JP4312825B2 - 蛍光体ペースト組成物 - Google Patents
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Description
蛍光体ペースト組成物は、例えば、スクリーン印刷、ドクターブレード等を用いた塗工法、シート状に加工するためのキャスティング法等により所定の形状に加工した後、焼成を行うことで必要な形状の焼成体とすることができる。なかでも、スクリーン印刷は、特に大量生産に適した方法である。
しかしながら、このような蛍光体ペースト組成物は、アクリル系樹脂に起因する粘着性が非常に強く現れ、スクリーン印刷をした場合、スクリーン印刷版に延糸が発生し、スクリーン印刷時の取り扱いが難しい。また、粘着性が低いセルロース系樹脂を用いた場合と比較すると印刷像が薄くなることがあった。また、アクリル系樹脂を取り除くためにスクリーン印刷版を長時間洗浄する必要があった。アクリル系樹脂の添加量を減らしたりすることで粘着性は低減することはできるが、それに伴い蛍光体ペースト組成物の粘度が著しく低下するため、比重の高い蛍光体を分散させると蛍光体が沈降したり凝集したりするという、いわゆる「貯蔵安定性」が悪くなるという問題があった。
そこで、アクリル系樹脂の分子量を大きくすることで、アクリル系樹脂の添加量を少なくし、蛍光体ペースト組成物の粘度を高くし、貯蔵安定性を維持する方法も考えられた。しかし、アクリル系樹脂の分子量を高くすると、延糸が激しく発生したり、スクリーン印刷が困難となったりするという問題があった。
しかしながら、特許文献3の実施例にて開示されている蛍光体ペースト組成物は、粘度が4.4〜5.0Pa・sであるため、分散された直後の蛍光体は良好な分散性を示すが、時間が経つとともに沈降することがあった。また、蛍光体ペースト組成物の熱分解性が悪化し、残渣が残留するという問題があった。
このように、蛍光体の分散性を確保しつつ、蛍光体ペースト組成物の粘着性を低減させてスクリーン印刷性の改善をすることは非常に困難であった。
以下に本発明を詳述する。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂の含有量を低減しながら、スクリーン印刷性に適した蛍光体ペースト組成物の粘度を得ることができることから、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ、低温で脱脂することができるメチルメタクリレートモノマーを重合体成分として含有していることが好ましく、特にメチルメタクリレートモノマーの単独重合体であるポリメチルメタクリレートが好適である。
上記極性基が分子側鎖に存在すると、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが相溶し、樹脂溶液の粘度が極端に低くなって、粘度を保つために、より多くの樹脂を添加する必要が生じる。その結果、粘着性が高くなるため、印刷パターンにかすれが現れたり、印刷ができなくなったりすることがある。
上記極性基が側鎖ではなく分子鎖末端に存在することにより、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤とが相溶せず適度な相分離(ミクロ相分離)を発現し、低分子量で、かつ、少ない樹脂含有量でも印刷に必要な粘度を確保することができる。その結果、蛍光体ペースト組成物の粘着性が少なく、延糸が発生しにくくなるため、印刷取扱性が良好となる。
なかでも、長期間保管された蛍光体ペースト組成物を用いたとしても良好な印刷パターンを得ることができ、貯蔵安定性に優れることから、極性基が(メタ)アクリル樹脂の分子側鎖には存在せず、分子鎖末端のみに存在する(メタ)アクリル樹脂を用いることが好ましい。
上記水素結合性官能基としては特に限定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ポリオキシアルキレンエーテル基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル樹脂を残渣なく低温で熱分解させることができる等の理由から、水酸基、カルボキシル基が好適である。
また、上記水素結合性官能基は少なくとも1個有すればよいが、多いほど相分離構造は安定化し、蛍光体ペースト組成物の粘着性が低下するため、延糸が発生したりせずスクリーン印刷性が向上し効果的である。
また、極性基を有する有機過酸化物開始剤やアゾ系開始剤等の重合開始剤を用いることによっても(メタ)アクリル分子鎖末端に極性基を導入することができる。
(メタ)アクリル樹脂の分子鎖末端に極性基が導入されたことは、例えば、13C−NMRにより確認することができる。
従来の蛍光体ペースト組成物では、スクリーン印刷が可能な粘度を保つために、比較的高い分子量の(メタ)アクリル樹脂を用いていた。これに対し、本発明の蛍光体ペースト組成物では、適度に相分離(ミクロ相分離)させることにより重量平均分子量が5000〜50000の範囲内である(メタ)アクリル樹脂を使用した場合でも良好なスクリーン印刷性を発揮できるようになった。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量の測定は、カラムとして、例えば、SHOKO社製カラムLF−804を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
本発明では、このようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを界面活性剤として用いることにより、蛍光体の組成に依存することなく、バインダーの脱脂性を損なわずに、分散性及びスクリーン印刷性を著しく向上させることができる。
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有すると、蛍光体の分散性が良好となるが、蛍光体ペースト組成物の粘度が低くなることがある。本発明では、上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値を9以上とすることで、蛍光体ペースト組成物の粘度を低下させることがなく、スクリーン印刷に適した蛍光体ペースト組成物を得ることができる。なお、上記HLB値の好ましい下限9.5、好ましい上限は17.0である。
ここで、上記HLB値とは、界面活性剤の親水性又は親油性のバランスを示す指標であり、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。なお、上記HLB値とは、例えば、下記グリフィンの式
[(親水部分の分子量)÷(全体の分子量)×100]/5
を用いて算出される値である。
また、上記化学式において、a+b+c=20、d+e+f=20、g+h+i+j=20である。
ここで、a+b+c=20とは、a、b及びcはそれぞれ1以上の整数であり、a、b及びcの総和が20となることを意味する。
また、d+e+f=20とは、d、e及びfはそれぞれ1以上の整数であり、d、e及びfの総和が20となることを意味する。
また、g+h+i+j=20とは、g、h、i及びjはそれぞれ1以上の整数であり、g、h、i及びjの総和が20となることを意味する。
上記HLB値が10以上のノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたノニオン系界面活性剤が好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適に用いられる。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると蛍光体ペースト組成物の熱分解温度が高くなったり残渣を発生させたりすることがあるため、蛍光体ペースト組成物における上記ノニオン系界面活性剤の含有量の好ましい上限は5重量%である。
上記蛍光体としては特に限定されず、例えば、CRT用蛍光体、ランプ用蛍光体、PDP用蛍光体、X線用蛍光体、蓄光蛍光体等、様々な用途に用いられる蛍光体が挙げられる。具体的には例えば、Y2O3:Eu、Y2O2S:Eu、YBO3:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、Y(P,V)O4:Eu、GdBO3:Eu、Y2SiO5:Eu、Y3Al5O12:Eu、ScBO3:Eu、LuBO3:Eu等の赤色蛍光体、ZnS:Cu,Al、LaPO4:Ce,Tb、CaMgSi2O6:Eu、(Ba,Sr,Mg)O・aAl2O3Mn、(Y、Gd)BO3:Tb、Zn2SiO4:Mn、BaAl12O19:Mn、BaMgAl10O17:Mn、BaMgAl10O17:Mn,Eu、BaMgAl14O23:Mn、CaAl12O19:Mn、SrAl12O19:Mn、YBO3:Tb、LuBO3:Tb、GdBO3:Tb、Gd2O2S:Tb、ScBO3:Tb、Sr4Si3O8Cl4:Eu等の緑色蛍光体、ZnS:Ag,Al、(SrCaBaMg)5(PO4)3Cl:Eu、BaMgAl10O17:Eu、BaMgAl14O23:Eu、Y2SiO5:Ce、CaWO4、CaWO4:Pb、(Ca,Sr)MgSi2O6:Eu、(Ca,Sr)Mg2Si2O7:Eu、(Ca,Sr)2MgSi2O7:Eu等の青色蛍光体、Sr4Al14O25:Eu,Dy等の青緑色蛍光体、Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn等の白色蛍光体等が挙げられる。
一般に、赤色蛍光体は、他の蛍光体よりも比重が高いため、蛍光体ペースト組成物が赤色蛍光体を含有した場合には、赤色蛍光体が沈降しやすく、貯蔵安定性が充分ではなかった。これに対して、本発明の蛍光体ペースト組成物において、後述するイミダゾール化合物を添加した場合は、赤色蛍光体を含有した場合でも、赤色蛍光体が沈降することなく、貯蔵安定性に優れる。これは、上記イミダゾール系化合物が、赤色蛍光体の沈降を抑制する構造を形成するためと考えられる。
上記有機溶剤は、分子中に水酸基又はアセトキシ基を少なくとも1個有することが好ましい。これにより、上記分子鎖末端に極性基を有する(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤との適度な相分離(ミクロ相分離)を発現させやすくなり、スクリーン印刷に適した粘度(チキソ性)を維持しながら(メタ)アクリル樹脂の含有量を低減させ、低温での脱脂が容易となる。
なかでも、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが好適であり、更にそのなかでも、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが特に好適であり、特に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール、テキサノールが好適に用いられる。
なお、これらの有機溶剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ここで、溶解度パラメータ(以下SP値ともいう)とは、Polymer Engineering&Science 14 147(1974)等に記載されているように物質の化学構造のみから推算した値であり、下記数式(5’)により求めることができる。SP値が近いもの同士は相溶し、SP値が離れたもの同士は相分離する。
上記有機溶剤が下記数式(4)又は下記数式(5)を満たすことにより、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤との適度な相分離(ミクロ相分離)を発現させやすくなり、適度な粘度(チキソ性)が得られ、よりスクリーン印刷性に優れたものとなる。
V:モル容積(m3/mol)
Δei:原子又は原子団の蒸発エネルギー(cal/mol)
ΔVi:モル体積(cm3/mol)
上記分散剤としては、蛍光体の種類によって、水酸基を3個以上有する有機化合物、カルボキシル基を3個以上有する有機化合物、ポリエーテルエステル酸アミン塩等を用いることが好ましい。これらの分散剤は、蛍光体ペースト組成物の貯蔵安定性を向上させる役割を有する。特に、低粘度の蛍光体ペースト組成物を用いる場合は、蛍光体の分散性を確保するため、蛍光体の組成に合わせた分散剤の選択が重要となる。
なかでも、本発明の蛍光体ペースト組成物は、上記化学式(6)で表されるイミダゾール系化合物を含有することが好ましい。
更に、R4は、CnH2n+1(nは、10〜20の整数)、又は、CnH2n―1(nは、10〜20の整数)で示される構造であり、かつ、直鎖構造であることがより好ましい。上記化学式(6)において、R4が直鎖構造である場合、貯蔵安定性に優れる蛍光体ペースト組成物を得ることができる。
更に、R8は、CnH2n+1(nは、10〜20の整数)、又は、CnH2n―1(nは、10〜20の整数)で示される構造であり、かつ、直鎖構造であることがより好ましい。上記化学式(7)において、R8が直鎖構造である場合、貯蔵安定性に優れる蛍光体ペースト組成物を得ることができる。
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレートモノマー(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液に対し、表1に記載した組成比になるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルと、ポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタンモノラウレート(花王社製「レオドールTW−L120」)を更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
表1に記載された連鎖移動剤を用い、添加量を調整することで表1に記載された重量平均分子量、末端官能基を有するポリメチルメタクリレートを得た。その後、表1に記載された組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例1と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。ここで、界面活性剤としては、ポリオキシラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−25」)、POE(20)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレエート、POE(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ脂肪酸エステル(第一工業製薬社製「ソルゲンTW−20」)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(第一工業製薬社製「ソルゲンTW−60」)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(第一工業製薬社製「ソルゲンTW−80」)を用いた。
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤として、メルカプトコハク酸3.8重量部、有機溶剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたポリメチルメタクリレートの2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート溶液に対し、表1に記載した組成比になるように2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、界面活性剤としてポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタンモノラウレート(花王社製「レオドールTW−L120」)、及び、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−25」)を更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
連鎖移動剤として用いるメルカプトコハク酸を0.7重量部としてポリメチルメタクリレートを得た後、ポリメチルメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートの含有量、及び、界面活性剤を表1に示す組成とした以外は、実施例9と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
有機溶剤として、表1に示す組成のα−テルピネオールとブチルカルビトールアセテートとの混合溶剤を用い、界面活性剤を表1に示す組成とした以外は、実施例9と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸を0.7重量部用い、有機溶剤として表1に示す組成のα−テルピネオールとブチルカルビトールアセテートとの混合溶剤を用い、ポリメチルメタクリレート、有機溶剤、界面活性剤を表1に示す組成とした以外は、実施例9と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
界面活性剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
表1に記載した界面活性剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
界面活性剤としてソルビタンモノステアレート(花王社製「レオドールSP−S10V」)、及び、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−4.2」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
界面活性剤としてソルビタントリステアレート(花王社製「レオドールSP−S30V」)、及び、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−2」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
実施例1〜12及び比較例1〜6で得られたバインダー樹脂組成物及び蛍光体ペースト組成物について以下の評価を行った。結果を表2に示した。
得られた蛍光体ペースト組成物をB型粘度計(BROOK FIELD社製「DVII+Pro」)を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、蛍光体ペースト組成物の粘度η10rpm(Pa・s)を測定した。
得られた蛍光体ペースト組成物をスライドガラス(2cm×5cm)に厚み12.5μmになるように塗布した。蛍光体ペースト組成物を塗布したスライドガラスを120℃で10分乾燥した後、表面粗さ計(小坂研究所社製「サーフコーダSE−30D」)で塗布した蛍光体ペースト組成物の表面を測定した。以下の基準により、表面粗さRaの評価をした。
○:Ra=1.0μm未満
×:Ra=1.0μm以上
得られた蛍光体ペースト組成物をグラインドゲージ(エリクソン社製、0〜15μm)で、蛍光体の分布密度を測定し、凝集した蛍光体が現れた箇所の目盛りを観察した。ただし、測定を5回行い、10ラインで凝集した蛍光体が現れた箇所の目盛りの平均値を評価した。以下の基準により、分散性の評価をした。
○:10μm未満
×:10μm以上
得られた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下において、スクリーン印刷を行った。
スクリーン印刷には、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」(乳剤20μm、スクリーン枠320mm×320mm))、印刷基板(ソーダーガラス150mm×150mm、厚み15mm)を用い、以下のスクリーン印刷機の条件でスクリーン印刷を行った。
ギャップ:2.0mm
スキージ速度:50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧:0.25MPa
スクレッパー圧:0.17MPa
背圧:0.10MPa
得られた印刷像を実体顕微鏡にて、目視観察で評価した。
◎:印刷像の太さにばらつきがなく、印刷像が充分に厚く、密度が高い
○:印刷像の太さにばらつきがない
△:印刷像の太さにばらつきがないが、印刷像が非常に薄い
×:印刷像の太さにばらつきがある
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
表3に記載した(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤、界面活性剤、分散剤を用いたこと以外は、実施例13と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸を用いた以外は、実施例13と同様にしてポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を作製した。
その後、得られたポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液、界面活性剤としてポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタンモノラウレート(花王社製「レオドールTW−L120」)、及び、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−25」)を用いたこと以外は、実施例13と同様にして蛍光体ペースト組成物を作製した。
表3に記載された連鎖移動剤を用い、実施例13と同様にしてポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を作製した。その後、表3の組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例13と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。
ここで、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製「NIKKOL BL−25」)を用い、分散剤として表3に記載されている材料を用いた。
実施例13〜18及び比較例7〜11で得られたバインダー樹脂組成物及び蛍光体ペースト組成物について以下の評価を行った。結果を表4に示した。
得られた蛍光体ペースト組成物をB型粘度計(BROOK FIELD社製「DVII+Pro」)を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、蛍光体ペースト組成物の粘度η10rpm(Pa・s)を測定した。
得られた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下に1カ月間保管した。その後、得られた蛍光体ペースト組成物、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」乳剤20μ、スクリーン枠:320mm×320mm)、印刷基板(ソーダーガラス:150mm×150mm、厚み:15mm)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下、以下のスクリーン印刷機の測定条件で印刷を行った。
ギャップ:2.0mm
スキージ速度:50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧:0.25MPa
スクレッパー圧:0.17MPa
背圧:0.10MPa
以下の基準により、スクリーン印刷性を評価した。
○:きれいな印刷パターンが形成された。
×:印刷パターンにかすれがあった、又は、印刷できなかった。
得られた蛍光体ペースト組成物を23℃で1ヶ月間保管した後、溶液の相分離(液状物分離)、蛍光体の沈降等の有無を目視にて確認し、以下の基準により評価した。
○:溶液の相分離(液状物分離)、蛍光体の沈降等は確認されなかった。
×:蛍光体ペースト組成物が完全に相分離し、蛍光体の沈降が観察され、上澄み液の粘度が低下していた。又は、容器の底部に蛍光体が沈降し、粒子層を形成していた。
得られたバインダー樹脂組成物を熱分解装置(TAインスツルメンツ社製「simultaneousSDT2960」)を用いて空気雰囲気下にて昇温温度10℃/minで600℃まで加熱し、バインダー樹脂組成物の初期重量の99.5重量%の熱分解が終了する温度を測定した。熱分解の終了温度が400℃未満のバインダー樹脂組成物を脱脂性○、400℃以上のバインダー樹脂組成物を脱脂性×と判断した。
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸、有機溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
このようにして得られたポリメチルメタクリレートのジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液に対し、表5に記載した組成比になるようにジエチレングリコールモノブチルエーテルを更に添加し、高速分散機で分散させてバインダー樹脂組成物を作製した。
表5又は表6に記載した組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例19と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。
実施例19〜21及び比較例12〜17で作製した蛍光体ペースト組成物について、以下の方法により評価を行った。
結果は表7に示した。
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、B型粘度計(BROOK FILED社製「DVII+Pro」)を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、蛍光体ペースト組成物の粘度ηA 10rpm(Pa・s)を測定した。その後、ポリエチレン容器に入れた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下で1カ月間保管した後、再びB型粘度計を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、保管した蛍光体ペースト組成物の粘度ηB 10rpm(Pa・s)を測定し、粘度変化率(%)を算出した。
以下の式により、粘度変化率(%)を算出した。
粘度変化率(%)=〔(ηA 10rpm−ηB 10rpm)/ηA 10rpm〕×100
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、容器の底に沈殿物が存在するか否かを目視で観察した。その後、ポリエチレン容器に入れた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下で1ヶ月間保管した後、再び容器の底に沈殿物が存在するか否かを目視で観察した。
以下の基準により、容器の底に沈殿物が存在するか否かの評価を行った。
○:容器の底に沈殿物が観察されなかった。
×:容器の底に沈殿物が観察された。
蛍光体を分散させた直後の蛍光体ペースト組成物を250mlポリエチレン容器に入れ、温度23℃、湿度50%の環境下で1カ月間保管した。次いで、温度23℃、湿度50%の環境下で、保管した蛍光体ペースト組成物を用いて、スクリーン印刷を行った。
スクリーン印刷には、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」(乳剤20μm、スクリーン枠320mm×320mm))、印刷基板(ソーダーガラス150mm×150mm、厚み15mm)を用い、以下のスクリーン印刷機の条件でスクリーン印刷を行った。
ギャップ:2.0mm
スキージ速度:50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧:0.25MPa
スクレッパー圧:0.17MPa
背圧:0.10MPa
図1に示す印刷パターン1及び印刷パターン2について、以下の基準により、スクリーン印刷性を評価した。
○:印刷パターンにかすれが見られなかった。
×:印刷パターンにかすれが見られた、又は、印刷できなかった。
攪拌機、冷却器、温度計、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製)100重量部と、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸(和光純薬社製)を1.5重量部と、有機溶剤としてテキサノール(共和発酵ケミカル社製)100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
重合開始から10時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、(メタ)アクリル樹脂としてポリメチルメタクリレート(PMMA)のテキサノール溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂について、GPCによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は5000であった。なお、ポリスチレン換算重量平均分子量の測定には、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用いた。
得られたバインダー樹脂組成物に対して、界面活性剤としてポリオキシエチレン(POE)(20)ソルビタンモノラウレート(花王社製「レオドールTW−L120」)0.2重量%と、分散剤としてポリカルボン酸(楠本化成社製、「ディスパロン2150」)0.1重量%と、緑色蛍光体粉末(日亜化学社製、Zn2SiO4:Mn)35重量%とを添加し、三本ロールを用いて充分に混練することにより、蛍光体ペースト組成物を作製した。
表8に記載した組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例22と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。
表8に記載した組成比になるように各成分を調整したこと以外は、実施例22と同様にしてバインダー樹脂組成物、及び、蛍光体ペースト組成物を作製した。
実施例22〜25、比較例18、19で得られた蛍光体ペースト組成物について以下の評価を行った。結果を表9に示した。
得られた蛍光体ペースト組成物をB型粘度計(BROOK FIELD社製「DVII+Pro」)を用いて、温度23℃、回転数10rpmの条件下で、蛍光体ペースト組成物の粘度η10rpm(Pa・s)を測定した。
得られた蛍光体ペースト組成物をスライドガラス(2cm×5cm)に厚み12.5μmになるように塗布した。蛍光体ペースト組成物を塗布したスライドガラスを120℃で10分乾燥した後、表面粗さ計(小坂研究所社製「サーフコーダSE−30D」)で塗布した蛍光体ペースト組成物の表面を測定した。以下の基準により、表面粗さRaの評価をした。
○:Ra=1.0μm未満
×:Ra=1.0μm以上
得られた蛍光体ペースト組成物をグラインドゲージ(エリクソン社製、0〜15μm)で、蛍光体の分布密度を測定し、凝集した蛍光体が現れた箇所の目盛りを観察した。ただし、測定を5回行い、10ラインで凝集した蛍光体が現れた箇所の目盛りの平均値を評価した。以下の基準により、分散性の評価をした。
○:10μm未満
×:10μm以上
得られた蛍光体ペースト組成物を温度23℃、湿度50%の環境下において、スクリーン印刷を行った。
スクリーン印刷には、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「SX230°B」(乳剤20μm、スクリーン枠320mm×320mm))、印刷基板(ソーダーガラス150mm×150mm、厚み15mm)を用い、以下のスクリーン印刷機の条件でスクリーン印刷を行った。
ギャップ:2.0mm
スキージ速度:50mm/s
スクレッパー速度:50mm/s
スキージ圧:0.25MPa
スクレッパー圧:0.17MPa
背圧:0.10MPa
得られた印刷像を実体顕微鏡にて、目視観察で評価した。
◎:印刷像の太さにばらつきがなく、印刷像が充分に厚く、密度が高い
○:印刷像の太さにばらつきがない
△:印刷像の太さにばらつきがないが、印刷像が非常に薄い
×:印刷像の太さにばらつきがある
Claims (16)
- (メタ)アクリル樹脂、蛍光体、有機溶剤、HLB値が9以上のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する蛍光体ペースト組成物であって、
23℃においてB型粘度計を用いてプローブ回転数を10rpmに設定して測定したときの粘度が8〜40Pa・sであり、
前記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートモノマーを重合体成分として含有し、
前記有機溶剤は、分子中に水酸基又はアセトキシ基を少なくとも1個有する化合物である
ことを特徴とする蛍光体ペースト組成物。 - (メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量が5000〜5万であることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光体ペースト組成物。
- (メタ)アクリル樹脂は、分子鎖末端に極性基を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の蛍光体ペースト組成物。
- 極性基が水素結合性官能基であることを特徴とする請求項4記載の蛍光体ペースト組成物。
- (メタ)アクリル樹脂は、ポリメチルメタクリレートであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の蛍光体ペースト組成物。
- (メタ)アクリル樹脂の含有量が5〜25重量%であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の蛍光体ペースト組成物。
- 更に、分散剤として水酸基を3個以上有する有機化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の蛍光体ペースト組成物。
- 水酸基を3個以上有する有機化合物は、グリセリンであることを特徴とする請求項8記載の蛍光体ペースト組成物。
- 更に、分散剤としてカルボキシル基を3個以上有する有機化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の蛍光体ペースト組成物。
- 更に、分散剤としてポリエーテルエステル酸アミン塩を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の蛍光体ペースト組成物。
- 分散剤の含有量が0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項8、9、10又は11記載の蛍光体ペースト組成物。
- 更に、HLB値が11以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の蛍光体ペースト組成物。
- 更に、下記化学式(6)又は下記化学式(7)で表されるイミダゾール化合物を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の蛍光体ペースト組成物。
R5は、H、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、CnH2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
R6は、H、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、CnH2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
R7は、H、又は、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。
R9は、H、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、CnH2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
R10は、H、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)、又は、CnH2nOH(nは、1〜5の整数)を示し、
R11は、H、又は、CnH2n+1(nは、1〜5の整数)を示す。 - 有機溶剤は、沸点が170〜280℃であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の蛍光体ペースト組成物。
- 有機溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テルピネオール及びテキサノールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の蛍光体ペースト組成物。
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