JP2020033804A - 防火部材、防火構造体及びその施工方法 - Google Patents

防火部材、防火構造体及びその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 作業性に優れ、大口径の貫通孔へも容易に適用することが可能な防火部材等を提供する。【解決手段】 防火部材1は、主に、耐火材3、熱膨張部材5、弾性部材7等から構成される。耐火材3は、圧縮変形可能な部材である。耐火材3には、マイクロバルーン4が混入される。マイクロバルーン4は、加熱すると膨張する。耐火材3には、発熱部材8が混入される。発熱部材8は、他の物質と反応して発熱可能であり、例えば水と反応して発熱する生石灰などの粒子である。発熱部材8によって、耐火材3を加熱することができる。すなわち、発熱部材8は、耐火材3に混入するマイクロバルーン4を加熱することができる。耐火材3に混入されるマイクロバルーン4を加熱することで、耐火材3を膨張させた状態を示す図である。耐火材3を加熱することで耐火材3を膨張させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、配管やケーブルなどの区画部への貫通部に対して防火性能を確保するための防火部材等に関するものである。
建造物等において、区画部で区画された各部屋に配管やケーブル(以下、単に長尺体と称する場合がある)が敷設される場合がある。この場合、例えば一方の部屋で火災が発生すると、長尺体を伝って、火災が建造物全体に広がり、甚大な被害をもたらすおそれがある。
このような区画部を貫通する長尺体の防火構造としては、例えば、熱膨張性部材をカバー体で覆った耐火処理材を、配線・配管材の貫通部に複数配置して、貫通部を閉鎖する方法がある(例えば、特許文献1)。
また、略筒状の本体部の内面に熱膨張部材を設け、熱膨張部材を覆うように弾性体を設けた耐火部材がある(例えば、特許文献2)。
特開2015−19853号公報 特開2016−112345号公報
しかし、特許文献1の方法では、使用する部材も多く、施工時間が長くなるという問題がある。また、作業者の技量によって施工ミスも生じやすい。例えば、貫通孔からの耐火処理材のはみ出しがなく、貫通孔に隙間なく耐火処理材を配置することは困難である。
また、特許文献2の方法は、極めて短時間で施工することが可能であり、作業者の特殊な技量も不要であるが、長尺部材と貫通孔との隙間が大きい場合などにおいて、熱膨張部材の性能上、膨張した熱膨張部材が脱落しやすくなり、例えば大口径の貫通孔への適用が困難な場合がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、作業性に優れ、大口径の貫通孔へも容易に適用することが可能な防火部材等を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、第1の発明は、変形可能な耐火材と、前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、を具備し、前記マイクロバルーンは、前記熱膨張部材の膨張温度よりも低温であって、施工時の温度である、常温よりも高温で膨張し、前記耐火材を膨張させることが可能であることを特徴とする防火部材である。
前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側の外面に、板状の弾性部材が配置されることが望ましい。
前記弾性部材の少なくとも一方の辺において、前記耐火材及び前記熱膨張部材がはみ出していてもよい。
前記弾性部材の少なくとも一方の辺が折曲げられていてもよい。
前記熱膨張部材の表面に、発泡体が配置されてもよい。
前記耐火材を加熱する発熱部材と、前記発熱部材を発熱させるためのトリガー部と、を有し、前記発熱部材は、前記トリガー部の操作によって、他の物質と反応して発熱可能であり、前記発熱部材の発熱温度は、前記マイクロバルーンの膨張開始温度よりも高く、前記熱膨張部材の膨張開始温度よりも低くてもよい。
第1の発明によれば、加熱すると膨張するマイクロバルーンが混入する耐火材を用いるため、運搬時においてもかさばることがなく、また、軽量であるため作業性も良好である。また、長尺体の周りに配置して加熱するだけで、容易に貫通孔と長尺体との隙間を埋めることができる。また、マイクロバルーンの種類や混入量によって膨張量を容易に調整することが可能であり、大口径の貫通孔に対しても適用が可能である。
また、耐火材の外面に板状の弾性部材を配置することで、防火部材を丸めて貫通孔に挿入した際に、弾性部材の復元力によって防火部材を貫通孔の内面に押し付けた状態とすることができる。このため、貫通孔に対して、防火部材を容易に保持することができる。また、防火部材の径が広がるため、設置作業の際に、内面側の熱膨張部材と長尺体とが接触することを抑制し、防火部材を貫通孔に容易に配置することができる。
また、弾性部材の少なくとも一方の辺において、熱膨張部材等がはみ出すようにすることで、例えば、弾性部材の端部同士を突き合せて円形にし、貫通孔に配置した際、熱膨張部材同士及び耐火材同士の間に隙間が形成されることを抑制することができる。
また、弾性部材の少なくとも一方の辺が折曲げられていれば、弾性部材の剛性が高くなり、潰れ等の変形を抑制することができる。
また、熱膨張部材の表面に発泡体を配置することで、設置作業の際に、内面側の熱膨張部材と長尺体とが接触することを抑制し、防火部材を貫通孔に容易に配置することができる。また、例えば複数の長尺体を配置した場合など、長尺体同士の間に形成される外形の凹凸に対しても容易に追従し、隙間を埋めることができる。
また、トリガー部を操作することで、耐火材を加熱する発熱部材を用いることで、特殊な道具等を利用せずに、現場にて、マイクロバルーンを容易に加熱することができる。
第2の発明は、防火部材を用いた防火構造体の施工方法であって、前記防火部材は、変形可能な耐火材と、前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、を具備し、前記防火部材を、前記熱膨張部材を内面側にして区画部に形成された貫通孔に配置する工程と、前記耐火材を、前記マイクロバルーンの膨張開始温度よりも高く、前記熱膨張部材の膨張開始温度よりも低い温度で加熱することで、前記耐火材を膨張させ、前記貫通孔を挿通された長尺体の外面に前記熱膨張部材を押し付ける工程と、を具備することを特徴とする防火構造体の施工方法である。
前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側の外面に、板状の弾性部材が配置されており、前記弾性部材を丸めて前記貫通孔に挿通し、前記弾性部材の復元力で、前記防火部材が前記貫通孔の内面側に押し付けられることが望ましい。
第2の発明によれば、防火部材を貫通孔に丸めて配置した後に、耐火材を加熱するだけで耐火材を膨張させて、長尺体と貫通孔との隙間を確実に埋めることができる。
また、耐火材の外面に板状の弾性部材を配置することで、設置作業の際に、内面側の熱膨張部材と長尺体とが接触することを抑制し、貫通孔に対して防火部材を容易に配置することができる。
第3の発明は、防火部材を用いた防火構造体であって、前記防火部材は、変形可能な耐火材と、前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側に配置された板状の弾性部材と、を具備し、区画部に形成された貫通孔に長尺体が挿通されており、前記長尺体の外周に、前記防火部材が丸められて配置され、前記弾性部材の復元力で、前記防火部材が前記貫通孔の内面側に押し付けられるとともに、前記長尺体の外面に前記熱膨張部材が押し付けられることを特徴とする防火構造体である。
第3の発明によれば、板部材がスリーブとしても機能するため、確実に貫通孔に防火部材を配置した状態で保持することができる。
本発明によれば、作業性に優れ、大口径の貫通孔へも容易に適用することが可能な防火部材等を提供することができる。
防火部材1を示す斜視図。 (a)は防火部材1を示す断面図であり、図1のA−A線断面図、(b)は耐火材3を膨張させた状態の断面図。 防火構造体を施工する工程を示す図。 防火構造体を施工する工程を示す図で、(a)は貫通孔13の軸方向に平行な断面図、(b)は貫通孔13の軸方向に垂直な断面図。 防火構造体20を示す図。 防火構造体20を示す図で、(a)は貫通孔13の軸方向に平行な断面図、(b)は貫通孔13の軸方向に垂直な断面図。 防火部材1aを設置した状態を示す図。 防火部材1bを示す図。 (a)は防火部材1bを設置した状態を示す図、(b)は防火構造体20aを示す図。 防火部材1cを示す平面図。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる防火部材1を示す斜視図であり、図2(a)は、図1のA−A線断面図である。防火部材1は、主に、耐火材3、熱膨張部材5、弾性部材7等から構成される。
耐火材3は、圧縮変形可能な部材である。耐火材3としては、例えば、ガラスウールやロックウール等の繊維状であって、体積の多くを空気が占めており、収縮性を有する無機材料の不燃材や、その他の難燃材等を適用可能である。
耐火材の一方の側の外面には、熱膨張部材5が設けられる。熱膨張部材5は、火災時等の熱によって膨張する部材である。熱膨張部材5は、例えば熱膨張性黒鉛のシートであり、表面には必要に応じて粘着シートが設けられる。熱膨張部材5の膨張倍率は、例えば、60分燃焼試験後に5倍以上であることが望ましい。なお、熱膨張部材5の長手方向の長さと、耐火材3の長さは、略同一である。
図2(a)に示すように、耐火材3には、マイクロバルーン4(マイクロスフィアともいう)が混入される。マイクロバルーン4は、加熱すると膨張する部材である。なお、マイクロバルーン4は、熱膨張部材5の膨張温度よりも低温であって、施工時の温度である常温(例えば20℃)よりも高温で膨張する。マイクロバルーン4を膨張させることで、マイクロバルーン4が混入している耐火材3を膨張させることが可能である。
マイクロバルーン4としては、無機系のものと有機系のものとがあるが、本発明では、無機系と有機系との併用であることが望ましい。例えば、無機系と有機系とが一体化したものを使用することができる。このようにすることで、有機系単体または無機系単体のマイクロバルーンと比較して、体積膨張率が高く、膨張力も大きく、膨張温度の調整幅を広くすることができる。なお、マイクロバルーン4の体積膨張率としては、例えば50〜100倍であり、膨張温度としては、80℃〜200℃の範囲で調整可能である。
また、マイクロバルーン4の配合量としては、30wt%以下であることが望ましい。また、耐火材3からのマイクロバルーン4の脱落を防止するために、バインダーを配合してもよい。また、耐火材3を不織布等で覆ってもよい。
耐火材3には、発熱部材8が混入される。発熱部材8は、他の物質と反応して発熱可能であり、例えば水と反応して発熱する生石灰などの粒子である。発熱部材8によって、耐火材3を加熱することができる。すなわち、発熱部材8は、耐火材3に混入するマイクロバルーン4を加熱することができる。
耐火材3の熱膨張部材5とは逆側には水袋9が設けられる。水袋9は、内部に水が封入されている。水袋9には、紐10が接続されており、紐10を引っ張ることで、水袋9を破き、内部の水を放出させることができる。すなわち、紐10を引っ張り、水袋9内の水を放出することで、水が耐火材3に浸透し、水と発熱部材8とを反応させて、発熱させることができる。すなわち、水袋9と紐10が、発熱部材8を発熱させるためのトリガー部として機能し、トリガー部の操作によって、発熱部材8を発熱させることができる。
なお、発熱部材8の発熱温度は、マイクロバルーン4の膨張開始温度よりも高い必要がある。このためマイクロバルーン4の膨張開始温度は、発熱部材8の発熱温度よりも低くなるように調整される。また、発熱部材8の発熱温度は、熱膨張部材5の膨張開始温度よりも低く設定される。
図2(b)は、耐火材3に混入されるマイクロバルーン4を加熱して、耐火材3を膨張させた状態を示す図である。耐火材3を加熱することで耐火材3を膨張させることができる。なお、発熱部材8は、生石灰に限られない。例えば、鉄粒子を酸素と反応させて発熱させるなど、発熱反応を起すことが可能であれば、特に限定されない。また、発熱部材8を用いずに、例えば外部からドライヤーなどで加熱することが可能であれば、他の加熱手段を用いてもよい。
耐火材3の熱膨張部材5とは逆側であって、水袋9の外面には、弾性部材7が配置される。弾性部材7は、板状の部材であり、例えば金属製である。弾性部材7としては、例えば、0.2mm〜0.3mm程度のばね鋼を適用することができる。弾性部材7の長手方向の長さは、耐火材3および熱膨張部材5の長さよりも短い。したがって、弾性部材7の長手方向の少なくとも一方の辺において、耐火材3及び熱膨張部材5がはみ出す。
次に、防火部材1を用いた防火構造体の施工方法について説明する。図3は、防火構造体の施工工程を示す図である。まず、区画部11に貫通孔13を形成し、形成された貫通孔13に長尺体15を通す。
なお、図示した例では、区画部11は壁であり、この場合には、RC造の壁や木造中空壁、石膏ボードによる中空壁等いずれでもよい。また、壁に代えて、床や天井であってもよく、RC造の床や、ALCの床など区画部の態様は限定されない。また、長尺体15は、一本でなくてもよく、複数本であってもよい。
次に、長尺体15の外周であって、区画部11に形成された貫通孔13の内部に、防火部材1を配置する。この際、防火部材1を、熱膨張部材5が内面側となるように丸めて、貫通孔13内に挿入する。
図4(a)は、防火構造体を施工する工程を示す貫通孔の軸方向に平行な断面図であり、図4(b)は貫通孔の軸方向に垂直な断面図である。防火部材1を丸めると、最外周の弾性部材7の復元力によって、防火部材1は、外周方向に広がる方向に元の形態に戻ろうとする。このため、防火部材1を貫通孔13の内部に配置した際には、防火部材1(弾性部材7)が貫通孔13の内面側に押し付けられる。このため、設置後の防火部材1の位置ずれや脱落が抑制される。なお、弾性部材7が無くても、耐火材3等によって反発力が十分にあれば、弾性部材7は、必ずしも必要ではない。
また、防火部材1の総厚みは、貫通孔13の内面と長尺体15の間のクリアランスよりも薄い。このため、防火部材1の最内層の熱膨張部材5と長尺体15との間には隙間が形成される。このため、熱膨張部材5は長尺体15と接触せずに、容易に防火部材1を貫通孔13に配置することができる。
ここで、貫通孔13の内周長と弾性部材7の長手方向(貫通孔13の周方向に対応)の長さはほぼ一致する。このため、防火部材1を貫通孔13に設置した際に、弾性部材7の両端部同士を突き合せて配置することができる。この際、熱膨張部材5と耐火材3は、弾性部材7よりも長いため、熱膨張部材5と耐火材3の両端部が互いにラップして、両端部の間に隙間が形成されることがない。なお、熱膨張部材5と耐火材3の周方向に隙間が形成されなければ、弾性部材7の端部同士もラップさせてもよく、又は多少の隙間が形成されてもよい。
また、図示したように、弾性部材7の幅(貫通孔13の軸方向に対応)に対して、熱膨張部材5と耐火材3の幅は狭くてもよい。熱膨張部材5と耐火材3の幅は、必要な防火性能によって設定される。
なお、弾性部材7の幅を区画部11の厚みに対応させることで、弾性部材7をスリーブとして機能させることができる。例えば、区画部11が中空壁である場合にも、弾性部材7を丸めて筒状にすることで、スリーブとして使用することができる。なお、この場合には、弾性部材7の周方向の端部同士に隙間が形成されず、筒形状を維持するために、弾性部材7の周方向の両端部に、両者を係合する係合爪等を設けてもよい。
次に、防火部材1の紐10を引っ張り、水袋9を破いて内部の水を耐火材3に水を含ませる。これによち、水と発熱部材8とを反応させ、耐火材3に含まれている発熱部材8を発熱させることができる。前述したように、発熱部材8は、マイクロバルーン4の膨張開始温度よりも高い温度で耐火材3を加熱する。このため、発熱部材8によって、マイクロバルーン4を膨張させることができる。このため、耐火材3の体積を膨張させることができる。なお、発熱部材8の発熱温度は、熱膨張部材5の膨張開始温度よりも低いため、熱膨張部材5は変化しない。
図5は、防火部材1を用いた防火構造体20を示す図で、図6(a)は、防火構造体20を示す貫通孔の軸方向に平行な断面図、図6(b)は貫通孔の軸方向に垂直な断面図である。耐火材3を膨張させることで、貫通孔13と長尺体15との隙間を埋め、貫通孔13に挿通された長尺体15の外面に熱膨張部材5を押し付けることができる。以上により、区画部11に形成された貫通孔13に長尺体15が挿通され、防火部材1が貫通孔13の内面側に押し付けられるとともに、長尺体15の外面に熱膨張部材5が押し付けられた防火構造体20を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる防火部材1によれば、貫通孔13に防火部材1を設置する際には、内面の熱膨張部材5と長尺体15との干渉がなく、容易に取り付けることができる。また、貫通孔13へ防火部材1を設置した際には、弾性部材7の復元力によって、防火部材1が貫通孔13に保持される。このため、防火部材1の位置ずれや脱落を抑制することができ、その後の紐10の引き抜き作業も容易である。
また、防火部材1を貫通孔13へ設置した後、紐10を引っ張るのみで、長尺体15との隙間を埋めることができるため、シーリング施工も不要であり、見た目にも優れ、耐火性能も確保することができる。
また、熱膨張部材5を長尺体15の近傍に配置することができるため、火災等の際にも、確実に熱膨張部材5の膨張によって長尺体15の燃焼に伴う隙間をうめることができる。このため、大口径の貫通孔にも適用が容易である。
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態にかかる防火部材1aを用いた例を示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一の機能を奏する構成については図1〜図6と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
防火部材1aは、防火部材1とほぼ同様の構成であるが、弾性部材7の形態が異なる。防火部材1aでは、弾性部材7の少なくとも一方の辺に折曲げ部17が形成される。折曲げ部17は、弾性部材7の幅方向(貫通孔13の軸方向に対応)の端部が、全体を丸めた際に外側に突出するように折り曲げられて形成される。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、折曲げ部17がフランジとして機能するため、防火部材1aを貫通孔13に挿通した際の位置決めと脱落防止の効果を得ることができる。
また、折曲げ部17によって、丸めた際の防火部材1aの剛性を高めることができるため、防火部材1aの変形や潰れなどを抑制し、より確実に、防火部材1aを貫通孔13の内面に押し付けた状態を得ることができる。
次に、第3の実施形態について説明する。図8は、第3の実施形態にかかる防火部材1bを示す図である。防火部材1bは、防火部材1とほぼ同様の構成であるが、熱膨張部材5の表面に、発泡体19が配置される点で異なる。すなわち、防火部材1bは、丸めた際に、最内層が発泡体19となる。
発泡体19は、耐火材3よりも柔軟性が高く、圧縮変形が容易である。発泡体19としては、例えばウレタン弾性体であり、難燃性スポンジであることが望ましい。
図9(a)は、防火部材1bを貫通孔13へ設置した状態を示す図である。本実施形態では、貫通孔13に複数本の長尺体15が挿通される。なお、複数の長尺体15が、互いに異なる径であってもよい。
防火部材1bを、複数の長尺体15の外周であって、貫通孔13の内部に配置すると、防火部材1cの総厚みが、貫通孔13の内面と長尺体15の間のクリアランスよりも薄いため、発泡体19と長尺体15との間に隙間が形成される。このため、容易に防火部材1cを貫通孔13に配置することができる。なお、発泡体19は、熱膨張部材5と比較して滑りが良いため、仮に長尺体15と接触したとしても、容易に貫通孔13へ配置することができる。
図9(b)は、紐10を引っ張り、耐火材3を膨張させた防火構造体20aを示す図である。前述した各実施形態では、耐火材3の膨張によって、熱膨張部材5を長尺体15の外周に押し付けて隙間を埋める例を説明した。しかし、複数本の長尺体15が配置された場合には、長尺体15全体の外形が単純な丸形状などではなく、長尺体15同士の間に凹形状が形成される。
熱膨張部材5の変形能力は、耐火材3等の変形能力と比較して小さい。このため、圧縮されていた耐火材3の膨張力のみでは、熱膨張部材5を、長尺体15全体の外形に沿って変形させて、長尺体15の凹部の隙間を埋めることが困難である場合がある。
これに対し、熱膨張部材5の内面側に、所定の厚みの発泡体19を配置することで、熱膨張部材5の変形量が足らずに、熱膨張部材5と長尺体15との間に隙間が形成されても、この隙間を、より変形能力の高い発泡体19によって埋めることができる。なお、発泡体19によって、効率よく隙間を埋めるためには、発泡体19の厚みを、複数の長尺体15の外接円と凹形状の底部までの距離以上とすることが望ましい。
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、最内層に発泡体19を配置することで、より確実に、長尺体15の外周面に防火部材1cの内面を密着させて、隙間を埋めることができる。なお、熱膨張部材5と長尺体15の間に発泡体19が形成された場合でも、熱膨張部材5が、耐火材3によって外側から押し付けられている状態を、熱膨張部材5が長尺体15の外面に押し付けられているものとする。
なお、耐火材3の膨張に対する熱膨張部材5の追随性を高める方法としては、例えば、図10に示す防火部材1cのように、熱膨張部材5を長手方向に(貫通孔13の周方向に対応する)対して複数に分割してもよい。このようにすることで、防火部材1cを貫通孔13に設置した後、紐10を引っ張り、耐火材3を膨張させた際、熱膨張部材5をより確実に長尺体15の外面に密着させることができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、前述した各実施形態における各構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
1、1a、1b、1c………防火部材
3………耐火材
4………マイクロバルーン
5………熱膨張部材
7………弾性部材
8………発熱部材
9………水袋
10………紐
11………区画部
13………貫通孔
15………長尺体
17………折曲げ部
19………発泡体
20、20a………防火構造体

Claims (9)

  1. 変形可能な耐火材と、
    前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、
    前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、
    を具備し、
    前記マイクロバルーンは、前記熱膨張部材の膨張温度よりも低温であって、常温よりも高温で膨張し、前記耐火材を膨張させることが可能であることを特徴とする防火部材。
  2. 前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側に、板状の弾性部材が配置されることを特徴とする請求項1記載の防火部材。
  3. 前記弾性部材の少なくとも一方の辺において、前記耐火材及び前記熱膨張部材がはみ出していることを特徴とする請求項2記載の防火部材。
  4. 前記弾性部材の少なくとも一方の辺が折曲げられていることを特徴とする請求項3記載の防火部材。
  5. 前記熱膨張部材の表面に、発泡体が配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防火部材。
  6. 前記耐火材を加熱する発熱部材と、
    前記発熱部材を発熱させるためのトリガー部と、を有し、
    前記発熱部材は、前記トリガー部の操作によって、他の物質と反応して発熱可能であり、
    前記発熱部材の発熱温度は、前記マイクロバルーンの膨張開始温度よりも高く、前記熱膨張部材の膨張開始温度よりも低いことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の防火部材。
  7. 防火部材を用いた防火構造体の施工方法であって、
    前記防火部材は、変形可能な耐火材と、前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、を具備し、
    前記防火部材を、前記熱膨張部材を内面側にして区画部に形成された貫通孔に配置する工程と、
    前記耐火材を、前記マイクロバルーンの膨張開始温度よりも高く、前記熱膨張部材の膨張開始温度よりも低い温度で加熱することで、前記耐火材を膨張させ、前記貫通孔を挿通された長尺体の外面に前記熱膨張部材を押し付ける工程と、
    を具備することを特徴とする防火構造体の施工方法。
  8. 前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側の外面に、板状の弾性部材が配置されており、前記弾性部材を丸めて前記貫通孔に挿通し、前記弾性部材の復元力で、前記防火部材が前記貫通孔の内面側に押し付けられることを特徴とする請求項7記載の防火構造体の施工方法。
  9. 防火部材を用いた防火構造体であって、
    前記防火部材は、変形可能な耐火材と、前記耐火材に混入されるマイクロバルーンと、前記耐火材の一方の側に配置される熱膨張部材と、前記耐火材の前記熱膨張部材とは逆側に配置された板状の弾性部材と、を具備し、
    区画部に形成された貫通孔に長尺体が挿通されており、
    前記長尺体の外周に、前記防火部材が丸められて配置され、前記弾性部材の復元力で、前記防火部材が前記貫通孔の内面側に押し付けられるとともに、前記長尺体の外面に前記熱膨張部材が押し付けられることを特徴とする防火構造体。
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