JP2020030448A - 静電容量式タッチセンサおよびその製造方法 - Google Patents

静電容量式タッチセンサおよびその製造方法 Download PDF

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健吾 中山
Kengo Nakayama
健吾 中山
祐介 金岡
Yusuke Kaneoka
祐介 金岡
芳昭 櫻井
Yoshiaki Sakurai
芳昭 櫻井
幸弘 述金
Yukihiro Nobegane
幸弘 述金
賢治 高曲
Kenji Takamagari
賢治 高曲
公一 黒田
Koichi Kuroda
公一 黒田
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Abstract

【課題】可撓性を有し、絶縁信頼性に優れた層間絶縁膜を有し、より低コストで製造可能な静電容量式タッチセンサおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の静電容量式タッチセンサは、対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを有し、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部は、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する層間絶縁膜を含み、前記層間絶縁膜がイオン性樹脂の架橋体からなる有機絶縁膜である。【選択図】図1

Description

本発明は、静電容量式タッチセンサおよびその製造方法に関する。
静電容量式タッチセンサは、モバイル端末、家電、オフィス機器等の様々な機器の制御インターフェースとして普及が進んでおり、今後も、広告媒体や産業用装置への導入、さらにはウェアラブル機器への搭載が予想されている。
静電容量式タッチセンサは、座標検知に用いられる格子状のX電極およびY電極と、X電極およびY電極の交差部を絶縁するための厚さ数百ナノメートルの層間絶縁膜を有するが、X電極とY電極とが電気的に短絡しないためには、ピンホール欠陥等の発生しにくい信頼性の高い層間絶縁膜を形成可能な手法が重要である。
従来の静電容量式タッチセンサの製造方法は、一般的に、格子状にX電極とY電極をパターニングする工程と、X電極とY電極の各交差部を絶縁するための層間絶縁膜をパターニングする工程と、Y電極を連結するための導電膜をパターニングする工程を含んでおり、層間絶縁膜は、スパッタ法等の真空成膜技術を用いて成膜されている(例えば、特許文献1)。
特開2013−206197号公報
しかしながら、従来の静電容量式タッチセンサの製造方法では、上記のように、パターニングのためのフォトリソグラフィーが3回必要であり、そのため高価なフォトマスクや感光性フォトレジストが必要である。さらに、各パターニング工程において、不要な電極膜や絶縁膜はエッチングによって除去されるため、材料利用効率が悪い。そのため、製造コストが高くなるという問題がある。
また、層間絶縁膜は、従来、スパッタ法等の真空成膜技術を用いて成膜されるため、高価な製造装置が必要で、作業時間が長く、大面積化が困難という問題がある。これに対し、印刷法やスピンコート法等の塗布成膜技術は、真空成膜技術よりも簡便で作業効率が高く、より低コストで層間絶縁膜を成膜できる可能性がある。また、可撓性を有する有機絶縁膜の形成も可能である。しかしながら、ピンホール欠陥のない有機絶縁膜を高い歩留まりで形成することは困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、可撓性を有し、絶縁信頼性に優れた層間絶縁膜を有し、より低コストで製造可能な静電容量式タッチセンサおよびその製造方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の静電容量式タッチセンサは、対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを有し、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部は、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する層間絶縁膜を含み、前記層間絶縁膜がイオン性樹脂の架橋体からなる有機絶縁膜である、ことを特徴とする。
また、本発明の静電容量式タッチセンサの製造方法は、対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部において、各前記第1電極が第1接続部を介して連結される一方、各前記第2電極が分断されるように形成する工程と、イオン性樹脂と架橋剤とを含む有機絶縁膜前駆体を前記複数の第1電極の上に電着法により析出させる工程と、析出させた前記有機絶縁膜前駆体を熱処理する工程と、熱処理した前記有機絶縁膜前駆体の上に、分断された各前記第2電極を接続する第2接続部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、可撓性を有し、絶縁信頼性に優れた層間絶縁膜を有し、より低コストで製造可能な静電容量式タッチセンサおよびその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の静電容量式タッチセンサの構造の一例を示す模式平面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式平面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式平面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式平面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式縦断面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式縦断面図である。 本発明の静電容量式タッチセンサの製造工程の一例を示す模式縦断面図である。 絶縁性評価のために作製した有機トランジスタの構造の一例を示す模式縦断面図である。 本発明の実施例であり、作製したタッチセンサの全体を示す写真である。 図5のタッチセンサの交差部を拡大した顕微鏡写真である。 本発明の実施例であり、作製したタッチセンサにおける電着膜の膜厚分布の測定結果を示す図である。 電着法との比較のためにスピンコート法で作製した高分子膜の膜厚分布の測定結果を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の静電容量式タッチセンサ(以下、タッチセンサと略す場合もある)は、対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを有し、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部は、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する層間絶縁膜を含み、前記層間絶縁膜がイオン性樹脂の架橋体からなる有機絶縁膜である、ことを特徴とするものである。
本発明が対象とする静電容量式タッチセンサは、指やタッチペンがセンサ表面に接触し、接触部分の静電容量が変化することで、座標上の位置の検知を行うデバイスである。静電容量式タッチセンサの構造としては、静電容量の変化を読出すための、互いに交差する2方向の電極、例えばX電極とY電極が基板上に格子状に配置され、X電極とY電極の交差部が層間絶縁膜によって絶縁されているものであれば、特にその構造や大きさ、形状は限定されない。
図1は、本発明の一態様に係る静電容量式タッチセンサ20の構造を示す模式平面図であり、全面を覆う表面保護膜を省略した状態を示している。静電容量式タッチセンサ20は、対向する一対の主面を有する絶縁性基板1の一方の主面上に形成され、第1の方向(例えば、X方向)に延在する複数の第1電極2と、第1の方向と異なる第2の方向(例えば、Y方向)に延在し、複数の第1電極と交差する複数の第2電極3とを有している。この態様では、X方向に平行に配設された5本の第1電極2と、Y方向に平行に配設された5本の第2電極3とを用いている。第1電極2は、第1接続部(不図示)を介して互いに連結された複数の第1島状電極部2aを有しており、一端が第1電極引出線6を介して読出回路(不図示)に接続されている。また、第2電極3は、第2接続部3bを介して互いに連結された複数の第2島状電極部3aを有しており、一端が第2電極引出線7を介して読出回路(不図示)に接続されている。第1電極2を構成する複数の第1島状電極部2aと第1接続部(不図示)の表面には有機絶縁膜5が形成されている。第1電極2と第2電極3との各交差部4では、第1電極2の第1接続部(不図示)と第2電極3の第2接続部3bとの間に、有機絶縁膜5は、層間絶縁膜5aとして介在している。有機絶縁膜5にはイオン性樹脂の架橋体を用いている。
本発明に用いる絶縁性基板には、ガラス基板やプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムには、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等を用いることができる。ガラス基板の場合、厚さは、0.1mm〜3mmである。また、プラスチックフィルムの場合、厚さは、0.01mm〜3mmである。
また、第1電極および第2電極に用いる導電材料には、金、銀、銅、アルミニウム、クロム等の金属材料や、酸化インジウムスズ等の透明導電材料、銀ナノインク等の金属ナノ粒子インクを挙げることができる。
また、第1電極および第2電極を構成する島状電極部の形状は、特に限定されず、平面視で、矩形、菱形、円形、スノーフレーク形状等を挙げることができる。また、第1電極および第2電極は、島状電極部と接続部を含まず、直線形状でもよい。この場合、交差部では、第1電極と第2電極との間に層間絶縁膜を介在させることができる。
また、本発明に用いるイオン性樹脂とは、水溶液中で少なくとも部分的に解離して、正または負に荷電するイオン性基を有する樹脂であり、正に荷電するカチオン性基を含む樹脂(以下、カチオン性樹脂という)、または負に荷電するアニオン性基を含む樹脂(以下、アニオン性樹脂という)である。
また、イオン性樹脂の架橋体とは、アニオン性樹脂またはカチオン性樹脂の反応性基と架橋剤との間の反応により生成する化学結合を介して架橋された構造体である。
アニオン性樹脂は、少なくとも、アニオン性基としてのカルボキシル基を含み、さらに架橋剤と反応する反応性基としての水酸基を含む樹脂である。具体例としては、(メタ)アクリル酸系樹脂やマレイン酸系樹脂等のカルボキシル基含有ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂またはそれらの複数の混合物を挙げることができる。好ましくは、カルボキシル基含有ビニル系樹脂である。
カルボキシル基含有ビニル系樹脂としては、カルボキシル基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体との共重合体が好ましい。カルボキシル基含有ビニル単量体としては、アクリル酸、α−クロロアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸等を1種または複数種組み合わせて用いることができる。好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸である。また、水酸基含有ビニル単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート等を1種または複数種組み合わせて用いることができる。好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。カルボキシル基含有ビニル系樹脂は、酸価が15〜160、水酸価が20〜250の範囲となるように、上記のカルボキシル基含有ビニル単量体と上記の水酸基含有ビニル単量体との共重合させたものを用いることができる。また、カルボキシル基含有ビニル系樹脂は、必要に応じて、カルボキシル基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体以外に、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、スチレン、α−アルキルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の単量体を1種以上含んでもよい。
一方、カチオン性樹脂は、少なくとも、カチオン性基として第1級アミノ基、第2級アミノ基、および第3級アミノ基等のアミノ基、または第4級アンモニウム塩基を含み、さらに架橋剤成分と反応する反応性基としての水酸基を含む樹脂である。具体例としては、カチオン性(メタ)アクリル系樹脂等のアミノ基含有ビニル系樹脂、アミン付加エポキシ樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等を挙げることができる。好ましくは、カチオン性(メタ)アクリル系樹脂である。
アミノ基含有ビニル系樹脂としては、アミノ基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体との共重合体が好ましい。アミノ基含有ビニル単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を1種または複数種組み合わせて用いることができる。好ましくは、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。また、水酸基含有ビニル単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート等を1種または複数種組み合わせて用いることができる。好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。また、アミノ基含有ビニル系樹脂は、必要に応じて、アミノ基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体以外に、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、スチレン、α−アルキルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の単量体を1種以上含んでもよい。
また、アミン付加エポキシ樹脂は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアミン等のアミン化合物をエポキシ樹脂と反応させて、カチオン性基をエポキシ樹脂に導入したものである。第1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン等を挙げることができる。第2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等を挙げることができる。第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等を挙げることができる。ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等を挙げることができる。好ましいアミン化合物は、第2級アミンまたは第3級アミンである。
アニオン性樹脂またはカチオン性樹脂に用いる架橋剤としては、アニオン性樹脂またはカチオン性樹脂が含む水酸基と反応可能な反応性基を複数含む化合物を用いることができる。具体的には、アミノ樹脂やブロックイソシアネート化合物を挙げることができる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。アミノ樹脂のアミノ基とアニオン性樹脂に含まれる水酸基との間の縮合反応により、架橋反応が進行するからである。アミノ樹脂としては、メラミン樹脂が好ましい。メラミン樹脂としては、メラミンをホルムアルデヒドでメチロール化したメチロールメラミン樹脂や、そのメチロール基をモノアルコールでアルコキシ化したアルコキシメチロールメラミン樹脂や、イミノ基を有する上記のメチロールメラミン樹脂又は上記のアルコキシメチロールメラミン樹脂を挙げることができる。上記のアルコキシ化において用いるモノアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等の1種または複数種を挙げることができる。好ましいメラミン樹脂としては、メトキシメチロールメラミン樹脂、ブトキシメチロールメラミン樹脂、メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂、イミノ基含有メトキシメチロールメラミン樹脂、およびイミノ基含有ブトキシメチロールメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
また、ブロックイソシアネート化合物とは、ブロック剤により、遊離のイソシアネート基が封鎖されたイソシアネート化合物である。ブロックイソシアネート化合物は、加熱により、ブロック剤が解離することで、イソシアネート基と、アニオン性樹脂の水酸基とが反応して架橋反応が進行する。この時、イソシアネート基と水酸基との反応により、ウレタン結合が形成される。イソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の芳香族、脂肪族又は脂環族イソシアネート化合物や、これらのビウレット体、これらのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンと上記のイソシアネート化合物との反応物であるアダクト体等を挙げることができる。好ましいイソシアネート化合物は、脂肪族又は脂環族イソシアネート化合物と、これらのビウレット体、これらのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンとこれらのイソシアネート化合物との反応物であるアダクト体である。また、好ましい脂肪族又は脂環族イソシアネート化合物は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートである。
また、ブロックイソシアネート化合物に用いるブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物や、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物、フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジイソプロピルピラゾール等のピラゾール系化合物、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール類、フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物を挙げることができる。好ましいブロック剤は、ラクタム系化合物、オキシム系化合物、またはピラゾール系化合物、より好ましくはε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、または3,5−ジメチルピラゾールである。
本発明において、イオン性樹脂と架橋剤の好ましい組み合わせとしては、より優れた絶縁性を確保する観点から、アニオン電着の場合、(メタ)アクリル酸系樹脂とメラミン樹脂である。(メタ)アクリル酸系樹脂は、カルボキシル基含有ビニル単量体としてアクリル酸またはメタクリル酸を含むものであり、水酸基含有ビニル単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。メラミン樹脂としては、メトキシメチロールメラミン樹脂、ブトキシメチロールメラミン樹脂、メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂、イミノ基含有メトキシメチロールメラミン樹脂、イミノ基含有ブトキシメチロールメラミン樹脂、およびイミノ基含有メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、さらに好ましくはメトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂である。また、カチオン電着の場合は、より優れた絶縁性を確保する観点から、カチオン性(メタ)アクリル系樹脂とメラミン樹脂である。カチオン性(メタ)アクリル系樹脂は、アミノ基含有ビニル単量体として、好ましくはN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートを含み、水酸基含有ビニル単量体としては、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む。メラミン樹脂としては、メトキシメチロールメラミン樹脂、ブトキシメチロールメラミン樹脂、メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂、イミノ基含有メトキシメチロールメラミン樹脂、イミノ基含有ブトキシメチロールメラミン樹脂、およびイミノ基含有メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、さらに好ましくはイミノ基含有メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂である。
(製造方法)
次に、本発明の静電容量式タッチセンサの製造方法について説明する。本発明の静電容量式タッチセンサの製造方法は、対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部において、各前記第1電極が第1接続部を介して連結される一方、各前記第2電極が分断されるように形成する工程(以下、電極形成工程という)と、イオン性樹脂と架橋剤とを含む有機絶縁膜前駆体を前記複数の第1電極の上に電着法により析出させる工程(以下、電着工程という)と、析出させた前記有機絶縁膜前駆体を熱処理する工程(以下、熱処理工程という)と、熱処理した前記有機絶縁膜前駆体の上に、分断された各前記第2電極を接続する第2接続部を形成する工程(以下、電極接続工程という)と、を含むことを特徴とするものである。
図2A,2B,2Cおよび図3A,3B,3Cを用いて本発明の静電容量式タッチセンサの製造方法の一態様について説明する。図2Aは、電極形成工程における第1電極2および第2電極3の構造を示す模式平面図であり、第1電極2および第2電極3の一部を示している。また、図3Aは、図2AのA−A’線に沿った模式縦断面図である。交差部4においては、第1電極2の隣接する第1島状電極部2a,2aは、第1接続部2bにより連結されている。一方、第2電極3の隣接する第2島状電極部3a,3aは連結されていない。
次に、図2Bは、電着工程における第1電極2および第2電極3の構造を示す模式平面図であり、図3Bは、図2Bの模式縦断面図である。第1島状電極部2a,2aと第1接続部2bの表面には有機絶縁膜5が形成されている。交差部4では、有機絶縁膜5は層間絶縁膜5aとなる。
次に、図2Cは、電極接続工程における第1電極2および第2電極3の構造を示す模式平面図であり、図3Cは、図2Cの模式縦断面図である。交差部4において、層間絶縁膜5aの上には、層間絶縁膜5aを跨ぐように第2接続部3bが形成され、第2接続部3bにより第2電極3の隣接する第2島状電極部3a,3aは連結されている。
この後、絶縁性基板1の一方の主面の全面に、表面保護膜を設けることで、静電容量式タッチセンサを製造することができる。
電極形成工程および電極接続工程では、フォトリソグラフィー法や、印刷法、インクジェット法等を用いることができる。フォトリソグラフィー法を用いる場合は、導電材料は、リフトオフプロセスまたはエッチングによってパターニングすることができる。
電着工程では、被電着体である作用極と、対極とを、電着槽内の電着液に浸漬し、所定時間、電圧を印加することで、電着液中のイオン性樹脂と架橋剤とを作用極の表面に析出させる。被電着体に、第1電極および第2電極を形成した絶縁性基板を用いると、第1接続部が作用極となり、第1島状電極部と第1接続部の表面にイオン性樹脂と架橋剤とを析出させることができる。なお、アニオン電着の場合には作用極は陽極となり、カチオン電着の場合には作用極は陰極となる。
電着液は、水系溶媒中に、イオン性樹脂と架橋剤を溶解またはコロイド状に分散させたものである。水系溶媒は、水を主溶媒として、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、2−エチルへキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類や、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類またはそれらの混合物を0.1重量部から10重量部含むことができる。
アニオン電着を行う場合には、上記のアニオン性樹脂を用いる。また、カチオン電着を行う場合、上記のカチオン性樹脂を用いる。また、架橋剤には、上記のアミノ樹脂やブロックイソシアネート化合物を用いることができる。電着液中のイオン性樹脂と架橋剤の配合割合は、イオン性樹脂と架橋剤の全固形分に対して、イオン性樹脂は、40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%である。また、架橋剤は、60〜10重量%、好ましくは50〜20重量%である。
上記のアニオン性樹脂を水系溶媒中に溶解または分散させるためには、アニオン性樹脂のアニオン性基であるカルボキシル基の少なくとも一部を塩基で中和する必要がある。その塩基としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、トリ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、などのアルカノールアミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン類、エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミン類、ピペラジン、モルホリン、ピラジン、ピリジン等の有機アミンや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を用いることができる。これらの塩基は、カルボキシル基に対して、中和率が30〜90%となるように添加すればよい。
また、カチオン性樹脂の場合、カチオン性基の中和には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、2−エチルブタン酸、オクチル酸等の有機酸や、硫酸、リン酸等の無機酸を用いることができる。好ましくは、酢酸または乳酸である。これらの酸は、カチオン性基に対して、中和率が30〜90%となるように添加すればよい。
アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の分子量は、析出後の樹脂成分の流動を防止し、かつ電着液の分散安定性を向上させる観点から、10,000〜100,000、好ましくは15,000〜60,000の重量平均分子量を有することが好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーション(GPC)法による測定から得られる、ポリスチレン換算の分子量である。
なお、必要に応じて、粘度調整剤、分散剤、析出物の表面平滑性を保持するための表面調整剤等の添加剤、架橋反応を促進させるための硬化触媒等を、電着液に加えてもよい。
アニオン電着用の電着液としては、上述したように、イオン性樹脂として(メタ)アクリル酸系樹脂を含み、架橋剤としてメラミン樹脂を含むものが好ましい。このような電着液の例として、ハニー化成社から入手できる電着液SR−A−600、SR−A−304、SR−A−309等を挙げることができる。電着液SR−A−600は、アニオン性樹脂が、カルボキシル基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体との共重合体である(メタ)アクリル酸系樹脂であり、メラミン樹脂が、メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂である。アニオン性樹脂とメラミン樹脂の濃度は、電着液中の全固形分に対し、それぞれ、70重量%、30重量%である。なお、SR−A−304は、メラミン樹脂としてイミノ基含有メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂を用いた点が異なり、SR−A−309は、SR−A−600の塩基による中和率が80%に対して中和率が30%である点が異なる。
また、カチオン電着用の電着液としては、上述したように、イオン性樹脂としてカチオン性アクリル樹脂を含み、架橋剤としてメラミン樹脂を含むものが好ましい。このような電着液の例として、ハニー化成社から入手できる電着液SR−C−200を挙げることができる。電着液SR−C−200は、カチオン性樹脂が、アミノ基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体との共重合体であるカチオン性アクリル樹脂であり、メラミン樹脂が、イミノ基含有メトキシブトキシ混合メチロールメラミン樹脂である。カチオン性樹脂とメラミン樹脂の濃度は、電着液中の全固形分に対し、それぞれ、70重量%、30重量%である。
電着時の電着液の温度は、0℃〜28℃、好ましくは5℃〜28℃、より好ましくは10℃〜26℃である。温度を0℃〜28℃の範囲内に保持することにより、有機絶縁膜の前駆体の粘度低下を防止して、有機絶縁膜の前駆体の電着液中への再溶解または再分散を抑制することができる。
電着時の印加電圧と印加時間は、被着体の大きさや形状、対極との間の距離(電極間距離)、電着液の種類等に応じて適宜設定することができるが、nmオーダーの膜厚の有機絶縁膜を得るという観点から、アニオン電着の場合、電着時の印加電圧は1〜100V、好ましくは1〜10Vであり、印加時間は1〜900秒、好ましくは1〜200秒である。また、カチオン電着の場合、電着時の印加電圧は1〜100V、好ましくは1〜10Vであり、印加時間は1〜900秒、好ましくは1〜200秒である。
なお、電着時において、被電着体(作用極)上の電着膜の膜厚をより均一にするという観点から、被電着体の周囲を囲むように、被電着体と同電位のリング状電極を電着槽の中に配置してもよい。これにより、被電着体の周辺部への電流の集中を抑制することで、電着膜の膜厚をより均一にすることが可能である。また、被電着体の周辺部への電流の集中を抑制するという観点から、被電着体と対極との間に絶縁体からなる遮蔽板を配置してもよい。この方法でも、電着膜の膜厚をより均一にすることが可能である。また、被電着体の周辺部への電流の集中を防ぐ方法として、他の公知の方法を用いることもできる。
電着終了後、有機絶縁膜前駆体を含む被電着体を水洗し、熱処理工程に供する。熱処理工程は、大気雰囲気下、100℃〜200℃、好ましくは120℃〜190℃で、1〜60分間、加熱する。この熱処理により、架橋反応が進行して、有機絶縁膜が生成する。好ましい条件で作製した有機絶縁膜の膜厚は、5nm以上1μm未満である。なお、層間絶縁膜としての有機絶縁膜を跨ぐように形成される第2接続部は、スパッタ法等で成膜され、その厚さは数百nm程度である。そのため、有機絶縁膜がこれより厚いと断線が生じ易くなるので、有機絶縁膜の膜厚は、1μm未満が好ましい。
本発明の製造方法では、第1電極と第2電極との交差部に用いる層間絶縁膜を、電着法を用いて作製するため、スピンコート法やディップコート法等の他のウェットプロセスとは異なり、成膜後のパターニング工程が不要である。また、パターニングが可能な手法としては、印刷法やインクジェット法等が挙げられるが、それらとは異なり、版や描画データを用意する必要は無く、基板と成膜位置のアライメント作業も不要である。そのため、従来の製造方法で必要であった3回のフォトリソグラフィーを2回に減らすことができる。これにより、フォトレジストの消費量を削減でき、パターニングに必要なフォトマスクの枚数を減らすことができる。また、基板とフォトマスクの位置合わせ作業も不要となるため、製造工程を大幅に簡略化することが可能となる。さらに、絶縁材料の利用効率が向上する。これにより、静電容量式タッチセンサをより低コストで製造することが可能となる。
また、電着法で形成された層間絶縁膜は、第2接続体等の被電着体への付き回り性が高く、基板上に形成されている電極の立体構造に対しても均一な厚さで成膜できるため、絶縁不良の原因となり易い膜厚不足箇所が形成されにくく、絶縁性に対する信頼性を高めることが可能である。
また、本発明のタッチセンサで用いる層間絶縁膜は可撓性を有する有機性絶縁膜であり、プラスチック基板にも適用できることから、静電容量式タッチセンサの基板材料の選択自由度を大きくすることが可能である。
本発明をさらに詳しく説明するため、以下に実施例を示す。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
実施例1
(絶縁性評価のための有機トランジスタの作製)
フォトリソグラフィー法およびリフトオフプロセスを用い、大きさが30mm×25mmのガラス基板上に真空蒸着法によって成膜したAl膜をパターニングすることで、ゲート電極を作製した。このゲート電極を被電着体として用い、アニオン電着と熱処理を行い、有機絶縁性薄膜からなるゲート絶縁膜(膜厚40nm)を得た。次に、有機半導体層としてジナフト[2,3-b:2´,3´-f]チエノ[3,2-b]チオフェン(DNTT)を真空蒸着法により製膜した。ここで、有機半導体層は基板全面に形成されているが、トランジスタの素子分離を行うために、ゲート絶縁膜上のみに有機半導体層を残すパターニングを行う必要がある。そのため、有機半導体層の保護膜となるAuを真空蒸着法により製膜した後、フッ素系フォトフォトレジストを用いたフォトリソグラフィーとこれに続くAuのウェットエッチおよび有機半導体層の酸素アッシングを行った。フッ素系フォトレジストにはOrthogonal社製OScOR2312を、Auのウェットエッチには関東化学社製AURUM S−50790をそれぞれ用いた。その後、同様に、フッ素系フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法およびウェットエッチングプロセスを用い、有機半導体層上に真空蒸着法によって製膜したAu膜をパターニングすることで、チャネル長が10μm、チャネル幅が200μmとなるように、ソース電極とドレイン電極を作製した。これにより、有機トランジスタを作製した。
図4は、作製した有機トランジスタ30の構造を示す模式断面図である。有機トランジスタ30は、基板31と、基板31上に形成されたゲート電極32と、ゲート電極32上に形成されたゲート絶縁膜33と、ゲート絶縁膜33上に形成された有機半導体層34と、有機半導体層34上に離間して形成されたソース電極35とドレイン電極36を有している。有機半導体層14がチャンネル領域を形成しており、ゲート電極12に印加される電圧により、ソース電極15とドレイン電極16の間を流れる電流を制御することができる。伝達特性の測定は、ドレイン電圧Vを−2Vとし、ゲート電圧Vを−2Vから1Vまで走査し、ゲート電圧V−ドレイン電流Iを測定することにより行った。また、(I1/2とゲート電圧Vの間のグラフにおいて、直線部分の延長線とV軸との交点から閾値電圧を求めた。同様の有機トランジスタを合計886個作製したが、いずれもゲート電流Iは数百pA以下であり、優れた絶縁性を示した。
(タッチセンサの製造)
基板は、厚さ200nmの酸化インジウムスズ(ITO)膜付のガラス基板を用いた。大きさは10cm×10cmである。Dow Chemical社製フォトトレジストS1830を用いて、正方形状の島状電極部を形成し、関東化学社製混酸ITO−02を用いてITO膜をエッチングすることで、X方向に延在する複数の第1電極(以下、X電極という)と、Y方向に延在する複数の第2電極(以下、Y電極という)を、それぞれ8本作製した。なお、X電極を構成する正方形状の複数の島状電極部は互いに連結されているが、Y電極では島状電極部は分断され互いに連結されていない。個々の正方形状の島状電極部の対角線の長さは7mmである。その後、フォトレジストをアセトンで除去し、UVオゾン洗浄装置で洗浄した。
次に、作製したX電極を陽極とし、電着槽中の電着液(ハニー化成社製SR−A−600)の中に浸漬した。陽極と対極の間に6Vの直流電圧を100秒間印加し、X電極のみに選択的に電着膜を形成した。電着液の液温は23℃であった。電源にはKEITHLEY社製2450ソースメータを用いた。電着膜を純水で洗浄した後、180℃の対流式オーブンで30分間の熱処理を行うことで架橋させ、層間絶縁膜を得た。また、被電着体の周囲を囲むように、被電着体と同電位のリング状電極を電着槽の中に配置する電着方法も行った。
次に、基板全面に厚さ200nmの金を真空蒸着法で成膜した後、Orthogonal社製フォトレジストOScORを用いてY電極の第2接続部のパターンを形成し、関東化学社製AURUM S−50790を用いて金エッチングを行い、Y電極の島状電極部を連結した。最後に、旭硝子社製CYTOPを用いてスピンコート法により表面保護膜を形成した。
図5は、作製したタッチセンサの全体図を示す写真である。また、図6は、交差部を拡大した顕微鏡写真である。
(電着膜の均一性評価)
被電着体の周囲を囲むように、被電着体と同電位のリング状電極を電着槽の中に配置して電着を行い、得られた電着膜の膜厚の均一性を評価した。
膜厚評価には、KLA-Tencor社製触針式プロファイラP−16+を用いた。膜厚評価は、X電極上に電着膜を形成した段階で行った。膜厚測定箇所は、後の作製工程でY電極との交差部となる64箇所である。膜厚測定時、Y電極は電着膜で被覆されておらず、ITO電極表面が露出しているので、これを基準高さとし、X電極上の電着膜表面の測定高さから基準高さを差し引くことで電着膜の厚さを得た。
結果を図7に示す。図7の基板上の数値は、膜厚最小値(136nm)を100%とした時の膜厚の相対値(%)を示している。平均膜厚は153nmで、標準偏差は8nm、変動係数は5%であり、優れた均一性が得られた。
次に、比較のため、スピンコート法で成膜された高分子膜の膜厚均一性を評価した結果を図8に示す。高分子材料にはポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用い、トルエンに10wt%の濃度で溶解させ、2000rpm、60秒の条件でスピンコートし、120℃で30分間加熱処理することで成膜した。基板は、厚さ200nmのITO電極がパターニングされたガラス基板であり、寸法や電極の形状は電着法で用いた図7のものと同一である。膜厚は、Y電極上のPMMA膜の一部を物理的に除去し、Y電極表面を基準高さとしてX電極上のPMMA膜表面の測定高さから基準高さを差し引くことにより求めた。図8の基板上の数値は、膜厚最小値(46nm)を100%とした時の膜厚の相対値(%)を示している。平均膜厚は106nmで、標準偏差は18nm、変動係数は17%であり、電着膜と比較すると膜厚バラツキが大きかった。一般に、スピンコート法を用いると高い膜厚均一性の高分子膜を得ることができるが、今回のように、ITO電極によって基板表面の平坦性が損なわれている場合、必ずしも均一な膜厚で成膜できるとは限らない。
(タッチセンサ特性の評価)
X電極およびY電極の引出線を読出回路に接続し、指接触時の静電容量の変化を測定した。指接触することにより、非接触時に比べ、静電容量が変化することを確認した。
本発明の静電容量式タッチセンサは、可撓性を有し、絶縁信頼性に優れた層間絶縁膜を有しているので、プラスチック基板にも適用できることから、静電容量式タッチセンサの基板材料の選択自由度を大きくすることが可能である。
また、本発明の静電容量式タッチセンサの製造方法は、通電部分のみに選択的に有機絶縁膜を形成できる電着法を層間絶縁膜の形成手法として用いるため、従来必要であった層間絶縁膜のパターニング工程を省略することができる。また、セラミック等の無機系絶縁材料とは異なり、成膜のための大掛かりな真空装置や高温処理装置は必要なく、大面積化も容易である。そのため、本発明は、静電容量式タッチセンサの製造技術として有用である。
1 絶縁性基板
2 第1電極
2a 第1島状電極部
2b 第1接続部
3 第2電極
3a 第2島状電極部
3b 第2接続部
4 交差部
5 有機絶縁膜
5a 層間絶縁膜
6 第1電極引出線
7 第2電極引出線
20 静電容量式タッチセンサ

Claims (7)

  1. 対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを有し、
    前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部は、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する層間絶縁膜を含み、前記層間絶縁膜がイオン性樹脂の架橋体からなる有機絶縁膜である、静電容量式タッチセンサ。
  2. 前記複数の第1電極は第1接続部を介して互いに連結されている複数の第1島状電極部を含む一方、前記複数の第2電極は第2接続部を介して互いに連結されている複数の第2島状電極部を含み、
    前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部では、前記第1接続部の上に前記層間絶縁膜が配置され、前記層間絶縁膜を跨ぐように前記第2接続部が配置されている、請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
  3. 前記複数の第1島状電極部の上に、前記有機絶縁膜が形成されている、請求項2記載の静電容量式タッチセンサ。
  4. 前記イオン性樹脂が、カルボキシル基含有ビニル単量体と水酸基含有ビニル単量体との共重合体である、請求項1から3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチセンサ。
  5. 前記架橋体が架橋剤を含み、該架橋剤が、メラミン樹脂またはブロックイソシアネート化合物である請求項1から4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチセンサ。
  6. 対向する一対の主面を有する絶縁性基板の一方の主面上に、第1の方向に延在する複数の第1電極と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在し、前記複数の第1電極と交差する複数の第2電極とを、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との各交差部において、各前記第1電極が第1接続部を介して連結される一方、各前記第2電極が分断されるように形成する工程と、
    イオン性樹脂と架橋剤とを含む有機絶縁膜前駆体を前記複数の第1電極の上に電着法により析出させる工程と、
    析出させた前記有機絶縁膜前駆体を熱処理する工程と、
    熱処理した前記有機絶縁膜前駆体の上に、分断された各前記第2電極を接続する第2接続部を形成する工程と、を含む、静電容量式タッチセンサの製造方法。
  7. 前記複数の第1電極は第1接続部を介して互いに連結されている複数の第1島状電極部を含む、請求項6記載の製造方法。
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