JP2020031668A - 医療用接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドの移植に用いることができる、スキャホールド移植の有効性及び安全性に悪影響がないことがより確実な医療用接着剤の提供。【解決手段】主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液を含む、該移植用スキャホールドの医療用接着剤または接着キット。【選択図】なし
Description
本発明は、主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液を含む、該移植用スキャホールドの医療用接着剤または接着キットに関する。
軟骨組織は自己修復能に乏しく、一度、外傷や変形性関節症などにより軟骨欠損が生じると、それらが自然に治癒されることは期待できない。現在、軟骨欠損に対して、患者自身の健常部から採取した軟骨組織を移植する方法(自家骨軟骨移植(Osteochondral autograft))や、ドナーから採取した軟骨組織を移植する方法(同種骨軟骨移植(Osteochondral allograft))、患者自身の軟骨組織から採取した細胞を体外で培養させ、培養した細胞を再び患者へと移植する方法(自家軟骨細胞移植)などが行われている(特許文献1)。
生体外で増殖させた自己軟骨細胞を細胞浮遊液の状態で病変部に適用する方法では、軟骨細胞の患部における細胞生着率にバラツキが認められたため、軟骨再生治療法はスキャホールド表面あるいは内部に軟骨細胞を播種・固着させる方法に進化し、軟骨細胞の患部へ生着率を高めることが可能になった。多くの移植用スキャホールド(「移植用足場」ともいう)は三次元であり、生体環境に類似した足場を提供する(非特許文献1、2)。
移植用スキャホールドとしては、コラーゲンを主成分とする物が代表的な例である。その理由としては、コラーゲンのアミノ酸配列が異なる種間において高度に保持されているために免疫原性が非常に低いことが挙げられる。またコラーゲンは高いゲル化能を持っているが、pHを変化させることでゲル化を比較的容易にコントロールできる。これらに加えて、コラーゲンは医療用部材として数十年の臨床使用経験がある。そのため、主にウシまたはブタの真皮由来のコラーゲン(I型あるいはI型とIII型の混合物)が移植用スキャホールドの主成分として使われてきた(非特許文献2)。
生体外で増殖させた自己軟骨細胞を細胞浮遊液の状態で病変部に適用する方法では、軟骨細胞の患部における細胞生着率にバラツキが認められたため、軟骨再生治療法はスキャホールド表面あるいは内部に軟骨細胞を播種・固着させる方法に進化し、軟骨細胞の患部へ生着率を高めることが可能になった。多くの移植用スキャホールド(「移植用足場」ともいう)は三次元であり、生体環境に類似した足場を提供する(非特許文献1、2)。
移植用スキャホールドとしては、コラーゲンを主成分とする物が代表的な例である。その理由としては、コラーゲンのアミノ酸配列が異なる種間において高度に保持されているために免疫原性が非常に低いことが挙げられる。またコラーゲンは高いゲル化能を持っているが、pHを変化させることでゲル化を比較的容易にコントロールできる。これらに加えて、コラーゲンは医療用部材として数十年の臨床使用経験がある。そのため、主にウシまたはブタの真皮由来のコラーゲン(I型あるいはI型とIII型の混合物)が移植用スキャホールドの主成分として使われてきた(非特許文献2)。
上記移植用スキャホールドを患部に移植する際には、縫合とフィブリン糊による固定方法などが利用されている。縫合は、例えば患者自身の骨膜を剥離・縫合する方法により行われる。しかし、縫合は、患者に対し肉体的な負担がかかることから有害事象が生じることがある(非特許文献1)。また、吸収性の手術用縫合糸を用いて患部への固定が行われる例もある(非特許文献2)。しかし、いずれの場合も、手術手技の熟練が必要であり、侵襲を伴うとともに手術時間が長くなるために、患者への肉体的負担を伴う。
また、生体接着剤としてフィブリン糊を利用している例も挙げられる。しかし、フィブリン糊は、適応拡大(効能追加)の治験が必要になる可能性もあることや、感染症の問題も存在すると考えられるので、軟骨欠損部などへの移植の際に接着剤として用いる適応には大きな課題があると考えられている。
そこで、より安全性などが担保されている、該移植用スキャホールドに適用可能な新規医療用接着剤の開発が求められている。
また、生体接着剤としてフィブリン糊を利用している例も挙げられる。しかし、フィブリン糊は、適応拡大(効能追加)の治験が必要になる可能性もあることや、感染症の問題も存在すると考えられるので、軟骨欠損部などへの移植の際に接着剤として用いる適応には大きな課題があると考えられている。
そこで、より安全性などが担保されている、該移植用スキャホールドに適用可能な新規医療用接着剤の開発が求められている。
Willers C, Partsalis T, Zheng MH. Articular cartilage repair: procedures versus products. Expert Rev. Med. Devices, 2007, 4: 373-392.
Kon E, Filardo G, Di Matteo B, Perdisa F, Marcacci M. Matrix assisted autologous chondrocyte transplantation for cartilage treatment: A systematic review. Bone Joint Res. 2013, 2: 18-25.
本発明を創作する目的は、主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドの移植に用いることができる新規医療用接着剤であって、スキャホールド移植の有効性及び安全性に悪影響がないことがより確実な新規医療用接着剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドの新規医療用接着剤を創作した。なお、軟骨組織への移植用接着剤に求められる主な特性は、以下と考えられている。
(1)移植用スキャホールドに対する十分な接着力を有すること。
(2)非臨床安全性試験(例えば、分解吸収型の医療機器として)の結果が良好であること。
(3)軟骨組織に対する生体適合性が良好であること。
(4)軟骨細胞に対する毒性が無いこと。
(5)分解吸収性に優れていること。
そこで、本発明者は、移植用スキャホールドであるコラーゲンマトリックス(コラーゲンマトリクスともいう)と実質的に同一の組成であるため、軟骨組織への生体適合性、軟骨細胞への毒性、分解吸収性に関して問題がない(即ち、上記の特性の(2)〜(5)を充足している)という点から、ラット尻尾腱由来I型コラーゲン溶液であるコラーゲン-MS溶液を接着剤(糊)として利用する方法を試みた。その結果、コラーゲン-MS溶液と中和液を等量で混合し、37℃に加温することによって作製した接着剤(糊)(以下、コラーゲン-MS糊)は、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに対してフィブリン糊と同等の接着能を発揮することがわかった。また、コラーゲン-MS糊は、軟骨細胞の増殖および分化に関してフィブリン糊と比較して劣らなかった
以上の結果から、コラーゲン-MS糊は、軟骨組織への移植用接着剤として使用しうることを発見した。この発見から、本発明が完成されるに至った。即ち、本発明は、
[1]主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液を含む、該移植用スキャホールドの医療用接着剤または接着キット;
[2]コラーゲン溶液のコラーゲン濃度が0.5〜25.0 mg/mlである、[1]に記載の接着剤または接着キット;
[3]移植用スキャホールドの主成分のコラーゲンおよびコラーゲン溶液のコラーゲンが共にラット尾部腱由来I型コラーゲンである、[1]または[2]に記載の接着剤または接着キット;
[4]コラーゲン溶液のpHを中和する中和液をさらに含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の接着剤または接着キット;
[5]コラーゲン溶液およびコラーゲン溶液のpHを中和する中和液からなる、[4]に記載の接着剤または接着キット;
[6]軟骨組織への接着剤または接着キットである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の接着剤または接着キット;
を提供する。
(1)移植用スキャホールドに対する十分な接着力を有すること。
(2)非臨床安全性試験(例えば、分解吸収型の医療機器として)の結果が良好であること。
(3)軟骨組織に対する生体適合性が良好であること。
(4)軟骨細胞に対する毒性が無いこと。
(5)分解吸収性に優れていること。
そこで、本発明者は、移植用スキャホールドであるコラーゲンマトリックス(コラーゲンマトリクスともいう)と実質的に同一の組成であるため、軟骨組織への生体適合性、軟骨細胞への毒性、分解吸収性に関して問題がない(即ち、上記の特性の(2)〜(5)を充足している)という点から、ラット尻尾腱由来I型コラーゲン溶液であるコラーゲン-MS溶液を接着剤(糊)として利用する方法を試みた。その結果、コラーゲン-MS溶液と中和液を等量で混合し、37℃に加温することによって作製した接着剤(糊)(以下、コラーゲン-MS糊)は、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに対してフィブリン糊と同等の接着能を発揮することがわかった。また、コラーゲン-MS糊は、軟骨細胞の増殖および分化に関してフィブリン糊と比較して劣らなかった
以上の結果から、コラーゲン-MS糊は、軟骨組織への移植用接着剤として使用しうることを発見した。この発見から、本発明が完成されるに至った。即ち、本発明は、
[1]主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液を含む、該移植用スキャホールドの医療用接着剤または接着キット;
[2]コラーゲン溶液のコラーゲン濃度が0.5〜25.0 mg/mlである、[1]に記載の接着剤または接着キット;
[3]移植用スキャホールドの主成分のコラーゲンおよびコラーゲン溶液のコラーゲンが共にラット尾部腱由来I型コラーゲンである、[1]または[2]に記載の接着剤または接着キット;
[4]コラーゲン溶液のpHを中和する中和液をさらに含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の接着剤または接着キット;
[5]コラーゲン溶液およびコラーゲン溶液のpHを中和する中和液からなる、[4]に記載の接着剤または接着キット;
[6]軟骨組織への接着剤または接着キットである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の接着剤または接着キット;
を提供する。
コラーゲン-MS溶液に代表されるコラーゲン溶液は、移植用スキャホールドと実質的に同一の組成を有するため、軟骨に代表される生体組織への適合性、軟骨細胞に代表される細胞への毒性、分解吸収性に関して問題ないことが、現在までの多くの非臨床及び臨床試験結果から明らかになっており、医療用接着剤として使用しても新たに発生する安全性上の問題が事実上ないと考えられる。また、コラーゲン溶液は自家調製することが可能であるため、供給安定性の問題が事実上ない。さらに、コラーゲン溶液は、ヒト血液製剤(フィブリン糊)に付随する感染症の問題がなく、情報(製造記録、有害事象等)管理責任の問題もないと考えられる。
また、移植用スキャホールドを作製するコラーゲンでは安全性が重視されるため、ゲル化を促進するための化学架橋剤(グルタルアルデヒド、カルボジイミド等)を添加しないことが一般的である。そのため、スキャホールドと同一組成のコラーゲンはゲル化速度が遅く、ゲル化に時間がかかると考えられている。すなわち、スキャホールドの接着剤として機能するかどうかは自明ではない。しかし、スキャホールドの接着剤として機能することが確認できれば、ゲル化速度の速い医療用接着剤(架橋剤を利用するコラーゲン、フィブリン糊等)と比較して、移植時の適用量調節が容易であり、スキャホールド移植について時間的な制約がないという利点があると考えられる。
以上の点から、主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドに対して、該移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液は、有用な医療用接着剤として利用することができる。
また、移植用スキャホールドを作製するコラーゲンでは安全性が重視されるため、ゲル化を促進するための化学架橋剤(グルタルアルデヒド、カルボジイミド等)を添加しないことが一般的である。そのため、スキャホールドと同一組成のコラーゲンはゲル化速度が遅く、ゲル化に時間がかかると考えられている。すなわち、スキャホールドの接着剤として機能するかどうかは自明ではない。しかし、スキャホールドの接着剤として機能することが確認できれば、ゲル化速度の速い医療用接着剤(架橋剤を利用するコラーゲン、フィブリン糊等)と比較して、移植時の適用量調節が容易であり、スキャホールド移植について時間的な制約がないという利点があると考えられる。
以上の点から、主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドに対して、該移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液は、有用な医療用接着剤として利用することができる。
移植用スキャホールドは、コラーゲンを主成分として含む。「主成分」とは、移植用スキャホールドを作製するためにコラーゲン成分が不可欠であることを指し、移植用スキャホールドに含まれるコラーゲン量が、0.1%以上、好ましくは1%以上、更に好ましくは2%以上であることをいう。また、移植用スキャホールドの主成分となるコラーゲンは、哺乳動物(例:ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット等)由来のコラーゲンであれば、いずれのものであってもよいが、例えば、ラット由来のコラーゲンを用いることが挙げられる。また、コラーゲンが由来する組織としては、腱(尾部、四肢など)、皮膚などが挙げられる。また、コラーゲンの種類としては、いずれの型のコラーゲンであってもよいが、I型コラーゲンを用いることが好ましい。以上から、移植用スキャホールドの主成分となるコラーゲンとしては、特にラット尾部腱由来I型コラーゲンが好ましい。コラーゲン溶液は粘性のある白色の液体であり、その粘度は、例えば、単一円筒形回転粘度計により測定することができる。移植用スキャホールドは、例えば、後述の実施例に記載のように、コラーゲン溶液と該コラーゲン溶液のpHを中和する中和液を等量混合し、37℃に加温することで作製することができる。
移植用スキャホールドは、所望によりコラーゲン以外の成分を含有していてもよい。例えば、動物細胞培養用培地に含まれる成分、例えばアミノ酸、ビタミン等が挙げられる。なお、これらの成分の含有量は、本発明に影響を与えない範囲で使用目的に応じて適宜設定することができる。
移植用スキャホールドは、さらに移植するための細胞を含んでいてもよい。該細胞としては、移植先の対象(例:ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット等)由来の細胞であって、移植の目的(例えば、損傷組織の修復・再生)に適う細胞であれば、どのような細胞であってもよい。例えば、軟骨細胞、間葉系幹細胞などが挙げられる。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を分化誘導することによって得られる細胞であっても良い。iPS細胞は、ある特定の核初期化物質(核酸、タンパク質、低分子化合物等)を体細胞に導入することにより作製することができる、ES細胞と同等の特性を有する体細胞由来の人工の幹細胞である[Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell,126: 663-676 (2006); Takahashi, K. et al., Cell, 131: 861-872 (2007)]。前記幹細胞を目的の分化細胞に分化させる条件および培地は従来公知の条件および培地に従ってもよいし、当業者が適宜設定してもよい。移植する細胞が対象から十分量取得することができない場合、移植する対象の体細胞をiPS細胞のソースとして用いることによって大量に調製できるため、移植用スキャホールドに含まれる細胞のソースとしてiPS細胞は好ましい。
移植用スキャホールドは、生体外および生体外において該移植用スキャホールドに含まれる細胞を増殖または分化させるための足場材料の役割を果たすことができれば、その特性は制限されないが、上記の役割を保証するためには、一定の強度を有していることが好ましい。強度は、ゼリーなどの食品の強度(硬度)を測定する機器(レオメーター)を使用して、圧縮時の応力を測定する方法により、評価することができる。具体的には、ゼラチン測定用アダプタにより移植用スキャホールドを上から圧縮し、その圧縮応力を測定することで強度評価を行うことができる。
本発明で用いられるコラーゲン溶液は、移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有する。前記の通り、移植用スキャホールドは、その主成分となるコラーゲンの溶液を等量の中和液と混合し、37℃へ加温することによって、コラーゲン溶液をゲル化させて得ることができる。従って、移植用スキャホールドと同一の組成を有するコラーゲン溶液とは、該移植用スキャホールドの主成分であるコラーゲン溶液と同一であってよい。また、移植用スキャホールドと実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液とは、含まれるコラーゲンが同一であることをいう。ただし、コラーゲンの濃度については問わない。また、移植用スキャホールドに含まれているコラーゲン以外の成分、及び移植時の安全性・有効性に悪影響がないことが一般的に広く知られている成分、例えば、生理食塩水、低濃度のアミノ酸、ビタミン等をコラーゲン溶液に添加することは実質的な同一性を崩さないものとする。また、溶液の粘性などを考慮して、コラーゲン溶液のコラーゲン濃度の下限は0.5 mg/ml、好ましくは1.0 mg/ml、更に好ましくは1.3mg/mlであり、コラーゲン溶液のコラーゲン濃度の上限は25.0 mg/ml以上、好ましくは10.0 mg/ml、より好ましくは6.0 mg/ml、更に好ましくは3.3mg/mlである。
コラーゲン溶液で使用されるコラーゲンは、移植用スキャホールドの主成分のコラーゲンと同一である。従って、移植用スキャホールドの主成分のコラーゲンおよびコラーゲン溶液のコラーゲンは共にラット尾部腱由来I型コラーゲンであることが好ましい。
後述する実施例の通り、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスの主な成分であるラット尻尾腱由来I型コラーゲン溶液(コラーゲン-MS溶液)を接着剤(糊)として利用可能か検討した結果、コラーゲン-MS溶液と中和液の混合液であるコラーゲン-MS糊は、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに対して十分な接着能を発揮することがわかった。コラーゲン-MS糊適用後に37℃に加温することが好ましいが、加温することは不可欠ではなかった。また、コラーゲン-MS糊は、軟骨細胞の増殖および分化に悪影響を及ぼさなかった。従って、本発明のコラーゲン溶液は、本発明の移植用スキャホールドの医療用接着剤(本発明の医療用接着剤)として用いることができる。
本発明の医療用接着剤の適用対象は、ヒトまたは他の温血動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、トリなど)があげられ、好ましくはヒトである。
本発明の医療用接着剤の用途としては、例えば、再生医療等があげられる。再生させる組織や臓器は、特に制限されないが、例えば、関節または椎間板の軟骨、関節の半月板等が挙げられる。
移植用スキャホールドの主成分となるコラーゲン溶液は通常、酸性であり、そのまま加温してもゲル化は不完全となる。従って、コラーゲン溶液を中和液と混合することによって、コラーゲン溶液のpHを中性にすることが重要となる。従って、本発明の医療用接着剤はさらに、コラーゲン溶液のpHを中和する中和液(本発明の中和液)を含んでもよく、好ましくは、本発明の医療用接着剤は本発明のコラーゲン溶液および本発明の中和液からなる。本発明の中和液は、コラーゲン溶液のpHを中性にすることができれば特に制限されず、コラーゲン溶液をゲル化させるために使用される従来公知の中和液、例えば、HEPESやTES等をベースとしたグッドの緩衝液の一つであってよい。具体的には、2倍濃縮Ham’s F12(最終濃度約0.5%炭酸水素ナトリウム溶液を含む)に3MのHEPES緩衝液を加えて、最終濃度約0.1Mとした溶液を、水酸化ナトリウムによりpH7.6±0.2に調整した溶液が挙げられる。
本発明はまた、コラーゲン溶液を含む、医療用接着キット(本発明の医療用接着キット)を提供する。本発明の医療用接着キットに含まれる本発明のコラーゲン溶液は、本発明の医療用接着剤に含まれるコラーゲン溶液と同一であってよい。コラーゲン溶液を医療用接着キットとして提供することにより、医療現場で医療用接着剤として用時調製することが可能となる。
本発明の医療用接着キットでは、本発明のコラーゲン溶液が保存可能な容器に充填される。充填するための容器としては、密閉度と材質の安全性が高い滅菌済の容器であり、プラスチック製医薬品容器試験法(日本薬局方)に適合する容器であれば特に制限はない。例えば、細胞を凍結保管するために用いられるクライオチューブなどが挙げられる。また、本発明の医療用接着剤と同様、本発明の医療用接着キットはさらに、本発明の中和液を含んでもよく、好ましくは、本発明の医療用接着キットは本発明のコラーゲン溶液および本発明の中和液からなる。この場合、発明のコラーゲン溶液および本発明の中和液は、前記の保存可能な容器にそれぞれ充填されてもよいが、デュアルシリンジの2つのシリンジに別々に充填されていてもよい。また、保存可能な容器からデュアルシリンジに移し替えることでもよい。デュアルシリンジに充填された本発明のコラーゲン溶液および本発明の中和液は、プランジャーに押しだされることで容易に混合することができる。
実施例1 コラーゲン-MSの調製
クリーンルームにおいて、ラット尾部腱から、コラーゲン線維を分離してコラーゲン溶液(コラーゲン-MS溶液)を調製した。コラーゲン-MSは、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスの主な成分のひとつである。具体的には、以下の工程で、コラーゲン-MS溶液を調製した。
(1)ラットの尻尾を、室温で解凍した。
(2)70%エタノールで消毒した。
(3)尻尾の外皮を剥離後、PBS中で3〜4 cmの長さに切断した。
(4)PBSと70%エタノールで洗浄および消毒した。
(5)尻尾断片の靭帯周辺の皮を引き裂き、ピンセットでコラーゲン線維を引き抜いた。
(6)コラーゲン線維をPBSと70%エタノールで洗浄および消毒した。
(7)コラーゲン線維の重量を測定した。
(8)コラーゲン線維を酢酸溶液中に浸漬した。
(9)コラーゲン線維が完全に可溶化するまで撹拌した。
(10)可溶化したコラーゲン溶液を遠心した。
(11)コラーゲン溶液(遠心後上清)のコラーゲン含量を乾燥重量の測定により算出した。
(12)コラーゲン濃度を算出し、酢酸溶液を用いて、濃度調整した。
(13)最終濃度 6 mg/mL (±0.5 mg/mL)に調整した(最終濃度調整後のコラーゲン溶液をコラーゲン-MS溶液と定義した)。
(14)コラーゲン溶液を分注し、−80 ℃の温度条件で保存した。
クリーンルームにおいて、ラット尾部腱から、コラーゲン線維を分離してコラーゲン溶液(コラーゲン-MS溶液)を調製した。コラーゲン-MSは、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスの主な成分のひとつである。具体的には、以下の工程で、コラーゲン-MS溶液を調製した。
(1)ラットの尻尾を、室温で解凍した。
(2)70%エタノールで消毒した。
(3)尻尾の外皮を剥離後、PBS中で3〜4 cmの長さに切断した。
(4)PBSと70%エタノールで洗浄および消毒した。
(5)尻尾断片の靭帯周辺の皮を引き裂き、ピンセットでコラーゲン線維を引き抜いた。
(6)コラーゲン線維をPBSと70%エタノールで洗浄および消毒した。
(7)コラーゲン線維の重量を測定した。
(8)コラーゲン線維を酢酸溶液中に浸漬した。
(9)コラーゲン線維が完全に可溶化するまで撹拌した。
(10)可溶化したコラーゲン溶液を遠心した。
(11)コラーゲン溶液(遠心後上清)のコラーゲン含量を乾燥重量の測定により算出した。
(12)コラーゲン濃度を算出し、酢酸溶液を用いて、濃度調整した。
(13)最終濃度 6 mg/mL (±0.5 mg/mL)に調整した(最終濃度調整後のコラーゲン溶液をコラーゲン-MS溶液と定義した)。
(14)コラーゲン溶液を分注し、−80 ℃の温度条件で保存した。
実施例2 コラーゲン-MS糊の効果確認試験
コラーゲン-MS糊が、コラーゲンマトリックスに対して、接着剤として機能することを確認するため、軟骨細胞が含有されていないコラーゲンマトリックスをプレートウェル内に接着させることが可能かどうかを検討した。比較例としてフィブリン糊についても同時に検討した。本実施例では、「コラーゲン-MS糊」と「フィブリン糊」は、以下である。
1. コラーゲン-MS糊:コラーゲン-MS溶液と2倍濃縮ゲル中和液(2倍濃縮Ham's F12(最終濃度約0.5%炭酸水素ナトリウム溶液を含む)に3MのHEPES緩衝液を加えて、HEPES最終濃度を約0.1Mとしたものを、水酸化ナトリウムによりpH7.6±0.2に調整した溶液)のセット(2液を混合し加温することでゲル化し、接着力を発揮する)。
2. フィブリン糊(商品名:ベリプラスト):ベリプラストP コンビセット 組織接着用 [0.5 mL 2キット1組](CSLベーリング社)(2液を混合することでゲル化し、接着力を発揮する)
コラーゲンマトリックスを、事前にコラーゲン-MS溶液と2倍濃縮ゲル中和液を等量混合し、6ウェルプレートの各ウェルに約6 mL加え、インキュベータ(37℃)内にて約20分間静置することにより作製した。その後、コラーゲンマトリックスに対し、培地(DMEM/Ham's F12)を約3 mL添加した。
(試験方法)
以下の手順により、コラーゲン-MS糊のコラーゲンマトリックスに対する接着能を調べた。
(1)各接着剤を、6ウェルプレートのウェルに適用した。
本実施例では、各接着剤は以下の通り適用した。
コラーゲン-MS糊:コラーゲン溶液 1.0 mLと2倍濃縮ゲル中和液 1.0 mLを混合し、混合液1 mL程度を6ウェルプレートの1ウェルに注入し、ゲル化させた(完全なゲル化は37℃に加温することで促進される)。
ベリプラスト:製品(ベリプラストP コンビセット)説明書に従って、フィブリノゲン末とアプロチニン液の混合液及びトロンビン末と塩化カルシウム液の混合液を調製した。混合器具(デュアルシリンジ)を組み立て、2液(各0.5 mL)を充填した後、プランジャーを押し出すことで2液を混合し、先端部から6ウェルプレートの1ウェルに排出し、ゲル化させた。
(2)各接着剤適用直後(10秒以内)に、コラーゲンマトリックスを、各接着剤を適用したウェルに移動および静置し、舌圧子を用いて圧着した。
(3)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、コラーゲンマトリックスの状態を確認した(垂直に傾けて接着を確認した)。
(4)培地を添加して1時間後の状態を確認した。
(5)翌日の状態を確認した。
(結果)
培養用6ウェルプレートのウェル内で各接着剤(接着剤としておよそ1 mL使用)のゲル化を試みたところ、各接着剤は速やかにゲル化し、ゲル化後はプレートを垂直に傾けても動くことは無かった。また、ウェル内に各接着剤を適用した直後にコラーゲンマトリックスを移動および静置し、各接着剤がコラーゲンマトリックスとプレート間の接着剤として機能するかどうかを確認した結果、移動後のコラーゲンマトリックスは各接着剤を介してウェルに接着した。ウェル内で回転することはなく、プレートを垂直に傾けても動くことはなかった。すなわち、コラーゲンマトリックスのウェルへの接着が確認された。その後、培地(DMEM/Ham's F12)約3 mLをコラーゲンマトリックス上に添加し、プレートをインキュベータ内で1日静置した。その結果、コラーゲンマトリックスはウェルに接着したままであった。すなわち、コラーゲン-MS糊は、コラーゲンマトリックスの接着剤としてフィブリン糊と同等の性能を発揮することがわかった。
コラーゲン-MS糊が、コラーゲンマトリックスに対して、接着剤として機能することを確認するため、軟骨細胞が含有されていないコラーゲンマトリックスをプレートウェル内に接着させることが可能かどうかを検討した。比較例としてフィブリン糊についても同時に検討した。本実施例では、「コラーゲン-MS糊」と「フィブリン糊」は、以下である。
1. コラーゲン-MS糊:コラーゲン-MS溶液と2倍濃縮ゲル中和液(2倍濃縮Ham's F12(最終濃度約0.5%炭酸水素ナトリウム溶液を含む)に3MのHEPES緩衝液を加えて、HEPES最終濃度を約0.1Mとしたものを、水酸化ナトリウムによりpH7.6±0.2に調整した溶液)のセット(2液を混合し加温することでゲル化し、接着力を発揮する)。
2. フィブリン糊(商品名:ベリプラスト):ベリプラストP コンビセット 組織接着用 [0.5 mL 2キット1組](CSLベーリング社)(2液を混合することでゲル化し、接着力を発揮する)
コラーゲンマトリックスを、事前にコラーゲン-MS溶液と2倍濃縮ゲル中和液を等量混合し、6ウェルプレートの各ウェルに約6 mL加え、インキュベータ(37℃)内にて約20分間静置することにより作製した。その後、コラーゲンマトリックスに対し、培地(DMEM/Ham's F12)を約3 mL添加した。
(試験方法)
以下の手順により、コラーゲン-MS糊のコラーゲンマトリックスに対する接着能を調べた。
(1)各接着剤を、6ウェルプレートのウェルに適用した。
本実施例では、各接着剤は以下の通り適用した。
コラーゲン-MS糊:コラーゲン溶液 1.0 mLと2倍濃縮ゲル中和液 1.0 mLを混合し、混合液1 mL程度を6ウェルプレートの1ウェルに注入し、ゲル化させた(完全なゲル化は37℃に加温することで促進される)。
ベリプラスト:製品(ベリプラストP コンビセット)説明書に従って、フィブリノゲン末とアプロチニン液の混合液及びトロンビン末と塩化カルシウム液の混合液を調製した。混合器具(デュアルシリンジ)を組み立て、2液(各0.5 mL)を充填した後、プランジャーを押し出すことで2液を混合し、先端部から6ウェルプレートの1ウェルに排出し、ゲル化させた。
(2)各接着剤適用直後(10秒以内)に、コラーゲンマトリックスを、各接着剤を適用したウェルに移動および静置し、舌圧子を用いて圧着した。
(3)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、コラーゲンマトリックスの状態を確認した(垂直に傾けて接着を確認した)。
(4)培地を添加して1時間後の状態を確認した。
(5)翌日の状態を確認した。
(結果)
培養用6ウェルプレートのウェル内で各接着剤(接着剤としておよそ1 mL使用)のゲル化を試みたところ、各接着剤は速やかにゲル化し、ゲル化後はプレートを垂直に傾けても動くことは無かった。また、ウェル内に各接着剤を適用した直後にコラーゲンマトリックスを移動および静置し、各接着剤がコラーゲンマトリックスとプレート間の接着剤として機能するかどうかを確認した結果、移動後のコラーゲンマトリックスは各接着剤を介してウェルに接着した。ウェル内で回転することはなく、プレートを垂直に傾けても動くことはなかった。すなわち、コラーゲンマトリックスのウェルへの接着が確認された。その後、培地(DMEM/Ham's F12)約3 mLをコラーゲンマトリックス上に添加し、プレートをインキュベータ内で1日静置した。その結果、コラーゲンマトリックスはウェルに接着したままであった。すなわち、コラーゲン-MS糊は、コラーゲンマトリックスの接着剤としてフィブリン糊と同等の性能を発揮することがわかった。
実施例3 デュアルシリンジまたはクライオチューブによるコラーゲン-MS糊の調製
実施例2の通り、コラーゲン-MS糊は、コラーゲン-MS溶液と中和液(2倍濃縮ゲル中和液)のセットであり、2液を混合することで調製される。混合方法としては、フィブリン糊で採用されているように、デュアルシリンジを用いてシリンジの先端部分で2液を混合する方法がある。また、単純にチューブ(例えば、クライオチューブ)2本に2種類の溶液を入れ、チューブ内で2液を混合する方法も考えられる。コラーゲン-MS糊の場合、両方法に一長一短がある。デュアルシリンジによる混合方法は一般的なものであり、洗練された方法ではあるが、コラーゲン-MS糊では、一方(コラーゲン-MS溶液)の粘度が高いため、デュアルシリンジの先端部分で均一に混合できるかどうかにやや懸念があった。また、デュアルシリンジに充填する作業を手術室で行うことは、コラーゲン-MS溶液の粘度が高くて扱いにくいことから困難が予想された。事前にデュアルシリンジに充填することは可能であるが、輸送時の安全性に懸念があった。一方、チューブを使用する方法はやや原始的な方法であり、2液の混合方法を決める必要がある。しかし、コラーゲン-MS糊の場合、2種類の溶液の粘度が大きく異なるため、粘度の低い中和溶液を粘度の高いコラーゲン-MS溶液に加えることは理に適っている。また、チューブに充填された2液あるいは一方の液を予め37℃等に加温しておくことも可能であり、医療現場での使用に適している可能性が高い。そこで、デュアルシリンジまたはクライオチューブ(2本)を使用して、コラーゲン-MS糊の調製を行った。
(試験方法)
1.デュアルシリンジによる調製
デュアルシリンジとして、以下の製品を使用した。
Mini-dual syringe (#4B19, 2 mL×2 mL, 1:1 Ratio: Plas-Pak Industries, Inc.)
以下の手順の通り、デュアルシリンジへ2液を充填して、コラーゲン-MS糊を調製した。
(1)1mLの中和液と1mLのコラーゲン-MS溶液を、先端部分に蓋をしたバレルの各チャンバーへ充填した。
(2)プランジャーを挿入した。
(3)シリンジを逆さまにして、プランジャーの方に溶液を落とした。
(4)チップを装着するために蓋を外し、溶液の漏れがないことを確認してチップを取り付けた。
(5)元の状態に戻して、2溶液をチップ装着部分の方へ落とした。
(6)ゆっくりとプランジャーを押すことで混合液をプレート内のウェルに排出した。
(7)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
2.クライオチューブによる調製
クライオチューブとして、以下の製品を使用した。
Cryogenic vial (4 mL vial, Corning またはGreiner)
以下の手順の通り、クライオチューブ2本へあらかじめ充填した2液を混合後に転倒混和して、コラーゲン-MS糊を調製した。
(1)チューブ2本に2溶液を等量(1.0 mL)それぞれ充填し、チューブ立てに立てておいた。
(2)中和液をコラーゲン-MS溶液のチューブへデカンテーションによって加えた。
(3)20回(10往復)程度泡立てないように転倒混和し、混合液をプレート内のウェルに添加した。
(4)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
(結果)
どちらの方法においてもコラーゲン-MS溶液と中和液の混合は可能であり、コラーゲン-MS糊の調製も問題なくできた。すなわち、コラーゲン-MS糊はウェル内で問題なくゲル化した。ゲル化後はプレートを垂直に傾けてもゲルが動くことは無かった。また、培地を添加してもゲルがプレートから離れて浮いてくることはなかった。また、転倒混和後のクライオチューブから、滅菌済みのスポイトを用いてコラーゲン-MS糊を吸い取り、ウェルに適用(添加)可能であることも確認した。したがって、どちらの方法も可能であるが、医療現場での使用では、特に輸送時の安全性を考慮すると、クライオチューブを使用する方法がより適していると考えられた。
実施例2の通り、コラーゲン-MS糊は、コラーゲン-MS溶液と中和液(2倍濃縮ゲル中和液)のセットであり、2液を混合することで調製される。混合方法としては、フィブリン糊で採用されているように、デュアルシリンジを用いてシリンジの先端部分で2液を混合する方法がある。また、単純にチューブ(例えば、クライオチューブ)2本に2種類の溶液を入れ、チューブ内で2液を混合する方法も考えられる。コラーゲン-MS糊の場合、両方法に一長一短がある。デュアルシリンジによる混合方法は一般的なものであり、洗練された方法ではあるが、コラーゲン-MS糊では、一方(コラーゲン-MS溶液)の粘度が高いため、デュアルシリンジの先端部分で均一に混合できるかどうかにやや懸念があった。また、デュアルシリンジに充填する作業を手術室で行うことは、コラーゲン-MS溶液の粘度が高くて扱いにくいことから困難が予想された。事前にデュアルシリンジに充填することは可能であるが、輸送時の安全性に懸念があった。一方、チューブを使用する方法はやや原始的な方法であり、2液の混合方法を決める必要がある。しかし、コラーゲン-MS糊の場合、2種類の溶液の粘度が大きく異なるため、粘度の低い中和溶液を粘度の高いコラーゲン-MS溶液に加えることは理に適っている。また、チューブに充填された2液あるいは一方の液を予め37℃等に加温しておくことも可能であり、医療現場での使用に適している可能性が高い。そこで、デュアルシリンジまたはクライオチューブ(2本)を使用して、コラーゲン-MS糊の調製を行った。
(試験方法)
1.デュアルシリンジによる調製
デュアルシリンジとして、以下の製品を使用した。
Mini-dual syringe (#4B19, 2 mL×2 mL, 1:1 Ratio: Plas-Pak Industries, Inc.)
以下の手順の通り、デュアルシリンジへ2液を充填して、コラーゲン-MS糊を調製した。
(1)1mLの中和液と1mLのコラーゲン-MS溶液を、先端部分に蓋をしたバレルの各チャンバーへ充填した。
(2)プランジャーを挿入した。
(3)シリンジを逆さまにして、プランジャーの方に溶液を落とした。
(4)チップを装着するために蓋を外し、溶液の漏れがないことを確認してチップを取り付けた。
(5)元の状態に戻して、2溶液をチップ装着部分の方へ落とした。
(6)ゆっくりとプランジャーを押すことで混合液をプレート内のウェルに排出した。
(7)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
2.クライオチューブによる調製
クライオチューブとして、以下の製品を使用した。
Cryogenic vial (4 mL vial, Corning またはGreiner)
以下の手順の通り、クライオチューブ2本へあらかじめ充填した2液を混合後に転倒混和して、コラーゲン-MS糊を調製した。
(1)チューブ2本に2溶液を等量(1.0 mL)それぞれ充填し、チューブ立てに立てておいた。
(2)中和液をコラーゲン-MS溶液のチューブへデカンテーションによって加えた。
(3)20回(10往復)程度泡立てないように転倒混和し、混合液をプレート内のウェルに添加した。
(4)プレートを約20分間インキュベータ内(37℃)で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
(結果)
どちらの方法においてもコラーゲン-MS溶液と中和液の混合は可能であり、コラーゲン-MS糊の調製も問題なくできた。すなわち、コラーゲン-MS糊はウェル内で問題なくゲル化した。ゲル化後はプレートを垂直に傾けてもゲルが動くことは無かった。また、培地を添加してもゲルがプレートから離れて浮いてくることはなかった。また、転倒混和後のクライオチューブから、滅菌済みのスポイトを用いてコラーゲン-MS糊を吸い取り、ウェルに適用(添加)可能であることも確認した。したがって、どちらの方法も可能であるが、医療現場での使用では、特に輸送時の安全性を考慮すると、クライオチューブを使用する方法がより適していると考えられた。
実施例4 コラーゲン-MS糊の保管安定性とゲル化の温度依存性、適正濃度に関する試験
上述の実施例2で示すように、コラーゲン-MS糊は、コラーゲンマトリックスに対して、接着剤として機能する可能性があると考えられる。コラーゲン-MS糊は、出荷後から輸送時にかけて冷蔵条件で保管し、コラーゲン-MS糊の2液は手術室で混合した後、生体内の患部に適用されることになる。そこで、本実施態様を踏まえて、コラーゲン-MS糊の保管安定性、ゲル化の温度依存性、コラーゲン-MS溶液の適正濃度について確認した。
(試験方法)
1.保管安定性
予め2液を充填したデュアルシリンジ及びクライオチューブを2日間冷蔵保管し、3日目に実施例2と同様の試験を行った。
2.ゲル化の温度依存性
ゲル化の温度依存性を確認するため、クライオチューブを用いて、実施例2と同様の試験を、30℃及び35℃に設定したインキュベータを用いて行った。
また、以下の条件についても併せて試験を行った。
(1)チューブ2本、あるいはどちらか1本を37℃に予温した。
(2)プレートを37℃で予温した。
(3)プレートを室温に戻した後、混合液をプレート内のウェルに添加した。
(4)プレートを約20分間室温で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
3.コラーゲンの適正濃度
コラーゲンの濃度は溶液の粘度及びゲル化能と相関がある。粘度が低ければ、混合は容易になるが、ゲル化能は低下する。そのため、コラーゲンの適正濃度を確認するために、コラーゲン-MS溶液の原液、及び注射用水を用いて1.5倍または2倍希釈したコラーゲン溶液について、クライオチューブを用いて、実施例2と同様の試験を行った。
(結果)
1.保管安定性
冷蔵保管後の溶液をデュアルシリンジあるいはクライオチューブにより混合した結果、問題なくゲル化が起きた。すなわち、出荷後の輸送時の冷蔵保管条件において十分に安定であることが確認できた。
2.ゲル化の温度依存性
ゲル化を30℃及び35℃において試みた。その結果、若干不均一ではあるが、ゲル化が起きることは確認できた。移植時には生体内(約37℃)に適用することから、ゲル化には問題ないと考えられた。
また、中和液のみを37℃で予温した場合は、室温においても比較的均一なゲル化が認められた。一方、中和液が予温されているかどうかに関わらず、コラーゲン-MS溶液を37℃で予温した後に中和液と混合すると、ゲル化が不均一になる傾向があった。これは、コラーゲンが変性するためと考えられた。したがって、混合前には、コラーゲン-MS溶液を室温以上に加温しないことが重要であることがわかった。以上より、混合前に中和液のみを37℃で予温することで、ゲル化を安定して実施できることが明らかになった。
3.コラーゲンの適正濃度
コラーゲン-MS糊に使用するコラーゲン溶液について、その希釈が可能かどうかを確認した結果、原液(1倍希釈)、1.5倍希釈、2倍希釈溶液のすべてに関して、十分にゲル化が起こることがわかった。コラーゲン溶液を希釈することで粘度が低くなり、転倒混和及び適用時のコラーゲン-MS糊の扱いが容易になる利点がある。コラーゲン溶液(コラーゲン-MS溶液)の原液から2倍希釈までのコラーゲン-MS糊におけるコラーゲン最終濃度は、1.35〜3.25 mg/mLの範囲である。しかし、コラーゲン溶液の粘度は温度依存性があることが知られている(温度を高くすると粘度が低くなる)。また、幼若ラットから抽出したラット尾部由来コラーゲンは同一濃度でも粘度が低いことが知られており、またアテロコラーゲンのようにテロペプチドを切断した場合にも同様なことが言える。そのため、一般的なコラーゲン糊のコラーゲン最終濃度の適正範囲は、およそ0.5〜25.0 mg/mLと推定された。
上述の実施例2で示すように、コラーゲン-MS糊は、コラーゲンマトリックスに対して、接着剤として機能する可能性があると考えられる。コラーゲン-MS糊は、出荷後から輸送時にかけて冷蔵条件で保管し、コラーゲン-MS糊の2液は手術室で混合した後、生体内の患部に適用されることになる。そこで、本実施態様を踏まえて、コラーゲン-MS糊の保管安定性、ゲル化の温度依存性、コラーゲン-MS溶液の適正濃度について確認した。
(試験方法)
1.保管安定性
予め2液を充填したデュアルシリンジ及びクライオチューブを2日間冷蔵保管し、3日目に実施例2と同様の試験を行った。
2.ゲル化の温度依存性
ゲル化の温度依存性を確認するため、クライオチューブを用いて、実施例2と同様の試験を、30℃及び35℃に設定したインキュベータを用いて行った。
また、以下の条件についても併せて試験を行った。
(1)チューブ2本、あるいはどちらか1本を37℃に予温した。
(2)プレートを37℃で予温した。
(3)プレートを室温に戻した後、混合液をプレート内のウェルに添加した。
(4)プレートを約20分間室温で静置し、溶液がゲル化していることを確認した。
3.コラーゲンの適正濃度
コラーゲンの濃度は溶液の粘度及びゲル化能と相関がある。粘度が低ければ、混合は容易になるが、ゲル化能は低下する。そのため、コラーゲンの適正濃度を確認するために、コラーゲン-MS溶液の原液、及び注射用水を用いて1.5倍または2倍希釈したコラーゲン溶液について、クライオチューブを用いて、実施例2と同様の試験を行った。
(結果)
1.保管安定性
冷蔵保管後の溶液をデュアルシリンジあるいはクライオチューブにより混合した結果、問題なくゲル化が起きた。すなわち、出荷後の輸送時の冷蔵保管条件において十分に安定であることが確認できた。
2.ゲル化の温度依存性
ゲル化を30℃及び35℃において試みた。その結果、若干不均一ではあるが、ゲル化が起きることは確認できた。移植時には生体内(約37℃)に適用することから、ゲル化には問題ないと考えられた。
また、中和液のみを37℃で予温した場合は、室温においても比較的均一なゲル化が認められた。一方、中和液が予温されているかどうかに関わらず、コラーゲン-MS溶液を37℃で予温した後に中和液と混合すると、ゲル化が不均一になる傾向があった。これは、コラーゲンが変性するためと考えられた。したがって、混合前には、コラーゲン-MS溶液を室温以上に加温しないことが重要であることがわかった。以上より、混合前に中和液のみを37℃で予温することで、ゲル化を安定して実施できることが明らかになった。
3.コラーゲンの適正濃度
コラーゲン-MS糊に使用するコラーゲン溶液について、その希釈が可能かどうかを確認した結果、原液(1倍希釈)、1.5倍希釈、2倍希釈溶液のすべてに関して、十分にゲル化が起こることがわかった。コラーゲン溶液を希釈することで粘度が低くなり、転倒混和及び適用時のコラーゲン-MS糊の扱いが容易になる利点がある。コラーゲン溶液(コラーゲン-MS溶液)の原液から2倍希釈までのコラーゲン-MS糊におけるコラーゲン最終濃度は、1.35〜3.25 mg/mLの範囲である。しかし、コラーゲン溶液の粘度は温度依存性があることが知られている(温度を高くすると粘度が低くなる)。また、幼若ラットから抽出したラット尾部由来コラーゲンは同一濃度でも粘度が低いことが知られており、またアテロコラーゲンのようにテロペプチドを切断した場合にも同様なことが言える。そのため、一般的なコラーゲン糊のコラーゲン最終濃度の適正範囲は、およそ0.5〜25.0 mg/mLと推定された。
実施例5 細胞増殖及び分化状態への影響に関する試験
コラーゲン-MS糊は、移植する軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスのスキャホールドであるコラーゲンマトリックスと実質的に同一の組成を含むため、マトリックス内の軟骨細胞に対する毒性等の悪影響がある可能性は事実上ないと考えられる。そこで、現在移植時の接着剤として使用されているフィブリン糊と比較して、コラーゲン-MS糊のマトリックス内軟骨細胞の増殖および分化状態に対する影響を調べた。
(試験方法)
軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスとプレート間の接着剤としてコラーゲン-MS糊を使用後に培養を行い、培養終了後に細胞の増殖及び分化状態を確認した。また、糊を使用しない場合とフィブリン糊(ベリプラスト)を使用した場合をコントロールとした。凍結保管軟骨細胞を解凍し約3日間単層培養後に、培養した軟骨細胞を用いて軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを作製し、各接着剤を適用した6ウェルプレートに移して培養を継続した。そして、約7日間の培養後に細胞数、細胞生存率、遺伝子発現等について調べた。その際、各接着剤を適用した6ウェルプレートを以下の4群(各n=1)に分けた。
1. コントロール(接着剤無添加プレート)
2. コラーゲン-MS(1.5倍希釈)糊(1.5倍希釈コラーゲン-MS溶液と中和液の混合液)
3. コラーゲン-MS(原液)糊(原液コラーゲン-MS溶液と中和液の混合液)
4. ベリプラスト(フィブリン糊)
以下の手順の通り、接着剤を適用し、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを培養した。
(1)事前に凍結保管軟骨細胞を解凍し、T25フラスコにて単層培養を3-4日程度行った。
(2)培養した軟骨細胞を用いて、コラーゲン-MSと2倍濃縮ゲル中和液を混合することで、6ウェルプレートにて軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを4枚作製した。マトリックスの厚みは5 mmとし、1枚あたり各溶液を3 mLずつ混合した(混合後は約6 mL)。軟骨細胞は、各コラーゲンマトリックスあたり5 x 104個播種した。軟骨細胞含有コラーゲンマトリックス作製後、約3 mLの培地(DMEM/Ham's F12)をコラーゲンマトリックス上に添加し、プレートをインキュベータ内(37℃)で2時間以上静置した。
(3)コラーゲン-MS糊として、クライオチューブ2本にコラーゲン-MS溶液と中和液を等量(1 mL)充填した。コラーゲン-MS溶液は、原液と1.5倍希釈溶液(注射用水で希釈)の両方を調製した。ベリプラストの調製も製品説明書に従って行った。
(4)作製した軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを含むプレートを取り出した後、コントロール(接着剤無添加プレート)用軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを別の6ウェルプレートのウェルに移動した。
(5)コラーゲン-MS糊の中和液をコラーゲン-MS溶液のチューブに加え、チューブを10往復転倒混和して2溶液を混合し、混合液を6ウェルプレートの1ウェルに約1 mL注入し、その上に軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動した。その後、舌圧子を用いてコラーゲンマトリックスを十分に圧着し、ウェルに接着させた。その後、10-20分間インキュベータ内で静置し接着を促した。コラーゲン-MS糊の適用は、1.5倍希釈と原液のコラーゲン-MS溶液の両方について、順次実施した。ベリプラストについても同様に適用し、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動および接着させた。
(6)各軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに培養液を3 mL加えて37℃で約7日間培養した。培地交換は3-4日間ごとに行った。その際、各コラーゲンマトリックス中の細胞観察と写真撮影を行った。
(7)培養開始後7日目に、コラーゲンマトリックスから細胞を回収して細胞数、細胞生存率、細胞倍加率を測定した。また、細胞懸濁液からRNAを調製し、PCRにより主にII型コラーゲン遺伝子発現について確認した。
(結果)
各接着剤を適用したウェルに軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動して培養を継続したが、翌日の観察において、コラーゲンマトリックスは、接着剤不使用のコントロールを含めて、プレートに接着したままであり、細胞にも異常は認められなかった。その後も、培養中の細胞に特に異常は認められなかった。ベリプラスト群に関しては、適用時に混入した気泡が多数そのまま残っていた。培養開始後7日目に培養を終了したが、コントロール群においてはコラーゲンマトリックスが浮いて回転していたが、それ以外の3群についてはプレートに接着したままであった。培養終了時に、コラーゲンマトリックスから細胞を回収し、細胞数と細胞生存率、細胞倍加率を測定した。その結果を以下の表1にまとめた。
コラーゲン-MS糊は、移植する軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスのスキャホールドであるコラーゲンマトリックスと実質的に同一の組成を含むため、マトリックス内の軟骨細胞に対する毒性等の悪影響がある可能性は事実上ないと考えられる。そこで、現在移植時の接着剤として使用されているフィブリン糊と比較して、コラーゲン-MS糊のマトリックス内軟骨細胞の増殖および分化状態に対する影響を調べた。
(試験方法)
軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスとプレート間の接着剤としてコラーゲン-MS糊を使用後に培養を行い、培養終了後に細胞の増殖及び分化状態を確認した。また、糊を使用しない場合とフィブリン糊(ベリプラスト)を使用した場合をコントロールとした。凍結保管軟骨細胞を解凍し約3日間単層培養後に、培養した軟骨細胞を用いて軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを作製し、各接着剤を適用した6ウェルプレートに移して培養を継続した。そして、約7日間の培養後に細胞数、細胞生存率、遺伝子発現等について調べた。その際、各接着剤を適用した6ウェルプレートを以下の4群(各n=1)に分けた。
1. コントロール(接着剤無添加プレート)
2. コラーゲン-MS(1.5倍希釈)糊(1.5倍希釈コラーゲン-MS溶液と中和液の混合液)
3. コラーゲン-MS(原液)糊(原液コラーゲン-MS溶液と中和液の混合液)
4. ベリプラスト(フィブリン糊)
以下の手順の通り、接着剤を適用し、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを培養した。
(1)事前に凍結保管軟骨細胞を解凍し、T25フラスコにて単層培養を3-4日程度行った。
(2)培養した軟骨細胞を用いて、コラーゲン-MSと2倍濃縮ゲル中和液を混合することで、6ウェルプレートにて軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを4枚作製した。マトリックスの厚みは5 mmとし、1枚あたり各溶液を3 mLずつ混合した(混合後は約6 mL)。軟骨細胞は、各コラーゲンマトリックスあたり5 x 104個播種した。軟骨細胞含有コラーゲンマトリックス作製後、約3 mLの培地(DMEM/Ham's F12)をコラーゲンマトリックス上に添加し、プレートをインキュベータ内(37℃)で2時間以上静置した。
(3)コラーゲン-MS糊として、クライオチューブ2本にコラーゲン-MS溶液と中和液を等量(1 mL)充填した。コラーゲン-MS溶液は、原液と1.5倍希釈溶液(注射用水で希釈)の両方を調製した。ベリプラストの調製も製品説明書に従って行った。
(4)作製した軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを含むプレートを取り出した後、コントロール(接着剤無添加プレート)用軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを別の6ウェルプレートのウェルに移動した。
(5)コラーゲン-MS糊の中和液をコラーゲン-MS溶液のチューブに加え、チューブを10往復転倒混和して2溶液を混合し、混合液を6ウェルプレートの1ウェルに約1 mL注入し、その上に軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動した。その後、舌圧子を用いてコラーゲンマトリックスを十分に圧着し、ウェルに接着させた。その後、10-20分間インキュベータ内で静置し接着を促した。コラーゲン-MS糊の適用は、1.5倍希釈と原液のコラーゲン-MS溶液の両方について、順次実施した。ベリプラストについても同様に適用し、軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動および接着させた。
(6)各軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに培養液を3 mL加えて37℃で約7日間培養した。培地交換は3-4日間ごとに行った。その際、各コラーゲンマトリックス中の細胞観察と写真撮影を行った。
(7)培養開始後7日目に、コラーゲンマトリックスから細胞を回収して細胞数、細胞生存率、細胞倍加率を測定した。また、細胞懸濁液からRNAを調製し、PCRにより主にII型コラーゲン遺伝子発現について確認した。
(結果)
各接着剤を適用したウェルに軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスを移動して培養を継続したが、翌日の観察において、コラーゲンマトリックスは、接着剤不使用のコントロールを含めて、プレートに接着したままであり、細胞にも異常は認められなかった。その後も、培養中の細胞に特に異常は認められなかった。ベリプラスト群に関しては、適用時に混入した気泡が多数そのまま残っていた。培養開始後7日目に培養を終了したが、コントロール群においてはコラーゲンマトリックスが浮いて回転していたが、それ以外の3群についてはプレートに接着したままであった。培養終了時に、コラーゲンマトリックスから細胞を回収し、細胞数と細胞生存率、細胞倍加率を測定した。その結果を以下の表1にまとめた。
各検体における細胞生存率は96%以上と極めて高く、接着剤による細胞毒性は、予想通り、全く認められなかった。ただし、ベリプラスト群における細胞数は他の3群と比較して半分以下であった。その理由として、培養終了後のコラーゲンマトリックスとベリプラストの分離が不完全だったためにコラーゲンマトリックスの一部を回収できなかったこと、播種時細胞数のバラツキ等が考えられた。いずれにしても、コラーゲン-MS糊が、フィブリン糊と比較して、軟骨細胞の増殖に関して品質的に劣るという可能性はないと考えられた。
次に、各検体の細胞懸濁液からRNAを調製し、PCRによりII型コラーゲン遺伝子発現について調べた。II型コラーゲン遺伝子は、軟骨細胞の分化状態を反映する最も優れたマーカー遺伝子と考えられている。そのため、II型コラーゲン遺伝子発現を測定するためのPCRプライマーは3種類使用した。その他、I型コラーゲン、Sox9、Aggrecan遺伝子の発現を調べた。Sox9とAggrecanは軟骨細胞のマーカーであり、I型コラーゲン遺伝子は軟骨細胞の脱分化状態を反映するマーカーと考えられている。
その結果、表2の通り、4群の各検体に関してすべての遺伝子発現が明瞭に認められ、各検体間の差異は認められなかった。すなわち、各検体における軟骨細胞の分化状態に顕著な差異は認められなかった。
次に、各検体の細胞懸濁液からRNAを調製し、PCRによりII型コラーゲン遺伝子発現について調べた。II型コラーゲン遺伝子は、軟骨細胞の分化状態を反映する最も優れたマーカー遺伝子と考えられている。そのため、II型コラーゲン遺伝子発現を測定するためのPCRプライマーは3種類使用した。その他、I型コラーゲン、Sox9、Aggrecan遺伝子の発現を調べた。Sox9とAggrecanは軟骨細胞のマーカーであり、I型コラーゲン遺伝子は軟骨細胞の脱分化状態を反映するマーカーと考えられている。
その結果、表2の通り、4群の各検体に関してすべての遺伝子発現が明瞭に認められ、各検体間の差異は認められなかった。すなわち、各検体における軟骨細胞の分化状態に顕著な差異は認められなかった。
PCR反応産物の電気泳動の結果(コラーゲン-MS糊の原液群、ペリプラスト)を図1および図2に示した。その結果、コラーゲン-MS糊がコラーゲンマトリックス内軟骨細胞の増殖および分化状態に対して、フィブリン糊と比較して、品質的に劣る可能性は認められなかった。
実施例6 軟骨欠損モデルへの適用試験
ボール(コラーゲンマトリックスの軟骨組織への移植手技について外科医師等へのデモンストレーションとして使用されるボール、例えばカメヤマ社製ラスティックボール80)を用いた軟骨欠損モデルを用いて、膝関節軟骨損傷部にコラーゲン-MS糊を用いるシミュレーションを行った。このシミュレーションにより、コラーゲン-MS糊が、接着剤として機能するかどうかの確認を更に行った。このシミュレーションは、以下の試験方法により行った。
(試験方法)
ボール(本実施例では直径80mmのカメヤマ社製ラスティックボール80を使用)を用いた軟骨欠損モデルを用いて、コラーゲン-MS糊の機能評価をするため、以下の通りに事前準備を行った。
1. 6ウェルプレート上で軟骨細胞不含コラーゲンマトリックスの作製した(計4枚、冷蔵保管)。
2. コラーゲン-MS糊(コラーゲン-MS溶液原液と中和液)を調製し、クライオチューブへ事前充填(各1 mL)し、冷蔵保管(1日)した。
3. ボールを作製し、切り出し工具を使用して 12.5 x 25 mm(サイズ中)、15 x 30mm(サイズ大)の軟骨欠損モデル(深さ約2.5 mm)を作製した(各2個)。
次に以下の手順の通り、コラーゲン-MS糊を軟骨欠損モデルへ適用した。
(1)クライオチューブを室温に戻し、中和液を含むチューブを37℃に加温した。
(2)コラーゲンマトリックスをボールの欠損部に合わせて整形(サイズ中とサイズ大)した(深さ約2.5 mm)。
(3)中和液をコラーゲン-MS溶液に加えて2液混合し、転倒混和(10回程度)した。
(4)ボールの欠損部を上向きにした。
(5)混和した糊をスポイトで約1 mL吸い上げ、欠損部「サイズ中」(体積約0.7cm3)または欠損部「サイズ大」(体積約1.0cm3)に適量注入した。
(6)コラーゲンマトリックスを適用し、ヘラで加圧し、5〜10分程度静置した。適用時、糊が欠損部からあふれたら、適宜ふき取った。
(7)ボールの向きを元(垂直方向)に戻した。
(8)同様の作業を、糊を使用することなく実施した(コントロール)。
(9)コラーゲンマトリックス適用後の欠損部について観察した(糊の使用有及び無の両方の形態)。
(結果)
糊を使用しないコントロールにおいては、欠損部のサイズ大および中の両方の場合において、欠損部にコラーゲンマトリックス適用後に10分間静置した後、ゆっくりとボールを傾けていくと、直ちにコラーゲンマトリックスがずり落ち始めた。一方、コラーゲン-MS糊を使用した場合、欠損部のサイズ大および中の両方の場合において、欠損部にコラーゲンマトリックス適用後に10分間静置した後にボールを傾けてもコラーゲンマトリックスは接着したままであった。その後、コラーゲンマトリックスを垂直にした状態で静置したが、コラーゲンマトリックスは20分以上接着が維持されていた。
したがって、上記方法でコラーゲン-MS糊を適用すれば、室温においても十分に軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに対して、接着剤としての機能を果たすことがわかった。生体内では温度が37℃近くあることが期待されるため、より安定して糊としての機能を果たすと考えられる。
ボール(コラーゲンマトリックスの軟骨組織への移植手技について外科医師等へのデモンストレーションとして使用されるボール、例えばカメヤマ社製ラスティックボール80)を用いた軟骨欠損モデルを用いて、膝関節軟骨損傷部にコラーゲン-MS糊を用いるシミュレーションを行った。このシミュレーションにより、コラーゲン-MS糊が、接着剤として機能するかどうかの確認を更に行った。このシミュレーションは、以下の試験方法により行った。
(試験方法)
ボール(本実施例では直径80mmのカメヤマ社製ラスティックボール80を使用)を用いた軟骨欠損モデルを用いて、コラーゲン-MS糊の機能評価をするため、以下の通りに事前準備を行った。
1. 6ウェルプレート上で軟骨細胞不含コラーゲンマトリックスの作製した(計4枚、冷蔵保管)。
2. コラーゲン-MS糊(コラーゲン-MS溶液原液と中和液)を調製し、クライオチューブへ事前充填(各1 mL)し、冷蔵保管(1日)した。
3. ボールを作製し、切り出し工具を使用して 12.5 x 25 mm(サイズ中)、15 x 30mm(サイズ大)の軟骨欠損モデル(深さ約2.5 mm)を作製した(各2個)。
次に以下の手順の通り、コラーゲン-MS糊を軟骨欠損モデルへ適用した。
(1)クライオチューブを室温に戻し、中和液を含むチューブを37℃に加温した。
(2)コラーゲンマトリックスをボールの欠損部に合わせて整形(サイズ中とサイズ大)した(深さ約2.5 mm)。
(3)中和液をコラーゲン-MS溶液に加えて2液混合し、転倒混和(10回程度)した。
(4)ボールの欠損部を上向きにした。
(5)混和した糊をスポイトで約1 mL吸い上げ、欠損部「サイズ中」(体積約0.7cm3)または欠損部「サイズ大」(体積約1.0cm3)に適量注入した。
(6)コラーゲンマトリックスを適用し、ヘラで加圧し、5〜10分程度静置した。適用時、糊が欠損部からあふれたら、適宜ふき取った。
(7)ボールの向きを元(垂直方向)に戻した。
(8)同様の作業を、糊を使用することなく実施した(コントロール)。
(9)コラーゲンマトリックス適用後の欠損部について観察した(糊の使用有及び無の両方の形態)。
(結果)
糊を使用しないコントロールにおいては、欠損部のサイズ大および中の両方の場合において、欠損部にコラーゲンマトリックス適用後に10分間静置した後、ゆっくりとボールを傾けていくと、直ちにコラーゲンマトリックスがずり落ち始めた。一方、コラーゲン-MS糊を使用した場合、欠損部のサイズ大および中の両方の場合において、欠損部にコラーゲンマトリックス適用後に10分間静置した後にボールを傾けてもコラーゲンマトリックスは接着したままであった。その後、コラーゲンマトリックスを垂直にした状態で静置したが、コラーゲンマトリックスは20分以上接着が維持されていた。
したがって、上記方法でコラーゲン-MS糊を適用すれば、室温においても十分に軟骨細胞含有コラーゲンマトリックスに対して、接着剤としての機能を果たすことがわかった。生体内では温度が37℃近くあることが期待されるため、より安定して糊としての機能を果たすと考えられる。
主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドの移植に用いることができる、スキャホールド移植の有効性及び安全性に悪影響がないことがより確実な医療用接着剤として、移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液(本実施例では、具体例としてコラーゲン-MS糊を挙げる)は有用である。
Claims (6)
- 主成分としてコラーゲンを含む移植用スキャホールドと同一または実質的に同一の組成を有するコラーゲン溶液を含む、該移植用スキャホールドの医療用接着剤または接着キット。
- コラーゲン溶液のコラーゲン濃度が0.5〜25.0mg/mlである、請求項1に記載の接着剤または接着キット。
- 移植用スキャホールドの主成分のコラーゲンおよびコラーゲン溶液のコラーゲンが共にラット尾部腱由来I型コラーゲンである、請求項1または2に記載の接着剤または接着キット。
- コラーゲン溶液のpHを中和する中和液をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤または接着キット。
- コラーゲン溶液およびコラーゲン溶液のpHを中和する中和液からなる、請求項4に記載の接着剤または接着キット。
- 軟骨組織への接着剤または接着キットである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤または接着キット。
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JP3901717B2 (ja) * | 2003-10-09 | 2007-04-04 | 株式会社ビー・アイ・テック | 複合材料を用いたセメントレス型人工関節ステム |
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US8858698B2 (en) * | 2008-09-05 | 2014-10-14 | Mentor Worldwide Llc | Acellular matrix glue |
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2017
- 2017-12-14 WO PCT/JP2017/044825 patent/WO2018123605A1/ja active Application Filing
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