JP2020035659A - ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属(導体)の変色が抑えられるケーブルを提供すること。【解決手段】ケーブル10は、導体11と、導体11の外周に設けられた絶縁層12と、絶縁層12の外周に設けられたシース13とを有する。絶縁層12は、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて得られる発泡架橋ポリオレフィン絶縁層であり、化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、化学発泡剤は、ポリオレフィン100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、絶縁層12は、発泡率が5%以上30%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ケーブルおよびその製造方法に関する。
特許文献1には、ポリオレフィンからなるベース樹脂に発泡剤を混入して発泡させる発泡樹脂組成物において、ベース樹脂100質量部に対して、メジアン径0.5μm以下のアゾジカルボンアミド(ADCA)微粒子、酸化マグネシウムを0.01〜0.5質量部添加した発泡樹脂組成物が記載されている。また、特許文献1には、上記発泡樹脂組成物を絶縁体として用いた電線・ケーブルが記載されている。
特開2010−280838号公報
しかしながら、特許文献1の電線・ケーブルでは、金属(導体)が変色する問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、金属(導体)の変色が抑えられるケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るケーブルは、導体と、上記導体の外周に設けられた絶縁層と、上記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルであって、上記絶縁層は、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて得られる発泡架橋ポリオレフィン絶縁層であり、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、上記化学発泡剤は、上記ポリオレフィン100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、上記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である。
本発明に係るケーブルは、金属(導体)の変色が抑えられるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係るケーブルの断面図である。 図2は、実施形態に係るケーブルの別の例の断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
<ケーブル>
図1は、実施形態に係るケーブルの断面図である。図1に示すように、ケーブル10は、導体11と、導体11の外周に設けられた絶縁層12と、絶縁層12の外周に設けられたシース13とを有する。
導体11は、たとえば単線の金属線、複数本の金属素線が撚り合わされた撚線によって構成されている。撚線は圧縮加工されていてもよい。金属線または金属素線の材質としては、たとえば軟銅、錫メッキ軟銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。導体11は、単線の場合、直径は特に限定されないが、たとえば0.5mm以上10.0mm以下であり、撚線の場合、公称断面積は特に限定されないが、たとえば0.5mm2以上400mm2以下である。
絶縁層12は、シラングラフトされたポリオレフィンと化学発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物をシラン架橋および発泡させて得られる、シラン架橋ポリオレフィンを含む発泡架橋ポリオレフィン絶縁層である。絶縁層12の厚さは、特に限定されないが、たとえば1.0mm以上3.0mm以下である。
上記発泡性樹脂組成物に含まれるシラングラフトされたポリオレフィンは、たとえば、ポリオレフィンと、シランカップリング剤と、ラジカル発生剤とを混練して得られる。具体的には、この混練により、シラングラフトされたポリオレフィンを含む前駆体組成物が得られる。
ポリオレフィン(オレフィン系樹脂)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンが好ましく用いられる。ポリエチレンは、融点が高いため、架橋した場合に、耐熱特性に優れる。
ポリエチレンとしては、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、超低密度ポリエチレン(V−LDPE)が挙げられる。
シランカップリング剤は、ポリオレフィン分子鎖相互の架橋点となるためにポリオレフィンにグラフト化される。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤(架橋剤)は、シラングラフト化反応の開始剤として働く。ラジカル発生剤としては、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記混練の際には、架橋触媒も一緒に混練することが好ましい。架橋触媒としては、ジブチル錫モノフタレート、ジブチル錫ジフタレート、ジブチル錫モノラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫モノマレート、ジブチル錫ジマレエート、オクチル酸錫、ジブチル錫オキサイドなどのカルボン酸塩類が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記混練の際には、シランカップリング剤は、ポリオレフィン100質量部に対して、0.5質量部以上2.0質量部以下の量で用いることが好ましい。また、ラジカル発生剤は、ポリオレフィン100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の量で用いることが好ましい。また、架橋触媒は、ポリオレフィン100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の量で用いることが好ましい。
上記混練の条件は、シラングラフトされたポリオレフィンが得られる限り、特に限定されない。たとえば、上記混練は、上記成分を上記の量で配合し、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーミキサーなどの混合機により行うことができる。これにより、シラングラフトされたポリオレフィンが得られる。具体的には、シラングラフトされたポリオレフィンを含む前駆体組成物が得られる。
上記発泡性樹脂組成物に含まれる化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)から選ばれる少なくとも1種である。炭酸水素ナトリウムを単独で用いても、OBSHを単独で用いてもよく、また、炭酸水素ナトリウムおよびOBSHを併用してもよい。いいかえると、実施形態に係るケーブルでは、アゾジカルボンアミド(ADCA)用いない。実施形態に係るケーブルでは、上記化学発泡剤を用いることにより、金属(導体)の変色が抑えられる。
ところで、化学発泡剤は、熱分解により気化することで発泡性樹脂組成物を発泡させる。ADCAは熱分解生成物としてNH3ガスを発生し、また、分解残渣としてビウレア、シアヌル酸、ウラゾールが残存する。ADCAの分解ガスおよび分解残渣は、金属を変色させる可能性があることが知られている。特許文献1には、ADCAを微粒子化し、かつ酸化マグネシウムを添加することで、発生した分解残渣の成長を抑制できることが記載されている。しかしながら、分解残渣がなくなる訳でなく、付着による金属変色の問題があると考えられる。
これに対して、実施形態に係るケーブルで用いる炭酸水素ナトリウムの分解ガスはCO2およびH2Oであり、分解残渣は炭酸ナトリウムである。また、実施形態に係るケーブルで用いるOBSHの分解ガスはN2およびH2Oであり、分解残渣はp,p’−オキシビス(ベンゼンスルフィン酸)である。これらは、金属(導体)を変色させない。
さらに、炭酸水素ナトリウムおよびOBSHは、分解温度が低く、これらを用いると低温押出成形が可能となる。このため、早期架橋(スコーチ)が起こりにくく、ADCAを用いるよりも生産性に優れる。
上記発泡性樹脂組成物は、シラングラフトされたポリオレフィンについて、シラングラフト前のポリオレフィン100質量部に対して、化学発泡剤を0.1質量部以上2.0質量部以下の量で含む。0.1質量部よりも少なすぎると、発泡率が小さくなりすぎて、コストの観点から好ましくない場合がある。一方、2.0質量部よりも多すぎると、発泡率が大きくなりすぎて、耐熱特性および引張強さの観点から好ましくない場合がある。
上記発泡性樹脂組成物は、さらに、シラングラフトされたポリオレフィン以外のその他のポリオレフィンを含んでいてもよい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、上記発泡性樹脂組成物は、さらに、ゴム成分を含んでいてもよい。ゴム成分としては、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、及びニトリルゴム(NBR)が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、上記発泡性樹脂組成物は、さらに、核剤を含んでいてもよい。核剤としては、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。核剤を用いると、発泡セル径を微細化できる。
また、上記発泡性樹脂組成物は、さらに、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、充填剤を含んでいてもよい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。滑剤としては、炭化水素系滑剤、エステル系滑剤、脂肪酸系滑剤が挙げられる。充填剤としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、マイカ、ペントナイト、ゼオライト、消石灰、カオリン、けいそう土などが挙げられる。
上述のように、上記発泡性樹脂組成物は、さらに、シラングラフトされたポリオレフィン以外のその他のポリオレフィンを含んでいてもよい。また、化学発泡剤は、マスターバッチとして、上記発泡性樹脂組成物に配合してもよい。このため、その他のポリオレフィンは、たとえば、このようなマスターバッチに含まれている場合がある。その他のポリオレフィンは、シラングラフトされたポリオレフィンについて、シラングラフト前のポリオレフィン100質量部に対して、10質量部未満で含まれることが好ましい。
なお、ゴム成分、核剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、充填剤は、ポリオレフィンをシラングラフトするための混練の際に配合してもよい。また、架橋触媒は、混練の際(上記前駆体組成物を調製する際)に配合せず、上記発泡性樹脂組成物を調製する際に配合してもよい。
上記発泡性樹脂組成物を、シラン架橋および発泡させて発泡架橋ポリオレフィン絶縁層を得るが、上記シラン架橋および発泡の条件は、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層が得られる限り、特に限定されない。たとえば、シラングラフトされたポリオレフィンを含む前駆体組成物と、化学発泡剤と、必要に応じてその他の成分とを含む発泡性樹脂組成物を調製し、これをシラン架橋および発泡させて、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層を得る。具体的には、前駆体組成物と、化学発泡剤と、必要に応じてその他の成分とを押出機(たとえばスクリュー押出機)を用いて、190〜210℃の温度範囲で導体11の外周を被覆するよう押出すことにより、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層を得る。この際、大気中のH2Oおよび架橋触媒の作用により、シラングラフトされたポリオレフィンから、シロキサン結合を架橋部位としたシラン架橋ポリオレフィンが生成する。シラン架橋は、他の架橋方法と比較して、成形温度(分解温度)の点で優れている。
絶縁層12は、発泡率が5%以上30%である。本明細書において、発泡率は、発泡前と発泡後との比重割合から算出される値である。発泡率が上記範囲にあると、コスト、加熱変形および引張強さがバランスよく優れる。また、皮むき作業を容易にできる。発泡率は、たとえば、化学発泡剤の量で調整可能である。
絶縁層12は、平均発泡セル径が150μm以下である。本明細書において、平均発泡セル径は、マイクロスコープにより、絶縁体の断面を観察し、その中でセル径の大きい5点の平均値である。平均発泡セル径が上記範囲にあると、絶縁層を形成する際、発泡性樹脂組成物の物性の低下を防ぐことができる。平均発泡セル径は、たとえば、核剤の使用により調整可能である。
絶縁層12は、引張強さが11Pa以上14Pa以下である。引張強さは、たとえば、発泡率や平均発泡セル径を変えることにより調整可能である。
シース13は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの材料から形成される。シース13は、たとえば、押出機などを用いて絶縁層12の外周を被覆するよう材料を押出して形成される。シース13の厚さは、特に限定されないが、たとえば1.5mm以上2.0mm以下である。
ケーブル10は、具体的には、ポリオレフィンがポリエチレンを含み、600V以下の回路に用いられるケーブルであることが好ましい。いいかえると、絶縁層12が架橋ポリエチレンを含む発泡架橋ポリオレフィン層であり、600V以下の回路に用いられるケーブルであることが好ましい。より具体的には、JIS C 3605:2002で規定されているケーブル(600V CE、600V CE/F等)であることが好ましい。
図2は、実施形態に係るケーブルの別の例の断面図である。図2では、絶縁層12とシース13との間に、他の絶縁層14がさらに設けられている。なお、この場合も、絶縁層12は導体11に隣接しており、導体11の変色を抑制できる。他の絶縁層14は、電気特性および耐熱特性の観点から、発泡剤を含まない無発泡性樹脂組成物から形成された無発泡層であることが好ましい。さらに、実施形態に係るケーブルは、絶縁層12とシース13との間に、他の絶縁層14を2層または3層以上有していてもよい。他の絶縁層14を2層以上有する場合は、電気特性および耐熱特性の観点から、他の絶縁層14のうちシース13に隣接する層は、無発泡層であることが好ましい。
また、上述した実施形態に係るケーブルは、単心ケーブルであるが、多心ケーブルであってもよい。
また、上述した実施形態に係るケーブルは、絶縁層12がシラン架橋されたポリオレフィンを含む発泡架橋ポリオレフィン層であるが、他の架橋方法により架橋されたポリオレフィンを含む発泡架橋ポリオレフィン層であってもよい。すなわち、実施形態に係るケーブルは、導体と、上記導体の外周に設けられた絶縁層と、上記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルであって、上記絶縁層は、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて得られる発泡架橋ポリオレフィン絶縁層であり、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、上記化学発泡剤は、上記ポリオレフィン100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、上記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下であってもよい。ポリオレフィンは、たとえば化学架橋また電子線照射架橋により架橋される。なお、この場合も、ポリオレフィン、化学発泡剤の具体例、好ましい範囲等の説明は、上述したとおりである。
<ケーブルの製造方法>
実施形態に係るケーブルの製造方法は、導体と、上記導体の外周に設けられた絶縁層と、上記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルの製造方法であって、上記導体の外周に、シラングラフトされたポリオレフィンと化学発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物を、シラン架橋および発泡させて、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層である上記絶縁層を設ける工程を含み、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、上記発泡性樹脂組成物は、上記シラングラフトされたポリオレフィンについて、シラングラフト前のポリオレフィン100質量部に対して、上記化学発泡剤を0.1質量部以上2.0質量部以下の量で含み、上記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である。上記絶縁層を設ける工程などの詳細は、実施形態に係るケーブルにおいて説明したとおりである。
また、上述した実施形態に係るケーブルの製造方法は、発泡架橋ポリオレフィン層を設ける際にシラン架橋を行うが、他の架橋方法を行ってもよい。すなわち、実施形態に係るケーブルの製造方法は、導体と、上記導体の外周に設けられた絶縁層と、上記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルの製造方法であって、上記導体の外周に、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層である上記絶縁層を設ける工程を含み、上記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、上記化学発泡剤は、上記ポリオレフィン100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、上記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下であってもよい。
[実施例]
[実施例1]
ポリエチレン100質量部、シランカップリング剤としてビニルトリメトキシシラン1.0質量部、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド0.05質量部、および架橋触媒としてジブチル錫ジラウレート0.08質量部をヘンシェルミキサーにて混練し、前駆体組成物を得た。続いて、スクリュー押出機のシリンダー内に、前駆体組成物と、OBSHを含む発泡剤マスターバッチとを供給し、これらから得られる発泡性樹脂組成物を、断面積14mm2の銅線上に押出し、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層を形成した。ここで、発泡性樹脂組成物中において、シラングラフト前のポリエチレン100質量部に対して、OBSHが0.1質量部の量で含まれるように、マスターバッチを供給した。また、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層が0.9mm厚となるように押出した。このようにして、試作ケーブルを作製した。
[実施例2]
発泡性樹脂組成物中において、シラングラフト前のポリエチレン100質量部に対して、OBSHが1.0質量部の量で含まれるように、マスターバッチを供給した以外は、実施例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[実施例3]
発泡性樹脂組成物中において、シラングラフト前のポリエチレン100質量部に対して、OBSHが2.0質量部の量で含まれるように、マスターバッチを供給した以外は、実施例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[実施例4]
OBSHの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[実施例5]
OBSHの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は、実施例2と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[実施例6]
OBSHの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は、実施例3と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[比較例1]
発泡性樹脂組成物中において、シラングラフト前のポリエチレン100質量部に対して、OBSHが0.05質量部の量で含まれるように、マスターバッチを供給した以外は、実施例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[比較例2]
発泡性樹脂組成物中において、シラングラフト前のポリエチレン100質量部に対して、OBSHが3.0質量部の量で含まれるように、マスターバッチを供給した以外は、実施例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[比較例3]
OBSHの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は、比較例1と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[比較例4]
OBSHの代わりに炭酸水素ナトリウムを用いた以外は、比較例2と同様にして、試作ケーブルを作製した。
[比較例5]
OBSHの代わりにADCAを用いた以外は、実施例2と同様にして、試作ケーブルを作製した。
なお、上記で用いた各成分の詳細は、以下のとおりである。
ポリエチレン(住友化学株式会社製、CU5003)
OBSHを含むマスターバッチ(永和化成工業株式会社製、ネオセルボンN♯5000)、分解温度:155〜165℃
炭酸水素ナトリウムを含むマスターバッチ(永和化成工業株式会社製、FE−507)、分解温度:140〜170℃
ADCAを含むマスターバッチ(永和化成工業株式会社製、ビニホールAC♯3)、分解温度:200〜210℃
[評価]
評価方法および評価基準は、以下の通りである。
加熱変形試験(耐熱特性)は、JIS C 3005:2014に準拠して測定した。40%以下の場合を〇(合格)とし、40%を超える場合を×(不合格)とする。
導体変色については、加熱変形試験前後で、導体の変色の有無を調べた。変色なしの場合を〇とし、変色ありの場合を×とする。
コストについては、発泡率が5%以上の場合を〇とし、発泡率が5%未満の場合を×とする。
また、総合判定は、すべての評価基準を満たす場合を〇とし、1つ以上の評価基準を満たさない場合を×とする。
評価結果を表1に示す。
Figure 2020035659
10 ケーブル
11 導線
12 絶縁層
13 シース
14 他の絶縁層

Claims (9)

  1. 導体と、前記導体の外周に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルであって、
    前記絶縁層は、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて得られる発泡架橋ポリオレフィン絶縁層であり、
    前記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記化学発泡剤は、前記ポリオレフィン100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、
    前記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である、
    ケーブル。
  2. 導体と、前記導体の外周に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルであって、
    前記絶縁層は、シラングラフトされたポリオレフィンと化学発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物を、シラン架橋および発泡させて得られる発泡架橋ポリオレフィン絶縁層であり、
    前記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記発泡性樹脂組成物は、前記シラングラフトされたポリオレフィンについて、シラングラフト前のポリオレフィン100質量部に対して、前記化学発泡剤を0.1質量部以上2.0質量部以下の量で含み、
    前記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である、
    ケーブル。
  3. 前記発泡性樹脂組成物は、さらに核剤を含む、
    請求項2に記載のケーブル。
  4. 前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル。
  5. 前記絶縁層は、平均発泡セル径が150μm以下である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル。
  6. 前記絶縁層と前記シースとの間に、他の絶縁層がさらに設けられた、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブル。
  7. 前記ポリオレフィンは、ポリエチレンを含み、600V以下の回路に用いられる、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のケーブル。
  8. 導体と、前記導体の外周に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルの製造方法であって、
    前記導体の外周に、ポリオレフィンと化学発泡剤とを用いて、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層である前記絶縁層を設ける工程を含み、
    前記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記化学発泡剤は、前記ポリオレフィン100質量部に対して0.1質量部以上2.0質量部以下の量で用いられ、
    前記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である、
    ケーブルの製造方法。
  9. 導体と、前記導体の外周に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の外周に設けられたシースとを有するケーブルの製造方法であって、
    前記導体の外周に、シラングラフトされたポリオレフィンと化学発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物を、シラン架橋および発泡させて、発泡架橋ポリオレフィン絶縁層である前記絶縁層を設ける工程を含み、
    前記化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウムおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記発泡性樹脂組成物は、前記シラングラフトされたポリオレフィンについて、シラングラフト前のポリオレフィン100質量部に対して、前記化学発泡剤を0.1質量部以上2.0質量部以下の量で含み、
    前記絶縁層は、発泡率が5%以上30%以下である、
    ケーブルの製造方法。
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