JP2020038715A - 情報提供システム及び情報提供システムの制御方法 - Google Patents

情報提供システム及び情報提供システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の医療施設などで医療情報を共有することが可能な情報処理システム及び情報処理システムの制御方法を提供する。【解決手段】情報処理システムを、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報とが紐付けられた同意者情報を記憶する同意者情報記憶部と、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と患者の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する医療情報記憶部と、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する同意者情報抽出部と、医療情報のうち、抽出した同意者情報の患者の識別情報を有する医療情報を特定する同意者情報特定部と、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する医療情報送信部とを備える構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、医療情報の情報提供システム及び情報提供システムの制御方法に関する。
日々技術的進化を遂げている質の良い医療サービスには、多くの人びとがそのサービスを享受できる仕組みが必要である。一方で医療費を含む社会保障費の増加を背景として、不必要な出費を抑える医療費抑制の動きが出てきており、品質だけでなく効率的に医療サービスを提供することの重要性が求められてきている。
そして、医療費抑制の施策としては、例えば、地域医療連携という考えに基づいて、特定の医療圏内における各種医療施設の連携による医療サービス及び医療関連サービスの提供が試みられている。
地域医療連携とは、特定の医療圏に属する医療施設がそれぞれの機能や規模といった特色について、地域医療の状況に応じて機能分担や専門化を進め、患者が継続性のある適切な医療サービスを受けられるようにするものである。
地域医療連携では、医療施設どうしだけでなく、医療施設と他の医療関連サービス提供施設、例えば臨床検査施設や調剤薬局などとの連携においても効果が期待される。医療関連サービスが臨床検査である場合を例に取ると、現在、臨床検査は、そのほとんどが地域内の中核病院や大規模な臨床検査施設において実施されている。患者が受診した診療所から依頼を受けて中核病院で臨床検査が実施される場合、あるいは、診療所や中核病院から依頼を受けて臨床検査施設で臨床検査が実施される場合など、実施の形態は様々である。
異なる医療施設どうしが連携して医療情報を共有することで、複数の医療施設を利用する患者についての医療情報、例えば臨床検査結果や投薬履歴などをそれぞれの医療施設で共有することができるため、効率的に医療サービスを提供することが可能となる。
医療情報の管理は地域医療連携を達成するためのツールの1つとして検討されているが、これには、IT(Information Technology)の持つ情報統合力を利用した各地域医療圏における医療情報を共有する共通情報基盤が求められる。
ネットワークを介した医療情報の送受信に関しては、医療施設と端末とをネットワークで接続し、医療行為に関連する情報を医療施設内の管理システムからネットワークを介して端末に送信すること(特許文献1)や、複数の医療施設の医療情報システムにおける医療情報を、ネットワークを介して一元管理する医療情報管理システム(特許文献2)や、個人情報保護手段を備えた医療情報管理システム(特許文献3)が提案されている。
特開2004−110818号公報 特開2005−165442号公報 特開2002−342492号公報
しかし、特許文献1に掲載された検査システムなどは、患者が主とする臨床検査施設以
外の委託臨床検査施設において臨床検査を受けた場合に、臨床検査結果が主臨床検査施設以外の委託臨床検査施設の臨床検査用端末から主臨床検査施設の臨床検査用端末に転送される。さらに、臨床検査結果は、医療施設の医師用端末に通知され、電子カルテシステムに転送される。すなわち、患者の臨床検査が複数の臨床検査施設によって行われる場合を考慮したものではない。
また、特許文献2では、ネットワークを介して医療情報を一元管理し、個人情報保護手段を備える医療情報管理システムについて開示されている。しかし、この方法では、データベースへのアクセス権限を医療情報を登録した医療施設に制限する形を取っており、データベースには不同意患者の医療情報までもが含まれる可能性がある。そして、新たに地域医療連携に参加した施設にはアクセス権限がないことになり、多数の医療施設間で医療情報を共有するという目的を達成しえない。
さらに、特許文献3には、複数の医療施設の医療情報システムにおける医療情報を、ネットワークを介して一元管理する医療情報管理システムについて記載されている。当該医療情報管理システムでは、複数の医療施設がそれぞれ独自に保有している患者情報が統合・管理され、データベースへのアクセス制限が行われ、個人認証に基づいて医療情報が提供される。しかし、このような医療情報管理システムでは、個人情報と医療情報とが切り分けられていない点、個人情報の開示に不同意の患者の情報を破棄していない点などから、個人情報漏洩のリスクが捨てきれない。また、医療施設が医療情報管理システムに対して情報を直接登録するため、複数の臨床検査施設において実施された臨床検査結果を一元管理することは想定されていない。したがって、このような医療情報管理システムでも、共有される医療情報量が不十分であると言わざるを得ず、利便性の高いサービスの提供は望めない。
本件開示の技術は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、医療関連サービスを提供する複数の医療施設が作成した医療情報を、個人情報を保護しつつ、多様なフォーマットで複数の医療施設に提供することができるシステムを実現することである。
一実施形態による情報提供システムは、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報とが紐付けられた同意者情報を記憶する同意者情報記憶部と、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と患者の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する医療情報記憶部と、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する同意者情報抽出部と、医療情報のうち、抽出した同意者情報の患者の識別情報を有する医療情報を特定する同意者情報特定部と、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する医療情報送信部とを備える。これにより、医療関連サービス提供施設が提供する臨床検査結果などの医療情報を複数の医療施設で共有させることが可能になる。
また、一実施形態による情報提供システムは、同意者情報記憶部に記憶される同意者情報は、患者が同意しない項目が医療施設情報及び患者の識別情報と紐付けられており、特定した医療情報から、抽出した同意者情報に含まれる患者が同意しない項目を削除する非同意項目削除部をさらに備える。さらに、一実施形態による情報提供システムは、医療情報のうち、特定した医療情報以外の医療情報を削除する医療情報削除部をさらに備える。これにより、患者が同意しない項目や非同意者情報を削除することで同意者情報の保守及び管理の信頼性を高めることができる。
そして、一実施形態による情報提供システムは、特定した医療情報のフォーマットを変換するフォーマット変換部をさらに備え、医療情報送信部は、フォーマットを変換した医療情報を送信する。また、一実施形態による情報提供システムは、前記特定した医療情報のマスターを変換するマスター変換部をさらに備え、医療情報送信部は、マスターを変換した医療情報を送信する。これにより、当該情報提供システムを利用する複数の医療施設などがそれぞれ異なるフォーマットやマスターを採用していても、医療施設側がフォーマットやマスターを変更することなく、これら医療施設間で医療情報を共有させることができる。
さらに、医療情報は、カルテ情報、レセプト情報、医学情報、予防健康情報、福祉情報、バイオバンクの生物試料に関連する情報のいずれかを含む。また、医療情報がカルテ情報であり、カルテ情報は、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録、処方箋、通院履歴のいずれかを含む。これにより、上記情報提供システムにおいて、これらの医療情報を組み合わせるアルゴリズムを設計することで、将来の疾病について予測することが可能なシステムを構築することもできる。
次いで、一実施形態による情報提供システムの制御方法は、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報とが紐付けられた同意者情報を同意者情報記憶部に記憶し、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部に、医療施設情報と患者の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶し、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出し、医療情報のうち、抽出した同意者情報に対応する患者の識別情報を有する医療情報を特定し、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する。
また、一実施形態による情報提供システムの制御方法は、同意者情報記憶部に記憶される同意者情報は、患者が同意しない項目が医療施設情報及び患者の識別情報と紐付けられており、特定した医療情報から、抽出した同意者情報に含まれる患者が同意しない項目を削除する。さらに、一実施形態による情報提供システムの制御方法は、医療情報のうち、特定した医療情報以外の医療情報を削除する。
そして、一実施形態による情報提供システムの制御方法は、特定した医療情報のフォーマットを変換し、フォーマットを変換した医療情報を送信する。また、一実施形態によるによる情報提供システムの制御方法は、特定した医療情報のマスターを変換し、マスターを変換した医療情報を送信する。
さらに、医療情報は、カルテ情報、レセプト情報、医学情報、予防健康情報、福祉情報、バイオバンクの生物試料に関連する情報のいずれかを含む。また、医療情報がカルテ情報であり、カルテ情報は、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録、処方箋、通院履歴のいずれかを含む。
また、別の実施形態による情報提供システムは、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と少なくとも患者又は医療情報提供者を含む個人の識別情報とが紐付けられた同意者情報を記憶する同意者情報記憶部と、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と個人の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する医療情報記憶部と、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する同意者情報抽出部と、医療情報のうち、抽出した同意者情報の個人の識別情報を有する医療情
報を特定する同意者情報特定部と、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する医療情報送信部とを備える。
さらに別の実施形態による情報提供システムの制御方法は、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と少なくとも患者又は医療情報提供者を含む個人の識別情報とが紐付けられた同意者情報を同意者情報記憶部に記憶し、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部に、医療施設情報と個人の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶し、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出し、医療情報のうち、抽出した同意者情報に対応する個人の識別情報を有する医療情報を特定し、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する。
そして、医療サービスを提供する複数の医療施設が作成した医療情報を共有可能にする場合にも、上記の情報提供システムまたは情報提供システムの制御方法を適用することで、個人情報を保護しつつ複数の医療施設間で医療情報を共有することができる。
上記の実施形態によれば、医療関連サービスを提供する複数の医療施設が作成した医療情報を、個人情報を保護して複数の医療施設間で共有可能にする情報提供システム及び情報提供システムの制御方法が実現される。
図1は、一実施形態における情報提供システムを有する地域医療連携の概略の構成を示す図である。 図2は、一実施形態における情報提供システムの概略のハードウェア構成を示す図である。 図3は、一実施形態において、地域医療連携サーバーが蓄積する個人情報と同意者情報の内容を表形式で示す図である。 図4は、一実施形態において、同意者情報DBに格納される同意者情報の項目の一例を示す図である。 図5は、一実施形態において、臨床検査センター用の臨床検査結果情報DBに格納される臨床検査結果の項目の一例を示す図である。 図6は、一実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図7は、一実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図8は、一実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図9は、一実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図10は、一実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図11は、一実施形態において、情報提供システム及び地域医療連携サーバーが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図12は、別の実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図13は、別の実施形態において、情報提供システムが実行する処理のフローチャートを示す図である。 図14は、別の実施形態における情報提供システムの概略のハードウェア構成を示す図である。
以下、実施形態に係る情報提供システムについて、図面を参照しながら説明する。ただし、本実施形態は情報提供システムの一例を示すものであって、以下に説明する構成に限定されるものではない。また、以下の説明において、サーバー、ネットワーク、システムなどの用語の定義に関しては、現在のコンピュータサイエンスなどの分野で広く一般的に使用されている用語と同じ意味である。
また、医療サービスとは、医師による診断や治療などを実施する行為をいう。医療施設とは、主に医療サービスを提供する施設をいい、診療所や病院などが含まれる。医療関連サービスとは、医療サービス以外の医療に関連するサービスであって、例えば、臨床検査受託、調剤薬局業務、医療機器の販売・保守点検など、医療法施行規則に挙げられるものであればよい。医療関連サービス提供施設とは、医療関連サービスを提供する施設をいい、例えば、臨床検査施設や臨床検査センターなどが含まれる。病院などの医療施設内に、臨床検査施設、例えば、臨床検査センターや共同利用施設などの医療関連サービス提供施設が存在する場合もある。
次に、医療情報とは、カルテ情報やレセプト情報、健診情報などが挙げられる。カルテ情報とは、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録などが含まれる。さらに、医療情報には、医療施設から提供される、医療施設情報、臨床検査や診断、治療の方法そのものに加えてそのメリットやデメリットが記載された医学情報や、予防接種、感染症の流行状況、食中毒の予防法、といった予防情報や健康情報、退院後の在宅看護や介護情報、経済的あるいは心理的サポートなど、治療以外のアフターケアについての福祉情報が含まれ、医療関連サービス施設から提供される各種情報も含まれる。本実施形態により、複数の医療施設間で、例えば、上記の臨床検査結果、処方箋、カルテ内容や通院歴などの医療情報を簡便にかつ個人情報漏洩のリスク無く共有することが可能となる。
そして、個人情報とは、特定の個人を識別することができる情報であって、例えば、個人情報の保護に関する法律により定義される情報が含まれる。また、複数の情報の組み合わせにより、その個人を特定し得る情報も個人情報に含まれる。例えば、氏名、性別、生年月日、住所、住民票コード、保険証番号、携帯電話の番号、勤務場所、職業、年収、家族構成、写真、指紋、静脈パターン、虹彩、DNAの塩基配列などの生体情報、コンピュータのIPアドレスやリモートホストに関する情報などが挙げられる。指紋、静脈パターン、虹彩、DNAの塩基配列などの生体情報については、個人情報として扱われる場合があるが、本実施形態においては、これらは医療情報にも含まれる情報とする。
本実施形態において、地域医療連携とは、異なる複数の医療施設を利用する患者について提供される医療サービスや医療関連サービスに伴う医療情報を共有することをさし、例えば、厚生労働省が指定する、一次から三次の各医療圏内の医療施設どうしと医療関連サービス提供施設どうしとが連携し合い、医療サービスや医療関連サービスを提供することなどが含まれる。
また、同意者とは、医療サービスあるいは医療関連サービスを受ける際に、受けるサービスの方針について十分な説明を受けた上で、正しく理解し、納得し、賛成した患者をいう。同意者の同意の内容は、取得する同意の種類によって異なる。例えば、当該サービスを提供する医療施設が属する医療圏における地域医療連携への参加への同意、複数の医療施設における医療情報共有への同意、個人情報が切り離された形での医療情報の二次活用(コホート研究など)への同意が含まれる。同意の種類は、患者によるサービスの利用形態に応じて適宜選択される。例えば、個々の患者は、共有される医療情報の内容について
、全てについて同意することもできるし、一部についてのみ同意することもできる。例えば、患者は、医療情報のうちカルテ情報、投薬履歴、臨床検査結果の特定の項目についてのみ共有に同意するなど、医療サービスあるいは医療関連サービスの提供の形態に応じて、同意の内容を適宜選択することができる。
本実施形態では、同意者情報は、医療施設ごとに割り振られた番号、各医療施設が患者に対して割り振った番号を含み、必要に応じて医療施設が属する一次から三次の医療圏の番号を付加することができる。また、同意した医療情報の内容について番号をつけて付加することもできる。特に、一部の項目についてのみ同意する患者の場合には同意した医療情報の項目についての情報を付加することができる。
以下の説明では、医療情報が臨床検査結果である場合の臨床検査結果の共有について説明する。ただし、これは一例であって、本実施形態の範囲はこれに限定されるものではない。
図1は、本実施形態において、情報提供システム10を有する地域医療連携の概略の構成を示す図である。図1に示すように、情報提供システム10は、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワークNを経由して病院A100や病院B200のサーバー(図示せず)と接続する。当該サーバーは、各病院で医療サービスを受ける患者に関する個人情報や医療情報などを管理及び処理する。また、情報提供システム10は、ネットワークNを経由して地域医療連携サーバー300、400とも接続する。さらに、情報提供システム10は、ネットワーク(図示せず)を経由して臨床検査センターA500、臨床検査センターB600、臨床検査センターC700とそれぞれ接続されている。なお、図1は本実施形態の一例を示すものであり、病院、臨床検査センター、地域医療連携サーバーの数はこれに限れられない。なお、病院A100、病院B200が、医療施設の一例に相当する。また、臨床検査センターA500、臨床検査センターB600、臨床検査センターC700が、医療関連サービス提供施設の一例に相当する。そして、地域医療連携サーバー300、400が、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置の一例に相当する。なお、病院A100、病院B200、臨床検査センターA500、臨床検査センターB600、臨床検査センターC700内の各端末が以下の処理を行うが、以下の説明においては、病院A100、病院B200、臨床検査センターA500、臨床検査センターB600、臨床検査センターC700に代表させて説明及び図示する。 更に、ウイルスなどに対するセキュリティ対策として中継サーバーを設置してもよい。
図2は、本実施形態における情報提供システム10のハードウェア構成を示す概略構成図である。図2に示すように、情報提供システム10は、同意者情報処理サーバー800及び医療関連サービス情報処理サーバー900を備える。同意者情報処理サーバー800は、CPU800a、メモリ800b、HDD(Hard Disk Drive)800c、NIC(Network Interface Card)800dを有する。さらに、同意者情報処理サーバー800は
、同意者情報DB(Database)800e、マスターDB800f、変換DB800gを備える。なお、同意者情報DBが、同意者情報記憶部の一例に相当する。また、同意者情報処理サーバー800が、同意者情報抽出部、フォーマット変換部、マスター変換部の一例に相当する。また、医療関連サービス情報処理サーバー900が、同意者情報特定部、非同意項目削除部、医療情報削除部の一例に相当する。また、情報提供システム10が、医療情報送信部の一例に相当する。
また、医療関連サービス情報処理サーバー900は、CPU900a、メモリ900b、HDD900c、NIC900dを有する。さらに、医療関連サービス情報処理サーバー900は、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900g
を備える。なお臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gが、医療情報記憶部の一例に相当する。
同意者情報処理サーバー800では、CPU800aが、HDD800cに格納された各種アプリケーションソフトウェアをメモリ800bに展開し、同意者情報DB800e、マスターDB800f、変換DB800gに格納された各種情報を用いて、同意者情報の更新や同意者情報のフォーマット変換などの種々の処理を実行する。また、同意者情報処理サーバー800は、NIC800dによって医療関連サービス情報処理サーバー900や臨床検査センターA500、B600、C700やネットワークNに対する通信を行う。
また、医療関連サービス情報処理サーバー900では、CPU900aが、HDD900cに格納された各種アプリケーションソフトウェアをメモリ900bに展開し、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gに格納された各種情報を用いて、病院などの医療施設コードの抽出や送信、非同意者情報の削除など、種々の処理を実行する。上記の各種処理の詳細については後述する。
本実施形態においては、あらかじめ、病院A100、病院B200において、医師が個々の患者から、地域医療連携のために個人情報や医療情報を他の医療施設と共有することについての同意を得る。また、医師は各患者から情報提供システム10の利用についての同意も得る。そして、病院A100、病院B200は、同意者の個人情報と医療情報との切り離しを行い、個人情報と医療情報とが紐付けされない状態にする。本実施形態では、病院A100、病院B200は、地域医療連携に参加し、地域医療連携サーバー300へのアクセス権限を有する。次に、病院A100、病院B200は、切り離された個人情報と、同意者の同意した項目を含む同意者情報とを、病院A100、病院B200内のそれぞれのサーバーからネットワークNを経由して地域医療連携サーバー300に送信する。地域医療連携サーバー300には、病院A100と病院B200が所属する地域医療圏における地域医療連携に同意した患者の同意者情報が蓄積される。
図3に、地域医療連携サーバー300、400が蓄積する個人情報と同意者情報の内容を表形式で示す。図3に示すように、これらの情報は、患者基本情報、文書、処置・投薬履歴、病名、検体検査結果、画像検査結果、経過表、地域連携パスに分類されている。患者基本情報は、患者個人を特定するための情報である。文書は、患者が過去に受けた医療サービスの詳細情報である。処置・投薬履歴は、患者が医療サービスにおいて受けた処方薬や担当医などに関する情報である。病名は、患者の疾患に関する情報である。検体検査結果は、患者が受けた検体検査に関する情報である。画像検査結果は、患者がMRI(Magnetic Resonance Imaging)や内視鏡検査などを受けた際に作成された画像や医師の所見などに関する情報である。経過表は、患者が受けた手術などの経過情報である。地域連携パスは、いわゆる地域連携クリティカルパスであり、患者が、発症した「急性期」から集中的なリハビリなどを行う「回復期」、生活機能維持のためのリハビリをする「維持期」まで、切れ目のない治療を受けるための診療計画表に関する情報である。そして、これらの各分類の下位に、各分類の詳細情報としての1次情報や2次情報が格納されている。これらの詳細情報については、説明を省略する。これらの開示及び共有について同意した患者の同意者情報が蓄積される。
情報提供システム10の同意者情報処理サーバー800は、定期的に地域医療連携サーバー300、400に接続し、地域医療連携サーバー300、400に蓄積された同意者情報の中から、新たに追加された同意者情報を取得して、同意者情報処理サーバー800
の同意者情報DB800eに格納されている同意者情報を更新する。なお、同意者情報処理サーバー800は、同意者情報データの差分を取るなど、周知の技術を用いて、地域医療連携サーバー300、400に新たに追加された同意者情報を特定する。あるいは、地域医療連携サーバー300、400が、定期的に同意者情報処理サーバー800に同意者情報を送信する構成としてもよい。
図4に、本実施形態において、図3に示した同意者情報の他に同意者情報DB800eに格納される同意者情報の項目の一例を示す。したがって、同意者情報DB800eには、広域ID、地域医療連携サーバーコード、地域医療連携ID、医療施設コード、医療施設患者ID、同意臨床検査項目も含まれる。各同意者情報は、広域ID、地域医療連携サーバーコード、地域医療連携ID、医療施設コード、医療施設患者ID、同意臨床検査項目が一組として互いに紐付けられている。広域IDは、各都道府県内や地域医療圏内において個々の患者を識別可能な識別情報である。広域IDの一例としては、保険者番号などが挙げられる。地域医療連携サーバーコードは、地域医療連携サーバーに割り振られた識別情報である。地域医療連携IDは、地域医療連携サーバー300、400が、個々の患者を識別可能に割り振る独自の識別情報である。医療施設コードは、各医療施設、本実施形態においては病院A100と病院B200に割り振られた一意の識別情報である。医療施設患者IDは、本実施形態においては病院A100や病院B200がそれぞれ独自に、医療サービスを受ける患者を識別可能に割り振る識別情報である。同意臨床検査項目は、患者の同意者情報の詳細を示す情報である。本実施形態においては、図3に示す同意者情報のうち、患者が同意した情報が同意臨床検査項目として登録され、患者が同意しない情報は同意臨床検査項目から除外される。
ここで、地域医療連携に参加している医療施設である病院A100や病院B200は、病院A100や病院B200が所属する地域医療圏内の医療関連サービス提供者である臨床検査センターA500、B600、C700に臨床検査を委託する。そして、当該病院A100や病院B200は、臨床検査センターA500、B600、C700が実施した臨床検査の結果の報告を受ける。本実施形態では、病院A100、病院B200は、医療サービスを受ける患者に対して、個々の患者を識別可能な識別番号などをそれぞれ割り振る。そこで、病院A100、病院B200は、臨床検査の委託先の臨床検査センターA500、B600、C700に、患者の識別番号なども送信する。
一方、臨床検査センターA500、B600、C700は、臨床検査結果を情報提供システム10内の医療関連サービス情報処理サーバー900に送信する。このとき、臨床検査センターA500、B600、C700は、臨床検査対象の患者に関する同意者情報を持ち合わせていない。そこで、臨床検査センターA500、B600、C700は、一律にすべての臨床検査結果を送信する。本実施形態においては、医療関連サービス情報処理サーバー900が臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gを備える。臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gは、臨床検査センターA500、B600、C700にそれぞれ割り当てられた臨床検査結果の格納用のデータベースである。
臨床検査センターA500、B600、C700は、は全ての臨床検査結果を情報提供システム10に設置された医療関連サービス情報処理サーバー900に送信するが、このとき各臨床検査センターは医療関連サービス情報処理サーバー900内で、臨床検査センターごとに割り当てられた臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gに臨床検査結果を送信する。これにより、各臨床検査センターは他の臨床検
査センターの臨床検査結果を取得し閲覧することができない、臨床検査センターごとのセキュリティが保証された状態となる。したがって、情報提供システム10により、臨床検査結果の情報漏洩リスク、コンタミリスクを回避することができる。
図5に、本実施形態において、臨床検査センターA用臨床検査結果DB900eに格納される臨床検査結果の項目の一例を示す。図5に示すように、臨床検査結果には、医療施設コード、医療施設患者ID、臨床検査内容が含まれる。各臨床検査結果は、医療施設コード、医療施設患者ID、臨床検査内容が一組として互いに紐付けられている。医療施設コード及び医療施設患者IDは、それぞれ図4に示す情報と同じであるため説明を省略する。また、臨床検査内容は、臨床検査センターA500が病院A100や病院B200から委託された臨床検査などの詳細情報や臨床検査結果などに関する情報である。なお、臨床検査センターB用臨床検査結果DB900f及び臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gに格納される臨床検査結果の項目も同じであるため、説明は省略する。
次に、地域医療連携サーバー300、400に蓄積された同意者情報と、情報提供システム10の医療関連サービス情報処理サーバー900の各臨床検査センター用に設けられた臨床検査結果情報DB、すなわち臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900e、臨床検査センターB用臨床検査結果情報DB900f、臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gに蓄積された臨床検査結果とを照合して、患者が同意者であるか否かを判定する処理について説明する。
図6に、情報提供システム10における同意者情報の処理のフローチャートを示す。なお、以下の説明では、フローチャートの各ステップをSと略記する。本実施形態では、臨床検査センターA500、B600、C700のいずれかが医療関連サービス情報処理サーバー900にアクセスしてログイン処理が完了すると、図6に示すフローチャートが開始される。ここでは、一例として、病院A100が臨床検査センターA500に臨床検査を委託し、臨床検査センターA500が当該臨床検査を完了した後、臨床検査センターA500が医療関連サービス情報処理サーバー900へのログイン処理を行った場合について説明する。以下のフローチャートの説明でも同様とする。
まず、S101では、臨床検査センターA500からの臨床検査結果データが臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eにアップロードされる。当該臨床検査結果データには、臨床検査センターA500が病院A100から受信した、医療施設コードのデータも含まれる。すなわち、本実施形態では、医療施設コードは病院A100を示す識別情報である。臨床検査センターA500が、当該臨床検査結果データのアップロードが完了すると、処理はS102に進む。S102では、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eにアップロードされた臨床検査結果から医療施設コードが抽出される。次いで、処理はS103に進む。
S103では、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eから抽出された医療施設コードに基づく同意者情報DB800eへの問合せ処理のため、医療施設コードが同意者情報処理サーバー800に送信される。S104では、同意者情報処理サーバー800が、受信した医療施設コードを同意者情報DBに格納されている同意者情報と照会する。これにより、同意者情報処理サーバー800は、医療施設コードに紐付けられている医療施設患者IDが存在するか否かを確認する。
そして、同意者情報処理サーバー800は、該当する医療施設患者IDが存在する場合(S104:Yes)、S105において、その医療施設患者IDに紐付けられている地域医療連携サーバーコード、地域医療連携ID、医療施設コード、医療施設患者ID、同意臨床検査項目を抽出して各臨床検査センター用臨床検査結果情報DBに送信する。一方
、同意者情報処理サーバー800は、該当する医療施設患者IDが存在しない場合(S104:No)、S106において、同意者情報DB800eには該当する同意者が存在しない旨を医療関連サービス情報処理サーバー900に通知する。S105又はS106の処理が完了すると、図6に示すフローチャートの処理は終了する。なお、臨床検査センターB用臨床検査結果DB900f及び臨床検査センターC用臨床検査結果情報DB900gに格納される臨床検査結果が使用される場合についても同じであるため、説明は省略する。
次に、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、上記の処理によって同意者情報処理サーバー800から受信した同意者情報に基づいて、臨床検査センターA500から受信した臨床検査結果のうち同意者に該当する患者の臨床検査結果と非同意者に該当する患者の臨床検査結果とを選別する。図7に、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eにおける、同意者及び非同意者の選別処理に関するフローチャートを示す。本実施形態では、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eが、同意者情報処理サーバー800から上記の同意者情報の抽出結果を受信した、すなわちS105においてデータを取得したかあるいはS106において同意者が存在しない旨の通知を受信したときに、本フローチャートが開始される。
本フローチャートの開始後、S201では、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、同意者情報処理サーバー800から受信した同意者情報について、S103において同意者情報処理サーバー800に送信した医療施設コードに紐付けられている医療施設患者IDが存在するか否かを判定する。当該医療施設患者IDが存在する場合(S201:Yes)は、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、処理をS202に進める。S202では、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eに格納されている臨床検査結果のうち、S201において存在すると判定された医療施設患者IDを有する臨床検査結果を、同意者に該当する臨床検査結果であると決定し、当該臨床検査結果を保持する。ここで、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、同意者に該当する臨床検査結果のうち、S105において同意者情報処理サーバー800から受信した同意臨床検査項目に該当する情報を保持する。そして、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、臨床検査結果のうち同意臨床検査項目に該当しない情報を削除する。
さらに、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eに格納されている臨床検査結果のうち、S201において存在すると判定された医療施設患者ID以外の医療施設患者IDを有する臨床検査結果を、非同意者に該当する臨床検査結果であると決定し、当該臨床検査結果を削除する。
一方、S201において、医療施設コードに紐付けられている医療施設患者IDが存在しない場合(S201:No)は、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは本フローチャートを終了する。また、臨床検査センターA用臨床検査結果情報DB900eは、S202の処理が完了した場合も本フローチャートを終了する。
医療関連サービス情報処理サーバー900は、図7の処理を行うことにより、病院A100による委託に基づいて臨床検査センターA500が実施した臨床検査の臨床検査結果について、同意者についての臨床検査結果とそれ以外、すなわち非同意者の臨床検査結果を選別することができる。そして、医療関連サービス情報処理サーバー900は、上記の処理により選別された同意者の臨床検査結果を地域医療連携サーバー300に送信する。これにより、地域医療連携サーバー300は、同意者の臨床検査結果を病院A100と病院B200とで共有させることができる。格納された臨床検査結果は、必要に応じて、以下に記すようなマスターやフォーマットの変換を行ってもよい。マスターのみ、フォーマ
ットのみの変換であってもよいし、マスターとフォーマットそれぞれの変換を行ってもよい。
また、本実施形態では、上記の処理によって地域医療連携サーバー300に格納された同意者の臨床検査結果を、別の地域医療連携サーバー400と共有させることもできる。ところで、医療施設や医療関連サービス提供施設などは、医療情報の標準化の一環として、医療関連の用語や医薬品や病名などのコードを分野別に体系化したいわゆるマスターに従って種々の情報を管理している。ただし、マスターは複数存在し、本実施形態では、地域医療連携サーバー300、400は、それぞれ異なるマスターを採用しているとする。また、地域医療連携サーバー300、400が情報データを医療施設や医療関連サービス提供施設などに提供する際に使用する書式、すなわち電子カルテのフォーマットもそれぞれ異なる。
そこで、本実施形態では、情報提供システム10によって、地域医療連携サーバー300、400が採用するマスターやフォーマットが異なる場合でも臨床検査結果を共有できるようになる。図8〜10を参照しながら、情報提供システム10における、臨床検査結果の情報の変換処理について説明する。本実施形態において、同意者情報処理サーバー800の変換DB800gに、情報提供システム10が種々の情報を提供する医療施設や医療関連サービス提供施設などが採用する種々のフォーマットが格納されている。変換DB800gは、各医療施設や各医療関連サービス提供施設などと採用されているフォーマットとを紐付けて管理する。また、同意者情報処理サーバー800のマスターDB800fに、情報提供システム10が種々の情報を提供する医療施設や医療関連サービス提供施設などが採用する種々のマスターが格納されている。マスターDB800fは、各医療施設や各医療関連サービス提供施設などと採用されているマスターとを紐付けて管理する。
図8に、本実施形態において、情報提供システム10が臨床検査結果のデータの変換に関する設定を行う際のフローチャートを示す。なお、本実施形態において、臨床検査結果を含む医療情報の変換とは、マスターコードや報告形式についての書式の統一をマスター変換、医療施設や医療関連サービス提供施設ごとに使用されているフォーマットから複数の施設においてデータを共有することのできるフォーマットへの変換をフォーマット変換という。
S301では、医療関連サービス情報処理サーバー900が、臨床検査結果の送付先、ここでは地域医療連携サーバー400が採用するフォーマットを含む臨床検査結果のデータの編集方法について、変換DB800gに問い合わせる。S302では、変換DB800gは、医療関連サービス情報処理サーバー900からデータ編集方法の問合せを受けると、地域医療連携サーバー400において採用されているフォーマットなどを確認する。
変換DB800gは、当該フォーマットなどが存在する、すなわち地域医療連携サーバー400が要求するデータへの編集方法に対応することが可能であることを確認した場合(S302:Yes)、確認したフォーマットなどの情報を医療関連サービス情報処理サーバー900に送信する。そして、S303において、医療関連サービス情報処理サーバー900は、変換DB800gから受信したフォーマットなどの情報に基づいてデータの編集方法を設定する。
一方、変換DB800gは、上記フォーマットなどが存在しない、すなわち地域医療連携サーバー400が要求するデータへの編集方法に対応することができないことを確認した場合(S302:No)、S304において、変換DB800gは、該当するデータの編集方法が存在しないことを医療関連サービス情報処理サーバー900に通知する。S303又はS304の処理が完了すると、本フローチャートは終了する。
次に、図9を参照しながら、情報提供システム10が、臨床検査結果のデータのマスター変換に関する設定を行う際のフローチャートを示す。本実施形態S401では、医療関連サービス情報処理サーバー900が、臨床検査結果が準拠するマスターと、臨床検査結果の送付先、ここでは地域医療連携サーバー400が採用するマスターとの紐付けに関する情報について、マスターDB800fに問い合わせる。すなわち、この紐付け情報を確認することにより、医療関連サービス情報処理サーバー900は、臨床検査結果の送信元が採用するマスターを臨床検査結果の送信先が採用するマスターに変換することができる。
S402では、マスターDB800fは、医療関連サービス情報処理サーバー900からマスターの紐付け情報の問合せを受けると、変換対象の臨床検査結果の送信元が採用するマスターと、臨床検査結果の送信先が採用するマスターとの紐付け情報が存在するか否かを確認する。
マスターDB800fは、当該マスターの紐付け情報が存在することを確認した場合(S402:Yes)、確認したマスターの紐付け情報を医療関連サービス情報処理サーバー900に送信する。そして、S403において、医療関連サービス情報処理サーバー900は、マスターDB800fから受信したマスターの紐付け情報を臨床検査結果の変換に使用するよう設定する。
一方、マスターDB800fは、上記マスターの紐付け情報が存在しないことを確認した場合(S402:No)、S404において、マスターDB800fは、該当するマスターの紐付け情報が存在しないことを医療関連サービス情報処理サーバー900に通知する。S403又はS404の処理が完了すると、本フローチャートは終了する。
なお、上記の図8、9に示す処理は、いずれが先に実行されてもよく、あるいは並列に実行されてもよい。図8、9に示す処理が完了した後、情報提供システム10は図10に示すフローチャートの処理を開始する。また、マスター変換、フォーマット変換は同意者情報処理サーバー800で実行されてもよいし、サーバー900で実行されてもよい。医療関連サービス情報処理サーバー900で実行される場合には、同意者情報処理サーバー800内のマスターDB800fや変換DB800gに編集方法を問合せ、その結果医療関連サービス情報処理サーバー900に通知された方法に従って医療関連サービス情報処理サーバー900において変換が実行される。図10は、本実施形態において、情報提供システム10の医療関連サービス情報処理サーバー900において、臨床検査結果の変換処理をフォーマット変換の後にマスター変換を行う場合を例にフローチャートに示す。
S501では、医療関連サービス情報処理サーバー900は、図8に示すフローチャートの処理によって設定されたフォーマットなどのデータの編集方法を有効にする。次いで、処理はS502に進む。S502では、医療関連サービス情報処理サーバー900は、図9に示すフローチャートの処理によって設定されたマスターの紐付け情報を有効にする。次いで、処理はS503に進む。S503では、医療関連サービス情報処理サーバー900は、有効にされたフォーマットなどやマスターの情報に従って、臨床検査結果を変換する。その結果、S504において、医療関連サービス情報処理サーバー900は変換後の臨床検査結果を得る。これにより、変換後の臨床検査結果は、ここでは地域医療連携サーバー400が採用するフォーマットなどやマスターに準拠した臨床検査結果となる。したがって、情報提供システム10により、地域医療連携サーバー400は、フォーマットやマスターなどが異なる臨床検査結果も病院A100や病院B200に提供することができる。
図11に、本実施形態において、情報提供システム10が、地域医療連携サーバー300、400に変換した臨床検査結果を送信する際のフローチャートを示す。ここでは、上記の通り地域医療連携サーバー400用に変換した臨床検査結果を地域医療連携サーバー400に送信する場合について説明する。本実施形態では、医療関連サービス情報処理サーバー900が図10に示すフローチャートの処理によって変換後の臨床検査結果のデータを生成したときに、情報提供システム10は図11に示すフローチャートの処理を開始する。
S601では、医療関連サービス情報処理サーバー900は、同意者情報処理サーバー800に変換後の臨床検査結果のデータを送信する。これにより、S602において、同意者情報処理サーバー800は当該変換データを受信する。次いで、同意者情報処理サーバー800は処理をS603に進める。S603では、同意者情報処理サーバー800は、地域医療連携サーバー400にS602において受信した変換データを送信する。これにより、S604において、地域医療連携サーバー400は当該変換データを受信する。
以下、上記の実施形態によって得られる利点について説明する。上記の通り、異なる複数の医療施設において医療情報を共有できるシステムを構築して運営していく際にはいくつかの大きな課題が存在する。
まず、個人情報管理の問題すなわち漏洩リスクが挙げられる。個人情報は、法に基づいた管理が求められており、臨床検査施設をはじめとした医療関連サービス提供施設でも委託を受けて実施した医療情報に含まれる個人情報の厳重な管理が求められる。
地域医療連携に象徴されるように、医療サービス及び医療関連サービスの提供は、現在のような一医療施設内において全ての医療サービス、医療関連サービスを完結させる一施設完結型から、今後は複数の医療施設、複数の医療関連サービス施設を利用して補う形で分担しあう、分散型が増加することが考えられる。したがって、一人の患者が複数の医療施設を利用するケースは今後さらに増加し、個人情報の管理についてもその重要性はさらに増していくと考えられる。
医療サービスの提供、医療関連サービスの提供及び医療情報の共有に際しては、主に個々の医療施設がそれぞれ個別に同意を取得する作業を行うが、取得する同意の種類も、当該医療施設が属する医療圏における地域医療連携への参加への同意、複数の医療施設におけるデータ共有への同意、個人情報が切り離された形のデータの二次活用(コホート研究など)への同意、と様々である。さらに、同意内容は、医療情報に含まれるカルテ情報、投薬履歴、臨床検査結果の各項目についても、特定の項目のみ共有することに同意する場合もあるなど一律の内容ではないため、同意者情報は増加するだけでなくその内容は今後さらに複雑化していくことが考えられる。
医療圏を統括する医師会、医療施設、医療関連サービス提供者は、それぞれが所有及び管理できる情報に制約がある。医療施設では自施設の患者に関する情報しか把握することができず、医療圏を統括する医師会では誰が同意者であるかという情報しか保有していいない。医療関連サービス提供事業者においても、例えば臨床検査会社では、他施設の臨床検査結果については把握することができないし、委託を受けて行った臨床検査については患者の氏名などの患者識別情報と臨床検査結果については把握しているものの、どの患者が医療情報の共有に同意をした患者であるのかを知ることができない。
次に、電子化された医療情報のフォーマットの違いが存在する。医療施設側では、マスターと呼ばれる基礎情報となるデータについて、診療報酬請求用や電子カルテ用といったようにそれぞれ独自にコードを設定している。一方で、医療関連サービス提供施設側でも
施設ごとに、名称やコードを振り分けており、例えば臨床検査施設では臨床検査項目名称やコード、報告形式がそれぞれ施設ごとに異なる。
これに加えて、各医療施設で採用されているシステムの違いや個々の要望に応じて電子カルテが仕様変更されて設計されているなど、対応可能な形式が制限される場合がある。医療関連サービス提供施設と医療施設とが一対一の関係である場合にデータをフォーマット変換することは対応可能でも、複数の医療施設と複数の医療関連サービス施設とが医療情報を共有して利用する場合には、フォーマットを統一することは容易ではない。
このようなフォーマットの違いについては、厚生労働省の主導による医療用語やコード標準化の動きはあるものの、全国には10万を超える数の医療施設が存在し、膨大な種類のフォーマットに対応するように一対一の関係で関連付けをしていく作業は困難である。また、1つのコードを変更した場合には、当該コードのみならずシステム全体を見直す必要が生じることが多くあるなど、システムの管理・運営の観点から見ると、その実現には膨大な労力と費用を必要とするために容易には進まず、現在でも完全に統一されるには至っていない。
したがって、中長期的な視点で安定的でかつ効率のよい医療供給体制を確立するためには、マスター管理についての標準化作業を進めるとともに、既存の医療施設において利用されているシステムをそのまま使用できるシステムを迅速に構築することが、患者にとってはもちろん医療施設、医療関連サービス提供施設にとっても有用である。それにより患者にとっては利便性が向上するのでより多くの良質な医療サービスを享受できるようになり、医療施設、医療関連サービス提供施設にとっては医療技術や機器の進歩による医療の高度化・複雑化に対応できる高い専門性に対応することができる、というメリットがある。
上記の実施形態により、複数の医療関連サービス提供施設が送信したデータを複数の医療施設などで共有することが容易になる。このような統合システムに医療施設や医療関連サービス提供施設が参加することが容易となれば、さらに多くの医療施設や医療関連サービス提供施設が連携したシステムを構築しやすくなる。
また、上記の実施形態によって、医療施設を跨いで統合された患者情報を、該当患者個人が一括して参照するといった利用も可能となるため、患者の利便性向上につながる。つまり、複数の医療施設がそれぞれ独自に保有している患者情報を統合・管理し、個人認証に基づく医療情報の提供が可能となる。
さらに、患者にとってはもちろん、医療施設や医療関連サービス提供施設にとっても有用である。すなわち、医療施設や医療関連サービス提供施設にとっては、より効率よく医療情報を共有することで、医療技術や機器の進歩による医療の高度化・複雑化に対応できる高い専門性に対応することができる。結果として、効率よく良質な医療サービスを享受することができるようになる。
そして、上記の実施形態により、遠隔地や離島などの地域においては、複数の医療施設が連携して医療情報を共有することが可能となり、遠隔地医療サービスの提供を促進することも期待できる。
以上が本実施形態に関する説明であるが、上記の情報提供システムなどの構成や処理は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想と同一性を失わない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記の説明では、病院などの医療施設から送信された患者情報を地域医療連携サーバーが蓄積する構成としているが、地域医療連
携サーバーの代わりに情報処理システムが患者情報を受信してDBなどに蓄積する構成としてもよい。これにより、情報処理システムが上記の同意者情報の選別処理や変換処理などのみならず患者の個人情報や医療情報の保守や管理も一括して担うことができる。さらに、地域医療連携サーバーの代わりあるいはこれに加えてコホート研究用のサーバーを設け、上記の構成及び処理によって、コホート研究においても同意者情報を共有することもできる。
また、上記の説明では、臨床検査センターからの臨床検査結果を共有対象として説明したが、共有対象とする医療情報はこれに限られない。例えば、医療情報は、カルテ情報、レセプト情報、診療情報、医学情報、予防情報、健康情報、福祉情報のいずれかを含む構成としてもよい。さらに、医療情報がカルテ情報である場合、医療情報は、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録、処方箋、通院履歴のいずれかを含む構成としてもよい。そして、医療関連サービスが、臨床検査受託、調剤薬局業務、医療機器の販売・保守点検など、医療法施行規則に挙げられているものに該当する場合に、当該医療関連サービス提供施設から送信される情報を共有対象としてもよい。これにより、上記の実施形態の構成を、種々の医療サービスや医療関連サービスにおける医療情報の共有に対応させることができる。例えばカルテ情報、診療情報、医学情報、予防情報、健康情報、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果などを組み合わせるアルゴリズムを設計することで、将来の疾病について予測することが可能なシステムを構築することもできる。
また、上記の説明では、臨床検査結果を複数の医療施設で共有する場合を例として、地域医療圏における地域医療連携を効果的に運営するためのシステムを取り上げたが、さらに以下のような実施形態における利用が可能である。なお、以下の説明において、上記の実施形態と同じ構成については同じ符号を用いて説明する。
例えば、別の実施形態としては、患者が異なる医療圏内の医療施設を利用した場合に、医療圏を跨いで医療情報を共有するケースを想定する。移動手段の発達した現代社会においては、居住地のある医療圏のみならず、他の医療圏内の医療施設を利用する可能性が十分に考えられる。この場合、それぞれ異なる医療圏にある複数の医療施設間で医療情報を共有することで効率的に医療サービス及び医療関連サービスが提供できることは、患者の医療施設へのフリーアクセスの観点からも好ましい。例えば、自宅付近の医療圏と勤務地の医療圏とが異なる医療圏である場合など、上記の実施形態の構成を利用することで、異なる地域医療圏どうし、つまり、医師会などが運営している各地域医療圏内の地域医療連携サーバーどうしが上記の実施形態の情報提供システムを介して医療情報を共有することができる。
その場合には、例えば、これら地域医療連携サーバーに接続可能な広域連携用としてサーバーを設け、この広域連携用サーバーが各地域医療連携サーバーと情報提供システムとの中継を行う構成としてもよい。もちろん、情報提供システムがこの中継を担う構成としてもよい。例えば、地域医療連携サーバー300、400が情報提供システム10に医療情報を介して広域連携用サーバーに医療情報を送信し、地域医療連携サーバー300、400間で医療情報を共有する場合などが想定される。
図12、13に、本実施形態における情報処理システム10が実行する処理のフローチャートを示す。本実施形態では、臨床検査センターA500が情報提供システム10に送信した臨床検査結果が地域医療連携サーバーで共有され、更に広域医療連携サーバーで共有される場合を想定する。ここで、検査センターA用検査結果情報DBには、地域医療連携サーバーからも臨床検査結果が送信されるものとする。また、臨床検査結果には、地域医療連携サーバーコード、地域医療連携ID及び広域IDも含まれる。
図14は、本実施形態における情報提供システム10のハードウェア構成を示す概略構成図である。図2に示す構成要素と同じものについては同じ符号を付し、説明を省略する。図14に示すように、医療関連サービス情報処理サーバー900は、地域医療連携サーバー300がアクセス可能な地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hと地域医療連携サーバー400がアクセス可能な地域医療連携サーバー400用臨床検査結果情報DB900iを備える。
まず、図12に示すS701では、地域医療連携サーバー300からの臨床検査結果データが地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hにアップロードされる。地域医療連携サーバー300が、当該臨床検査結果データのアップロードが完了すると、処理はS702に進む。S702では、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hにアップロードされた臨床検査結果から地域医療連携サーバーコードが抽出される。次いで、処理はS703に進む。
S703では、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hから抽出された地域医療連携サーバーコードに基づく同意者情報DB800eへの問合せ処理のため、地域医療連携サーバーコードが同意者情報処理サーバー800に送信される。S704では、同意者情報処理サーバー800が、受信した地域医療連携サーバーコードを同意者情報DBに格納されている同意者情報と照会する。これにより、同意者情報処理サーバー800は、地域医療連携サーバーコードに紐付けられている広域IDが存在するか否かを確認する。
そして、同意者情報処理サーバー800は、該当する広域IDが存在する場合(S704:Yes)、S705において、その広域IDに紐付けられている地域医療連携サーバーコード、地域医療連携ID、医療施設コード、医療施設患者ID、同意臨床検査項目を抽出して各地域医療連携サーバー用臨床検査結果情報DBに送信する。一方、同意者情報処理サーバー800は、該当する広域IDが存在しない場合(S704:No)、S706において、同意者情報DB800eには該当する広域IDが存在しない旨を地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hに通知する。S705又はS706の処理が完了すると、図12に示すフローチャートの処理は終了する。
次に、図13に、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hにおける、同意者及び非同意者の選別処理に関するフローチャートを示す。本実施形態では、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hが、同意者情報処理サーバー800から上記の同意者情報の抽出結果を受信した、すなわちS705においてデータを取得したかあるいはS706において広域IDが存在しない旨の通知を受信したときに、本フローチャートが開始される。
本フローチャートの開始後、S801では、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、同意者情報処理サーバー800から受信した同意者情報について、S703において同意者情報処理サーバー800に送信した地域医療連携サーバーコードに紐付けられている広域IDが存在するか否かを判定する。当該広域IDが存在する場合(S801:Yes)は、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、処理をS802に進める。S802では、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hに格納されている臨床検査結果のうち、S801において存在すると判定された広域IDを有する臨床検査結果を、同意者に該当する臨床検査結果であると決定し、当該臨床検査結果を保持する。ここで、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、同意者に該当する臨床検査結果のうち、S705において同意者情報処理サーバー800から受信した同意臨床検査項目に該当する情報を保持する。そして、地域医療連携サ
ーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、臨床検査結果のうち同意臨床検査項目に該当しない情報を削除する。
さらに、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hに格納されている臨床検査結果のうち、S801において存在すると判定された広域ID以外の広域IDを有する臨床検査結果を、非同意者に該当する臨床検査結果であると決定し、当該臨床検査結果を削除する。
一方、S801において、医療施設コードに紐付けられている広域IDが存在しない場合(S801:No)は、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは本フローチャートを終了する。また、地域医療連携サーバー300用臨床検査結果情報DB900hは、S802の処理が完了した場合も本フローチャートを終了する。
なお、上記のほか、本実施形態の構成や処理については、上記の地域医療連携サーバー300がある医療圏内に所属し、地域医療連携サーバー400が別の医療圏に所属する点以外は図1〜図11に示す実施形態の具体的な構成や処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
このような実施形態においては、遠隔医療における利用も可能となる。ここでの遠隔医療とは医師と患者が距離を隔てたところでインターネットなどの通信技術を用いて診療を行う行為をいう。遠隔医療は、さらに遠隔診断と遠隔治療とに分けられるが、本発明は主に遠隔診断において利用することができる。そして、遠隔医療によって、人口が希薄な地域のみならず、病院への来院が困難な患者に対して、重症化する前に医師などが患者を診断することができるようになるなどの効果が考えられる。
さらに、別の実施形態としては、同一の医療施設内、例えば1病院内において医療情報を共有するために使用することができる。例えば、患者が、同一施設内であってもすべての医療情報を共有することには同意せず、特定項目の共有のみに同意する場合も想定される。このような場合に、上記の実施形態の構成を利用して医療情報を共有することができる。あるいは、異なる臨床検査機器が出力する結果を統合して共有する、例えば、大病院など医療施設内においてX線診断装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学装置、超音波診断装置など、様々なフォーマットで臨床検査結果を出力する臨床検査機器が複数台存在する場合に利用することができる。
複数の臨床検査機器が医療施設内に構築されたネットワークに接続されている場合、臨床検査機器が異なれば採用されているシステムの形式が異なるため、臨床検査結果を同じ端末で取得することが困難な場合がある。上記の実施形態の構成を利用することで、異なる臨床検査機器から出力された医療情報である個々の臨床検査結果を、出力先であるレポートサーバーに対して、共通の出力形式で定義された臨床検査結果を提供し、医療施設内で結果を共有することが容易になる。また、複数の異なった形式で得られた医用画像どうしを比較しながら診断することによって、患者の状態を正確に把握でき、医療サービス提供による治療効率を格段に向上させることが可能となる。
この実施形態の構成や処理は、上記の地域医療連携サーバー300、400を1病院内に所属する連携サーバーと考え、病院A100、病院B200が当該病院内の各診療科と考え、情報提供システム10及びネットワークNが当該病院内に配置されている点以外は上記の実施形態の具体的な構成や処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
上述したように、本実施形態において、地域医療連携とは、異なる複数の医療施設を利用する患者について提供される医療サービスや医療関連サービスに伴う医療情報を共有す
ることを指し、例えば、厚生労働省が指定する、一次から三次の各医療圏内の医療施設どうしと医療関連サービス提供施設どうしとが連携し合い、医療サービスや医療関連サービスを提供することなどが含まれる。複数の地域医療連携どうしで実施される場合、それらを広域医療連携と呼ぶ場合もある。対象同意者情報を取得することで、広域医療連携のような特定の地域医療連携どうしや日本国内の地域医療連携だけでなく保険者データベース、ナショナルデータベース、グローバルデータベースを利用した広範囲での医療情報の共有も可能となる。
また、上述したように、同意者の同意の内容は、取得する同意の種類によって異なる。例えば、当該サービスを提供する医療施設が属する医療圏における地域医療連携への参加への同意、複数の医療施設における医療情報共有への同意、個人情報が切り離された形での医療情報の二次活用(コホート研究など)への同意が含まれる。そして、同意者の同意の内容には、更に臓器提供、延命措置の拒否リビングウィル、尊厳死に関する情報等を含めることができる。
また、上述したように、本実施形態では、同意者情報は、医療施設ごとに割り振られた番号、各医療施設が患者に対して割り振った番号を含み、必要に応じて医療施設が属する一次から三次の医療圏の番号を付加することができる。ここで、医療施設ごとに割り振られた番号には医療施設情報が、各医療施設が患者に対して割り振った番号には患者識別情報がそれぞれ紐付く。これらの番号を使用することで、医療情報に容易に紐付けることが可能となる。
また、広域IDは、一例として、保険者番号を挙げたが、地域ごとに割り振られた番号、例えば、都道府県単位の番号や国番号、国民番号、国際番号等、またはそれらを組み合わせた使用することなども挙げられる。
また、上述したように、医療関連サービス提供事業者においても、例えば臨床検査会社では、他施設の臨床検査結果については把握することができないし、委託を受けて行った臨床検査については患者の氏名などの患者識別情報と臨床検査結果については把握しているものの、どの患者が医療情報の共有に同意をした患者であるのかを知ることができない。医療サービス及び医療関連サービスの利用形態は、複数の地域にまたがった場合など様々なケースが想定されるが、今後多様化していくにつれて、増え続ける医療情報や個人情報を適切に保護しつつ活用できるしくみが今後益々重要となる。本願発明は、同意者情報DBを、医療情報DBとは別に設置して運用するため、上記に対する解決法として期待される。ここで、同意者情報DBは医療情報DBと同じサーバー内に設置されていても、別のサーバーに設置されていてもよいが、複数の地域医療圏どうしの情報共有を目的として実施する場合には、同意者情報DBは医療情報DBの別のサーバーに設置されていることが好ましい。特に、上記のような複数地域に跨って医療情報を共有する場合において効果が大きい。
また、別の実施形態としては、同一人物が国境を跨いで移動して複数の国において医療サービス及び医療関連サービスの提供を受ける場合に、それぞれの施設間で医療情報を共有するために使用することができる。特に、近年医療ツーリズムと称して費用を抑制するために、自国以外、すなわち海外で医療サービス及び医療関連サービスの提供を受ける人の数が増加している。このような場合に、自国のサービス提供を受ける施設と海外のサービス提供を受ける施設との間で医療情報を共有するために使用することができる。また、欧州など隣国への移動が日常的となりつつある国では、本願発明の方法を使用することで医療情報を共有し医療サービス提供における効率を向上させることが可能となる。
また、更に別の実施形態としては、上記の説明における医療サービスに、バイオバンク
における生物試料又はそれに関連する情報を使用して診断や治療を行う行為を含めてもよい。そして、医療関連サービスとして、バイオバンク及びバイオバンク情報システムの運用などを挙げることができる。ここでバイオバンクとは、一定の集団又は集団内の一部分に属する提供者に由来する生物試料又はそれに関連する情報をいい、バイオバンク情報システムとは、該バイオバンクの生物試料又はそれに関連する情報が、体系化されたシステムによって保管された、情報の集積をいう。また、医療関連サービス提供施設として、バイオバンク情報システムの管理や運用をする施設を挙げることができる。
そして、複数の医療施設間で共有する医療情報に、上記のバイオバンク及びバイオバンク情報システムにおいて扱われる、生物試料に関連する情報を含めることも可能となる。生物試料に関連する情報としては、例えば、ゲノムやその変異情報、蛋白質、糖鎖、メタボローム解析により得られる情報、バイオイメージング情報、分離された微生物についての情報及びこれら複数の情報を統合して得られた情報などが挙げられる。また、バイオバンク及びバイオバンク情報システムにおいて扱われる個人情報における個人とは、医療情報提供者と、医師による診断、治療を受ける患者とを含む。
これにより、例えば、特に該バイオバンク及び該バイオバンク情報システムの運用を提供する医療関連サービス提供施設が複数存在する場合に適用して実施すると効果が高い。同一医療情報提供者に由来する生物試料及び医療情報であるにも関わらず、それぞれの医療関連サービス提供施設で保有する医療情報が統一されず完全に一致しない場合があるためである。具体的には、異なる施設で同一の医療情報提供者から複数回生物試料として採取された場合には、上記のような問題が生じる可能性があるが、本願発明の方法によればそのような問題も解決することができる。
医療情報提供者に対して医療サービス及び医療関連サービスを提供する場合には、他施設の医療情報を参照することで正確な医療サービス及び医療関連サービスの提供が可能になる。医療情報利用者がバイオバンク及びバイオバンク情報システムの運用サービスを利用し、正確な情報を入手できることでコホート研究や診断、治療関連の研究などの二次利用が促進される。なお、このような実施形態であっても、上述した実施形態と具体的構成や処理などは同様であり、当業者であればその具体的構成や処理などを更に適宜変更して実施することができるため、その詳細な説明は省略する。
さらに、上記の各実施形態において、地域医療連携における地域とは、一定の合意のもとに集合体や組織を形成して複数の医療施設や医療関連サービス提供施設を含む区域(例えば医療圏など)を意味する。例えば、その設定された区域が市町村単位である場合、都道府県単位である場合、国単位である場合、特定の目的のために形成された団体や研究会単位である場合など様々であるが、特にその大きさや範囲などは限定されず、複数の医療施設や医療関連サービス提供施設を含んでいればよい。それぞれ医療情報の提供を所望する単位ごとに医療情報記憶部を有する情報記憶装置を設置することができ、その単位ごとに当該情報記憶装置を設置することで、本実施形態における医療情報を制御し共有することが可能となる。
また、上記の説明において、患者に代えてあるいは患者に加えて医療情報提供者を対象として、上記の実施形態を実現することが可能である。したがって、少なくとも患者又は医療情報提供者を含む個人が、医療サービスあるいは医療関連サービスの提供の形態に応じて、共有される医療情報の利用用途を適宜選択することができる。
10 情報提供システム
100、200 病院
300、400 地域医療連携サーバー
500、600、700 臨床検査センター
800 同意者情報処理サーバー
800e 同意者情報DB
800f マスターDB
800g 変換DB
900 医療関連サービス情報処理サーバー
900e、900f、900g 臨床検査センター用臨床検査結果情報DB
N ネットワーク

Claims (14)

  1. 医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報と医療関連サービスの実施内容を示す項目のうち前記患者が同意する項目および同意しない項目とが紐付けられた同意者情報を記憶する同意者情報記憶部と、
    前記医療施設から前記医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と患者の識別情報と前記依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する医療情報記憶部と、
    前記同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、前記医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する同意者情報抽出部と、
    前記医療情報のうち、前記抽出した同意者情報の患者の識別情報を有する医療情報を特定する同意者情報特定部と、
    前記特定した医療情報から、前記抽出した同意者情報に含まれる前記患者が同意しない項目を削除する非同意項目削除部と、
    前記非同意項目削除部によって前記特定した医療情報から前記患者が同意しない項目が削除された医療情報を前記情報記憶装置に送信する医療情報送信部と、
    を備えることを特徴とする情報提供システム。
  2. 前記医療情報のうち、前記特定した医療情報以外の医療情報を削除する医療情報削除部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
  3. 前記情報提供システムは、前記特定した医療情報のフォーマットを変換するフォーマット変換部をさらに備え、
    前記医療情報送信部は、前記フォーマットを変換した医療情報を送信する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
  4. 前記情報提供システムは、前記特定した医療情報のマスターを変換するマスター変換部をさらに備え、
    前記医療情報送信部は、前記マスターを変換した医療情報を送信する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
  5. 前記医療情報は、カルテ情報、レセプト情報、医学情報、予防健康情報、福祉情報、バイオバンクの生物試料に関連する情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報提供システム。
  6. 前記医療情報がカルテ情報であり、前記カルテ情報は、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録、処方箋、通院履歴のいずれかを含むことを特徴とする請求項5に記載の情報提供システム。
  7. 医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報と医療関連サービスの実施内容を示す項目のうち前記患者が同意する項目および同意しない項目とが紐付けられた同意者情報を同意者情報記憶部に記憶し、
    前記医療施設から前記医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部に、医療施設情報と患者の識別情報と前記依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶し、
    前記同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、前記医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出し、
    前記医療情報のうち、前記抽出した同意者情報に対応する患者の識別情報を有する医療情報を特定し、
    前記特定した医療情報から、前記抽出した同意者情報に含まれる前記患者が同意しない
    項目を削除し、
    前記特定した医療情報から前記患者が同意しない項目が削除された医療情報を前記情報記憶装置に送信する
    ことを特徴とする情報提供システムの制御方法。
  8. 前記医療情報のうち、前記特定した医療情報以外の医療情報を削除することを特徴とする請求項7に記載の情報提供システムの制御方法。
  9. 前記特定した医療情報のフォーマットを変換し、
    前記フォーマットを変換した医療情報を送信する
    ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の情報提供システムの制御方法。
  10. 前記特定した医療情報のマスターを変換し、
    前記マスターを変換した医療情報を送信する
    ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の情報提供システムの制御方法。
  11. 前記医療情報は、カルテ情報、レセプト情報、医学情報、予防健康情報、福祉情報、バイオバンクの生物試料に関連する情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の情報提供システムの制御方法。
  12. 前記医療情報がカルテ情報であり、前記カルテ情報は、臨床検査結果、医師の所見、治療の経過や結果、看護記録、処方箋、通院履歴のいずれかを含むことを特徴とする請求項11に記載の情報提供システムの制御方法。
  13. 医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と少なくとも患者又は医療情報提供者を含む個人の識別情報と医療関連サービスの実施内容を示す項目のうち前記個人が同意する項目および同意しない項目とが紐付けられた同意者情報を記憶する同意者情報記憶部と、
    前記医療施設から前記医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と前記個人の識別情報と前記依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する医療情報記憶部と、
    前記同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、前記医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する同意者情報抽出部と、
    前記医療情報のうち、前記抽出した同意者情報の前記個人の識別情報を有する医療情報を特定する同意者情報特定部と、
    前記特定した医療情報から、前記抽出した同意者情報に含まれる前記個人が同意しない項目を削除する非同意項目削除部と、
    前記非同意項目削除部によって前記特定した医療情報から前記個人が同意しない項目が削除された医療情報を前記情報記憶装置に送信する医療情報送信部と、
    を備えることを特徴とする情報提供システム。
  14. 医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と少なくとも患者又は医療情報提供者を含む個人の識別情報と医療関連サービスの実施内容を示す項目のうち前記個人が同意する項目および同意しない項目とが紐付けられた同意者情報を同意者情報記憶部に記憶し、
    前記医療施設から前記医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部に、医療施設情報と前記個人の識別情報と前記依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶し、
    前記同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、前記医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出し、
    前記医療情報のうち、前記抽出した同意者情報に対応する前記個人の識別情報を有する医療情報を特定し、
    前記特定した医療情報から、前記抽出した同意者情報に含まれる前記個人が同意しない項目を削除し、
    前記特定した医療情報から前記個人が同意しない項目が削除された医療情報を前記情報記憶装置に送信する
    ことを特徴とする情報提供システムの制御方法。
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