JP2020040343A - 金属張積層板、樹脂付き金属箔、及び配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態に係る金属張積層板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える。この金属張積層板11は、図1に示すように、絶縁層12と、その両面に接触するように配置される金属箔13とを備えるものが挙げられる。また、前記金属張積層板は、前記絶縁層の一方の面上にのみ、金属箔が接触して備えられるものであってもよい。なお、図1は、本実施形態に係る金属張積層板11の構成を示す断面図である。
本実施形態において用いられる樹脂組成物は、上述したように、前記スチレン−ブタジエン共重合体、前記第1シランカップリング剤、及び前記シリカ粒子を含有する。
本実施形態において用いられるスチレン−ブタジエン共重合体は、金属張積層板や配線板に備えられる絶縁層に含まれる樹脂として用いることができるスチレン−ブタジエン共重合体であれば、特に限定されない。
本実施形態において用いられる第1シランカップリング剤は、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するシランカップリング剤であれば、特に限定されない。このシランカップリング剤としては、具体的には、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。すなわち、このシランカップリング剤は、反応性官能基として、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基のうち、少なくとも1つを有し、さらに、メトキシ基やエトキシ基等の加水分解性基を有する化合物等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、メタクリロキシ基を有するものとして、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、スチリル基を有するものとして、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン、及びp−スチリルトリエトキシシラン等が挙げられる。前記第1シランカップリング剤としては、ビニル基を有するものとして、例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、前記第1シランカップリング剤としては、アクリロキシ基を有するものとして、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態において用いられるシリカ粒子は、特に限定されず、表面処理されたシリカ粒子であってもよいし、表面処理されていないシリカ粒子であってもよい。また、前記シリカ粒子としては、いわゆる球状シリカと呼ばれるもの等が挙げられる。また、前記表面処理としては、例えば、シランカップリング剤による処理等が挙げられる。また、表面処理されたシリカ粒子としては、シリカ粒子を前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子であってもよい。すなわち、前記樹脂組成物には、前記シリカ粒子と前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子とのいずれか一方を含む。また、前記樹脂組成物を製造する際に、前記第1シランカップリング剤で前記シリカ粒子を予め表面処理したものを添加してもよいし、前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤をインテグラルブレンド法で添加してもよい。
前記シリカ粒子及び前記第1シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子の合計含有量は、前記スチレン−ブタジエン共重合体100質量部に対して、150〜400質量部であることが好ましく、180〜350質量部であることがより好ましく、200〜320質量部であることがさらに好ましい。なお、この合計含有量は、前記シリカ粒子のみを用いる場合は、前記シリカ粒子の含有量であり、前記第1シランカップリング剤で前記シリカ粒子を予め表面処理した表面処理シリカ粒子のみを用いる場合には、前記表面処理シリカ粒子の含有量である。前記合計含有量が少なすぎると、金属張積層板の熱伝導率が充分に高まらない傾向がある。また、前記合計含有量が多すぎると、優れた低誘電特性が得られにくかったり、金属箔接着性が低下する傾向がある。よって、前記合計含有量を上記範囲内にすることによって、優れた低誘電特性、金属箔接着性、耐湿性、及び耐薬品性を維持しつつ、熱伝導率を高めることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記スチレン−ブタジエン共重合体、前記第1シランカップリング剤、及び前記シリカ粒子以外の成分(その他の成分)を含有してもよい。本実施の形態に係る樹脂組成物に含有されるその他の成分としては、例えば、開始剤、難燃剤、分散剤、前記第1シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、シリカ粒子以外の無機充填材、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、及び滑剤等の添加剤をさらに含んでもよい。また、前記樹脂組成物には、前記スチレン−ブタジエン共重合体以外にも、ポリフェニレンエーテル、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及び熱硬化性ポリイミド樹脂等の樹脂を含有してもよい。
前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されている。すなわち、前記金属箔は、金属箔基材と、前記金属箔基材の、少なくとも前記絶縁層との接触面側に設けられた表面処理層とを備える。前記金属箔13としては、図1に示すように、金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、前記絶縁層12との接触面16側に設けられた表面処理層15とを備えるものが挙げられる。前記表面処理層15は、前記金属箔基材14を前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる層である。すなわち、前記金属箔13は、前記金属箔基材14と、前記金属箔基材14の、少なくとも前記絶縁層12との接触面16側を、前記第2シランカップリング剤で表面処理してなる表面処理層15とを備えている。また、表面処理層15は、前記金属箔基材14の、少なくとも前記絶縁層12との接触面16の全面に設けられた層であることが好ましい。また、前記金属箔は、前記金属箔基材の両面に前記表面処理層を備えるものであってもよい。また、前記金属張積層板は、例えば、前記絶縁層を形成するプリプレグの両面又は片面に、前記プリプレグと前記金属箔の前記表面処理層とが接触するように、前記金属箔を重ね、これを加熱加圧して製造する。このことから、前記絶縁層としては、前記金属箔の前記表面処理層と接触した状態のプリプレグが硬化して得られた層等が挙げられる。この場合、前記表面処理層は、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物と反応している層として形成されることもあり、前記表面処理層としては、このような、前記プリプレグに含まれる樹脂組成物と反応している層であることが好ましい。このような層であれば、金属箔と絶縁層との接着性が高まる。
本発明の他の実施形態に係る樹脂付き金属箔は、樹脂層と、前記樹脂層の一方の表面に接触して存在する金属箔とを備える。この樹脂付き金属箔21は、図2に示すように、樹脂層22と、その一方の面に接触するように配置される金属箔13とを備えるものが挙げられる。なお、図2は、本実施形態に係る樹脂付き金属箔21の構成を示す断面図である。
本発明の他の実施形態に係る配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備える。すなわち、この配線板は、前記絶縁層の表面上に配線を有する。この配線板31は、図3に示すように、絶縁層12と、その両面に接触するように配置される配線17とを備えるものが挙げられる。また、前記配線板は、前記絶縁層の一方の面上にのみ、配線が接触して備えられるものであってもよい。なお、図3は、本実施形態に係る配線板31の構成を示す断面図である。
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
スチレン−ブタジエン共重合体1:スチレンと1,3−ブタジエンとを共重合させて得られた共重合体(上記式(1)で表されるスチレン由来単位:上記式(2)で表される1,2−結合されたブタジエン由来単位(1,2−付加体):上記式(3)で表される1,4−結合されたブタジエン由来単位(1,4−付加体)=7:69:24(質量比))
スチレン−ブタジエン共重合体2:スチレンと1,3−ブタジエンとを共重合させて得られた共重合体(上記式(1)で表されるスチレン由来単位:上記式(2)で表される1,2−結合されたブタジエン由来単位(1,2−付加体):上記式(3)で表される1,4−結合されたブタジエン由来単位(1,4−付加体)=8:67:25(質量比))
(第1シランカップリング剤:炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有するシランカップリング剤)
第1シランカップリング剤:メタクリロキシ基を分子中に有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBE−503)
(開始剤)
開始剤:α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日油株式会社製のパーブチルP)
(シリカ粒子)
破砕シリカ:SIBELCO社製のMegasil525
[樹脂組成物の調製方法]
次に、樹脂組成物の調製方法について説明する。
次に、得られたワニスをガラスクロスに含浸させた後、100〜170℃で約3〜6分間加熱乾燥することによりプリプレグを作製した。上記ガラスクロスは、具体的には、日東紡績株式会社製の♯1080タイプ、Eガラスである。その際、樹脂組成物の含有量(レジンコンテント)が約70質量%となるように調整した。
銅箔−1:脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有するシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBE−903)で全面を表面処理した銅箔(アミノシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
(金属箔:第2シランカップリング剤以外のシランカップリング剤で表面処理された銅箔)
銅箔−2:分子中にフェニルアミノ基を有するシランカップリング剤(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−573)で全面を表面処理した銅箔(アミノシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
銅箔−3:分子中にエポキシ基を有するシランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−403)で全面を表面処理した銅箔(エポキシシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
銅箔−4:分子中にメタクリロキシ基を有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製のKBM−503)で全面を表面処理した銅箔(メタクリロキシシラン処理を施した銅箔、十点平均粗Rz:2.5μm、厚み:35μm)
[評価]
上記のように調製された各プリプレグ及び金属張積層板(評価基板)を、以下に示す方法により評価を行った。
金属張積層板の熱伝導率(W/m・K)を、レーザフラッシュ法で測定した。
金属張積層板において、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度:金属箔の引き剥がし強度)をJIS C 6481に準拠して測定した。幅10mm、長さ100mmのパターンを形成し、引っ張り試験機により50mm/分の速度で引き剥がし、その時の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を測定した。測定単位はN/mmである。
金属張積層板を12%塩酸に30分間浸漬させる酸処理を行った。この酸処理後の金属張積層板における、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を、前記銅箔接着強度の測定方法と同様の方法により測定した。これにより得られた銅箔接着強度を、酸処理後の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(酸処理後引き剥がし強度)とした。なお、前記銅箔接着強度の測定方法で得られた銅箔接着強度を、酸処理前の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(酸処理前引き剥がし強度)とした。これらの引き剥がし強度から、酸処理による引き剥がし強度の劣化率を算出した。酸処理による引き剥がし強度の劣化率は、酸処理前引き剥がし強度に対する酸処理後引き剥がし強度の劣化率であり、下記式より算出した。
[吸湿処理後における銅箔接着強度]
金属張積層板を100℃の水に2時間浸漬させる吸湿処理を行った。この吸湿処理後の金属張積層板における、絶縁層からの銅箔の引き剥がし強さ(銅箔接着強度)を、前記銅箔接着強度の測定方法と同様の方法により測定した。これにより得られた銅箔接着強度を、吸湿処理後の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理後引き剥がし強度)とした。なお、前記銅箔接着強度の測定方法で得られた銅箔接着強度を、吸湿処理前の金属張積層板における金属箔の引き剥がし強度(吸湿処理前引き剥がし強度)とした。これらの引き剥がし強度から、吸湿処理による引き剥がし強度の劣化率を算出した。吸湿処理による引き剥がし強度の劣化率は、吸湿処理前引き剥がし強度に対する吸湿処理後引き剥がし強度の劣化率であり、下記式より算出した。
[誘電特性(比誘電率及び誘電正接)]
1GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を、IPC−TM650−2.5.5.9に準拠の方法で測定した。具体的には、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のRFインピーダンスアナライザ HP4291B)を用い、1GHzにおける評価基板の比誘電率及び誘電正接を測定した。
12 絶縁層
13 金属箔
14 金属箔基材
15、19 表面処理層
17 配線
18 配線基材
21 樹脂付き金属箔
22 樹脂層
31 配線板
Claims (6)
- 絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、
前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする金属張積層板。 - 酸処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、酸処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、15%以下である請求項1に記載の金属張積層板。
- 吸湿処理前の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度に対する、吸湿処理後の前記金属張積層板における前記金属箔の引き剥がし強度の劣化率が、10%以下である請求項1又は請求項2に記載の金属張積層板。
- 前記第1シランカップリング剤が、メタクリロキシ基、スチリル基、ビニル基、及びアクリロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属張積層板。
- 樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の表面に接触して存在する金属箔とを備え、
前記樹脂層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含み、
前記金属箔は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする樹脂付き金属箔。 - 絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の表面に接触して存在する配線とを備え、
前記絶縁層は、スチレン−ブタジエン共重合体と、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に有する第1シランカップリング剤と、シリカ粒子とを含有する樹脂組成物の硬化物を含み、
前記配線は、前記絶縁層との接触面が、脂肪族アミンからなるアミノ基を分子中に有する第2シランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする配線板。
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