JP2020032963A - 車両制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両において、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合に、適切な行動を車両にとらせることができる車両制御装置を提供する。【解決手段】本発明に係る車両制御装置は、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合、検知された障害物が衝突被害軽減制動制御装置を作動させることは必須ではない無視可能障害物かどうか判断する。その判断の結果、検知された障害物が無視可能障害物でない場合には、衝突被害軽減制動制御装置を作動させる。しかし、検知された障害物が無視可能障害物である場合には、衝突被害軽減制動制御装置を作動させない。【選択図】図5

Description

本発明は車両制御装置に関し、特に、ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両を制御する車両制御装置に関する。
特許文献1には、カメラやレーダにより車両前方の歩行者や他の車両等の対象物の位置を検出すると共に、ヨーレート或いは舵角と車速とに基づき自車両の進路を予測する運転支援装置が開示されている。この運転支援装置は、対象物の位置と予測進路とに基づき車両と対象物との衝突危険性を判定し、衝突危険性が高い場合には衝突回避のための運転支援を行う。
特開2014−191597号公報
上記公報に記載の運転支援装置は、衝突被害軽減制動制御装置(AEBS)の範疇に属する。今日研究・開発されている自動運転車両では、衝突被害軽減制動制御装置とともに、ドライバー異常時対応システム(DES)の搭載が検討されている。これら2つのシステムが搭載される自動運転車両では、それぞれの作動条件が重なることが想定される。
例えば、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知されることが起こりうる。その障害物が接触による被害が生じない落下物や路上構造物(パイロン)であったとしても、その障害物との衝突危険性ありと判断された場合には、ドライバー異常時対応システムに優先して衝突被害軽減制動制御装置が作動することになる。
検知された障害物に対して衝突被害軽減制動制御装置が作動することは、その目的からして間違いではない。しかし、衝突被害軽減制動制御装置が作動すると車両は急減速するため、走行車線或いは隣接車線を走行している後続車両との間で接触が起きてしまうおそれがある。
本発明は、ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両において、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合に、適切な行動を車両にとらせることができる車両制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両制御装置は、ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両を制御する。本発明に係る車両制御装置は、少なくとも一つのプロセッサと、衝突被害軽減制動制御装置を作動させるプログラムを記憶するメモリとを備える。プログラムは、少なくとも一つのプロセッサにより実行されることで、少なくとも一つのプロセッサに判断処理と制御処理とを含む処理を実行させる。判断処理では、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合、検知された障害物が衝突被害軽減制動制御装置を作動させることは必須ではない無視可能障害物かどうか判断することが行われる。制御処理では、検知された障害物が無視可能障害物でない場合には衝突被害軽減制動制御装置を作動させ、検知された障害物が無視可能障害物である場合には衝突被害軽減制動制御装置を作動させないことが行われる。
本発明に係る車両制御装置は、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合、その障害物が衝突被害軽減制動制御装置を作動させることは必須ではない無視可能障害物であるならば、衝突被害軽減制動制御装置を作動させない。これにより、障害物との接触による被害が生じない状況での、後続車両との接触を招くような車両の急減速や車線上での停止は回避される。一方、検知された障害物が無視可能障害物でないならば、衝突被害軽減制動制御装置を作動させる。これにより、障害物との接触による被害を防ぐことができる。
本発明に係る車両制御装置は、無視可能障害物が登録されたデータベースを備えてもよい。また、判断処理では、検知された障害物の種別を特定し、検知された障害物が無視可能障害物かどうかデータベースを参照して判断してもよい。これによれば、データベースに登録されていない障害物は無視可能障害物とは判断せず、その障害物に対しては、衝突被害軽減制動制御装置を作動させることができる。これにより、無視可能障害物かどうか不明な障害物が無視可能障害物ではなかった場合に、その障害物に車両を接触させてしまうことによる被害を防ぐことができる。
判断処理は、検知された障害物のサイズを計測し、検知された障害物が無視可能障害物かどうかサイズに基づいて判断することを含んでもよい。このような判断によれば、接触による被害が生じないサイズの障害物については、衝突被害軽減制動制御装置を作動させないようにすることができる。
ドライバー異常時対応システムは、車両を路肩に寄せて停止させる路肩退避型でもよい。路肩退避型のドライバー異常時対応システムであれば、検知された障害物が無視可能障害物である場合には、車線変更或いは進路変更している途中で車両を停止させることなく、車両の路肩への退避を完了させることができる。これにより、車線変更途中での停止或いは急減速によって後続車両との間で接触が起きることを防ぐことができる。
ドライバー異常時対応システムは、車両を徐々に減速させて停止させる減速停止型でもよい。減速停止型のドライバー異常時対応システムであれば、検知された障害物が無視可能障害物である場合には、ドライバー異常時対応システムを優先して車両を急減速させずに徐々に減速させることによって、後続車両との接触を防ぐことができる。
以上述べたように、本発明に係る車両制御装置によれば、ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両において、ドライバー異常時対応システムの作動中に車両の進行方向に障害物が検知された場合に、衝突被害軽減制動制御装置を作動させるかどうか適切に判断し、その判断結果に基づいて適切な行動を車両にとらせることができる。
本発明の実施の形態に係る車両制御装置が適用された車両の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る車両制御装置としてのECUの機能を示すブロック図である。 ドライバー異常時対応システムによる路肩退避動作の途中で、車両の進行方向に障害物が検知された場合の車両制御について説明する図である。 ドライバー異常時対応システムによる減速停止動作の途中で、車両の進行方向に障害物が検知された場合の車両制御について説明する図である。 本発明の実施の形態に係る衝突被害軽減制動制御装置の作動を制御するルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
1.車両の構成
本発明の実施の形態に係る車両制御装置は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)のレベル定義においてレベル2以上の自動運転レベルを実現する車両制御装置である。本発明の実施の形態に係る車両制御装置は、図1に示す概略構成を有する車両に適用される。
図1に示すように、車両2は、自動運転のための情報の取得手段としてGPSユニット20、地図情報ユニット22、車両センサ24、外部センサ26、及び内部センサ28を備える。これらは、車両制御装置としての電子制御ユニット(以下、ECUと表記する)30に電気的に接続されている。
GPSユニット20は、GPS信号に基づいて自車両の現在位置を示す位置情報を取得する手段である。ECU30は、GPSユニット20から提供される位置情報に基づいて、車両2の現在位置を知ることができる。地図情報ユニット22は、道路の位置、道路の形状、車線構造等の各種の地図情報を記憶している。ただし、地図情報ユニット22は、必ずしも車両2に搭載されている必要はなく、ネットワーク上に存在していてもよい。
車両センサ24は、車両2の運転状態に関する情報を取得するセンサである。車両センサ24には、例えば車輪の回転速度から車両の走行速度を計測する速度センサ、車両に作用する横方向及び縦方向の加速度を計測する加速度センサ、車両の旋回角速度を計測するヨーレートセンサ、運転者の操舵操作によって発生する操舵トルクを計測する操舵トルクセンサ等が含まれる。
外部センサ26は、車両2の外部状況に関する情報を取得する自律センサである。外部センサ26には、カメラ、ミリ波レーダ装置、及びLIDARが含まれる。ECU30は、外部センサ26から送信された情報に基づいて、車両2の周辺に存在する他車両やその他の物体の相対位置や相対速度を認識することができる。また、カメラの画像からは、走行車線と隣接車線との境界線や走行車線と路肩との境界線を認識することができる。
内部センサ28は、ドライバーの状態に関する情報を取得するためのセンサである。内部センサ28には、ドライバーの表情や姿勢を監視するためのカメラや、心拍や脈拍等の生体信号を検出する生体センサや等が含まれる。また、異常を感じたドライバー自身が押し下げることができるスイッチや、ドライバーの異常に気付いた同乗者が押し下げることができるスイッチも内部センサ28に含まれる。
車両2には、車両2を操舵するための操舵アクチュエータ4、車両2を減速させるための制動アクチュエータ6、及び車両2を加速させるための駆動アクチュエータ8が設けられている。操舵アクチュエータ4には、例えば、パワーステアリングシステム、ステアバイワイヤ操舵システム、後輪操舵システムが含まれる。制動アクチュエータ6には、例えば、油圧ブレーキ、電力回生ブレーキが含まれる。駆動アクチュエータ8には、例えば、エンジン、EVシステム、ハイブリッドシステム、燃料電池システムが含まれる。また、車両2には、通知ユニット10が設けられている。通知ユニット10には、外部から視覚的に認識可能な表示装置、例えばウインカやストップランプが含まれる。
ECU30は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリを有する。メモリには、マップを含む各種のデータや各種のプログラムが記憶されている。メモリに記憶されているプログラムが読み出されてプロセッサで実行されることで、ECU30には様々な機能が実現される。なお、車両制御装置を構成するECU30は、複数のECUの集合であってもよい。
2.車両制御装置としてのECUの機能
図2は、本実施の形態に係る車両制御装置としてのECU30の機能の一部を示すブロック図である。ECU30は、ドライバー状態監視装置32、ドライバー異常時対応システム(DES)40、衝突回避判断装置34、及び衝突被害軽減制動制御装置(AEBS)50としての機能を有する。これらは、ECU30内にハードウェアとして存在するものではなく、メモリに記憶されたプログラムがプロセッサで実行されたときにソフトウェア的に実現される。ECU30はその他にも様々な機能を備えているが、それらについての図示は省略されている。
ドライバー状態監視装置32は、車両センサ24や内部センサ28によってドライバーの状態を監視し、ドライバーの異常を検知する装置である。車両センサ24によれば、車両の挙動からドライバーの状態を間接的に監視することができる。例えば、車両のふらつきや異常速度による運転等からドライバーの異常を検知することができる。内部センサ28によれば、ドライバーの状態を直接的に監視することができる。内部センサ28がカメラである場合には、例えば、ドライバーの姿勢の崩れや閉眼からドライバーの異常を検知することができる。内部センサ28が生体センサである場合には、例えば、心拍や脈拍の変化からドライバーの異常を検知することができる。内部センサ28がボタンである場合には、ドライバー自身或いは同乗者がボタンを押すことでドライバーの異常を検知することができる。
ドライバー異常時対応システム40は、ドライバー状態監視装置32によってドライバーの異常が検知された場合に、緊急措置として作動するシステムである。ドライバー異常時対応システム40は、車両2を操舵して車線変更しつつ路肩等に寄せて停止させる路肩退避型システムとして構成されている。ドライバー異常時対応システム40は、その作動時には、制動アクチュエータ6及び駆動アクチュエータ8の制御によって速度を調整しながら、操舵アクチュエータ4の制御によって車線変更を行い、車両2を路肩に寄せていく。そして、車両2が十分に路肩に寄ったところで、制動アクチュエータ6の制御によって車両2を減速させて停止させる。
また、ドライバー異常時対応システム40は、その作動時には、ウインカやストップランプを点滅させる等、通知ユニット10を用いて車外の道路ユーザーに対して異常の発生を報知することも行う。なお、車線変更や路肩等に寄せることが困難な状況では、ドライバー異常時対応システム40は、車両2を本線上で徐々に減速させて停止させる減速停止型システムとして機能する。減速停止型システムとしての機能は、車両2を操舵することなく徐々に減速して停止させる単純停止方式でもよいし、車線を維持するように車両2を操舵しながら徐々に減速して車線内で停止させる車線内停止方式でもよい。
衝突回避判断装置34は、外部センサ26によって車両2の進行方向に障害物が検知された場合、検知された障害物に対する衝突回避の必要性について判断する装置である。衝突回避判断装置34は、まず、外部センサ26によって検知された物体が車両2にとっての障害物かどうかを判断する。具体的には、車両2から検知物体までの相対距離と相対速度とからTTC(Time To Collision)を計算する。そして、TTCが閾値以下であり、且つ、検知物体の車両2に対する横位置が車両2と重なる場合、検知物体は車両2と衝突する可能性のある物体、すなわち、障害物であると判断する。
さらに、衝突回避判断装置34は、ドライバー異常時対応システム40の作動中に障害物が検知された場合、その障害物が衝突被害軽減制動制御装置50を作動させることは必須ではない無視可能障害物かどうか判断する。無視可能障害物とは、車両2と接触したとしても、車両2及びその乗員にとって危険性のない物体である。無視可能障害物の例としては、パイロン、矢印板、段ボール、布きれ等を挙げることができる。無視可能障害物でないものの例としては、停止車両、人、大型の落下荷物等を挙げることができる。
検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する手法として、例えば、次のような手法を用いてもよい。まず、ミリ波レーダ装置或いはLIDARを使用して障害物の反射強度を算出する(処理A1)。また、ミリ波レーダ装置、LIDAR、或いはカメラを使用して障害物の横幅、高さ、相対距離、及び相対速度を算出する(処理A2)。さらに、カメラを使用して障害物の種別を判断する(処理A3)。次に、データベースに登録された障害物の種別と処理A3で判断された障害物の種別とを照合し、処理A1及びA2で得られた各計測値に対する閾値をデータベースから取得する(処理A4)。そして、処理A1及びA2で得られた各計測値と処理A4でデータベースから取得した閾値とを比較することで、検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する(処理A5)。
検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する別の手法として、例えば、次のような手法を用いてもよい。まず、カメラで得られた障害物の画像から特徴量情報(例えば、色、テクスチャ、大きさ、及び形状)を抽出する(処理B1)。そして、処理B1で得られた特徴量情報と事前にデータベースに登録された無視可能障害物の特徴量情報とを比較することで、検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する(処理B2)。このような判断手法によれば、データベースに登録されていない特徴量情報を有する障害物は無視可能障害物とは判断せず、その障害物に対しては、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させることができる。これにより、無視可能障害物かどうか不明な障害物が無視可能障害物ではなかった場合に、その障害物に車両を接触させてしまうことによる被害を防ぐことができる。
検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断するさらに別の手法として、例えば、次のような手法を用いてもよい。まず、ミリ波レーダ装置、LIDAR、或いはカメラを使用して障害物の横幅、高さ、及び相対距離を算出する(処理C1)。ただし、カメラについては、事前に記憶しているカメラパラメータを用いて、画像上の高さ、幅、面積を実空間上の高さ、幅、面積に変換し、利用する。また、カメラを使用して障害物の種別を判断する(処理C2)。次に、データベースに登録された障害物の種別と処理C2で判断された障害物の種別とを照合し、処理C1で得られた各計測値に対する閾値をデータベースから取得する(処理C3)。そして、処理C1で得られた各計測値と処理C3でデータベースから取得した閾値とを比較することで、検知された障害物が接触による被害が生じないサイズの障害物かどうか判断する(処理C4)。このような判断手法によれば、接触による被害が生じないサイズの障害物、すなわち、無視可能障害物については、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させないようにすることができる。
衝突被害軽減制動制御装置50は、車両前方の物体との衝突危険性が高い場合、制動アクチュエータ6を自動で作動させることにより、衝突を回避する或いは衝突による被害を軽減するシステムである。衝突被害軽減制動制御装置50は、PCS(プリクラッシュセーフティシステム)とも呼ばれる。衝突被害軽減制動制御装置50には、衝突回避要求減速度生成部52と速度制御部54とが含まれる。衝突回避要求減速度生成部52は、衝突回避の必要が生じた場合、衝突回避用の要求減速度を生成する。速度制御部54は、要求減速度に応じて制動アクチュエータ6を制御することよって車両2の速度制御を行う。ただし、衝突被害軽減制動制御装置50は、制動アクチュエータ6による制動と併せて、操舵アクチュエータ4による回避操舵を行うように構成されてもよい。
本実施の形態では、ドライバー異常時対応システム40が作動していない場合には、衝突回避判断装置34によって障害物が検知されたときに衝突被害軽減制動制御装置50が作動し、障害物との衝突を回避するように車両2を急減速させる。一方、ドライバー異常時対応システム40が作動している場合には、衝突回避判断装置34によって障害物が検知され且つその障害物が無視可能障害物ではないと判断されたときに衝突被害軽減制動制御装置50が作動する。
3.車両制御の具体例
次に、本実施の形態に係る車両制御装置としてのECU30による車両制御の具体例について説明する。図3は、ドライバー異常時対応システム40による路肩退避動作の途中で、車両の進行方向に障害物が検知された場合の車両制御について説明する図である。図3には、第1走行車線(追越車線)71と第2走行車線72とを有する片側2車線の本線と、第2走行車線72の外側に設けられた路肩73とが描かれている。車両2は第1走行車線71を走行している。
車両2が第1走行車線71を走行中に、ドライバー状態監視装置32によってドライバーの異常が検知され、ドライバー異常時対応システム40が作動したとする。路肩退避が可能な状況下では、ドライバー異常時対応システム40は、操舵アクチュエータ4の制御によって車線変更を行いながら車両2を路肩73に寄せていく。図3に示す例では、まず、第1走行車線71から第2走行車線72へ車線変更が行われ、第2走行車線72から路肩73へ車両2を寄せることが行われる。
ここで、ドライバー異常時対応システム40による路肩73への退避途中において、衝突回避判断装置34により車両2の進行方向前方に障害物が検知されたとする。衝突回避判断装置34は、検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する。検知された障害物が無視可能障害物であると判断された場合、車両2の行動として図3に示す選択Aの行動が選択される。選択Aが選択される場合、ECU30は、検知された障害物62に対して衝突被害軽減制動制御装置50を作動させない。このため、車両2は障害物62と接触しながらも路肩73に寄せられていき、車両2が十分に路肩73に寄ったところで、制動アクチュエータ6の制御によって車両2は徐々に減速して停止する。
一方、検知された障害物が無視可能障害物でないと判断された場合、車両2の行動として図3に示す選択Bの行動が選択される。選択Bが選択される場合、ECU30は、検知された障害物64に対して衝突被害軽減制動制御装置50を作動させる。このため、路肩73への退避途中或いは車線変更の途中であったとしても、障害物64との衝突の回避を最優先し、車両2は障害物64の手前で急停止する。
また、ドライバー異常時対応システム40は、車線変更や路肩等に寄せることが困難な状況では、車両2を本線上で徐々に減速させて停止させる。図4は、ドライバー異常時対応システム40による減速停止動作の途中で、車両の進行方向に障害物が検知された場合の車両制御について説明する図である。図4には、退避可能な路肩を有しない走行車線74を車両2が走行している様子が描かれている。
車両2が走行車線74を走行中に、ドライバー状態監視装置32によってドライバーの異常が検知され、ドライバー異常時対応システム40が作動したとする。路肩退避が困難な状況下では、ドライバー異常時対応システム40は、制動アクチュエータ6の制御によって車両2を徐々に減速させていく。その際、車両2が走行車線74からはみ出さないように、操舵アクチュエータ4の制御が併せて行われてもよい。
ここで、ドライバー異常時対応システム40による減速の途中において、衝突回避判断装置34により車両2の進行方向前方に障害物が検知されたとする。衝突回避判断装置34は、検知された障害物が無視可能障害物かどうか判断する。検知された障害物が無視可能障害物であると判断された場合、車両2の行動として図4に示す選択Aの行動が選択される。選択Aが選択される場合、ECU30は、検知された障害物66に対して衝突被害軽減制動制御装置50を作動させない。このため、車両2は障害物66と接触しながらも徐々に減速して停止する。
一方、検知された障害物が無視可能障害物でないと判断された場合、車両2の行動として図4に示す選択Bの行動が選択される。選択Bが選択される場合、ECU30は、検知された障害物64に対して衝突被害軽減制動制御装置50を作動させる。このため、障害物64との衝突の回避を最優先し、車両2は障害物64の手前で急停止する。
4.制御フロー
最後に、本実施の形態に係る車両制御装置としてのECU30による車両制御の制御フローについて図を用いて確認する。図5は、衝突被害軽減制動制御装置50の作動を制御するルーチンを示すフローチャートである。ECU30のメモリには、このフローチャートに示す手順を実行するためのプログラムが記憶されている。そのプログラムがメモリから読み出されてプロセッサにより実行されることで、本発明の特許請求の範囲に規定されている“判断処理”と“制御処理”とが実行される。
ステップS1では、車両2から検知物体までの相対距離と相対速度とからTTCが算出される。ステップS2では、ステップS1で算出されたTTCとその閾値と検知物体の横位置とに基づき、検知物体に対する衝突回避の必要性について判断される。検知物体が車両2と衝突する可能性のない物体である場合には、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させる必要はないため、本ルーチンは終了する。
検知物体が車両2と衝突する可能性のある物体の場合、ステップS3の判定が行われる。ステップS3では、ドライバー異常時対応システム40が作動中であるかどうか判定される。ドライバー異常時対応システム40が作動中でない場合、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させるためのステップS5及びS6の処理が行われる。ステップS5では、衝突回避のための要求減速度が生成される。ステップS6では、ステップS5で生成された要求減速度に基づいて速度制御が実施される。
ドライバー異常時対応システム40が作動中の場合には、続いて、ステップS4の判定が行われる。ステップS4では、検知物体が回避対象であるのか、或いは、衝突による被害が生じない無視可能障害物であるのかどうか、前述の方法を用いての判断が行われる。この判断の結果、検知物体が回避対象である場合には、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させるためのステップS5及びS6の処理が行われる。しかし、検知物体が無視可能障害物である場合には、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させないため、本ルーチンは終了する。
このような制御フローにて実行される車両制御によれば、ドライバー異常時対応システム40の作動中に車両2の進行方向に障害物が検知された場合に、衝突被害軽減制動制御装置50を作動させるかどうか適切に判断し、その判断結果に基づいて適切な行動を車両2にとらせることができる。
2 車両
4 操舵アクチュエータ
6 制動アクチュエータ
8 駆動アクチュエータ
10 通知ユニット
20 GPSユニット
22 地図情報ユニット
24 車両センサ
26 外部センサ
28 内部センサ
30 車両制御装置(ECU)
32 ドライバー状態監視装置
34 衝突回避判断装置
40 ドライバー異常時対応システム
50 衝突被害軽減制動制御装置

Claims (1)

  1. ドライバー異常時対応システムと衝突被害軽減制動制御装置とを備える車両を制御する車両制御装置において、
    少なくとも一つのプロセッサと、
    前記衝突被害軽減制動制御装置を作動させるプログラムを記憶するメモリと、を備え、
    前記プログラムは、前記少なくとも一つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも一つのプロセッサに、
    前記ドライバー異常時対応システムの作動中に前記車両の進行方向に障害物が検知された場合、前記検知された障害物が前記衝突被害軽減制動制御装置を作動させることは必須ではない無視可能障害物かどうか判断する判断処理と、
    前記検知された障害物が前記無視可能障害物でない場合には前記衝突被害軽減制動制御装置を作動させ、前記検知された障害物が前記無視可能障害物である場合には前記衝突被害軽減制動制御装置を作動させない制御処理と、を含む処理を実行させる
    ことを特徴とする車両制御装置。
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