JP2020037685A - 活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤、およびそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄性に優れ、VOCの発生量が少ない活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤を得ること。【解決手段】下記一般式(I)で示す化合物を含有し、かつ、1気圧110℃で1時間加熱した際の水を除いた重量減少率が1%以下である活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。RO−(CH2CH2O)n−H・・・(I)(式中、Rは炭素数8〜20 の炭化水素基であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、2以上20以下である。)【選択図】なし

Description

本発明は活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤、およびそれを用いたオフセット印刷機用のインキローラーまたはブランケットの洗浄方法に関するものである。
近年の環境問題の対応、作業環境保全の観点から、各種印刷分野において揮発性有機化合物(以下、VOCという)の使用を大幅に低減する取り組みが進行している。一般的な印刷用のインキには大量の石油系溶剤が使用されているため、インキの水性化や無溶媒化が望まれている。中でも紫外線などの活性エネルギー線を照射することで、瞬時に硬化させることができる活性エネルギー線硬化型インキの利用が、設備面、安全面、環境面、生産性の高さから多くの分野で広がっている。特許文献1には、活性エネルギー線硬化型インキを洗浄することができるグリコール系溶剤を主成分とした平版印刷用洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献2には非イオン性界面活性剤を用いたオフセット印刷用水性インキ洗浄剤が開示されている。
特開2017−94663号公報 特開2007−217504号公報
しかしながら、特許文献1に挙げられた洗浄剤は、発がん性や引火性を有する溶剤を含み、揮発性が高く、地球環境や作業環境、安全衛生に改善の余地を残している。特許文献2に挙げられた洗浄剤は活性エネルギー線硬化型インキに対する洗浄性が十分でないため、色替え作業やローラー洗浄時に残留してしまい、インキローラーやブランケットローラーの洗浄回数の増加等の作業上の負担が増す要因となっていた。そこで、本発明では、洗浄性に優れ、VOCの排出量が少ない活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の洗浄剤は次の構成を有する。すなわち、下記一般式(I)を含有し、かつ、1気圧110℃の温度で1時間加熱した際の水を除いた重量減少率が1%未満であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
RO−(CHCHO)−H・・・(I)
(式中、Rは炭素数8〜20の炭化水素基。nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、2〜20である。)
本発明によれば、洗浄性に優れ、VOCの発生量が少ない活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係る洗浄剤は下記一般式(I)で表される化合物を含有する。
RO−(CHCHO)−H・・・(I)
(式中、R は炭素数8〜20の炭化水素基であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、2以上20以下である。)
上記一般式(I)におけるRは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基であることが好ましく、炭化水素基の一部が酸素に置換されたエステル基およびエーテル基であってもよい。中でも、炭素数は8〜18であることが好ましく、さらに好ましくは11〜15である。本発明に係る洗浄剤において、洗浄剤に含まれる一般式(I)で表される化合物は1種類のみ用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。一般式(I)で表される化合物を2種類以上組み合わせて用いる場合、Rの炭素数は、洗浄剤に含まれる全ての種類の化合物の一般式(I)で表される化合物のRの炭素数の平均値であり、MS分析による分子量確認の後HBrによる化学分解を行い、生成した臭素誘導体をGC/MS分析することによって求めることができる。
炭素数が多い程インキを除去する能力が高くなるが、溶剤の融点が高くなるため室温での使用が難しくなり、リンス液による溶剤の除去が難しくなる。分岐鎖を含むことで、同じ炭素数でも融点を下げることが可能であり、室温において洗浄性に優れた洗浄剤が得られるため、アルキル基には分岐鎖を持つことが好ましい。
一般式(I)におけるRで示される炭化水素基として具体的には、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデキン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン等の直鎖型アルカンから導かれるアルキル基が挙げられ、これらの分岐型としてイソアルキル、2級アルキル、3級アルキル、アルケニル構造体も使用できる。アリール基としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、スチレン、インデン、ナフタレン等から誘導される基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等から誘導される基が挙げられる。シクロアルケニル基としてはシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン等から誘導される基が挙げられる。
本発明に係る洗浄剤でインキを洗浄した後、後述するリンス液による洗浄剤の除去を容易にする観点から、一般式(I)におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数nは、2以上であり、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。洗浄剤の粘度上昇を抑える観点から、nは20以下であり、好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である。nが9であることが最も好ましい。
一般式(I)において、Rが分岐鎖を有する炭化水素基である場合、洗浄剤の粘度の増加を抑制することができ、さらに、洗浄剤が水を多く含有することができるため好ましい。本発明に係る洗浄剤は、Rが分岐鎖を有し、かつ、炭素数11〜15の炭化水素基であることが好ましい。
また、本発明に係る洗浄剤は、Rが炭素数11〜15の炭化水素基であり、かつ、nが9であることがさらに好ましい。通常のオフセット印刷時の温度10℃から30℃において、本発明の洗浄剤が液体となるため、インキの溶解性が向上し、リンス液による洗浄が容易となるためである。
本発明に係る洗浄剤は、一般式(I)において、Rの炭素数とnの合計値が20〜24の時にインキの洗浄性が良好であり、また水でのリンス性が良好であり、さらに液の取り扱い性が良好であり、さらにまたVOCの排出量が少ない洗浄剤が得られるため好ましい。Rの炭素数とnの合計値が20以上であればVOCとなりにくく、24以下の場合は融点の上昇を避けることができるため取り扱いが容易となる。
本発明に係る洗浄剤は、一般式(I)で表される化合物を含み、かつ1気圧110℃において1時間加熱した際の水を除く重量減少率が1%未満であることが必要である。洗浄剤の加熱に使用する装置は従来公知のものを使用すればよく、例えば、熱風乾燥オーブンSPHH−200(TABAI(株)社製)を使用することができる。米国EPAメソッド24では、110℃±5℃にて1時間加熱した際の残存質量が99%未満であり、かつ化合物中に炭素原子を含む化合物をVOCと定義している。本発明に係る洗浄剤は、1気圧110℃において1時間加熱した際の水を除く重量減少率が1%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.5%以下であり、揮発量が少ない程、VOCの排出量が少なく、人体への影響が少ない。さらに、地球環境や作業環境、安全衛生に優位である活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤を得ることができる。
本発明に係る洗浄剤は一般式(I)で表される化合物を単体で使用することもできるが、水を含有することが好ましい。水を含有することで引火点を上げることができ、消防法の観点において安全な洗浄剤が得られる。また、本発明の洗浄剤は水を含有することで活性エネルギー線硬化型インキを容易に洗浄することができる。活性エネルギー線硬化型インキは使用するモノマーにアクリルモノマーを使用するため一般的に極性が高い。洗浄剤中に水を含有することで洗浄剤の極性を高くし、洗浄性能を向上させることができるため、水の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上である。一般式(I)に示す化合物は、少量の水を含有することでエチレンオキサイド基を中心としたミセルを形成し、低温時のアルキル鎖の絡み合いを阻害することで、洗浄剤の融点を下げることができる。形成されたミセルは濃度の増大につれ、エチレンオキサイド基を外側としたミセルを形成し、外側にあるポリオキシエチレン基の酸素原子が水と水素結合を形成することにより、一般式(I)で表される化合物が水を媒介にしてたがいに結合し、しだいに網目構造を形成するようになるため増粘する。さらに、水を過剰に加えるとゲル化をしてしまうため、室温において洗浄剤としての使用が困難となる。洗浄剤の増粘、ゲル化を防止するため、水の含有量は25質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
本発明に係る洗浄剤として好ましく使用される粘度は、布切れなどへの染み込みやすさ、自動ローラー洗浄機、自動ブランケット洗浄機からの吐出しやすさの観点から25℃において200mPa・s以下であり、より好ましくは150mPa・s以下であり、さらに好ましくは130mPa・sである。また、自動ローラー洗浄機、自動ブランケット洗浄機からの液垂れを防ぐ観点から25℃において10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・sである。粘度測定はB型デジタル粘度計DV―E(ブルックフィールド(株)製)を使用し、液温25℃の条件でJIS K 7117−1:1999に従い、攪拌開始1分後の数値を本発明における洗浄剤の粘度とすることができる。
本発明に係る洗浄剤は揮発性を有さないことから洗浄後もローラー上に洗浄剤が残存し続け、再度印刷を行った際にインキとの粘度差からインキがローラーに転移しない、インキと混ざり合うとインキの粘度が低下して非画線部にインキが付着する不具合が生じる。そのため本発明に係る洗浄剤は、水にてリンスをすることが好ましい。
本発明に係る洗浄剤は、水と過剰に接触することで界面活性剤がミセルを形成し、ゲル化することでドクターブレードでの掻き取りが容易となり、印刷機上から洗浄剤を除去することができる。また、水はVOCではなく、揮発性を有し、人体への影響が少なく、地球環境や作業環境、安全衛生に優れるため好ましい。
また、本発明に係る洗浄剤はメソッド24に該当しない化合物を任意に配合することが可能であり、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る洗浄剤はオフセット印刷機に使用されるゴムローラーに膨潤しないことが好ましく、1gのゴムピースを10gの溶剤に40℃72時間浸漬した際の膨潤率(浸漬後重量/浸漬前重量)が103%以下であることが好ましく、100%以下であることがより好ましい。オフセット印刷に好適に用いられるゴムローラー材質としてはNBR、EPDM、ウレタンが用いられ、ウレタンが最も好ましく用いられる。膨潤率が103%以下であれば、ゴムローラーに浸漬した洗浄剤と、インキが混合した場合でも、印刷物の地汚れ発生を防ぐことができる。
本発明における洗浄剤は、光イオン化検出器(PID)を用いてVOCの排出量を測定することができる。本発明における洗浄剤は、従来公知のPIDを用いて測定することができるが、例えば、MiniRAE 3000(Honeywell社製)により測定することができ、そのときのVOC排出量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
本発明における洗浄剤は印刷機の各種部材に付着したインキを洗浄するために使用することができ、特に好ましくは、活性エネルギー線硬化型インキを洗浄するために使用することができる。活性エネルギー線硬化型インキとして例えば国際公開第2017/047817号および国際公開第2018/163942号に記載の公知のインキが挙げられる。
本発明における洗浄剤を用いた洗浄方法は、インキが付着した版およびローラー、ブランケット、圧胴等と、本発明の洗浄剤が接触して洗浄が行われれば特に制限するものではない。例えば、本発明に係る洗浄剤を直接布切れなどにしみ込ませて、版および印刷機等に付着したインキの拭き取り、または専用の版洗浄機や、自動ローラー洗浄機、自動ブランケット洗浄機等の洗浄剤としても使用可能である。後述する(工程1)の後、さらに水でオフセット印刷機用のローラーまたはブランケットを洗浄する工程(工程2)を含むことが好ましい。また、工程1および工程2のいずれか1つ以上を、自動洗浄機にて洗浄を行ってもよい。
本発明に係る洗浄剤は、活性エネルギー線硬化型インキが付着したオフセット印刷機用のインキローラー、またはブランケットの洗浄に用いることが好ましい(工程1)。また、ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型インキを洗浄する用途に使用することがより好ましい。ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートを含有することでインキ自体の極性が高くなり、本発明に係る洗浄剤への溶解性が高くなり、良好な洗浄性が得られる。
ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートの好ましい具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、及びこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。より具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体等が挙げられる。上記の中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、本発明に係る洗浄剤が洗浄する活性エネルギー線硬化型インキは親水性基を有する樹脂を含有することが好ましい。親水性基を有する樹脂を含有することでインキ自体の極性が高くなり、本発明に係る洗浄剤への溶解性が高くなる。
親水性基を有する樹脂の親水性基としては、ポリエチレンオキシド基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基などが挙げられる。中でも顔料の分散性が良好な、カルボキシル基が特に好ましい。
親水性基を有する樹脂として具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記に挙げた樹脂のうち、モノマー入手の容易性、低コスト、合成の容易性、インキ他成分との相溶性、顔料の分散性等の点から、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂が、親水性基を有する樹脂として好ましく用いられる。
上記に挙げた樹脂のうち、アクリル樹脂、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂は、次の方法により作成できる。すなわち、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基含有モノマー、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、アクリル酸2−(メルカプトアセトキシ)エチルなどのメルカプト基含有モノマー、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸などのスルホ基含有モノマー、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスッフェートなどのリン酸基含有モノマー、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の中から選択された化合物を、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させることで得られる。
親水性基を有する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
親水性基を有する樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価は、本洗浄剤への良好な溶解性、顔料の分散性を得るため、100mgKOH/g以上であることが好ましく、130mgKOH/g以上であることがより好ましく、150mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、ヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートへの溶解性を得るため250mgKOH/g以下であることが好ましく、225mgKOH/g以下がより好ましい。(1)樹脂の酸価は、JIS K 0070:1992の試験方法第3.1項の中和滴定法に準拠して求めることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
<活性エネルギー線硬化型インキ製造例>
<樹脂組成>
樹脂I:25質量%のメタクリル酸メチル、25質量%のスチレン、50質量%のメタクリル酸からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させて、エチレン性不飽和基と親水性基を有する樹脂Iを得た。得られた樹脂Iは重量平均分子量34,000、酸価102mgKOH/g、ヨウ素価2.0mol/kgであった。
樹脂II:55質量%のスチレン、15質量%の2−エチルヘキシルアクリレート、30質量%のアクリル酸からなる共重合体。
樹脂IIは重量平均分子量25,000、酸価160mgKOH/gであった。
樹脂III:40質量%のスチレン、27質量%のエチルアクリレート、33質量%のアクリル酸からなる共重合体。
樹脂IIIは重量平均分子量24,000、酸価200mgKOH/gであった。
<樹脂ワニスI>
樹脂I:19.8質量%
反応性希釈剤I“Miramer”(登録商標)M340(MIWON社製):66質量%
反応性希釈剤II“Miramer”(登録商標)M4004(MIWON社製):14質量%
重合禁止剤I p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)社製):0.2質量%
上述の割合で秤量し、樹脂I、および重合禁止剤Iを、90℃に加熱した反応性希釈剤Iおよび反応性希釈剤IIの混合溶媒に加え撹拌し、樹脂Iが溶解した後室温に冷却することで、樹脂ワニスIを得た。
<樹脂ワニスII>
樹脂II:30質量%
反応性希釈剤II“Miramer”(登録商標)M4004(MIWON社製):70質量%
上述の割合で秤量し、100℃に加熱した反応性希釈剤IIの溶媒に樹脂IIを加え攪拌し、樹脂IIが溶解した後室温に冷却することで、樹脂ワニスIIを得た。
<樹脂ワニスIII>
樹脂III:30質量%
反応性希釈剤II“Miramer”(登録商標)M4004(MIWON社製):70質量%
上述の割合で秤量し、100℃に加熱した反応性希釈剤IIの溶媒に加え攪拌し、樹脂IIIが溶解した後室温に冷却することで、樹脂ワニスIIIを得た。
<インキB>
セイカシアニンブルー(大日精化(株)社製):20質量%
樹脂ワニスI:12質量%
反応性希釈剤I:24質量%
反応性希釈剤II:33質量%
光重合開始剤I:“イルガキュア”(商標登録)907(BASF社製):5質量%
増感剤I:ジエチルアミノベンゾフェノン(東京化成(株)社製):5質量%
重合禁止剤I:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)社製):1質量%
上記混合物を秤量し、三本ロールミル“EXAKT”(商標登録)M−80S(EXAKT社製)を用いて、装置のローラーギャップ目盛りを1で3回混練することで活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ(インキB)を得た。
<インキC>
セイカシアニンブルー(大日精化(株)社製):20質量%
樹脂ワニスII:15質量%
反応性希釈剤II:45質量%
光重合開始剤I:“イルガキュア”(商標登録)907(BASF社製):4質量%
光重合開始剤II:“イルガキュア”(商標登録)TPO−L(BASF社製):6質量%
増感剤I:ジエチルアミノベンゾフェノン(東京化成(株)社製):5質量%
体質顔料:“ミクロエース” (商標登録)P−3(日本タルク(株)社製):2質量%
顔料分散剤:“ディスパロン” (商標登録)DA−325(楠本化成(株)社製):2質量%
ワックス:PTFE、KTL−4N(喜多村(株)社製):1質量%
上記混合物を秤量し、三本ロールミル“EXAKT”(商標登録)M−80S(EXAKT社製)を用いて、装置のローラーギャップ目盛りを1で4回混練することで活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ(インキC)を得た。
<インキD>
セイカシアニンブルー(大日精化(株)社製):20質量%
樹脂ワニスIII:15質量%
反応性希釈剤II:45質量%
光重合開始剤I:“イルガキュア”(商標登録)907(BASF社製):4質量%
光重合開始剤II:“イルガキュア”(商標登録)TPO−L(BASF社製):6質量%
増感剤I:ジエチルアミノベンゾフェノン(東京化成(株)社製):5質量%
体質顔料:“ミクロエース” (商標登録)P−3(日本タルク(株)社製):2質量%
顔料分散剤:“ディスパロン” (商標登録)DA−325(楠本化成(株)社製):2質量%
ワックス:PTFE、KTL−4N(喜多村(株)社製):1質量%
上記混合物を秤量し、三本ロールミル“EXAKT”(商標登録)M−80S(EXAKT社製)を用いて、装置のローラーギャップ目盛りを1で4回混練することで活性エネルギー線硬化型平版印刷用インキ(インキD)を得た。
<洗浄性試験>
水なし平版印刷版(TAN−E、東レ(株)社製)をオフセット印刷機(オリバー266EPZ、桜井グラフィックシステム社製)に装着し、ベタ印刷部の反射濃度が1.6(藍)になるように市販UVインキ(TOKA UV 171 CT TW−L)(インキA)または、インキBを供給し、1時間当たりに印刷を行う枚数が8000sphになるように印刷設定を調整して500枚印刷した。その後、実施例記載の洗浄剤20mlをローラー上に1分間隔で塗布し、ドクターブレード(篠田商事(株)社製ニューライトドクターブレード、厚み:27mm)を用いてローラー上に付着したインキを洗浄剤に置換した。
洗浄時間の測定はドクターブレードがローラーに接触した時に測定を開始し、目視にてインキが完全に除去できたと判断した時までの時間を測定し、洗浄時間とした。1時間当たりに印刷を行う枚数が多い程洗浄時間が短くなる。洗浄時間が短い程洗浄にかかる時間を短縮することができる。好ましくは10分以下であり、5分以下であることがより好ましく、3分以下であることがさらに好ましい。洗浄時間に15分以上の時間を要する洗浄剤は洗浄不可能と判断した。
残存した洗浄剤は水をかけて除去した。水を20mlローラー上に1分間隔で塗布し、ドクターブレード(篠田商事(株)社製ニューライトドクターブレード、厚み:27mm)を用いてローラー上に付着した洗浄剤を除去し、1分間隔にてローラー上の洗浄剤残渣を指蝕にて評価を実施した。
<洗浄性評価I>
以下の基準で洗浄性を判断した。
A:洗浄液の塗布回数5回以下にてインキを除去することができた
B:洗浄液の塗布回数6回以上10回以下にてインキを除去することができた
C:洗浄液の塗布回数11回以上15回以下にてインキを除去することができた
D:洗浄液の塗布回数16回以上行ってもインキ残渣が残った
洗浄性評価Iは、8000sphにて実施し、インキローラーに付着しているインキ残渣の存否を目視で判定し、表1記載の洗浄剤20mlをローラー上に1分間隔で塗布し、洗浄剤の塗布回数1回とした。
<洗浄性評価II>
洗浄性A以上のものをより詳細に評価するために、5000sphに変更して洗浄性評価IIを洗浄性評価Iと同様に実施した。
<水すすぎ性評価>
洗浄性評価を実施した後に以下の基準で水すすぎ性を判断した。
A:水の塗布回数5回後に洗浄剤を除去することができた
B:水の塗布回数10回後に洗浄剤を除去することができた
C:水の塗布回数15回後に洗浄剤を除去することができた
D:水の塗布回数16回以上行っても洗浄剤を除去することができなかった
水すすぎ性評価は、水20mlをローラー上に1分間隔で塗布し、5回塗布後のインキローラー上洗浄剤存否を指蝕にて判断し、残存が見られる場合は繰り返し評価を実施した。
<ゴムピース膨潤率測定試験>
以下のゴムピースを用いて膨潤試験を実施した。
ゴムピース:トラストゼータ硬度45°(テクノロール(株)社製)を5×20×10mmのサイズにカットし、実施例に記載された洗浄剤10g中にゴムピースが完全に浸漬する状態にて40℃72時間保管し、浸漬前後の重量から膨潤率(浸漬後重量/浸漬前重量)を測定した。
<メソッド24の評価>
洗浄剤をアルミカップに3ml秤量し、熱風乾燥オーブンSPHH−200(TABAI(株)社製)にて110℃で1時間加熱した後の加熱残分率(加熱後重量/加熱前重量)を評価し、加熱残分率99%以上であればVOCではないと判断をした。
<VOC排出量の測定>
洗浄性試験を行う際にローラー上30cmの位置にMiniRAE 3000(Honeywell社製)を使用して溶剤の揮発量を測定した。洗浄性試験の開始から測定を行い、最大値をVOC排出量とした。
<引火点の測定>
JIS K 2265−4に従い、測定を行った。
<取り扱い性評価>
以下の基準で取り扱い性を判断した。洗浄剤の粘度ηの測定は、B型デジタル粘度計DV―E(ブルックフィールド(株)製)を使用し、液温25℃の条件でJIS K 7117−1:1999に従い、攪拌開始から1分後の測定を行った。
A:洗浄液の粘度が80mpa・s≦η≦130mpa・s
B:洗浄液の粘度が50mpa・s以上≦η<80mpa・sまたは130mpa・s<η≦150mpa・s
C:洗浄液の粘度が10mpa・s≦η<50mpa・sまたは150mpa・s<η≦200mpa・s
D:洗浄液の粘度がη<10mpa・sまたは200mpa・s<η
取り扱い性評価がA〜Cであれば、自動洗浄機での使用が可能と判断した。
(実施例1)
ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル100質量%からなる洗浄剤を用いて、インキAに対する洗浄性評価I、洗浄性評価II、ゴムピース膨潤率測定試験、メソッド24の評価、VOC排出量の測定、引火点の測定、および取り扱い性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(実施例2〜57、比較例1〜6)
表1および2に記載の各実施例および比較例の組成(質量%)に従い、各印刷インキ用洗浄剤を調製し、上記の評価項目について評価した。表1および2に実施例1〜57および比較例1〜6の結果を示す。
Figure 2020037685
Figure 2020037685

Claims (13)

  1. 下記一般式(I)で示す化合物を含有し、かつ、1気圧110℃で1時間加熱した際の水を除いた重量減少率が1%以下である活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
    RO−(CHCHO)−H・・・(I)
    (式中、Rは炭素数8〜20の炭化水素基であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、2以上20以下である。)
  2. 前記Rが分岐鎖を有し、かつ、炭素数11〜15の炭化水素基である請求項1記載に活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
  3. 前記nが9である請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
  4. 前記洗浄剤が水を含む請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
  5. 前記水の含有量が1質量%以上25質量%以下である請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インキ用洗浄剤。
  6. 活性エネルギー線硬化型インキが付着したオフセット印刷機用のインキローラーまたはブランケットの洗浄方法であって、
    (工程1)請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄剤を用いてオフセット印刷機用のインキローラーまたはブランケットを洗浄する工程
    を含むオフセット印刷機用のインキローラーまたはブランケットの洗浄方法。
  7. 前記(工程1)の後に
    (工程2)水でオフセット印刷機用のインキローラーまたはブランケットを洗浄する工程
    を含む請求項6に記載の洗浄方法。
  8. 自動洗浄機にて前記(工程1)および前記(工程2)を行う請求項6または7に記載の洗浄方法。
  9. 前記インキローラーがウレタンゴムである請求項6〜8のいずれかに記載の洗浄方法。
  10. 前記活性エネルギー線硬化型インキがヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートを含有する請求項6〜9のいずれかに記載の洗浄方法。
  11. 前記活性エネルギー線硬化型インキが親水性基を有する樹脂を含有する請求項6〜10のいずれかに記載の洗浄方法。
  12. 前記活性エネルギー線硬化型インキが有する樹脂の親水性基がカルボキシル基である請求項11に記載の洗浄方法。
  13. 前記活性エネルギー線硬化型インキが有する樹脂の酸化が100mgKOH/g以上、250mgKOH/g以下である請求項12に記載の洗浄方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7220325B1 (ja) * 2022-10-28 2023-02-09 東京インキ株式会社 オフセット印刷用洗浄液組成物および洗浄方法

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