場合には、当該光重合開始剤を構成する複数の成分は、夫々、前記第一のペースト又は前記第二のペーストの何れかに配合される。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。
1.表面処理無機粒子及びその製造方法について
製造実施例1(無機粒子B1であるB1-01の製造)
原料(被処理無機粒子、界面活性剤及び疎水化処理剤)として以下に示すものを使用し、下記操作手順に従って無機粒子B1であるB1-01の製造を行った。
〔原料〕
被処理無機粒子:平均(1次)粒子が0.2μmで、比表面積が15m/gである球状シリカジルコニア粉体
界面活性剤:重量平均分子量2000のポリアクリル酸ナトリウム(ポリサイエンス社製、以下、「SA1」と略記することもある。)
疎水化処理剤としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(「MPS」と略記することもある。)
〔操作手順〕
前記被処理無機粒子:100g及びSA1:0.5gをイオン交換水:200mlと混合し、循環型粉砕機SCミルを用いて分散させて第一分散液を調製した。次いで、MPS:4.8gをpH4.0に調整した酢酸水溶液:80mlと混合・撹拌して1時間30分かけて加水分解を行い、MPSの部分加水分解物を含む第二分散液を調製した。その後、前記第一分散液と第二分散液とを混合し、1時間撹拌機にて撹拌した後、得られた混合液を手動で軽く撹拌しながら、高速で回転するディスク上に供給して噴霧乾燥を行った。
なお、噴霧乾燥は、回転するディスクを備え、遠心力で噴霧化する噴霧乾燥機(スプレードライヤー「TSR−2W」、商品名;坂本技研(株)製)を用いて行った。ディスクの回転速度は10000rpm、乾燥雰囲気空気の温度は200℃で行った。噴霧乾燥により得られた白色固体を、真空下80℃で18時間乾燥し、無機粒子B1であるB1-01を得た。参考までに当該製造実施例における原料及び各原料の使用量を表1に示す。
製造例2〜14及び製造比較例1〜3
原料及び各原料の使用量を表1に示すように変更した以外は製造実施例1と同様にして、B1に該当する表面処理無機粒子B1-02乃至B1-14、B1の条件を満足しない比較例(Comparative Example)の無機粒子に該当するCB1-01乃至CB1-03を得た。
なお、表中の界面活性剤、種類の欄の略号であるSA2及びSA3は、夫々の界面活性剤を意味する。
・SA2:重量平均分子量6000のポリアクリル酸ナトリウム(ポリサイエンス社製)
・SA3:重量平均分子量500万のポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成社製「アロンビス‐SX」)
Figure 2020040937
2.歯科用重合硬化性組成物について
後述の実施例及び比較例で使用した各種原料化合物の略号及びその名称等を「・略号:名称等」の形式で以下に示す。
〔重合性単量体(A)〕
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・GMA:2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
・D2.6E:下記式で示される化合物(但し、式中における(1+1)の平均が2.6の混合物である。)
Figure 2020040937
〔無機粒子B2〕
・不定形シリカ−ジルコニア、平均粒径;5μm、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)で処理したもの
〔チキソ性調整用微粒子:B3〕
・微粉末シリカ、平均粒径;0.015μm、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)で処理したもの
〔重合開始剤(C)〕
・CQ:カンファーキノン
・DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
・BPO:過酸化ベンゾイル
・DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン
・DEPT:p−トリルジエタノールアミン
〔その他成分〕
・HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
実施例1(1ペーストタイプ)
GMA:10質量部、3G:40質量部及びD2.6E:50質量部の混合物から成る重合性単量体(A)100質量部にHQMEを0.15質量部、重合開始剤(C)としてのCQ:0.2質量部及びDMBE:0.35質量を配合して重合性単量体組成物を調製した。次に、得られた重合性単量体組成物と、無機充填材(B)としての製造実施例2で得たB1-02:30質量部及び参考製造例で得たB2:180質量部と、を、乳鉢を用いて均一になるまで攪拌混合してペースト状の歯科用硬化性組成物を調製した。調整したペースト(歯科用硬化性組成物)を脱泡して、1ペースト用フロアブルシリンジに充填し、吐出力及びフロー性の評価を行った。結果を表2示す。
なお、吐出力及びフロー性の評価は次のようにして行った。
(1)吐出力(シリンジからペーストを吐出させる際に必要な力)の評価
フロワブルレジン用シリンジ(自社製・プランジャー付)に充填し、先端ノズル(transcodent社製、TD−No.6009)を装着した。これを試験機(島津製作所製、商品名「オートグラフAG5000D」)にセットして、プランジャーをクロスヘッドスピード5mm/分の試験条件で押し、ノズルからペーストが吐出されるときに必要となる力(吐出力)を測定した。シリンジ5本について評価し、その平均値を吐出力とした。
(2)フロー性(ペーストの形状保持性)
スライドガラス上にノズルを介してペースト0.1g±0.01gを円筒または円錐状に盛り上げて、それを37℃±1のインキュベーターに2分間静置し、その際のペーストの広がり(直径)を測定した。試験は2度行い、その平均を求め、フロー性とした。数値が小さいほどフロー性は低くペーストの形状保持性は良好となる。
また、その保存安定性評価として、45℃で7日間保管し、フロー性を測定した。この時、7.0mmを超えない範囲を良好とした。
Figure 2020040937
実施例2〜24(何れも1ペーストタイプ)
配合する無機充填材(B)として配合する無機粒子の種類及び量を表2に示すように変えた他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例1(1ペーストタイプ)
本比較例は、界面活性剤を無機粒子の表面処理に使用するのではなく、組成物に直接配合した例である。すなわち、実施例1における重合性単量体組成物にSA2:2質量部を添加した組成物に、表2に示す無機充填材を表2に示す量で(具体的には、界面活性剤処理を行っていないCB1-01:120質量部及びB2:180質量部)配合する他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例2(1ペーストタイプ)
本比較例は、無機粒子B1に代えて、疎水化剤による処理は行っているが界面活性剤による処理を行っていない無機粒子(CB1-01)を配合した例である。すなわち、実施例1における重合性単量体組成物にCB1-01:120質量部及びB2:180質量部配合する他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例3(1ペーストタイプ)
本比較例は、無機粒子B1に代えて、界面活性剤による処理は行っているが疎水化処理剤による処理を行っていない無機粒子(CB1-02)を配合した例である。すなわち、実施例1における重合性単量体組成物にCB1-02:120質量部及びB2:180質量部配合する他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例4(1ペーストタイプ)
本比較例は、無機粒子B1に代えて、疎水化剤による処理を平均粒子径が1μmを越える無機粒子(CB1-03)を配合した例である。すなわち、実施例1における重合性単量体組成物にCB1-03:60質量部及びB2:90質量部配合する他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例5(1ペーストタイプ)
本比較例は、無機粒子B1に加えて、疎水化剤による処理を行った0.05μm未満である無機粒子(チキソ性調整微粒子:B3)を更に配合した例である。すなわち、実施例1における重合性単量体組成物にB1-02を114質量部、チキソ性調整微粒子であるB3を6質量部及びB2を180質量部を配合した他は実施例1と同様にして歯科用硬化性組成物のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例20(2ペーストタイプ)
重合性単量体組成物を調製する際において、重合開始剤(C)の一部としてのBPO:3質量部を配合し、更に無機充填材(B)としてB1-02:30質量部及びB2:180質量部を配合するように変更した他は実施例1と同様にして第一のペースト:PA−1を調製した。また、これとは別に、重合性単量体組成物を調製する際において、重合開始剤(C)の一部としてのDMPT:2質量部を配合し、更に無機充填材(B)としてB1-02:30質量部及びB2:180質量部を配合するように変更した他は実施例1と同様にして第二のペースト:PB−1を調製した。その後、これらPA−1及びPB―1を夫々ダブルシリンジの各(異なる1つの)シリンジに充填し、吐出力及びフロー性の評価を行った。結果を表3示す。
なお、ダブルシリンジを用いたフロー性の評価は次のようにして行った。すなわち、ダブルシリンジ(ミックスパック社製 SDL X05−01−78)にペーストPA−1及びPA−2を充填し、プランジャー(ミックスパック社 PLH X05−01−46)をセットし、ダブルシリンジ先端にミキシングチップ(ミックスパック社製 ML 2.5−08−D)及び先端ノズル(ミックスパック社製 IOR 209−20)を装着する。これを試験機(島津製作所製、商品名「オートグラフAG5000D」)にセットして、プランジャーをクロスヘッドスピード5mm/分の試験条件で押し、ノズルからペーストが吐出されるときに必要となる力(吐出力)を測定した。シリンジ5本について評価し、その平均値を吐出力とした。
実施例20〜37及び比較例6〜9
第一のペースト組成及び第二のペースト組成が表3に示すものとなるように変更する以外は実施例1と同様にして第一のペースト及び第二のペーストを調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3〜5に示す。
Figure 2020040937
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無機粒子B1を用いた本発明の歯科用硬化性組成物からなるペーストは、形態保持性及び吐出力が何れも良好な値となっている。これに対し、界面活性剤を無機粒子の表面処理剤としてではなく、重合性単量体組成物中に直接配合した場合には、フロー性が高くなってしまい、形態保持性が低くなってしまう(比較例1及び6参照)。また、同様な被処理無機粒子を用いた場合でも疎水化処理剤による処理のみを行い、界面活性剤による処理を行っていないCB1-01を用いた場合には、形態保持性が低い(比較例2及び7参照)。一方、界面活性剤による処理のみを行い疎水化処理剤による処理を行っていないCB1-02を用いた場合には、ペースト製造直後においては形態保持性及び吐出力共に良好であるが、形態保持性についての保存安定性が悪く、形態保持性が低下してしまう(比較例3及び8参照)。さらに、粒子径が大きすぎる被処理無機粒子を用い、疎水化処理剤及び界面活性で処理を行ったCB1−03を用いた場合には、形態保持性が低くなってしてしまう(比較例4及び9参照)。
なお、形態保持性を高めるためにB1に代えて平均粒子径が0.05μm未満の超微細粒子であるB3を用いた場合には、吐出力が高くなってしまう(比較例5参照)。

Claims (8)

  1. 重合性単量体(A)、無機充填材(B)及び重合開始剤(C)を含有する歯科用重合硬化性組成物において、
    前記無機充填材(B)が、界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)を含んでなることを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物。
  2. 前記無機粒子(B1)が、重量平均分子量が2000以上、2000万以下である高分子界面活性剤並びにシランカップリング剤及び/又はチタネート系カップリング剤からなる疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である、球状又は略球状の無機粒子(B1´)である、請求項1に記載の歯科用重合硬化性組成物。
  3. 前記無機充填材(B)が、無機粒子(B1)以外の無機粒子として、平均粒子径が1μm以上、1000μm以下である不定形無機粒子(B2)を更に含有し、且つ粒子径が0.05μm未満の無機粒子を実質的に含まないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科用重合硬化性組成物。
  4. 前記重合性単量体(A)100質量部に対する前記無機充填材(B)の含有量が100質量部以上、500質量部以下であり、当該無機充填材(B)の10質量%以上90質量%以下は前記無機粒子(B1)であり、残部は前記不定形無機粒子(B2)である、請求項1乃至3の何れかに記載の歯科用重合硬化性組成物。
  5. 前記重合開始剤(C)が、有機過酸化物と第三級アミンとを含んでなる化学重合開始剤と、複数の成分で構成される光重合開始剤と、の組み合わせからなる請求項1乃至4の何れかに記載の歯科用重合硬化性組成物であって、
    当該歯科用重合硬化性組成は、前記重合性単量体(A)の一部、前記無機充填材(B)の一部、及び有機過酸化物を含有してなる第一のペーストと、前記重合性単量体(A)の残部、前記無機充填材(B)の残部及び第三級アミンを含有する第二のペーストとに分包され、
    前記光重合開始剤を構成する複数の成分は、夫々、前記第一のペースト又は前記第二のペーストの何れかに配合されて成る、ことを特徴とする前記歯科用重合硬化性組成物。
  6. 請求項5に記載の歯科用重合硬化性組成物からなる、歯科用支台築造材料。
  7. 重合性単量体及び無機充填材を含有する歯科用コンポジットレジンに直接配合される歯科用無機充填材料であって、
    界面活性剤及び疎水化処理剤で処理された、平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子(B1)からなることを特徴とする、前記歯科用無機充填材料。
  8. 平均粒子径が0.05μm以上、1μm以下である無機粒子、界面活性剤及び水を含む第一分散液を準備する工程、
    加水分解性基を有する疎水化剤及び水を含み、前記疎水化剤の少なくとも一部が加水分解した状態で溶解又は分散してなる第二分散液を準備する工程、並びに
    前記第一分散液と前記第二分散液とを混合した後、得られた混合液を噴霧乾燥する工程、
    を含んでなることを特徴とする請求項7に記載の歯科用無機充填材料の製造方法。
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