JP2020031366A - 電波遮蔽損失の計算方法、計算装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
|E1(i)|>α・|E1total| …(式2)
(式1)を満たす場合は、到来波(i)の受信電界の再計算は行わない。(式2)を満たす場合は、物理光学近似の手法を用いて到来波(i)の受信電界の再計算を行う。
(式1)および(式2)の判定を寄与度Crで表すと、(式4)および(式5)のように表すことができ、寄与度Crが閾値α以下の場合は、到来波(i)の受信電界の再計算を行わずに第1の受信電界E1(i)を用い、寄与度Crが閾値αより大きい場合は、第1の受信電界E1(i)を用いずに、後述する方法で到来波(i)の受信電界の再計算を行う。
Cr > α …(式5)
構造物シルエット分割部105は、構造物シルエット作成部101が作成した構造物のシルエット図を網目状に複数の領域(メッシュ)に分割する。なお、本実施形態では、正方形のメッシュで分割するものとするが、長方形や多角形でもよい。また、メッシュサイズは、フレネル半径の遮蔽割合から求めた到来波(i)の第1の受信電界E1(i)と第1の総受信電界E1totalとの割合(|E1(i)|/|E1total|(前出の寄与度に相当))に応じて予め決められた大きさに設定する。ここで、寄与度Crの値が大きいほどメッシュサイズを小さく設定することにより、構造物を介して受信点で受信される到来波の受信電界を高い精度で算出できる。なお、メッシュサイズについては、図4で詳しく説明する。
このようにして、本実施形態に係る電波遮蔽損失の計算装置100は、遮蔽損失の計算方法および計算パラメータを寄与度に基づいて選択し、寄与度が大きい到来波については物理光学近似を用いて遮蔽損失を計算する。これにより、本実施形態に係る電波遮蔽損失の計算装置100は、複雑な形状を持った構造物に対する遮蔽損失の計算量を軽減しつつ、遮蔽損失を高い精度で求めることができ、正確な遮蔽損失を考慮した電波伝搬シミュレーションを行うことができる。
[第1の方法]
図2は、フレネル半径の遮蔽割合から各到来波の電波遮蔽損失を概算する例を示す。図2において、送信点201から送信された電波は、到来波204(1)から到来波204(N)までのN個の到来波として、樹木などの構造物203に入射される。図2では、N=3の例が示され、到来波204(1)と到来波204(N)は、構造物203で遮蔽されない反射波として受信点202に到達し、到来波204(i)は、構造物203で一部が遮蔽されて再放射された到来波204’(i)が受信点202に到達する。なお、到来波の数Nは、例えばモデル化した伝搬経路から直接波を含む反射波の数を推定して求めるが、レイトレースなどのシミュレーションで到来波の数を完全に再現可能な場合は、その値を使用する。
(直接波の場合)
到来波204(i)が図2に描かれたように直接波である場合、第1の受信電界E1(i)は、(式7)で求められる。ここで、r(i)は、到来波204(i)の構造物203による遮蔽割合を示す。
(反射波の場合)
到来波204(i)が反射波である場合、第1の受信電界E1(i)は、(式8)で求められる。ここで、Laは、反射損失で、周辺の材質で決定される概算値が用いられる。
このようにして、フレネル半径の遮蔽割合r(i)により求めた各到来波204(i)の第1の受信電界E1(i)を到来波204(1)から到来波204(N)までのN個の到来波についてそれぞれ求める。そして、到来波204(1)から到来波204(N)までのN個の各到来波204(i)の第1の受信電界E1(i)を合計し、受信点202における第1の総受信電界E1totalが求められる(式9)。
次に、第1の総受信電界E1totalに対する各到来波204(i)の第1の受信電界E1(i)の寄与度に基づいて、遮蔽損失の計算方法および計算パラメータを変更する方法について説明する。
(メッシュ分割による受信電界の再計算)
(式5)で説明したように、寄与度Cr>αの場合の到来波について、構造物をメッシュで分割して各メッシュごとに物理光学近似により再放射される電界の受信点での値を再計算する。
そして、メッシュ251から再放射される電界Eは、当該メッシュが構造物により遮蔽されている場合と遮蔽されていない場合とに応じて、次のように求められる。
・メッシュが構造物により遮蔽されている場合には、メッシュから再放射される電界Eは、(式11)となる。
・メッシュが構造物により遮蔽されていない場合(フレネル半径内のメッシュについては、メッシュ内に構造物が存在しない場合、およびメッシュ内に構造物が存在しかつ一部のみが遮蔽されている場合の双方を含み、フレネル半径外のメッシュについては、メッシュ内に構造物が存在しかつ一部のみが遮蔽されている場合)には、メッシュから再放射される電界の受信点における値Eは、(式12)で計算できる。
Claims (7)
- 無線通信により送信点から受信点に送信される電磁波が電波伝搬経路上に存在する構造物により遮蔽される場合の電波遮蔽損失の計算方法であって、
送信点または受信点から見た構造物のシルエット図を作成するステップと、
受信点に到来する複数の到来波のそれぞれについて、構造物によるフレネル半径の遮蔽割合から遮蔽損失を計算して受信点での到来波の第1の受信電界を計算するステップと、
複数の到来波の前記第1の受信電界を合計した第1の総受信電界に対する各到来波の前記第1の受信電界の寄与度を求めるステップと、
前記寄与度が予め決められた閾値より大きい場合、第2の方法により、到来波の第2の受信電界を求めるステップと、
前記第1の受信電界と前記第2の受信電界とに基づいて構造物による電波遮蔽損失を計算するステップと
を有することを特徴とする電波遮蔽損失の計算方法。 - 請求項1に記載の電波遮蔽損失の計算方法において、
前記第2の方法は、
前記シルエット図を予め決められたサイズのメッシュで分割するステップと、
前記送信点から前記メッシュに到来する到来波の磁界を計算するステップと、
前記磁界から物理光学近似により到来波に対する等価電流を求め、前記メッシュから再放射される電界の前記受信点における値を計算するステップと、
前記値から前記受信点での到来波の前記第2の受信電界を計算するステップと
により実行されることを特徴とする電波遮蔽損失の計算方法。 - 請求項2に記載の電波遮蔽損失の計算方法において、
前記メッシュのサイズは、前記寄与度に応じて設定されることを特徴とする電波遮蔽損失の計算方法。 - 無線通信により送信点から受信点に送信される電磁波が電波伝搬経路上に存在する構造物により遮蔽される場合の電波遮蔽損失の計算装置において、
送信点または受信点から見た構造物のシルエット図を作成するシルエット作成部と、
受信点に到来する複数の到来波のそれぞれについて、構造物によるフレネル半径の遮蔽割合から遮蔽損失を計算して受信点での到来波の第1の受信電界を計算し、複数の到来波の前記第1の受信電界を合計した第1の総受信電界に対する各到来波の前記第1の受信電界の寄与度を求める第1の算出部と、
前記寄与度が予め決められた閾値より大きい場合、第2の方法により、到来波の第2の受信電界を求め、前記第1の受信電界と前記第2の受信電界とに基づいて構造物による電波遮蔽損失を計算する第2の算出部と
を有することを特徴とする電波遮蔽損失の計算装置。 - 請求項4に記載の電波遮蔽損失の計算装置において、
前記第2の方法は、
前記シルエット図を予め決められたサイズのメッシュで分割する分割部と、
前記送信点から前記メッシュに到来する到来波の磁界を計算し、前記磁界から物理光学近似により到来波に対する等価電流を求め、前記メッシュから再放射される電界の前記受信点における値を計算し、前記値から前記受信点での到来波の前記第2の受信電界を計算する算出部と
により処理されることを特徴とする電波遮蔽損失の計算装置。 - 請求項5に記載の電波遮蔽損失の計算装置において、
前記メッシュのサイズは、前記寄与度に応じて設定されることを特徴とする電波遮蔽損失の計算装置。 - 請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の電波遮蔽損失の計算装置が行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする電波遮蔽損失の計算プログラム。
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