JP2017180506A - 遊星ローラねじ式直動機構および電動ブレーキ装置 - Google Patents

遊星ローラねじ式直動機構および電動ブレーキ装置 Download PDF

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雅章 江口
Masaaki Eguchi
雅章 江口
山崎 達也
Tatsuya Yamazaki
達也 山崎
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Abstract

【課題】組み立てが容易な遊星ローラねじ式直動機構を提供する。
【解決手段】キャリヤ14は、複数の支持ピン13の第1の端部13aを保持する第1のディスク21と複数の支持ピン13の第2の端部13bを保持する第2のディスク22とを有する。第1のディスク21の第1のピン保持穴41は、第1のディスク21を第2のディスク22に近づく側に軸方向変位させたときに支持ピン13の第1の端部13aを径方向内方に変位させる形状とする。第2のディスク22の第2のピン保持穴42は、第2のディスク22を第1のディスク21に近づく側に軸方向変位させたときに支持ピン13の第2の端部13bを径方向内方に変位させる形状とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、電動式直動アクチュエータに用いられる遊星ローラねじ式直動機構、およびその遊星ローラねじ式直動機構を用いた電動ブレーキ装置に関する。
外部から入力される回転運動を直線運動に変換して出力する直動機構として、例えば、特許文献1のような遊星ローラねじ式直動機構が知られている。
特許文献1の遊星ローラねじ式直動機構は、外部から回転が入力される回転軸と、その回転軸を囲む中空筒状の外輪部材と、その外輪部材の内周と回転軸の外周との間に周方向に間隔をおいて配置された複数の遊星ローラと、その複数の遊星ローラをそれぞれ自転可能に支持する複数の支持ピンと、その複数の支持ピンの両端部を保持するキャリヤを有する。
ここで、キャリヤには、各遊星ローラの支持ピンの第1の端部と第2の端部をそれぞれ収容する長穴が形成されており、その長穴と支持ピンの間には、支持ピンが回転軸の径方向に移動するのを許容する径方向隙間が設けられている。また、支持ピンの第1の端部と第2の端部には、それぞれ、弾性的に拡径可能なC形リングが掛け渡されており、そのC形リングの縮径力によって、各支持ピンの第1の端部と第2の端部がそれぞれ径方向内方に付勢され、その結果、遊星ローラが回転軸の外周に押し付けられている。
また、外輪部材の内周には、螺旋凸条が設けられ、その螺旋凸条と係合する螺旋溝または円周溝が各遊星ローラの外周に設けられている。
この遊星ローラねじ式直動機構は、外部から回転軸に回転が入力されると、その回転軸の回転が、回転軸の外周に転がり接触する遊星ローラに伝達し、各遊星ローラが自転しながら回転軸のまわりを公転する。このとき、遊星ローラの外周の螺旋溝または円周溝と外輪部材の内周の螺旋凸条との係合によって、外部から回り止めされた外輪部材が軸方向に移動する。このようにして、遊星ローラねじ式直動機構は、回転軸の回転を外輪部材の直線運動に変換する。
この遊星ローラねじ式直動機構は、送りねじ機構などの他の方式の直動機構と比較して、小型で大きい軸方向荷重を発生することが可能なので、省スペースで大きな軸方向荷重が要求される電動ブレーキ装置に好適であるという利点がある。
特開2012−149747号公報
特許文献1の電動式直動アクチュエータは遊星ローラねじ式直動機構を用いており、その遊星ローラねじ式直動機構は、回転軸のまわりに周方向に間隔をおいて配置された複数の遊星ローラの支持ピンの第1の端部と第2の端部にそれぞれC形リングを掛け渡し、その一対のC形リングの縮径力で、各遊星ローラを回転軸の外周に押し付けるようにしている。
ここで、本願の発明者は、遊星ローラねじ式直動機構を組み立てるときに、C形リングを支持ピンの第1の端部と第2の端部とにそれぞれ装着する作業が煩雑であるという問題に着目した。
すなわち、遊星ローラねじ式直動機構に使用するC形リングと類似する部材として、いわゆる止め輪(スナップリング)が広く一般に使用されているが、この止め輪は、軸体の外周に形成されたリング溝に装着し、軸体に外嵌された部材の軸方向移動を防ぐことを目的としたものである。ここで、止め輪の装着が完了した状態で、止め輪とリング溝の間に締め代が設けられることがあるが、止め輪によるリング溝の締め付け力は、止め輪のガタツキを防止するための最小限の大きさに設定される。そのため、止め輪の装着作業は比較的容易である。
これに対し、遊星ローラねじ式直動機構のC形リングは、その縮径力によって、遊星ローラを回転軸に押さえ付けることを目的としていることから、C形リングの装着が完了した状態で、C形リングから各遊星ローラの支持ピンに作用する縮径力は、比較的大きな力に設定する必要がある。そのため、C形リングを装着する作業が煩雑であるという問題があった。
そして、本願の発明者は、遊星ローラねじ式直動機構の組み立て作業の効率を向上させるために、C形リング以外の手段で、遊星ローラと回転軸の間の安定した接触状態を確保することができないかを検討した。
この発明が解決しようとする課題は、組み立てが容易な遊星ローラねじ式直動機構を提供することである。
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成の遊星ローラねじ式直動機構を提供する。
回転軸と、
前記回転軸を囲む中空筒状の外輪部材と、
前記外輪部材の内周と前記回転軸の外周との間に周方向に間隔をおいて配置され、前記回転軸の外周に転がり接触する複数の遊星ローラと、
前記複数の遊星ローラをそれぞれ自転可能に支持する複数の支持ピンと、
前記複数の支持ピンの両端部を保持するキャリヤと、
前記外輪部材の内周に設けられた螺旋凸条と、
前記螺旋凸条と係合するように前記各遊星ローラの外周に設けられた螺旋溝または円周溝とを有し、
前記螺旋凸条と前記螺旋溝または円周溝との係合によって、前記回転軸の回転を前記外輪部材の直線運動に変換する遊星ローラねじ式直動機構において、
前記キャリヤは、前記複数の支持ピンの第1の端部を保持する第1のディスクと前記複数の支持ピンの第2の端部を保持する第2のディスクと、前記複数の遊星ローラの間を通って前記第1のディスクと前記第2のディスクの間を連結する柱部とを有し、
前記第1のディスクには、前記複数の支持ピンの第1の端部をそれぞれ収容する複数の第1のピン保持穴が形成され、前記各支持ピンの第1の端部と前記各第1のピン保持穴の接触部は、前記第1のディスクを前記第2のディスクに近づく側に軸方向変位させたときに前記支持ピンの第1の端部を径方向内方に変位させる形状とされ、
前記第2のディスクには、前記複数の支持ピンの第2の端部をそれぞれ収容する複数の第2のピン保持穴が形成され、前記各支持ピンの第2の端部と前記各第2のピン保持穴の接触部は、前記第2のディスクを前記第1のディスクに近づく側に軸方向変位させたときに前記支持ピンの第2の端部を径方向内方に変位させる形状とされ、
前記支持ピンの第1の端部と前記第1のピン保持穴の接触部の接触面圧および前記支持ピンの第2の端部と前記第2のピン保持穴の接触部の接触面圧により前記遊星ローラが前記回転軸の外周に押し付けられていることを特徴とする遊星ローラねじ式直動機構。
このようにすると、支持ピンの第1の端部と第1のピン保持穴の接触部の接触面圧および支持ピンの第2の端部と第2のピン保持穴の接触部の接触面圧により遊星ローラを回転軸の外周に押し付けるので、各支持ピンの第1および第2の端部に、C形リングを装着する必要がない。そのため、遊星ローラねじ式直動機構を組み立てる作業が容易である。
前記各第1のピン保持穴の内面は、前記各支持ピンの第1の端部が前記回転軸の径方向の外方に移動するのを許容する径方向隙間がゼロとなるように、前記回転軸を中心として各支持ピンの第1の端部に共通して外接する円上で前記各支持ピンの第1の端部に接触したものを採用することができる。
同様に、前記各第2のピン保持穴の内面は、前記各支持ピンの第2の端部が前記回転軸の径方向の外方に移動するのを許容する径方向隙間がゼロとなるように、前記回転軸を中心として各支持ピンの第2の端部に共通して外接する円上で前記各支持ピンの第2の端部に接触したものを採用することができる。
前記各第1のピン保持穴の内面と、そのピン保持穴に収容された前記支持ピンの第1の端部との間に、前記各支持ピンの第1の端部が前記回転軸の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間を設け、
前記各第2のピン保持穴の内面と、そのピン保持穴に収容された前記支持ピンの第2の端部との間に、前記各支持ピンの第2の端部が前記回転軸の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間を設けると好ましい。
このようにすると、遊星ローラねじ式直動機構を組み立てるときに、遊星ローラを支持ピンに取り付けたままの状態で支持ピンの第1および第2の端部を第1および第2のピン保持穴にそれぞれ挿入する作業がしやすくなる。
また、前記第1のピン保持穴は、前記第2のディスクから遠ざかる側の軸方向に沿って、次第に前記回転軸に近づくように傾斜したテーパ面を有するものを採用することができる。
同様に、前記第2のピン保持穴は、前記第1のディスクから遠ざかる側の軸方向に沿って、次第に前記回転軸に近づくように傾斜したテーパ面を有するものを採用することができる。
前記各支持ピンの第1の端部は、前記第2のディスクから遠ざかる側の軸方向に沿って径方向幅寸法が次第に小さくなるテーパ形状とすることができる。
同様に、前記各支持ピンの第2の端部は、前記第1のディスクから遠ざかる側の軸方向に沿って径方向幅寸法が次第に小さくなるテーパ形状とすることができる。
前記第1のピン保持穴は、前記回転軸の周方向に対向する周方向対向面を更に有し、その周方向対向面の間隔は軸方向に沿って一定とされたものを採用すると好ましい。
同様に、前記第2のピン保持穴は、前記回転軸の周方向に対向する周方向対向面を更に有し、その周方向対向面の間隔は軸方向に沿って一定とされたものを採用すると好ましい。
このようにすると、第1のピン保持穴の周方向対向面で、各支持ピンの第1の端部が回転軸の周方向に移動するのを確実に規制することが可能となり、各支持ピンの第1の端部のキャリヤに対する周方向の位置精度を高めることが可能となる。
同様に、第2のピン保持穴の周方向対向面で、各支持ピンの第2の端部が回転軸の周方向に移動するのを確実に規制することが可能となり、各支持ピンの第2の端部のキャリヤに対する周方向の位置精度を高めることが可能となる。
前記第1のディスクと前記第2のディスクが軸方向に近づく方向の付勢力を前記第1のディスクと前記第2のディスクのうちの少なくとも一方に付与する付勢部材を設けると好ましい。
このようにすると、付勢部材の付勢力によって、支持ピンの第1の端部が第1のピン保持穴の内面に押し付けられるとともに、支持ピンの第2の端部が第2のピン保持穴の内面に押し付けられ、その結果、遊星ローラと回転軸の間の接触状態が安定したものとなる。
この場合、上記の遊星ローラねじ式直動機構は、以下の構成を加えることができる。
前記第1のディスクは、前記柱部の一端部を収容する第1の挿入穴を有し、
前記第2のディスクは、前記柱部の他端部を収容する第2の挿入穴を有し、
前記付勢部材は、前記第1のディスクの前記第2のディスクから遠い側の側面に接触する第1の対向片と、前記第2のディスクの前記第1のディスクから遠い側の側面に接触する第2の対向片と、前記第1の対向片と前記第2の対向片を連結する連結片とからなる。
また、前記付勢部材として、前記回転軸の外周に装着された止め輪と前記第1または第2のディスクとの間に組み込まれた皿ばねを採用することができる。
前記第1のディスクと前記第2のディスクは、その軸方向間隔が狭まる方向の相対変位を柱部で規制すると好ましい。
このようにすると、柱部の軸方向長さを管理することで、第1のディスクと第2のディスクの軸方向間隔を管理することが可能となり、その結果、遊星ローラと回転軸の間の接触状態を管理することが容易となる。
また、この発明では、上記の遊星ローラねじ式直動機構を用いた電動ブレーキ装置として、以下の構成のものを併せて提供する。
上記構成の遊星ローラねじ式直動機構と、
前記遊星ローラねじ式直動機構の前記回転軸を回転駆動する電動モータと、
前記遊星ローラねじ式直動機構の外輪部材と一体に移動するブレーキパッドと、
前記ブレーキパッドに対向して配置されたブレーキディスクと、
を有する電動ブレーキ装置。
この発明の遊星ローラねじ式直動機構は、支持ピンの第1の端部と第1のピン保持穴の接触部の接触面圧および支持ピンの第2の端部と第2のピン保持穴の接触部の接触面圧により遊星ローラを回転軸の外周に押し付けるので、各支持ピンの第1および第2の端部に、C形リングを装着する必要がない。そのため、遊星ローラねじ式直動機構を組み立てる作業が容易である。
この発明の第1実施形態の遊星ローラねじ式直動機構を組み込んだ電動式直動アクチュエータを示す断面図 図1の遊星ローラねじ式直動機構の近傍の拡大断面図 図2のIII−III線に沿った断面図 図2のIV−IV線に沿った断面図 図2に示す支持ピンの第1の端部の近傍を拡大して示す断面図 図5に示す支持ピンの第1の端部および第1のピン保持穴の変形例を示す断面図 この発明の第2実施形態の遊星ローラねじ式直動機構を示す断面図 図7のVIII−VIII線に沿った断面図 この発明の第3実施形態の遊星ローラねじ式直動機構を示す断面図 図9に示す付勢部材を第2のディスクの側に組み込んだ変形例を示す一部拡大断面図 図1に示す電動式直動アクチュエータを用いた電動ブレーキ装置の一例を示す断面図 図11に示す電動ブレーキ装置をインナ側から見た図
図1に、この発明の第1実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1を用いた電動式直動アクチュエータ2を示す。この電動式直動アクチュエータ2は、電動モータ3と、電動モータ3の回転を減速して伝達する減速歯車列4と、減速歯車列4を介して電動モータ3から入力される回転を外輪部材5の直線運動に変換して出力する遊星ローラねじ式直動機構1とを有する。
減速歯車列4は、電動モータ3のモータ軸6に固定された入力歯車7と、遊星ローラねじ式直動機構1の回転軸8に固定された出力歯車9と、入力歯車7と出力歯車9の間で回転を伝達する中間歯車10と、これらの歯車8,9,10を収容するギヤケース11とを有する。この減速歯車列4は、電動モータ3のモータ軸6から入力歯車7に入力された回転を、互いに歯数の異なる入力歯車7、中間歯車10、出力歯車9を順に伝達することで減速し、その減速された回転を出力歯車9から回転軸8に出力する。
図2、図3に示すように、遊星ローラねじ式直動機構1は、電動モータ3(図1参照)で回転駆動される回転軸8と、回転軸8を囲む中空筒状の外輪部材5と、外輪部材5の内周と回転軸8の外周との間に周方向に間隔をおいて配置された複数の遊星ローラ12と、複数の遊星ローラ12をそれぞれ自転可能に支持する複数の支持ピン13と、その複数の支持ピン13の第1の端部13a(軸方向前端部)および第2の端部13b(軸方向後端部)を保持するキャリヤ14と、外輪部材5を回転軸8の軸方向と平行に移動可能に収容するハウジング15とを有する。
ここで、回転軸8と平行な方向を軸方向、外輪部材5のハウジング15からの突出長さが大きくなる側に外輪部材5が移動するときの外輪部材5の移動方向を軸方向前方、外輪部材5のハウジング15からの突出長さが小さくなる側に外輪部材5が移動するときの外輪部材5の移動方向を軸方向後方、回転軸8まわりに周回する方向を周方向、回転軸8に対する距離が変化する方向を径方向という。
図3に示すように、複数の遊星ローラ12は、回転軸8の外周に転がり接触している。回転軸8の遊星ローラ12に対する接触部分は円筒面とされている。回転軸8が回転したとき、回転軸8の外周と遊星ローラ12の外周の間の摩擦によって、各遊星ローラ12は、支持ピン13を中心に自転しながら回転軸8のまわりを公転する。
図2に示すように、外輪部材5の内周には、螺旋凸条16が設けられている。螺旋凸条16は、周方向に対して所定のリード角をもって斜めに延びる凸条である。各遊星ローラ12の外周には、螺旋凸条16に係合する複数の円周溝17が軸方向に間隔をおいて形成されている。各遊星ローラ12の外周の軸方向に隣り合う円周溝17の間隔は、螺旋凸条16のピッチと同一の大きさとされている。ここでは、遊星ローラ12の外周にリード角が0度の円周溝17を設けているが、円周溝17のかわりに、螺旋凸条16と異なるリード角をもつ螺旋溝を設けてもよい。
キャリヤ14は、複数の支持ピン13の第1の端部13aを保持する第1のディスク21と、複数の支持ピン13の第2の端部13bを保持する第2のディスク22と、柱部23とを有する。柱部23は、周方向に隣り合う複数の遊星ローラ12の間を通って、第1のディスク21と第2のディスク22の間を連結している。第1のディスク21と柱部23は一体に形成され、第2のディスク22と柱部23はボルト24で結合されている。
第1のディスク21および第2のディスク22は、それぞれ回転軸8を貫通させる環状に形成されている。また、第1のディスク21および第2のディスク22の内周には、回転軸8の外周に摺接する滑り軸受25がそれぞれ装着されている。滑り軸受25は、キャリヤ14を回転軸8まわりに回転可能に支持している。
各遊星ローラ12の内周と支持ピン13の外周との間には、遊星ローラ12を自転可能に支持するラジアル軸受26が設けられている。ラジアル軸受26は遊星ローラ12の内周の一端部と他端部にそれぞれ設けられている。支持ピン13は、軸方向の全長にわたって断面丸形で外径が一定のストレート形状とされている。ラジアル軸受26としては、例えば、保持器付き針状ころまたは滑り軸受を使用することができる。
各遊星ローラ12と第2のディスク22との間には、遊星ローラ12を自転可能な状態で軸方向に支持するスラスト軸受27が組み込まれている。また、スラスト軸受27と第2のディスク22の間には、スラスト軸受27を介して遊星ローラ12を傾動可能に支持する調心座28が組み込まれている。調心座28を省略し、第2のディスク22の第1のディスク21の側の軸方向端面をスラスト軸受27の軌道面とすることも可能である(図7参照)。
外輪部材5は、図1に示すように、ハウジング15に形成された収容穴29の内面で軸方向にスライド可能に支持されている。ハウジング15の内部には、外輪部材5に対して軸方向後方に離れた位置に軸受支持部材30が固定して設けられている。軸受支持部材30は、回転軸8を貫通させる円環状に形成されている。軸受支持部材30の内周には、回転軸8を回転可能に支持するラジアル軸受31が組み込まれている。ラジアル軸受31は、軸受支持部材30の内周の軸方向の一端部と他端部にそれぞれ組み込まれている。ラジアル軸受31は、例えば、深溝玉軸受や焼結すべり軸受を採用することができる。
キャリヤ14と軸受支持部材30の間には、キャリヤ14を公転可能な状態で軸方向に支持するスラスト軸受32が組み込まれている。また、キャリヤ14とスラスト軸受32の間には、キャリヤ14と一体に公転するサポート部材33が組み込まれている。
軸受支持部材30は、図1に示すように、収容穴29の内周に装着した止め輪34(図1参照)で軸方向後方への移動が規制され、これにより、キャリヤ14も軸方向後方への移動が規制された状態となっている。また、キャリヤ14は、回転軸8の軸方向前端部に設けられた止め輪35で軸方向前方への移動も規制されている。これにより、キャリヤ14は、軸方向前方および後方のいずれの移動も規制され、キャリヤ14に保持された遊星ローラ12も軸方向移動が規制された状態となっている。
図2に示すように、キャリヤ14を構成する第1および第2のディスク21,22のうち、第1のディスク21には、支持ピン13の第1の端部13aを収容する第1のピン保持穴41が形成され、第2のディスク22には、支持ピン13の第2の端部13bを収容する第2のピン保持穴42が形成されている。ここで、第1のピン保持穴41と第2のピン保持穴42は、遊星ローラ12を間にして対称の同一形状とされている。また、支持ピン13は、軸方向の全長にわたって断面円形で外径が一定のストレート形状となっており、第1の端部13aと第2の端部13bも、遊星ローラ12を間にして対称の同一形状とされている。すなわち、第1のピン保持穴41および支持ピン13の第1の端部13aの構成と、第2のピン保持穴42および支持ピン13の第2の端部13bの構成は、軸方向で対称の同一構成である。そのため、以下、第1のピン保持穴41および支持ピン13の第1の端部13aの構成を説明し、第2のピン保持穴42および支持ピン13の第2の端部13bの構成は説明を省略する。
図4に示すように、第1のピン保持穴41は、回転軸8を中心とする周方向に間隔をおいて複数形成されている。各第1のピン保持穴41の内面は、回転軸8を中心として複数の支持ピン13の第1の端部13aに共通して外接する円上で各支持ピン13の第1の端部13aに接触し、その接触面圧によって各支持ピン13の第1の端部13aを回転軸8に近づく方向に押圧している。
第1のピン保持穴41は、回転軸8の径方向に対向する径方向対向面43,44と、回転軸8の周方向に対向する周方向対向面45とを有する。周方向対向面45は平面である。周方向対向面45の間隔は、軸方向に沿って一定とされている。
図2、図5に示すように、径方向対向面43,44のうち、回転軸8から遠い側の径方向対向面43は、第2のディスク22から遠ざかる側の軸方向に沿って、次第に回転軸8に近づくように傾斜したテーパ面とされている。支持ピン13の第1の端部13aは、軸方向に沿って外径が一定の円筒形状とされている。ここで、支持ピン13の第1の端部13aと第1のピン保持穴41の接触部は、第1のディスク21を第2のディスク22に近づく側に軸方向変位させたときに支持ピン13の第1の端部13aを径方向内方に変位させる形状とされている。すなわち、支持ピン13の軸方向位置を固定した状態で、第1のディスク21を第2のディスク22に近づける側(図の右側)に軸方向変位させたときに、第1のピン保持穴41の径方向対向面43が支持ピン13の第1の端部13aに接触し、その接触部に作用する径方向分力によって支持ピン13の第1の端部13aが径方向内方(図の下方)に押し動かされるようになっている。
ここで、図5に示すように、支持ピン13の第1の端部13aと第1のピン保持穴41の位置関係は、支持ピン13の第1の端部13aが第1のピン保持穴41に収容された状態で、第1のピン保持穴41の内面と支持ピン13の第1の端部13aとの間に、支持ピン13の第1の端部13aが回転軸8の径方向の内方(図の下方)に移動するのを許容するゼロよりも大きい径方向隙間46が存在するが、支持ピン13の第1の端部13aが回転軸8の径方向の外方(図の上方)に移動するのを許容する径方向隙間はゼロとなるように設定されている。
図2に示すキャリヤ14の組み立て方法を説明する。
まず、複数の支持ピン13の外周にそれぞれラジアル軸受26を介して遊星ローラ12を取り付け、その各遊星ローラ12の外周を回転軸8の外周に接触した状態に保持する。次に、遊星ローラ12を間に挟む軸方向の両側に第1のディスク21と第2のディスク22を配置し、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔を狭める。これにより、各支持ピン13の第1の端部13aが、第1のディスク21に形成された第1のピン保持穴41に挿入されるとともに、各支持ピン13の第2の端部13bが、第2のディスク22に形成された第2のピン保持穴42に挿入された状態となる。このとき、まだ各支持ピン13の第1の端部13aは第1のピン保持穴41の内面に接触しておらず、各支持ピン13の第2の端部13bも第2のピン保持穴42の内面に接触していない。その後、ボルト24を締め込むことにより、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔をさらに縮め、柱部23を介して第1のディスク21と第2のディスク22とを連結した状態にする。このとき、ボルト24の締め込みにより、各支持ピン13の第1の端部13aが第1のピン保持穴41の内面に接触するとともに、各支持ピン13の第2の端部13bが第2のピン保持穴42の内面に接触する。そして、支持ピン13の第1の端部13aと第1のピン保持穴41の接触部の接触面圧および支持ピン13の第2の端部13bと第2のピン保持穴42の接触部の接触面圧により遊星ローラ12が回転軸8の外周に押し付けられた状態となる。なお、ボルト24を締め込んだときに力を受ける各部位は、塑性変形を生じずに弾性領域内で変形するように寸法が設定されている。また、柱部23の端面を第2のディスク22に当接させても良い。柱部23の軸方向長さを管理することで、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔を管理することが可能となり、その結果、遊星ローラ12と回転軸8の間の接触状態を管理することが容易となる。
上記の電動式直動アクチュエータ2の動作例を説明する。
図1に示す電動モータ3のモータ軸6が回転すると、その回転が減速歯車列4によって減速して伝達され、遊星ローラねじ式直動機構1の回転軸8に入力される。回転軸8が回転すると、その回転が回転軸8の外周に転がり接触する遊星ローラ12に伝達し、各遊星ローラ12が支持ピン13を中心に自転しながら回転軸8のまわりを公転する。このとき、遊星ローラ12の外周の円周溝17と外輪部材5の内周の螺旋凸条16との係合によって、遊星ローラ12と外輪部材5が軸方向に相対移動するが、遊星ローラ12はキャリヤ14と共に軸方向の移動が規制されているので、遊星ローラ12はハウジング15に対して軸方向に移動せず、外輪部材5がハウジング15に対して軸方向に移動する。このようにして、遊星ローラねじ式直動機構1は、電動モータ3から回転軸8に入力された回転を外輪部材5の直線運動に変換する。
図11に、上記構成の電動式直動アクチュエータ2を用いた電動ブレーキ装置を示す。この電動ブレーキ装置は、車輪(図示せず)と一体に回転するブレーキディスク60と、ブレーキディスク60に対して軸方向に移動不能に車体に固定されたマウンティングブラケット61と、マウンティングブラケット61に対してブレーキディスク60の軸方向と平行にスライド可能に支持されたキャリパボディ62と、ブレーキディスク60を間に挟んで軸方向に対向するインナ側ブレーキパッド63およびアウタ側ブレーキパッド64と、インナ側ブレーキパッド63を軸方向に移動させる電動式直動アクチュエータ2とを有する。インナ側ブレーキパッド63とアウタ側ブレーキパッド64は、それぞれマウンティングブラケット61によって、軸方向に移動可能かつ周方向に移動不能に保持されている。
キャリパボディ62は、アウタ側ブレーキパッド64の背面に軸方向に対向する爪部65と、ブレーキディスク60の外径側に対向する外殻部66とを有する。外殻部66は、電動式直動アクチュエータ2のハウジング15に一体に形成されている。キャリパボディ62の外殻部66と電動式直動アクチュエータ2のハウジング15とを別体に形成し、その両者をボルト等で一体化してもよい。外輪部材5は、外輪部材5が移動したときに外輪部材5と一体にインナ側ブレーキパッド63も移動するように、インナ側ブレーキパッド63の背面に配置されている。
外輪部材5のブレーキディスク60の側の端部には、インナ側ブレーキパッド63の背面に形成された係合凸部67に係合する係合凹部68が形成され、この係合凸部67と係合凹部68の係合によって、外輪部材5は回り止めされている。
この電動ブレーキ装置の動作例を説明する。電動式直動アクチュエータ2の外輪部材5がインナ側ブレーキパッド63の背面を押圧し、インナ側ブレーキパッド63をブレーキディスク60の側面に押し付ける。このとき、外輪部材5がインナ側ブレーキパッド63から受ける軸方向反力によって、キャリパボディ62がマウンティングブラケット61に対してスライド移動し、キャリパボディ62の爪部65がアウタ側ブレーキパッド64の背面を押圧し、アウタ側ブレーキパッド64をブレーキディスク60の側面に押し付ける。このようにして、インナ側ブレーキパッド63およびアウタ側ブレーキパッド64がブレーキディスク60に押し付けられ、そのブレーキパッドとブレーキディスク60の接触面間の摩擦によって、ブレーキディスク60に制動力が発生する。
上記の遊星ローラねじ式直動機構1は、各支持ピン13の第1の端部13aにC形リングを装着する必要がなく、各支持ピン13の第2の端部13bにもC形リングを装着する必要がない。そのため、遊星ローラねじ式直動機構1を組み立てる作業が容易である。
また、上記の遊星ローラねじ式直動機構1は、各第1のピン保持穴41の内面と、そのピン保持穴41に収容された支持ピン13の第1の端部13aとの間に、各支持ピン13の第1の端部13aが回転軸8の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間46(図5参照)を設けているので、遊星ローラねじ式直動機構1を組み立てるときに、遊星ローラ12を支持ピン13に取り付けたままの状態で支持ピン13の第1の端部13aを第1のピン保持穴41に挿入する作業がしやすい。同様に、各第2のピン保持穴42の内面と、そのピン保持穴42に収容された支持ピン13の第2の端部13bとの間に、各支持ピン13の第2の端部13bが回転軸8の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間46(図5参照)を設けているので、遊星ローラねじ式直動機構1を組み立てるときに、遊星ローラ12を支持ピン13に取り付けたままの状態で支持ピン13の第2の端部13bを第2のピン保持穴42に挿入する作業がしやすい。
また、上記の遊星ローラねじ式直動機構1は、第1のピン保持穴41内の周方向対向面45(図4参照)の間隔が軸方向に沿って一定とされているので、その周方向対向面45で各支持ピン13の第1の端部13aが回転軸8の周方向に移動するのを確実に規制することが可能となっており、各支持ピン13の第1の端部13aのキャリヤ14に対する周方向の位置精度を高めることが可能となっている。同様に、第2のピン保持穴42内の周方向対向面45の間隔が軸方向に沿って一定とされているので、その周方向対向面45で各支持ピン13の第2の端部13bが回転軸8の周方向に移動するのを確実に規制することが可能となっており、各支持ピン13の第2の端部13bのキャリヤ14に対する周方向の位置精度を高めることが可能となっている。
上記実施形態では、第1のディスク21を第2のディスク22に近づく側に軸方向変位させたときに支持ピン13の第1の端部13aを径方向内方に変位させるため、図5に示すように、第1のピン保持穴41の径方向対向面43,44のうち回転軸8から遠い側の径方向対向面43をテーパ形状としたが、図6に示すように、各支持ピン13の第1の端部13aを、第2のディスク22から遠ざかる側の軸方向(図の左方向)に沿って径方向幅寸法が次第に小さくなるテーパ形状とすることも可能である。このとき、第1のピン保持穴41は、図5と同様に、軸方向に対して傾斜した径方向対向面43を有する形状とすることも可能であるが、図6に示すように、径方向対向面43,44をいずれも軸方向と平行とすることができる。支持ピン13の第2の端部13bも、支持ピン13の第1の端部13aと同様にテーパ形状とすることができる。
図7、図8にこの発明の第2実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1を用いた電動式直動アクチュエータ2を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
キャリヤ14の柱部23は、第1のディスク21および第2のディスク22とは別体に形成されている。第1のディスク21は、柱部23の一端部を収容する第1の挿入穴71を有する。第1の挿入穴71は、第1のディスク21を軸方向に貫通して形成されている。第2のディスク22は、柱部23の他端部を収容する第2の挿入穴72を有する。第2の挿入穴72は、第2のディスク22を軸方向に貫通して形成されている。キャリヤ14は、第1のディスク21と第2のディスク22が軸方向に近づく方向の付勢力を第1のディスク21および第2のディスク22に付与する付勢部材73を有する。
付勢部材73は、柱部23を間にして軸方向に対向する第1および第2の対向片74,75と、第1の対向片74と第2の対向片75を連結する連結片76とからなるクリップである。第1の対向片74は、第1のディスク21の第2のディスク22から遠い側の側面に接触している。第2の対向片75は、第2のディスク22の第1のディスク21から遠い側の側面に接触している。第1の対向片74と第2の対向片75と連結片76は、鋼材で一体に形成されている。
キャリヤ14の軸方向長さを抑えるため、第1のディスク21の第2のディスク22から遠い側の側面には、第1の対向片74を収容する軸方向凹部77が形成されている。また、キャリヤ14の外径を抑えるため、第1のディスク21の外周には、連結片76を収容する径方向凹部78が形成されている。軸方向凹部77と径方向凹部78は互いにつながっている。同様に、第2のディスク22にも軸方向凹部77と径方向凹部78とが形成されている。
第1および第2の対向片74,75は、付勢部材73のキャリヤ14への装着作業を容易にするため、第1および第2のディスク21,22との接触位置で第1および第2の対向片74,75の軸方向間隔が最小となり、同接触位置から第1および第2の対向片74,75の先端に向かって第1および第2の対向片74,75の軸方向間隔が次第に広くなる形状とされている。
図7、図8に示すキャリヤ14の組み立て方法を説明する。
まず、複数の支持ピン13の外周にそれぞれラジアル軸受26を介して遊星ローラ12を取り付け、その各遊星ローラ12の外周を回転軸8の外周に接触した状態に保持する。次に、遊星ローラ12を間に挟む軸方向の両側に第1のディスク21と第2のディスク22を配置し、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔を狭める。これにより、各支持ピン13の第1の端部13aが、第1のディスク21に形成された第1のピン保持穴41に挿入されるとともに、各支持ピン13の第2の端部13bが、第2のディスク22に形成された第2のピン保持穴42に挿入された状態となる。このとき、まだ各支持ピン13の第1の端部13aは第1のピン保持穴41の内面に接触しておらず、各支持ピン13の第2の端部13bも第2のピン保持穴42の内面に接触していない。その後、径方向外側から付勢部材73を装着し、その付勢部材73の第1および第2の対向片74,75で第1および第2のディスク21,22を軸方向の両側から挟み込むことで、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔をさらに縮める。このとき、付勢部材73の付勢力によって、各支持ピン13の第1の端部13aが第1のピン保持穴41の内面に接触するとともに、各支持ピン13の第2の端部13bが第2のピン保持穴42の内面に接触する。そして、支持ピン13の第1の端部13aと第1のピン保持穴41の接触部の接触面圧および支持ピン13の第2の端部13bと第2のピン保持穴42の接触部の接触面圧により遊星ローラ12が回転軸8の外周に押し付けられた状態となる。
第2実施形態のように、第1のディスク21と第2のディスク22が軸方向に近づく方向の付勢力を第1のディスク21および第2のディスク22に付与する付勢部材73を設けると、その付勢部材73の付勢力によって、支持ピン13の第1の端部13aが第1のピン保持穴41の内面に押し付けられるとともに、支持ピン13の第2の端部13bが第2のピン保持穴42の内面に押し付けられ、その結果、遊星ローラ12と回転軸8の間の接触状態が安定したものとなる。
また、付勢部材73の第1の対向片74を、第1のディスク21の第2のディスク22から遠い側の側面と同時に柱部23の一端部の端面と接触させ、第2の対向片75は、第2のディスク22の第1のディスク21から遠い側の側面と同時に柱部23の他端部の端面に接触させても良い。これにより、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔が柱部23の軸方向長さに応じて決まるので、柱部23の軸方向長さを管理することで、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔を管理することが可能となり、その結果、遊星ローラ12と回転軸8の間の接触状態を管理することが容易となる。
図9にこの発明の第3実施形態の遊星ローラねじ式直動機構1を用いた電動式直動アクチュエータ2を示す。第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
キャリヤ14の柱部23は、第1のディスク21および第2のディスク22とは別体に形成されている。第1のディスク21は、柱部23の一端部を収容する第1の止まり穴81を有する。第1の止まり穴81は、第1のディスク21の第2のディスク22に近い側の側面に形成されている。第2のディスク22は、柱部23の他端部を収容する第2の止まり穴82を有する。第2の止まり穴82は、第2のディスク22の第1のディスク21に近い側の側面に形成されている。キャリヤ14は、第1のディスク21と第2のディスク22が軸方向に近づく方向の付勢力を第1のディスク21に付与する付勢部材83を有する。付勢部材83は、回転軸8の外周に装着された止め輪35と第1のディスク21との間に組み込まれた皿ばねである。
この第3実施形態のように、第1のディスク21と第2のディスク22が軸方向に近づく方向の付勢力を第1のディスク21に付与する付勢部材83を設けると、第2実施形態と同様、付勢部材83の付勢力によって、支持ピン13の第1の端部13aが第1のピン保持穴41の内面に押し付けられるとともに、支持ピン13の第2の端部13bが第2のピン保持穴42の内面に押し付けられ、その結果、遊星ローラ12と回転軸8の間の接触状態が安定したものとなる。
また、柱部23の一端部の端面を第1の止まり穴81の内面に当接させ、柱部23の他端部の端面を第2の止まり穴82の内面に当接させても良い。これにより、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔が柱部23の軸方向長さに応じて決まるので、柱部23の軸方向長さを管理することで、第1のディスク21と第2のディスク22の軸方向間隔を管理することが可能となり、その結果、遊星ローラ12と回転軸8の間の接触状態を管理することが容易となる。
図9では、付勢部材83として、第1のディスク21と止め輪35との間に組み込まれた皿ばねを例に挙げて説明したが、図10に示すように、第2のディスク22と回転軸8の外周に装着された止め輪84との間に組み込まれた皿ばねを採用することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 遊星ローラねじ式直動機構
3 電動モータ
5 外輪部材
8 回転軸
12 遊星ローラ
13 支持ピン
13a 第1の端部
13b 第2の端部
14 キャリヤ
16 螺旋凸条
17 円周溝
21 第1のディスク
22 第2のディスク
23 柱部
35 止め輪
41 第1のピン保持穴
42 第2のピン保持穴
43 径方向対向面
45 周方向対向面
46 径方向隙間
60 ブレーキディスク
63 インナ側ブレーキパッド
71 第1の挿入穴
72 第2の挿入穴
73 付勢部材
74 第1の対向片
75 第2の対向片
76 連結片
83 付勢部材
84 止め輪

Claims (11)

  1. 回転軸(8)と、
    前記回転軸(8)を囲む中空筒状の外輪部材(5)と、
    前記外輪部材(5)の内周と前記回転軸(8)の外周との間に周方向に間隔をおいて配置され、前記回転軸(8)の外周に転がり接触する複数の遊星ローラ(12)と、
    前記複数の遊星ローラ(12)をそれぞれ自転可能に支持する複数の支持ピン(13)と、
    前記複数の支持ピン(13)の両端部(13a,13b)を保持するキャリヤ(14)と、
    前記外輪部材(5)の内周に設けられた螺旋凸条(16)と、
    前記螺旋凸条(16)と係合するように前記各遊星ローラ(12)の外周に設けられた螺旋溝または円周溝(17)とを有し、
    前記螺旋凸条(16)と前記螺旋溝または円周溝(17)との係合によって、前記回転軸(8)の回転を前記外輪部材(5)の直線運動に変換する遊星ローラねじ式直動機構において、
    前記キャリヤ(14)は、前記複数の支持ピン(13)の第1の端部(13a)を保持する第1のディスク(21)と前記複数の支持ピン(13)の第2の端部(13b)を保持する第2のディスク(22)と、前記複数の遊星ローラ(12)の間を通って前記第1のディスク(21)と前記第2のディスク(22)の間を連結する柱部(23)とを有し、
    前記第1のディスク(21)には、前記複数の支持ピン(13)の第1の端部(13a)をそれぞれ収容する複数の第1のピン保持穴(41)が形成され、前記各支持ピン(13)の第1の端部(13a)と前記各第1のピン保持穴(41)の接触部は、前記第1のディスク(21)を前記第2のディスク(22)に近づく側に軸方向変位させたときに前記支持ピン(13)の第1の端部(13a)を径方向内方に変位させる形状とされ、
    前記第2のディスク(22)には、前記複数の支持ピン(13)の第2の端部(13b)をそれぞれ収容する複数の第2のピン保持穴(42)が形成され、前記各支持ピン(13)の第2の端部(13b)と前記各第2のピン保持穴(42)の接触部は、前記第2のディスク(22)を前記第1のディスク(21)に近づく側に軸方向変位させたときに前記支持ピン(13)の第2の端部(13b)を径方向内方に変位させる形状とされ、
    前記支持ピン(13)の第1の端部(13a)と前記第1のピン保持穴(41)の接触部の接触面圧および前記支持ピン(13)の第2の端部(13b)と前記第2のピン保持穴(42)の接触部の接触面圧により前記遊星ローラ(12)が前記回転軸(8)の外周に押し付けられていることを特徴とする遊星ローラねじ式直動機構。
  2. 前記各第1のピン保持穴(41)の内面は、前記各支持ピン(13)の第1の端部(13a)が前記回転軸(8)の径方向の外方に移動するのを許容する径方向隙間がゼロとなるように、前記回転軸(8)を中心として各支持ピン(13)の第1の端部(13a)に共通して外接する円上で前記各支持ピン(13)の第1の端部(13a)に接触し、
    前記各第2のピン保持穴(42)の内面は、前記各支持ピン(13)の第2の端部(13b)が前記回転軸(8)の径方向の外方に移動するのを許容する径方向隙間がゼロとなるように、前記回転軸(8)を中心として各支持ピン(13)の第2の端部(13b)に共通して外接する円上で前記各支持ピン(13)の第2の端部(13b)に接触している請求項1に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  3. 前記各第1のピン保持穴(41)の内面と、そのピン保持穴(41)に収容された前記支持ピン(13)の第1の端部(13a)との間に、前記各支持ピン(13)の第1の端部(13a)が前記回転軸(8)の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間(46)が設けられ、
    前記各第2のピン保持穴(42)の内面と、そのピン保持穴(42)に収容された前記支持ピンの第2の端部(13b)との間に、前記各支持ピン(13)の第2の端部(13b)が前記回転軸(8)の径方向の内方に移動するのを許容する径方向隙間(46)が設けられている請求項1または2に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  4. 前記第1のピン保持穴(41)は、前記第2のディスク(22)から遠ざかる側の軸方向に沿って、次第に前記回転軸(8)に近づくように傾斜したテーパ面(43)を有し、
    前記第2のピン保持穴(42)は、前記第1のディスク(21)から遠ざかる側の軸方向に沿って、次第に前記回転軸(8)に近づくように傾斜したテーパ面(43)を有する請求項1から3のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  5. 前記各支持ピン(13)の第1の端部(13a)は、前記第2のディスク(22)から遠ざかる側の軸方向に沿って径方向幅寸法が次第に小さくなるテーパ形状とされ、
    前記各支持ピン(13)の第2の端部(13b)は、前記第1のディスク(21)から遠ざかる側の軸方向に沿って径方向幅寸法が次第に小さくなるテーパ形状とされている請求項1から4のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  6. 前記第1のピン保持穴(41)は、前記回転軸(8)の周方向に対向する周方向対向面(45)を更に有し、その周方向対向面(45)の間隔は軸方向に沿って一定とされ、
    前記第2のピン保持穴(42)は、前記回転軸(8)の周方向に対向する周方向対向面(45)を更に有し、その周方向対向面(45)の間隔は軸方向に沿って一定とされている請求項1から5のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  7. 前記第1のディスク(21)と前記第2のディスク(22)が軸方向に近づく方向の付勢力を前記第1のディスク(21)と前記第2のディスク(22)のうちの少なくとも一方に付与する付勢部材(73,83)を更に有する請求項1から6のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  8. 前記第1のディスク(21)は、前記柱部(23)の一端部を収容する第1の挿入穴(71)を有し、
    前記第2のディスク(22)は、前記柱部(23)の他端部を収容する第2の挿入穴(72)を有し、
    前記付勢部材(73)は、前記第1のディスク(21)の前記第2のディスク(22)から遠い側の側面に接触する第1の対向片(74)と、前記第2のディスク(22)の前記第1のディスク(21)から遠い側の側面に接触する第2の対向片(75)と、前記第1の対向片(74)と前記第2の対向片(75)を連結する連結片(76)とからなる、
    請求項7に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  9. 前記付勢部材(83)は、前記回転軸(8)の外周に装着された止め輪(35,84)と前記第1または第2のディスク(21、22)との間に組み込まれた皿ばねである請求項7に記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  10. 前記第1のディスク(21)と前記第2のディスク(22)は、その軸方向間隔が狭まる方向の相対変位を柱部(23)で規制されている請求項1から9のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の遊星ローラねじ式直動機構(1)と、
    前記遊星ローラねじ式直動機構(1)の前記回転軸(8)を回転駆動する電動モータ(3)と、
    前記遊星ローラねじ式直動機構(1)の外輪部材(5)と一体に移動するブレーキパッド(63)と、
    前記ブレーキパッド(63)に対向して配置されたブレーキディスク(60)と、
    を有する電動ブレーキ装置。
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