JP2020035179A - 最適化装置、最適化装置の制御方法及び最適化装置の制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、従来の最適化装置で3値以上の値をもつ変数を用いてニューロンの状態を表す場合、1つの変数を複数ビットを用いて表現することにより、ニューロンの状態を更新するか否かを決めるイジングモデルのエネルギー変化を算出するための回路規模が増大してしまう問題がある。
以下に示す最適化装置は、計算対象の問題を変換したイジングモデルに含まれる複数のスピンに対応する複数のニューロンのそれぞれの状態の組み合わせのうち、エネルギー関数が最小値となるときの状態の組み合わせを探索するものである。各ニューロンは、m値(mは3以上の整数)の変数を用いて状態が表される。また、変数は所定のビット幅をもち、変化する際には、正または負方向に2n(nは0以上の整数)変化するものとする。
変数xiの正方向及び負方向の変化に伴うエネルギー変化ΔEi±は、以下の式(2)で表される。
なお、式(2)において、hiはローカルフィールド(局所場)と呼ばれる。
図1は、第1の実施の形態の最適化装置の一例を示す図である。
第1の実施の形態の最適化装置10は、N個のニューロンに関する計算を行うN個のイジング装置11a1,11a2,…,11aN、更新ニューロン選択回路12、状態更新回路13、制御部14を有する。イジング装置11a1〜11aNのそれぞれは、1チップの半導体集積回路であってもよいし、1チップの半導体集積回路の中に、イジング装置11a1〜11aNが含まれていてもよい。
レジスタ11b11は、N個の重み係数W11,W12,…,W1Nを記憶する。なお、重み係数W11,W12,…,W1Nは、SRAM(Static Random Access Memory)などのメモリに記憶されていてもよい。なお、全ての重み係数W11〜WNNが1つのメモリに記憶されていてもよい。
また、上限値や下限値を含む制限情報LMTは、制御部14から供給される。状態遷移判定回路11c1は、1番目のニューロンの状態が、正または負方向に2n変化することにより上限値を超えるまたは下限値を下回る場合、たとえば、エネルギー変化ΔE1+またはエネルギー変化ΔE1−を、十分に大きな所定の正の値に変更する。これによって、状態遷移判定回路11c1は、1番目のニューロンの状態の更新が許容されないようにする。この所定の正の値は、たとえば、エネルギー変化を所定の正の値に変更したときの、更新を許容するか否かの判定結果の値の検出結果に基づいて決定されるようにしてもよい。
他のイジング装置11a2〜11aNについても、2〜N番目のニューロンに関して、イジング装置11a1と同様の処理を行う。
図2は、第1の実施の形態の最適化装置の動作の一例の流れを示すフローチャートである。
エネルギー変化算出部11b13〜11bN3のそれぞれは、式(2)に基づいて、2つのエネルギー変化ΔEi+,ΔEi−を算出する(ステップS3)。
制御部14は、ステップS2〜S6の更新処理が所定回数N1、繰り返されたか否かを判定する(ステップS7)。更新処理が所定回数N1、繰り返されていない場合には、ステップS2〜S6の更新処理が繰り返される。
温度変更回数が所定回数N2に達していない場合、制御部14は、温度パラメータTを変更する(温度を下げる)(ステップS9)。所定回数N1,N2、温度パラメータTの値の変更の仕方(一度に値をどのくらい小さくするかなど)は、アニーリング条件に基づいて決定される。ステップS9の処理後、ステップS2からの処理が繰り返される。
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態の最適化装置の一例を示す図である。図3において、図1に示した第1の実施の形態の最適化装置10の要素と同じ要素については同一符号が付されている。
ΔE変更部21b12は、変数x1が−2n変化することにより下限値を下回る場合、エネルギー変化ΔE1−を所定の正の値ΔEmaxに変更する。
図4は、1つ目のΔE変更部の一例を示す図である。図4では、ΔE変更部21b11の例が示されている。
2n加算部30は、状態更新回路13から供給される現在の変数x1に2nを加算する。
ΔE変更部21b12は、2n減算部33、比較回路34、セレクタ35を有する。
比較回路34は、制限情報LMTに含まれる変数x1の下限値x1minと、2n減算部33における減算結果とを比較する。そして、比較回路34は、減算結果が下限値x1minを下回る場合には1を出力し、それ以外の場合には0を出力する。
遷移可否決定部21b13は、符号反転部40、加算器41、乱数発生回路42、選択法則適用部43、乗算器44、比較回路45を有する。
加算器41は、符号反転部40の出力値に、後述するオフセット生成回路23が生成するオフセット値offを加える。
選択法則適用部43は、シミュレーテッド・アニーリングを行うための選択法則(メトロポリス法またはギブス法)に基づいた値を出力する。
式(3)で表される許容確率A(ΔE,T)を用いた場合、十分な反復後に定常状態に達したとすると、各状態の占有確率は熱力学における熱平衡状態に対するボルツマン分布にしたがう。そして、高い温度から徐々に下げていくとエネルギーの低い状態の占有確率が増加するため、十分温度が下がるとエネルギーの低い状態が得られるはずである。この様子が材料を焼き鈍したときの状態変化とよく似ているため、この方法はシミュレーテッド・アニーリングと呼ばれるのである。このとき、エネルギーが上がる状態遷移が確率的に起こることは、物理学における熱励起に相当する。
比較回路45は、加算器41による加算結果と、T・f−1(r)とを比較し、加算結果が、T・f−1(r)より大きい場合、フラグ情報FLG1+として1を出力し、T・f−1(r)より小さい場合、フラグ情報FLG1+として0を出力する。
イジング装置21a1〜21aNのうち、イジング装置21a1以外についても、イジング装置21a1と同様の構成を有し、2〜N番目のニューロンに対して同様の処理を行う。
ΔE変更部21bN1は、変数xNが+2n変化することにより上限値を超える場合、エネルギー変化ΔEN+を所定の正の値ΔEmaxに変更する。
遷移可否決定部21bN3は、エネルギー変化ΔEN+または正の値ΔEmaxと、熱励起エネルギーとの大小関係に基づいて、エネルギー変化ΔEN+をもたらすN番目のニューロンの状態の更新を許容するか否かを判定する。
図7は、第2の実施の形態の最適化装置の動作の一例の流れを示すフローチャートである。
ステップS22の処理後、状態遷移判定回路21b1〜21bNのそれぞれは、更新する場合に定義域外となる変数xiについてのエネルギー変化ΔEi+またはエネルギー変化ΔEi−を正の値ΔEmaxに変更する(ステップS23)。
以上のような第2の実施の形態の最適化装置20では、第1の実施の形態の最適化装置10と同様の効果が得られる。また、最適化装置20は、更新する場合に定義域外となる変数xiについてのエネルギー変化ΔEi+またはエネルギー変化ΔEi−を、正の値ΔEmaxに変更することで、変数xiが定義域外となる更新が抑制される。
図8は、第3の実施の形態の最適化装置の一例を示す図である。図8において、図1、図3に示した最適化装置10,20の要素と同じ要素については同一符号が付されている。
定義域確認部51b13は、変数x1が+2n変化することにより上限値を超える場合、更新を許容するか否かの判定結果を示すフラグ情報を0(更新を許容しないことを示す)にする。
図9は、1つ目の定義域確認部の一例を示す図である。図9では、定義域確認部51b13の例が示されている。
2n加算部60は、状態更新回路13から供給される現在の変数x1に2nを加算する。
定義域確認部51b14は、2n減算部63、比較回路64、AND回路65を有する。
比較回路64は、制限情報LMTに含まれる変数x1の下限値x1minと、2n減算部63における減算結果とを比較する。そして、比較回路64は、減算結果が下限値x1minを下回る場合には0を出力し、それ以外の場合には1を出力する。
遷移可否決定部51bN1は、エネルギー変化ΔEN+と、熱励起エネルギーとの大小関係に基づいて、エネルギー変化ΔEN+をもたらすN番目のニューロンの状態の更新を許容するか否かを判定する。
定義域確認部51bN4は、変数xNが−2n変化することにより下限値を下回る場合、更新を許容するか否かの判定結果を示すフラグ情報を0にする。
図11は、第3の実施の形態の最適化装置の動作の一例の流れを示すフローチャートである。
ステップS42の処理後、状態遷移判定回路51b1〜51bNのそれぞれは、エネルギー変化ΔEi+,ΔEi−をもたらす各ニューロンの状態の更新をそれぞれ許容するか否かを判定する(ステップS43)。ステップS43の処理には、前述のオフセット値offの加算処理なども含まれる。
以降のステップS45〜S50の処理は、図2に示したステップS5〜S10の処理と同じである。
図12は、第4の実施の形態の最適化装置の一例を示す図である。図12において、図1、図3、図8に示した最適化装置10,20,50の要素と同じ要素については同一符号が付されている。
イジング装置71a1〜71aNの算出回路71b1〜71bNに含まれるローカルフィールド更新部71b11〜71bN1のそれぞれには、シフト量n1〜nNが供給される。そして、ローカルフィールド更新部71b11〜71bN1のそれぞれは、状態が更新されたニューロンについてのシフト量を用いて、ローカルフィールドを更新する。
不一致回路80は、i番目のニューロンの識別情報ID(=i)と、状態が更新されたニューロンの識別情報ID(=j)とが不一致の場合に、1を出力し、一致している場合に0を出力する。
シフト演算回路82は、選択回路81の出力が0の場合には0を出力し、選択回路81の出力が重み係数Wijの場合には、重み係数Wijをnjビット分、左シフトした値(Wij*(1<<nj)=2njWij)を出力する。状態変化方向DRに応じて、2njWijに対し1または−1を掛けたものが、ローカルフィールドhiの変化分となる。
図14は、第4の実施の形態の最適化装置の動作の一例の流れを示すフローチャートである。
制御装置90は、CPU91、RAM92、HDD(Hard Disk Drive)93、画像信号処理部94、入力信号処理部95、媒体リーダ96、通信インタフェース97及びインタフェース98を有する。上記ユニットは、バスに接続されている。
制御装置90は、制御部74は、最適化装置98aに対して、重み係数Wij、ローカルフィールドhiの初期値、温度パラメータTの初期値、制限情報LMTの設定を行う。また、制御装置90は、最適化装置98aが図12に示したようなシフト量保持部73a1〜73aNを含む場合、シフト量n1〜nNの設定を行う(ステップS70)。
なお、前述のように、上記の制御装置90の処理内容は、コンピュータにプログラムを実行させることで実現できる。
11a1〜11aN イジング装置
11b1〜11bN 算出回路
11b11〜11bN1 レジスタ
11b12〜11bN2 ローカルフィールド更新部
11b13〜11bN3 エネルギー変化算出部
11c1〜11cN 状態遷移判定回路
12 更新ニューロン選択回路
13 状態更新回路
14 制御部
20 制御装置
Claims (7)
- 計算対象の問題を変換したイジングモデルに含まれる複数のスピンに対応し、それぞれm値(mは3以上の正の整数)の変数を用いて状態が表される複数のニューロンのうち、状態が更新された第1のニューロンの状態変化方向と、前記第1のニューロンと第2のニューロンとの間の相互作用の大きさを示す重み係数と、に基づいて、前記第2のニューロンの状態が、正負両方向に2n(nは0以上の整数)変化することによる前記イジングモデルの2つのエネルギー変化を算出する算出回路と、
乱数と温度パラメータとに基づいて決定される熱励起エネルギーと、前記2つのエネルギー変化との大小関係に基づいて、前記2つのエネルギー変化をもたらす前記第2のニューロンの状態の更新をそれぞれ許容するか否かを判定し、更新を許容するか否かの判定結果を出力するとともに、前記第2のニューロンの状態が上限値を超えるまたは下限値を下回る更新を制限する状態遷移判定回路と、
をそれぞれが有し、互いに異なる前記第2のニューロンについての前記判定結果をそれぞれ出力する複数のイジング装置と、
前記複数のイジング装置のそれぞれが出力する前記判定結果に基づいて、更新を許容する前記第2のニューロンを1つ選択するとともに、前記状態変化方向を選択する更新ニューロン選択回路と、
前記更新ニューロン選択回路が選択した前記第2のニューロンの状態を、前記状態変化方向に基づいて更新する状態更新回路と、
を有する最適化装置。 - 前記状態遷移判定回路は、前記第2のニューロンの状態が、正または負方向に前記2n変化することにより前記上限値を超える、または前記下限値を下回る場合、前記2つのエネルギー変化のうち、前記上限値を超える、または前記下限値を下回る前記第2のニューロンの状態の変化による第1のエネルギー変化を、所定の正の値に変更した上で、前記第1のエネルギー変化をもたらす前記第2のニューロンの状態の更新を許容するか否かを判定する、
請求項1に記載の最適化装置。 - 前記状態遷移判定回路は、前記第2のニューロンの状態が、正または負方向に前記2n変化することにより前記上限値を超える、または前記下限値を下回る場合、前記2つのエネルギー変化をもたらす前記第2のニューロンの状態の更新をそれぞれ許容するか否かの前記判定結果のうち、前記上限値を超える、または前記下限値を下回る前記第2のニューロンの状態の変化による更新を許容するか否かの第1の判定結果を、更新を許容しないことを示す値に変更する、
請求項1に記載の最適化装置。 - 前記算出回路は、前記第1のニューロンの状態が、正または負方向に前記2n変化したときに、所定のビット幅をもつ前記重み係数を、前記nのビット数分、左シフトした値を用いて、前記2つのエネルギー変化を算出する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の最適化装置。 - 前記複数のニューロンのそれぞれについての前記nの値を、個々に設定する制御部を有する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の最適化装置。 - 計算対象の問題を変換したイジングモデルに含まれる複数のスピンに対応し、それぞれm値(mは3以上の正の整数)の変数を用いて状態が表される複数のニューロンのうち、状態が更新された第1のニューロンの状態変化方向と、前記第1のニューロンと第2のニューロンとの間の相互作用の大きさを示す重み係数と、に基づいて、前記第2のニューロンの状態が、正負両方向に2n(nは0以上の整数)変化することによる前記イジングモデルの2つのエネルギー変化を算出する算出回路と、
乱数と温度パラメータとに基づいて決定される熱励起エネルギーと、前記2つのエネルギー変化との大小関係に基づいて、前記2つのエネルギー変化をもたらす前記第2のニューロンの状態の更新をそれぞれ許容するか否かを判定し、更新を許容するか否かの判定結果を出力するとともに、前記第2のニューロンの状態が上限値を超えるまたは下限値を下回る更新を制限する状態遷移判定回路と、
をそれぞれが有し、互いに異なる前記第2のニューロンについての前記判定結果をそれぞれ出力する複数のイジング装置と、
前記複数のイジング装置のそれぞれが出力する前記判定結果に基づいて、更新を許容する前記第2のニューロンを1つ選択するとともに、前記状態変化方向を選択する更新ニューロン選択回路と、
前記更新ニューロン選択回路が選択した前記第2のニューロンの状態を、前記状態変化方向に基づいて更新する状態更新回路と、
を有する最適化装置に対して、
制御装置が、前記重み係数、前記上限値及び前記下限値を設定し、
前記制御装置が、前記温度パラメータの大きさを制御する、
最適化装置の制御方法。 - 計算対象の問題を変換したイジングモデルに含まれる複数のスピンに対応し、それぞれm値(mは3以上の正の整数)の変数を用いて状態が表される複数のニューロンのうち、状態が更新された第1のニューロンの状態変化方向と、前記第1のニューロンと第2のニューロンとの間の相互作用の大きさを示す重み係数と、に基づいて、前記第2のニューロンの状態が、正負両方向に2n(nは0以上の整数)変化することによる前記イジングモデルの2つのエネルギー変化を算出する算出回路と、
乱数と温度パラメータとに基づいて決定される熱励起エネルギーと、前記2つのエネルギー変化との大小関係に基づいて、前記2つのエネルギー変化をもたらす前記第2のニューロンの状態の更新をそれぞれ許容するか否かを判定し、更新を許容するか否かの判定結果を出力するとともに、前記第2のニューロンの状態が上限値を超えるまたは下限値を下回る更新を制限する状態遷移判定回路と、
をそれぞれが有し、互いに異なる前記第2のニューロンについての前記判定結果をそれぞれ出力する複数のイジング装置と、
前記複数のイジング装置のそれぞれが出力する前記判定結果に基づいて、更新を許容する前記第2のニューロンを1つ選択するとともに、前記状態変化方向を選択する更新ニューロン選択回路と、
前記更新ニューロン選択回路が選択した前記第2のニューロンの状態を、前記状態変化方向に基づいて更新する状態更新回路と、
を有する最適化装置に対して、
前記重み係数、前記上限値及び前記下限値を設定し、
前記温度パラメータの大きさを制御する、
処理をコンピュータに実行させる最適化装置の制御プログラム。
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