JP2020026530A - 硬化型組成物 - Google Patents
硬化型組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020026530A JP2020026530A JP2019146015A JP2019146015A JP2020026530A JP 2020026530 A JP2020026530 A JP 2020026530A JP 2019146015 A JP2019146015 A JP 2019146015A JP 2019146015 A JP2019146015 A JP 2019146015A JP 2020026530 A JP2020026530 A JP 2020026530A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- group
- meth
- weight
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
【課題】硬化性に優れ、得られる硬化膜が基材に対する密着性、特にプラスチック基材に対する密着性に優れ、表面硬度及び防曇性に優れる硬化性組成物、さらには、適用するプラスチック基材の種類、特にABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合においても、硬化膜の外観不良が発生することなく、密着性に優れる硬化型組成物の提供。【解決手段】下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む硬化型組成物。(A)成分:エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物(B)成分:親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物(C)成分:重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体【選択図】なし
Description
本発明は、硬化型組成物に関し、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物に関する。本発明の組成物の硬化膜は、プラスチック基材への密着性に優れ、プラスチック表面の曇り止め(防曇コーティング剤)やプラスチックへの埃等の付着防止を目的としたコーティング剤として好ましく使用することができ、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アリル基及び/又はメタリル基を(メタ)アリル基と表す。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アリル基及び/又はメタリル基を(メタ)アリル基と表す。
活性エネルギー線硬化型組成物は、紫外線、可視光線及び電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、生産性が高いことから各種基材向けインキ及びコーティングとして幅広く用いられている。
プラスチック板及びプラスチックフィルム等のプラスチック基材は、表面の傷付き等を防止する目的でハードコート剤で表面を保護されるが、当該用途にも活性エネルギー線硬化型組成物が使用されている。
プラスチック板及びプラスチックフィルム等のプラスチック基材は、表面の傷付き等を防止する目的でハードコート剤で表面を保護されるが、当該用途にも活性エネルギー線硬化型組成物が使用されている。
プラスチック基材は透明性が高いため、保護眼鏡、ゴーグル、浴室の内壁、並びに自動車及びオートバイ等のヘッドランプカバー及びリアランプカバー等に使用されるが、高温多湿の場所又は温度差や湿度差が大きい場所で使用された場合においては、その表面に結露が生じるため曇り、透明性が失われることがある。
これらの問題を解決するために、従来より、非反応性の界面活性剤からなる防曇性組成物を基材表面に塗工する方法が行われているが、この方法は、塗工後の初期においては防曇効果が発揮されるものの、一旦処理面を払拭すると防曇性が低下してしまう、すなわち防曇持続性に欠けるものであった。
又、有機溶剤で希釈された親水性のポリマーからなる防曇性組成物を、基材表面に塗工する方法もあるが、その硬化膜硬度が不十分であり、耐溶剤性が不十分である上、防曇性も満足がいくものではなかった。
これらの問題を解決するために、従来より、非反応性の界面活性剤からなる防曇性組成物を基材表面に塗工する方法が行われているが、この方法は、塗工後の初期においては防曇効果が発揮されるものの、一旦処理面を払拭すると防曇性が低下してしまう、すなわち防曇持続性に欠けるものであった。
又、有機溶剤で希釈された親水性のポリマーからなる防曇性組成物を、基材表面に塗工する方法もあるが、その硬化膜硬度が不十分であり、耐溶剤性が不十分である上、防曇性も満足がいくものではなかった。
上記問題を解決するため、近年、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線により硬化する防曇性組成物が提案されている。具体的には、親水性基含有紫外線硬化型樹脂と親水性基非含有紫外線硬化型硬化性樹脂からなる防曇組成物(特許文献1)や、親水性のポリマーと各種親水性(メタ)アクリレートからなる防曇性組成物が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、これらの組成物では、高湿度下の環境においては、防曇性が発現しないという問題があった。
しかしながら、これらの組成物では、高湿度下の環境においては、防曇性が発現しないという問題があった。
又、親水性モノマーと非反応性界面活性剤からなる防曇性組成物も提案されているが(特許文献3)、当該組成物は、硬化膜表面を払拭すれば防曇性が低下してしまい、防曇持続性に欠けるものであった。
さらに、特定の(メタ)アクリレートと当該(メタ)アクリレートと反応性を有する界面活性剤とを組み合わせた組成物が、表面硬度に優れ、防曇持続性に優れると提案されている(特許文献4)。
しかしながら、当該組成物で使用される(メタ)アクリレートは比較的分子量が大きいオリゴマーであるため、相対的に分子全体に占める(メタ)アクリロイル基のモル分率が低いために、表面硬度は不十分であり、又(メタ)アクリレートの親水性も不十分であり、防曇性の改善が必要であった。又、当該組成物で良好な防曇性を得るためには、界面活性剤の配合量を多くせざるを得ず、ハードコート性との両立が困難であった。
本発明者らは、硬化性に優れ、得られる硬化膜が基材に対する密着性、特にプラスチック基材に対する密着性に優れ、表面硬度が良好でハードコート剤として好ましく使用可能であり、さらに良好な防曇性を有する硬化性組成物を見出すため鋭意検討を行った結果、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物と親水性のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む硬化型組成物を見出している。
しかしながら、当該組成物は、形成される硬化膜が表面硬度が高く防曇持続性を発現するものであったが、適用するプラスチック基材の種類、特にABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合には、硬化膜の外観や密着性が不十分となることがあった。
本発明者らは、硬化性に優れ、得られる硬化膜が基材に対する密着性、特にプラスチック基材に対する密着性に優れ、表面硬度及び防曇性に優れる硬化性組成物、さらには、適用するプラスチック基材の種類、特にABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合においても、硬化膜の外観不良が発生することなく、密着性に優れる硬化型組成物を提供することを課題として鋭意検討を行った。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、プラスチック基材に塗工後の被膜、又は有機溶剤を含む場合は、加熱・乾燥した後の被膜に、はじきが発生している場合に、最終的に得られる硬化膜が外観不良を起こすことを見出した。
そこで、はじきの発生を防止する様に、組成物を高粘度化できれば前記課題を解決できるのではないかとの着想のもと鋭意検討した結果、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物、親水性のエチレン性不飽和基を有する化合物及び特定重量平均分子量を有する疎水性重合体を含む組成物が、ABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合であっても、硬化膜の外観、密着性及び表面硬度に優れ、防曇性及びその持続性に優れる硬化膜を形成することを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
そこで、はじきの発生を防止する様に、組成物を高粘度化できれば前記課題を解決できるのではないかとの着想のもと鋭意検討した結果、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物、親水性のエチレン性不飽和基を有する化合物及び特定重量平均分子量を有する疎水性重合体を含む組成物が、ABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合であっても、硬化膜の外観、密着性及び表面硬度に優れ、防曇性及びその持続性に優れる硬化膜を形成することを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物によれば、硬化性に優れ、得られる硬化膜が基材に対する密着性、表面硬度及び防曇性に優れる。さらに、形成される硬化膜はABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチック基材に適用する場合であっても、硬化膜の外観及び密着性が良好で表面硬度が高く、良好な防曇持続性を発現する。
このため、本発明の組成物は、硬化膜にこれらの性能が要求される保護眼鏡、ゴーグル等のコーティング、自動車やオートバイ等のヘッドランプやリアランプカバーのコーティング剤等に好ましく適用することができる。
このため、本発明の組成物は、硬化膜にこれらの性能が要求される保護眼鏡、ゴーグル等のコーティング、自動車やオートバイ等のヘッドランプやリアランプカバーのコーティング剤等に好ましく適用することができる。
本発明は、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む硬化型組成物(以下、単に「組成物」ということもある)に関する。
(A)成分:エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物
(B)成分:親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体
以下、必須成分である(A)成分〜(C)成分、その他の成分、及び使用方法等について説明する。
(A)成分:エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物
(B)成分:親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体
以下、必須成分である(A)成分〜(C)成分、その他の成分、及び使用方法等について説明する。
1.(A)成分
(A)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物である。
(A)成分は、組成物を硬化させることで、硬化膜に良好な防曇性や埃付着防止に必要な低い表面抵抗を与える成分である。
(A)成分は、エチレン性不飽和基が反応して硬化膜中にイオン性基を化学的に結合することで、硬化膜表面を濡らしたり払拭したりしても優れた防曇性を維持することができ、繰り返し防曇性に優れるものとすることができる。
(A)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物である。
(A)成分は、組成物を硬化させることで、硬化膜に良好な防曇性や埃付着防止に必要な低い表面抵抗を与える成分である。
(A)成分は、エチレン性不飽和基が反応して硬化膜中にイオン性基を化学的に結合することで、硬化膜表面を濡らしたり払拭したりしても優れた防曇性を維持することができ、繰り返し防曇性に優れるものとすることができる。
(A)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物であれば、種々の化合物を使用することができる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、及びスチリル基等を挙げることができる。
(A)成分のエチレン性不飽和基としては、後記する(B)成分、並びに(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)〔以下、「(D)成分」という〕との反応性が良好であり、かつ硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、及びスチリル基等を挙げることができる。
(A)成分のエチレン性不飽和基としては、後記する(B)成分、並びに(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)〔以下、「(D)成分」という〕との反応性が良好であり、かつ硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
(A)成分はイオン性基を有していることにより、組成物の硬化膜が本来有するハードコート性を損なうことなく防曇性や低い表面抵抗を得ることができるうえ、より少量の含有割合でも当該効果を奏することができる。
(A)成分において、イオン性基としては強酸の塩が挙げられ、具体的にはスルホン酸アンモニウム、スルホン酸ナトリウム及びスルホン酸カリウム等のスルホン酸塩、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩、並びにカルボン酸アンモニウム、カルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウム等のカルボン酸塩等を挙げることができる。
(A)成分において、イオン性基としては強酸の塩が挙げられ、具体的にはスルホン酸アンモニウム、スルホン酸ナトリウム及びスルホン酸カリウム等のスルホン酸塩、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩、並びにカルボン酸アンモニウム、カルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウム等のカルボン酸塩等を挙げることができる。
(A)成分のイオン性基としては、(A)成分の含有割合をより少量にした場合であっても所望の効果が得られることから、スルホン酸基の塩及びアルキル硫酸基の塩が好ましい。
さらに、スルホン酸塩を構成する対カチオンとしては、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン及び第4級アンモニウムイオンを挙げることができる。
具体的には、第2級アンモニウムイオンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジ−2−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−2−ブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジ−2−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジ−2−ヘキシルアミン、ジ−3−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエタノールアミン及びエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
第3級アンモニウムイオンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−1−プロピルアミン、トリ−2−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−2−ブチルアミン、トリ−1−ペンチルアミン、トリ−2−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ−1−ヘキシルアミン、トリ−2−ヘキシルアミン、トリ−3−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン及びビス(2−メトキシエチル)メチルアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
これらの中でも、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることが好ましく、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがより好ましく、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがさらに好ましく、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが特に好ましい。
さらに、スルホン酸塩を構成する対カチオンとしては、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン及び第4級アンモニウムイオンを挙げることができる。
具体的には、第2級アンモニウムイオンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジ−2−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−2−ブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジ−2−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジ−2−ヘキシルアミン、ジ−3−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエタノールアミン及びエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
第3級アンモニウムイオンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−1−プロピルアミン、トリ−2−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−2−ブチルアミン、トリ−1−ペンチルアミン、トリ−2−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ−1−ヘキシルアミン、トリ−2−ヘキシルアミン、トリ−3−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン及びビス(2−メトキシエチル)メチルアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
これらの中でも、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることが好ましく、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがより好ましく、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがさらに好ましく、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが特に好ましい。
(A)成分のイオン性基は、アルキル基、アルキルベンゼン基及びアルキレンオキサイド基等を介してエチレン性不飽和基に結合していることが好ましい。
(A)成分としては、下記(A−1)及び(A−2)成分が例示でき、いずれも使用可能である。
(A−1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンとからなる化合物
(A−2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンとからなる化合物
(A−1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンとからなる化合物
(A−2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンとからなる化合物
(A−1)成分は、1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンとからなる化合物である。
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンにおけるカチオン性基としては、例えばアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾリウムイオン、トリアジニウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、及びモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が例示できる。
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンにおけるカチオン性基としては、例えばアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾリウムイオン、トリアジニウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、及びモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が例示できる。
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンの具体例としては、ジメチルモノ(メタ)アクリル酸エチルアンモニウムイオン〔ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級アンモニウムイオン〕、及びジエチルモノ(メタ)アクリル酸エチルアンモニウムイオン〔ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級アンモニウムイオン〕等のジアルキルモノ(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウムイオン、並びに1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−(メタ)アクリレートピペリジニウムイオン等を好適なものとして挙げることができる。
尚、上記のアンモニウムイオンにおいて、窒素原子上の置換基であることを示す「N−」や「N,N−」等の記載は省略する。
尚、上記のアンモニウムイオンにおいて、窒素原子上の置換基であることを示す「N−」や「N,N−」等の記載は省略する。
(A−1)成分を構成するアニオンとしては、スルホン酸誘導体、臭化物イオン及びトリフラート等のハロゲン系アニオン、テトラフェニルボレート等のホウ素系アニオン、並びにヘキサフルオロホスフェート等のリン系アニオン等が挙げられる。
前記アニオンとしては、スルホン酸誘導体が好ましい。スルホン酸誘導体の具体例としては、アルコキシポリエチレングリコールスルホン酸のアニオン等のポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオン、及びイソプロピルベンゼンスルホン酸のアニオン等のアルキル基含有芳香族スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
前記アニオンとしては、スルホン酸誘導体が好ましい。スルホン酸誘導体の具体例としては、アルコキシポリエチレングリコールスルホン酸のアニオン等のポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオン、及びイソプロピルベンゼンスルホン酸のアニオン等のアルキル基含有芳香族スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
(A−1)成分としては、ジアルキルモノ(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウムイオンと、スルホン酸のアニオンとからなる化合物であることが好ましい。さらに、スルホン酸のアニオンとしては、ポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオンが好ましい。
当該化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
当該化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
前記式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は、分岐していても良い炭素数が1〜12のアルキレン基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立して、分岐していても良い炭素数1〜10のアルキル基を表し、X-は、アルキル硫酸イオン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸イオン、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン又はアルキルベンゼンスルホン酸イオンを表す。
R3及びR4は、分岐していても良い炭素数が1〜12のアルキレン基である。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等が挙げられる。
R3及びR4は、それぞれ独立して、分岐していても良い炭素数1〜10のアルキル基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げられる。
R3及びR4は、それぞれ独立して、分岐していても良い炭素数1〜10のアルキル基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げられる。
X-は、アルキル硫酸イオン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸イオン、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン又はアルキルベンゼンスルホン酸イオンである。
良好な防曇性を発現するためには、(A)成分は硬化膜表面近傍に存在する必要があるが、一般的に組成物塗工後の塗膜表面には疎水性が強い成分が配向しやすい。よって、これらの基におけるアルキル基としては、疎水性が高くなるように炭素数が6以上のアルキル基が好ましく、炭素数6〜20のアルキル基が好ましい。
これらの基におけるポリオキシアルキレン単位の例としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、及びポリオキシテトラメチレン単位等が挙げられる。
良好な防曇性を発現するためには、(A)成分は硬化膜表面近傍に存在する必要があるが、一般的に組成物塗工後の塗膜表面には疎水性が強い成分が配向しやすい。よって、これらの基におけるアルキル基としては、疎水性が高くなるように炭素数が6以上のアルキル基が好ましく、炭素数6〜20のアルキル基が好ましい。
これらの基におけるポリオキシアルキレン単位の例としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、及びポリオキシテトラメチレン単位等が挙げられる。
(A−1)成分は、市販品を使用することができる。
例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、広栄化学工業(株)製商品名「IL−MA1」、「IL−MA2」及び「IL−MA3」;
アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JI−62C01」及び「JI−63F01」;並びに
メタクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとしてアルキル硫酸とを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JNA−04006」等が挙げられる。
例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、広栄化学工業(株)製商品名「IL−MA1」、「IL−MA2」及び「IL−MA3」;
アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JI−62C01」及び「JI−63F01」;並びに
メタクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとしてアルキル硫酸とを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JNA−04006」等が挙げられる。
(A−2)成分は、1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンとからなる化合物である。
(A−2)成分の具体例としては、アニオン性基がスルホン酸イオンである例としては以下の例が挙げられる。
即ち、カチオンがアンモニウムイオンの例である、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルアンモニウム塩、
カチオンがナトリウムイオンである、2−ソディウムスルホエチルメタクリレート、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩、(メタ)クリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩、及びビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルナトリウム塩等を挙げることができる。
(A−2)成分の具体例としては、アニオン性基がスルホン酸イオンである例としては以下の例が挙げられる。
即ち、カチオンがアンモニウムイオンの例である、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルアンモニウム塩、
カチオンがナトリウムイオンである、2−ソディウムスルホエチルメタクリレート、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩、(メタ)クリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩、及びビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルナトリウム塩等を挙げることができる。
(A−2)成分としては、市販品を使用することができる。
その具体例としては、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンKH−10」及び「アクアロンKH−1025」、「アクアロンKH−05」;
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−1025」、「アクアロンBC−0515」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−1025」及び「アクアロンBC−20」及び「アクアロンBC−2020」;
α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩としては、(株)ADEKA製の商品名「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」「アデカリアソープSR−1025」及び「アデカリアソープSR−3025」;
ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS−60」;
アルキル・アリルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス SAD」;
2−ソディウムスルホエチルメタクリレートとしては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS−2N」;
アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールJS−20」;並びに
メタクリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールRS−3000」等が挙げられる。
その具体例としては、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンKH−10」及び「アクアロンKH−1025」、「アクアロンKH−05」;
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−1025」、「アクアロンBC−0515」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−1025」及び「アクアロンBC−20」及び「アクアロンBC−2020」;
α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩としては、(株)ADEKA製の商品名「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」「アデカリアソープSR−1025」及び「アデカリアソープSR−3025」;
ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS−60」;
アルキル・アリルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス SAD」;
2−ソディウムスルホエチルメタクリレートとしては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS−2N」;
アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールJS−20」;並びに
メタクリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールRS−3000」等が挙げられる。
(A)成分において、(A−1)と(A−2)成分を目的に応じて選択すれば良い。
(A)成分としては、(A−1)成分が、(A−2)成分と比較して防曇持続性により優れるため好ましい。
(A−1)成分の防曇持続性により優れる理由の詳細は不明であるが、おそらく(A−2)成分を構成する対イオンであるカチオンがナトリウム及びカリウム等の金属カチオンの場合は、親水性が極めて高いために水と接触するとこれらが容易に硬化膜から溶出し、防曇性が持続しにくいものと考えられる。カチオンとして、アンモニウムイオン等非金属のカチオンを用いれば親水性は若干低くなり防曇持続性の向上が期待されるものの、一般的に入手可能な化合物は比較的低分子量のものに限られるため、経時での溶出を十分に防ぐことができず防曇持続性が不十分になるものと考えられる。
これに対して、(A−1)成分を構成する対イオンであるアニオン(例えば、アルキルスルホン酸イオンやアルキルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルナフタレンスルホン酸イオン、及びポリオキシエチレンアルキル硫酸イオン)はやや疎水性を有しているため、硬化膜表面の水分による溶出が少なくなるものと推測している。又、これらのアニオンがポリオキシアルキレンエーテル構造を有すると、ラジカル重合過程においてエーテル基上に生成したラジカルの作用により硬化膜と化学結合が形成されるため、防曇持続性が一層向上するものと考えられる。
さらに、紫外線照射量が上昇した場合においては、防曇性の観点から、(A−1)と(A−2)成分を併用することが好ましい。これは、紫外線照射量が上昇すると硬化膜表面の架橋密度が高くなることを抑制し、防曇性能を発現する成分の運動性を適度に維持し、防曇性能により優れる。安定した防曇性を発現するためには、(B)成分、及び(D)成分と共重合性が大きく異なり、(A)成分の濃度を局所的に高くする設計とすることが好ましく、具体的には(A−1)成分と(A−2)成分とを併用することで、この目的を達成することができる。
(A)成分としては、(A−1)成分が、(A−2)成分と比較して防曇持続性により優れるため好ましい。
(A−1)成分の防曇持続性により優れる理由の詳細は不明であるが、おそらく(A−2)成分を構成する対イオンであるカチオンがナトリウム及びカリウム等の金属カチオンの場合は、親水性が極めて高いために水と接触するとこれらが容易に硬化膜から溶出し、防曇性が持続しにくいものと考えられる。カチオンとして、アンモニウムイオン等非金属のカチオンを用いれば親水性は若干低くなり防曇持続性の向上が期待されるものの、一般的に入手可能な化合物は比較的低分子量のものに限られるため、経時での溶出を十分に防ぐことができず防曇持続性が不十分になるものと考えられる。
これに対して、(A−1)成分を構成する対イオンであるアニオン(例えば、アルキルスルホン酸イオンやアルキルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルナフタレンスルホン酸イオン、及びポリオキシエチレンアルキル硫酸イオン)はやや疎水性を有しているため、硬化膜表面の水分による溶出が少なくなるものと推測している。又、これらのアニオンがポリオキシアルキレンエーテル構造を有すると、ラジカル重合過程においてエーテル基上に生成したラジカルの作用により硬化膜と化学結合が形成されるため、防曇持続性が一層向上するものと考えられる。
さらに、紫外線照射量が上昇した場合においては、防曇性の観点から、(A−1)と(A−2)成分を併用することが好ましい。これは、紫外線照射量が上昇すると硬化膜表面の架橋密度が高くなることを抑制し、防曇性能を発現する成分の運動性を適度に維持し、防曇性能により優れる。安定した防曇性を発現するためには、(B)成分、及び(D)成分と共重合性が大きく異なり、(A)成分の濃度を局所的に高くする設計とすることが好ましく、具体的には(A−1)成分と(A−2)成分とを併用することで、この目的を達成することができる。
(A)成分は、常温では固体であることが多く、組成物への配合し易さ等の取り扱い上の問題から、有機溶剤や反応性希釈剤で希釈したものが好ましい。
有機溶剤としては、後記する水酸基を有する化合物であって、エチレン性不飽和基を有しない化合物(E)〔以下、「(E)成分」という〕以外の化合物を使用することが好ましく、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、並びに酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
反応性希釈剤の例としては、後記する(B)成分、及び(D)成分等が挙げられる。
有機溶剤としては、後記する水酸基を有する化合物であって、エチレン性不飽和基を有しない化合物(E)〔以下、「(E)成分」という〕以外の化合物を使用することが好ましく、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、並びに酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
反応性希釈剤の例としては、後記する(B)成分、及び(D)成分等が挙げられる。
(A)成分の含有割合としては目的に応じて適宜設定すれば良く、(A)成分及び(B)成分合計100重量%中に、後記(D)成分を含む場合は、(A)成分、(B)成分、及び(D)成分の合計100重量%中に1〜30重量%含むことが好ましく、より好ましくは3〜20重量%である。
(A)成分の割合を1重量%以上含むことにより、硬化膜の防曇性が優れるものとなり、30重量%以下とすることより、防曇性を付与するために十分な親水性と、長時間高温・高湿度下にさらされても吸水による膨潤剥離のない耐水性とを両立した硬化膜となる。
尚、以下において、エチレン性不飽和基を有する化合物群である(A)成分及び(B)成分、又は(A)成分、(B)成分、及び(D)成分を「硬化性成分」という。
(A)成分の割合を1重量%以上含むことにより、硬化膜の防曇性が優れるものとなり、30重量%以下とすることより、防曇性を付与するために十分な親水性と、長時間高温・高湿度下にさらされても吸水による膨潤剥離のない耐水性とを両立した硬化膜となる。
尚、以下において、エチレン性不飽和基を有する化合物群である(A)成分及び(B)成分、又は(A)成分、(B)成分、及び(D)成分を「硬化性成分」という。
2.(B)成分
(B)成分は、親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物であり、硬化膜の密着性及び硬度を向上させるための成分である。
又、(A)成分を製造する工程においては、アルキル硫酸アンモニウムやスルホン酸アンモニウムを原料として用いるが、製造工程においてこれらから発生するアンモニアが(A)成分のエチレン性不飽和結合に付加する反応も起こり、エチレン性不飽和基がアミノ基に変換されてしまう(以下、「副生成物A−AM」という)。よって、副生成物A−AMは組成物の硬化膜中に化学結合しておらず、硬化膜表面の水分により洗い流され、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基が消失してしまい、防曇性持続性が低下してしまう。
(B)成分のエチレン性不飽和基は、副生成物A−AMのアミノ基と反応することができる。さらに、(B)成分は副生成物A−AMと反応したとしても、(B)成分に由来するエチレン性不飽和基を有するために、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基を取り込むことができる。
(B)成分は、親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物であり、硬化膜の密着性及び硬度を向上させるための成分である。
又、(A)成分を製造する工程においては、アルキル硫酸アンモニウムやスルホン酸アンモニウムを原料として用いるが、製造工程においてこれらから発生するアンモニアが(A)成分のエチレン性不飽和結合に付加する反応も起こり、エチレン性不飽和基がアミノ基に変換されてしまう(以下、「副生成物A−AM」という)。よって、副生成物A−AMは組成物の硬化膜中に化学結合しておらず、硬化膜表面の水分により洗い流され、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基が消失してしまい、防曇性持続性が低下してしまう。
(B)成分のエチレン性不飽和基は、副生成物A−AMのアミノ基と反応することができる。さらに、(B)成分は副生成物A−AMと反応したとしても、(B)成分に由来するエチレン性不飽和基を有するために、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基を取り込むことができる。
(B)成分において、親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン基及びリン酸基等が挙げられ、硬化膜性能に優れる点で水酸基がより好ましい。
(B)成分のエチレン性不飽和基としては、組成物の硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がさらに好ましい。
(B)成分のエチレン性不飽和基としては、組成物の硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がさらに好ましい。
(B)成分の好ましい例としては、水酸基と1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「水酸基含有単官能(メタ)アクリレート」という〕、及び水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という〕
水酸基含有単官能(メタ)アクリレートの例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート;並びに
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレートのポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
水酸基含有単官能(メタ)アクリレートの例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート;並びに
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレートのポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
これら化合物の中でも、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートが、硬化膜が繰り返し防曇性に優れるうえ、表面硬度に優れる点で好ましい。その具体例は前記した通りである。
さらに、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、グリセリンジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
さらに、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、グリセリンジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(B)成分の含有割合としては目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計100重量%中に10〜97重量%含むことが好ましく、より好ましくは40〜80重量%である。
(B)成分の割合を10重量%以上含むことにより、プラスチックへの密着性に優れたものとなり、97重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
(B)成分の割合を10重量%以上含むことにより、プラスチックへの密着性に優れたものとなり、97重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
3.(C)成分
(C)成分は、重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体である。
(C)成分は、組成物に配合することにより、少量の配合で組成物を増粘させ適切な粘度に調整することができるうえ、硬化膜の防曇性と低下させることがなく、ABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチックへの密着性に優れるものとすることができる。
本発明において、疎水性重合体とは、重合体中に親水性基を有しない重合体を意味する。親水性基としては、水酸基、並びにカルボキシル基、スルホン基及びリン酸基等の酸性基等が挙げられる。
(C)成分は、重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体である。
(C)成分は、組成物に配合することにより、少量の配合で組成物を増粘させ適切な粘度に調整することができるうえ、硬化膜の防曇性と低下させることがなく、ABS樹脂等のケトン系溶剤やエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さないプラスチックへの密着性に優れるものとすることができる。
本発明において、疎水性重合体とは、重合体中に親水性基を有しない重合体を意味する。親水性基としては、水酸基、並びにカルボキシル基、スルホン基及びリン酸基等の酸性基等が挙げられる。
(C)成分を構成する疎水性重合体としては、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ポリウレア、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられ、ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
(C)成分の重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、100,000〜5,000,000であり、200,000〜2,000,000が好ましい。Mwを100,000以上とすることで、増粘に必要な添加部数を少なくでき、基材に対するはじきを防止し、組成物の防曇性の低下を防止することができる。Mwが100,000に満たない場合は、基材に対するはじきが発生してしまい、一方、Mwが5,000,000を超過すると、組成物への相溶性が低下してしまう。
尚、本発明において重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたゲルパーミエションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により求めた値を意味する。
(C)成分の重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、100,000〜5,000,000であり、200,000〜2,000,000が好ましい。Mwを100,000以上とすることで、増粘に必要な添加部数を少なくでき、基材に対するはじきを防止し、組成物の防曇性の低下を防止することができる。Mwが100,000に満たない場合は、基材に対するはじきが発生してしまい、一方、Mwが5,000,000を超過すると、組成物への相溶性が低下してしまう。
尚、本発明において重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたゲルパーミエションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により求めた値を意味する。
(C)成分としては粒子状のものが好ましく、その平均粒径としては1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは4〜12μmである。
本発明における平均粒径とは、レーザー回折法により波長680nmで測定した値を意味する。
(C)成分の含有割合としては、防曇性への影響を考慮するとより少量の添加量で増粘できることが好ましく、有機溶剤を除いた組成物全体量、即ち組成物の固形分に対して100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
本発明における平均粒径とは、レーザー回折法により波長680nmで測定した値を意味する。
(C)成分の含有割合としては、防曇性への影響を考慮するとより少量の添加量で増粘できることが好ましく、有機溶剤を除いた組成物全体量、即ち組成物の固形分に対して100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
4.硬化型組成物
本発明の組成物は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を必須成分として含む硬化型組成物である。
本発明の組成物の製造方法としては、必須成分である(A)成分〜(C)成分、並びに必要に応じて後記するその他の成分を撹拌・混合すれば良い。
本発明の組成物は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を必須成分として含む硬化型組成物である。
本発明の組成物の製造方法としては、必須成分である(A)成分〜(C)成分、並びに必要に応じて後記するその他の成分を撹拌・混合すれば良い。
(A)成分〜(C)成分、並びに必要に応じて後記するその他の成分を混合する場合、必要に応じて加熱して撹拌しても良い。加熱して撹拌・混合する場合の温度としては、40〜90℃の範囲であることが好ましい。但し、後記熱重合開始剤を配合する場合は、組成物製造時に重合することを防ぐために、30℃以下で行うことが好ましい。
組成物の粘度としては、使用する用途及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
本発明の組成物の粘度は、塗工方法や目的に合わせて任意に調整すればよく、塗工後の被膜がはじきを起こさないような粘調の液性、有機溶剤を含む場合は、これを塗工し乾燥工程で溶剤が揮発した被膜が、はじきを起こさないような粘調の液性を示すことが重要である。
より具体的には、バーコーター等の塗工装置を使用する場合は、本発明の組成物は(C)成分を含むため粘調な組成物であり、粘調の液体をそのまま使用することができ、この場合の粘度は測定し難い。
一方、スプレーコート等の塗工装置を使用する場合は、有機溶剤を含む組成物とすることが好ましく、この場合の好ましい粘度としては、5〜100,000mPa・sであり、より好ましくは10〜10,000mPa・sである。粘度が高くなると薄膜で表面平滑性に優れる硬化膜を得られにくいため、適宜溶剤で所望の粘度に調整すればよい。
本発明において粘度とは、E型粘度計(コーン型粘度計)により25℃で測定した値を意味する。
本発明の組成物の粘度は、塗工方法や目的に合わせて任意に調整すればよく、塗工後の被膜がはじきを起こさないような粘調の液性、有機溶剤を含む場合は、これを塗工し乾燥工程で溶剤が揮発した被膜が、はじきを起こさないような粘調の液性を示すことが重要である。
より具体的には、バーコーター等の塗工装置を使用する場合は、本発明の組成物は(C)成分を含むため粘調な組成物であり、粘調の液体をそのまま使用することができ、この場合の粘度は測定し難い。
一方、スプレーコート等の塗工装置を使用する場合は、有機溶剤を含む組成物とすることが好ましく、この場合の好ましい粘度としては、5〜100,000mPa・sであり、より好ましくは10〜10,000mPa・sである。粘度が高くなると薄膜で表面平滑性に優れる硬化膜を得られにくいため、適宜溶剤で所望の粘度に調整すればよい。
本発明において粘度とは、E型粘度計(コーン型粘度計)により25℃で測定した値を意味する。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物として使用することも、熱硬化型組成物として使用することもできるが、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用することができる。
本発明の組成物は、前記(A)成分〜(C)成分を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分としては、具体的には、(D)成分〔前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〕、(E)成分〔エチレン性不飽和基を有しない水酸基含有化合物〕、光重合開始剤〔以下、「(F)成分」という〕、及び熱重合開始剤〔以下、「(G)成分」という〕等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の組成物は、前記(A)成分〜(C)成分を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分としては、具体的には、(D)成分〔前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〕、(E)成分〔エチレン性不飽和基を有しない水酸基含有化合物〕、光重合開始剤〔以下、「(F)成分」という〕、及び熱重合開始剤〔以下、「(G)成分」という〕等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
1)(D)成分
(D)成分は、前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(D)成分は、組成物の硬化性や表面硬度を良好なものとするために好ましい成分である。
加えて、前記した通り、(A)成分には副生成物A−AMを含む。
(D)成分のエチレン性不飽和結合は、副生成物A−AMのアミノ基と反応し、当該反応物はエチレン性不飽和基を有するために、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基を取り込むことができる。
(D)成分は、前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(D)成分は、組成物の硬化性や表面硬度を良好なものとするために好ましい成分である。
加えて、前記した通り、(A)成分には副生成物A−AMを含む。
(D)成分のエチレン性不飽和結合は、副生成物A−AMのアミノ基と反応し、当該反応物はエチレン性不飽和基を有するために、硬化膜中に(A)成分に由来するイオン性基を取り込むことができる。
(D)成分のエチレン性不飽和基としては、組成物の硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がさらに好ましい。
(D)成分の含有割合としては目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計100重量%中に2〜60重量%含むことが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
(D)成分の割合を2重量%以上含むことにより、硬化膜のハードコート性に優れたものとなり、40重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
(D)成分の割合を2重量%以上含むことにより、硬化膜のハードコート性に優れたものとなり、40重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
(D)成分としては、前記(A)成分及び(B)成分以外の2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(D1)成分」という〕及び前記(A)成分及び(B)成分以外の1個のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(D2)成分」という〕が挙げられる。
以下、(D1)成分及び(D2)成分について説明する。
以下、(D1)成分及び(D2)成分について説明する。
1−1)(D1)成分
(D1)成分としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「2官能(メタ)アクリレート」という)、及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「3官能以上(メタ)アクリレート」という)等を挙げることができる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のジオールジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
(D1)成分としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「2官能(メタ)アクリレート」という)、及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「3官能以上(メタ)アクリレート」という)等を挙げることができる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のジオールジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとして、具体的には、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
これら化合物の中でも、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましく、グリセリントリ(メタ)アクリレートがより好ましい。これら化合物は、3官能以上(メタ)アクリレートの中でも比較的親水性が高く、これら成分を配合することで防曇性に悪影響を及ぼすことなく硬化膜硬度や硬化性を改善できるという点で好ましい。
尚、(D1)成分を使用する場合において、市販品は、通常、(B)成分及び(D1)成分の混合物として販売されている。
例えば、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレートは、ジ、トリ及びテトラ(メタ)アクリレートを含む混合物として販売され、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートは、ジ、トリ、テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレートを含む混合物として販売されることが多い。
本発明においては、(B)成分及び(D1)成分の混合物を使用することができる。
例えば、ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレートは、ジ、トリ及びテトラ(メタ)アクリレートを含む混合物として販売され、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートは、ジ、トリ、テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレートを含む混合物として販売されることが多い。
本発明においては、(B)成分及び(D1)成分の混合物を使用することができる。
(D1)成分の含有割合としては目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計100重量%中に2〜60重量%含むことが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。
(D1)成分の割合を2重量%以上含むことにより、硬化膜のハードコート性に優れたものとなり、40重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
特に、基材として難接着性プラスチックに適用する場合、例えば、難接着性のポリカーボネートと知られているタキロン〔タキロンシーアイ(株)製。以下、単に「タキロン」という〕等の基材に適用する場合は、(D2)成分としてジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートを使用し、さらに含有割合を、硬化性成分の合計量100重量部に対して、25〜60重量部とすることが、硬化膜が基材への密着性を改善しつつ高硬度となるため好ましい。
(D1)成分の割合を2重量%以上含むことにより、硬化膜のハードコート性に優れたものとなり、40重量%以下とすることより、防曇性に優れたものとなる。
特に、基材として難接着性プラスチックに適用する場合、例えば、難接着性のポリカーボネートと知られているタキロン〔タキロンシーアイ(株)製。以下、単に「タキロン」という〕等の基材に適用する場合は、(D2)成分としてジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレートを使用し、さらに含有割合を、硬化性成分の合計量100重量部に対して、25〜60重量部とすることが、硬化膜が基材への密着性を改善しつつ高硬度となるため好ましい。
1−2)(D2)成分
(D2)成分は、(A)成分及び(B)成分以外の1個のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(D2)成分は、組成物の粘度やその他の物性を調整するために用いられる任意の成分であり、種々のものを使用することができる。
(D2)成分の例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕、及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミド化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリルアミド」という〕等が挙げられる。
(D2)成分は、(A)成分及び(B)成分以外の1個のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(D2)成分は、組成物の粘度やその他の物性を調整するために用いられる任意の成分であり、種々のものを使用することができる。
(D2)成分の例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕、及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミド化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリルアミド」という〕等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する単官能(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシ(メタ)アクリレート及びp−クミルフェノールエチレン(メタ)アクリレート等の芳香族単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロリルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のマレイミド基を有する単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロイルモルホリン;
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する単官能(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシ(メタ)アクリレート及びp−クミルフェノールエチレン(メタ)アクリレート等の芳香族単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロリルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のマレイミド基を有する単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロイルモルホリン;
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
単官能(メタ)アクリルアミドとしては、具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;並びに
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミドのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミドのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(D2)成分としては、これら化合物の中でも(メタ)アクリロイルモルホリン及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが、組成物の硬化膜が基材への密着性及び防曇持続性に優れるものとなる点で好ましい。
(D2)成分の含有割合は、配合成分に応じて、特に(D1)成分の種類及び割合に応じて、並びに適用する基材に応じて適宜設定すれば良い。
具体的には、(D2)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、1〜45重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることがより好ましく、10〜20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、本発明の組成物の特長である優れた基材密着性を損なうことなく物性の調節ができる。
特に、基材として難接着性プラスチックに適用する場合、例えば、難接着性のポリカーボネートのタキロン等の難接着性の基材に適用する場合は、(D1)成分として(メタ)アクリロイルモルホリンを使用し、さらに含有割合を、硬化性成分の合計量100重量部に対して、25〜45重量部とすることが、硬化膜が基材への密着性に優れるものとなるため好ましい。
具体的には、(D2)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、1〜45重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることがより好ましく、10〜20重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、本発明の組成物の特長である優れた基材密着性を損なうことなく物性の調節ができる。
特に、基材として難接着性プラスチックに適用する場合、例えば、難接着性のポリカーボネートのタキロン等の難接着性の基材に適用する場合は、(D1)成分として(メタ)アクリロイルモルホリンを使用し、さらに含有割合を、硬化性成分の合計量100重量部に対して、25〜45重量部とすることが、硬化膜が基材への密着性に優れるものとなるため好ましい。
2)(E)成分
本発明の組成物は、(E)成分であるエチレン性不飽和基を有しない水酸基含有化合物を含まないか、又は含む場合であっても少量含むものが好ましい。
具体的には、硬化性成分の合計100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、より好ましくは、2重量部以下のである。
(E)成分の割合を3重量部以下とすることで、繰り返し防曇性を向上させることができる。
本発明の組成物は、(E)成分であるエチレン性不飽和基を有しない水酸基含有化合物を含まないか、又は含む場合であっても少量含むものが好ましい。
具体的には、硬化性成分の合計100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、より好ましくは、2重量部以下のである。
(E)成分の割合を3重量部以下とすることで、繰り返し防曇性を向上させることができる。
(A)成分は、前記した通り、固体状の化合物であることが多く、通常は、配合や混合の取り扱いを容易にするため、アルコール系溶剤等のエチレン性不飽和基を有しない水酸基含有化合物〔(E)成分〕を有機溶剤として含むことが多い。
本発明者らの検討によれば、組成物中に(A)成分と(E)成分を含む場合、硬化膜の防曇性能が長期に維持しないとの問題があることを見出した。本発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、以下の通りであると推測した。
即ち、(A)成分のイオン性基を構成する酸成分は、酸性度が高いために(A)成分の平衡は酸性側に偏っている。
(A)成分のイオン性基が、例えばアルキル硫酸やスルホン酸である場合、(A)成分から発生するアルキル硫酸やスルホン酸が酸性触媒となり、(A)成分のエチレン性不飽和基と(E)成分の水酸基との付加反応(マイケル付加反応)が促進される。そのため、(A)成分の有機溶剤としてアルコール系溶剤等の(E)成分を用いると、(A)成分はほとんどエチレン性不飽和結合を持たない化合物となってしまう(以下、「副生成物A−E」という)。
そのため、組成物を硬化させると、副生成物A−Eは硬化膜中に化学結合しておらず、硬化膜形成直後の防曇性は良好であるものの、硬化膜表面に付着した水分の影響により副生成物A−Eは洗い流され、硬化膜中に(A)成分由来のイオン性基が消失してしまうため、防曇持続性に問題があることが明らかとなった。
これに対して、硬化性成分の合計100重量部に対して(E)成分を3重量部以下とすることで、この問題を解消することができる。
本発明者らの検討によれば、組成物中に(A)成分と(E)成分を含む場合、硬化膜の防曇性能が長期に維持しないとの問題があることを見出した。本発明者らは、この原因について鋭意検討した結果、以下の通りであると推測した。
即ち、(A)成分のイオン性基を構成する酸成分は、酸性度が高いために(A)成分の平衡は酸性側に偏っている。
(A)成分のイオン性基が、例えばアルキル硫酸やスルホン酸である場合、(A)成分から発生するアルキル硫酸やスルホン酸が酸性触媒となり、(A)成分のエチレン性不飽和基と(E)成分の水酸基との付加反応(マイケル付加反応)が促進される。そのため、(A)成分の有機溶剤としてアルコール系溶剤等の(E)成分を用いると、(A)成分はほとんどエチレン性不飽和結合を持たない化合物となってしまう(以下、「副生成物A−E」という)。
そのため、組成物を硬化させると、副生成物A−Eは硬化膜中に化学結合しておらず、硬化膜形成直後の防曇性は良好であるものの、硬化膜表面に付着した水分の影響により副生成物A−Eは洗い流され、硬化膜中に(A)成分由来のイオン性基が消失してしまうため、防曇持続性に問題があることが明らかとなった。
これに対して、硬化性成分の合計100重量部に対して(E)成分を3重量部以下とすることで、この問題を解消することができる。
(E)成分の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル化合物;ダイアセトンアルコール等のアセトンアルコール等が挙げられる。
尚、水は、(E)成分に含まれない。水は、前記した繰り返し防曇性低下の原因となるマイケル付加反応を起こさないため、組成物中に数%程度であれば含んでいても良く、組成物中に5重量%以下が好ましい。
尚、水は、(E)成分に含まれない。水は、前記した繰り返し防曇性低下の原因となるマイケル付加反応を起こさないため、組成物中に数%程度であれば含んでいても良く、組成物中に5重量%以下が好ましい。
尚、(E)成分は、組成物を長期保存する場合に問題となる成分であり、塗工前に配合する場合は前記問題が発生しない。
3)(F)成分
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(F)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、特に、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いたときには、硬化の容易性やコストの観点から、(F)成分を更に含有することが好ましい。
電子線硬化型組成物として使用する場合は、必ずしも(F)成分を含有させる必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(F)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、特に、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いたときには、硬化の容易性やコストの観点から、(F)成分を更に含有することが好ましい。
電子線硬化型組成物として使用する場合は、必ずしも(F)成分を含有させる必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
本発明における(F)成分としては、種々の公知の光重合開始剤を使用することができる。又、(F)成分としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
(F)成分の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;
メチルベンゾイルフォルメート、オキシフェニル酢酸の2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル及びオキシフェニル酢酸の2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のα−ケトエステル系化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;
2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−〔4−(フェニルチオ)〕−1,2−オクタンジオン等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びに
カンファーキノン等が挙げられる。
(F)成分の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;
メチルベンゾイルフォルメート、オキシフェニル酢酸の2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル及びオキシフェニル酢酸の2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のα−ケトエステル系化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;
2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−〔4−(フェニルチオ)〕−1,2−オクタンジオン等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びに
カンファーキノン等が挙げられる。
これらの中でも、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、及び、フォスフィンオキサイド系化合物が好ましく挙げられ、硬化膜を数μm以下の薄膜で塗工したときでも空気下で良好な硬化性を容易に得ることができることから、アセトフェノン系化合物が特に好ましく挙げられる。
(F)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.5〜7重量部であることがより好ましく、1〜5重量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、組成物の硬化性に優れ、又、得られる硬化膜の耐擦傷性に優れる。
4)(G)成分
(G)成分は熱重合開始剤であり、組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、(G)成分を配合することができる。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
(G)成分は熱重合開始剤であり、組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、(G)成分を配合することができる。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
(G)成分の含有割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては(F)成分(光重合開始剤)と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては(F)成分(光重合開始剤)と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
6)前記以外のその他の成分
前記以外のその他の成分としては、公知の添加剤を用いることができるが、例えば、有機溶剤、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、フィラー、シランカップリング剤、酸発生剤、顔料、染料、粘着性付与剤及び重合禁止剤等が挙げられる。
以下、これらその他の成分のうち、有機溶剤、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、及びフィラーについて説明する。
前記以外のその他の成分としては、公知の添加剤を用いることができるが、例えば、有機溶剤、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、フィラー、シランカップリング剤、酸発生剤、顔料、染料、粘着性付与剤及び重合禁止剤等が挙げられる。
以下、これらその他の成分のうち、有機溶剤、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、及びフィラーについて説明する。
<有機溶剤>
本発明の組成物は無溶剤で使用することが可能であるが、塗工粘度や膜厚調整等の目的で種々の有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤を使用する場合は、(E)成分に該当しない化合物とすることが好ましく、具体的には、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ジブチルエーテル等のエーテル化合物;並びにN−メチルピロリドン等が挙げられる。
本発明の組成物は無溶剤で使用することが可能であるが、塗工粘度や膜厚調整等の目的で種々の有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤を使用する場合は、(E)成分に該当しない化合物とすることが好ましく、具体的には、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ジブチルエーテル等のエーテル化合物;並びにN−メチルピロリドン等が挙げられる。
尚、組成物の塗工直前であれば(E)成分を配合することもできる。
この場合の具体例としては、前記した化合物を挙げることができる。
この場合の具体例としては、前記した化合物を挙げることができる。
有機溶剤の含有割合は、硬化性成分合計量100重量部に対して、0.01〜200重量部であることであることが好ましく、10〜150重量部であることがより好ましく、20〜100重量部であることがさらに好ましい。
<防曇改質剤>
本発明の組成物は、硬化膜が繰り返し防曇性に優れるものであるが、初期防曇性をさらに改良する目的で、本発明の繰り返し防曇性に悪影響を与えない範囲内で防曇改質剤を添加することができる。
防曇改質剤としては、エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤及び両性イオン系界面活性剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、硬化膜が繰り返し防曇性に優れるものであるが、初期防曇性をさらに改良する目的で、本発明の繰り返し防曇性に悪影響を与えない範囲内で防曇改質剤を添加することができる。
防曇改質剤としては、エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤及び両性イオン系界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤としては、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩及びスルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)アンモニウム塩等のジアルキルスルホコハク酸塩;オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルホスフェート塩;並びにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が使用される。
これら化合物の中でも、初期防曇性により優れる点で、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩は市販されており、市販品を使用することができる。スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフP−10(同化合物の溶液)、M−30(同化合物の溶液)及びG−30(同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液)、並びに日油(株)製ラピゾールA30、同A70、同A80、同A90が挙げられる。スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)アンモニウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフG−600〔同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液〕等が挙げられる。
これら化合物の中でも、初期防曇性により優れる点で、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩は市販されており、市販品を使用することができる。スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフP−10(同化合物の溶液)、M−30(同化合物の溶液)及びG−30(同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液)、並びに日油(株)製ラピゾールA30、同A70、同A80、同A90が挙げられる。スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)アンモニウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフG−600〔同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液〕等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド及びステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン及びジメチルアルキルステアリルベタイン等の脂肪酸型両性イオン系界面活性剤、ジメチルアルキルスルホベタイン等のスルホン酸型両性イオン系界面活性剤、並びにアルキルグリシン等が挙げられる。
これらエチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤の中でも、初期防曇性により優れる点で陰イオン系界面活性剤が好ましく、前記した通りジアルキルスルホコハク酸塩がより好ましい。
防曇改質剤の含有割合としては、本発明の組成物の合計量100重量%中に0.1〜10重量%含まれることが好ましい。防曇改質剤の含有割合が上記範囲であると、硬化膜の繰り返し防曇性を損なうことなく初期防曇性に優れるものとすることができる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤の具体例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビスブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子等の紫外線を吸収する無機粒子等が挙げられる。
前記化合物の中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビスブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子等の紫外線を吸収する無機粒子等が挙げられる。
前記化合物の中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
紫外線吸収剤は、活性エネルギー線の照射により黄変しやすいプラスチック基材の変色を抑える目的で使用されるほか、硬化塗膜が形成された物品を屋外で使用する際に、太陽光による物品の劣化を防ぐ目的で使用される。
紫外線吸収剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜2重量部であることがさらに好ましい。
紫外線吸収剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜2重量部であることがさらに好ましい。
<光安定剤>
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができるが、中でも、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチロキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、BASF社製、TINUVIN 111FDL、TINUVIN123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等が挙げられる。
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができるが、中でも、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチロキシ)−4−ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、BASF社製、TINUVIN 111FDL、TINUVIN123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等が挙げられる。
光安定剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部であることが好ましく、0.05〜2重量部であることがより好ましく、0.1〜1重量部であることがさらに好ましい。
<酸性物質>
本発明の組成物は、プラスチック等の基材への密着材に優れるものであるが、酸性物質を添加することでさらに密着性を向上させることができる。
酸性物質としては、活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤、無機酸、及び有機酸等が挙げられる。無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、及びリン酸等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、無機酸又は有機酸が好ましく、有機酸である有機スルホン酸化合物がより好ましく、芳香族スルホン酸化合物がさらに好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。
酸性物質の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.0001〜5重量部であることが好ましく、0.0001〜1重量部であることがより好ましく、0.0005〜0.5重量部であることがさらに好ましい。酸性物質の含有割合が上記範囲であると、硬化膜が基材との密着性により優れ、基材の腐蝕や他の成分の分解といった問題の発生を防ぐことができる。
本発明の組成物は、プラスチック等の基材への密着材に優れるものであるが、酸性物質を添加することでさらに密着性を向上させることができる。
酸性物質としては、活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤、無機酸、及び有機酸等が挙げられる。無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、及びリン酸等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、無機酸又は有機酸が好ましく、有機酸である有機スルホン酸化合物がより好ましく、芳香族スルホン酸化合物がさらに好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。
酸性物質の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.0001〜5重量部であることが好ましく、0.0001〜1重量部であることがより好ましく、0.0005〜0.5重量部であることがさらに好ましい。酸性物質の含有割合が上記範囲であると、硬化膜が基材との密着性により優れ、基材の腐蝕や他の成分の分解といった問題の発生を防ぐことができる。
<酸化防止剤>
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性や耐候性を良好にする目的で、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。
本発明に用いられる酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又は、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を好ましく挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が好ましく挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、例えば(株)アデカ製、アデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性や耐候性を良好にする目的で、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。
本発明に用いられる酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又は、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を好ましく挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が好ましく挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、例えば(株)アデカ製、アデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
酸化防止剤の含有割合は、本発明の組成物合計量100重量%中に、0.01〜5重量%含まれることが好ましく、0.1〜1重量%含まれることがより好ましい。酸化防止剤の含有割が上記範囲内にあると、組成物の安定性に優れ、又、硬化性及び接着力が良好である。
<表面改質剤>
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、前記以外の界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤及び防汚性付与剤等が挙げられ、公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高めるなどの目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、前記以外の界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤及び防汚性付与剤等が挙げられ、公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高めるなどの目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
表面改質剤の含有割合は、本発明の組成物の合計量100重量%中に、0.01〜1.0重量%含まれることが好ましい。表面改質剤の含有割合が上記範囲であると、硬化膜の表面平滑性に優れる。
<親水性重合体>
本発明の硬化型組成物を基材に塗工する場合、適用する基材の種類及び塗工方法によっては、基材に組成物を塗工し乾燥した後の塗膜にハジキ等が発生し、最終的に得られる硬化膜が外観不良となる場合がある。
この場合、塗膜のハジキ等を防止する目的のため、硬化型組成物に親水性重合体を添加することが好ましい。
本発明の硬化型組成物を基材に塗工する場合、適用する基材の種類及び塗工方法によっては、基材に組成物を塗工し乾燥した後の塗膜にハジキ等が発生し、最終的に得られる硬化膜が外観不良となる場合がある。
この場合、塗膜のハジキ等を防止する目的のため、硬化型組成物に親水性重合体を添加することが好ましい。
親水性重合体としては、親水性基を有する重合体が挙げられる。
親水性基としては、酸性基及び水酸基等が挙げられ、酸性基が好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基等が挙げられ、カルボキシル基又はスルホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
親水性重合体が酸性基を有する重合体(以下、「酸性基含有重合体」という)としては、酸性基の一部又は全部が中和された中和塩が好ましい。当該酸性基含有重合体の中和塩の製造方法としては、原料ビニル系単量体として中和塩を使用して製造する方法、及び酸性基含有重合体を製造した後、中和処理して製造する方法等が挙げられる。
親水性基としては、酸性基及び水酸基等が挙げられ、酸性基が好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基等が挙げられ、カルボキシル基又はスルホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
親水性重合体が酸性基を有する重合体(以下、「酸性基含有重合体」という)としては、酸性基の一部又は全部が中和された中和塩が好ましい。当該酸性基含有重合体の中和塩の製造方法としては、原料ビニル系単量体として中和塩を使用して製造する方法、及び酸性基含有重合体を製造した後、中和処理して製造する方法等が挙げられる。
親水性重合体としては、親水性基を有するビニル系単量体を必須構成単量体単位とする重合体が好ましい。親水性基を有するビニル系単量体としては、酸性基を有するビニル系単量体及び水酸基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
酸性基を有するビニル系単量体としては、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物及びリン酸基を有するエチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、及びこれら化合物の塩等が挙げられる。スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、リン酸と(メタ)アクリル酸とのエステル化物等のリン酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸性基含有重合体が酸性基の一部又は全部が中和された中和塩の場合においては、酸性基を有するビニル系単量体として、中和塩を使用することが好ましい。
酸性基を有するビニル系単量体の中和塩を形成するためのアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア;並びにトリエチルアミン及びトリエタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、及びこれら化合物の塩等が挙げられる。スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、リン酸と(メタ)アクリル酸とのエステル化物等のリン酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸性基含有重合体が酸性基の一部又は全部が中和された中和塩の場合においては、酸性基を有するビニル系単量体として、中和塩を使用することが好ましい。
酸性基を有するビニル系単量体の中和塩を形成するためのアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア;並びにトリエチルアミン及びトリエタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
水酸基を有するビニル系単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
親水性重合体としては、親水性基を有するビニル系単量体以外のビニル系単量体(以下、「その他単量体」という)を共重合したものであっても良い。
その他単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルニトリル、及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート及びデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる
その他単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルニトリル、及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート及びデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる
親水性重合体のMwとしては、5,000〜100,000が好ましく、7,000〜30,000がより好ましい。
尚、本発明において親水性重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたGPCにより求めた値を意味し、酸成分としてカルボン酸等の酸性基を中和する前に測定した値である。又、その他単量体としてアミン性の単量体を含む場合はGPC測定ができないため、これら成分の代わりに通常のアルキル(メタ)アクリレートを使用して、同様の重合温度、開始剤濃度、モノマー濃度、溶剤濃度等の条件をそろえて重合した重合体のGPC測定結果を推測値とした値を意味する。
尚、本発明において親水性重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたGPCにより求めた値を意味し、酸成分としてカルボン酸等の酸性基を中和する前に測定した値である。又、その他単量体としてアミン性の単量体を含む場合はGPC測定ができないため、これら成分の代わりに通常のアルキル(メタ)アクリレートを使用して、同様の重合温度、開始剤濃度、モノマー濃度、溶剤濃度等の条件をそろえて重合した重合体のGPC測定結果を推測値とした値を意味する。
親水性重合体としては、前記単量体を使用し常法の重合に従い製造されたものを使用することができる。
例えば、ラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等が挙げられる。
又、重合の形態として、例えば、溶液重合法、エマルジョン重合法、懸濁重合法及び塊状重合法等が挙げられる。
前記した低分子量重合体を通常の重合方法で製造しようとすると、通常、連鎖移動剤及び重合開始剤を多くする必要がある。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、活性エネルギー線の照射により硬化膜が着色しやすくなり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる。
このため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が好ましい。
高温重合の温度としては、160〜350℃が好ましく、180〜300℃がより好ましい。
例えば、ラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等が挙げられる。
又、重合の形態として、例えば、溶液重合法、エマルジョン重合法、懸濁重合法及び塊状重合法等が挙げられる。
前記した低分子量重合体を通常の重合方法で製造しようとすると、通常、連鎖移動剤及び重合開始剤を多くする必要がある。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、活性エネルギー線の照射により硬化膜が着色しやすくなり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる。
このため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が好ましい。
高温重合の温度としては、160〜350℃が好ましく、180〜300℃がより好ましい。
親水性重合体の形態としては、目的に応じて選択すれば良く、親水性重合体の溶液、親水性重合体の分散液、粉末等が挙げられる。
具体的には、親水性重合体の有機溶剤溶液、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液、及び粉末等が挙げられる。これらの中でも、組成物への溶解性に優れるため、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、有機溶剤溶液及び親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液が好ましい。
親水性重合体の溶液及び分散液の固形分としては、3〜70重量%が好ましい。
又、親水性重合体の溶液及び分散液の粘度としては、5〜20,000mPa・sが好ましい。
具体的には、親水性重合体の有機溶剤溶液、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液、及び粉末等が挙げられる。これらの中でも、組成物への溶解性に優れるため、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、有機溶剤溶液及び親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液が好ましい。
親水性重合体の溶液及び分散液の固形分としては、3〜70重量%が好ましい。
又、親水性重合体の溶液及び分散液の粘度としては、5〜20,000mPa・sが好ましい。
親水性重合体の含有割合としては、水溶液又は水性分散液のいずれの場合においても固形分基準で、組成物の合計量100重量部に対して、0.5〜50重量部であることが好ましく、より好ましく2〜30重量部である。
親水性重合体の含有割合を0.5重量部以上とすることにより、硬化膜のハジキを防止するとともに、各種基材に対する密着性を向上させたり、フィルムのような膜厚が薄い基材に本発明の組成物を塗工し、硬化させた時の基材の変形及び反りを防ぐことができ、50重量部以下とすることにより硬化膜の白濁、スジむら、ゆず肌等の外観不良を防ぐことができる。
親水性重合体の含有割合を0.5重量部以上とすることにより、硬化膜のハジキを防止するとともに、各種基材に対する密着性を向上させたり、フィルムのような膜厚が薄い基材に本発明の組成物を塗工し、硬化させた時の基材の変形及び反りを防ぐことができ、50重量部以下とすることにより硬化膜の白濁、スジむら、ゆず肌等の外観不良を防ぐことができる。
<フィラー>
本発明の組成物が有機溶剤を含む場合において、(B)成分及び/又は(D)成分が低粘度であると、組成物をスプレー塗工又はスピンコートを行った後の乾燥工程において、有機溶剤が揮発する際に組成物が基材上ではじきを起こし、塗膜外観が不良となるおそれがある。
有機溶剤を含む組成物を使用して前記したような塗工方法を行う場合は、組成物にフィラーを配合して増粘を行うことが、乾燥後のはじきを防止することができ好ましい。
フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーのいずれも使用することができ、有機フィラーが好ましい。
無機フィラーの例としては、シリカ及びアルミナ等の無機化合物が挙げられる。
フィラーとしては粒子状のものが好ましく、その平均粒径としては1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは4〜12μmである。
フィラーの含有割合としては、防曇性への影響を考慮するとより少量の添加量で増粘できることが好ましく、有機溶剤を除いた組成物全体量100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
本発明の組成物が有機溶剤を含む場合において、(B)成分及び/又は(D)成分が低粘度であると、組成物をスプレー塗工又はスピンコートを行った後の乾燥工程において、有機溶剤が揮発する際に組成物が基材上ではじきを起こし、塗膜外観が不良となるおそれがある。
有機溶剤を含む組成物を使用して前記したような塗工方法を行う場合は、組成物にフィラーを配合して増粘を行うことが、乾燥後のはじきを防止することができ好ましい。
フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーのいずれも使用することができ、有機フィラーが好ましい。
無機フィラーの例としては、シリカ及びアルミナ等の無機化合物が挙げられる。
フィラーとしては粒子状のものが好ましく、その平均粒径としては1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは4〜12μmである。
フィラーの含有割合としては、防曇性への影響を考慮するとより少量の添加量で増粘できることが好ましく、有機溶剤を除いた組成物全体量100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
5.使用方法
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、活性エネルギー線を照射するか又は加熱して硬化させる方法が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法は、従来の硬化方法として知られている一般的な方法を採用すれば良い。
又、組成物に(F)成分(光重合開始剤)及び(G)成分(熱重合開始剤)を併用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、活性エネルギー線を照射するか又は加熱して硬化させる方法が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法は、従来の硬化方法として知られている一般的な方法を採用すれば良い。
又、組成物に(F)成分(光重合開始剤)及び(G)成分(熱重合開始剤)を併用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
硬化型組成物が活性エネルギー線硬化型組成物である場合において、活性エネルギー線照射した後に加熱工程があるとき、長時間加熱すると防曇性が低下する場合がある。
この場合には、窒素ガス等の不活性ガスを供給して、不活性ガス雰囲気下で活性エネルギー線の照射方法した後に加熱する方法が、当該防曇性の低下を防止することができ好ましい。
この場合には、窒素ガス等の不活性ガスを供給して、不活性ガス雰囲気下で活性エネルギー線の照射方法した後に加熱する方法が、当該防曇性の低下を防止することができ好ましい。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、無機材料、プラスチック、及び紙等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、金属、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、金属、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明の組成物は、これら基材の中でもプラスチックへの密着性に優れるため、プラスチックに好ましく適用することができる。プラスチックとしては、ABS樹脂等のケトン系溶剤及びエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さない樹脂に好ましく適用することができる。
本発明において、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さない樹脂とは、熱可塑性樹脂であり、かつエチレン性不飽和基を有する化合物を重合させることにより得られる重合体及びポリカーボネートを意味する。
ケトン系溶剤及びエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さない樹脂の具体例としては、ABS樹脂、PVC樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、酢酸セルロース樹脂、及びポリカーボネート等が挙げられる。
本発明において、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さない樹脂とは、熱可塑性樹脂であり、かつエチレン性不飽和基を有する化合物を重合させることにより得られる重合体及びポリカーボネートを意味する。
ケトン系溶剤及びエステル系溶剤に対して十分な耐溶剤性を有さない樹脂の具体例としては、ABS樹脂、PVC樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、酢酸セルロース樹脂、及びポリカーボネート等が挙げられる。
本発明の組成物の基材への塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
基材に対する組成物硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜設定すればよい。硬化膜の厚さとしては、使用する基材や製造した硬化膜を有する基材の用途に応じて選択すればよいが、1〜100μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましい。
組成物が有機溶剤を含む場合は、基材に塗工した後、加熱・乾燥させ、有機溶剤を蒸発させることが好ましい。
乾燥温度は、適用する基材が変形等の問題を生じない温度以下であれば特に限定されるものではない。好ましい加熱温度としては、40〜100℃である。乾燥時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜20分である。
乾燥温度は、適用する基材が変形等の問題を生じない温度以下であれば特に限定されるものではない。好ましい加熱温度としては、40〜100℃である。乾燥時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜20分である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、硬化させるための活性エネルギー線としては、電子線、紫外線及び可視光線が挙げられるが、紫外線又は可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線(UV)無電極ランプ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV−A領域の照射エネルギーで100〜8,000mJ/cm2が好ましく、200〜3,000mJ/cm2がより好ましい。尚、照射エネルギーを1,000mJ/cm2以上とする場合においては、硬化膜の防曇性能の観点から、前記した防曇改質剤を配合することが好ましい。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV−A領域の照射エネルギーで100〜8,000mJ/cm2が好ましく、200〜3,000mJ/cm2がより好ましい。尚、照射エネルギーを1,000mJ/cm2以上とする場合においては、硬化膜の防曇性能の観点から、前記した防曇改質剤を配合することが好ましい。
本発明の組成物を熱硬化型組成物として使用する場合は、加熱可能な乾燥機等に硬化膜を静置することで硬化膜を得ることができる。
加熱温度としては、使用する基材や目的に応じて適宜設定すれば良く、40〜180℃が好ましい。基材がプラスチックの場合は、温度が高すぎると基材が変形するおそれがあるため、120℃以下であることが好ましい。
加熱時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜60分である。
加熱温度としては、使用する基材や目的に応じて適宜設定すれば良く、40〜180℃が好ましい。基材がプラスチックの場合は、温度が高すぎると基材が変形するおそれがあるため、120℃以下であることが好ましい。
加熱時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5〜60分である。
6.用途
本発明の組成物は種々の用途に使用可能であり、具体的には、防曇コーティング剤、プラスチック基材や床の埃付着防止コーティング剤が挙げられる。
本発明の組成物は種々の用途に使用可能であり、具体的には、防曇コーティング剤、プラスチック基材や床の埃付着防止コーティング剤が挙げられる。
コーティング剤の具体例としては、保護眼鏡、ゴーグル、浴室の内壁、キッチン周りの部材、自動車やオートバイ等のヘッドランプカバー、リアランプカバー等ガラス及びプラスチックの防曇コーティング剤、プラスチック基材や床面の埃付着を防ぐための埃付着防止コーティング剤等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
又、以下において、特に断りのない限り、「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
又、以下において、特に断りのない限り、「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
1.製造例
1−1)製造例1〔(B)成分及び(D1)成分を含むアクリレートの製造〕
撹拌機、温度計、ガス導入管、精留塔及び冷却管を取付けた3リットルのフラスコに、グリセリン〔阪本薬品工業(株)製精製グリセリン(商品名)。以下、「GLY」という。〕を302.75g(3.29モル)、2−メトキシエチルアクリレート(以下、「MCA」という)を2312.84g(17.77モル)、触媒XとしてDABCO(トリエチレンジアミン)を6.51g(0.06モル)、触媒Yとしてアクリル酸亜鉛を24.07g(0.12モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「MEHQ」という)を1.19g(0.01モル)、フェノチアジンを0.21g(0.002モル)仕込み、含酸素ガス(酸素を5容量%、窒素を95容量%)を液中にバブリングさせた。
反応液温度100〜130℃の範囲で加熱撹拌させながら、反応系内の圧力を110〜760mmHgの範囲で調整し、MCAとエステル交換反応の進行に伴い副生した2−メトキシエタノール(以下、「MEL」という)との混合液を精留塔及び冷却管を介して反応系から抜出した。又、該抜出液と同重量gのMCAを反応系に随時追加した。加熱撹拌開始から18時間後に反応系内の圧力を常圧に戻して抜出を終了した。
GLYの水酸基のアクリレート化率を、MELの生成量から求めた結果、58モル%であった。
反応液を室温まで冷却して沈殿物をろ過分離した後、ろ液に含まれる触媒X及び触媒Yを吸着除去するために珪酸アルミニウム〔協和化学工業(株)製キョーワード700(商品名)〕を58.7g投入して撹拌し、さらに70〜100℃の範囲で1時間加熱撹拌した。吸着処理後の珪酸アルミニウムをろ過分離した後、ろ液を攪拌機、温度計、ガス導入管、留出用の冷却管、及び減圧用の管を接続したフラスコに入れ、温度70〜100℃、圧力0.001〜100mmHgの範囲で、乾燥空気をバブリングさせながら10時間の減圧蒸留を行い、未反応のMCAを含む留出液を分離した。釜液に珪藻土〔昭和化学工業(株)製ラヂオライト(商品名)〕を5.0g添加して加圧ろ過を行い、得られたろ液を実施例で使用した。収量は651gであった。これをBD−1という。
仕込んだGLY302.75gが全てグリセリンジアクリレート(以下、「GLY−DA」ともいう)に変換された場合の収量は658gであるが、これを基準に算出した上記BD−1の収率は99%であった。
UV検出器を備えたHPLCを用いて、BD−1に含まれる各成分の純度を下記式(1)より算出した結果、GLY−DAは62%であり、グリセリントリアクリレート(以下、「GLY−TA」という)は33%であり、グリセリンモノアクリレート(以下、「GLY−MA」という)は5%であった。
得られたBD−1は、粘度:43mPa・s(25℃)、水酸基価:238mgKOH/gであった。GPC測定によるMw:314であった。
1−1)製造例1〔(B)成分及び(D1)成分を含むアクリレートの製造〕
撹拌機、温度計、ガス導入管、精留塔及び冷却管を取付けた3リットルのフラスコに、グリセリン〔阪本薬品工業(株)製精製グリセリン(商品名)。以下、「GLY」という。〕を302.75g(3.29モル)、2−メトキシエチルアクリレート(以下、「MCA」という)を2312.84g(17.77モル)、触媒XとしてDABCO(トリエチレンジアミン)を6.51g(0.06モル)、触媒Yとしてアクリル酸亜鉛を24.07g(0.12モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「MEHQ」という)を1.19g(0.01モル)、フェノチアジンを0.21g(0.002モル)仕込み、含酸素ガス(酸素を5容量%、窒素を95容量%)を液中にバブリングさせた。
反応液温度100〜130℃の範囲で加熱撹拌させながら、反応系内の圧力を110〜760mmHgの範囲で調整し、MCAとエステル交換反応の進行に伴い副生した2−メトキシエタノール(以下、「MEL」という)との混合液を精留塔及び冷却管を介して反応系から抜出した。又、該抜出液と同重量gのMCAを反応系に随時追加した。加熱撹拌開始から18時間後に反応系内の圧力を常圧に戻して抜出を終了した。
GLYの水酸基のアクリレート化率を、MELの生成量から求めた結果、58モル%であった。
反応液を室温まで冷却して沈殿物をろ過分離した後、ろ液に含まれる触媒X及び触媒Yを吸着除去するために珪酸アルミニウム〔協和化学工業(株)製キョーワード700(商品名)〕を58.7g投入して撹拌し、さらに70〜100℃の範囲で1時間加熱撹拌した。吸着処理後の珪酸アルミニウムをろ過分離した後、ろ液を攪拌機、温度計、ガス導入管、留出用の冷却管、及び減圧用の管を接続したフラスコに入れ、温度70〜100℃、圧力0.001〜100mmHgの範囲で、乾燥空気をバブリングさせながら10時間の減圧蒸留を行い、未反応のMCAを含む留出液を分離した。釜液に珪藻土〔昭和化学工業(株)製ラヂオライト(商品名)〕を5.0g添加して加圧ろ過を行い、得られたろ液を実施例で使用した。収量は651gであった。これをBD−1という。
仕込んだGLY302.75gが全てグリセリンジアクリレート(以下、「GLY−DA」ともいう)に変換された場合の収量は658gであるが、これを基準に算出した上記BD−1の収率は99%であった。
UV検出器を備えたHPLCを用いて、BD−1に含まれる各成分の純度を下記式(1)より算出した結果、GLY−DAは62%であり、グリセリントリアクリレート(以下、「GLY−TA」という)は33%であり、グリセリンモノアクリレート(以下、「GLY−MA」という)は5%であった。
得られたBD−1は、粘度:43mPa・s(25℃)、水酸基価:238mgKOH/gであった。GPC測定によるMw:314であった。
尚、HPLC、粘度、水酸基価、GPC及びGCは、下記の条件で測定した。
◆HPLC測定条件
・装置:Waters(株)製 ACQUITY UPLC
・検出器:UV検出器
・検出波長:210nm
・カラム:Waters(株)製 ACQUITY UPLC BEH C18(Part No.186002350、カラム内径2.1mm、カラム長さ50mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液の組成:0.03重量%トリフルオロ酢酸水溶液とメタノールの混合溶液
・溶離液の流量:0.3mL/分
◆HPLC測定条件
・装置:Waters(株)製 ACQUITY UPLC
・検出器:UV検出器
・検出波長:210nm
・カラム:Waters(株)製 ACQUITY UPLC BEH C18(Part No.186002350、カラム内径2.1mm、カラム長さ50mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液の組成:0.03重量%トリフルオロ酢酸水溶液とメタノールの混合溶液
・溶離液の流量:0.3mL/分
◆BD−1に含まれGLY−DAの純度算出方法
GLY−DAの純度(%)
=〔(D×1.27)/(M×1.74+D×1.27+T)〕×100 …(1)
計算式(1)におけるD、M、Tは、紫外線(UV)検出器を備えたHPLCを用いて、BD−1を分析して得られる下記の値を意味する。
・D:GLY−DAの210nmにおけるピーク面積
・M:GLY−MAの210nmにおけるピーク面積
・T:GLY−TAの210nmにおけるピーク面積
GLY−DAの純度(%)
=〔(D×1.27)/(M×1.74+D×1.27+T)〕×100 …(1)
計算式(1)におけるD、M、Tは、紫外線(UV)検出器を備えたHPLCを用いて、BD−1を分析して得られる下記の値を意味する。
・D:GLY−DAの210nmにおけるピーク面積
・M:GLY−MAの210nmにおけるピーク面積
・T:GLY−TAの210nmにおけるピーク面積
◆粘度測定条件
E型粘度計を使用し、25℃での粘度を測定した。
E型粘度計を使用し、25℃での粘度を測定した。
◆水酸基価測定条件
試料にアセチル化試薬を加えて92℃の温浴槽中で1時間加熱処理する。放冷後、少量の水を添加して92℃の温浴槽中で10分間加熱処理する。放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムエタノール溶液で酸を滴定して水酸基価を求めた。
試料にアセチル化試薬を加えて92℃の温浴槽中で1時間加熱処理する。放冷後、少量の水を添加して92℃の温浴槽中で10分間加熱処理する。放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムエタノール溶液で酸を滴定して水酸基価を求めた。
◆GPC測定条件
・装置:Waters(株)製 GPC システム名 1515 2414 717P RI
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
・検量線:標準ポリスチレンを使って較正曲線を作成した。
・BD−1に由来する検出ピークのうち、単官能(メタ)アクリレート、溶媒に由来する検出ピーク、及び水に由来するピークよりもリテンションタイムが遅い検出ピークは、Mwの算出に考慮せず、その他複数本の検出ピークを一つのピークとみなしてMwを算出した。
・装置:Waters(株)製 GPC システム名 1515 2414 717P RI
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
・検量線:標準ポリスチレンを使って較正曲線を作成した。
・BD−1に由来する検出ピークのうち、単官能(メタ)アクリレート、溶媒に由来する検出ピーク、及び水に由来するピークよりもリテンションタイムが遅い検出ピークは、Mwの算出に考慮せず、その他複数本の検出ピークを一つのピークとみなしてMwを算出した。
2.実施例1〜同3及び比較例1〜同3(組成物の調製)
製造例1で得られたBD−1及び下記に略号を示す成分を使用し、表1に示す割合で40℃にて撹拌・混合して、組成物を得た。尚、いずれの組成物も、組成物を調整した後、7日間放置したものを使用した。
得られた組成物について、E型粘度計により25℃における粘度を測定した。
(A)成分及び(E)成分混合物
・JI−62C01:アクリロイル基及びアンモニウムイオンを有するカチオンと、アニオンとを有する化合物(以下、「A−1−1」という)のプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」という)50%溶液〔日本乳化剤社製 JI−62C01〕
(A)成分、(B)成分及び(D1)成分混合物
・JI−64C02:A−1とBD−1の50%溶液〔日本乳化剤社製 JI−64C01〕。JI−62C01のPGMEの全量を製造例1で得られたBD−1で置き換えた溶液。
(A)成分
・SR−10:ポリエチレングリコール(付加モル数10)片末端にSO3NH4基(アニオン性)を有し、もう一方の末端にアルキル基とアリル基を有する化合物〔ADEKA(株)製 アデカリアソープSR−10〕
(C)成分
・AC−AC:ポリメチルメタクリレート、三菱レイヨン(株)製アクリコンAC(Mw:約130万)
(F)成分
・HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔BASF社製 IRGACURE184〕
その他の成分
・UP−1000:東亞合成(株)製アルフォンUP−1000、Mw2,700のアクリル系重合体(疎水性重合体)
・G−30:スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウムのプロピレングリコール(以下、「PG」という)/水混合溶液(固形分:70%、PG:15%、水:15%)、新日本理化(株)製リカサーフG−30。尚、後記表1及び2においては、固形分、(E)成分(PG)及び水を分けて記載している。
製造例1で得られたBD−1及び下記に略号を示す成分を使用し、表1に示す割合で40℃にて撹拌・混合して、組成物を得た。尚、いずれの組成物も、組成物を調整した後、7日間放置したものを使用した。
得られた組成物について、E型粘度計により25℃における粘度を測定した。
(A)成分及び(E)成分混合物
・JI−62C01:アクリロイル基及びアンモニウムイオンを有するカチオンと、アニオンとを有する化合物(以下、「A−1−1」という)のプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」という)50%溶液〔日本乳化剤社製 JI−62C01〕
(A)成分、(B)成分及び(D1)成分混合物
・JI−64C02:A−1とBD−1の50%溶液〔日本乳化剤社製 JI−64C01〕。JI−62C01のPGMEの全量を製造例1で得られたBD−1で置き換えた溶液。
(A)成分
・SR−10:ポリエチレングリコール(付加モル数10)片末端にSO3NH4基(アニオン性)を有し、もう一方の末端にアルキル基とアリル基を有する化合物〔ADEKA(株)製 アデカリアソープSR−10〕
(C)成分
・AC−AC:ポリメチルメタクリレート、三菱レイヨン(株)製アクリコンAC(Mw:約130万)
(F)成分
・HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔BASF社製 IRGACURE184〕
その他の成分
・UP−1000:東亞合成(株)製アルフォンUP−1000、Mw2,700のアクリル系重合体(疎水性重合体)
・G−30:スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウムのプロピレングリコール(以下、「PG」という)/水混合溶液(固形分:70%、PG:15%、水:15%)、新日本理化(株)製リカサーフG−30。尚、後記表1及び2においては、固形分、(E)成分(PG)及び水を分けて記載している。
表1配合の欄における括弧書きは、各成分の部数を意味し、「−」は含有していないことを意味する。
尚、表1における組成物の欄には、原料として使用したJI−64C02に含まれる(A)成分、(B)成分及び(D1)成分を分けて記載し、JI−62C01に含まれる(A)成分及び(E)成分を分けて記載している。
尚、表1における組成物の欄には、原料として使用したJI−64C02に含まれる(A)成分、(B)成分及び(D1)成分を分けて記載し、JI−62C01に含まれる(A)成分及び(E)成分を分けて記載している。
3.プラスチック基材に対する評価
1)乾燥被膜の調製
得られた実施例1〜同3及び比較例1〜同3の組成物に対して、塗工直前に、組成物100部に対してPGME100部となる割合で添加・混合して塗工用組成物を調製した。
塗工用組成物の粘度は、以下の通りであった。
・実施例1:30mPa・s
・実施例2:60mPa・s
・実施例3:70mPa・s
・比較例1:7mPa・s
・比較例2:8mPa・s
・比較例3:10mPa・s
得られた塗工用組成物を使用し、バーコーターを用い、裁断した株式会社エンジニアリングテストサービス製ABS(150mm×70mm×1mm)に膜厚が10μmとなるよう塗工し、60℃で1分間加熱及び乾燥した。
加熱及び乾燥後の乾燥被膜を目視で確認し、はじきの有無を確認した。それらの結果を表2に示す。
乾燥被膜を有するABS樹脂を、以後で使用する試験体とした。
2)硬化膜の調製
試験体を使用し、コンベアを備えた高圧水銀ランプ〔アイグラフィックス(株)製H06−L41〕を用いて、UV−Aランプ出力照度80W/cm、1パスあたりの照射強度250mW/cm2で照射エネルギーが400mJ/cm2の条件で試験体に紫外線を照射した。活性エネルギー線硬化製の指標として、硬化膜表面のタックがなくなるまでのパス数を評価した。パス数が少ないものほど硬化性が良好であることを表す。
得られた硬化膜を使用し、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
1)乾燥被膜の調製
得られた実施例1〜同3及び比較例1〜同3の組成物に対して、塗工直前に、組成物100部に対してPGME100部となる割合で添加・混合して塗工用組成物を調製した。
塗工用組成物の粘度は、以下の通りであった。
・実施例1:30mPa・s
・実施例2:60mPa・s
・実施例3:70mPa・s
・比較例1:7mPa・s
・比較例2:8mPa・s
・比較例3:10mPa・s
得られた塗工用組成物を使用し、バーコーターを用い、裁断した株式会社エンジニアリングテストサービス製ABS(150mm×70mm×1mm)に膜厚が10μmとなるよう塗工し、60℃で1分間加熱及び乾燥した。
加熱及び乾燥後の乾燥被膜を目視で確認し、はじきの有無を確認した。それらの結果を表2に示す。
乾燥被膜を有するABS樹脂を、以後で使用する試験体とした。
2)硬化膜の調製
試験体を使用し、コンベアを備えた高圧水銀ランプ〔アイグラフィックス(株)製H06−L41〕を用いて、UV−Aランプ出力照度80W/cm、1パスあたりの照射強度250mW/cm2で照射エネルギーが400mJ/cm2の条件で試験体に紫外線を照射した。活性エネルギー線硬化製の指標として、硬化膜表面のタックがなくなるまでのパス数を評価した。パス数が少ないものほど硬化性が良好であることを表す。
得られた硬化膜を使用し、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
(1)密着性
得られた硬化膜に、カッターナイフで縦横1mm間隔の切り込みを入れて、1mm×1mmの大きさの升目25個を形成し、この碁盤目上にニチバン(株)製#405のセロハンテープを貼り付けた後に強く剥がした。剥離後の残膜数を評価した。残膜数が多いほど密着性が良好であることを示す。
得られた硬化膜に、カッターナイフで縦横1mm間隔の切り込みを入れて、1mm×1mmの大きさの升目25個を形成し、この碁盤目上にニチバン(株)製#405のセロハンテープを貼り付けた後に強く剥がした。剥離後の残膜数を評価した。残膜数が多いほど密着性が良好であることを示す。
(2)鉛筆硬度
得られた硬化膜について、JIS K5600−5−4に準じ、750g荷重にて鉛筆硬度を測定した。
得られた硬化膜について、JIS K5600−5−4に準じ、750g荷重にて鉛筆硬度を測定した。
(3)吐息による防曇性
硬化膜に対して吐息を吹きかけ、目視で観察し、硬化膜表面の曇りの有無を確認した。
硬化膜に対して吐息を吹きかけ、目視で観察し、硬化膜表面の曇りの有無を確認した。
(4)基材の浸食(外観評価)
硬化膜を目視で観察し、基材の浸食の有無を確認した。
硬化膜を目視で観察し、基材の浸食の有無を確認した。
4.評価結果
表2における実施例1〜同3の結果から明らかなように、本発明の組成物は、乾燥被膜のはじきがなく、硬化性に優れ、又、ABS樹脂基材への密着性、表面硬度、硬化膜表面の防曇性及び基材の浸食がない優れるものであった。
これに対して、(C)成分を含まない比較例1の組成物は、組成物の硬化性、硬化膜の表面硬度、及び防曇性に優れるものの、乾燥被膜のはじきが発生してしまい、硬化膜の基材への密着性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。
次に、疎水性重合体であるが(C)成分のMwの下限100,000に満たないUP−1000を含む比較例2及び同3の組成物について検討する。比較例2の組成物は、組成物の硬化性、硬化膜の表面硬度及び防曇性に優れるものの、乾燥被膜のはじきが発生してしまい、硬化膜の基材への密着性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。比較例3の組成物は、乾燥被膜のはじきが発生し、組成物の硬化性、硬化膜の密着性、表面硬度及び防曇性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。
表2における実施例1〜同3の結果から明らかなように、本発明の組成物は、乾燥被膜のはじきがなく、硬化性に優れ、又、ABS樹脂基材への密着性、表面硬度、硬化膜表面の防曇性及び基材の浸食がない優れるものであった。
これに対して、(C)成分を含まない比較例1の組成物は、組成物の硬化性、硬化膜の表面硬度、及び防曇性に優れるものの、乾燥被膜のはじきが発生してしまい、硬化膜の基材への密着性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。
次に、疎水性重合体であるが(C)成分のMwの下限100,000に満たないUP−1000を含む比較例2及び同3の組成物について検討する。比較例2の組成物は、組成物の硬化性、硬化膜の表面硬度及び防曇性に優れるものの、乾燥被膜のはじきが発生してしまい、硬化膜の基材への密着性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。比較例3の組成物は、乾燥被膜のはじきが発生し、組成物の硬化性、硬化膜の密着性、表面硬度及び防曇性が低下し、ABS樹脂基材を浸食してしまい、外観不良となってしまった。
本発明の硬化型組成物は、硬化型組成物として好ましく使用できるものであり、得られる硬化膜は、各種基材に対して、密着性、耐擦傷性に優れ、防曇性や埃付着防止性能にも優れるものである。保護眼鏡、ゴーグル、浴室の内壁、自動車やオートバイ等のヘッドランプカバー、リアランプカバー、防犯カメラレンズ等の防曇塗料、又プラスチックフィルムの埃付着防止コーティング剤として好ましく使用できる。
Claims (19)
- 下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む硬化型組成物。
(A)成分:エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物
(B)成分:親水性基とエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:重量平均分子量100,000〜5,000,000である疎水性重合体 - 前記(A)成分が、下記(A−1)成分を含む請求項1に記載の硬化型組成物。
(A−1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオン性基と、アニオンとからなる化合物 - 前記(A)成分が、前記(A−1)成分と下記(A−2)成分とを含む請求項2又は請求項3に記載の硬化型組成物。
(A−2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオン性基と、カチオンとからなる化合物 - 前記(B)成分が水酸基と2個以上のエチレン性不飽和基とを有する化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 前記(B)成分が、エチレン性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- さらに、前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分の合計100重量%中に、(A)成分を1〜30重量%、(B)成分を10〜97重量%、及び(D)成分を2〜60重量%含む請求項7に記載の硬化型組成物。
- 組成物の固形分100重量部に対し、前記(C)成分を0.1〜10重量部含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 下記(E)成分を含まないか、
前記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、下記(E)成分を3重量部以下の割合で含むか、又は、
(D)成分を含む場合は、前記(A)成分、(B)成分及び(D)成分の合計100重量部に対して、下記(E)成分を3重量部以下の割合で含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
(E)成分:水酸基を有する化合物であって、エチレン性不飽和基を有しない化合物 - さらに、エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤を含有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- さらに、光ラジカル重合開始剤(E)を含有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- さらに、熱ラジカル重合開始剤(F)を含有する請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
- 請求項12に記載の組成物を含むプラスチック基材被覆用活性エネルギー線硬化型コーティング組成物であって、プラスチック基材被がケトン系溶剤及びエステル系溶剤のいずれに対しても耐溶剤性を有さない基材であるプラスチック基材被覆用活性エネルギー線硬化型コーティング組成物。
- 前記ケトン系溶剤及びエステル系溶剤のいずれに対しても耐溶剤性を有さないプラスチック基材がABS樹脂である請求項14記載のプラスチック基材被覆用活性エネルギー線硬化型コーティング組成物。
- 請求項14又は請求項15に記載の組成物を含むプラスチック基材被覆用活性エネルギー線硬化型防曇コーティング組成物。
- 請求項13に記載の組成物を含むプラスチック基材被覆用熱硬化型コーティング組成物であって、プラスチック基材被がケトン系溶剤及びエステル系溶剤のいずれに対しても耐溶剤性を有さない基材であるプラスチック基材被覆用熱硬化型コーティング組成物。
- 前記ケトン系溶剤及びエステル系溶剤のいずれに対しても耐溶剤性を有さないプラスチック基材がABS樹脂である請求項17記載のプラスチック基材被覆用熱硬化型コーティング組成物。
- 請求項17又は請求項18に記載の組成物を含むプラスチック基材被覆用熱硬化型防曇コーティング剤組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018151549 | 2018-08-10 | ||
JP2018151549 | 2018-08-10 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020026530A true JP2020026530A (ja) | 2020-02-20 |
Family
ID=69619609
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019146015A Pending JP2020026530A (ja) | 2018-08-10 | 2019-08-08 | 硬化型組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020026530A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021187381A1 (ja) * | 2020-03-17 | 2021-09-23 | 東亞合成株式会社 | 硬化型組成物 |
-
2019
- 2019-08-08 JP JP2019146015A patent/JP2020026530A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021187381A1 (ja) * | 2020-03-17 | 2021-09-23 | 東亞合成株式会社 | 硬化型組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7044104B2 (ja) | 硬化型組成物 | |
US9034464B2 (en) | Single layer film and hydrophilic material comprising the same | |
EP2492320B1 (en) | Curable coating agent composition | |
TWI522413B (zh) | Hardened resin composition | |
WO2011013497A1 (ja) | 光硬化型親水性被覆剤、親水性被膜、および親水性被塗物 | |
KR20140041848A (ko) | 단층막 및 이것으로 이루어지는 친수성 재료 | |
JP2015021089A (ja) | 活性エネルギー線硬化型組成物 | |
WO2013035265A1 (ja) | 硬化型コーティング剤組成物 | |
EP2428540A1 (en) | Coating composition | |
KR102279540B1 (ko) | 친수성기를 갖는 함불소 공중합체 및 해당 공중합체를 포함하는 표면 개질제 | |
WO2020218365A1 (ja) | 硬化型組成物 | |
JP2020026530A (ja) | 硬化型組成物 | |
JP7255480B2 (ja) | 硬化型組成物 | |
JP7119773B2 (ja) | 硬化型組成物 | |
JP6863291B2 (ja) | 硬化型組成物 | |
JP7348594B2 (ja) | 硬化型組成物の製造方法 | |
JP2018197283A (ja) | 硬化型組成物 | |
JP6907706B2 (ja) | 硬化型組成物 | |
WO2021187381A1 (ja) | 硬化型組成物 | |
JP2022024597A (ja) | 硬化型組成物 | |
JP6859874B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2021017492A (ja) | 硬化型組成物 | |
JP5821103B2 (ja) | 4級カチオン性ビニルモノマーからなる帯電防止剤及び帯電防止組成物 | |
JP2022160186A (ja) | 水系ハードコート剤 | |
JP2017002245A (ja) | 活性エネルギー線硬化型組成物 |