JP2020028247A - 疲労感軽減剤および疲労感軽減用飲食品組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
疲労感には、身体的な疲労感だけでなく、精神的な疲労感、さらには身体的な疲労感と精神的な疲労感とが複合的に関与したものも存在すると考えられている。身体的な疲労感と精神的な疲労感が複合的に関与した状態とは、例えば疲労感が蓄積すると、活動能力の減退や活動意欲の低下により、動きたくても動きづらい状態となってしまって精神的なストレスが蓄積した状態である。精神的な疲労感だけであれば、その原因となるストレスを解消するために運動を行うことが考えられるが、身体的な疲労感と精神的な疲労感とが複合的に関与している場合、運動によりかえってさらなる疲労感を蓄積してしまうといった新たな問題が生まれている。
しかし、水素が疲労感に与える影響については、十分な知見が存在しなかった。
具体的には、本発明は以下のとおりである。
〔2〕 前記倦怠感が、運動負荷後であって就寝前の倦怠感を含む、〔1〕に記載の疲労感軽減剤。
〔3〕 前記倦怠感の軽減が、身体のだるさの軽減、活力の向上、および精神的な疲れの軽減からなる群より選択される1または2以上を含む、〔1〕または〔2〕に記載の疲労感軽減剤。
〔4〕 運動負荷後の爽快感向上効果を有する、〔1〕〜〔3〕に記載の疲労感軽減剤。
〔5〕 前記倦怠感がVAS(Visual Analogue Scale)検査によって評価される、〔1〕〜〔4〕に記載の疲労感軽減剤。
〔6〕 1日1回以上、水素に換算して1日当たり0.06mg以上投与される、〔1〕〜〔5〕に記載の疲労感軽減剤。
〔7〕 一週間以上連続して投与される、〔6〕に記載の疲労感軽減剤。
〔8〕 疲労感を軽減するための飲食品組成物であって、〔1〕〜〔7〕に記載の疲労感軽減剤を含み、前記疲労感は倦怠感を含む、疲労感軽減用飲食品組成物。
〔9〕 飲料の形態である、〔8〕に記載の疲労感軽減用飲食品組成物。
〔10〕 水素含有量が0.06〜1.6mgである、〔8〕または〔9〕に記載の疲労感軽減用飲食品組成物。
〔11〕 〔1〕〜〔7〕に記載の疲労感軽減剤または〔8〕〜〔10〕に記載の飲食品組成物を投与することを含む、疲労感軽減作用を発揮させる方法(医療行為を除く)であって、前記疲労感は倦怠感を含む、方法。
本発明の一実施形態に係る疲労感軽減剤は、水素を有効成分とするものである。
ここで、本実施形態において、「疲労」とは、主に肉体的および精神的活動によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体活動能力や思考能力の減退状態をいう。「疲労感」とは、疲労が存在することを自覚する感覚をいい、多くの場合不快感と活動意欲の低下が認められる。
また、本実施形態における「倦怠感」とは、上記疲労の中でも特に身体の活動能力や思考能力の減退状態に起因して、活動意欲の低下があり、これらを自覚している感覚をいう。かかる倦怠感は、特に身体的な疲労感と精神的な疲労感とが複合的に関与した状態ということができる。
「倦怠感」は、例えば、身体のだるさ、脱力感、活動意欲、活力、精神的な疲れなどとして評価することができ、中でも、身体のだるさ、活力、精神的な疲れとして評価することが好適である。
これに対し、本実施形態に係る疲労感軽減剤においては、このような身体的な疲労感と精神的な疲労感との複合状態(すなわち、倦怠感が蓄積した状態)を軽減することができる。
「身体のだるさ」は、上記疲労感の中でも、身体の活動能力の減退状態と、これに伴う活動意欲の低下があり、これらを自覚している感覚をいう。
「活力」は、活動を生み出す力、元気よく動いたり働いたりする力をいい、活動意欲などとしても評価することができる。
「精神的な疲れ」は、上記疲労の中でも特に精神的活動能力の減退状態があり、それを自覚している感覚をいう。「精神的な疲れ」は、例えば、集中力・思考力の低下や感情の不安定化、意欲の低下などとして評価することもできる。
ここで、本実施形態において「就寝前」とは就寝前30分以内をいい、以下も同様である。例えば、「就寝前の倦怠感」とは、就寝前30分以内に自覚される倦怠感をいう。
また、本実施形態において、「運動負荷」とは上記疲労感を付与する肉体的活動をいい、以下も同様である。本実施形態の適用対象となる運動負荷は、例えば、カルボーネン法の計算式にもとづき、運動強度が50%以上(好ましくは50〜70%)となる心拍数が10分以上(好ましくは30〜60分程度)維持される程度の運動負荷であってよい。また、運動負荷は、就寝前10〜14時間の間に行われていることが好ましい。
「爽快感」は、爽やかで清々しい(晴れやかな)感覚をいう。なお、本実施形態の好ましい一態様においては、「運動負荷後の爽快感」が向上するものであるところ、かかる運動負荷後の爽快感は、味覚や嗅覚で知覚される爽快感(清涼感など)を含まない。運動負荷後の爽快感は、例えば、運動負荷による高揚感や満足感、運動を完遂した達成感、運動負荷による緊張状態や苦痛からの解放感、などとしても評価することができる。
かかる爽快感は、通常、運動負荷により向上し、運動負荷からの時間経過とともに低下している傾向が認められるが、本実施形態の好ましい一態様においては、運動負荷後の爽快感の低下を抑制することができ、非投与群と対比して運動負荷後の爽快感を向上させることができる。運動負荷後の爽快感向上効果は、例えば、運動負荷後20〜90分後において確認することができる。
疲労感軽減剤における水素の濃度は、0.1ppm以上であることが好ましく、0.3ppm以上であることがより好ましく、0.7ppm以上であることが特に好ましい。一方、疲労感軽減剤における水素濃度の上限値は特に限定されないが、例えば、3.0ppmであってよく、2.5ppm以下であってよい。水素濃度は、例えば溶存水素測定器で測定することができる。
なお、本実施形態における水素水は、水素分子を水に溶解または分散させたものを指す。ここで、大気中においても微量の水素は存在しており、大気圧下でも当該微量水素は水に溶けるが、本実施形態においては特に別途水素を添加していないイオン交換水、蒸留水等は水素水に含まれないものとした。
なお、出願人が販売する水素水の水素濃度は、工場出荷時から賞味期限までの間、未開封の場合0.3ppm以上を維持している。
疲労感軽減剤の投与回数等は、疲労感の症状に応じて適宜設定することができるが、例えば、投与回数は1日1回以上とすることが好ましい。投与量は、水素に換算して1日当たり0.06mg(0.2ppmの水素水×300mL)以上とすることが好ましく、0.15mg以上とすることがさらに好ましく、0.24mg以上とすることが特に好ましい。投与量の上限は特に限定されないが、例えば、水素に換算して1日当たり1.6mg(1.6ppm×1000mL)以下とすることができ、さらには1.2mg以下とすることができる。
本実施形態に係る疲労感軽減用飲食品組成物は、上記実施形態に係る疲労感軽減剤を含むものである。ここで、疲労感軽減用飲食品組成物により軽減される疲労感は、倦怠感を含む。
飲食品組成物の摂取方法、摂取回数、摂取量、摂取期間等は特に限定されないが、前述した疲労感軽減剤と同様であることが好ましい。
ここで、飲食品組成物に水素を含有させるにあたり、水素には味がないため、どのような飲食品組成物に添加しても素材の味に悪影響を与えない。水のように無味なものは無味のまま、苦味、甘みやえぐみなど人によっては不快感にもなり得る味わいがないため、どのような飲食品組成物にも添加が可能であり、そして少量添加するだけで疲労感(とりわけ倦怠感)の軽減効果があるため、日常の食品や飲料で簡単かつ自然に疲労感を軽減することができる。
飲料の形態とする場合は、そのまま飲用することができる、いわゆるRTD(Ready to Drink)形態の飲料として提供できるほか、水などに溶解して水素を発生させて飲用する、いわゆる顆粒タイプの飲料としても提供することができる。そのまま飲用できるRTD形態の飲料が、手軽に摂取できる観点から特に好ましい。
また、本実施形態に係る飲食品組成物における水素含有量は、1回当たりの摂取量を考慮し、1本または1個装あたり0.06mg以上であることが好ましく、0.15mg以上であることがさらに好ましく、0.24mg以上であることが特に好ましい。水素含有量の上限は特に限定されないが、例えば、1本または1個装あたり1.6mg以下とすることができ、さらには1.2mg以下とすることができる。
糖質としては、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類;などが挙げられ、黒糖蜜等の糖蜜を用いてもよい。
甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
このほか、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料;蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム等の増粘(安定)剤;レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁類等を添加してもよい。
さらに、これらの他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類;カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類;などを添加することが可能である。
殺菌方法は、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を適宜選択することができるが、水素濃度を可能な限り保持するという観点から、殺菌は容器封入後、容器ごと殺菌する方法が好ましい。殺菌方法としては、レトルト殺菌等があるが、容器ごと殺菌する方法であれば、高温の水を容器外部から浴びさせる方法等を選択することができる。
容器としては、缶(アルミニウム、スチール)、瓶(ガラス)、レトルトパウチ、PETボトル、紙容器等が挙げられるが、水素のバリア性が高い容器が好ましいことから、金属缶、金属積層フィルムを用いた容器(いわゆるパウチ形態の容器)、ガラス瓶を用いることが好ましい。
特許第5746411号に記載の方法に従い、中空糸モジュールを用いて脱気水に水素を吹き込んで高濃度水素水を調製し、これを飲み口付きアルミパウチに密封充填して加熱殺菌し、実施例飲料(1本300mL,水素濃度:0.87ppm)を製造した。なお、溶存水素濃度は、ユニセンス社溶存水素計を用いて測定した(検出限界:0.005ppm)。なお、かかる実施例飲料は、下記試験で使用するまで水素濃度がほとんど変化せず、未開封の状態で水素濃度0.85ppm以上を維持していた。
一方、水素を吹き込まず脱気水をそのまま飲み口付きアルミパウチに密封充填して加熱殺菌し、プラセボ飲料(1本300mL,水素濃度:0ppm)を製造した。
実施例飲料およびプラセボ飲料を用い、以下のようにして疲労感軽減効果を検証した。なお、運動負荷にはエルゴメーター(エアロバイク(登録商標)ai,コンビ社製)を用い、身体のだるさ、活力、精神的な疲れ、および爽快感の評価には、自己評価尺度であるVAS(Visual Analog Scale)を用いた。
被験者全員を無作為にA群およびB群の2群に分け、実施例飲料を摂取する試験とプラセボ飲料を摂取する試験との合計2回の試験を実施した(クロスオーバー試験)。被験者は、実施例飲料(1本300mL,水素濃度:0.85〜0.87ppm)またはプラセボ飲料(1本300mL,水素濃度:0ppm)を、1日1本、自由なタイミングで摂取させた。
(1)A群には実施例飲料を、B群にはプラセボ飲料を、それぞれ1週間摂取させた(300mL/1本,1日1回1本の自由摂取,各回の摂取タイミングは起床〜就寝まで任意の間で被験者の任意とした。)。
(2)摂取期間後の運動負荷試験
(2−1)運動負荷試験当日は、朝食を欠食
(2−2)運動前の疲労感調査(VAS)
(2−3)運動40分前に食事を摂取
(2−4)強度60%の運動負荷を50分間実施
(2−5)運動直後の疲労感調査(VAS),調査後に実施例飲料またはプラセボ飲料を摂取
(2−6)運動60分後の疲労感調査(VAS)
(2−7)運動10〜14時間後であって就寝前30分以内の疲労感調査(VAS)
(3)実施例飲料およびプラセボ飲料を摂取させない期間(ウォッシュアウト期間)を1週間設けた。
(4)A群およびB群を入れ替え(A群:プラセボ飲料,B群:実施例飲料)、(1)および(2)の試験を実施(クロスオーバー試験)。
かかる運動前の数値と特定時点の数値との差分について、平均値を算出するとともに、有意確率(p)を算出し、これらの平均値の差異が有意な差異であるか否かを評価した。なお、有意確率pは、SPSS14.0を使用しt検定を行うことで算出した。判断基準としては、p≦0.05を有意差ありとし、p≦0.1を有意傾向ありとして、評価を行った。
結果を図1〜図4に示す。
「身体のだるさ」について、運動前と運動後就寝前とのVAS結果の差分が、プラセボ飲料群では平均値19.7であるのに対し、実施例飲料群では8.5であり、両群の有意確率p=0.039であったことから、就寝前の身体のだるさは実施例飲料群において有意に軽減されていると認められた。ここで、プラセボ飲料群においては、運動負荷60分後(VAS結果平均値:13.3)と比べて就寝前(同19.7)の値が増えており、身体のだるさが就寝前にぶり返す傾向が認められたが、実施例飲料群においてはぶり返しが観察されなかった。
同様に、就寝前の「精神的な疲れ」が、プラセボ飲料群(運動前との差分の平均:14.3)と実施例飲料群(同1.3)との両群の有意確率p=0.064であり、運動後就寝前の精神的な疲れが実施例飲料群において軽減されている傾向が認められた。
Claims (11)
- 疲労感軽減剤であって、水素を有効成分とし、前記疲労感は倦怠感を含む、疲労感軽減剤。
- 前記倦怠感が、運動負荷後であって就寝前の倦怠感を含む、請求項1に記載の疲労感軽減剤。
- 前記倦怠感の軽減が、身体のだるさの軽減、活力の向上、および精神的な疲れの軽減からなる群より選択される1または2以上を含む、請求項1または2に記載の疲労感軽減剤。
- 運動負荷後の爽快感向上効果を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疲労感軽減剤。
- 前記倦怠感がVAS(Visual Analogue Scale)検査によって評価される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の疲労感軽減剤。
- 1日1回以上、水素に換算して1日当たり0.06mg以上投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の疲労感軽減剤。
- 一週間以上連続して投与される、請求項6に記載の疲労感軽減剤。
- 疲労感を軽減するための飲食品組成物であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の疲労感軽減剤を含み、前記疲労感は倦怠感を含む、疲労感軽減用飲食品組成物。
- 飲料の形態である、請求項8に記載の疲労感軽減用飲食品組成物。
- 水素含有量が0.06〜1.6mgである、請求項8または9に記載の疲労感軽減用飲食品組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の疲労感軽減剤または請求項8〜10のいずれか一項に記載の飲食品組成物を投与することを含む、疲労感軽減作用を発揮させる方法(医療行為を除く)であって、前記疲労感は倦怠感を含む、方法。
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