JP2016133128A - 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 - Google Patents

電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ローラ軸を径方向内方に向けて付勢して遊星ローラを回転軸の外周に圧接させる弾性リングの脱落防止を図る。【解決手段】遊星ローラ49を回転軸34との接触により自転及び公転させ、外輪部材21の内周の螺旋突条53と遊星ローラ49の外周に形成された円周溝54の噛合により外輪部材21を軸方向に移動させる。ローラ軸47の軸端部をキャリア40のディスク41a、41bで径方向に移動自在に支持し、ローラ軸47の軸端部を巻き込むように掛け渡された弾性リング50で径方向内方に向けて付勢する。回転軸34の軸端部にサポート部材59とでキャリア40の軸方向への移動を規制する規制プレート51を取り付け、規制プレート51とローラ軸47の対向部間に形成される間隙52とサポート部材59とローラ軸47の対向部間に形成される間隙61とを合わせた大きさを弾性リング50の軸方向幅より小さくして弾性リング50の脱落を防止する。【選択図】図2

Description

この発明は、ブレーキパッド等の被駆動部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータおよびその電動式直動アクチュエータを用いた電動式ブレーキ装置に関する。
電動モータのロータ軸の回転運動を運動変換機構によって軸方向に移動自在に支持された被駆動部材の直線運動に変換する電動式直動アクチュエータとして下記の特許文献1に記載されたものが従来から知られている。
その特許文献1に記載された電動式直動アクチュエータにおいては、電動モータによって回転駆動される回転軸と外輪部材との間に複数の遊星ローラを組込み、その遊星ローラを回転軸を中心にして回転自在に支持されたキャリアで回転自在に支持し、上記回転軸の回転により、その回転軸との摩擦接触によって遊星ローラを自転させつつ公転させ、その遊星ローラの外径面に形成された螺旋溝または円周溝と外輪部材の内径面に設けられた螺旋突条との噛合によって外輪部材またはキャリアを相対的に軸方向に直線移動させるようにしている。
ここで、キャリアは、一対のディスクと、そのディスクの対向間隔を保持する複数の柱部材とで構成され、上記一対のディスクに形成された軸挿入孔を径方向に長い長孔とし、その軸挿入孔によってローラ軸の両端部を径方向に移動自在に支持し、そのローラ軸によって遊星ローラを回転自在に支持している。
また、複数のローラ軸における軸端部の外周囲に弾性リングを巻き掛けて、ローラ軸の径方向内方への付勢により複数の遊星ローラのそれぞれを回転軸の外周に圧接させるようにしている。
上記電動式直動アクチュエータにおいては、遊星ローラに設けられた螺旋溝または円周溝と外輪部材に設けられた螺旋突条との噛み合いによって外輪部材またはキャリアを相対的に軸方向に直線移動させる構成であるため、遊星歯車式等の減速機構を別途組み込むことなく大きな増力機能を確保することができ、直動ストロークが比較的小さい電動式ブレーキ装置への採用に好適であるという特徴を有している。
特開2012−149747号公報
ところで、上記特許文献1に記載された電動式直動アクチュエータにおいては、弾性リングにより複数のローラ軸のそれぞれを径方向内方に向けて付勢して遊星ローラを回転軸の外周に圧接させるようにしているため、回転軸の回転によって複数の遊星ローラのそれぞれを確実に接触回転させることができるが、以下のような問題が生じる可能性があり、改善すべき点が残されている。
すなわち、複数のローラ軸における軸端部の外周に周溝を設け、その周溝の外周に弾性リングを巻き掛けて、弾性リングの脱落を防止しているが、ローラ軸自体の外径が比較的小さいため、深さの深い周溝を形成することができず、弾性リングが脱落する可能性がある。
また、周溝の形成位置でのローラ軸の軸径が小径となるため、加工時の負荷や材料の欠陥によってローラ軸が周溝の位置で欠損する可能性がある。
この発明の課題は、ローラ軸を径方向内方に向けて付勢して遊星ローラを回転軸の外周に圧接させる弾性リングの脱落防止を図ることである。
上記の課題を解決するため、この発明に係る電動式直動アクチュエータにおいては、ハウジング内に円筒状の外輪部材を組込み、その外輪部材の軸心上に電動モータで駆動される回転軸を設け、その回転軸を前記ハウジングの内径面で外径面が支持された軸支持部材で回転自在に支持し、前記回転軸の外径面と前記外輪部材の内径面間に複数の遊星ローラを組み込み、それぞれの遊星ローラを回転自在に支持するローラ軸の両端部を前記回転軸を中心にして回転自在に支持されたキャリアの対向一対のディスクによって径方向に移動自在に支持し、それぞれのローラ軸の軸端部を巻き込むようにして掛け渡された弾性リングによりローラ軸を径方向内方に向けて付勢し、前記回転軸の回転により、その回転軸との摩擦接触により遊星ローラを自転および公転させ、外輪部材の内径面に設けられた螺旋突条と前記遊星ローラの外径面に形成された螺旋溝または円周溝の噛合により外輪部材とキャリアを相対的に軸方向に直線移動させるようにした電動式直動アクチュエータにおいて、前記回転軸の前記キャリアを貫通して外部に臨む軸端部に、キャリアと前記軸支持部材の対向部間に組み込まれたサポート部材とでキャリアの軸方向への移動を規制する規制プレートを取り付け、その規制プレートを外周部が前記弾性リングの外側面と対向する大きさとし、その規制プレートとローラ軸の対向面間に形成された間隙と前記サポート部材とローラ軸の対向面間に形成された間隙とを合わせた大きさを前記弾性リングの軸方向幅より小さくした構成を採用したのである。
上記のように、回転軸の軸端部に規制プレートを取り付けてサポート部材とでキャリアの軸方向への移動を規制し、その規制プレートの外周部をローラ軸の軸端部と対向する大きさとして、その対向面間に形成される間隙とサポート部材とローラ軸の対向部間に形成される間隙とを合わせた大きさを弾性リングの軸方向幅より小さくすることにより、ローラ軸が規制プレートとサポート部材との間をそのいずれかに接触するまで動くことがあっても弾性リングの脱落を確実に防止することができる。
また、ローラ軸には弾性リングの脱落を防止する周溝の形成を不要とし、軸方向の全長にわたって同一径の丸棒とすることができる。そして、ローラ軸を全長にわたって同一径の丸棒とすることで、製造コストの低減を図り、欠損することの少ない耐久性に優れたローラ軸を得ることができる。
また、ローラ軸を軸方向の全長にわたって同一径とすることにより、弾性リングの組み付け径は周溝に嵌め込む場合に比較して大きくなり、同一径で同一形状の周溝装着用の弾性リングと対比した場合、装着状態での縮径方向への弾性力が大きくなり、回転軸に対する遊星ローラの接触圧力が高く、回転軸との接触部での滑りを確実に防止することができる。一方、弾性力を同じにした場合には、弾性リングの形成用素材を弾性変形能の低いコストの安い素材に変更することができる。
弾性リングは、断面が矩形のものであってもよく、断面が丸形のものであってもよい。断面が矩形の弾性リングの場合、規制プレートの外径は弾性リングの内径より大径とする。一方、断面が丸形の弾性リングの場合、規制プレートの外径は弾性リングのリング平均径より大径とする。
ここで、規制プレートは、金属薄板のプレス成形品とすることができる。この場合、規制プレートの外周部にキャリア側に向くスカート部を設けることにより、強度が増し、経時変化による反りを抑制し、ローラ軸との間に形成される間隙が拡大するのを防止することができる。金属薄板として、鋼板や純アルミ、アルミ合金の延伸材を用いることができる。
この発明に係る電動式ブレーキ装置においては、電動式直動アクチュエータによりブレーキパッドを直線駆動し、そのブレーキパッドでディスクロータを押圧して、そのディスクロータに制動力を付与するようにした電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータとして上述の発明に係る電動式直動アクチュエータを用いた構成を採用したのである。
上記の構成からなる電動式直動アクチュエータにおいて、電動モータの駆動により回転軸を回転すると、その回転軸との摩擦接触によって遊星ローラが自転しつつ公転し、遊星ローラの外径面に形成された螺旋溝または円周溝と外輪部材の内径面に設けられた螺旋突条の噛合により外輪部材またはキャリアが相対的に軸方向に直線移動する。
このため、外輪部材またはキャリアに電動式ブレーキ装置のブレーキパッドを接続することにより、ブレーキパッドを直線駆動してディスクロータに押し付けることができ、ディスクロータに制動力を付与することができる。
この発明に係る電動式直動アクチュエータにおいては、回転軸の軸端部に規制プレートを取り付けてサポート部材とでキャリアの軸方向への移動を規制し、その規制プレートとローラ軸の対向部間の間隙とサポート部材とローラ軸の対向部間の間隙とを合わせた大きさを弾性リングの軸方向幅より小さくしたことにより、ローラ軸が規制プレートとサポート部材との間をそのいずれかに接触するまで動くことがあっても弾性リングの脱落を確実に防止することができる。
この発明に係る電動式直動アクチュエータの実施の形態を示す縦断面図 図1の一部を拡大して示す断面図 図1のIII−III線に沿った断面図 図1のIV−IV線に沿った断面図 弾性リングの他の例を示す断面図 規制プレートの他の例を示す断面図 この発明に係る電動式ブレーキ装置の実施の形態を示す縦断面図 図7の右側面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図6は、図7および図8に示す電動式ブレーキ装置に採用された電動式直動アクチュエータAを示す。
図7および図8に示す電動式ブレーキ装置においては、図示省略した車輪と一体に回転するディスクロータ10の外周囲にキャリパ11を設け、そのキャリパ11の一端部にディスクロータ10のアウタ側面の外周部と軸方向で対向する爪部12を設け、その爪部12でアウタ側ブレーキパッド13を押圧可能としている。
また、ディスクロータ10のインナ側面の外周部にインナ側ブレーキパッド14を対向配置し、そのインナ側ブレーキパッド14をキャリパ11の他側部に設けられた電動式直動アクチュエータAによりディスクロータ10に向けて移動させるようにしている。
ディスクロータ10のインナ側面の外周部にはマウント15が設けられている。マウント15は図示省略したナックルに支持されて固定の配置とされている。マウント15の両側部には対向一対のピン支持片16が設けられ、そのピン支持片16のそれぞれ端部にディスクロータ10に対して直交方向に延びるスライドピン17が設けられ、そのスライドピン17のそれぞれによってキャリパ11がスライド自在に支持されている。
また、マウント15は、図では詳細に示されていないが、アウタ側ブレーキパッド13およびインナ側ブレーキパッド14のそれぞれを回転不能(回り止め)とする状態でディスクロータ10に向けて移動可能に支持している。
図1に示すように、電動式直動アクチュエータAはハウジング20を有する。ハウジング20は、図7に示すキャリパ11に一体的に設けられて筒状をなし、その内側には筒状の外輪部材21がスライド自在に組み込まれている。
ハウジング20の一端には径方向外方に向けてベースプレート22が設けられ、そのベースプレート22の外側面およびハウジング20の一端開口がカバー23によって覆われており、上記ベースプレート22とカバー23とでギヤケースを形成している。
ベースプレート22には電動モータ24が支持され、その電動モータ24のロータ軸25の回転は、ベースプレート22とカバー23とで形成されるギヤケース内のギヤ減速機構30により減速されて出力される。
図1および図8に示すように、ギヤ減速機構30は、電動モータ24のロータ軸25に取付けられた入力ギヤ31と、その入力ギヤ31に噛合する中間ギヤ32と、その中間ギヤ32に噛合する出力ギヤ33とからなり、上記出力ギヤ33の外径は中間ギヤ32の外径より大きく、また、中間ギヤ32の外径は入力ギヤ31の外径より大径とされている。
図1に示すように、出力ギヤ33は回転軸34の一端部に支持されている。回転軸34はハウジング20の一端部内に組み込まれた軸支持部材35を貫通し、その貫通部に組み込まれた複数の軸受36により回転自在に支持されて外輪部材21と同軸上の配置とされている。
ここで、軸支持部材35は、その外径面がハウジング20の内径面で支持され、そのハウジング20の内径面に取り付けられた止め輪37によってハウジング20のギヤケース側に位置するインナ側の端部開口から抜け出るのが防止されている。
図1および図2に示すように、回転軸34上には、その回転軸34を中心にして外輪部材21内で回転可能なキャリア40が組み込まれている。図1および図2に示すように、キャリア40は、軸方向で対向する一対のディスク41a、41bを有し、その一方のアウタ側ディスク41bには間隔保持用の複数の柱部材42が設けられ、その柱部材42がインナ側ディスク41aの内側面に当接され、インナ側ディスク41aの外側面から柱部材42の端面にねじ込まれるねじ43の締め付けにより互いに連結され、キャリア40の組立てとされている。
ここで、図3に示すように、キャリア40の柱部材42は4本とされ、その4本の柱部材42が周方向に90°の間隔をおいて設けているが、柱部材42の数は4本に限定されるものではなく、少なくとも3本以上あればよい。
キャリア40は、図2に示すように、一対のディスク41a、41bのそれぞれの内径面に組み込まれたすべり軸受44により回転軸34を中心にして回転自在に支持され、上記回転軸34の軸端部に取付けられた止め輪45により回転軸34の軸端から抜け出るのが防止されている。
図2に示すように、キャリア40における一対のディスク41a、41bには、軸方向で対向する一対の軸挿入孔46が周方向に間隔をおいて複数形成されている。複数の対向一対の軸挿入孔46のそれぞれにはローラ軸47の軸端部が挿入され、それぞれのローラ軸47に複数の軸受48を介して遊星ローラ49が回転自在に支持されている。
ここで、一対のディスク41a、41bに形成された軸挿入孔46は径方向に長い長孔とされている。ローラ軸47はその長孔の両端に当接する範囲において移動自在とされ、それぞれのローラ軸47の軸端部を巻き込むように掛け渡された径方向に弾性変形可能な弾性リング50によりローラ軸47のそれぞれが内向きに付勢されて、遊星ローラ49が回転軸34の外径面に押し付けられている。このため、回転軸34が回転すると、その回転軸34の外径面に対する摩擦接触によって遊星ローラ49が回転するようになっている。
また、ローラ軸47は、軸方向の全長にわたって同一径とされており、図4に示すように、そのローラ軸47の軸端部に掛け渡された弾性リング50は周方向の一部が切り離されたC字形とされて、縮径方向への弾性力によってローラ軸47を内向きに付勢している。また、弾性リング50は断面が矩形とされている。
図2に示すように、回転軸34の軸端部には、キャリア40のアウタ側ディスク41bと止め輪45間において規制プレート51が取り付けられている。規制プレート51は、小径円板部51aの外周に円筒部51bを設け、その円筒部51bの端部に外向きの大径円板部51cを設けた金属薄板のプレス成形品とされている。
金属薄板として、ここでは、鋼板を採用しているが、純アルミやアルミ合金からなる薄金属板であってもよい。
規制プレート51は、後述するサポート部材59とでキャリア40の軸方向への移動を規制し、その外径は、弾性リング50の内径より大径とされている。また、規制プレート51とローラ軸47の対向端間には間隙52が大きさδで設けられ、サポート部材59の凹部60の底面とローラ軸47の対向部間には間隙61が大きさδで設けられ、これらを合わせたδ+δは弾性リング50の軸方向幅wより小さくされている。
遊星ローラ49の外径面には、外輪部材21に設けられた断面V字状の螺旋突条53のピッチと同一のピッチで複数の円周溝54が形成され、その円周溝54に螺旋突条53が噛合している。なお、円周溝54に代えて、螺旋突条53とリード角が相違してピッチが同一とされた螺旋溝を形成してもよい。
キャリア40における一対のディスク41a、41bのうち、軸支持部材35側に位置するインナ側ディスク41aと遊星ローラ49の軸方向の対向部間には、遊星ローラ49側から順に、スラスト軸受55、加圧座板56および受圧座板57が組み込まれ、加圧座板56と受圧座板57は球面座58を介して接触している。また、受圧座板57とローラ軸47の嵌合面間には隙間が設けられ、その隙間の範囲内においてローラ軸47と加圧座板56は調心自在とされている。
インナ側ディスク41aと回転軸34を回転自在に支持する前述の軸支持部材35間にはサポート部材59とスラスト軸受62とが組み込まれ、外輪部材21から遊星ローラ49を介してキャリア40に負荷される軸方向の反力を上記スラスト軸受62で支持するようになっている。
サポート部材59は、前述のように、規制プレート51とでキャリア40の軸方向への移動を規制する。このサポート部材59にはキャリア40と対向する面に凹部60が設けられ、その凹部60内にローラ軸47の軸端部およびその軸端部に掛け渡された前記弾性リング50が収容されている。
外輪部材21のアウタ側端部内にはカバー63が嵌合されている。カバー63の先端面には回り止め溝64が形成され、その回り止め溝64と図7に示すインナ側ブレーキパッド14のパッドホルダ18に設けられた回り止め突起19の係合によって外輪部材21はインナ側ブレーキパッド14に対して回り止めされている。パッドホルダ18はマウント15に軸方向移動可能に回り止めされているので、外輪部材21はハウジング20に回り止めされている。
図7に示すように、ハウジング20と外輪部材21のアウタ側端部間にはブーツ65が取り付けられ、そのブーツ65によってハウジング20のアウタ側の開口端と外輪部材21の先端部間が密閉されている。
実施の形態で示す電動式ブレーキ装置は上記の構成からなり、図7は、ディスクロータ10に対する制動力の解除状態を示し、一対のブレーキパッド13、14はディスクロータ10に対して離反している。
上記のような制動力の解除状態において、図1に示す電動モータ24を駆動すると、その電動モータ24のロータ軸25の回転がギヤ減速機構30により減速されて回転軸34に伝達され、回転軸34が制動方向に回転する。
回転軸34の外径面には、複数の遊星ローラ49のそれぞれ外径面が弾性接触しているため、上記回転軸34の回転により遊星ローラ49が回転軸34との接触摩擦により、自転しつつ公転する。
このとき、遊星ローラ49の外径面に形成された円周溝54は外輪部材21の内径面に設けられた螺旋突条53に噛合しているため、その円周溝54と螺旋突条53の噛合によって外輪部材21が軸方向に移動し、その外輪部材21に当接されたインナ側ブレーキパッド14がディスクロータ10に当接して、そのディスクロータ10を軸方向に押圧し始める。その押圧力の反力により爪部12に支持されたアウタ側ブレーキパッド13がディスクロータ10に接近する方向に向けてキャリパ11が移動し、アウタ側ブレーキパッド13がディスクロータ10に当接して、そのアウタ側ブレーキパッド13がインナ側ブレーキパッド14とでディスクロータ10の外周部を軸方向両側から強く挟持し、ディスクロータ10に制動力が負荷される。
上記のような制動力の付与時、外輪部材21から遊星ローラ49に軸方向荷重が負荷される。その軸方向荷重の入力部位は、外輪部材21の内径面に設けられた螺旋突条53と遊星ローラ49の外径面に形成された円周溝54の係合部であるため、遊星ローラ49には偏荷重が負荷されることになる。
このとき、遊星ローラ49とキャリア40のインナ側ディスク41a間には加圧座板56と受圧座板57が組み込まれ、その両座板56、57の対向面に球面座58が設けられているため、上記のように、遊星ローラ49に偏荷重が負荷されると、加圧座板56が球面座58に接触案内される状態で加圧座板56が傾動し、加圧座板56と受圧座板57の接触部で周方向の面圧分布の均一化が図られ
ることになる。
このため、スラスト軸受55には、周方向の全体にわたって同じ大きさの軸方向荷重が負荷されることになり、軌道面や転動体が偏摩耗するという不都合の発生はない。
ディスクロータ10の制動後、電動モータ24のロータ軸25を逆回転させると、図1に示す回転軸34が前述と逆方向に減速回転され、自転しつつ公転する遊星ローラ49の円周溝54と螺旋突条53の噛合によって外輪部材21が図7に示す位置まで後退動し、アウタ側ブレーキパッド13およびインナ側ブレーキパッド14がディスクロータ10の挟持を解除し、制動力の解除状態とされる。
実施の形態で示す電動式直動アクチュエータAにおいては、図2に示すように、回転軸34の軸端部に規制プレート51を取り付けてサポート部材59とでキャリア40の軸方向への移動を規制し、その規制プレート51の外径を弾性リング50の内径より大径としており、そして、規制プレート51とローラ軸47の対向面間に形成される間隙52とサポート部材59とローラ軸47の対向部間に形成される間隙61とを合わせた大きさを弾性リング50の軸方向幅より小さくしているため、ローラ軸47が規制プレート51とサポート部材59との間をそのいずれかに接触するまで動くことがあっても弾性リング50がローラ軸47の軸端部から脱落することはない。
その結果、遊星ローラ49は回転軸34に常に圧接する状態に保持されることになり、直動アクチュエータAを確実に精度よく機能させることができる。
また、ローラ軸47を軸方向の全長にわたって同一径の丸棒とすることができるので、加工が容易であり、製造コストの低減を図り、欠損することの少ない耐久性に優れたローラ軸47とすることができる。
図2においては、弾性リング50として、断面形状が矩形とされたものを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、断面形状が丸形とされたものであってもよい。断面丸形の弾性リング50の採用においては、規制プレート51の外径Dを弾性リング50のリング平均径Dより大径とすると共に、規制プレート51とローラ軸47の対向面間に形成された間隙52と図では省略したサポート部材59とローラ軸47の対向部間に形成された間隙61とを合わせた大きさを弾性リング50を形成する丸形線材の線径より小さくして、弾性リング50の脱落を防止する。
図6は、規制プレート51の他の例を示す。この例においては、規制プレート51の大径円板部51cの外周にキャリア40側に向くスカート部51dを設けている点で図2に示す規制プレート51と相違している。このため、図2に示す規制プレート51と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図6に示す規制プレート51のように、大径円板部51cの外周にスカート部51dを設けることにより、強度が増し、鋼板や純アルミ、アルミ合金の延伸材によってプレス成形される規制プレート51の経時変化による反りを抑制し、ローラ軸47との対向部間に形成される間隙52が拡大するのを防止することができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
A 電動式直動アクチュエータ
B 電動式ブレーキ装置
10 ディスクロータ
14 ブレーキパッド
20 ハウジング
21 外輪部材
24 電動モータ
34 回転軸
35 軸支持部材
40 キャリア
41a ディスク
41b ディスク
47 ローラ軸
49 遊星ローラ
50 弾性リング
51 規制プレート
52 間隙
53 螺旋突条
54 円周溝
59 サポート部材
61 間隙

Claims (6)

  1. ハウジング(20)内に円筒状の外輪部材(21)を組込み、その外輪部材(21)の軸心上に電動モータ(24)で駆動される回転軸(34)を設け、その回転軸(34)を前記ハウジング(20)の内径面で外径面が支持された軸支持部材(35)で回転自在に支持し、前記回転軸(34)の外径面と前記外輪部材(21)の内径面間に複数の遊星ローラ(49)を組み込み、それぞれの遊星ローラ(49)を回転自在に支持するローラ軸(47)の両端部を前記回転軸(34)を中心にして回転自在に支持されたキャリア(40)の対向一対のディスク(41a、41b)によって径方向に移動自在に支持し、それぞれのローラ軸(47)の軸端部を巻き込むようにして掛け渡された弾性リング(50)によりローラ軸(47)を径方向内方に向けて付勢し、前記回転軸(34)の回転により、その回転軸(34)との摩擦接触により遊星ローラ(49)を自転および公転させ、外輪部材(21)の内径面に設けられた螺旋突条(53)と前記遊星ローラ(49)の外径面に形成された螺旋溝または円周溝(54)の噛合により外輪部材(21)とキャリア(40)を相対的に軸方向に直線移動させるようにした電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記回転軸(34)の前記キャリア(40)を貫通して外部に臨む軸端部に、キャリア(40)と前記軸支持部材(35)の対向部間に組み込まれたサポート部材(59)とでキャリア(40)の軸方向への移動を規制する規制プレート(51)を取り付け、その規制プレート(51)を外周部が前記弾性リング(50)の外側面と対向する大きさとし、その規制プレート(51)とローラ軸(47)の対向面間に形成された間隙(52)と前記サポート部材(59)とローラ軸(47)の対向面間に形成された間隙(61)とを合わせた大きさを前記弾性リング(50)の軸方向幅より小さくしたことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
  2. 前記弾性リング(50)が断面矩形とされ、前記規制プレート(51)の外径が前記弾性リング(50)の内径より大径とされた請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
  3. 前記弾性リング(50)が断面丸形とされ、前記規制プレート(51)の外径(D)が前記弾性リング(50)のリング平均径(D)より大径とされた請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
  4. 前記ローラ軸(47)が、軸方向の全長にわたって同一径とされた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータ。
  5. 前記規制プレート(51)の外周に前記キャリア(40)側に向くスカート部(51d)を設けた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータ。
  6. 電動式直動アクチュエータ(A)によりブレーキパッド(14)を直線駆動し、そのブレーキパッド(14)でディスクロータ(10)を押圧して、そのディスクロータ(10)に制動力を付与するようにした電動式ブレーキ装置において、
    前記電動式直動アクチュエータ(A)が請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動式直動アクチュエータからなることを特徴とする電動式ブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018069077A (ja) * 2016-11-04 2018-05-10 コヴィディエン リミテッド パートナーシップ 解放可能なナイフ担体を有するステープル留めデバイス

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