JP2020029626A - 透明紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れ、湿度変化に対する寸法安定性及び強度を有し、さらにインクジェット印刷機に対する印刷適性を有する透明紙を提供することである。【解決手段】課題は、パルプと常圧下における融点が35℃以上のワックスとを少なくとも含有し、前記パルプがカナダ標準ろ水度300ml以上600ml以下、及び前記パルプの少なくとも一種がLBKPでありかつLBKPの含有量が全パルプ量の70質量%以上である透明紙によって達成される。【選択図】なし
Description
本発明は透明紙に関する。
樹脂透明フィルムの代替用に、パルプを主成分とした透明紙が知られている。
このような透明紙は、パルプを高度に叩解した叩解パルプを抄造して、その後、スーパーカレンダー等で処理した薄葉紙が一般的である。透明紙は、パルプの繊維間に存在する空隙に存在する空気を除去して、紙の内部における光の散乱を低下させることによって透明性を得る。
このような透明紙は、パルプを高度に叩解した叩解パルプを抄造して、その後、スーパーカレンダー等で処理した薄葉紙が一般的である。透明紙は、パルプの繊維間に存在する空隙に存在する空気を除去して、紙の内部における光の散乱を低下させることによって透明性を得る。
例えば、カナダ標準ろ水度が20ml以下まで叩解したパルプを抄造し、80℃以上100℃以下に加温したロールと湿紙が接するようにロールプレスで搾水した後、シリンダードライヤーで乾燥する透明紙の製造方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。また、カナダ標準ろ水度が200ml未満のセルロース繊維を主成分とした基紙に水溶性又は水分散性樹脂、例えばスチレン−アクリル系樹脂を含浸又は塗工し、不透明度が20%未満である透明紙が公知である(例えば、特許文献2参照)。また、所定の変則フリーネスが100ml以上600ml以下のパルプとポリアクリルアマイド系紙力剤とコロイダルシリカとを含んだ紙であって、前記ポリアクリルアマイド系紙力剤がパルプに対し0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲で含んでいることを特徴とする透明紙が公知である(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1及び2に記載の透明紙は、湿度変化に対する寸法安定性が不十分であり、インクジェット印刷においてもインク吸収性が悪く滲みやすい傾向を示す。また、特許文献1及び3に記載の透明紙は、パルプが高度に叩解されるために地合が良化する傾向にあるもののシート強度に劣る傾向を示す。
本発明の目的は、以下の品質を有する透明紙を提供することである。
(1)透明性に優れること(透明性)。
(2)湿度変化に対する寸法安定性を有すること(寸法安定性)
(3)十分なシート強度を有すること(強度性)。
(4)インクジェット印刷適性を有すること(印刷適性)。
(1)透明性に優れること(透明性)。
(2)湿度変化に対する寸法安定性を有すること(寸法安定性)
(3)十分なシート強度を有すること(強度性)。
(4)インクジェット印刷適性を有すること(印刷適性)。
本発明の目的は、以下により達成される。
[1]パルプと、常圧下における融点が35℃以上のワックスとを少なくとも含有し、前記パルプがカナダ標準ろ水度300ml以上600ml以下、及び前記パルプの少なくとも一種がLBKPでありかつLBKPの含有量が全パルプ量の70質量%以上である透明紙。
[1]パルプと、常圧下における融点が35℃以上のワックスとを少なくとも含有し、前記パルプがカナダ標準ろ水度300ml以上600ml以下、及び前記パルプの少なくとも一種がLBKPでありかつLBKPの含有量が全パルプ量の70質量%以上である透明紙。
[2]前記ワックスが、ポリアルキレングリコールである前記[1]に記載の透明紙。
[3]前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである前記[2]に記載の透明紙。
[4]前記パルプ及びワックスに加えて、カチオン性化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の透明紙。
本発明により、透明性、寸法安定性、強度性および印刷適性を有する透明紙を提供することができる。
以下、本発明の透明紙について詳細に説明する。本発明において、透明紙は、JIS P8149:2000に準じて求められる不透明度が65%以下のものを指す。
パルプは、製紙分野で従来公知のものであって、例えば、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)等の化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)等の機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプを挙げることができる。パルプは、これらから成る群から選ばれる少なくとも一種又は二種以上を組み合わせである。本発明において、パルプの少なくとも一種はLBKPである。LBKPは、NBKPに比べて繊維長が短く細いためにパルプの繊維間に存在する空隙が少なくなる、と考えられる。その結果、高度に叩解しなくても透明性が得られ易い。また、LBKPの含有量が全パルプ量の70質量%以上である。LBKPの含有量が全パルプ量の70質量%未満であると、下記パルプの叩解度では透明性を得ることができない。LBKPの含有量は、全パルプ量の80質量%以上であるとより好ましい。この理由は、透明性が良化するからである。
パルプの叩解度は、JIS P8121−2:2012「カナダ標準ろ水度法」に基づいて求められるカナダ標準ろ水度で示す値である。パルプは、ダブルディスクリファイナー、デラックスファイナー及びジョルダン等の叩解機に叩解され、叩解が進むと、カナダ標準ろ水度の値は小さくなる。本発明のパルプは、カナダ標準ろ水度300ml以上600ml以下である。カナダ標準ろ水度が300ml未満であると、寸法安定性と強度性を得ることができない。さらに、過度の叩解は印刷適性も劣化する。カナダ標準ろ水度の下限は、400ml以上が好ましく、460ml以上がさらに好ましい。また、カナダ標準ろ水度が600mlを超えると、透明性及び印刷適性を得ることができない。
パルプを含む紙料には、必要に応じてかつ本願発明の効果を阻害しない範囲で、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー及びカオリン等の各種填料、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤及び耐水化剤等の各種添加剤を配合することができる。
なお、紙料には透明性の点から、填料を含有しないことが好ましい。この理由は、填料が光の散乱に作用するために透明性を低下させる、からである。
なお、紙料には透明性の点から、填料を含有しないことが好ましい。この理由は、填料が光の散乱に作用するために透明性を低下させる、からである。
透明紙を得るための抄造は、パルプを含む紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。従来公知の抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
窓付封筒の窓にあたる部分や贈答品の包装紙等の透明紙に関する用途から、透明紙は、坪量が10g/m2以上120g/m2以下であると好ましく、密度が0.9g/cm3以上1.2g/cm3以下であると好ましい。
透明紙は、常圧下における融点が35℃以上のワックスを含有する。ワックスとは、蝋とも称され、化学的に厳密な意味において、脂肪酸と水に不溶性な高級一価アルコール類又は二価アルコール類とのエステルをいう。本発明においてワックスとは、化学的に厳密な意味だけでなく蝋状物質を含む広義的な意味としてのワックスを指す。本発明に係るワックスは、常圧下における融点が35℃以上であれば特に限定されない。ワックスの常圧下における融点が35℃未満であると、ワックスが、インクの乾燥に悪影響して印刷適性が劣化する。ワックスは、天然系ワックスと、炭化水素類、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、エーテル類、アミン類及びケトン類等である合成系ワックスとの二種類に大別できる。常圧下における融点が35℃以上であれば、これらワックスのいずれも使用することができる。融点の上限は100℃以下が好ましく、75℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。この理由は、製造工程時にはワックスが液状となって、パルプ繊維間の空隙に良好に浸透することができるからである。融点が高すぎない方が製造工程時に液状になり易く好ましい。天然系ワックスは、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス及びキャンデリラワックス等を挙げることができる。また、合成系ワックスは、例えば、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、エーテル類に該当するポリアルキレングリコール等を挙げることができる。本発明に係るワックスは、これらから成る群から選ばれる少なくとも一種又は二種以上が好ましい。常圧下における融点が35℃以上であるワックスはポリアルキレングリコールが好ましい。化成品が入手し易い観点から、前記ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールが好ましい理由は、親水性を有するワックスであるからである。親水性を有するワックスであることで、パルプ繊維をコーティングするようにパルプ繊維間の空隙に浸透しやすく、結果、光の散乱を抑えて紙を良好に透明化すると考えられる。また、ポリアルキレングリコールは、親水性により、パルプ繊維をコーティングするために湿度変化に対するパルプの伸びを抑制でき、結果、寸法安定性を得ると考えられる。ポリアルキレングリコールは、重量平均分子量1000以上20000以下が好ましく、1000以上4000以下がより好ましい。ポリアルキレングリコールは、例えば、三洋化成工業社、日油社、東邦化学工業社、昭和化学社等から市販される。
透明紙が、常圧下における融点が35℃以上であるワックスを含有する方法は、(A)パルプ、常圧下における融点が35℃以上であるワックスおよび必要に応じて添加剤を含有する紙料を抄造する方法、(B)パルプおよび必要に応じて添加剤を含有する紙料を抄造して得られる抄造紙に、サイズプレス等の従来公知の塗工装置によって常圧下における融点が35℃以上であるワックスを両面に付与する方法、を挙げることができる。方法は、少ない含有量で透明性及び/又は印刷適性が得やすいことから、前記(B)が好ましい。
前記(A)において、抄造後、カレンダー処理やサイズプレス処理を施してよい。
前記(B)において、抄造して得られた抄造紙は、常圧下における凝固点が35℃以上であるワックスを付与する前または後にカレンダー処理を施してよい。常圧下における融点が35℃以上であるワックスを付与する塗工液には、サイズ剤等を含有してよい。
前記(A)において、抄造後、カレンダー処理やサイズプレス処理を施してよい。
前記(B)において、抄造して得られた抄造紙は、常圧下における凝固点が35℃以上であるワックスを付与する前または後にカレンダー処理を施してよい。常圧下における融点が35℃以上であるワックスを付与する塗工液には、サイズ剤等を含有してよい。
サイズプレスは、従来公知の方式である。サイズプレスの例としては、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファー方式としてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスを、ロッドメタリングサイズプレスではシムサイザー、オプティサイザー、スピードサイザー、フィルムプレスを、ロールメタリングサイズプレスではゲートロールコーターを挙げることができる。その他に、ビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、カレンダーサイズプレスなども挙げることができる。好ましいサイズプレスは、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、フィルムプレスである。
透明紙中の常圧下における融点が35℃以上であるワックスの含有量は、前記(A)の場合は5g/m2以上30g/m2以下が好ましく、前記(B)の場合は片面あたり2.5g/m2以上15g/m2以下が好ましい。この理由は、前記含有量であることによって透明紙の透明性、印刷適性が良化するからである。
透明性を得るためには、パルプを高叩解することが一般である。しかしながら、寸法安定性、強度性及び印刷適性に対して、パルプの高叩解は好ましくない。本発明の効果は、カナダ標準ろ水度が特定の範囲であるLBKPと常圧下における融点が35℃以上のワックスとの相乗効果である。この理由について、本発明者らは以下と推察する。一般に繊維長が短く細いLBKPを用いれば高叩解にせずとも透明化剤によって紙を幾分透明にすることができ、製造工程時では液状となるワックスを透明化剤として用いることで、繊維長が短く細いLBKPに対してパルプ繊維をコーティングするようにパルプ繊維間の空隙にワックスを浸透させることができ、結果、透明性、寸法安定性及び強度性を得ることができる。しかも、パルプ繊維をコーティングするようにパルプ繊維間の空隙にワックスが浸透することで空隙の中央部には空間は残り、結果、印刷適性を有する。融点が35℃未満のワックスでは、パルプ繊維間の空隙に存在するワックスが流動しやすく、安定に存在できない。
本発明の透明紙は、カチオン性化合物を含有することが好ましい。この理由は、透明紙の印刷適性が良化するからである。カチオン性化合物は、カチオン性樹脂及び水溶性多価陽イオン塩から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
透明紙が、カチオン性化合物を含有する方法は、(C)紙料中にカチオン性化合物を添加して抄造する方法、(D)抄造紙に、サイズプレス等の従来公知の塗工装置によってカチオン性化合物を両面に付与する方法、を挙げることができる。前記(C)及び前記(D)において、常圧下における融点が35℃以上であるワックスを含有する方法は、上記(A)又は上記(B)のいずれでもよい。上記(B)と前記(D)との場合、常圧下における融点が35℃以上であるワックスとカチオン性化合物とは、一緒に付与及び別々に付与のいずれでもよい。本発明において、カチオン性化合物を含有する方法は、前記(D)が好ましく、サイズプレスで付与することがより好ましい。この理由は、カチオン性化合物を紙の表面近傍に且つ均一に付与することができるからである。カチオン性化合物を付与する塗工液には、サイズ剤等を含有してよい。
常圧下における融点が35℃以上であるワックスを付与する塗工液及びカチオン性化合物を付与する塗工液には、顔料成分は含有しないことが好ましい。
透明紙中のカチオン性化合物の含有量は、前記(C)の場合、0.16g/m2以上6.4g/m2以下が好ましく、0.2g/m2以上5.6g/m2以下がより好ましい。また、透明紙中のカチオン性化合物の含有量は、前記(D)の場合、片面あたり0.08g/m2以上3.2g/m2以下が好ましく、0.1g/m2以上2.8g/m2以下がより好ましい。これらの理由は、印刷適性及び強度性が良化するからである。
前記カチオン性樹脂は、従来公知のカチオン性ポリマーまたはカチオン性オリゴマーであればよく、特に限定されない。好ましいカチオン性樹脂は、プロトンが配位し易く、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を含有するポリマーまたはオリゴマーである。カチオン性樹脂は、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物およびこれらの塩酸塩、さらにジアリルアミン−アクリルアミド共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドおよびジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド等との共重合物、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物のようなアルキルアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物等を挙げることができる。カチオン性樹脂は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。本発明において、カチオン性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、500以上100,000以下が好ましく、1,000以上60,000以下がより好ましい。カチオン性樹脂は、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ジアリルアミン−アクリルアミド共重合体及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
前記水溶性多価陽イオン塩とは多価陽イオンを含む水溶性塩であり、水溶性塩とは20℃の水に1質量%以上溶解することができる塩をいう。多価陽イオンは、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、亜鉛、銅、鉄、コバルト、スズ、マンガンなどの二価陽イオン、アルミニウム、鉄、クロムなどの三価陽イオン、またはチタン、ジルコニウムなどの四価陽イオン、並びにそれらの錯イオンである。多価陽イオンと塩を形成する陰イオンは、無機酸および有機酸のいずれでもよく、特に限定されない。無機酸は、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸などを挙げることができる。有機酸は、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、有機スルホン酸などを挙げることができる。水溶性多価陽イオン塩は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。水溶性多価陽イオン塩は、カルシウムイオン塩から成る群から選ばれる一種又は二種以上が好ましく、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、及び硝酸カルシウムから成る群から選ばれる一種又は二種以上がより好ましい。
透明紙の密度を調節するため、透明紙にカチオン性化合物を付与した後に、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどのカレンダー処理を施すことができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量若しくは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
(パルプ)
LBKP又はNBKPを濃度3質量%で離解したパルプスラリーに、蒸気を吹き込み28℃に昇温した。その後、ダブルディスクリファイナー及びデラックスファイナーを用いてパルプのカナダ標準ろ水度が所定の値になるように叩解した。各カナダ標準ろ水度を表1に記載する。
LBKP又はNBKPを濃度3質量%で離解したパルプスラリーに、蒸気を吹き込み28℃に昇温した。その後、ダブルディスクリファイナー及びデラックスファイナーを用いてパルプのカナダ標準ろ水度が所定の値になるように叩解した。各カナダ標準ろ水度を表1に記載する。
(紙料)
得られたパルプスラリーを用いて下記を配合して紙料を調成した。
パルプ 種類および数量を表1に記載
硫酸バンド 0.5質量部
両性澱粉 1質量部
ワックス 種類および数量を表1に記載
得られたパルプスラリーを用いて下記を配合して紙料を調成した。
パルプ 種類および数量を表1に記載
硫酸バンド 0.5質量部
両性澱粉 1質量部
ワックス 種類および数量を表1に記載
下記を配合してサイズプレス用の塗工液を調製した。
(塗工液)
ワックス 種類および付与量を表1に記載
カチオン性化合物 種類および付与量を表1に記載
(塗工液)
ワックス 種類および付与量を表1に記載
カチオン性化合物 種類および付与量を表1に記載
(透明紙の製造)
紙料を長網抄紙機を用いて抄造及びドライヤーで乾燥し、サイズプレスで塗工液を両面に付与及びドライヤーで乾燥した。次に、マシンカレンダー処理を施して透明紙を得た。なお、透明紙の坪量が約75g/m2および密度が約1.0g/cm3になるように調整した。
紙料を長網抄紙機を用いて抄造及びドライヤーで乾燥し、サイズプレスで塗工液を両面に付与及びドライヤーで乾燥した。次に、マシンカレンダー処理を施して透明紙を得た。なお、透明紙の坪量が約75g/m2および密度が約1.0g/cm3になるように調整した。
得られた透明紙について、以下の評価を行った。結果を表2に記載する。
<透明性の評価>
透明紙の不透明度を、JIS P8149:2000に準じて測定した。
不透明性の値から下記の基準で評価した。本発明において、3又は4の評価であれば、透明紙は、透明性を有するものとする。
4:不透明度が55%以下。
3:不透明度が55%超65%以下。
2:不透明度が65%超75%以下。
1:不透明度が75%超。
透明紙の不透明度を、JIS P8149:2000に準じて測定した。
不透明性の値から下記の基準で評価した。本発明において、3又は4の評価であれば、透明紙は、透明性を有するものとする。
4:不透明度が55%以下。
3:不透明度が55%超65%以下。
2:不透明度が65%超75%以下。
1:不透明度が75%超。
<寸法安定性の評価>
得られた透明紙を、縦(MD方向)が1.5cm、横(CD方向)が10.0cmとなるように裁断して試験片を作製した。
当該試験片について、下記(1)〜(3)の順番で放置し、各環境下に放置した後の試験片の寸法をそれぞれ測定した。
(1)温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置。
(2)温度23℃、相対湿度80%の環境下に8時間放置。
(3)温度23℃、相対湿度25%の環境下に8時間放置。
次に、測定値を用いて下記式から寸法変化率Rを算出した。
R=((t2−t3)/t1)×100
t1:相対湿度50%の環境下に放置した後、
且つ、相対湿度80%の環境下に放置する前の透明紙の横の長さ。
t2:相対湿度80%で放置した間における透明紙の横方向の長さの変化量。
t3:相対湿度25%で放置した間における透明紙の横方向の長さの変化量。
寸法変化率Rの値から下記の基準で評価した。本発明において、2又は3の評価であれば、透明紙は、寸法安定性を有するものとする。
3:寸法変化率Rが1.5%以下。
2:寸法変化率Rが1.5%超1.8%以下。
1:寸法変化率Rが1.8%超。
得られた透明紙を、縦(MD方向)が1.5cm、横(CD方向)が10.0cmとなるように裁断して試験片を作製した。
当該試験片について、下記(1)〜(3)の順番で放置し、各環境下に放置した後の試験片の寸法をそれぞれ測定した。
(1)温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置。
(2)温度23℃、相対湿度80%の環境下に8時間放置。
(3)温度23℃、相対湿度25%の環境下に8時間放置。
次に、測定値を用いて下記式から寸法変化率Rを算出した。
R=((t2−t3)/t1)×100
t1:相対湿度50%の環境下に放置した後、
且つ、相対湿度80%の環境下に放置する前の透明紙の横の長さ。
t2:相対湿度80%で放置した間における透明紙の横方向の長さの変化量。
t3:相対湿度25%で放置した間における透明紙の横方向の長さの変化量。
寸法変化率Rの値から下記の基準で評価した。本発明において、2又は3の評価であれば、透明紙は、寸法安定性を有するものとする。
3:寸法変化率Rが1.5%以下。
2:寸法変化率Rが1.5%超1.8%以下。
1:寸法変化率Rが1.8%超。
<強度性の評価>
透明紙の強度性は、紙の引張強度を測定することによって評価した。紙の引張強度は、JIS P8113:2006に準拠して透明紙のMD方向について測定した。
測定値から下記の基準で評価した。本発明において、2又は3の評価であれば、透明紙は、強度性を有するものとする。
3:引張強度が5.0kN/m以上。
2:引張強度が4.0kN/m以上5.0kN/m未満。
1:引張強度が4.0kN/m未満。
透明紙の強度性は、紙の引張強度を測定することによって評価した。紙の引張強度は、JIS P8113:2006に準拠して透明紙のMD方向について測定した。
測定値から下記の基準で評価した。本発明において、2又は3の評価であれば、透明紙は、強度性を有するものとする。
3:引張強度が5.0kN/m以上。
2:引張強度が4.0kN/m以上5.0kN/m未満。
1:引張強度が4.0kN/m未満。
<印刷適性>
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPX−B700を用い、水性顔料インクにて評価画像を印刷した。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他の3色インクによる2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタ画像部パターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置する画像とした。印刷適性は、目視により、各色ベタ部画像の印刷部分におけるインク吸収品質、モットリング(画像の濃淡むら)の発生程度及び2重色の境界滲み具合を下記の基準で官能評価した。本発明において、3〜5の評価であれば、透明紙は、印刷適性を有するものとする。
5:良好。
4:上記5より劣るものの概ね良好。
3:上記4より劣るものの実用上問題なし。
2:上記3より劣り、実用に難がある。
1:実用上問題になる。
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPX−B700を用い、水性顔料インクにて評価画像を印刷した。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他の3色インクによる2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタ画像部パターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置する画像とした。印刷適性は、目視により、各色ベタ部画像の印刷部分におけるインク吸収品質、モットリング(画像の濃淡むら)の発生程度及び2重色の境界滲み具合を下記の基準で官能評価した。本発明において、3〜5の評価であれば、透明紙は、印刷適性を有するものとする。
5:良好。
4:上記5より劣るものの概ね良好。
3:上記4より劣るものの実用上問題なし。
2:上記3より劣り、実用に難がある。
1:実用上問題になる。
表2から、本発明に該当する実施例1〜30の透明紙は、透明性、寸法安定性、強度性および印刷適性の全てを有することが分かる。本発明に該当しない比較例1〜7の紙は、これら効果の少なくとも一つを満足しないことが分かる。
また主に、実施例2及び13と実施例14〜19との対比から、ワックスは、透明性、寸法安定性又は印刷適性の観点からポリアルキレングリコールが好ましいと分かる。また主に、実施例10と実施例21〜30との対比から、透明紙は、印刷適性の観点においてカチオン性化合物が有することが好ましいと分かる。
また主に、実施例2及び13と実施例14〜19との対比から、ワックスは、透明性、寸法安定性又は印刷適性の観点からポリアルキレングリコールが好ましいと分かる。また主に、実施例10と実施例21〜30との対比から、透明紙は、印刷適性の観点においてカチオン性化合物が有することが好ましいと分かる。
Claims (4)
- パルプと、常圧下における融点が35℃以上のワックスとを少なくとも含有し、前記パルプがカナダ標準ろ水度300ml以上600ml以下、及び前記パルプの少なくとも一種がLBKPでありかつLBKPの含有量が全パルプ量の70質量%以上である透明紙。
- 前記ワックスが、ポリアルキレングリコールである請求項1に記載の透明紙。
- 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項2に記載の透明紙。
- 前記パルプ及び前記ワックスに加えて、カチオン性化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の透明紙。
Priority Applications (1)
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JP2018154660A JP2020029626A (ja) | 2018-08-21 | 2018-08-21 | 透明紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018154660A JP2020029626A (ja) | 2018-08-21 | 2018-08-21 | 透明紙 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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2018
- 2018-08-21 JP JP2018154660A patent/JP2020029626A/ja active Pending
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