JP2020029819A - ルーツブロワ - Google Patents

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【課題】ベアリング21、タイミングギヤ24及びメカニカルシール18の耐久寿命を伸ばすことのできる軸封部を備えたルーツブロワ10を提供すること。【解決手段】オイルシール17とメカニカルシール18で密閉した中間室12aに窒素ガスあるいは大気等の不活性ガスを導入して加圧することにより、中間室12aに溜まったドレン16をドレン排出口12cからハウジング12の外部へ排出する。ドレン16がベアリング21やタイミングギヤ24に侵入し、ベアリング21やタイミングギヤ24の潤滑油に混入して、潤滑油が劣化するのを防止できるので、ベアリング21やタイミングギヤ24の耐久寿命を伸ばすことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、ルーツブロワに関し、より詳しくはロータの回転軸の軸封部に関する。
ルーツブロワは、一対の円弧面を有する長円形のロータ室及びロータ室の中間面の一側に開口する吸込口と、他側に開口する吐出口を形成したケーシングと、ロータ室内で互いに逆方向へ回転される一対のロータを備え、各ロータの回転軸がベアリングで回転可能にケーシングに支承されている。この回転軸のロータ室から突出する部位にはロータ室の流体がロータ室外部へ漏れ出るのを防止するため軸封部が設けられている。
ルーツブロワの一形式として、特開平6−101674号公報には軸封部にオイルシールを採用したルーツブロワが開示されている。
また、実開昭47−22520号公報には軸封部としてメカニカルシールを採用したルーツブロワが開示されている。
特開平6−101674号 実開昭47−22520号公報
オイルシールは組み付け作業が容易であるため、製造コストを低減できるものの、運転経過に伴いオイルシールのリップ部が摩耗してロータ室の流体のリークが発生する。ロータ室から蒸気などの凝縮性ガスまたは腐食性ガスがリークしてドレンが発生すると、ベアリングやタイミングギヤの潤滑油にドレンが混入し、潤滑油が劣化する。その結果、ベアリングやタイミングギヤの耐久寿命が短くなって早期に破損する。
また、リーク量を低減させるためオイルシールを複数枚使用すると、回転軸に対する抵抗が増加し、発熱及び動力増加が発生する。
一方、メカニカルシールを採用した軸封部はオイルシールに比べ、リークが少ないものの、リークを完全に無くすことはできず、メカニカルシールの摺接面に介在する潤滑油にドレンとなった腐食性ガスが混入すると潤滑油が劣化し、メカニカルシールの耐久寿命も短くなる。
また、メカニカルシールは回転軸への組み付け作業が甚だ面倒で手間がかかるため製造コストが高くなる。
本発明はかかる問題点に鑑み、ベアリング、タイミングギヤ及びメカニカルシールの耐久寿命を伸ばすことのできる軸封部を備えたルーツブロワを提供することを第1の目的とする。
また、製造コストの低減が可能な軸封部を備えたルーツブロワを提供することを第2の目的とする。
請求項1に記載の発明は、
一対の円弧面を有する長円形のロータ室及びロータ室の中間面の一側に開口する吸込口と、他側に開口する吐出口を形成したケーシングと、ロータ室内で互いに逆方向へ回転される一対のロータと、各ロータの回転軸をケーシングに回転可能に支えるベアリングと、ロータ室から外部に突出する回転軸に軸封部を備えたルーツブロワであって、
ロータ室から外部に突出する回転軸に被せるようにケーシングにハウジングを固定し、
ハウジングの内部に回転軸を囲むようにドレンを溜める中間室を形成し、
軸封部をオイルシールとメカニカルシールで構成するとともに、ロータ室寄りにオイルシールを設け、オイルシールの外側にメカニカルシールを設けて、中間室をオイルシールとメカニカルシールで密閉し、
中間室に連通する不活性ガス導入口とドレン排出口をハウジングに形成し、
メカニカルシールの外側にベアリングと潤滑油を溜める潤滑油カバーを設け、
運転時に不活性ガス導入口から不活性ガスを中間室に導入して加圧し、又は中間室を減圧するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のルーツブロワにおいて、
前記メカニカルシールを、回転軸と平行方向にスプリングで付勢されたシールリングと、シールリングの外側で回転軸に嵌合し、シールリングの先端部が圧接するカラーと、カラーを回転軸に固着するセットスクリューで構成し、
カラーの所定の取付位置の外側にカラーを取付位置に位置決めする専用治具と、セットスクリューの取付工具が入るスペースを設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のルーツブロワにおいて、
専用治具が円筒構造を有し、内面には回転軸に形成した軸段部に当接する治具段部と、回転軸に形成した軸ネジ部に螺合する治具ネジ部が設けられ、軸ネジ部に治具ネジ部をネジ付けて専用治具を回転軸にセットし、治具段部が軸段部に当接するまで専用治具をねじ込むことによりカラーを所定の取付位置にセットすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のルーツブロワにおいて、
ベアリングをベアリングケースに格納し、ベアリングケースをボルトでハウジングに固定したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、オイルシールとメカニカルシールで密閉した中間室に不活性ガスを導入して加圧するので、中間室に溜まったドレンをドレン排出口からハウジングの外部へ排出できる。
そのため、ドレンがベアリングやタイミングギヤに侵入し、ベアリングやタイミングギヤの潤滑油に混入して、潤滑油が劣化するのを防止できるので、ベアリングやタイミングギヤの耐久寿命を伸ばすことができる。
中間室を密閉するオイルシールをロータ室寄りに設けたので、中間室に導入した不活性ガスがロータ室に侵入してロータ室内の凝縮性ガスや腐食性ガスに混入するのを防止できる。
また、中間室を減圧してロータ室の圧力より低くすれば、不活性ガスのロータ室への漏れを極力抑えることができるとともに、潤滑油カバーから漏れた潤滑油がロータ室に侵入するのを防止できる。
請求項2に記載の発明によれば、専用治具を用いてメカニカルシールを回転軸に組み付けることができるので、メカニカルシールの組み付け作業が容易、迅速に実施でき、製造コストの低減を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、専用治具を回転軸にねじ込むことでメカニカルシールのカラーを所定位置にセットできるので、メカニカルシールの組み付け作業がより容易、迅速に実施でき、製造コストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、ベアリングを格納したベアリングケースをボルトでハウジングに組み付けるので、専用治具や取付工具を用いるために必要なスペースを確保でき、またベアリングの組み付け作業が容易、迅速に実施でき、製造コストの低減を図ることができる
本発明の実施例に係るルーツブロワを示す一部破断した正面図である。 図1の2−2線から切断した断面図である。 図1の3−3線から切断した断面図である。 同ルーツブロワのハウジングの内部構造を示す断面図である。 同ルーツブロワのメカニカルシールを示す部分拡大断面図である。 専用治具を示す部分拡大断面図である。
以下に本発明を図面に基づき説明する。図1、図2及び図3には本発明の一実施例に係るルーツブロワ10が示されている。図1に示すように、当該ルーツブロワ10はケーシング11と、ケーシング11の左右両面に固着され、ケーシング11と一体を成すハウジング12を備えている。
図2に示すように、ケーシング11の内部には一対の円弧面を有する長円形のロータ室11aと、ロータ室11aの中間面の一側に開口する吸込口11bと、他側に開口する吐出口11cが形成され、吐出口11cに吐出管13が接続されている。ロータ室11aには互いに逆方向へ回転される一対のロータ14が格納されている。
ロータ14の回転軸15はケーシング11の側面からロータ室11aの外部に突出し、突出する回転軸15を覆うようにハウジング12がケーシング11に固定されている。図3及び図4に示すように、ハウジング12の内部には回転軸15を囲むようにドレン16を溜める中間室12aが形成されている。この中間室12aはロータ室11aに近接して設けたオイルシール17と、オイルシール17の外側に設けたメカニカルシール18で密閉され、オイルシール17とメカニカルシール18で回転軸15のロータ室11aから外部へ突出する部位の軸封部が構成されている。また、ハウジング12は中間室12aに連通する不活性ガス導入口12bとドレン排出口12cが形成されている。
図5に拡大して図示するように、メカニカルシール18は回転軸15と平行方向にスプリング18aで付勢されたシールリング18bと、シールリング18bの外側で回転軸15に嵌合し、シールリング18bの先端部が圧接するカラー18cと、カラー18cを回転軸15に固着するセットスクリュー18dで構成されている。そして、カラー18cは円筒状の専用治具19と、取付工具20を使用して回転軸15に固定されている。
図6に示すように、回転軸15には、カラー18cの所定の取付位置の外側に軸段部15aと軸ネジ部15bが形成されている。一方、専用治具19の内面には治具段部19aと治具ネジ部19bが形成されている。
メカニカルシール18の取付手順は以下の通りである。
シールリング18bを回転軸15に被せるとともに、ハウジング12に形成した凹所12dに格納し、続いてカラー18cを回転軸15に被せた後、専用治具19を回転軸15に被せ、治具ネジ部19bを軸ネジ部15bにねじ込むと、カラー18cが専用治具19の先端部で内側へ押し込まれる。そして、軸段部15aに治具段部19aが当接するとカラー18cが所定の取付位置に位置決めされるので、取付工具20でセットスクリュー18dをネジ付けて、カラー18cを回転軸15に固定する。
回転軸15をケーシング11に回転可能に支承するベアリング21はメカニカルシール18の外側に設けられている。ベアリング21は円筒状のベアリングケース21aの内周面に嵌着され、ベアリングケース21aがボルト22でハウジング12に固定されている。そして、回転軸15にベアリングナット23がネジ付けられている。
このようにベアリングケース21aを用いることにより専用治具19を回転軸15にセットし、取付工具20を用いるために必要にスペースをメカニカルシール18の外側に確保している。
回転軸15にはタイミングギヤ24が取り付けられ、タイミングギヤ24を覆うように潤滑油カバー25がハウジング12に取り付けられ、潤滑油カバー25の内部に潤滑油が溜められている。
本実施例に係るルーツブロワ10の構造は以上の通りであって、駆動モータ(図示略)でロータ14を回転させると、凝縮性ガス若しくは腐食性ガスを含んだ流体が吸引口11bからロータ室11aへ吸引され、ロータ室11aで圧縮されて吐出管13から排出される。
しかして、本実施例によれば、オイルシール17とメカニカルシール18で密閉した中間室12aに窒素ガスあるいは大気等の不活性ガスを導入して加圧することにより、中間室12aに溜まったドレン16をドレン排出口12cからハウジング12の外部へ排出できる。そのため、ドレン16がベアリング21やタイミングギヤ24に侵入し、ベアリング21やタイミングギヤ24の潤滑油に混入して、潤滑油が劣化するのを防止できるので、ベアリング21やタイミングギヤ24の耐久寿命を伸ばすことができる。
中間室12aを密閉するオイルシール17をロータ室11a寄りに設けたので、中間室12aに導入した不活性ガスがロータ室11aに侵入してロータ室11a内の凝縮性ガスや腐食性ガスに混入するのを防止できる。
さらにまた、中間室12aを減圧してロータ室11aの圧力より低くすれば、不活性ガスのロータ室11aへの漏れを極力抑えることができるとともに、潤滑油カバー25から漏れた潤滑油がロータ室11aに侵入するのを防止できる。
専用治具19を用いてメカニカルシール18を回転軸15に組み付けることができるので、メカニカルシール18の組み付け作業が容易、迅速に実施でき、製造コストの低減を図ることができる。
ベアリング21を嵌着したベアリングケース21aをボルト22でハウジング12に組み付けるので、専用治具19や取付工具20を用いるために必要なスペースを確保でき、またベアリング21の組み付け作業が容易、迅速に実施でき、製造コストの低減を図ることができる
10…ルーツブロワ
11…ケーシング
11a…ロータ室
11b…吸込口
11c…吐出口
12…ハウジング
12a…中間室
12b…不活性化ガス導入口
12c…ドレン排出口
14…ロータ
15…回転軸
15a…軸段部
15b…軸ネジ部
16…ドレン
17…オイルシール
18…メカニカルシール
18a…シールリング
18b…カラー
18c…セットスクリュー
19…専用治具
19a…治具段部
19b…治具ネジ部
20…取付工具
21…ベアリング
21a…ベアリングケース
22…ボルト
24…タイミングギヤ
25…潤滑油カバー

Claims (4)

  1. 一対の円弧面を有する長円形のロータ室及びロータ室の中間面の一側に開口する吸込口と、他側に開口する吐出口を形成したケーシングと、ロータ室内で互いに逆方向へ回転される一対のロータと、各ロータの回転軸をケーシングに回転可能に支えるベアリングと、ロータ室から外部に突出する回転軸に軸封部を備えたルーツブロワであって、
    ロータ室から外部に突出する回転軸に被せるようにケーシングにハウジングを固定し、
    ハウジングの内部に回転軸を囲むようにドレンを溜める中間室を形成し、
    軸封部をオイルシールとメカニカルシールで構成するとともに、ロータ室寄りにオイルシールを設け、オイルシールの外側にメカニカルシールを設けて、中間室をオイルシールとメカニカルシールで密閉し、
    中間室に連通する不活性ガス導入口とドレン排出口をハウジングに形成し、
    メカニカルシールの外側にベアリングと潤滑油を溜める潤滑油カバーを設け、
    運転時に不活性ガス導入口から不活性ガスを中間室に導入して加圧し、又は中間室を減圧するようにしたことを特徴とするルーツブロワ。
  2. 前記メカニカルシールを、回転軸と平行方向にスプリングで付勢されたシールリングと、シールリングの外側で回転軸に嵌合し、シールリングの先端部が圧接するカラーと、カラーを回転軸に固着するセットスクリューで構成し、
    カラーの所定の取付位置の外側にカラーを取付位置に位置決めする専用治具と、セットスクリューの取付工具が入るスペースを設けたことを特徴とする請求項1に記載のルーツブロワ。
  3. 専用治具が円筒構造を有し、内面には回転軸に形成した軸段部に当接する治具段部と、回転軸に形成した軸ネジ部に螺合する治具ネジ部が設けられ、軸ネジ部に治具ネジ部をネジ付けて専用治具を回転軸にセットし、治具段部が軸段部に当接するまで専用治具をねじ込むことによりカラーを所定の取付位置にセットすることを特徴とする請求項2に記載のルーツブロワ。
  4. ベアリングをベアリングケースに格納し、ベアリングケースをボルトでハウジングに固定したことを特徴とする請求項2に記載のルーツブロワ。
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