JP2020035677A - シールド被覆導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な方法で、特に棒状導体に被覆及びシールドを行った、シールド被覆導体を提供する。【解決手段】シールド被覆導体は、棒状導体5に、シールド編組30を内包した絶縁被覆チューブ1を被せたものである。絶縁被覆チューブ1は、ゴムからなる第一チューブ10と、第一チューブ10の外周に形成した、ゴムからなる第二チューブ20との間に、シールド編組30を形成したものである。【選択図】図2

Description

本発明は、シールド被覆導体に関する。
シールド電線は、例えば車両用配索材として用いられ、主に、撚り線等の導体と、該導体の外周面を絶縁被覆する内部被覆と、該内部被覆の外周面を覆う導電性のシールド編組と、該シールド編組の外周面を絶縁被覆する外部被覆と、を備える。シールド電線の一般的な製造方法は、導体の外周面に合成樹脂を押出成形して内部被覆を製造する押出工程、内部被覆の外周にシールド編組を設ける編組工程、及びシールド編組の外周面に合成樹脂を押出成形して外部被覆を製造する押出工程を有する。押出工程では、撚り線等の導体が、供給リールから引き出されてその周りに絶縁被覆が押出成形された後、巻取機によって巻き取られる。
また、シールド電線には、上記一般的な工程とは異なる工程を経て製造されるものもある。特許文献1は、押出成形され4m長に切断された中空ポリエチレン絶縁体の内部に折れ線タイプの導体を挿入し、導電性金属箔テープを縦添えした上に、編組シールドとポリ塩化ビニルジャケットとを順次設けて、車両用ラジオアンテナのフィーダ線を製造する例を開示する。
一方、特許文献2は、電線を収容する管にシールド機能を持たせた電磁波シールド管を開示する。この電磁波シールド管は、可撓性を有するものであり、熱収縮性芯材と導電性鞘材とを含む筒状編組部材を、第一ゴムチューブの外周側に配置して加熱し、熱収縮に伴って熱収縮性芯材を径方向内部へ移動させ、導電性鞘材をゴムチューブの内周側に露出させたものである。また、特許文献3は、樹脂材により網状に形成された網状層と、網状層に積層された金属層と、を一体として筒状に成形したワイヤーハーネス外装材を開示する。特許文献3のワイヤーハーネス外装材は、電線を覆って保護する機能と電磁シールド機能とを併せ持つため、内部に収容する電線から、電磁シールド層、及び電磁シールド層を保護する外皮絶縁層を省略できる。
実開平2−133816号公報 特開2012−49441号公報 特開2016−21844号公報
しかしながら、撚り線等の柔軟な導体の代わりに、硬く、曲がらない棒状導体を用いようとする場合、棒状導体は、供給リールに巻くことができず、また、巻取機による巻き取りができないため、上述した一般的な押出工程において、棒状導体の外周に被覆を押出成形することができない。また、特許文献1に記載された例においては、中空ポリエチレン絶縁体の内部に導体を挿入した後、導電性金属箔テープを縦添えし、編組シールドを設け、ポリ塩化ビニルジャケットを設けて製造するため、工数がかかる。さらに、特許文献2に記載された電磁波シールド管は、導電性を有する筒状編組部材が内周面に露出しているため、電磁波シールド管の内部に棒状導体を挿入した場合、棒状導体と筒状編組部材の露出箇所とが直接接触して電気的に接続されてしまい、シールドとして機能しなくなる。その上、特許文献3に記載されたワイヤーハーネス外装材も、金属層が網状層に対して内側(内周側)に位置しているため、ワイヤーハーネス外装材の内部に棒状導体を挿入した場合、棒状導体と金属層とが直接接触して電気的に接続されてしまい、シールドとして機能しなくなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な方法で、特に棒状導体に被覆及びシールドを行った、シールド被覆導体を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るシールド被覆導体は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 導体に、シールド層を有するチューブを被せた、シールド被覆導体。
(2) 前記チューブは、第一弾性樹脂からなる第一チューブ層と、前記第一チューブ層の外周に形成した第二弾性樹脂からなる第二チューブ層との間に、前記シールド層を形成した、
上記(1)の構成のシールド被覆導体。
(3) 前記導体は、棒状導体である、
上記(1)又は(2)の構成のシールド被覆導体。
(4) 前記チューブは、前記棒状導体の外径と同じ内径をもつ絶縁被覆チューブである、
上記(3)の構成のシールド被覆導体。
(5) 前記シールド層は、シールド編組である、
上記(1)から(4)のいずれかの構成のシールド被覆導体。
上記(1)の構成によれば、シールド層を有するチューブを導体に被せることにより、簡易な方法で、導体に被覆及びシールドを行ったシールド被覆導体を提供することができる。また、導体とチューブとを別々に製造することにより、電線の外周に絶縁被覆を押出成形する通常の押出工法では被覆できなかった、曲がらない棒状導体への被覆及びシールドが可能となる。
上記(2)の構成のシールド被覆導体によれば、シールド層を内包した、弾性樹脂からなるチューブを、容易に導体に被せることができる。
上記(3)の構成のシールド被覆導体によれば、棒状導体に、簡易な方法で被覆及びシールド機能を持たせることができる。
上記(4)の構成のシールド被覆導体によれば、簡易な方法で、導体との間に隙間を生じさせることなく、絶縁被覆及びシールドを行うことができる。
上記(5)の構成のシールド被覆導体によれば、簡易な方法で、被覆及びシールドした導体を提供することができる。
本発明によれば、シールド層を有するチューブを導体に被せることにより、簡易な方法で、導体に被覆及びシールドを行ったシールド被覆導体を提供することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本実施形態における導体のシールド被覆方法を示すフローチャートである。 図2は、本実施形態における導体のシールド被覆方法を説明する図である。 図3は、本実施形態における絶縁被覆チューブの製造方法を示すフローチャートである。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、硬くかつ曲がらない棒状導体に、シールド編組を内包した絶縁被覆チューブを被せることにより、棒状導体に絶縁被覆及びシールドを行って、シールド被覆導体を製造する例を説明する。
図1は、本実施形態における導体のシールド被覆方法を示すフローチャートである。図2は、本実施形態における導体のシールド被覆方法を説明する図である。本実施形態における導体は、図2(a)に示す棒状導体5である。棒状導体5は、電気導体として用いることができる丸棒であり、アルミニウムやアルミニウム合金、或いは銅や銅合金により製造される。棒状導体5は、断面が直径4.3mm〜15mm程度の円形状を有する。棒状導体5は、真っ直ぐな形状になるように形成され、予め長手方向0.5m〜5mの短尺に切断されている。
まず、シールド編組30を内包した絶縁被覆チューブ1(シールド層を有するチューブ)を形成する(図1のS1、図2(b))。この工程の詳細は後述する。次に、ステップS1で形成した絶縁被覆チューブ1を、予め短尺切断された棒状導体5の長さに合わせて切断する(図1のS2、図2(b))。切断は、専用の切断刃を取り付けた公知の切断機によって行う。次に、ステップS2で切断された絶縁被覆チューブ1を、棒状導体5に被せる(図1のS3、図2(c))。このようにして、棒状導体5に絶縁被覆及びシールドを行うことができる。
図3は、本実施形態における絶縁被覆チューブの製造方法を示すフローチャートである。まず、断面円形状のマンドレルを押出機に挿入し、ゴム(第一弾性樹脂)を押し出してマンドレルの外周面に均一に被せて、第一チューブ10(図2(b)参照、第一チューブ層)を成形する(S11)。次に、押出成形された第一チューブ10の外周面に、この外周面を覆うシールド編組30(図2(b)参照、シールド層)を形成する(S12)。シールド編組30は、銅、アルミニウム、ステンレス等の、ノイズ抑制に十分な導電体からなる線状材(金属線)を編み込んで形成される。尚、導電体からなる線状材を編み込んだシールド編組30の代わりに、導電性プラスチックや金属箔を用いてシールド層を形成してもよい。その後、シールド編組30の外周面にゴム(第二弾性樹脂)を押し出して、第二チューブ20(図2(b)参照、第二チューブ層)を成形する(S13)。第一チューブ10及び第二チューブ20の材質は、天然ゴムやウレタンゴム、シリコンゴム等のゴムであり、第一チューブ10と第二チューブ20とで同一であっても異なってもよい。
続いて、第二チューブ20の外周面に、キズ・凹み等の発生を防止するための保護用樹脂被膜を形成し(S14)、加硫装置にて加硫する(S15)。そして、保護用樹脂被膜を剥ぎ取り(S16)、第一チューブ10からマンドレルを引き抜いて(S17)、絶縁被覆チューブを形成する。最後に、形成された絶縁被覆チューブ1を巻き取る(S18)。このようにして形成した絶縁被覆チューブ1は、棒状導体5の外形と同じ内径を持つ。また、絶縁被覆チューブ1は、電線の絶縁体として十分な性能を満たす厚みを持つ。さらに、絶縁被覆チューブ1は、棒状導体5から放射されるノイズを遮るのに十分な性能を持つ。
上述したように、シールド編組30を内包した絶縁被覆チューブ1を形成して、第一チューブ10の内周面と棒状導体5の外周面とが密着するように絶縁被覆チューブ1を棒状導体5に被せることにより、簡易な方法で、棒状導体5に絶縁被覆及びシールドを行うことができる。棒状導体5と絶縁被覆チューブ1とを別々に製造することにより、電線の外周に絶縁被覆を押出成形する通常の押出工法では被覆できなかった、曲がらない棒状導体5への絶縁被覆及びシールドが可能となる。また、ゴム製の絶縁被覆チューブ1を用いることにより、絶縁被覆チューブ1を容易に棒状導体5に被せることができる。また、このようにシールド被覆された導体は様々な用途に利用できるが、特に車両用配索材として用いると、導体に衝撃に対する剛性を持たせつつ外部からの又は外部へのノイズの影響を抑制できるので好適である。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、本実施形態では、棒状導体5が丸棒線である場合について説明したが、棒状導体5は断面矩形状の角棒線として形成されてもよい。この場合、断面矩形状のマンドレルを用いて絶縁被覆チューブ1を形成することにより、角棒線である棒状導体5に絶縁被覆チューブ1を被せることができる。
棒状導体5に絶縁被覆チューブ1を取り付ける工程(図1のS3)において、潤滑剤を用いてもよい。まず、棒状導体5と絶縁被覆チューブ1とを、取り付けを行う治具にセットする。次に、棒状導体5に潤滑剤を吹き付ける。その後、表面に潤滑剤が塗布された棒状導体5を絶縁被覆チューブ1内に挿入する。潤滑剤を用いることにより、棒状導体5を絶縁被覆チューブ1内に容易に挿入できる。潤滑剤を用いた場合、第一チューブ10の内周面と棒状導体5の外周面とが潤滑剤を介して密着する。
また、棒状導体5に絶縁被覆チューブ1を取り付ける工程(図1のS3)において、空気などにより絶縁被覆チューブ1を膨らましながら、棒状導体5を絶縁被覆チューブ1に挿入してもよい。まず、棒状導体5と絶縁被覆チューブ1とを、取り付けを行う治具にセットする。次に、絶縁被覆チューブ1の、棒状導体5を挿入する側の端部とは逆側の端部に、空気を出すホースをセットする。その後、棒状導体5を絶縁被覆チューブ1の端部に挿入すると、絶縁被覆チューブ1が膨らみながら棒状導体5が挿入される。これにより、棒状導体5を絶縁被覆チューブ1内に容易に挿入できる。
また、本実施形態では、予め絶縁被覆チューブ1を所定の長さに切断して棒状導体5に被せる場合を好適な例として説明したが、棒状導体5に絶縁被覆チューブ1を被せた後に棒状導体5の長さに合わせて絶縁被覆チューブ1を切断してもよい。
ここで、上述した本発明の実施形態に係るシールド被覆導体及びシールド被覆方法の特徴をそれぞれ以下[1]〜[9]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 導体に、シールド層(シールド編組30)を有するチューブ(絶縁被覆チューブ1)を被せた、シールド被覆導体。
[2] 前記チューブは、第一弾性樹脂からなる第一チューブ層(第一チューブ10)と、前記第一チューブ層の外周に形成した第二弾性樹脂からなる第二チューブ層(第二チューブ20)との間に、前記シールド層を形成した、
上記[1]に記載されたシールド被覆導体。
[3] 前記導体は、棒状導体である、
上記[1]又は[2]に記載されたシールド被覆導体。
[4] 前記チューブは、前記棒状導体の外径と同じ内径をもつ絶縁被覆チューブである、
上記[3]に記載されたシールド被覆導体。
[5] 前記シールド層は、シールド編組である、
上記[1]から[4]のいずれかに記載されたシールド被覆導体。
[6] 第一弾性樹脂を押出成形した第一チューブ層(第一チューブ10)と、前記第一チューブ層の外周に第二弾性樹脂を押出成形した第二チューブ層(第二チューブ20)と、を備え、前記第一チューブ層と前記第二チューブ層との間にシールド層(シールド編組30)を内包した絶縁被覆チューブ(1)を形成し、
前記第一チューブ層の内周面と導体の外周面とが密着するように前記絶縁被覆チューブを前記導体に被せる、
ことを特徴とする、導体のシールド被覆方法。
[7] 前記第一弾性樹脂及び前記第二弾性樹脂は、ゴムであり、
マンドレルの外周面に前記第一弾性樹脂を押出成形して前記第一チューブ層を形成し、
前記第一チューブ層の前記外周面に当該外周面を覆う前記シールド層を形成し、
前記シールド層の外周面に前記第二弾性樹脂を押出成形して、当該外周面を覆う前記第二チューブ層を形成し、
前記第一チューブ層及び前記第二チューブ層を加硫し、
前記第一チューブ層から前記マンドレルを引き抜く、ことにより前記絶縁被覆チューブを形成する、
ことを特徴とする、上記[6]に記載された導体のシールド被覆方法。
[8] 前記導体は、前記絶縁被覆チューブの内径と同じ外径を有する円筒状であり、かつ、所定長さに切断された棒状導体であり、
前記絶縁被覆チューブを、前記棒状導体の前記所定長さに合わせて切断し、
切断された前記絶縁被覆チューブを、前記棒状導体に被せる、
ことを特徴とする、上記[6]または[7]に記載された導体のシールド被覆方法。
[9] 前記シールド層は、金属線を編み込んで形成したシールド編組である、
ことを特徴とする、上記[6]から[8]のいずれかに記載された導体のシールド被覆方法。
1 絶縁被覆チューブ
5 棒状導体
10 第一チューブ
20 第二チューブ
30 シールド編組

Claims (5)

  1. 導体に、シールド層を有するチューブを被せた、シールド被覆導体。
  2. 前記チューブは、第一弾性樹脂からなる第一チューブ層と、前記第一チューブ層の外周に形成した第二弾性樹脂からなる第二チューブ層との間に、前記シールド層を形成した、
    請求項1に記載されたシールド被覆導体。
  3. 前記導体は、棒状導体である、
    請求項1又は2に記載されたシールド被覆導体。
  4. 前記チューブは、前記棒状導体の外径と同じ内径をもつ絶縁被覆チューブである、
    請求項3に記載されたシールド被覆導体。
  5. 前記シールド層は、シールド編組である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載されたシールド被覆導体。
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