JP2020031460A - モータドライバ装置及び半導体装置 - Google Patents

モータドライバ装置及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ウィンドウレス方式によるブラシレス直流モータのスイッチング駆動において、駆動制御信号の分解能と電流極性検出の分解能の双方を良好とする。【解決手段】三相ブラシレス直流モータに対するモータドライバ装置は、所定相のコイルに流れる電流の極性判定タイミングの検出結果に基づき、パルス幅変調された駆動制御信号を相ごとに生成し、各駆動制御信号に応じた駆動電圧を各コイルに供給することで、当該モータをスイッチング駆動する。検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づき次回の極性反転タイミングを予測して検出予測区間を設定し、可変対象周波数としてのPWM周波数を検出予測区間内において検出予測区間外よりも高める周波数可変制御を実行する。パルス幅変調の代わりにパルス密度変調が用いられ得る。【選択図】図11

Description

本発明は、モータドライバ装置及び半導体装置に関する。
ブラシレス直流モータなど、ブラシによる転流機構を有しないモータでは、ロータの位置に応じて、コイルに供給する電流の向きを切り替える必要がある。ブラシレス直流モータの駆動方式として、ホール素子から得られるロータの位置情報を利用する方式と、ホール素子を利用せずにコイルに生ずる逆起電力(誘起電圧)のゼロクロス点に基づいてロータの位置を推定するセンサレス方式と、が広く知られている。
三相ブラシレスモータの制御方法としては、120度通電方式(矩形波駆動)と180度通電方式(正弦波駆動)が広く用いられる。120度通電方式は相対的に制御が容易であるという利点を持つのに対し、180度通電方式は相対的に静粛性及び振動特性が良いという利点を持つ。
センサレス方式において逆起電力を検出するためにはコイルに流れる電流をゼロにする必要がある。120度通電方式では、各相のコイルに対し非通電区間が設定されるため、それを利用することで容易に逆起電力を検出可能である。これに対し、180度通電方式では各コイルに常に電流が流れているため、120度通電方式のように非通電区間を利用することができない。そこで、180度通電方式では、逆起電力のゼロクロス点が発生するであろう時刻を含むウィンドウ区間を設定し、ウィンドウ区間においてドライバの出力を強制的にハイインピーダンス状態とする方法が用いられる。しかしながら、ウィンドウ区間の設定は180度通電方式の本来の利点である静粛性等を損なうおそれがある。
これを考慮し、ドライバの出力を強制的にハイインピーダンス状態とする必要の無い方式(以下、便宜上、ウィンドウレス方式と称する)も提案されており、ウィンドウレス方式では、少なくともコイルの端子電圧を利用して、コイルの流れる電流の極性反転タイミング(電流の流れる向きが反転するタイミング)を検出する(下記特許文献1及び2参照)。電流の極性を周期的に検出(サンプリング)することで電流の位相情報を取得して、取得した位相情報を元にパルス幅変調された駆動制御信号を生成できる。そして、駆動制御信号に基づくデューティを有する駆動電圧を各相のコイルに供給することでモータをセンサレス駆動することが可能である。
特許第6231357号公報 特開平10−341588号公報
上記のウィンドウレス方式における電流の極性検出のためのサンプリング周波数は、原理上、駆動制御信号の周波数であるPWM周波数に依存する。即ち、PWM周波数の増減に伴ってサンプリング周波数も増減する。故に、PWM周波数を増大させればサンプリング周波数も増大して電流の極性検出の分解能が増大することになるが、単純にPWM周波数を増大させると駆動制御信号の分解能の低下を招く。
これについて、図18を参照して説明を加える。今、説明の具体化のため、駆動制御信号が20MHzの基準クロックを元に生成される場合を考える。この場合、駆動制御信号のパルス幅は20MHzの逆数である50ns(ナノ秒)を最小の調整単位にして可変されることになる。このとき、PWM周波数が100kHzであるときと1MHzであるときを比較する。100kHzの逆数は10μs(マイクロ秒)であるから、PWM周波数が100kHzであるとき、駆動制御信号のパルス幅の調整分解能は“50ns/10μs=0.5%”となる。これに対し、1MHzの逆数は1μs(マイクロ秒)であるから、PWM周波数が1MHzであるとき、駆動制御信号のパルス幅の調整分解能は“50ns/1μs=5%”となる。
このように、電流の極性検出の分解能を上げるべく単純にPWM周波数を増大させると、駆動制御信号の分解能が低下することになる。駆動制御信号の分解能低下は、モータのトルクリプルの増大等に繋がる。故に、駆動制御信号の分解能低下を抑制しつつ、電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)を高める方式の提案が切望される。尚、パルス幅変調を用いて駆動制御信号を生成することを想定して背景技術等を上述したが、パルス密度変調を用いて駆動制御信号を生成する場合にも同様の事情が存在する。
本発明は、駆動制御信号の分解能低下を抑制しつつ電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)の向上に寄与するモータドライバ装置及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明に係るモータドライバ装置は、複数相分のコイルを有して構成されるブラシレス直流モータをスイッチング駆動するモータドライバ装置において、所定相のコイルの一端に生じる端子電圧に基づき、前記所定相のコイルに流れる電流の極性反転タイミングを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づき、パルス幅変調又はパルス密度変調された駆動制御信号を相ごとに生成する駆動制御信号生成部と、相ごとに前記駆動制御信号に応じた駆動電圧を、対応するコイルに対して供給する駆動電圧供給部と、を備え、前記駆動制御信号生成部は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づいて検出予測区間を設定する予測処理部を有し、前記パルス幅変調による前記駆動制御信号の周波数又は前記パルス密度変調による前記駆動制御信号の最小のパルス幅の逆数を可変対象周波数とし、前記可変対象周波数を前記検出予測区間内において前記検出予測区間外よりも高める周波数可変制御を実行可能であることを特徴とする。
具体的には例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動制御信号生成部は、前記周波数可変制御において、前記可変対象周波数を前記検出予測区間外にて所定の第1周波数に設定する一方で前記検出予測区間内にて前記第1周波数よりも高い所定の第2周波数に設定し、前記検出予測区間の開始後、前記極性反転タイミングが検出されると、その検出を契機に前記可変対象周波数を前記第2周波数から前記第1周波数に戻すと良い。
この際例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動制御信号生成部は、前記検出予測区間の開始後、前記極性反転タイミングが検出されずに前記検出予測区間が終了すると、その終了を契機に前記可変対象周波数を前記第2周波数から前記第1周波数に戻すと良い。
また例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動制御信号生成部は、前記検出予測区間の設定後、設定された前記検出予測区間が開始される前に前記極性反転タイミングが検出された場合、当該検出予測区間において前記可変対象周波数を前記第1周波数に維持すると良い。
また例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動電圧供給部は、前記駆動制御信号に応じたパルス列から成り且つ所定のデッドタイムが挿入された電圧を前記駆動電圧として相ごとに生成し、前記検出部は、前記駆動電圧の供給を受けて前記所定相のコイルの一端に生じる前記端子電圧のパルス幅と、前記所定相に対して生成された前記駆動制御信号のパルス幅との関係に基づき、前記極性反転タイミングを検出すると良い。
ここで例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動電圧供給部は、互いに直列接続されたハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタから成るハーフブリッジ回路を相ごとに有して、相ごとに前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードから対応するコイルに対し前記駆動電圧を供給し、各相において前記デッドタイムでは前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタが共にオフ状態とされて良い。
或いは例えば、前記モータドライバ装置において、前記駆動電圧供給部は、互いに直列接続されたハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタから成るハーフブリッジ回路を相ごとに有して、相ごとに前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードから対応するコイルに対し前記駆動電圧を供給し、少なくとも前記所定相について、前記ハイサイドトランジスタがオフ状態であるか否かを検出するハイサイドオフ検出回路、前記ローサイドトランジスタがオフ状態であるか否かを検出するローサイドオフ検出回路、及び、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードの電圧を所定電圧と比較する電圧比較回路が、当該モータドライバ装置に設けられ、前記検出部は、前記ハイサイドオフ検出回路の検出結果、前記ローサイドオフ検出回路の検出結果及び前記電圧比較回路の比較結果に基づき、前記極性反転タイミングを検出しても良い。
また例えば、前記モータドライバ装置において、前記予測処理部は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づき、検出前の極性反転タイミングが到来するタイミングを予測して、予測タイミングを含む区間を前記検出予測区間として設定すると良い。
また例えば、前記モータドライバ装置は、磁気ディスク装置の磁気ディスクを回転させるスピンドルモータを前記ブラシレス直流モータとしてスイッチング駆動するものであって良い。
本発明に係る半導体装置は、前記モータドライバ装置を形成する半導体装置であって、前記モータドライバ装置は集積回路を用いて形成されることを特徴とする。
本発明によれば、駆動制御信号の分解能低下を抑制しつつ電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)の向上に寄与するモータドライバ装置及び半導体装置を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係るハードディスク装置の機構に関わる概略構成図である。 本発明の実施形態に係るハードディスク装置の電気的な概略ブロック図である。 本発明の実施形態に係るハードディスク装置に搭載されるドライバICの外観斜視図である。 本発明の実施形態に係るSPM及びSPMドライバの構成図である。 駆動制御信号生成回路における駆動制御信号の生成に関わる機能ブロック図である。 U相に関する変調前信号及び駆動制御信号の概略波形図である。 SPMドライバに関わる幾つかの信号及び電圧の波形図である。 デッドタイム区間におけるコイル電流の流れを示す図である。 複数の極性反転タイミングの関係図である。 本発明の第1実施例に係り、極性反転予測タイミング及び検出予測区間の説明図である。 本発明の第1実施例に係り、周波数可変制御の説明図である。 本発明の第1実施例に係り、波数可変制御に関わる第1ケースの動作説明図である。 本発明の第1実施例に係り、波数可変制御に関わる第2ケースの動作説明図である。 本発明の第1実施例に係り、波数可変制御に関わる第3ケースの動作説明図である。 本発明の第2実施例に係り、駆動制御信号生成回路における駆動制御信号の生成に関わる機能ブロック図である。 本発明の第2実施例に係り、U相に関する変調前信号及び駆動制御信号の概略波形図である。 本発明の第3実施例に係り、U相のハーフブリッジ回路と周辺回路の構成図である。 従来技術に係り、PWM周波数と電流極性の検出分解能と駆動制御信号の分解能との関係図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“TrH”によって参照されるハイサイドトランジスタは、ハイサイドトランジスタTrHと表記されることもあるし、トランジスタTrHと略記されることもあるが、それらは全て同じものを指す。
まず本実施形態で用いられる幾つかの用語について説明を設ける。
本実施形態において、レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部を指す又は基準電位そのものを指す。本実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
後述のトランジスタTrH及びTrLを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。オン状態、オフ状態を、単にオン、オフと表現することもある。
任意の信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをアップエッジタイミングと称する。同様に、任意の信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをダウンエッジタイミングと称する。
周期的にレベルがローレベルとハイレベルとの間で切り替わる任意の信号又は電圧について、当該信号又は電圧の1周期分の区間の長さに対する、当該信号又は電圧のレベルがハイレベルとなる区間の長さの割合を、デューティと称する。
図1は、本発明の実施形態に係る磁気ディスク装置としてのハードディスク装置(以下HDD装置と称する)1の機構に関わる概略構成図である。
HDD装置1は、記録媒体である磁気ディスク10と、磁気ディスク10に対して情報の書き込み及び読み込みを行う磁気ヘッド11(以下ヘッド11とも称されうる)と、磁気ヘッド11を磁気ディスク10の半径方向に対して移動自在に支持するアーム12と、磁気ディスク10を支持及び回転させるスピンドルモータ13(以下SPM13とも称されうる)と、アーム12を回転駆動及び位置決めすることで磁気ヘッド11を磁気ディスク10の半径方向に対して移動させ且つ位置決めするボイスコイルモータ14(以下VCM14とも称されうる)と、を備える。
HDD装置1は、更に、一対の圧電素子15と、ロードビーム16と、磁気ヘッド11を磁気ディスク10から離間した所定の退避位置に保持するランプ部17と、を備える。アーム12の先端にロードビーム16が取り付けられ、ロードビーム16の先端に磁気ヘッド11が取り付けられる。アーム12の先端部におけるロードビーム16の取り付け部付近に一対の圧電素子15が配置される。一対の圧電素子15に対して互いに逆位相の電圧を加えることで、一対の圧電素子15が互いに逆位相で伸縮し、ロードビーム16の先端の磁気ヘッド11を磁気ディスク10の半径方向において変位させることができる。
このように、HDD装置1では、いわゆる2段アクチュエータ方式が採用されている。VCM14は、アーム12を駆動することで磁気ディスク10上において磁気ヘッド11を荒く位置決めする(相対的に荒い分解能で位置決めする)粗動アクチュエータとして機能し、一対の圧電素子15は、アーム12の位置を基準にして磁気ヘッド11の位置を調整することで磁気ディスク10上において磁気ヘッド11を精密に位置決めする(VCM14よりも細かい分解能で位置決めする)微動アクチュエータとして機能する。以下では、一対の圧電素子15から成るアクチュエータを、マイクロアクチュエータの略称“MA”を用い、MA15と称する。
磁気ディスク10と、磁気ヘッド11と、MA15及びロードビーム16が取り付けられたアーム12と、SPM13と、VCM14と、ランプ部17は、HDD装置1の筐体内に収められる。尚、VCM14又はMA15による磁気ヘッド11の移動、変位に関し、磁気ディスク10の半径方向における移動、変位とは、円盤形状を有する磁気ディスク10の外周と中心とを結ぶ方向における移動、変位を意味するが、VCM14又はMA15による磁気ヘッド11の移動、変位が、磁気ディスク10の半径方向における移動、変位に加えて、他の方向(例えば磁気ディスク10の外周の接線方向)における移動、変位の成分を含むこともある。
図2は、HDD装置1の電気的な概略ブロック図である。HDD装置1には、電気的な構成部品として、ドライバIC30、信号処理回路21、MPU(micro-processing unit)22及び電源回路23が設けられている。電源回路23は、ドライバIC30及び信号処理回路21、MPU22を駆動するための電源電圧を、それらに供給する。MPU22は、信号処理回路21及びドライバIC30の夫々に対し、双方向通信が可能な形態で接続されている。
信号処理回路21は、磁気ディスク10への情報の書き込み時には、当該情報を書き込むための記録信号を磁気ヘッド11に出力し、磁気ディスク10から情報を読み出す時には、磁気ディスク10から読み出された信号に対して必要な信号処理を施し、これによって得られた信号をMPU22に送る。MPU22は、信号処理回路21の制御を通じて磁気ヘッド11による情報の書き込み動作及び読み込み動作を制御する。
ドライバIC30は、図3に示すような、半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(ドライバ装置)である。尚、図3に示されるドライバIC30のピン数(外部端子の数)は例示に過ぎない。ドライバIC30には、SPM13を駆動制御するためのSPMドライバ33、VCM14を駆動制御するためのVCMドライバ34及びMA15を駆動制御するためのMAドライバ35が設けられる他、MPU22及びドライバIC30間の双方向通信を可能とするためのIF回路(インターフェース回路)32や、IF回路32を通じてMPU22から受けた制御データに基づきドライバ33〜35の動作を制御する制御回路31などが設けられる。
MPU22は、ドライバIC30のSPMドライバ33を制御することによりSPM13の駆動制御を通じて磁気ディスク10の回転制御を行い、ドライバIC30のVCMドライバ34及びMAドライバ35を制御することによりVCM14及びMA15の駆動制御を通じて磁気ヘッド11の移動制御及び位置決めを行う。磁気ディスク10の各箇所には磁気ディスク10上の各々の位置を示す位置情報が記録されており、磁気ディスク10上に磁気ヘッド11が位置しているとき、この位置情報は磁気ヘッド11により読み取られて、信号処理回路21を通じてMPU22に伝達される。MPU22は当該位置情報に基づいてVCMドライバ34及びMAドライバ35を制御でき、この制御を通じて、VCMドライバ34がVCM14に必要な駆動電流を供給することで磁気ヘッド11の第1段階の位置決めが実現され且つMAドライバ35がMA15に必要な電圧を供給することで磁気ヘッド11の第2段階の位置決めが実現される。尚、磁気ヘッド11が磁気ディスク10上に位置しているとは、磁気ヘッド11が微小な空間を隔てて磁気ディスク10の上方に位置していることを意味する。
磁気ヘッド11が磁気ディスク10の外周の外側に位置している場合など、磁気ヘッド11にて位置情報が読み出されていない状態においては、MPU22は、位置情報に頼らずにVCMドライバ34及びMAドライバ35を制御できる。例えば、磁気ヘッド11をランプ部17における退避位置から磁気ディスク10上に移動させる場合、MPU22は、その移動に適した所定の駆動電流をVCM14に供給することを指示する信号をドライバIC30に出力すれば良く、これによりVCMドライバ34は当該信号に基づく所定の駆動電流をVCM14に供給する。磁気ヘッド11にて位置情報が読み出されていない状態において、磁気ヘッド11の精密な位置制御は不要となるため、一対の圧電素子15に対する供給電圧はゼロとされて良い又は固定電圧とされて良い。
図4に、SPM13及びSPMドライバ33の内部構成とそれらの接続関係を示す。ドライバIC30に設けられた外部端子には、端子OUTu、OUTv及びOUTwが含まれる。SPM13は、スター結線されたU相のコイル13u、V相のコイル13v及びW相のコイル13wから成る三相ブラシレス直流モータである。SPM13は、ステータと永久磁石を備えたロータとを有し、ステータにコイル13u、13v及び13wが設けられる。コイル13uの一端、コイル13vの一端、コイル13wの一端は、夫々、外部端子OUTu、OUTv、OUTwに接続され、コイル13u、13v及び13wの他端同士は中性点13nにて共通接続されている。外部端子OUTu、OUTv、OUTwは出力端子とも称され得る。尚、以下の説明において、単にロータと記した場合、それはSPM13のロータを指すものとする。
SPMドライバ33は、U相のハーフブリッジ回路50uと、V相のハーフブリッジ回路50vと、W相のハーフブリッジ回路50wと、プリドライバ回路51と、駆動制御信号生成回路52と、電流極性検出回路53とを備え、ウィンドウレス方式にてSPM13をセンサレス駆動する。この際、SPMドライバ33はSPM13を180度通電方式(正弦波駆動)にて駆動して良い。
ハーフブリッジ回路50u、50v及び50wの夫々は、電源電圧VPWRが加わるラインとグランドとの間に直列に接続されたハイサイドトランジスタTrH及びローサイドトランジスタTrLから成る。トランジスタTrH及びTrLはNチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)として構成されている。電源電圧VPWRは所定の正の直流電圧であり、ここでは例として12V(ボルト)であるとする。
より具体的には、ハーフブリッジ回路50u、50v及び50wの夫々において、トランジスタTrHのドレインは、電源電圧VPWRが印加される第1電源端子に接続されて電源電圧VPWRの供給を受け、トランジスタTrHのソースとトランジスタTrLのドレインはノードNDにて共通接続され、トランジスタTrLのソースは第2電源端子として機能するグランドに接続されている。ハーフブリッジ回路50u、50v、50wにおけるノードNDは、夫々、出力端子OUTu、OUTv、OUTwに接続される。故に、ハーフブリッジ回路50u、50v、50wにおけるノードNDは、夫々、出力端子OUTu、OUTv、OUTwを介して、コイル13u、13v、13wの一端に接続されることになる。コイル13u、13v、13wの一端における電圧に相当する、出力端子OUTu、OUTv、OUTwに加わる電圧を、夫々、Vu、Vv、Vwにて表す。プリドライバ回路51並びにハーフブリッジ回路50u、50v及び50wにより、電圧Vu、Vv、Vwが、夫々、U相、V相、W相用の駆動電圧としてコイル13u、13v、13wに供給されることになる。
SPM13のセンサレス駆動を実現するため、電流極性検出回路53は、電圧Vuに基づいてコイル13uに流れる電流の極性を検出するU相極性検出処理、電圧Vvに基づいてコイル13vに流れる電流の極性を検出するV相極性検出処理、及び、電圧Vwに基づいてコイル13wに流れる電流の極性を検出するW相極性検出処理の内の少なくとも1つの極性検出処理を実行する。極性検出処理による検出結果は、極性検出信号Saとして駆動制御信号生成回路52に送られる。
出力端子OUTu、OUTv、OUTwを通じてコイル13u、13v、13wに流れる電流を、コイル電流と称し、夫々、Iu、Iv、Iwにて参照する。コイル電流Iuについて、ハーフブリッジ回路50uのノードNDから出力端子OUTuを介しコイル13uに向けて流れるコイル電流Iuの極性を正と定義し、その逆の極性を負と定義する。コイル電流Iv及びIwについても同様に極性を定義する。コイル電流の正の向きはソース方向とも称され、コイル電流の負の向きはシンク方向とも称される。
図4では、電流極性検出回路53に対し出力端子OUTu、OUTv及びOUTwが接続される様子が示されているが、それらの内、1又は2つの出力端子のみが電流極性検出回路53に接続される構成であっても良い。例えば、電流極性検出回路53にてU相極性検出処理のみを実行する場合には、出力端子OUTu、OUTv及びOUTwの内、出力端子OUTuのみを電流極性検出回路53に接続すれば足る。
駆動制御信号生成回路52は、コイル電流の位相情報(換言すればロータの位置情報)を内包する極性検出信号Saに基づいて、ハーフブリッジ回路50uに対する駆動制御信号DRVu、ハーフブリッジ回路50vに対する駆動制御信号DRVv及びハーフブリッジ回路50wに対する駆動制御信号DRVwを生成及び出力する。SPM13にて発生されるべきトルクを指定するトルク指令信号Trqが駆動制御信号生成回路52に与えられており、生成回路52は、トルク指令信号Trqにて指定されたトルクがSPM13にて発生するよう、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成する。この際、所定の波形データを参照して、コイル13u、13v及び13wに正弦波状の電流が流れるよう、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成して良い。駆動制御信号DRVu、DRVv、DRVwの夫々はパルス幅が可変の二値信号であり、ハイレベル又はローレベルをとる。尚、生成回路52から電流極性検出回路53に送られる制御パルス幅信号Sb、並びに、生成回路52に内包される予測処理部54及び周波数制御部55については後述される。
プリドライバ回路51は、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwに従ってハーフブリッジ回路50u、50v及び50w内の各トランジスタのゲート電位を制御することで各ハーフブリッジ回路の状態を制御する。これにより、電源電圧VPWRを駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwに従ってスイッチングした電圧が駆動電圧Vu、Vv及びVwとして出力端子OUTu、OUTv及びOUTwに加わって、SPM13がスイッチング駆動されることになる。ハーフブリッジ回路50u、50v及び50wの内の任意の1つである対象ハーフブリッジ回路において、トランジスタTrHがオンであって且つトランジスタTrLがオフとなっている状態を出力ハイ状態と称し、トランジスタTrHがオフであって且つトランジスタTrLがオンとなっている状態を出力ロー状態と称する。トランジスタTrH及びTrLのオン抵抗がゼロであると仮定すると、例えばハーフブリッジ回路50uにおいて、出力ハイ状態であればハイサイドトランジスタTrHを介して電源電圧VPWRが出力端子OUTuに加わり、出力ロー状態であればローサイドトランジスタTrLを介してグランドの電位が出力端子OUTuに加わる(但し過渡状態を無視)。ハーフブリッジ回路50v及び50wについても同様である。
今、駆動制御信号生成回路52が、パルス幅変調された信号を駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwとして生成する場合を例に挙げて、SPMドライバ33の詳細な動作等を説明する。また、ここでは、電流極性検出回路53にてU相極性検出処理が行われるものとする。
図5に、生成回路52における駆動制御信号の生成に関わる機能ブロック図を例示する。生成回路52は、極性検出信号Sa、トルク指令信号Trq及び所定の波形データに基づいて変調前信号Vuc、Vvc及びVwcを生成し、当該変調前信号Vuc、Vvc及びVwcをパルス幅変調することで駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成する。変調前信号Vuc、Vvc及びVwcは、夫々、正弦波状のコイル電流Iu、Iv及びIwを流すために出力端子OUTu、OUTv及びOUTwに印加すべき電圧を示し、信号Trqに応じた振幅を有する。
図6に、変調前信号Vucとパルス幅変調された駆動制御信号DRVuの概略的な波形を示す。駆動制御信号DRVuは所定のPWM周波数を有するパルス幅変調信号であり、PWM周波数の逆数を周期とする二値信号となる。駆動制御信号DRVv及びDRVwについても同様である。
プリドライバ回路51は、相ごとに、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwに応じたデューティを有するパルス列から成り且つ所定のデッドタイムTが挿入された駆動電圧Vu、Vv及びVwを生成し、駆動電圧Vu、Vv及びVwを出力端子OUTu、OUTv及びOUTw(即ちコイル13u、13v及び13wの一端)に供給する。各相において、デッドタイムTにおいては(デッドタイムT分の時間長を有するデッドタイム区間では)トランジスタTrH及びTrLが共にオフ状態とされる。
図7に、駆動制御信号DRVuと、U相のハーフブリッジ回路50uのトランジスタTrH及びTrLのゲートに供給されるゲート信号VGH及びVGLと、駆動電圧Vuの波形を示す。本実施形態では、駆動制御信号DRVuの各周期において、ゲート信号VGHは、駆動制御信号DRVuがハイレベルとなる時間よりもデッドタイムT分短い時間だけハイレベルとなり、ゲート信号VGLは、駆動制御信号DRVuがローレベルとなる時間よりもデッドタイムT分短い時間だけハイレベルとなるものとする。U相のハーフブリッジ回路50uにおいて、ゲート信号VGHがハイレベルであるときハーフブリッジ回路50uは出力ハイ状態となり、ゲート信号VGLがハイレベルであるときハーフブリッジ回路50uは出力ロー状態となる。
駆動制御信号DRVu及びゲート信号VGHがローレベルであって且つゲート信号VGLがハイレベルである出力ロー区間を起点にして説明する。出力ロー区間においてトランジスタTrH、TrLは、夫々、オフ状態、オン状態である。出力ロー区間を起点として駆動制御信号DRVuにアップエッジが生じることで出力ロー区間から第1デッドタイム区間に遷移する。第1デッドタイム区間では、駆動制御信号DRVuがハイレベルであり、それを受けてゲート信号VGLがローレベルとなるが、ゲート信号VGHはローレベルのままである。第1デッドタイム区間の開始からデッドタイムTが経過すると、駆動制御信号DRVu及びゲート信号VGHがハイレベルであって且つゲート信号VGLがローレベルである出力ハイ区間に移行する。出力ハイ区間においてトランジスタTrH、TrLは、夫々、オン状態、オフ状態である。その後、駆動制御信号DRVuにダウンエッジが生じることで出力ハイ区間から第2デッドタイム区間に遷移する。第2デッドタイム区間では、駆動制御信号DRVuがローレベルであり、それを受けてゲート信号VGHがローレベルとなるが、ゲート信号VGLはローレベルのままである。第2デッドタイム区間の開始からデッドタイムTが経過すると、出力ロー区間に移行する。このように、出力ロー区間、第1デッドタイム区間、出力ハイ区間、第2デッドタイム区間が、この順番で繰り返し訪れる。第1及び第2デッドタイム区間の夫々の時間長が所定のデッドタイムTに一致し、第1及び第2デッドタイム区間ではトランジスタTrH及びTrLが共にオフ状態とされる。
時間Taは、駆動制御信号DRVuのパルス幅を表し、駆動制御信号DRVuの各周期において駆動制御信号DRVuがハイレベルとなる時間に等しい。一方、時間Tbは、電圧Vuのパルス幅を表し、電圧Vuの各周期において電圧Vuがハイレベルとなる時間(電圧Vuが所定の閾値電圧以上となる時間)に等しい。ここで、図8(a)に示す如く、コイル電流Iuの極性が正であるときには、各デッドタイム区間において、ハーフブリッジ回路50uのトランジスタTrLの寄生ダイオードを介してハーフブリッジ回路50uからコイル13uに電流が流れ出すため(ソース方向に電流が流れるため)、コイル13uの一端の端子電圧Vuは0Vよりも寄生ダイオードの順方向電圧だけ低くなる。結果、時間Tbは時間Taよりも短くなる。一方、図8(b)に示す如く、コイル電流Iuの極性が負であるときには、各デッドタイム区間において、コイル13uからハーフブリッジ回路50uにコイル電流Iuが流れ込み、当該コイル電流IuはトランジスタTrHの寄生ダイオードを介して電源電圧VPWRが加わる端子へと流れるため(シンク方向に電流が流れるため)、コイル13uの一端の端子電圧Vuは電源電圧VPWRよりも寄生ダイオードの順方向電圧だけ高くなる。結果、時間Tbは時間Taよりも長くなる。
この特性を利用し、駆動制御信号DRVuのパルス幅(即ち時間Ta)と電圧Vuのパルス幅(即ち時間Tb)とを比較することで、コイル電流Iuの極性を検出できる。具体的には、電流極性検出回路53は、上記比較を行って“Tb<Ta”であればコイル電流Iuの極性が正であると判定してハイレベルの極性検出信号Saを出力し、“Tb>Ta”であればコイル電流Iuの極性が負であると判定してローレベルの極性検出信号Saを出力する。
尚、駆動制御信号DRVuのパルス幅及び電圧Vuのパルス幅として、駆動制御信号DRVuがローレベルとなる時間Tc及び電圧Vuがローレベルとなる時間Tdを用いて、コイル電流Iuの極性を検出しても良い。駆動制御信号DRVuのパルス幅(時間Ta又はTc)を示す信号が制御パルス幅信号Sbとして駆動制御信号生成回路52から電流極性検出回路53に送られ(図4参照)、検出回路53は信号Sbに基づいて駆動制御信号DRVuのパルス幅を認識する。また検出回路53は、電圧Vuと所定の閾値電圧(0V以上且つ電源電圧VPWR以下の電圧であって例えば1V)を比較するコンパレータを用いて時間Tb又はTdを取得することができる。
極性検出信号Saのレベルの切り替わりは、コイル電流Iuの極性が反転するタイミング(以下、極性反転タイミングと称する)を表している。極性反転タイミングは、コイル電流Iuの値がゼロを交差するゼロクロスタイミングでもある。コイル電流Iuの極性反転はコイル電流Iuの位相の180°ごとに生じるので、極性検出信号Saはコイル電流Iuの位相を示す信号となる。故に、極性検出信号Saに基づいてSPM13をセンサレスにて駆動することが可能となる。電流極性検出回路53は、極性反転タイミングを検出して、その検出の結果を信号Saのアップエッジ又はダウンエッジにて示す回路であると言える。
極性反転タイミングには、コイル電流Iuの極性が正から負に遷移する負遷移タイミングと、コイル電流Iuの極性が負から正に遷移する正遷移タイミングとがある。電流極性検出回路53は、負遷移タイミングと正遷移タイミングの双方を極性反転タイミングとして検出しても良いし、それらの一方のみを極性反転タイミングとして検出しても良いが、以下では、正遷移タイミングのみが極性反転タイミングとして検出されるものとする。そうすると、極性検出信号Saのアップエッジタイミングが極性反転タイミングとして検出されることになる。
上述の内容を基本とするHDD装置1(特に駆動制御信号生成回路52及び電流極性検出回路53)についての詳細な構成例、動作例、応用例及び変形例を、以下の第1〜第5実施例の中で説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、本実施形態において上述した事項が後述の第1〜第5実施例に適用され、第1〜第5実施例において上述の内容と矛盾する事項については、第1〜第5実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる第1〜第5実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち第1〜第5実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。駆動制御信号生成回路52には、所定のクロック周波数を有する所定の基準クロックが供給され、基準クロックを用いてデジタル領域で駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成する。即ち、クロック周波数の逆数を単位にして各駆動制御信号のパルス幅を調整する。ここでは、説明の具体化のため、クロック周波数は20MHz(メガヘルツ)であると考える。そうすると、各駆動制御信号のパルス幅は、20MHzの逆数である50ns(ナノ秒)を最小の調整単位にして可変される。
一方、電流極性検出回路53による電流の極性検出のためのサンプリング周波数は、原理上、生成回路52でのパルス幅変調の周波数であるPWM周波数に依存する。ここにおけるPWM周波数は駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwの周波数に相当する。図18を参照して上述したように、PWM周波数を増大させると、電流の極性検出のためのサンプリング周波数が増大するため、電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)が増大する。しかしながら、単純にPWM周波数を増大させると各駆動制御信号の分解能が低下する。駆動制御信号の分解能低下はSPM13のトルクリプルの増大等に繋がる。
これを考慮し、本実施形態に係る駆動制御信号生成回路52は、駆動制御信号の分解能低下を抑制しつつ電流の極性検出の分解能を向上させる特徴的な制御を行う。この特徴的な制御について説明する。
図9に示す如く、今、第i番目に訪れる極性反転タイミングを“T[i]”にて表す(iは整数)。そうすると、時間の進行につれて、極性反転タイミングT[1]、T[2]、T[3]、・・・、T[n−2]、T[n−1]、T[n]が順次訪れる(nは3以上の整数)。SPM13の回転の定常状態において、時間的に隣接する2つの極性反転タイミングの間隔(以下、極性反転間隔と称する)は実質的に一定であるため、検出済みの複数の極性反転タイミングに基づけば、将来到来するであろう極性反転タイミングを予測することが可能である。
予測処理部54により上記予測が行われる。予測処理部54は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づいて次回の極性反転が生じるタイミングを予測する。より詳細には、予測処理部54は、直近過去VAL回分の極性反転間隔と直近過去に検出された極性反転タイミングとに基づき、検出される前の次回の極性反転タイミングを予測すれば良い(VALは1以上の整数)。ここで予測されたタイミングを極性反転予測タイミングと称し、第i番目の極性反転タイミングについての極性反転予測タイミングを“TEST[i]”にて表す。
典型的には例えば、直近過去VAL回分の極性反転間隔の平均値を求め、直近過去に検出された極性反転タイミングより、その平均値分の時間だけ後のタイミングを、極性反転予測タイミングとして導出すれば良い。つまり、図10(a)を参照し、例えば“VAL=3”であるならば、極性反転タイミングT[n−3]〜T[n−1]の検出後、極性反転タイミングT[n]の到来前において、予測処理部54は、タイミングT[n−3]及びT[n−2]間の間隔とタイミングT[n−2]及びT[n−1]間の間隔との平均値を求め、タイミングT[n−1]より、その平均値分の時間だけ後のタイミングを、極性反転予測タイミングTEST[n]として導出する。
予測処理部54は、極性反転予測タイミングを導出した後、極性反転予測タイミングを中心とし且つ“2×WD”分の時間幅を持った検出予測区間を設定する。WDは、極性反転間隔よりも十分に短い時間として予め定められる時間(時間長)である。極性反転予測タイミングTEST[i]を中心とする検出予測区間を“PEST[i]”にて表す。図10(a)及び(b)には検出予測区間PEST[n]が示されており、図10(b)は検出予測区間PEST[n]の拡大図である。
周波数制御部55は、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwの周波数であるPWM周波数を可変対象周波数として、周波数可変制御を行うことができる。図11に示す如く、周波数可変制御は、検出予測区間外において可変対象周波数(ここではPWM周波数)を所定の周波数fとする一方で検出予測区間内において可変対象周波数を周波数fよりも高い所定の周波数fに設定する制御を指す。上述の基準クロックが20MHzである場合、例えば、周波数fは150kHzとされ且つ周波数fは400kHzとされる。勿論、周波数f及びfの具体的数値は様々に変更可能である。
検出予測区間内にて実際の極性反転タイミングが検出される可能性が高いため、周波数可変制御により電流の極性検出の分解能を実質的に高められる。また、検出予測区間内に限り可変対象周波数が高められるため、一律に可変対象周波数が高められる場合よりも、駆動制御信号の分解能低下は抑制される。つまり、駆動制御信号の分解能低下を抑制しつつ、電流の極性検出の分解能を高めることが可能となる。
周波数制御部55は、周波数可変制御を基礎としつつ、以下の如く動作すると良い。即ち、周波数制御部55は、検出予測区間内にて可変対象周波数を周波数fに設定している状態において実際に極性反転タイミングが検出されると、その検出を契機に可変対象周波数を周波数fから周波数fに切り替えると良い(後述の第1ケース;図12参照)。また、検出予測区間が開始される前に、その検出予測区間内で検出されることが予測されていた極性反転タイミングが検出された場合には、その検出予測区間に対する周波数可変制御の実行を取りやめ、その検出予測区間内において可変対象周波数を周波数fに維持すると良い(後述の第3ケース;図14参照)。
図12〜図14を参照して、周波数可変制御に関わる第1〜第3ケースの動作について説明する。第1〜第3ケースでは、極性反転タイミングT[n−1]の検出後、極性反転タイミングT[n]の到来前において、予測処理部54により極性反転予測タイミングTEST[n]及び検出予測区間PEST[n]が設定された状態が想定されており、検出予測区間PEST[n]の開始タイミング、終了タイミングを、夫々、“T[n]”、“T[n]”にて表す。極性反転タイミングT[n−1]の検出の後であって且つタイミングT[n]よりも前のタイミング610を起点にして、第1〜第3ケースの動作を説明する。タイミング610において極性検出信号Saはローレベルであり、タイミング610は検出予測区間外のタイミングであるため、タイミング610における可変対象周波数は周波数fである。
図12は、周波数可変制御に関わる第1ケースの動作説明図である。第1ケースでは、検出予測区間PEST[n]内のタイミング611にて極性検出信号Saにアップエッジが生じ、タイミング611が実際の極性反転タイミングT[n]として検出される。
第1ケースにおいて、周波数制御部55は周波数可変制御によりタイミングT[n]にて可変対象周波数を周波数fから周波数fへと増加させ、その後、タイミング611にて実際の極性反転タイミングT[n]が検出されたことを契機として可変対象周波数を周波数fから周波数fへと戻し、以後は、次回の検出予測区間が到来するまで可変対象周波数を周波数fに維持する。実際の極性反転タイミングが検出された後は可変対象周波数を高めておく必要がないからであり、可変対象周波数を速やかに周波数fに戻すことで駆動制御信号の分解能低下の抑制が図られる。
図13は、周波数可変制御に関わる第2ケースの動作説明図である。第2ケースでは、タイミング610及びタイミングT[n]間においても且つ検出予測区間PEST[n]内においても極性反転タイミングT[n]が訪れず、検出予測区間PEST[n]の終了後のタイミング612にて極性検出信号Saにアップエッジが生じて、タイミング612が実際の極性反転タイミングT[n]として検出される。
第2ケースにおいて、周波数制御部55は周波数可変制御によりタイミングT[n]にて可変対象周波数を周波数fから周波数fへと増加させ、タイミングT[n]まで可変対象周波数を周波数fに維持した後、タイミングT[n]を境に可変対象周波数を周波数fから周波数fに戻す。以後は、次回の検出予測区間が到来するまで可変対象周波数を周波数fに維持する。即ち、周波数制御部55は、検出予測区間PEST[n]の開始後、極性反転タイミングT[n]が検出されずに検出予測区間PEST[n]が終了すると、その終了を契機に可変対象周波数を周波数fから周波数fに戻す。予測が外れて検出予測区間内に実際の極性反転タイミングが検出されないこともあるが、可変対象周波数を高めた状態を長時間続けると駆動制御信号の分解能にとって望ましくないため、検出予測区間の終了をもって、可変対象周波数を周波数fに戻すようにしている。
図14は、周波数可変制御に関わる第3ケースの動作説明図である。第3ケースでは、タイミング610の後、検出予測区間PEST[n]の開始タイミングT[n]よりも前のタイミング613にて極性検出信号Saにアップエッジが生じて、タイミング613が実際の極性反転タイミングT[n]として検出される。
第3ケースにおいて、周波数制御部55は検出予測区間PEST[n]に対して周波数可変制御を実行せずに検出予測区間PEST[n]内において可変対象周波数を周波数fに維持する。実際の極性反転タイミングが検出されたのであれば、その後に可変対象周波数を高める必要がないからである。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第1実施例を含む上述の説明では、パルス幅変調を利用して駆動制御信号を生成することを想定しているが、パルス密度変調を利用して駆動制御信号を生成するようにしても良い。第2実施例では、パルス密度変調を利用して駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwが生成されるものとする。そして、第2実施例に係る駆動制御信号生成回路52は、パルス密度変調における周波数(以下、PDM周波数と称する)を変化させることが可能に構成されている。パルス密度変調はPDMと略記されることがある。パルス密度変調を利用する場合、駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwの夫々は二値信号としての粗密波(1ビットの粗密波)となるが、その粗密波における最小のパルス幅の逆数がPDM周波数に相当する(後述の図16参照)。
図15に、生成回路52における駆動制御信号の生成に関わる機能ブロック図を例示する。生成回路52は、極性検出信号Sa、トルク指令信号Trq及び所定の波形データに基づいて変調前信号Vuc、Vvc及びVwcを生成し、当該変調前信号Vuc、Vvc及びVwcをパルス密度変調することで駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成する。変調前信号Vuc、Vvc及びVwcは、夫々、正弦波状のコイル電流Iu、Iv及びIwを流すために出力端子OUTu、OUTv及びOUTwに印加すべき電圧を示し、信号Trqに応じた振幅を有する。
図16に、変調前信号Vucとパルス密度変調された駆動制御信号DRVuの概略的な波形を示す。駆動制御信号DRVuはPDM周波数の逆数を最小のパルス幅として持つパルス密度変調信号となる。駆動制御信号DRVv及びDRVwについても同様である。パルス幅変調を利用する場合と同様に、生成回路52は、所定のクロック周波数を有する所定の基準クロックの供給を受け、基準クロックを用いてデジタル領域で駆動制御信号DRVu、DRVv及びDRVwを生成する。即ち、第2実施例では、クロック周波数がPDM周波数として利用される。クロック周波数が20MHz(メガヘルツ)であれば、各駆動制御信号のパルス幅は、20MHzの逆数である50ns(ナノ秒)を最小の調整単位にして可変されることになる。
一方、電流極性検出回路53による電流の極性検出のためのサンプリング周波数は、原理上、PDM周波数に依存することになる。パルス幅変調を利用する場合と同様、PDM周波数を増大させると、電流の極性検出のためのサンプリング周波数が増大するため、電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)が増大する。しかしながら、単純にPDM周波数を増大させると各駆動制御信号の分解能が低下する。
そこで、第2実施例では、PDM周波数を可変対象周波数とした上で、上述の周波数可変制御を含む第1実施例と同様の動作を行えば良く、極性反転予測タイミング及び検出予測区間の設定方法並びに第1ケース〜第3ケースの動作は、パルス幅変調を利用する場合とパルス密度変調を利用する場合とで共通である。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。コイル電流Iuの極性検出の方法は上述したものに限定されない。第3実施例では、コイル電流Iuの極性検出の他の方法について説明する。SPMドライバ33は、U相、V相及びW相の内、少なくとも1つの相のハーフブリッジ回路に対し、トランジスタTrHがオフ状態であるか否かを検出するハイサイドオフセンサ(ハイサイドオフ検出回路)と、トランジスタTrLがオフ状態であるか否かを検出するローサイドオフセンサ(ローサイドオフ検出回路)と、トランジスタTrH及びTrL間の接続ノードの電圧を所定電圧と比較する出力センサ(電圧比較回路)と、を備える。
図17を参照し、ここでは、それらのセンサがU相のハーフブリッジ回路50uに対して設けられている場合を考える。即ち、SPMドライバ33には、ハーフブリッジ回路50uに対するセンサとしてセンサ61〜63が設けられる。ハイサイドオフセンサ61は、トランジスタTrHのゲート信号VGHのレベルに基づき(即ちトランジスタTrHのゲート電位に基づき)トランジスタTrHがオフ状態であるか否かを検出して検出結果を示す信号Sig61を出力し、ローサイドオフセンサ62は、トランジスタTrLのゲート信号VGLのレベルに基づき(即ちトランジスタTrLのゲート電位に基づき)トランジスタTrLがオフ状態であるか否かを検出して検出結果を示す信号Sig62を出力し、出力センサ63は、出力端子OUTuにおける電圧Vuを所定電圧と比較して比較結果を示す信号Sig63を出力する。第3実施例に係る電流極性検出回路53は、信号Sig61〜Sig63に基づいてコイル電流Iuの極性を検出して極性検出信号Saを生成及び出力する。
具体的には、出力センサ63は、電圧Vuを電源電圧VPWRよりも低い正の所定電圧VREF1(例えば0.5V)と比較し、電流極性検出回路53は、トランジスタTrLがオフ状態であるときに電圧Vuが所定電圧VREF1以下となっているタイミングが存在する場合に、コイル電流Iuの極性は正であると判定する(コイル電流Iuがソース方向に流れていると判定する)。コイル電流Iuがシンク方向に流れている状態においてトランジスタTrLがオフであれば電圧Vuが十分に高くなるので、トランジスタTrLがオフであるときに電圧Vuが所定電圧VREF1より低ければ、シンク方向の逆、即ちソース方向にコイル電流Iuが流れていると考えられる(図8(a)参照)。
また出力センサ63は、電圧Vuを電源電圧VPWRよりも低い正の所定電圧VREF2(例えば11.5V)と比較し、電流極性検出回路53は、トランジスタTrHがオフ状態であるときに電圧Vuが所定電圧VREF2以上となっているタイミングが存在する場合に、コイル電流Iuの極性は負であると判定する(コイル電流Iuがシンク方向に流れていると判定する)。シンク方向にコイル電流Iuに流れている状態では、トランジスタTrHがオフであってもSPM13側からの電流の流れにより電圧Vuが所定電圧VREF2以上となるタイミングが存在するからである(図8(b)参照)。
所定電圧VREF1及びVREF2として互いに異なる電圧が用いられ、典型的には、“VPWR>VREF2>VREF1>0”とされる。但し、所定電圧VREF1及びVREF2を共通の電圧(例えば電源電圧VPWRの半分の電圧)とすることも可能である。
尚、特許文献1(特開平10−341588号公報)に示す如く、トランジスタTrH及びTrLの双方がオフ状態であるときの電圧Vuに基づいてコイル電流Iuの極性の検出及び極性反転タイミングの検出を行うようにしても良い。
電流極性検出回路53は、一旦コイル電流Iuの極性が正であると判定すると、コイル電流Iuの極性が負であると判定するまでは極性検出信号Saをハイレベルに維持し(ラッチし)、その後、コイル電流Iuの極性が負であると判定すると極性検出信号Saをハイレベルからローレベルに切り替えて、次回、電流Iuの極性が正であると判定するまで極性検出信号Saをローレベルに維持する(ラッチする)。即ち、その後、コイル電流Iuの極性が正であると判定された時点で、極性検出信号Saをローレベルからハイレベルに切り替える。このような構成及び動作により、極性検出信号Saのアップエッジタイミング又はダウンエッジタイミングを極性反転タイミングとして利用することができるが、かかる構成及び動作においても、コイル電流Iuの極性が反転したかどうかの判定は、ハーフブリッジ回路50uの状態変化の周波数に依存する間隔でしか実行できない。即ち、電流の極性検出(極性反転検出)のためのサンプリング周波数は、PWM周波数又はPDM周波数に依存することになる。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。上述の周波数f及びf並びに時間WDの夫々は、可変設定されるものであって良い。即ち例えば、ドライバIC30には、様々な設定情報を不揮的に記憶するための、不揮発性メモリにて構成されたメモリ(不図示)が設けられる。MPU22は、所定の信号をドライバIC30に送信することで、上記メモリ内に保持される第1周波数制御データ、第2周波数制御データ及び検出予測区間長データを変更及び設定することができる。
SPMドライバ33では、周波数fの候補として互いに異なる複数の低側周波数が予め設定されており、周波数制御部55は、第1周波数制御データに従って、その複数の低側周波数の1つを周波数fに設定する。
同様に、SPMドライバ33では、周波数fの候補として互いに異なる複数の高側周波数が予め設定されており、周波数制御部55は、第2周波数制御データに従って、その複数の高側周波数の1つを周波数fに設定する。
同様に、SPMドライバ33では、時間WDの候補として互いに異なる複数の時間が予め設定されており、予測処理部54は、検出予測区間長データに従って、その複数の時間の1つを時間WDに設定する。
また、MPU22は上述の周波数可変制御を無効とすることをドライバIC30に指示できても良く、その指示が行われた場合、可変対象周波数は常に周波数fに維持されることになる。
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。
上述の如く、電流極性検出回路53は、所定相のコイルの一端に生じる端子電圧に基づき、所定相のコイルに流れる電流の極性反転タイミング(換言すればゼロクロスタイミング)を検出することができ、所定相として、上述の説明では特にU相に注目したが、所定相はV相又はW相であっても良いし、U相、V相及びW相の内の2以上の相の夫々が所定相であっても良い。
トランジスタTrH及びTrLから成るハーフブリッジ回路において、トランジスタTrHのドレインは第1電源端子に接続され、トランジススタTrLのソースは第2電源端子に接続されることになるが、第1電源端子及び第2電源端子は固定された電位を有する端子であれば任意である。但し、第1電源端子における電位は第2電源端子における電位よりも高い。また、各ハーフブリッジ回路において、トランジスタTrHの寄生ダイオードとは別に、ノードNDから第1電源端子に向かう方向を順方向とするダイオードがトランジスタTrHに並列接続されていても良く、トランジスタTrLの寄生ダイオードとは別に、第2電源端子からノードNDに向かう方向を順方向とするダイオードがトランジスタTrLに並列接続されていても良い。
駆動制御信号生成回路52は、極性検出信号Saとトルク指令信号Trqに基づいて駆動制御信号(DRVu、DRVv、DRVw)を生成するようにしているが、SPM13にて発生されるべきトルクが予め定まっているようなケースでは、トルク指令信号Trqは不要となりうる。
SPM13が3相分のコイルにて構成される例を上述したが、SPM13が3相とは異なる複数相分のコイルにて構成されることがあっても良い。
ドライバIC30の各構成要素は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いてドライバIC30内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。また、SPMドライバ33単体を半導体集積回路の形態で形成し、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置を構成するようにいても良い。
上述の実施形態では、HDD装置1のSPM13に対するモータドライバ装置(ドライバIC30)に本発明を適用する例を挙げているが、モータを駆動する任意のモータドライバ装置に本発明を広く適用可能であり、例えば空冷用のファンモータを駆動するためのモータドライバ装置に本発明を適用しても良い。
トランジスタTrHがPチャネル型のMOSFETにて構成されるように各ハーフブリッジ回路を変形しても良い。トランジスタTrLをPチャネル型のMOSFETにすることも可能ではある。
上述の各トランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述されたトランジスタを、上述の主旨を損なわない態様で、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
<<本発明の考察>>
上述の実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明に係る一側面に係るモータドライバ装置Wは、複数相分のコイルを有して構成されるブラシレス直流モータをスイッチング駆動するモータドライバ装置において、
所定相のコイルの一端に生じる端子電圧(例えばVu)に基づき、前記所定相のコイルに流れる電流の極性反転タイミングを検出する検出部(53)と、前記検出部の検出結果に基づき、パルス幅変調又はパルス密度変調された駆動制御信号を相ごとに生成する駆動制御信号生成部(52)と、相ごとに前記駆動制御信号に応じた駆動電圧を、対応するコイルに対して供給する駆動電圧供給部(51、50u、50v、50w)と、を備え、
前記駆動制御信号生成部は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づいて検出予測区間(PEST[n])を設定する予測処理部(54)を有し、前記パルス幅変調による前記駆動制御信号の周波数(PWM周波数)又は前記パルス密度変調による前記駆動制御信号の最小のパルス幅の逆数(PDM周波数)を可変対象周波数とし、前記可変対象周波数を前記検出予測区間内において前記検出予測区間外よりも高める周波数可変制御を実行可能であることを特徴とする。
検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づけば、次回の極性反転タイミングを予測して検出予測区間を設定することができ、検出予測区間内にて可変対象周波数を高めれば電流の極性検出の分解能(換言すれば極性反転タイミングの検出分解能)を高めることが可能となる。可変対象周波数を高めることで駆動制御信号の分解能低下が懸念されるが、周波数可変制御では検出予測区間外において可変対象周波数が相対的に低くされるため駆動制御信号の分解能低下は抑制される。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
1 HDD装置
13 SPM(スピンドルモータ)
13u、13v、13w コイル
33 SPMドライバ
50u、50v、50w ハーフブリッジ回路
51 プリドライバ回路
52 駆動制御信号生成回路
53 電流極性検出回路
54 予測処理部
55 周波数制御部

Claims (10)

  1. 複数相分のコイルを有して構成されるブラシレス直流モータをスイッチング駆動するモータドライバ装置において、
    所定相のコイルの一端に生じる端子電圧に基づき、前記所定相のコイルに流れる電流の極性反転タイミングを検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果に基づき、パルス幅変調又はパルス密度変調された駆動制御信号を相ごとに生成する駆動制御信号生成部と、
    相ごとに前記駆動制御信号に応じた駆動電圧を、対応するコイルに対して供給する駆動電圧供給部と、を備え、
    前記駆動制御信号生成部は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づいて検出予測区間を設定する予測処理部を有し、前記パルス幅変調による前記駆動制御信号の周波数又は前記パルス密度変調による前記駆動制御信号の最小のパルス幅の逆数を可変対象周波数とし、前記可変対象周波数を前記検出予測区間内において前記検出予測区間外よりも高める周波数可変制御を実行可能である
    ことを特徴とするモータドライバ装置。
  2. 前記駆動制御信号生成部は、
    前記周波数可変制御において、前記可変対象周波数を前記検出予測区間外にて所定の第1周波数に設定する一方で前記検出予測区間内にて前記第1周波数よりも高い所定の第2周波数に設定し、
    前記検出予測区間の開始後、前記極性反転タイミングが検出されると、その検出を契機に前記可変対象周波数を前記第2周波数から前記第1周波数に戻す
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータドライバ装置。
  3. 前記駆動制御信号生成部は、前記検出予測区間の開始後、前記極性反転タイミングが検出されずに前記検出予測区間が終了すると、その終了を契機に前記可変対象周波数を前記第2周波数から前記第1周波数に戻す
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータドライバ装置。
  4. 前記駆動制御信号生成部は、前記検出予測区間の設定後、設定された前記検出予測区間が開始される前に前記極性反転タイミングが検出された場合、当該検出予測区間において前記可変対象周波数を前記第1周波数に維持する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータドライバ装置。
  5. 前記駆動電圧供給部は、前記駆動制御信号に応じたパルス列から成り且つ所定のデッドタイムが挿入された電圧を前記駆動電圧として相ごとに生成し、
    前記検出部は、前記駆動電圧の供給を受けて前記所定相のコイルの一端に生じる前記端子電圧のパルス幅と、前記所定相に対して生成された前記駆動制御信号のパルス幅との関係に基づき、前記極性反転タイミングを検出する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のモータドライバ装置。
  6. 前記駆動電圧供給部は、互いに直列接続されたハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタから成るハーフブリッジ回路を相ごとに有して、相ごとに前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードから対応するコイルに対し前記駆動電圧を供給し、
    各相において前記デッドタイムでは前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタが共にオフ状態とされる
    ことを特徴とする請求項5に記載のモータドライバ装置。
  7. 前記駆動電圧供給部は、互いに直列接続されたハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタから成るハーフブリッジ回路を相ごとに有して、相ごとに前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードから対応するコイルに対し前記駆動電圧を供給し、
    少なくとも前記所定相について、前記ハイサイドトランジスタがオフ状態であるか否かを検出するハイサイドオフ検出回路、前記ローサイドトランジスタがオフ状態であるか否かを検出するローサイドオフ検出回路、及び、前記ハイサイドトランジスタ及び前記ローサイドトランジスタ間の接続ノードの電圧を所定電圧と比較する電圧比較回路が、当該モータドライバ装置に設けられ、
    前記検出部は、前記ハイサイドオフ検出回路の検出結果、前記ローサイドオフ検出回路の検出結果及び前記電圧比較回路の比較結果に基づき、前記極性反転タイミングを検出する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のモータドライバ装置。
  8. 前記予測処理部は、検出済みの2以上の極性反転タイミングに基づき、検出前の極性反転タイミングが到来するタイミングを予測して、予測タイミングを含む区間を前記検出予測区間として設定する
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のモータドライバ装置。
  9. 磁気ディスク装置の磁気ディスクを回転させるスピンドルモータを前記ブラシレス直流モータとしてスイッチング駆動する
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のモータドライバ装置。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載のモータドライバ装置を形成する半導体装置であって、
    前記モータドライバ装置は集積回路を用いて形成される
    ことを特徴とする半導体装置。
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