JP2020029103A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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芦田 喜章
Yoshiaki Ashida
喜章 芦田
小野 雅彦
Masahiko Ono
雅彦 小野
谷江 尚史
Hisafumi Tanie
尚史 谷江
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Abstract

【課題】振動発生を抑制すると共に、疲労寿命低下を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供する。【解決手段】電動モータによって回転するスピンドル75と、スピンドル75の回転によって移動しピストン18に電動モータのトルクを伝達するシャフトローラ35と、シャフトローラ35よりも径方向外側に配置されるナットローラ34と、ナットローラ34とシャフトローラ35との間に設けられる遊星ローラ42とを備える。シャフトローラ35の径方向内周側にはスピンドル75のスピンドルねじ部76と噛み合うシャフトローラねじ部35aを設ける。シャフトローラ35の径方向外周側には遊星ローラ42の円環山部42aと噛み合う円環溝部35bを設ける。シャフトローラねじ部35aと、円環溝部35bは、スピンドル75の回転軸50と直交する径方向において重ならない位置に配置した。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両に用いられるディスクブレーキ装置に関する。
自動車等の車両に用いられる設けられるディスクブレーキ装置としては、例えば特許文献1がある。特許文献1のディスクブレーキ 装置は、電動モータの回転が伝達されるスピンドルロッド(入力部材)と、スピンドルロッドの外周に配置された筒状のアジャスタナット(回転直動部材)と、アジャスタナットの外周側に配置されたリングシャフト(支持部材)と、アジャスタナットとリングシャフトの間に配置されたプラネタリロッド(転動体)とを備えている。これらの部材は筒状のピストン内部に配置される。アジャスタナットの内壁面には、スピンドルロッドと螺合する滑りねじ部としての雌ねじ部が形成され、アジャスタナットの外周面にはプラネタリロッドと螺合するローラねじ部としての環状溝部が形成されている。
そして、電動モータの回転力がスピンドルロッド、アジャスタナット、プラネタリロッド、リングシャフト、ピストンとへ伝達され、ピストンがブレーキパッドをディスクロータに押圧することにより、制動力を得ている。
WO2018/003393
滑りねじ部とローラねじ部を組み合わせた特許文献1の構造では、推力は滑りねじ部とローラねじ部とに分かれて伝達される。
ブレーキを印加(アプライ)・除荷(リリース)する際、滑りねじ部において荷重を受ける箇所(滑りねじ部における荷重の伝達経路)は、変動する可能性がある。変動する要因としては、推力印加時のキャリパ曲げに伴うアジャスタナットの曲げ変形、滑りねじ部における摩耗粉などの異物噛み込み、滑りねじ部の局所摩耗によるねじピッチ変化などがある。
滑りねじ部での荷重の伝達経路が変動する場合、以下に示す課題が発生しうる。伝達経路が反ブレーキパット側にある場合、プラネタリロッドが設置されるアジャスタナットの円環溝部にも力が伝わるため、円環溝部には大きな圧縮応力が作用する。一方、伝達経路がブレーキパット側にある場合、プラネタリロッドが設置される円環溝部に伝わる力は小さいため、円環溝部には大きな圧縮応力は作用しない。したがって、伝達経路が反ブレーキパット側にある場合、伝達経路がブレーキパット側にある場合と比較して、アジャスタナットの円環溝部間の距離が短くなる。このため、アプライ・リリース作動時において、滑りねじ部の荷重を受ける箇所が各種要因によって変動した場合、円環溝部間の距離が変動し、プラネタリロッドとアジャスタナットの接触部が接触と離間を繰り返して挙動が不安定となり、プラネタリロッドが振動する可能性がある。また、同様に、アプライ-リリース作動時において、滑りねじ部の荷重を受ける箇所が各種要因によって変動した場合、円環溝間の距離が変動し、プラネタリロッドに発生する応力が変動する。発生応力が変動して繰返し負荷が印加されると、プラネタリロッドの疲労寿命が低下する可能性ある。
本発明の目的は、振動発生を抑制すると共に、疲労寿命低下を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、ブレーキパッドをディスクロータ側に移動させるピストンと、前記ピストンが配置されるボア部を有するキャリパ本体と、前記キャリパ本体に設けられた電動モータと、前記ボア部内に設けられ、前記ピストンを推進する回転直動変換機構と、を有するディスクブレーキ装置において、前記回転直動変換機構は、前記電動モータからのトルクが伝達されて回転する入力部材(スピンドル)と、前記入力部材の回転によって前記キャリパ本体内を回転軸方向に移動して前記ピストンに前記電動モータのトルクを伝達する筒状の回転直動部材(シャフトローラ)と、前記キャリパ本体に支持され、前記回転直動部材よりも径方向外側に配置される筒状の支持部材(ナットローラ)と、前記支持部材と前記回転直動部材との間に設けられ、前記支持部材と前記回転直動部材とに係合した状態で配置される転動体(遊星ローラ)と、を有し、前記回転直動部材には、前記回転直動部材の径方向内周側に設けられ、前記入力部材の周面に設けられたねじ部と噛み合う第1の係合部(シャフトローラねじ部)と、前記回転直動部材の径方向外周側に設けられ、前記転動体と噛み合う第2の係合部(円環溝部)とが設けられ、前記第1の係合部と、前記第2の係合部は、前記入力部材の回転軸と直交する径方向において重ならない位置に配置されたことにある。
本発明によれば、振動発生を抑制すると共に、疲労寿命低下を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供することができる。
本発明の第1実施例に係るディスクブレーキ装置のキャリパ構造全体を示す断面図である。 本発明の第1実施例に係るディスクブレーキ装置の回直機構部の拡大断面図である。 本発明の第1実施例に係る回転直動変換機構の斜視図である。 本発明の第1実施例に係るねじピッチが変動したことを模擬した応力解析結果を示す図である。 本発明の第1実施例に係るねじピッチが変動したことを模擬した応力解析結果を示す図である。 本発明の第1実施例に対する比較例の応力解析結果を示す図である。 本発明の第1実施例に対する比較例の応力解析結果を示す図である。 本発明の第2実施例に係るディスクブレーキ装置の断面図である。
以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本実施例に係るディスクブレーキ装置の構成について、図1〜3を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例に係るディスクブレーキ装置のキャリパ構造全体を示す断面図、図2は本発明の第1実施例に係るディスクブレーキ装置の回直機構部の拡大断面図、図3は本発明の第1実施例に係る回転直動変換機構の斜視図である。
図1に示すように、ディスクブレーキ装置1には、車両の回転部に取り付けられたディスクロータDを挟んで軸方向両側に配置された一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、ディスクブレーキ装置1の外郭を構成するキャリパ本体8と、キャリパ本体8に配置された電動モータ(図示なし)の回転を直動運動に変換する回転直動変換機構11と、が設けられている。一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ本体8とは、車両の非回転部に固定されたブラケットに支持され、ディスクロータDに対し軸方向へ移動可能となっている。
以下、本実施例においては、図中の右側(反ブレーキパッド側)を一端側、左側(ブレーキパッド側)を他端側、下方を開放側、上方を根元側と称する。インナブレーキパッド2の一端側には、突起部26が設けられている。突起部26は、ピストン18の他端側面に設けられる凹部24と係合し、ピストン18が回転軸50回りに回転するのを防止している。
キャリパ本体8は、インナブレーキパッド2側(一端側)に配置されるシリンダ部6と、アウタブレーキパッド3側(他端側)に配置されるキャリパ爪部4と、シリンダ部6とキャリパ爪部4との間に位置するディスクパス部(跨ぎ部)5とを有している。上述した「開放側」及び「根元側」は、シリンダ部6、キャリパ爪部4及びディスクパス部5を含むキャリパ本体8の形状に基づいており、「開放側」を先端側、「根元側」を基端側と呼ぶ場合もある。
シリンダ部6には、インナブレーキパッド2側に開口するボア部9が形成され、一端側に位置するボア部9の底壁6bには孔部10が設けられている。ボア部9の内周面には、ピストン18が配置される。ディスクパス部5は、シリンダ部6の根元側に位置し、回転軸50の方向に他端側(キャリパ爪部4側)へ延設され、ディスクロータDを跨いでシリンダ部6とキャリパ爪部4とを接続している。すなわちキャリパ爪部4は、ディスクパス部5によってシリンダ部6に片持ち梁状に支持されている。キャリパ爪部4は、ディスクパス部5のシリンダ部6側とは反対側に位置し、回転軸50に対して垂直な方向に延出し、アウタブレーキパッド3に対向するようになっている。つまり、キャリパ爪部4は、ディスクロータDに対してピストン18とは反対側に設けられ、キャリパ爪部4の内面(シリンダ部対向面)7とシリンダ部6の内面(キャリパ爪部対向面)6aとはアウタブレーキパッド3、ディスクロータD及びインナブレーキパッド2を介して対向している。キャリパ爪部4の内面7は、平面状をなしており、回転軸50に直交している。またキャリパ爪部4の内面7は、アウタブレーキパッド3、ディスクロータD及びインナブレーキパッド2を介してピストン18の平面部22aと対向している。
ディスクブレーキ装置1では、通常の液圧ブレーキを作用させる場合は、ボア部9内の液圧室21に供給されるブレーキ液によってピストン18をディスクロータD側に移動(前進)させ、このピストン18でインナブレーキパッド2を押圧し、アウタブレーキパッド3と共にディスクロータDを挟むことによって、ブレーキ力である推力を発生させる。
ピストン18は、シリンダ部6のボア部9内に回転軸50方向に摺動可能に挿入されており、図1に示すようにピストン底部22がインナブレーキパッド2の一端側の面に対向するように配置されている。ピストン底部22の他端側の平面部(端面部)22aは、回転軸50に直交し、ディスクロータDと平行に広がる平面となっている。
また、図1及び図2に示すように、ピストン底部22であって、インナブレーキパッド2に対向する他端側面の外周側には、凹部24が設けられている。この凹部24は、インナブレーキパッド2の突起部26に係合し、ピストン18が回転軸50回りに回転するのを防止すると共に、位置決めを行っている。
次に、回転直動変換機構11について説明する。本実施例で示す回転直動変換機構11は、遊星ローラ42を用いることを特徴とする機構である。回転直動変換機構11は、図示していない電動モータの回転を直線方向の運動(以下、直動という)に変換し、ピストン18に推力を付与して、ピストン18を制動位置で保持する。回転直動変換機構11は、シリンダ部6の底壁6bとピストン内面の平面部25との間に収納される。すなわち回転直動変換機構11は、ピストン18と共にキャリパ本体8のシリンダ部6に支持されている。以下、構成部品について、説明する。
プレートベース31は、シリンダ部6の底壁6bにおいて、図示しないピンによって固定され、ナットローラ34(支持部材)に対して回り止めさている。プレートベース31は、円板状に形成され、その径方向中心には、スピンドル75(入力部材)が設置される孔部10が施されている。
スピンドル75は、モータの回転が伝達される入力部材として構成され、シリンダ部6およびプレートベース31に対して回転可能に支持され、図示しないギアユニットを介して電動モータからの回転運動が伝達される。スピンドル75の他端側の外周面にはスピンドルねじ部76が形成され、シャフトローラ35(回転直動部材)の内周面に形成されたシャフトローラねじ部35aと螺合している。本実施例ではスピンドル75のスピンドルねじ部76とシャフトローラ35のシャフトローラねじ部35aの係合部(螺合部)によって、滑りねじ部90を形成している。スピンドル75がアプライ方向へ回転することによって、スピンドル75に螺合されたシャフトローラ35は、他端側方向へ前進する。
シャフトローラ35をディスクロータDから最も離れる位置に移動させた場合、シャフトローラねじ部35aは、回転軸50の方向の全領域においてスピンドル75の周面に設けられたスピンドルねじ部76と噛み合うようになっている。
スピンドル75の一端側は、図3に示すように多角形状部77が形成されている。この部分は図示しないギアユニットと接続することによって、電動モータの回転トルクを伝えることができる。
遊星ローラ42(転動体)は、その外周面が円環山形状となっており、円環山部42aにおいて、シャフトローラ35の外周面の円環溝部35bに係合(螺合)し、回転可能に軸方向に保持されている。また遊星ローラ42は、円環山部42aにおいて、ナットローラ34の内周面のナットローラねじ部34aに係合(螺合)し、回転可能に軸方向に保持されている。遊星ローラ42は、シャフトローラ35の外周面の周方向に複数個配置されている。また、遊星ローラ42は、回転軸50方向において、相対移動不能となっている。本実施例では遊星ローラ42の円環山部42aと、シャフトローラ35の円環溝部35bと、ナットローラ34のナットローラねじ部34aと係合部(螺合部)によって、ローラねじ部91を形成している。
ナットローラ34は、プレートベース31と径方向に嵌合し、回り止めされている。ナットローラ34の内面には、ねじ加工が施されており、このねじ部において、遊星ローラ42を保持している。ケージローラ36は、シャフトローラ35の外周面に配置され、複数個の長穴部36aを有する。この長穴部36aに遊星ローラ42が設置される。長穴部36aの他端側端面と遊星ローラ42の端面とが接し、後述のスプリング荷重を遊星ローラ42に伝達する。長穴部36aは、遊星ローラ42の外周部と周方向に接する。
ケージローラ36の他端側端面は、図示していないプレートスプリングと摺動する。プレートスプリングは、左端面がスプリング38と接し、右端面がケージローラ36と接する。プレートスプリングは、スプリング38の予圧をケージローラ36に伝える機能を有する。スプリング38は、シャフトローラ35の外周面(外周側)に位置し、ケージローラ36に対して軸方向に予圧を与える。
シャフトローラ35は、内面部にねじ加工が施されており、外周部には円環溝加工が施されている。シャフトローラ35の内面部のシャフトローラねじ部35a(第1の係合部)は、スピンドル75のスピンドルねじ部76と係合(螺合)しており、シャフトローラ35外周部の円環溝部35b(第2の係合部)は、遊星ローラ42の円環山部42aと係合(螺合)している。シャフトローラ35の他端側にはボールスラスト用溝部が形成されており、プレートスラスト41との間で、リテーナスラスト40とボールスラスト39とを保持する。遊星ローラ42は円環溝部35bで軸方向に保持され回動可能とし、アプライ時はシャフトローラねじ部35aからの軸力を遊星ローラ42に伝え、リリース時は遊星ローラ42からの反力を円環溝部35bに伝える。
ここで、図5を用いてスピンドル75、シャフトローラ35、遊星ローラ42、ナットローラ34への応力の伝わり方を説明する。図5A及び図5Bは本発明の第1実施例に対する比較例の応力解析結果を示す図である。
ブレーキを印加すると、ピストンが受ける荷重(反力)は、滑りねじ部とローラねじ部とに分かれて伝達される。ブレーキを印加(アプライ)・除荷(リリース)する際、滑りねじ部において荷重を受ける箇所(滑りねじ部における荷重の伝達経路)は、変動する可能性がある。変動する要因としては、推力印加時のキャリパ曲げに伴うシャフトローラ35の曲げ変形、滑りねじ部90における摩耗粉などの異物噛み込み、滑りねじ部90の局所摩耗によりねじピッチが変化する。
図5A及び図5Bに示す応力解析では、スピンドル75、シャフトローラ35、遊星ローラ42、ナットローラ34のみをモデル化し、シャフトローラ35の他端側の端面に、矢印方向で示す推力を印加する解析条件とした。図5A及び図5Bでは、滑りねじ部90とローラねじ部91の位置が、回転軸方向と直交する径方向において重なるようになっている。
図5Aは、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも小さい場合の結果であり、図5Bは、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも大きい場合の結果である。
スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも小さい場合、シャフトローラ35の他端側の端面に、ブレーキパッド側から矢印方向で示す推力を受けると、シャフトローラ35が矢印方向(一端側)に向かって動く。この状態においては、推力から最も離れた位置、すなわち、図5Aの丸印で示す滑りねじ部90の一端側の端部付近において最大応力が発生しており、スピンドル75に伝達される荷重の伝達経路94が滑りねじ部90の一端側となっていることがわかる。
一方、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも大きい場合、シャフトローラ35の他端側の端面に、ブレーキパッド側から矢印方向で示す推力を受けると、シャフトローラ35が矢印方向にほとんど動かない。この状態においては、推力から近い位置、すなわち、図5Bの丸印で示す滑りねじ部90の他端側において最大応力が発生しており、スピンドル75に伝達される荷重の伝達経路94が他端側となっていることがわかる。このように、滑りねじ部のねじピッチの変動によって、荷重の伝達経路94が変化することがわかる。
滑りねじ部90での荷重の伝達経路94が変動する場合、以下に示す課題が発生しうる。伝達経路94が一端側にある場合、遊星ローラ42が設置されるシャフトローラ35の円環溝部35bにも力が伝わるため、円環溝部35bには大きな圧縮応力が作用する。一方、他端側にある場合、遊星ローラ42が設置される円環溝部35bに伝わる力は小さいため、円環溝部35bには大きな圧縮応力は作用しない。伝達経路94が一端側にある場合、伝達経路94が他端側にある場合と比較して、円環溝部35b同士の距離が短く(狭く)なる。このため、アプライ・リリース作動時において、滑りねじ部90の荷重を受ける箇所が各種要因によって変動した場合、円環溝部35b同士の距離が変動し、遊星ローラ42とシャフトローラ35の接触部が接触と離間を繰り返して挙動が不安定となり、遊星ローラ42が振動する可能性がある。また、同様に、アプライ・リリース作動時において、滑りねじ部90の荷重を受ける箇所が各種要因によって変動した場合、円環溝部35b同士の距離が変動し、プラネタリロッドに発生する応力が変動する。発生応力が変動して繰返し負荷が印加されると、遊星ローラ42の疲労寿命が低下する可能性ある。
これらの課題を解決するための手段について説明する。図2において、回転軸50と直交する径方向の仮想線93は、シャフトローラ35の内面部に加工されたシャフトローラねじ部35aの端部(端面)位置を示している。この仮想線93に対して、円環溝部35bは、仮想線93の一端側(図中の右側)のみに形成されている。すなわち、シャフトローラ35の内面部に加工されたシャフトローラねじ部35aと、外周部に加工された円環溝部35bとは、回転軸50に直交する径方向に対して重ならない位置関係となっている。換言すると、シャフトローラねじ部35aの一端側の端面(端部)と、シャフトローラねじ部35aの端面(端部)と向き合う側に位置する円環溝部35bの他端側の端面(端部)とは、回転軸50に直交する径方向の仮想線93上もしくはこの仮想線93上から離れる位置に配置されている。
上述した遊星ローラ42の円環山部42aは、遊星ローラ42の外周面に環状の山部(凸部)として形成され、上述したシャフトローラ35の円環溝部35bは、シャフトローラ35の外周面に環状の溝部(凹部)として形成される。遊星ローラ42の円環山部42aとシャフトローラ35の円環溝部35bとは相互に係合可能な幅と間隔とを有する。
一端側ボールスラスト32は、スピンドル75のボール溝部75aとプレートベース31との間に位置し、スピンドル75からの軸力を、回転しながら、プレートベース31に伝える。他端側ボールスラスト39は、プレートスラスト41とシャフトローラ35との間に位置し、シャフトローラ35を回転させる。また、プレートスラスト41からの推力を、シャフトローラ35側に伝える機能を有する。
一端側リテーナスラスト33は、ボール溝部75aとプレートベース31との間に設置され、一端側ボールスラスト32を保持している。他端側のリテーナスラスト40は、ボール溝部とプレートスラスト41間に位置し、他端側ボールスラスト39を保持している。
次に電動ブレーキを作動する際の動作機構について、図1を用いて説明する。電動モータを用いてブレーキを印加(アプライ)する場合、ECUは電動モータを駆動させて各種ギアを回転させる。このギアの回転によって、電動モータの回転がスピンドル75に伝達される。次に、スピンドル75のアプライ方向への回転により、シャフトローラ35が回転軸50の方向に沿ってピストン18の内面側(底部22側)に向かって前進する。その結果、他端側ボールスラスト39、他端側のリテーナスラスト40およびプレートスラスト41が一体となって回転軸50の方向に沿ってピストン18の内面部に向かって前進し、プレートスラスト41の押圧部41aがピストン18の内面部に当接する。この当接により、ピストン18が前進してピストン18の他端側の平面部(端面部)22aがインナブレーキパッド2に当接する。さらにモータのアプライ方向への回転駆動が継続されると、ピストン18は、シャフトローラ35の移動によりインナブレーキパッド2を押圧し、アウタブレーキパッド3と共にディスクロータDを挟むことによって、ブレーキ力である推力を発生させる。
次に、図4A及び図4Bを用いて、力の伝達経路について説明する。
図4A及び図4Bは、本発明の第1実施例に係るねじピッチが変動したことを模擬した応力解析結果を示す図である。
上述したように、滑りねじ部90の力の伝達経路は、各種要因によって、他端側と一端側の間で変動する。本発明の第1実施例の構造の場合においても、滑りねじ部90の力の伝達経路は、滑りねじ部90の他端側と一端側の間で変動する。図4Aは、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも小さい場合の結果であり、図4Bは、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも大きい場合の結果である。
図4Aではスピンドル75に伝達される応力の伝達経路94は仮想線93に近い他端側となっており、図4Bではスピンドル75に伝達される応力の伝達経路は一端側となっている。本実施例では、滑りねじ部90とローラねじ部91とが、径方向において重なっている領域が存在していない。
図4Aに示すように、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも小さい場合、シャフトローラ35の他端側の端面に、ブレーキパッド側から推力を受けると、シャフトローラ35が一端側に向かって動く。この場合、最大応力は一端側に発生するが、仮想線93より一端側には滑りねじ部90が形成されていないので、最大応力は仮想線93より一端側には発生しない。
また、スピンドル75のスピンドルねじ部76におけるねじピッチがシャフトローラ35内周側のシャフトローラねじ部35aにおけるねじピッチよりも大きい場合、シャフトローラ35の他端側の端面に、ブレーキパッド側から推力を受けると、シャフトローラ35はほとんど動かない。この場合、最大応力は他端側に発生し、最大応力は仮想線93より一端側には発生しない。
このように本実施例では図4A及び図4Bに示すどちらの場合であっても、滑りねじ部90を伝わる力の伝達経路94は、ローラねじ部91が形成されている円環溝部35bの他端側よりも、更に他端側に位置している。したがって、円環溝部35bの発生応力および円環溝部35b間の距離は、滑りねじ部90の力の伝達経路94の影響によらず、ほぼ一定値となる。
本実施例によれば、遊星ローラ42とシャフトローラ35との接触部が接触・離間を繰り返すことがなく、遊星ローラ42の挙動が安定するため、遊星ローラ42の振動を抑制することが可能となる。
また、本実施例によれば、遊星ローラ42の接触部に発生する応力の変動成分がなくなるため、繰返し負荷回数が減少し、疲労寿命を向上させることが可能となる。
本発明の第2実施例について、図6を用いて説明する。図6は本発明の第2実施例に係るディスクブレーキ装置の断面図である。第1実施例を同じ構成については同一の符号を付している。本実施例の構成は、基本的に台実施例と同じであり、異なる構成について説明し、その他の構成については説明を省略する。
第1実施例では、シャフトローラ35のシャフトローラねじ部35aとスピンドル75のスピンドルねじ部76とで形成される滑りねじ部90は、シャフトローラ35の円環溝部35bと遊星ローラ42の円環山部42aとナットローラ34のナットローラねじ部34aとで形成されるローラねじ部91よりも他端側に形成されていた。一方、第2実施例では、滑りねじ部90は、ローラねじ部91よりも一端側に形成されていることを特徴とする。
第2実施例では、滑りねじ部90とローラねじ部91とが、回転軸50に直交する径方向において重なっている領域は存在しておらず、滑りねじ部90を伝わる力の伝達経路は、ローラねじ部91の一端側よりも、更に一端側に位置する。換言すると、滑りねじ部90の端部と、滑りねじ部90の端部と向き合う側に位置するローラねじ部91の端部とは、回転軸50に直交する径方向の仮想線93上もしくはこの仮想線93上から離れる位置に配置されている。
したがって、円環溝部35bの発生応力および円環溝部35b間の距離は、滑りねじ部90の力の伝達経路によらず、ほぼ一定値となる。
本実施例によれば、遊星ローラ42とシャフトローラ35との接触部が接触・離間を繰り返すことはなく、遊星ローラ42の挙動が安定するため、遊星ローラ42の振動を抑制することが可能となる。
また、本実施例によれば、遊星ローラ42の接触部に発生する応力の変動成分がなくなるため、繰返し負荷回数が減少し、疲労寿命を向上させることが可能となる。
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、振動発生を抑制すると共に、疲労寿命低下を抑制することのできるディスクブレーキ装置を提供することができる。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…ディスクブレーキ装置、2…インナブレーキパッド、3…アウタブレーキパッド、6…シリンダ部、8…キャリパ本体、9…ボア部、11…回転直動変換機構、18…ピストン、34…ナットローラ、34a…ナットローラねじ部、35…シャフトローラ、35a…シャフトローラねじ部、35b…円環溝部、42…遊星ローラ、42a…円環山部、50…回転軸、75…スピンドル、76…スピンドルねじ部、90…滑りねじ部、91…ローラねじ部、93…仮想線、94…伝達経路

Claims (10)

  1. ブレーキパッドをディスクロータ側に移動させるピストンと、
    前記ピストンが配置されるボア部を有するキャリパ本体と、
    前記キャリパ本体に設けられた電動モータと、
    前記ボア部内に設けられ、前記ピストンを推進する回転直動変換機構と、を有するディスクブレーキ装置において、
    前記回転直動変換機構は、
    前記電動モータからのトルクが伝達されて回転する入力部材と、
    前記入力部材の回転によって前記キャリパ本体内を回転軸方向に移動して前記ピストンに前記電動モータのトルクを伝達する筒状の回転直動部材と、
    前記キャリパ本体に支持され、前記回転直動部材よりも径方向外側に配置される筒状の支持部材と、
    前記支持部材と前記回転直動部材との間に設けられ、前記支持部材と前記回転直動部材とに係合した状態で配置される転動体と、を有し、
    前記回転直動部材には、
    前記回転直動部材の径方向内周側に設けられ、前記入力部材の周面に設けられたねじ部と噛み合う第1の係合部と、
    前記回転直動部材の径方向外周側に設けられ、前記転動体と噛み合う第2の係合部とが設けられ、
    前記第1の係合部と、前記第2の係合部は、前記入力部材の回転軸と直交する径方向において重ならない位置に配置されたことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  2. 請求項1において、
    前記入力部材の回転軸と直交する線を仮想線とし、
    前記第1の係合部の端部と、前記第1の係合部の端部と向き合う側に位置する前記第2の係合部の端部とは、前記仮想線上もしくは前記仮想線から離れる位置に配置したことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  3. 請求項2において、
    前記第1の係合部は前記仮想線に対して前記ディスクロータ側に配置し、
    前記第2の係合部は前記仮想線に対して前記ディスクロータとは反対側に位置したこと特徴とするディスクブレーキ装置。
  4. 請求項2において、
    前記第1の係合部は前記仮想線に対して前記ディスクロータとは反対側に配置し、
    前記第2の係合部は前記仮想線に対して前記ディスクロータ側に位置したこと特徴とするディスクブレーキ装置。
  5. 請求項1において、
    前記転動体は、前記回転軸の方向に沿って相対移動不能に前記回転直動部材の外周面と係合し、前記転動体の外周面は、前記支持部材の内周面と係合していることを特徴とするディスクブレーキ装置。
  6. 請求項1において、
    前記回転直動部材を前記ディスクロータから最も離れる位置に移動させた場合、前記第1の係合部は、前記回転軸の方向の全領域において前記入力部材の周面に設けられたねじ部と噛み合うことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  7. ブレーキパッドをディスクロータ側に移動させるピストンと、
    前記ピストンが配置されるボア部を有するキャリパ本体と、
    前記キャリパ本体に設けられた電動モータと、
    前記ボア部内に設けられ、前記ピストンを推進する回転直動変換機構と、を有するディスクブレーキ装置において、
    前記回転直動変換機構は、
    前記電動モータからのトルクが伝達されて回転するスピンドルと、
    前記スピンドルの回転によって前記キャリパ本体内を回転軸方向に移動して前記ピストンに前記電動モータのトルクを伝達する筒状のシャフトローラと、
    前記キャリパ本体に支持され、前記シャフトローラよりも径方向外側に配置される筒状のナットローラと、
    前記ナットローラと前記シャフトローラとの間に設けられ、前記ナットローラと前記シャフトローラとに係合した状態で配置される遊星ローラと、を有し、
    前記シャフトローラには、
    前記シャフトローラの径方向内周側に設けられ、前記スピンドルの外周面に設けられたスピンドルねじ部と噛み合うシャフトローラねじ部と、
    前記シャフトローラの径方向外周側に設けられ、前記遊星ローラの円環山部と噛み合う円環溝部とが設けられ、
    前記ナットローラには、前記円環山部と係合するナットローラねじ部が設けられ、
    前記スピンドルねじ部と前記シャフトローラねじ部とにより滑りねじ部が形成され、
    前記円環山部と前記円環溝部と前記ナットローラねじ部とによりローラねじ部が形成され、
    前記滑りねじ部と、前記ローラねじ部は、前記スピンドルの回転軸と直交する径方向において重ならない位置に配置されたことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  8. 請求項7において、
    前記スピンドルの回転軸と直交する線を仮想線とし、
    前記滑りねじ部の端部と、前記滑りねじ部の端部と向き合う側に位置する前記ローラねじ部の端部とは、前記仮想線上もしくは前記仮想線から離れる位置に配置したことを特徴とするディスクブレーキ装置。
  9. 請求項8において、
    前記滑りねじ部は前記仮想線に対して前記ディスクロータ側に配置し、
    前記ローラねじ部は前記仮想線に対して前記ディスクロータとは反対側に位置したこと特徴とするディスクブレーキ装置。
  10. 請求項8において、
    前記滑りねじ部は前記仮想線に対して前記ディスクロータとは反対側に配置し、
    前記ローラねじ部は前記仮想線に対して前記ディスクロータ側に位置したこと特徴とするディスクブレーキ装置。
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