JP2020040343A - 金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた、金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板を提供することを目的とする。【解決手段】絶縁層12と、前記絶縁層12の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔13とを備え、前記絶縁層12は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、前記金属箔13は、前記絶縁層12との接触面16が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されている金属張積層板11である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板に関する。
各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。また、各種電子機器に用いられる配線板としては、例えば、車載用途におけるミリ波レーダ基板等の、高周波対応の配線板であることが求められる。
配線板に備えられる配線に信号を伝送すると、配線を形成する導体に起因する伝送損失、及び配線周辺の誘電体に起因する伝送損失等が発生する。これらの伝送損失は、配線板に備えられる配線に高周波信号を伝送する場合に、特に発生しやすいことが知られている。このことから、配線板には、信号の伝送速度を高めるために、信号伝送時の損失を低減させることが求められる。高周波対応の配線板には、特にそれが求められる。この要求を満たすためには、配線板を構成する絶縁層を製造するための基板材料として、誘電率及び誘電正接が低い材料を用いることが考えられる。
信号伝送時の損失を低減させることを目的とした金属張積層板としては、例えば、特許文献1に記載の金属張積層板が挙げられる。
特許文献1には、ポリフェニレンエーテル化合物を含み、硬化した絶縁層と、前記絶縁層と接合した金属層と、前記絶縁層と前記金属層との間に介在するシラン化合物を含む中間層とを備え、前記金属層は、前記中間層を介して前記絶縁層と接合した接合面を有し、前記接合面の十点平均粗さRzが0.5μm以上4μm以下である金属張積層板が記載されている。特許文献1によれば、信号伝送時の損失を低減させたプリント配線板を製造できる金属張積層板が得られる旨が開示されている。
特開2016−28885号公報
プリント配線板等の配線板は、上述したように、信号の伝送速度を高めるために、信号伝送時の損失を低減させることがより求められている。よって、配線板における信号伝送時の損失を低減させるために、基板材料として、誘電率及び誘電正接のより低い等の低誘電特性により優れた材料を用いることが求められる。
また、電子部品等を高密度に実装された配線板では、単位面積あたりの発熱量が増大することになる。この発熱量の増大による不具合の発生を低減するためには、配線板の放熱性を高めることが考えられる。この要求を満たすためには、配線板を構成する絶縁層を製造するための基板材料として、熱伝導率が高い材料を用いることが考えられる。配線板は、基板材料として、誘電率及び誘電正接が低い材料を用い、信号伝送時の損失を低減させることだけではなく、配線板の放熱性を高めるために、熱伝導率が高い材料を用いることも求められる。
そして、熱伝導性を高めるためには、配線板を構成する絶縁層を製造するための基板材料に、シリカ粒子を含有させ、その含有量を増やすことが考えられる。しかしながら、シリカ粒子の含有量を増やすことによって、求められる熱伝導率を実現しようとすると、シリカ粒子の含有量が多すぎることによる不具合が発生する場合がある。具体的には、金属張積層板における、金属箔と絶縁層との接着力が低下すること等が挙げられる。このことにより、加熱時に、金属箔の剥離が発生することがあり、金属張積層板の耐熱性が不充分になる傾向がある。このような剥離が発生しないような、優れた金属箔接着性が求められる。
一方で、シリカ粒子として、シランカップリング剤で表面処理をしたシリカ粒子を用いることが考えられるが、コストが高くなり、最終製品の低コスト化という価格的な要求に応えにくくなっている。このような事情から、用いるシリカ粒子としては、シランカップリング剤で表面処理をしているか否かにかかわらず、加熱時であっても、金属箔の剥離等が発生しないような金属箔接着性の高い金属張積層板が求められている。特に、シランカップリング剤で表面処理をしていないシリカ粒子を用いた場合、上述したような、金属箔と絶縁層との接着力が低下する傾向があることが知られている。一方で、金属張積層板における金属箔と絶縁層との接着力に関しては、用いる樹脂組成物にシランカップリング剤を混ぜる、いわゆるインテグラルブレンドにより、ある程度、高めることができることが知られている。しかしながら、金属箔と絶縁層との接着力が低下することを防ぐことまでは容易ではなかった。
また、各種電子機器において用いられる配線板には、外部環境の変化等の影響を受けにくいことも求められる。例えば、上述したような、加熱時であっても、金属箔の剥離を抑制できるような、高い金属箔接着性が求められる。また、湿度が高い環境下でも配線板を用いることができるように、吸湿しても、金属箔の剥離の発生が抑制できるような高い耐湿性も求められる。また、半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術の進展に対応するため、デスミア処理やリペア等の際に、金属箔の剥離の発生が抑制できるような高い耐薬品性も求められる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた、金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
本発明の一態様に係る金属張積層板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
また、前記金属張積層板において、酸処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、15%以下であることが好ましい。
また、前記金属張積層板において、吸湿処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、10%以下であることが好ましい。
また、前記金属張積層板において、前記第1シランカップリング剤が、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂付き金属箔は、樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、前記樹脂層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含み、前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
また、本発明の他の一態様に係る配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備え、前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、前記配線は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
本発明によれば、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた、金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属張積層板の構成を示す断面図である。 図2は、本発明の他の一実施形態に係る樹脂付き金属箔の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の他の一実施形態に係る配線板の構成を示す断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[金属張積層板]
本発明の一実施形態に係る金属張積層板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える。この金属張積層板11は、図1に示すように、絶縁層12と、その両面に接触するように配置される金属箔13とを備えるものが挙げられる。また、前記金属張積層板は、前記絶縁層の一方の面上にのみ、金属箔が接触して備えられるものであってもよい。なお、図1は、本実施形態に係る金属張積層板11の構成を示す断面図である。
前記絶縁層12は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含む。前記樹脂組成物には、前記スチレン−ブタジエン共重合体を含有し、さらに、前記第1シランカップリング剤と前記シリカ粒子とを含有してもよいし、前記シリカ粒子を前記第1シランカップリング剤で表面処理された表面処理シリカ粒子を含有してもよい。
前記絶縁層12は、前記樹脂組成物の硬化物を含む層であれば、特に限定されない。前記絶縁層12としては、例えば、前記樹脂組成物の硬化物のみからなる層であってもよいし、前記樹脂組成物の硬化物だけではなく、繊維質基材も含む層であってもよい。前記絶縁層12は、繊維質基材を含むことによって、強度や耐熱性等を高めることができる。繊維質基材を含む絶縁層としては、具体的には、繊維質基材に、前記樹脂組成物を含浸させ、その繊維質基材に含浸された樹脂組成物を硬化させることによって、得られた層等が挙げられる。
前記金属箔13は、前記絶縁層12との接触面16が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されている。すなわち、前記金属箔13は、金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、少なくとも前記絶縁層12との接触面16側に設けられた表面処理層15とを備える。
このような金属張積層板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れている。このことは、以下のことによると考えられる。
前記絶縁層に含まれる前記硬化物は、スチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物であるので、誘電率及び誘電正接が低い。さらに、前記樹脂組成物には、シリカ粒子も含有されているので、前記樹脂組成物の硬化物の熱伝導性を高めることができると考えられる。そして、前記樹脂組成物は、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤を含有する。また、前記樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層に接触する金属箔として、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理された金属箔を用いる。前記絶縁層に含まれる前記硬化物の原料である樹脂組成物に含まれる第1シランカップリング剤と、前記金属箔の表面処理に用いられる第2シランカップリング剤とによって、前記金属箔と前記絶縁層との接着力が高まると考えられる。このことから、得られた金属張積層板を加熱しても、金属箔の剥離の発生が抑制されるような、金属箔接着性の高いものになると考えられる。さらに、得られた金属張積層板を吸湿処理しても、酸等の薬品で処理しても、金属箔の剥離の発生が抑制されるような、耐湿性も耐薬品性も高いものになると考えられる。
(樹脂組成物)
本実施形態において用いられる樹脂組成物は、上述したように、前記スチレン−ブタジエン共重合体、前記第1シランカップリング剤、及び前記シリカ粒子を含有する。
(スチレン−ブタジエン共重合体)
本実施形態において用いられるスチレン−ブタジエン共重合体は、金属張積層板や配線板に備えられる絶縁層に含まれる樹脂として用いることができるスチレン−ブタジエン共重合体であれば、特に限定されない。
前記スチレン−ブタジエン共重合体は、スチレンとブタジエンとの共重合体であり、例えば、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体等が挙げられる。また、前記スチレン−ブタジエン共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン二元共重合体であってもよいし、スチレン−ブタジエン−スチレン三元共重合体であってもよい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体としては、具体的には、下記式(1)で表されるスチレン由来単位と、下記式(2)で表される1,2−結合したブタジエン由来単位(1,2−付加体)と、下記式(3)で表される1,4−結合したブタジエン由来単位(1,4−付加体)とを分子内に含む共重合体等が挙げられる。また、この共重合体において、前記スチレン由来単位の含有量が、前記スチレン−ブタジエン共重合体全量に対して、3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。前記スチレン由来単位が少なすぎると、スチレン−ブタジエン共重合体としての安定性が低下する傾向がある。また、前記スチレン由来単位が多すぎると、樹脂組成物中での相溶性の低下に伴い、樹脂組成物中においてスチレン−ブタジエン共重合体が分離したり、プリプレグにした際にタッキングしやすくなる傾向がある。また、前記1,2−付加体の含有量が、前記スチレン−ブタジエン共重合体全量に対して、5〜30質量%であることが好ましく、7〜25質量%であることがより好ましい。前記1,2−付加体が少なすぎると、樹脂組成物中での相溶性の低下に伴い、樹脂組成物中においてスチレン−ブタジエン共重合体が分離したり、プリプレグにした際にタッキングしやすくなる傾向がある。また、前記1,2−付加体が多すぎると、スチレン−ブタジエン共重合体としての安定性が低下する傾向がある。また、前記1,4−付加体の含有量が、前記スチレン−ブタジエン共重合体全量に対して、1〜15質量%であることが好ましく、2〜14質量%であることがより好ましい。前記1,4−付加体が少なすぎると、樹脂組成物中での相溶性の低下に伴い、樹脂組成物中においてスチレン−ブタジエン共重合体が分離したり、プリプレグにした際にタッキングしやすくなる傾向がある。また、前記1,4−付加体が多すぎると、スチレン−ブタジエン共重合体としての安定性が低下する傾向がある。また、前記スチレン由来単位、前記1,2−付加体、及び前記1,4−付加体の繰り返し数は、下記スチレン−ブタジエン共重合体の分子量、及び各単位の含有量の関係を満たす繰り返し数であることが好ましい。
前記スチレン−ブタジエン共重合体の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)で、10000〜1000000であることが好ましく、10000〜500000であることがより好ましい。前記スチレン−ブタジエン共重合体の分子量が少なすぎると、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。前記スチレン−ブタジエン共重合体の分子量が高すぎると、成形性が低下する傾向がある。よって、前記スチレン−ブタジエン共重合体の分子量が上記範囲内であれば、硬化物の耐熱性により優れるだけではなく、成形性にも優れたものとなる。なお、ここで、重量平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。
(第1シランカップリング剤)
本実施形態において用いられる第1シランカップリング剤は、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するシランカップリング剤であれば、特に限定されない。このシランカップリング剤としては、具体的には、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。すなわち、このシランカップリング剤は、反応性官能基として、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基のうち、少なくとも1つを有し、さらに、メトキシ基やエトキシ基等の加水分解性基を有する化合物等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、メタクリロキシ基を有するものとして、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、スチリル基を有するものとして、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン、及びp−スチリルトリエトキシシラン等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、ビニル基を有するものとして、例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、前記第1シランカップリング剤としては、アクリロキシ基を有するものとして、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、前記第1シランカップリング剤は、前記樹脂組成物に含有される第1シランカップリング剤と、前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子に含まれる第1シランカップリング剤とが挙げられる。この前記樹脂組成物に含有される第1シランカップリング剤と、前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子に含まれる第1シランカップリング剤とは、それぞれが炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するシランカップリング剤であればよく、同一のシランカップリング剤であってもよいし、異なるシランカップリング剤であってもよい。
(シリカ粒子)
本実施形態において用いられるシリカ粒子は、特に限定されず、表面処理されたシリカ粒子であってもよいし、表面処理されていないシリカ粒子であってもよい。また、前記シリカ粒子としては、いわゆる球状シリカと呼ばれるもの等が挙げられる。また、前記表面処理としては、例えば、シランカップリング剤による処理等が挙げられる。また、表面処理されたシリカ粒子としては、シリカ粒子を前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子であってもよい。すなわち、前記樹脂組成物には、前記シリカ粒子と前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子とのいずれか一方を含む。また、前記樹脂組成物を製造する際に、前記第1シランカップリング剤で前記シリカ粒子を予め表面処理したものを添加してもよいし、前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤をインテグラルブレンド法で添加してもよい。
(含有量)
前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子の合計含有量は、前記スチレン−ブタジエン共重合体100質量部に対して、150〜400質量部であることが好ましく、180〜350質量部であることがより好ましく、200〜320質量部であることがさらに好ましい。なお、この合計含有量は、前記シリカ粒子のみを用いる場合は、前記シリカ粒子の含有量であり、前記第1シランカップリング剤で前記シリカ粒子を予め表面処理した表面処理シリカ粒子のみを用いる場合には、前記表面処理シリカ粒子の含有量である。前記合計含有量が少なすぎると、金属張積層板の熱伝導率が充分に高まらない傾向がある。また、前記合計含有量が多すぎると、優れた低誘電特性が得られにくかったり、金属箔接着性が低下する傾向がある。よって、前記合計含有量を上記範囲内にすることによって、優れた低誘電特性、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性を維持しつつ、熱伝導率を高めることができる。
なお、前記スチレン−ブタジエン共重合体の含有量は、前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子の合計含有量範囲から導き出される含有量範囲内であることが好ましい。すなわち、前記スチレン−ブタジエン共重合体の含有量は、前記合計含有量100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることがさらに好ましい。
前記第1シランカップリング剤の含有量は、前記シリカ粒子と前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜7質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。ここでの前記第1シランカップリング剤の含有量は、前記樹脂組成物に含有される第1シランカップリング剤の含有量と、前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子に含まれる第1シランカップリング剤の含有量の合計である。すなわち、ここでの前記第1シランカップリング剤の含有量は、前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤をインテグラルブレンド法で添加したときの前記第1シランカップリング剤と、前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子に含まれる第1シランカップリング剤との合計含有量である。前記第1シランカップリング剤の含有量が少なすぎると、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性が低下する傾向がある。具体的には、金属箔と絶縁層との接着力が低下し、加熱時に、金属箔の剥離等が発生する傾向がある。また、前記第1シランカップリング剤の含有量が多すぎると、優れた低誘電特性が得られにくく、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性が低下する傾向がある。よって、前記第1シランカップリング剤の含有量を上記範囲内にすることによって、シリカ粒子の含有により熱伝導率を高めても、優れた低誘電特性、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性を維持することができる。
(その他の成分)
本実施形態に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記スチレン−ブタジエン共重合体、前記第1シランカップリング剤、及び前記シリカ粒子以外の成分(その他の成分)を含有してもよい。本実施の形態に係る樹脂組成物に含有されるその他の成分としては、例えば、開始剤、難燃剤、分散剤、前記第1シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、シリカ粒子以外の無機充填材、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、及び滑剤等の添加剤をさらに含んでもよい。また、前記樹脂組成物には、前記スチレン−ブタジエン共重合体以外にも、ポリフェニレンエーテル、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及び熱硬化性ポリイミド樹脂等の樹脂を含有してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物には、上述したように、開始剤(反応開始剤)を含有してもよい。前記樹脂組成物は、開始剤を含有しなくても、硬化反応は進行し得る。プロセス条件によっては硬化が進行するまで高温にすることが困難な場合があるので、開始剤を添加してもよい。開始剤は、前記スチレン−ブタジエン共重合体の硬化反応を促進することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、過酸化ベンゾイル、3,3’,5,5’−テトラメチル−1,4−ジフェノキノン、クロラニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシル、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、及びアゾビスイソブチロニトリル等の酸化剤が挙げられる。また、必要に応じて、カルボン酸金属塩等を併用することができる。そうすることによって、硬化反応を一層促進させるができる。これらの中でも、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンが好ましく用いられる。α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンは、反応開始温度が比較的に高いため、プリプレグ乾燥時等の硬化する必要がない時点での硬化反応の促進を抑制することができ、樹脂組成物の保存性の低下を抑制することができる。さらに、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンは、揮発性が低いため、プリプレグ乾燥時や保存時に揮発せず、安定性が良好である。また、反応開始剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記開始剤を含有させる場合、その含有量は、前記スチレン−ブタジエン共重合体100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述したように、難燃剤を含有してもよい。難燃剤を含有することによって、樹脂組成物の硬化物の難燃性を高めることができる。前記難燃剤は、特に限定されない。具体的には、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤を使用する分野では、例えば、融点が300℃以上のエチレンジペンタブロモベンゼン、エチレンビステトラブロモイミド、デカブロモジフェニルオキサイド、及びテトラデカブロモジフェノキシベンゼンが好ましい。ハロゲン系難燃剤を使用することにより、高温時におけるハロゲンの脱離が抑制でき、耐熱性の低下を抑制できると考えられる。また、ハロゲンフリーが要求される分野では、リン酸エステル系難燃剤、ホスファゼン系難燃剤、ビスジフェニルホスフィンオキサイド系難燃剤、及びホスフィン酸塩系難燃剤が挙げられる。リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、ジキシレニルホスフェートの縮合リン酸エステルが挙げられる。ホスファゼン系難燃剤の具体例としては、フェノキシホスファゼンが挙げられる。ビスジフェニルホスフィンオキサイド系難燃剤の具体例としては、キシリレンビスジフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。ホスフィン酸塩系難燃剤の具体例としては、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩のホスフィン酸金属塩が挙げられる。前記難燃剤としては、例示した各難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述したように、分散剤を含有してもよい。前記分散剤は、特に限定されないが、例えば、酸性基と塩基性基とを有する分散剤、すなわち、両性分散剤等が挙げられる。この分散剤は、酸性基と塩基性とを、それぞれ1つの分子に有する分散剤であってもよいし、酸性基を有する分子と、塩基性基とを有する分子とが共存している分散剤であってもよい。また、この分散剤は、酸性基と塩基性基とを有していればよく、例えば、その他の官能基を有していてもよい。その他の官能基としては、例えば、水酸基等の親水性官能基等が挙げられる。また、前記分散剤は、具体的には、リン酸基とイミダゾリン基とを有する分散剤、及びカルボキシル基とアミノ基とを有する分散剤が好ましく用いられる。また、リン酸基とイミダゾリン基とを有する分散剤としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W969等が挙げられる。また、カルボキシル基とアミノ基とを有する分散剤としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−W966等が挙げられる。
(金属箔)
前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されている。すなわち、前記金属箔は、金属箔基材と、前記金属箔基材の、少なくとも前記絶縁層との接触面側に設けられた表面処理層とを備える。前記金属箔13としては、図1に示すように、金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、前記絶縁層12との接触面16側に設けられた表面処理層15とを備えるものが挙げられる。前記表面処理層15は、前記金属箔基材14を前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる層である。すなわち、前記金属箔13は、前記金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、少なくとも前記絶縁層12との接触面16側を、前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる表面処理層15とを備えている。また、表面処理層15は、前記金属箔基材14の、少なくとも前記絶縁層12との接触面16の全面に設けられた層であることが好ましい。また、前記金属箔は、前記金属箔基材の両面に前記表面処理層を備えるものであってもよい。また、前記金属張積層板は、例えば、前記絶縁層を形成するプリプレグの両面又は片面に、前記プリプレグと前記金属箔の前記表面処理層とが接触するように、前記金属箔を重ね、これを加熱加圧して製造する。このことから、前記絶縁層としては、前記金属箔の前記表面処理層と接触した状態のプリプレグが硬化して得られた層等が挙げられる。この場合、前記表面処理層は、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物と反応している層として形成されることもあり、前記表面処理層としては、このような、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物と反応している層であることが好ましい。このような層であれば、金属箔と絶縁層との接着性が高まる。
また、前記金属箔13は、前記絶縁層12に接触している。すなわち、前記絶縁層12には、前記金属箔13の前記表面処理層15が接触している。なお、この金属箔13は、金属張積層板11から配線板を製造した際には、配線板における配線になる。
前記第2シランカップリング剤は、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有するシランカップリング剤であれば、特に限定されない。前記第2シランカップリング剤は、反応性官能基として、脂肪族アミンからなるアミノ基を有し、さらに、メトキシ基やエトキシ基等の加水分解性基を有する化合物等が挙げられる。前記第2シランカップリング剤の具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。この中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
前記絶縁層12と接触している金属箔13は、前記金属基板14を前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる表面処理層15によって、前記絶縁層12との接着力を高めることができる。
また、前記金属箔13の表面粗さ(前記接触面16の表面粗さ)は、十点平均粗さRzで3μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。前記接触面16の表面粗さは低いほうが、すなわち、前記金属箔13の平滑性が高いほうが、信号伝送時の損失を低減させることができる点で好ましい。その一方で、前記接触面16の表面粗さは、低くするとしても、十点平均粗さRzで0.5μm程度が限界である。また、前記接触面16の表面粗さが低すぎると、金属箔13と絶縁層12との接着性が低下してしまう傾向がある。この点からも、前記接触面16の表面粗さは、十点平均粗さRzで0.5μm以上であることが好ましい。よって、前記接触面16の表面粗さは、十点平均粗さRzで0.5〜3μmであることが好ましく、0.6〜2.5μmであることがより好ましく、0.6〜2μmであることがさらに好ましい。また、前記金属箔13は、金属箔基材14と、前記金属箔基材14の接触面16側に、表面処理層15とを備えているので、前記接触面16の表面粗さは、前記表面処理層15の表面粗さである。また、金属箔基材14の表面粗さは、特に限定されない。前記表面処理層15が形成されていても、前記金属箔13の表面粗さが大きく変化しない場合には、前記金属箔基材14の表面粗さは、前記接触面16の表面粗さと同等であることが好ましい。なお、ここでの表面粗さである十点平均粗さRzは、JIS B 0601:1994に準拠したものであり、一般的な表面粗さ測定器等で測定することができる。具体的には、例えば、株式会社東京精密製の表面粗さ形状測定機(SURFCOM500DX)を用いて測定することができる。
また、前記金属箔基材14は、金属張積層板の金属箔として用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、前記金属箔基材14としては、例えば、銅箔、ニッケル箔、及びアルミニウム箔等の金属箔等が挙げられる。この中でも、前記金属箔基材14としては、銅箔が好ましく用いられる。すなわち、本実施形態に係る金属張積層板としては、銅箔張積層板であることが好ましい。
また、前記金属箔13の厚みは、最終的に得られる配線板に求められる性能等に応じて異なり、特に限定されない。前記金属箔13の厚みは、例えば、12〜70μmであることが好ましい。
本実施形態に係る金属張積層板は、酸処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度(酸処理前引き剥がし強度)に対する、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度(酸処理後引き剥がし強度)の劣化率[=(酸処理前引き剥がし強度−酸処理後引き剥がし強度)/酸処理前引き剥がし強度×100]が、15%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。なお、前記劣化率は、低ければ低いほどよく、前記劣化率が0%であること好ましい。このため、前記劣化率は、0〜15%であることが好ましく、0〜7%であることがより好ましい。一般的に、金属張積層板は、酸処理を施すと、前記金属箔の引き剥がし強度が低下する傾向がある。これに対して、本実施形態に係る金属張積層板は、酸処理後であっても、前記劣化率が上記範囲内になる程度には前記金属箔が剥がれにくい。すなわち、本実施形態に係る金属張積層板は、耐酸性等の耐薬品性に優れている。なお、前記金属箔の引き剥がし強度の測定方法としては、例えば、後述する銅箔接着強度の測定方法と同様の方法等が挙げられる。前記酸処理しては、例えば、金属張積層板を塩酸に浸漬させる処理等が挙げられる。
本実施形態に係る金属張積層板は、吸湿処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理前引き剥がし強度)に対する、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理後引き剥がし強度)の劣化率[=(吸湿処理前引き剥がし強度−吸湿処理後引き剥がし強度)/吸湿処理前引き剥がし強度×100]が、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。なお、前記劣化率は、低ければ低いほどよく、前記劣化率が0%であること好ましい。このため、前記劣化率は、0〜10%であることが好ましく、0〜7%であることがより好ましい。一般的に、金属張積層板は、吸湿処理を施すと、前記金属箔の引き剥がし強度が低下する傾向がある。これに対して、本実施形態に係る金属張積層板は、吸湿処理後であっても、前記劣化率が上記範囲内になる程度には前記金属箔が剥がれにくい。すなわち、本実施形態に係る金属張積層板は、耐湿性に優れている。なお、前記金属箔の引き剥がし強度の測定方法としては、例えば、後述する銅箔接着強度の測定方法と同様の方法等が挙げられる。前記吸湿処理しては、例えば、金属張積層板を温水に浸漬させる処理等が挙げられる。
本実施形態で用いる樹脂組成物は、ワニス状に調製して用いてもよい。例えば、プリプレグを製造する際に、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸することを目的として、ワニス状に調製して用いてもよい。すなわち、樹脂組成物は、ワニス状に調製されたもの(樹脂ワニス)として用いてもよい。また、本実施形態で用いる樹脂組成物において、前記変性ポリフェニレンエーテル化合物と前記架橋型硬化剤とは、樹脂ワニス中に溶解されたものである。このようなワニス状の組成物(樹脂ワニス)は、例えば、以下のようにして調製される。
まず、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられる、有機溶媒に溶解しない成分を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、前記スチレン−ブタジエン共重合体を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエンやメチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
また、前記絶縁層には、上述したように、前記樹脂組成物の硬化物だけではなく、繊維質基材も含んでいてもよい。この繊維質基材としては、後述するプリプレグに含まれる繊維質基材と同様のものが挙げられる。
また、前記樹脂組成物を用いることによって、前記金属張積層板だけではなく、以下のように、プリプレグ、樹脂付き金属箔、及び配線板を得ることができる。この際、樹脂組成物として、上記のようなワニス状の組成物を用いてもよい。
前記プリプレグは、前記樹脂組成物の半硬化物と、繊維質基材とを備える。このプリプレグは、前記半硬化物の中に繊維質基材が存在するものが挙げられる。すなわち、このプリプレグは、前記半硬化物と、前記半硬化物の中に存在する繊維質基材とを備える。
なお、半硬化物とは、樹脂組成物をさらに硬化しうる程度に途中まで硬化された状態のものである。すなわち、半硬化物は、樹脂組成物を半硬化した状態の(Bステージ化された)ものである。例えば、樹脂組成物は、加熱すると、最初、粘度が徐々に低下し、その後、硬化が開始し、粘度が徐々に上昇する。このような場合、半硬化としては、粘度が上昇し始めてから、完全に硬化する前の間の状態等が挙げられる。
また、前記プリプレグとしては、上記のような、前記樹脂組成物の半硬化物を備えるものであってもよいし、また、硬化させていない前記樹脂組成物そのものを備えるものであってもよい。すなわち、前記樹脂組成物の半硬化物(Bステージの前記樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよいし、硬化前の前記樹脂組成物(Aステージの前記樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよい。
前記プリプレグの製造方法は、前記プリプレグを製造することができる方法であれば、特に限定されない。例えば、樹脂組成物、例えば、ワニス状に調製された樹脂組成物を、繊維質基材に含浸させる方法等が挙げられる。すなわち、前記プリプレグとしては、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させて得られたもの等が挙げられる。含浸する方法としては、繊維質基材に樹脂組成物を含浸させることができる方法であれば、特に限定されない。例えば、ディップに限らず、ロール、ダイコート、及びバーコートを用いた方法や噴霧等が挙げられる。また、プリプレグの製造方法としては、前記含浸の後に、樹脂組成物が含浸された繊維質基材に対して、乾燥や加熱をしてもよい。すなわち、プリプレグの製造方法としては、例えば、ワニス状に調製された樹脂組成物を繊維質基材に含浸させた後、乾燥させる方法、ワニス状に調製された樹脂組成物を繊維質基材に含浸させた後、加熱させる方法、及びワニス状に調製された樹脂組成物を、繊維質基材に含浸させ、乾燥させた後、加熱する方法等が挙げられる。
プリプレグを製造する際に用いられる繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
樹脂組成物の繊維質基材への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂組成物を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び含浸量に調整することも可能である。
前記樹脂組成物が含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜180℃で1〜10分間加熱されることにより、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
本実施形態に係る金属張積層板の製造方法としては、前記金属張積層板を製造することができれば、特に限定されない。前記金属張積層板の製造方法としては、例えば、前記樹脂組成物を用いること以外は、一般的な金属張積層板の製造方法と同様にして、金属張積層板を得ることができる。例えば、前記樹脂組成物を用いた前記プリプレグを用いる方法等が挙げられる。プリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、プリプレグを1枚又は複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に、前記金属箔の前記表面処理層と前記プリプレグとが接触するように、前記金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化する方法等が挙げられる。すなわち、前記金属張積層板の製造方法としては、前記樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させて、プリプレグを得る工程と、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形することによって、前記樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える金属張積層板を得る工程とを備える。この方法によって、両面に金属箔を備える金属張積層板又は片面に金属箔を備える金属張積層板を作製することができる。すなわち、本実施形態に係る金属張積層板は、前記金属箔の前記表面処理層と前記プリプレグとが接触するように、前記プリプレグに前記金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたものである。また、加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグに含まれる樹脂組成物の種類等により適宜設定することができる。例えば、温度を170〜210℃、圧力を3.5〜4MPa、時間を60〜150分間とすることができる。また、金属張積層板は、プリプレグを用いずに、製造してもよい。例えば、ワニス状の樹脂組成物等を前記金属箔の前記表面処理層上に塗布し、前記金属箔の前記表面処理層上に硬化性組成物を含む層を形成した後、加熱加圧する方法等が挙げられる。
このような金属張積層板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた金属張積層板である。
[樹脂付き金属箔]
本発明の他の実施形態に係る樹脂付き金属箔は、樹脂層と、前記樹脂層の一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える。この樹脂付き金属箔21は、図2に示すように、樹脂層22と、その一方の面に接触するように配置される金属箔13とを備えるものが挙げられる。なお、図2は、本実施形態に係る樹脂付き金属箔21の構成を示す断面図である。
また、前記樹脂層22としては、上記のような、前記樹脂組成物(Aステージの前記樹脂組成物)、又は、前記樹脂組成物の半硬化物(Bステージの前記樹脂組成物)を含むものである。また、前記樹脂層としては、前記樹脂組成物、又は、前記樹脂組成物の半硬化物を含んでいればよく、繊維質基材を含んでいても、含んでいなくてもよい。また、繊維質基材としては、プリプレグの繊維質基材と同様のものを用いることができる。
また、金属箔13としては、前記金属張積層板に備えられる金属箔と同様のものである。具体的には、また、前記金属箔13は、図2に示すように、金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、少なくとも前記樹脂層12との接触面16側に設けられた表面処理層15とを備える。そして、前記表面処理層15は、前記金属箔基材14を前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる層である。また、前記金属箔基材14としては、前記金属張積層板と同様、金属箔が挙げられ、その中でも、銅箔が好ましく用いられる。すなわち、本実施形態に係る樹脂付き金属箔としては、例えば、樹脂付き金属箔が挙げられ、樹脂付き銅箔であることが好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂付き金属箔の製造方法は、前記樹脂付き金属箔を製造することができる方法であれば、特に限定されない。前記樹脂付き金属箔の製造方法としては、前記樹脂組成物を用いること以外は、一般的な樹脂付き金属箔の製造方法と同様にして、金属張積層板を得ることができる。例えば、前記樹脂組成物、例えば、ワニス状に調製された樹脂組成物を、前記金属箔上に塗布する方法等が挙げられる。すなわち、本発明の実施形態に係る樹脂付き金属箔としては、前記樹脂組成物を金属箔に塗布させて得られたもの等が挙げられる。塗布する方法としては、金属箔に、樹脂組成物を塗布させることができる方法であれば、特に限定されない。例えば、ロール、ダイコート、及びバーコートを用いた方法や噴霧等が挙げられる。また、樹脂付き金属箔の製造方法としては、前記塗布の後に、樹脂組成物が塗布された金属箔に対して、乾燥や加熱をしてもよい。すなわち、樹脂付き金属箔の製造方法としては、例えば、ワニス状に調製された樹脂組成物を、金属箔上に塗布させた後、乾燥させる方法、ワニス状に調製された樹脂組成物を、金属箔上に塗布させた後、加熱させる方法、及びワニス状に調製された樹脂組成物を、金属箔上に塗布させ、乾燥させた後、加熱する方法等が挙げられる。なお、樹脂組成物が塗布された金属箔は、所望の加熱条件、例えば、80〜180℃で1〜10分間加熱されることにより、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の樹脂付き金属箔が得られる。
このような樹脂付き金属箔は、前記金属張積層板と同様、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた樹脂付き金属箔である。
[配線板]
本発明の他の実施形態に係る配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備える。すなわち、この配線板は、前記絶縁層の表面上に配線を有する。この配線板31は、図3に示すように、絶縁層12と、その両面に接触するように配置される配線17とを備えるものが挙げられる。また、前記配線板は、前記絶縁層の一方の面上にのみ、配線が接触して備えられるものであってもよい。なお、図3は、本実施形態に係る配線板31の構成を示す断面図である。
前記配線17は、図3に示すように、配線基材18と、前記配線基材18の、少なくとも前記絶縁層12との接触面20側に設けられた表面処理層19とを備える。また、前記絶縁層12としては、前記金属張積層板の絶縁層と同様の層が挙げられる。また、前記配線17としては、例えば、前記金属張積層板の金属箔を部分的に除去して形成された配線等が挙げられる。このような配線としては、例えば、サブトラクティブ、アディティブ、セミアディティブ、化学機械研磨(CMP)、トレンチ、インクジェット、スキージ、及び転写等を用いた方法により形成された配線等が挙げられる。また、前記金属張積層板の金属箔を部分的に除去して配線を形成する場合、前記配線基材18は、前記金属箔の金属箔基材が部分的に除去されたものである。
本実施形態に係る配線板の製造方法は、前記金属張積層板、又は前記樹脂付き金属箔を用いて前記配線板を製造することができる方法であれば、特に限定されない。前記配線板の製造方法としては、例えば、一般的な金属張積層板を用いる方法等が挙げられる。金属張積層板を用いて配線板を作製する方法としては、金属張積層板の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をする方法等が挙げられる。この方法によって、金属張積層板の表面に回路として導体パターンを設けた配線板を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る配線板は、前記金属張積層板の表面の金属箔を部分的に除去することにより回路形成して得られたものである。前記配線板の製造方法としては、前記樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させて、プリプレグを得る工程と、前記プリプレグに前記金属箔を積層して、加熱加圧成形することによって、前記樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える金属張積層板を得る工程と、前記金属張積層板の金属箔を部分的に除去することによって、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線を形成する工程とを備える製造方法等が挙げられる。
このような配線板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、配線接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた配線板である。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係る金属張積層板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
このような構成によれば、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた金属張積層板を提供することができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
前記絶縁層に含まれる前記硬化物は、スチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物であるので、誘電率及び誘電正接が低い。さらに、前記樹脂組成物には、シリカ粒子も含有されているので、前記樹脂組成物の硬化物の熱伝導性を高めることができると考えられる。そして、前記樹脂組成物は、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤を含有する。また、前記樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層に接触する金属箔として、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理された金属箔を用いる。前記絶縁層に含まれる前記硬化物の原料である樹脂組成物に含まれる第1シランカップリング剤と、前記金属箔の表面処理に用いられる第2シランカップリング剤とによって、前記金属箔と前記絶縁層との接着力が高まると考えられる。このことから、得られた金属張積層板を加熱しても、金属箔の剥離の発生が抑制されるような、金属箔接着性の高いものになると考えられる。さらに、得られた金属張積層板を吸湿処理しても、酸等の薬品で処理しても、金属箔の剥離の発生が抑制されるような、耐湿性も耐薬品性も高いものになると考えられる。
よって、得られた金属張積層板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れている。
また、前記金属張積層板において、酸処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、15%以下であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性及び耐湿性に優れ、耐薬品性により優れた金属張積層板が得られる。
また、前記金属張積層板において、吸湿処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、10%以下であることが好ましい。
このような構成によれば、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性及び耐薬品性に優れ、耐湿性により優れた金属張積層板が得られる。
また、前記金属張積層板において、前記第1シランカップリング剤が、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。
このような構成によれば、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性により優れた金属張積層板が得られる。このことは、金属箔と絶縁層との接着力をより高めることができることによると考えられる。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂付き金属箔は、樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、前記樹脂層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含み、前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
このような構成によれば、前記金属張積層板と同様、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた樹脂付き金属箔を提供することができる。
また、本発明の他の一態様に係る配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備え、前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、前記配線は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする。
このような構成によれば、前記金属張積層板と同様、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、配線接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた配線板を提供することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定さえるものではない。
[実施例1、実施例2、及び比較例1〜6]
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
(スチレン−ブタジエン共重合体)
スチレン−ブタジエン共重合体1:スチレンと1,3−ブタジエンとを共重合させて得られた共重合体(上記式(1)で表されるスチレン由来単位:上記式(2)で表される1,2−結合されたブタジエン由来単位(1,2−付加体):上記式(3)で表される1,4−結合されたブタジエン由来単位(1,4−付加体)=7:69:24(質量比))
スチレン−ブタジエン共重合体2:スチレンと1,3−ブタジエンとを共重合させて得られた共重合体(上記式(1)で表されるスチレン由来単位:上記式(2)で表される1,2−結合されたブタジエン由来単位(1,2−付加体):上記式(3)で表される1,4−結合されたブタジエン由来単位(1,4−付加体)=8:67:25(質量比))
(第1シランカップリング剤:炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するシランカップリング剤)
第1シランカップリング剤:メタクリロキシ基を分子中に有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBE−503)
(開始剤)
開始剤:α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日油株式会社製のパーブチルP)
(シリカ粒子)
破砕シリカ:SIBELCO社製のMegasil525
[樹脂組成物の調製方法]
次に、樹脂組成物の調製方法について説明する。
まず、開始剤以外の各成分を下記表1及び下記表2に記載の配合割合で、固形分濃度が60質量%となるように、トルエンに添加し、混合させた。その混合物を、80℃になるまで加熱し、80℃のままで60分間攪拌した。その後、その攪拌した混合物を40℃まで冷却した後、開始剤を下記表1及び下記表2に記載の配合割合で添加することによって、ワニス状の硬化性組成物(ワニス)が得られた。その混合物を、60分間攪拌することによって、ワニス状の樹脂組成物(ワニス)を調製した。
[金属張積層板の調製方法]
次に、得られたワニスをガラスクロスに含浸させた後、100〜170℃で約3〜6分間加熱乾燥することによりプリプレグを作製した。上記ガラスクロスは、具体的には、日東紡績株式会社製の♯1080タイプ、Eガラスである。その際、樹脂組成物の含有量(レジンコンテント)が約70質量%となるように調整した。
次に、製造したプリプレグを2枚重ね合わせ、その両側に、金属箔として、下記銅箔を配置して被圧体とし、温度200℃、圧力3MPa(メガパスカル)の条件で100分加熱・加圧して両面に銅箔が接着された銅箔張積層板(金属張積層板)を作製した。
(金属箔:アミノシランカップリング剤(第2シランカップリング剤)で表面処理された銅箔)
銅箔−1:脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有するシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBE−903)で全面を表面処理した銅箔(アミノシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
(金属箔:第2シランカップリング剤以外のシランカップリング剤で表面処理された銅箔)
銅箔−2:分子中にフェニルアミノ基を有するシランカップリング剤(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−573)で全面を表面処理した銅箔(アミノシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
銅箔−3:分子中にエポキシ基を有するシランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−403)で全面を表面処理した銅箔(エポキシシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
銅箔−4:分子中にメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−503)で全面を表面処理した銅箔(メタクリロキシシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
[評価]
上記のように調製された各プリプレグ及び金属張積層板(評価基板)を、以下に示す方法により評価を行った。
[熱伝導率]
金属張積層板の熱伝導率(W/m・K)を、レーザフラッシュ法で測定した。
[銅箔接着強度]
金属張積層板において、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度:金属箔の引き剥がし強度)をJIS C 6481に準拠して測定した。幅10mm、長さ100mmのパターンを形成し、引っ張り試験機により50mm/分の速度で引き剥がし、その時の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を測定した。測定単位はN/mmである。
[酸処理後における銅箔接着強度]
金属張積層板を12%塩酸に30分間浸漬させる酸処理を行った。この酸処理後の金属張積層板における、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を、前記銅箔接着強度の測定方法と同様の方法により測定した。これにより得られた銅箔接着強度を、酸処理後の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(酸処理後引き剥がし強度)とした。なお、前記銅箔接着強度の測定方法で得られた銅箔接着強度を、酸処理前の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(酸処理前引き剥がし強度)とした。これらの引き剥がし強度から、酸処理による引き剥がし強度の劣化率を算出した。酸処理による引き剥がし強度の劣化率は、酸処理前引き剥がし強度に対する酸処理後引き剥がし強度の劣化率であり、下記式より算出した。
(酸処理前引き剥がし強度−酸処理後引き剥がし強度)/酸処理前引き剥がし強度×100
[吸湿処理後における銅箔接着強度]
金属張積層板を100℃の水に2時間浸漬させる吸湿処理を行った。この吸湿処理後の金属張積層板における、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を、前記銅箔接着強度の測定方法と同様の方法により測定した。これにより得られた銅箔接着強度を、吸湿処理後の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理後引き剥がし強度)とした。なお、前記銅箔接着強度の測定方法で得られた銅箔接着強度を、吸湿処理前の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理前引き剥がし強度)とした。これらの引き剥がし強度から、吸湿処理による引き剥がし強度の劣化率を算出した。吸湿処理による引き剥がし強度の劣化率は、吸湿処理前引き剥がし強度に対する吸湿処理後引き剥がし強度の劣化率であり、下記式より算出した。
(吸湿処理前引き剥がし強度−吸湿処理後引き剥がし強度)/吸湿処理前引き剥がし強度×100
[誘電特性(比誘電率及び誘電正接)]
1GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を、IPC−TM650−2.5.5.9に準拠の方法で測定した。具体的には、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のRFインピーダンスアナライザ HP4291B)を用い、1GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を測定した。
上記各評価における結果を、表1及び表2に示す。
表1及び表2からわかるように、絶縁層として、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を用い、金属箔として、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されている金属箔を用いた場合(実施例1、2)は、金属箔として、前記第2シランカップリング剤以外のシランカップリング剤で表面処理されている金属箔を用いた場合(比較例1〜6)と比較して、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率も、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率も低かった。また、実施例1,2に係る金属張積層板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性に優れていた。これらのことから、実施例1,2に係る金属張積層板は、誘電率及び誘電特性が低く、熱伝導率が高く、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性に優れた、金属張積層板であった。
11 金属張積層板
12 絶縁層
13 金属箔
14 金属箔基材
15、19 表面処理層
17 配線
18 配線基材
21 樹脂付き金属箔
22 樹脂層
31 配線板

Claims (6)

  1. 絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、
    前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
    前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする金属張積層板。
  2. 酸処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、15%以下である請求項1に記載の金属張積層板。
  3. 吸湿処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、10%以下である請求項1又は請求項2に記載の金属張積層板。
  4. 前記第1シランカップリング剤が、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属張積層板。
  5. 樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、
    前記樹脂層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含み、
    前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする樹脂付き金属箔。
  6. 絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備え、
    前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
    前記配線は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする配線板。
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