JP7348594B2 - 硬化型組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アリル基及び/又はメタリル基を(メタ)アリル基と表す。
又、多官能(メタ)アクリレートとは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
プラスチック板及びプラスチックフィルム等のプラスチック基材は、表面の傷付き等を防止する目的で、ハードコート剤によりその表面が保護されるが、当該用途にも活性エネルギー線硬化型組成物が使用されている。
又、木材等の多孔質基材に対しても、表面の傷付き等の防止や意匠性を付与する目的で行われるトップコートや、他の塗料との密着性を向上させる目的で行われるプライマーとして、活性エネルギー線硬化型組成物が使用されている。
これらの問題を解決するために、従来より、非反応性の界面活性剤からなる防曇性組成物を基材表面に塗工する方法が行われているが、この方法は、塗工後の初期においては防曇効果が発揮されるものの、一旦処理面を払拭すると防曇性が低下してしまう、すなわち防曇持続性に欠けるものであった。
又、有機溶剤で希釈された親水性のポリマーからなる防曇性組成物を、基材表面に塗工する方法もあるが、その硬化膜硬度が不十分であり、耐溶剤性が不十分である上、防曇性も満足がいくものではなかった。
しかしながら、これらの組成物では、高湿度下の環境においては、防曇性が発現しないという問題があった。
速硬化性に優れる(メタ)アクリレートとしては、分子内に水酸基を持つ(メタ)アクリレートやエーテル結合を有する(メタ)アクリレートが報告されているが(非特許文献1及び同2)、一分子中の(メタ)アクリロイル基濃度が低いモノ(メタ)アクリレートやジ(メタ)アクリレートでは、薄膜で塗工した時に、空気中の酸素による硬化阻害を受けやすく、所望の硬化性が得られないことがある。
又、ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトールを骨格に持つ(メタ)アクリレートは、薄膜でも硬化性に優れるものが多い。しかしながら、これらの(メタ)アクリレートは、硬化時の収縮が大きく、十分な密着性が得られないことがあるほか、膜厚が薄い基材に対してコーティングを施した場合には、基材の反りや変形が問題となることがあった。
さらに、硬化型組成物においては、粘度調整等の目的で有機溶剤が使用されている。しかしながら、有機溶剤は環境汚染等の問題があるため、その使用が制限されることがある。又、有機溶剤を使用した硬化型組成物を使用する場合は、有機溶剤が大気中に飛散することを防止するため、密閉系の装置を使用して塗工及び硬化工程を実施する必要があり、工程が煩雑になったり、装置が高額となってしまう問題があった。
有機溶剤以外でかつ環境汚染の問題がない粘度調整剤としては、水がある。しかしながら、従来の(メタ)アクリレートは疎水性の化合物が多いため、水を粘度調整剤として使用すると分離してしまい、使用することができなかった。
又、水を含む硬化型組成物は、木材等の多孔質基材に対する浸透性に優れるものであるため、木材等の多孔質基材に使用するコーティング剤として望まれていた。
その結果、本発明者らは、前記課題を解決できる組成物として、植物由来のアルコールにより製造された(メタ)アクリレートで、しかも分子中に水酸基とエーテル基の両方を有する多官能(メタ)アクリレートを含む組成物を見出した(特願2019-082327明細書)。
しかしながら、プラスチック基材の種類によっては、得られる硬化膜の密着性が不十分となる場合があった。又、硬化膜の防曇性については、高温及び長時間という過酷な条件における防曇持続性(繰り返し防曇性)が不十分となる場合があった。
以下、本発明を詳細に説明する。
このため、本発明の組成物は、各種基材へのコーティング剤、プライマー、硬化膜に防曇性能が要求される保護眼鏡、ゴーグル等のコーティング、自動車やオートバイ等のヘッドランプやリアランプカバーのコーティング剤等に好ましく適用することができる。
(B)成分:イソシアネート系化合物を含む熱硬化剤を混合する工程
を含む硬化型組成物の製造方法に関する。
◆(A)成分を製造する工程
下記触媒X及びYの存在下に、ソルビトールのアルキレンオキサイド付加物であって、アルキレンオキサイドの付加モル数が1子中に1~20モルである化合物と、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とをエステル交換反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の混合物であって、水酸基価100mgKOH/g以上600mgKOH/g以下である混合物〔(A)成分〕を製造する工程
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
尚、以下においては、「アルジトール(但し、グリセロールを除く)」の記載を、単に「アルジトール」と記載することもある。
以下、(A)成分、その製造方法、及び用途について説明する。
(A)成分は、アルジトール(但し、グリセロールを除く)のアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートである。
本発明では、(A)成分の原料化合物として、アルジトールのアルキレンオキサイド付加物(以下、「AZ-RO」という)を使用する。但し、本発明においては、アルジトールとしてグリセロールを除くものである。
AZ-ROの原料化合物であるアルジトールとしては、種々の化合物を用いることができる。
アルジトールの具体例としては、エリトリトール、トレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、及びタリトール等が挙げられ、入手容易なD体を使用することが好ましい。
これら化合物の中では、工業的に入手が容易であり、かつ所望の(メタ)アクリレートの製造も容易であることから、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール(D-グリシトール)、及びマンニトールが好ましく、入手容易なD体を使用することが好ましい。
これらの化合物は植物を由来としており、環境負荷の低い化合物である。
アルジトールとしては、これら化合物を単独で使用することも、二種類以上を併用して使用することもできる。
アルジトールとしては、これら化合物の中でも、ソルビトールが好ましい。
AZ-ROにおけるアルキレンオキサイド付加モル数としては、付加モル数が多い化合物が、一般的には取り扱いやすく、酸素存在下でのラジカル重合阻害を低減できるとの理由で好ましい。
AZ-ROにおけるアルキレンオキサイド付加モル数としては、1~20が好ましく、より好ましくは2~15である。
アルキレンオキサイド付加モル数を1以上とすることで、水やアルコール等の親水性溶媒にしか溶解せず、エステル交換反応における1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物や有機溶媒に溶解し難くなるため、エステル交換反応が進行し難くなることを防止し、得られる(メタ)アクリレートを硬化型組成物として使用する場合において、他の成分との相溶性が著しく低下することを防止できる。一方、アルキレンオキサイド付加モル数を20以下とすることで、得られる(メタ)アクリレートを硬化型組成物として使用する場合において、硬化物の硬度を高いものとすることができる。
(A)成分の製造方法としては、エステル交換触媒の存在下に、AZ-ROと1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕をエステル交換反応させる方法、及び酸触媒の存在下に、AZ-ROと(メタ)アクリル酸を脱水エステル化反応させる方法が挙げられるが、エステル交換反応が好ましい。
(A)成分は、AZ-ROと単官能(メタ)アクリレートのエステル交換反応で得られる(メタ)アクリレートを含む反応生成物の混合物が好ましい。当該(A)成分は、(メタ)アクリロイル基の個数が異なる(メタ)アクリレートと副反応物の混合物である。
(A)成分におけるアルキレンオキサイド付加モル数としては、付加モル数が多い化合物が、一般的には取り扱いやすく、酸素存在下でのラジカル重合阻害を低減できるとの理由で好ましい。
(A)成分におけるアルキレンオキサイド付加モル数としては、1~20が好ましく、より好ましくは2~15である。
アルキレンオキサイド付加モル数を1以上とすることで、水やアルコール等の親水性溶媒にしか溶解せず、エステル交換反応における単官能(メタ)アクリレートや有機溶媒に溶解し難くなるため、エステル交換反応が進行し難くなることを防止し、得られる(メタ)アクリレートを硬化型組成物として使用する場合において、他の成分との相溶性が著しく低下することを防止できる。一方、アルキレンオキサイド付加モル数を20以下とすることで、得られる(メタ)アクリレートを硬化型組成物として使用する場合において、硬化物の硬度を高いものとすることができる。
親水性又は水溶性である(A)成分は、硬化型組成物が親水性又は水溶性となり、さらに得られる硬化物も親水性又は水溶性となる。この性質を利用して、(A)成分を含む硬化型組成物は種々の用途に使用することが可能となり、例えば、防曇コーティング剤、セルフコーティング剤、及び疎水性のコーティング剤を親水性の基材に塗工するためのプライマー等の用途に使用することができる。
本発明において、親水性又は水溶性とは、温度22℃において、(A)成分に対する蒸留水の溶解度が10%以上である場合を意味する。
尚、溶解度は下記式で定義し、蒸留水と(A)成分を混合し、静置した後の混合液に濁りや層分離が確認されず、均一な液体状態を意味する。
(A)成分に対する蒸留水の溶解度(%)
=蒸留水の重量部/(蒸留水の重量部+(A)成分の重量部)×100
本発明は、(A)成分の原料化合物であるAZ-ROの水酸基をエステル交換反応させて(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分を得るが、水酸基の(メタ)アクリレート化率を50%未満に抑え、水酸基を残すことにより、(A)成分は水に対して極めて高い溶解度を示すものとすることができる。
尚、本発明におけるケン化価とは、試料に水酸化カリウムのエタノール溶液を加えて75℃の温浴槽中で30分間加熱処理し、放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として塩酸水溶液で塩基を滴定して得られた値を意味する。
水酸基価を100mgKOH/g以上することにより、(A)成分を親水性又は水溶性に優れるものとすることができる。
尚、本発明における水酸基価とは、試料に無水酢酸とピリジンの混合液を加えて92℃の温浴槽中で1時間加熱処理した後、少量の水を添加して92℃の温浴槽中で10分間加熱処理し、放冷後にフェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムのエタノール溶液で酸を滴定して得られた値を意味する。
直鎖状脂肪族炭化水素基の具体例としては、エチレン基、1,3-プロピレン基(トリメチレン基)、及び1,4-ブチレン基(テトラメチレン基)等が挙げられる。
分岐状脂肪族炭化水素基の具体例としては、1,2-プロピレン基(イソプロピレン基)、及び1,1-ジメチルエチレン基(イソブチレン基)等が挙げられる。
R14~R16としては、これら官能基の中でもエチレン基が好ましい。
a、b及びcは、アルジトールの水酸基に存在するオキシアルキレン単位の付加モル数を意味する。a、b及びcは、それぞれ正数を表し、かつ全てが同時に0になることはない。
a+nb+cは、アルジトールの分子中に存在するオキシアルキレン単位の総付加モル数(アルジトール全体に対するアルキレンオキサイドの平均付加モル数)を意味する。a+nb+cは、下記式を満たすものである。
0<(a+nb+c)≦80
a+nb+cの下限としては、1以上であることが好ましい。a+nb+cとしては、2≦(a+nb+c)≦10がより好ましい。この範囲とすることで、合成が容易となり経済性に有利であるほか、他の成分との相溶性が良好となることで配合設計の自由度が高くなり、さらに硬化性に優れる組成物を得ることができる。
(A)成分の製造方法としては、前記した通り、エステル交換触媒の存在下に、AZ-ROと単官能(メタ)アクリレートをエステル交換反応させる方法が好ましい。
さらに、(A)成分の製造方法としては、下記触媒X及びYの存在下に、AZ-ROと単官能(メタ)アクリレートをエステル交換反応させる製造方法が好ましい。
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
以下、当該(A)成分の好ましい製造方法について説明する。
AZ-ROについては、前記で詳述した通りである。
(A)成分の原料として使用する単官能(メタ)アクリレートは、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
上記一般式(1)におけるR2の具体例としては、前記以外にも特開2017-39916号公報、特開2017-39917号公報及び国際公開第2017/033732号で挙げた官能基が挙げられる。
これらの単官能(メタ)アクリレートの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、又は、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にAZ-ROに対して良好な反応性を示し、入手が容易な炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、又は、炭素数1~2のアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、AZ-ROの溶解を促進し、極めて良好な反応性を示す炭素数1~2のアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
さらに又、単官能(メタ)アクリレートとしては、アクリレートが反応性に優れるため特に好ましい。
(A)成分の製造方法におけるエステル交換反応触媒としては、高収率で(メタ)アクリレートを製造できるとの理由で、触媒として下記触媒X及びYを併用する。
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体(以下、「アザビシクロ系化合物」という)、アミジン又はその塩若しくは錯体(以下、「アミジン系化合物」という)、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体(以下、「ピリジン系化合物」という)、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体(以下、「ホスフィン系化合物」という)よりなる群から選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
以下、触媒X及び触媒Yについて説明する。
(A)成分の製造方法における触媒Xは、アザビシクロ系化合物、アミジン系化合物、ピリジン系化合物、ホスフィン系化合物よりなる群から選ばれる一種以上の化合物である。
触媒Xとしては、前記した化合物群の中でも、アザビシクロ系化合物、アミジン系化合物及びピリジン系化合物よりなる群から選ばれる一種以上の化合物が好ましい。これら化合物は、触媒活性に優れ(A)成分を好ましく製造できる他、反応中及び反応終了後に後記する触媒Yと錯体を形成し、当該錯体は吸着等による簡便な方法により反応終了後の反応液から容易に除去できる。特に、アザシクロ系化合物は、その触媒Yとの錯体が反応液に難溶解性となるため、ろ過及び吸着等によりさらに容易に除去することができる。
一方、ホスフィン系化合物は、触媒活性に優れるものの、触媒Yと錯体を形成し難いか、又は、錯体を形成した場合は反応液に易溶解性であり、反応終了後の反応液中にホスフィン系化合物又は錯体の大部分が溶解したままとなるため、ろ過及び吸着等による簡便な方法により反応液から除去し難い。このため、最終製品中にもホスフィン系触媒が残存してしまい、これにより製品の保存中に、濁りや触媒の析出が発生したり、経時的に増粘又はゲル化してしまうという保存安定性の問題を生じることがある。
アザビシクロ系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017-39916号公報、特開2017-39917号公報及び国際公開第2017/033732号で挙げた化合物等が挙げられる。
ピリジン系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017-39916号公報、特開2017-39917号公報及び国際公開第2017/033732号で挙げた化合物等が挙げられる。
ホスフィン系化合物の具体例としては、前記以外にも特開2017-39916号公報、特開2017-39917号公報及び国際公開第2017/033732号で挙げた化合物等が挙げられる。
触媒Yは、亜鉛を含む化合物である。
触媒Yとしては、亜鉛を含む化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、反応性に優れることから有機酸亜鉛及び亜鉛ジケトンエノラートが好ましい。
有機酸亜鉛としては、蓚酸亜鉛等の二塩基酸亜鉛及び下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
前記式(3)の化合物としては、R6及びR7が、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状アルキル基又はアルケニル基である化合物が好ましい。R6及びR7において、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状アルキル基又はアルケニル基は、フッ素及び塩素等のハロゲン原子を有しない官能基であり、当該官能基を有する触媒Yは、高収率で目的の(メタ)アクリレートを含む反応生成物を製造できるため好ましい。
尚、これらの亜鉛を含む化合物について、その水和物又は溶媒和物又は触媒Xとの錯体が存在する場合には、該水和物及び溶媒和物及び触媒Xとの錯体も(A)成分の製造方法における触媒Yとして使用できる。
例えば、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛及び硝酸亜鉛等の亜鉛化合物(以下、「原料亜鉛化合物」という)を原料として使用し、有機酸亜鉛の場合は、原料亜鉛化合物と有機酸を反応させる方法、亜鉛ジケトンエノラートの場合は、原料亜鉛化合物と1,3-ジケトンを反応させる方法等が挙げられる。
(A)成分は、前記触媒X及びYの存在下に、AZ-ROと単官能(メタ)アクリレートをエステル交換反応させて製造される。
AZ-ROの(メタ)アクリレートは、従来の脱水エステル化反応やエステル交換反応では製造し難い化合物であった。これに対して、本発明で使用する製造方法によれば、AZ-ROの(メタ)アクリレートを問題なく製造することができ、しかも得られた(メタ)アクリレートは、着色がほとんどなく、高分子量体の割合が少ない。
(A)成分の製造方法における触媒Xと触媒Yの使用割合は特に制限はないが、触媒Yの1モルに対して、触媒Xを0.005~10.0モル使用することが好ましく、より好ましくは0.05~5.0モルである。0.005モル以上使用することで、目的の(メタ)アクリレートを含む反応生成物の収率を高めることができ、10.0モル以下とすることで、副生成物の生成や反応液の着色を抑制し、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
この組合せが、(メタ)アクリレートを含む反応生成物を収率よく得られることに加え、反応終了後の色調に優れる(黄色味が小さい)ことから、無色透明性が重要視されるコーティング用途等に好適に使用できる。さらには比較的安価に入手可能な触媒であることから、経済的に有利な製造方法となる。
AZ-ROの水酸基の一部(例えば50モル%程度)を(メタ)アクリレート化する場合、該1価アルコールを反応系内に共存させて平衡状態とし、触媒を吸着除去又は失活操作した後、該1価アルコール及び原料の単官能(メタ)アクリレートを留去することで、アクリレート化率が制御された生成物を安定的に製造することが出来る。
一方、AZ-ROの水酸基を積極的に(メタ)アクリレート化する場合には、該1価アルコールを反応系外に排出し、エステル交換反応の進行をより促進させることが好ましい。
溶媒の具体例としては、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジドデシルベンゼン、アミルトルエン、イソプロピルトルエン、デカリン及びテトラリン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルアセタール、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル、ジメチルセロソルブ、ジグライム、トリグライム及びテトラグライム等のエーテル類;18-クラウン-6等のクラウンエーテル類;安息香酸メチル及びγ-ブチロラクトン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン及びベンゾフェノン等のケトン類;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート等のカーボネート化合物;スルホラン等のスルホン類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;尿素類又はその誘導体;トリブチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類、イミダゾリウム塩、ピペリジニウム塩及びピリジニウム塩等のイオン液体;シリコンオイル並びに;水等が挙げられる。
これらの溶媒の中では、炭化水素類、エーテル類、カーボネート化合物及びイオン液体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒が好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、二種以上を任意に組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。
重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、フェノチアジン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等の有機系重合禁止剤、塩化銅、硫酸銅及び硫酸鉄等の無機系重合禁止剤、並びにジブチルジチオカルバミン酸銅、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の有機塩系重合禁止剤が挙げられる。
重合禁止剤は、一種を単独で添加しても又は二種以上を任意に組み合わせて添加してもよく、本発明の最初から添加してもよいし、途中から添加してもよい。又、所望の使用量を一括で添加してもよいし、分割して添加してもよい。又、精留塔を経由して連続的に添加してもよい。
重合禁止剤の添加割合としては、反応液中に5~30,000wtppmが好ましく、より好ましくは25~10,000wtppmである。この割合を5wtppm以上とすることで、重合禁止効果を十分発揮することができ、30,000wtppm以下にすることで、反応液の着色を抑制でき、反応終了後の精製工程を簡便にすることができ、又、得られる(A)成分の硬化速度の低下を防止することができる。
分離・精製操作としては、吸着操作、晶析操作、ろ過操作、蒸留操作及び抽出操作等が挙げられ、これらを組合わせることが好ましい。吸着操作としては、吸着剤による触媒の吸着が挙げられ、吸着剤としてはケイ酸アルミニウム等が挙げられる。晶析操作としては、冷却晶析及び濃縮晶析等が挙げられる。ろ過操作としては、加圧ろ過、吸引ろ過及び遠心ろ過等が挙げられる。蒸留操作としては、単式蒸留、分別蒸留、分子蒸留及び水蒸気蒸留等が挙げられる。抽出操作としては、固液抽出、液液抽出等が挙げられる。
該分離精製操作においては溶媒を使用してもよい。又、本発明で使用した触媒及び/又は重合禁止剤を中和するための中和剤や、副生成物を分解又は除去するための酸及び/又はアルカリ、色調を改善するための活性炭、ろ過効率及びろ過速度を向上するためのケイソウ土等を使用してもよい。
(B)成分は、熱硬化剤である。
熱硬化剤としては、(A)成分に由来する水酸基と反応することにより、硬化膜に優れた基材密着性や耐水性を付与することを目的として配合する成分である。
例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びシクロペンタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリオール化合物(例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等)とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマー等を挙げることができる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
又、このメチロール化ベンゾグアナミン樹脂を1種又は2種以上のアルコールによってエーテル化したものも上記ベンゾグアナミン樹脂に含まれる。
エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。
これらの中なかでも、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素数1~4の1価アルコールでエーテル化してなるベンゾグアナミン樹脂が好しい。
(B)成分の含有割合としては、(A)成分の合計100重量部に対して、(B)成分が0.1~100重量部が好ましく、より好ましくは1~60重量部である。
(B)成分としてイソシアネート系化合物を使用する場合の含有割合としては、(A)成分の水酸基価(mgKOH/g)に対して、(B)成分のモル比(OH/NCO)が0.1~1.2が好ましく、より好ましくは0.4~1.05である。
(B)成分としてイソシアネート系化合物を使用する場合は、硬化促進剤を併用することが好ましい。
イソシアネート系化合物の硬化促進剤としては、ウレタン化反応の触媒として使用されている化合物を使用することができる。硬化促進剤の例としては、例えば、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ化合物、テトラブトキシチタン等の金属アルコキシド、トリエチルアミン等のアミン化合物、並びにトリス(アセチルアセトナート)鉄及びジルコニウムテトラアセチルアセトナート等の金属錯体等が挙げられる。
(B)成分としてメラミン樹脂を使用する場合の硬化促進剤としては、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸等の強酸等が挙げられる。
硬化促進剤の含有割合は、(B)成分100重量部に対して、0.001~2重量部が好ましい。
本発明は、前記(A)成分及び(B)成分を含む硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、前記触媒X及びYの存在下に、AZ-ROと単官能(メタ)アクリレートとを、エステル交換反応させて得られる(メタ)アクリレートを含む反応生成物の混合物(A)を製造する工程を含む製造方法が好ましい。
当該製造方法によれば、(A)成分を高収率で得ることができるため、コストと生産性に優れる。又、当該製造方法で得られる(A)成分は、副反応高分子量体が少ないために低粘度で取扱いが容易であり、さらに速硬化性と硬化物の硬度及び防曇性に優れるため好ましい。
当該工程としては、前記した(A)成分の製造方法に従えば良い。
さらに、(A)成分と(B)成分を撹拌・混合して、組成物を製造する。又、後記するその他の成分を配合する場合は、(A)成分、(B)成分及びその他の成分を撹拌・混合すれば良い。
尚、(B)成分としてイソシアネート系化合物等の熱に不安定な化合物を使用する場合は、使用直前に(A)成分と(B)成分を撹拌・混合して組成物を製造することが好ましい。
又、(B)成分が熱に安定な化合物を使用する場合は、(A)成分と(B)成分を撹拌・混合して組成物を製造し、保管しておくこともできる。
但し、(B)成分としてイソシアネート系化合物等の熱に不安定な化合物を使用する場合や後記熱重合開始剤を配合する場合は、組成物製造時に重合することを防ぐために、30℃以下で行うことが好ましい。
さらに、(B)成分としてイソシアネート系化合物等の熱に不安定な化合物を使用する場合は、当該(B)成分を除いた成分を配合して、上記加熱を実施することが好ましい。
好ましい粘度としては、塗工時に扱い易いような粘度である。
又、本発明の組成物は、有機溶剤を含まない無溶剤型組成物、有機溶剤を含む溶剤型組成物、(A)成分を水中に溶解又は分散させた水系組成物のいずれの形態でも使用することができる。(A)成分を水中に分散させた水系組成物において、分散剤としては通常使用される乳化剤や後記する反応性乳化剤を使用することができる。
しかも、硬化膜は防曇性に優れ、さらに防曇持続性にも優れる。具体的には、硬化膜を蒸気に晒した後に水分を拭き取り、その後、再度蒸気に晒しても防曇性に優れる。
加えて、硬化膜を蒸気に晒した後に水分を拭き取り、その後、再度蒸気に晒しても水のタレ跡が付かないという効果も奏する。
尚、「硬化性成分」とは、エチレン性不飽和基を有する化合物群であり、(A)成分を意味し、後記する(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔(E)成分〕又は/及びエチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物〔(G)成分〕を配合する場合は、(A)成分と(E)成分又は/及び(G)成分を意味する。
柔軟性を付与するために必要な(A)成分の含有割合は、組み合わせる(E)成分の種類、並びに目的とする用途及び物性に応じて調整すればよい。例えば、(E)成分として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上(メタ)アクリレートを使用する場合、これらの(メタ)アクリレートは、硬化物の硬度が高く全く柔軟性がない。この様な(E)成分を用いる場合は、硬化性成分の合計量100重量%に対して(A)成分を10重量%部以上の添加することが好ましい。一方、分子中に2~4個程度の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート等のように、硬化物が若干の靭性を有する(E)成分を使用する場合は、硬化性成分の合計量100重量%に対して(A)成分を5重量%部程度の配合割合で所望の効果が得られるため、5重量%以上が好ましい。
その他成分の好ましい例としては、具体的には、光重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、熱重合開始剤〔以下、「(D)成分」という〕、前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(E)成分」という〕、有機溶剤及び/又は水〔以下、「(F)成分」という〕、並びに及びエチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物〔以下、「(G)成分」という〕等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(C)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、特に、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いたときには、硬化の容易性やコストの観点から、(C)成分を更に含有することが好ましい。
電子線硬化型組成物として使用する場合は、必ずしも(C)成分を含有させる必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
(C)成分の具体例としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン及び4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;
メチルベンゾイルフォルメート、オキシフェニル酢酸の2-(2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル及びオキシフェニル酢酸の2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のα-ケトエステル系化合物;
2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1-〔4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフィニル)プロパン-1-オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;
2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-〔4-(フェニルチオ)〕-1,2-オクタンジオン等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びに
カンファーキノン等が挙げられる。
(D)成分は熱重合開始剤であり、組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、(D)成分を配合することができる。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては(C)成分(光重合開始剤)と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
(E)成分は、前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(E)成分のエチレン性不飽和基としては、組成物の硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がさらに好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート:
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する単官能(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシ(メタ)アクリレート及びp-クミルフェノールエチレン(メタ)アクリレート等の芳香族単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロリルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のマレイミド基を有する単官能(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロイルモルホリン;並びに
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジヘキシル(メタ)アクリルアミドのN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上ポリオールのジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;並びに
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールF等のビスフェノールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。このほかに、目的に応じて、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルオリゴマーを使用することもできる。これらの(メタ)アクリルオリゴマーは、一般的に粘度が高いものが多いため、本発明の組成物を溶剤で希釈して塗工した場合に、乾燥工程での組成物のはじきを防ぎ、良好な塗膜外観を得ることができる。
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
組成物をハードコート用途に使用する場合は、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、並びにこれら多官能(メタ)アクリレートの残存水酸基をポリイソシアネートでウレタン化した多官能ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
又、組成物の硬化物の硬度を維持しつつ、低粘度としたい場合はグリセリントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
又、硬化膜に防曇性を付与する場合は、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、並びにイソシアヌレート環を有し、(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物又は/及び(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物〔イソシアヌル酸骨格を有する(メタ)アクリレート〕が好ましい。
イソシアヌル酸骨格を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物に対するε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物に対するε-カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ここでアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラメチレンオキサイド等が挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数としては、1分子中に1~3モルが好ましい。
又、ε-カプロラクトンの付加モル数としては、1分子中に1~3モルが好ましい。
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のジ及びトリアクリレート混合物(水酸基価:130mgKOH/g):東亞合成(株)製アロニックスM-215
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のジ及びトリアクリレート混合物(水酸基価:50mgKOH/g)、東亞合成(株)製アロニックスM-313
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のジ及びトリアクリレート混合物(水酸基価:130mgKOH/g)、東亞合成(株)製アロニックスMT-2513(エステル交換法品、低溶剤グレード)
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート:新中村化学工業(株)製A-9300、日立化成(株)製ファンクリルFA-731A
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のジ及びトリ(メタ)アクリレートの混合物:東亞合成(株)製アロニックスM-313、同M-315
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物に対するε-カプロラクトン1モル付加物のトリアクリレート:新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等が挙げられる。
・イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物に対するε-カプロラクトン3モル付加物のトリアクリレート:東亞合成(株)製アロニックスM-327
これら化合物は、3官能以上(メタ)アクリレートの中でも比較的親水性が高く、これら成分を配合することで防曇性に悪影響を及ぼすことなく塗膜硬度や硬化性を改善できるという点で好ましい。
本発明の組成物を前記したコーティング剤、インキ及びパターン形成等の用途に使用する場合において、(A)成分を主成分として使用する場合は、硬化性成分合計100重量%中に80重量%以下で含むことが好ましく、より好ましくは70重量%以下である。又、好ましい下限としては、硬化性成分合計100重量%中に20重量%以上である。
(E)成分の割合を20重量%以上含むことにより、硬化膜の硬度や各種基材への密着性の調整が可能であり、80重量%以下とすることより、硬化膜に良好な耐水性を付与することができる。
一方、(A)成分を、前記した硬化膜の柔軟性付与等を目的とした添加剤として使用する場合は、(E)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量%に対して50~95重量%であることが好ましい。
具体的には、水酸基価として20~160mgKOH/gを有する化合物が好ましい。
本発明の組成物は無溶剤で使用することが可能であるが、塗工粘度や膜厚調整等の目的で(F)成分(有機溶剤及び/又は水)を用いることができる。
(F)成分における有機溶剤としては、種々の化合物を使用することができる。具体的には、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ジブチルエーテル等のエーテル化合物;並びにN-メチルピロリドン等が挙げられる。
硬化型組成物が(A)成分を主成分とする場合は、水に対して任意の割合で相溶するため、有機溶剤の代わりに水を使用することができる。又、必要に応じて用いる(E)成分が水溶性である場合も水で希釈することができる。
(G)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物である。
(G)成分は、組成物を硬化させることで、硬化膜に良好な防曇性や埃付着防止に必要な低い表面抵抗を与える成分である。
(G)成分は、エチレン性不飽和基が反応して硬化膜中にイオン性基を化学的に結合することで、硬化膜表面を濡らしたり払拭したりしても優れた防曇性を維持することができ、防曇持続性(繰り返し防曇性)に優れるものとすることができる。
(G)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物であれば、種々の化合物を使用することができる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、スチリル基等を挙げることができる。
(G)成分のエチレン性不飽和基としては、(A)成分、又は必要に応じて配合する(E)成分との反応性が良好であり、かつ硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
(G)成分において、イオン性基としては強酸の塩が挙げられ、具体的にはスルホン酸アンモニウム、スルホン酸ナトリウム及びスルホン酸カリウム等のスルホン酸塩、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩、並びにカルボン酸アンモニウム、カルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウム等のカルボン酸塩等を挙げることができる。
さらに、スルホン酸塩を構成する対カチオンとしては、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン及び第4級アンモニウムイオンを挙げることができる。
具体的には、第2級アンモニウムイオンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-1-プロピルアミン、ジ-2-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-2-ブチルアミン、ジ-1-ペンチルアミン、ジ-2-ペンチルアミン、ジ-3-ペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ-1-ヘキシルアミン、ジ-2-ヘキシルアミン、ジ-3-ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエタノールアミン及びエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
第3級アンモニウムイオンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-1-プロピルアミン、トリ-2-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-2-ブチルアミン、トリ-1-ペンチルアミン、トリ-2-ペンチルアミン、トリ-3-ペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ-1-ヘキシルアミン、トリ-2-ヘキシルアミン、トリ-3-ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン及びビス(2-メトキシエチル)メチルアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
これらの中でも、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることが好ましく、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがより好ましく、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがさらに好ましく、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが特に好ましい。
(G-1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンとからなる化合物
(G-2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンとからなる化合物
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンにおけるカチオン性基としては、例えばアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾリウムイオン、トリアジニウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、及びモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が例示できる。
尚、上記のアンモニウムイオンにおいて、窒素原子上の置換基であることを示す「N-」や「N,N-」等の記載は省略する。
前記アニオンとしては、スルホン酸誘導体が好ましい。スルホン酸誘導体の具体例としては、アルコキシポリエチレングリコールスルホン酸のアニオン等のポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオン、及びイソプロピルベンゼンスルホン酸のアニオン等のアルキル基含有芳香族スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
当該化合物としては、下記式(6)で表される化合物が好ましい。
Rc及びRdは、それぞれ独立して、分岐していても良い炭素数1~10のアルキル基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げられる。
良好な防曇性を発現するためには、(G)成分は硬化膜表面近傍に存在する必要があるが、一般的に組成物塗工後の塗膜表面には疎水性が強い成分が配向しやすい。よって、これらの基におけるアルキル基としては、疎水性が高くなるように炭素数が6以上のアルキル基が好ましく、炭素数6~20のアルキル基が好ましい。
これらの基におけるポリオキシアルキレン単位の例としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、及びポリオキシテトラメチレン単位等が挙げられる。
例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、広栄化学工業(株)製商品名「IL-MA1」、「IL-MA2」及び「IL-MA3」;
アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JI-62C01」及び「JI-63F01」;並びに
メタクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとしてアルキル硫酸とを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JNA-04006」等が挙げられる。
(G-2)成分の具体例としては、アニオン性基がスルホン酸イオンである例としては以下の例が挙げられる。
即ち、カチオンがアンモニウムイオンの例である、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、α-スルホ-ω-(1-(アルコキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ)-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アンモニウム塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルアンモニウム塩、
カチオンがナトリウムイオンである、2-ソディウムスルホエチルメタクリレート、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩、(メタ)クリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩、及びビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルナトリウム塩等を挙げることができる。
その具体例としては、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンKH-10」及び「アクアロンKH-1025」、「アクアロンKH-05」;
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンHS-10」、「アクアロンHS-1025」、「アクアロンBC-0515」、「アクアロンBC-10」、「アクアロンBC-1025」及び「アクアロンBC-20」及び「アクアロンBC-2020」;
α-スルホ-ω-(1-(アルコキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ)-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アンモニウム塩としては、(株)ADEKA製の商品名「アデカリアソープSR-10」、「アデカリアソープSR-20」「アデカリアソープSR-1025」及び「アデカリアソープSR-3025」;
ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS-60」;
アルキル・アリルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス SAD」;
2-ソディウムスルホエチルメタクリレートとしては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS-2N」;
アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールJS-20」;並びに
メタクリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールRS-3000」等が挙げられる。
(G)成分としては、(G-1)成分が、(G-2)成分と比較して防曇持続性により優れるため好ましい。
(G-1)成分の防曇持続性により優れる理由の詳細は不明であるが、おそらく(E-2)成分を構成する対イオンであるカチオンがナトリウム及びカリウム等の金属カチオンの場合は、親水性が極めて高いために水と接触するとこれらが容易に硬化膜から溶出し、防曇性が持続しにくいものと考えられる。カチオンとして、アンモニウムイオン等非金属のカチオンを用いれば親水性は若干低くなり防曇持続性の向上が期待されるものの、一般的に入手可能な化合物は比較的低分子量のものに限られるため、経時での溶出を十分に防ぐことができず防曇持続性が不十分になるものと考えられる。
これに対して、(G-1)成分を構成する対イオンであるアニオン(例えば、アルキルスルホン酸イオンやアルキルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルナフタレンスルホン酸イオン、及びポリオキシエチレンアルキル硫酸イオン)はやや疎水性を有しているため、硬化膜表面の水分による溶出が少なくなるものと推測している。又、これらのアニオンがポリオキシアルキレンエーテル構造を有すると、ラジカル重合過程においてエーテル基上に生成したラジカルの作用により硬化膜と化学結合が形成されるため、防曇持続性が一層向上するものと考えられる。
さらに、紫外線照射量が上昇した場合においては、防曇性の観点から、(G-1)と(E-2)成分を併用することが好ましい。これは、紫外線照射量が上昇すると硬化膜表面の架橋密度が高くなることを抑制し、防曇性能を発現する成分の運動性を適度に維持し、防曇性能により優れる。安定した防曇性を発現するためには、(A)成分、又は必要に応じて配合する(E)成分、と共重合性が大きく異なり、(G)成分の濃度を局所的に高くする設計とすることが好ましく、具体的には(G-1)成分と(G-2)成分とを併用することで、この目的を達成することができる。
有機溶剤としては、水酸基を有する化合物であって、エチレン性不飽和基を有しない化合物以外の化合物を使用することが好ましく、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、並びに酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
(G)成分の割合を1重量%以上含むことにより、硬化膜の防曇性が優れるものとなり、30重量%以下とすることより、防曇性を付与するために十分な親水性と、長時間高温・高湿度下にさらされても吸水による膨潤剥離のない耐水性とを両立した硬化膜となる。
尚、前記した通り、エチレン性不飽和基を有する化合物群である(A)成分、(E)成分又は/及び(G)成分を「硬化性成分」という。
前記以外のその他の成分としては、公知の添加剤を用いることができる。例えば、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、フィラー、シランカップリング剤、酸発生剤、顔料、染料、粘着性付与剤及び重合禁止剤等が挙げられる。
以下、これらその他の成分のうち、有機溶剤、水、防曇改質剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸性物質、酸化防止剤、表面改質剤、親水性重合体、及びフィラーについて説明する。
本発明の組成物は、硬化膜が防曇持続性(繰り返し防曇性)に優れるものであるが、初期防曇性をさらに改良する目的で、本発明の防曇持続性に悪影響を与えない範囲内で防曇改質剤を添加することができる。
防曇改質剤としては、エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤を挙げることができる。
エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤及び両性イオン系界面活性剤等が挙げられる。
これら化合物の中でも、初期防曇性により優れる点で、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩は市販されており、市販品を使用することができる。スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)ナトリウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフP-10(同化合物の溶液)、M-30(同化合物の溶液)及びG-30(同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液)、並びに日油(株)製ラピゾールA30、同A70、同A80、同A90が挙げられる。スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)アンモニウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフG-600〔同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液〕等が挙げられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシロキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシロキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチルヘキシロキシ)プロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチロキシフェニル)-6-(2,4-ビスブチロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、オクチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子等の紫外線を吸収する無機粒子等が挙げられる。
前記化合物の中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
紫外線吸収剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、0.05~5重量部であることがより好ましく、0.1~2重量部であることがさらに好ましい。
光安定剤としては、公知の光安定剤を用いることができるが、中でも、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチロキシ)-4-ピペリジニル)エステル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、BASF社製、TINUVIN 111FDL、TINUVIN123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等が挙げられる。
本発明の組成物は、プラスチック等の基材への密着材に優れるものであるが、酸性物質を添加することでさらに密着性を向上させることができる。
酸性物質としては、活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤、無機酸、及び有機酸等が挙げられる。無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、及びリン酸等が挙げられる。有機酸としては、p-トルエンスルホン酸、及びメタンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、無機酸又は有機酸が好ましく、有機酸である有機スルホン酸化合物がより好ましく、芳香族スルホン酸化合物がさらに好ましく、p-トルエンスルホン酸が特に好ましい。
酸性物質の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.0001~5重量部であることが好ましく、0.0001~1重量部であることがより好ましく、0.0005~0.5重量部であることがさらに好ましい。酸性物質の含有割合が上記範囲であると、硬化膜が基材との密着性により優れ、基材の腐蝕や他の成分の分解といった問題の発生を防ぐことができる。
本発明の組成物は、硬化膜の耐熱性や耐候性を良好にする目的で、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。
本発明に用いられる酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又は、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を好ましく挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-70、AO-80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が好ましく挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、例えば(株)アデカ製、アデカスタブPEP-4C、PEP-8、PEP-24G、PEP-36、HP-10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO-23、AO-412S、AO-503A等が挙げられる。
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、前記以外の界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤及び防汚性付与剤等が挙げられ、公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高めるなどの目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
本発明の硬化型組成物を基材に塗工する場合、適用する基材の種類及び塗工方法によっては、基材に組成物を塗工し乾燥した後の塗膜にハジキ等が発生し、最終的に得られる硬化膜が外観不良となる場合がある。
この場合、塗膜のハジキ等を防止する目的のため、硬化型組成物に親水性重合体を添加することが好ましい。
親水性基としては、酸性基及び水酸基等が挙げられ、酸性基が好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基等が挙げられ、カルボキシル基又はスルホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
親水性重合体が酸性基を有する重合体(以下、「酸性基含有重合体」という)としては、酸性基の一部又は全部が中和された中和塩が好ましい。当該酸性基含有重合体の中和塩の製造方法としては、原料ビニル系単量体として中和塩を使用して製造する方法、及び酸性基含有重合体を製造した後、中和処理して製造する方法等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、及びこれら化合物の塩等が挙げられる。スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、リン酸と(メタ)アクリル酸とのエステル化物等のリン酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸性基含有重合体が酸性基の一部又は全部が中和された中和塩の場合においては、酸性基を有するビニル系単量体として、中和塩を使用することが好ましい。
酸性基を有するビニル系単量体の中和塩を形成するためのアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア;並びにトリエチルアミン及びトリエタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
その他単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルニトリル、及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート及びデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる
尚、本発明において親水性重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたGPCにより求めた値を意味し、酸成分としてカルボン酸等の酸性基を中和する前に測定した値である。又、その他単量体としてアミン性の単量体を含む場合はGPC測定ができないため、これら成分の代わりに通常のアルキル(メタ)アクリレートを使用して、同様の重合温度、開始剤濃度、モノマー濃度、溶剤濃度等の条件をそろえて重合した重合体のGPC測定結果を推測値とした値を意味する。
例えば、ラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等が挙げられる。
又、重合の形態として、例えば、溶液重合法、エマルジョン重合法、懸濁重合法及び塊状重合法等が挙げられる。
前記した低分子量重合体を通常の重合方法で製造しようとすると、通常、連鎖移動剤及び重合開始剤を多くする必要がある。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、活性エネルギー線の照射により硬化膜が着色しやすくなり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる。
このため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が好ましい。
高温重合の温度としては、160~350℃が好ましく、180~300℃がより好ましい。
具体的には、親水性重合体の有機溶剤溶液、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液、及び粉末等が挙げられる。これらの中でも、組成物への溶解性に優れるため、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、有機溶剤溶液及び親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液が好ましい。
親水性重合体の溶液及び分散液の固形分としては、3~70重量%が好ましい。
又、親水性重合体の溶液及び分散液の粘度としては、5~20,000mPa・sが好ましい。
親水性重合体の含有割合を0.5重量部以上とすることにより、硬化膜のハジキを防止するとともに、各種基材に対する密着性を向上させたり、フィルムのような膜厚が薄い基材に本発明の組成物を塗工し、硬化させた時の基材の変形及び反りを防ぐことができ、50重量部以下とすることにより硬化膜の白濁、スジむら、ゆず肌等の外観不良を防ぐことができる。
本発明の組成物が有機溶剤を含む場合において、(A)成分、又は必要に応じて配合する(E)成分のいずれかが低粘度であると、組成物をスプレー塗工又はスピンコートを行った後の乾燥工程において、有機溶剤が揮発する際に組成物が基材上ではじきを起こし、塗膜外観が不良となるおそれがある。
有機溶剤を含む組成物を使用して前記したような塗工方法を行う場合は、組成物にフィラーを配合して増粘を行うことが、乾燥後のはじきを防止することができ好ましい。
フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラーのいずれも使用することができ、有機フィラーが好ましい。
無機フィラーの例としては、シリカ及びアルミナ等の無機化合物が挙げられる。
有機フィラーの例としては、疎水性重合体が挙げられ、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、ポリウレア、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられ、ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
疎水性重合体としては、平均分子量が高いものが、増粘に必要な添加部数を少なくでき、組成物の防曇性の低下を防止することができるため好ましい。但し、組成物への相溶性を損なわない範囲において高分子量であることが好ましく、重量平均分子量として10,000~5,000,000が好ましく、100,000~2,000,000がより好ましい。
フィラーとしては粒子状のものが好ましく、その平均粒径としては1~15μmであることが好ましく、より好ましくは4~12μmである。
本発明における平均粒径とは、レーザー回折法により波長680nmで測定した値を意味する。
フィラーの含有割合としては、防曇性への影響を考慮するとより少量の添加量で増粘できることが好ましく、有機溶剤を除いた組成物全体量100重量部に対し、0.1~10重量部が好ましく、0.5~5重量部がより好ましい。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
硬化型組成物が活性エネルギー線硬化型組成物である場合は、例えば、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、活性エネルギー線を照射した後、(B)成分を硬化させる目的でさらに加熱する方法が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法は、従来の硬化方法として知られている一般的な方法を採用すれば良い。
又、硬化型組成物が熱硬化型組成物である場合は、例えば、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、加熱した後、(B)成分を硬化させる目的でさらに前記加熱温度より高い温度で加熱する方法が挙げられる。
以下、(B)成分を硬化させる目的で行う加熱を「後加熱」という。
この場合には、窒素ガス等の不活性ガスを供給して、不活性ガス雰囲気下で活性エネルギー線の照射方法した後に加熱する方法が、当該防曇性の低下を防止することができ好ましい。
加熱温度としては、使用する基材や目的に応じて適宜設定すれば良く、40~180℃が好ましい。基材がプラスチックの場合は、温度が高すぎると基材が変形するおそれがあるため、120℃以下であることが好ましい。
加熱時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5~60分である。
・工程1:基材に、前記した組成物を塗工する工程
・工程2:工程1で得られた組成物の塗工面に活性エネルギー線を照射し、硬化膜を形成する工程
・工程3:工程2で得られた硬化膜付き基材を加熱する工程
以下、当該製造方法について説明する。
工程1は、基材に、前記した組成物を塗工する工程である。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、木材、無機材料、プラスチック、及び紙等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、金属、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明の組成物は、難密着性とされるプラスチックに対しても、硬化膜が優れた密着性を有する。例えば、ポリカーボネートとして、タキロン〔タキロンシーアイ(株)製〕は、難密着性とされるが、本発明の組成物は密着性に優れる硬化膜を形成することができる。
乾燥温度は、適用する基材が変形等の問題を生じない温度以下であれば特に限定されるものではない。好ましい加熱温度としては、40~100℃である。乾燥時間は適用する基材及び加熱温度によって適宜設定すれば良く、好ましくは0.5~20分である。
工程2は、工程1で得られた組成物の塗工面に活性エネルギー線を照射し、硬化膜を形成する工程である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、硬化させるための活性エネルギー線としては、電子線、紫外線及び可視光線が挙げられるが、紫外線又は可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線(UV)無電極ランプ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV-A領域の照射エネルギーで50~8,000mJ/cm2が好ましく、100~3,000mJ/cm2がより好ましい。尚、照射エネルギーを1,000mJ/cm2以上とする場合においては、硬化膜の防曇性能の観点から、前記した防曇改質剤を配合することが好ましい。
工程3は、工程2で得られた硬化膜付き基材を加熱(後加熱)する工程である。
工程3は、(B)成分を硬化させる目的で実施する後加熱であり、加熱温度及び加熱時間は、使用する(B)成分の種類及び目的に応じて適宜設定すれば良い。
例えば、(B)成分としてイソシアネート系化合物を使用する場合は、温度60~120℃、加熱時間10分~10時間が好ましい。
又、(B)成分としてメラミン樹脂を使用する場合は、温度80~160℃、加熱時間3~60分が好ましい。
本発明の硬化型組成物は、種々の用途に使用することができ、例えば、コーティング剤、成形剤、インキ、パターン形成用、接着剤、充填剤及び封止剤等の種々の用途に使用可能である。
コーティング剤のより好ましい具体例としては、保護眼鏡、ゴーグル、建築・建設材料の塗装、浴室の内壁、キッチン周りの部材、自動車やオートバイ等のヘッドランプカバー、リアランプカバー等ガラス及びプラスチックの防曇コーティング剤、プラスチック基材や床面の埃付着を防ぐための埃付着防止コーティング剤等が挙げられる。
又、以下において、特に断りのない限り、「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
尚、実施例における略号は、下記を意味する。
・MCA:2-メトキシエチルアクリレート
・MEL:2-メトキシエタノール
・DABCO:トリエチレンジアミン
・MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル
・TEMPOL:4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル
・DEHA:N,N-ジエチルヒドロキシルアミン
1)製造例1〔ソルビトールのエチレンオキサイド6モル付加物(水酸基価734)の38モル%アクリレート化物の製造〕
撹拌機、温度計、ガス導入管、精留塔及び冷却管を取付けた3リットルのフラスコに、ソルビトールのエチレンオキサイド付加物〔青木油脂工業(株)製、水酸基価734mgKOH/g(13.1meq/g)、平均エチレンオキサイド付加数6.28、過酸化物濃度0.7wtppm〕を200g(水酸基として2.6モル)、MCAを613g(4.7モル)、触媒XとしてDABCOを0.88g(0.0078モル)、触媒Yとしてアクリル酸亜鉛を3.26g(0.0157モル)、MEHQを0.25g、TEMPOLを0.05g仕込み、含酸素ガス(酸素を5容量%、窒素を95容量%)を液中にバブリングさせながら、内温125℃から130℃の範囲で10時間加熱撹拌してエステル交換反応させた。この間、MEHQ及びTEMPOLを含むMCAを精留塔を介して反応液に随時追加した。
尚、MELの定量は、示差屈折率検出器を備えた高速液体クロマトグラフ(カラム:日本ウォーターズ(株)製 Atlantis(Part No.186003748、カラム内径4.6mm、カラム長さ250mm)、溶媒:純水又は10容量%イソプロパノール水溶液)を使用し、内部標準法にて実施した。
アクリレート化率(モル%)=エステル交換反応の進行に伴い副生したMELのモル数/(原料として使用したアルコールのモル数×原料として使用したアルコール分子の有するアルコール性水酸基数)×100
得られた濾液を、攪拌機、温度計、ガス導入管、留出用の冷却管、及び減圧用の管を接続したフラスコに入れ、内温90~100℃、圧力0.01~200mmHgの範囲で、乾燥空気をバブリングさせながら13時間撹拌し、未反応のMCA及び副生成物であるMELを留去した。
フラスコ内の釜液を室温まで冷却してDEHAを0.076部(0.0008モル)添加し、常圧下内温75℃~85℃の範囲で1時間撹拌した。その後、加圧濾過を行い、濾液を239g得た。製造例1で得られたアクリレート混合物を、以下、Sb-EOA-1という。
Sb-EOA-1中のMCAの残存量は、ガスクロマトグラフィー(以下、「ガスクロ」という)測定の結果、200ppm以下であり、臭気は全く感じられなかった。
又、Sb-EOA-1の粘度、水に対する溶解度、水酸基価、APHA、Mw、を下記に示す方法に従い測定した。それらの結果を下記に示す。
粘度(25℃):4.13Pa・s、水に対する溶解度:75%以上、水酸基価:300mgKOH/g、APHA:45、Mw:760、アクリレート化率33モル%
・ソルビトールのアルキレンオキサイド付加物に、イソプロピルアルコール、氷酢酸、及びヨウ化カリウム水溶液を加え、85℃の湯浴中で3分間加熱してヨウ素を生成させた。その後、湯浴から処理液を取出し、処理液の温度が40℃以下にならないうちにチオ硫酸ナトリウムでヨウ素を滴定した。滴定量から活性酸素量濃度を算出し、過酸化物濃度とした。
・測定方法:フローインジェクション法
・試料前処理:アセトニトリルにて500μg/mL溶液を調製
・装置:Quattro Premier(Waters製)+AcQuity UPLC(Waters製)
・注入量:2μL
・溶離液流速:0.3mL/min
・溶離液組成:10mM酢酸NH4/アセトニトリル=50/50(溶液比、0min→1min)
・キャピラリー電圧:3.0kV
・コーン電圧:10V
・ソース温度:120℃
・脱溶媒温度:400℃
・脱溶媒ガス量:800L/h
・コーンガス量:50L/h
・質量分析範囲:m/z=180~1200(SCANモード)
・イオン化モード:ESI+
・装置:(株)島津製作所製 GC-17A
・検出器:FID検出器
・キャリアーガス:ヘリウム
・カラム:Inert Cap(膜厚0.5μm、0.32mmID×60m)
・インジェクション温度:200℃
・FID温度:250℃
・カラム温度:120℃にて5分保持した後、10℃/minの速度で240℃まで昇温後、25分保持。
・注入量:0.2μL
・内部標準法により、MELの含有量を重量%で求めた。
E型粘度計を使用し、25℃での粘度を測定した。
温度22℃において、得られた(A)成分及び蒸留水を5%、10%、15%、20%、25%、50%及び75%の混合割合でスクリュー管に入れ、ミックスローターで2時間混合後、24時間静置した。静置後の混合液を注意深く目視観察し、濁り又は層分離の有無、均一性を観察した。
尚、混合割合(%)は下式で定義し、24時間静置後に濁りや層分離が確認されず、均一液体を維持する混合割合(%)を溶解度(%)とみなした。
混合割合(%)=蒸留水の重量部/(蒸留水の重量部+(A)成分の重量部)×100
試料に無水酢酸とピリジンの混合液を加えて92℃の温浴槽中で1時間加熱処理する。その後、少量の水を添加して92℃の温浴槽中で10分間加熱処理する。放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムのエタノール溶液で酸を滴定して水酸基価を求めた。
色差計(日本電色工業製 石油製品色試験器OME-2000)を使用し、APHAを測定した。
・装置:Waters(株)製 GPC システム名 1515 2414 717P RI
・検出器:RI検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
・検量線:標準ポリスチレンを使って較正曲線を作成した。
検出された分子量400以上のピークを分割せずに一つのピークとみなして重量平均分子量を算出した。
1)組成物の調製
製造例1で得られた(A)成分及び下記に略号を示す成分を使用し、表1に示す割合で40℃にて撹拌・混合して、組成物を得た。
(A)成分
・Sb-EOA-1:製造例1で得られたアクリレート
(B)成分
◆TPA-100:ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレート型):旭化成株式会社製 デュラネート TPA-100(製品中のNCO%=23.1重量%)
(C)成分
◆HCPK:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IGMレジンズ社製 Omnirad184)
(E)及び(G)成分
◆JI-64C02:下記G-1-1の50%及び下記E-1の50%を含む溶液〔日本乳化剤社製 JI-64C01〕。
※下記JI-62C01のプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」という)の全量をE-1で置き換えた溶液。
・JI-62C01:アクリロイル基とアンモニウムイオンからなり対イオンを有する化合物(以下、「G-1-1」という)のPGME50%溶液〔日本乳化剤社製 JI-62C01〕
・E-1:国際公開WO2018/207828号の製造例1に基づき得られたグリセリンジアクリレート(GLY-DA)62%、グリセリントリアクリレート(以下、「GLY-TA」という)33%、グリセリンモノアクリレート(以下、「GLY-MA」という)5%の混合物
(F)成分
◆酢エチ:酢酸エチル
(G)成分
◆SR-10:ポリエチレングリコール(付加モル数10)片末端にSO3NH4基(アニオン性)を有し、もう一方の末端にアルキル基とアリル基を有する化合物〔ADEKA(株)製 アデカリアソープSR-10〕
その他の成分
◆DBTL:ジブチルスズジラウレートの1%酢エチ溶液。尚、後記表1においては、固形分と(F)成分(酢エチ)を分けて記載している。
◆G-30:スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)ナトリウムのプロピレングリコール(以下、「PG」という)/水混合溶液(固形分:70%、PG:15%、水:15%)、新日本理化(株)製リカサーフG-30。尚、後記表1においては、固形分と(F)成分(PG及び水)を分けて記載している。
尚、表1における組成物の欄には、原料として使用したTPA-100に含まれる固形分〔(B)成分〕と(F)成分(有機溶剤)を分けて記載し、JI-64C02に含まれる(E)成分〔(E-1)〕及び(G)成分〔(G-1-1)〕を分けて記載し、DBTLに含まれる固形分と(F)成分(有機溶剤)を分けて記載している。
得られた実施例1~同4、並びに比較例1の組成物をバーコーターを用い、裁断した三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ポリカーボネート、ユーピロンNF2000(150mm×70mm×1mm)(以下、「ユーピロン」という)に膜厚が10μmとなるよう塗工し、これを80℃の乾燥機で1分間加熱し、溶剤を揮発させた。
次いで、コンベアを備えた高圧水銀ランプ〔アイグラフィックス(株)製H06-L 41〕を用いて、UV-A照度80W/cm、1パスあたりの照射エネルギーが200mJ/cm2の条件で5パス試験体に紫外線を照射し、硬化させた。得られた試験体をさらに80℃で1時間加熱した。
得られた硬化膜を使用し、以下の方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
硬化膜に対して吐息を吹きかけ、目視で観察し、硬化膜表面の曇りの有無を確認し、以下の2水準で評価した。
○:曇りなし ×:曇りあり
得られた硬化膜に、カッターナイフで縦横1mm間隔の切り込みを入れて、1mm×1mmの大きさの升目25個を形成し、この碁盤目上にニチバン(株)製#405のセロハンテープを貼り付けた後に強く剥がした。剥離後の残膜数を評価した(表2の密着性試験1)。残膜数が多いほど密着性が良好であることを示す。
又、基材として、前記ユーピロンに変え、裁断したタキロンシーアイ(株)製ポリカーボネート、タキロンPC1600150mm×70mm×2mm)(以下、「タキロン」という)を使用して、前記と同様の方法で、紫外線照射及び加熱して硬化させたものについても同様に密着性の評価を行った(表2の密着性試験1)。
さらに、下記防曇持続性試験を行った後の硬化膜についても、上記と同様の方法に従い、密着性の評価を行った(表2の密着性試験2)。
硬化膜を80℃の乾燥器にて14日間静置した後に硬化膜を取り出し、硬化膜が曇るか否かを目視で評価した。又、防曇持続性は、当該評価の後に、硬化膜表面に付着した水分を紙で拭き取った後、さらに硬化膜を80℃の蒸気に1分間さらす操作を計5回繰り返して評価した。尚、表2における○、△、及び×は以下の意味を表す。
○:曇らない、△:やや曇る、×:曇る
表2における実施例1~同4の結果から明らかなように、本発明の組成物は、吐息防曇性に優れ、しかも各種プラスチック基材に対する密着性にも優れ、防曇持続性試験後も密着性が低下しないものであった。さらに、防曇持続性にも優れるものであった。
これに対して、(B)成分を含まない比較例1の組成物は、吐息防曇性に優れるものの、プラスチック基材であるユーピロンに対する密着性が実施例の組成物に対して不十分であり、タキロンに対しては密着性が大きく低下してしまった。さらに、過酷な条件において、防曇持続性が不十分なものであった。
加えて、実施例1~同4の組成物は、硬化膜を蒸気に晒した後に水分を拭き取り、その後、再度蒸気に晒しても水のタレ跡が付かないものであった。一方、比較例1の組成物は、同様の操作を行ったところ、水のタレ跡を有していた。
特に、本発明の組成物は、硬化性に優れ、形成される硬化膜は密着性が良好で、多孔質基材への浸透性を調節でき、親水性に優れることから、良好な防曇性を発現する。
このため、本発明の組成物は、各種基材へのコーティング剤、プライマー、硬化膜に防曇性能が要求される保護眼鏡、ゴーグル等のコーティング、自動車やオートバイ等のヘッドランプやリアランプカバーのコーティング剤等に好ましく適用することができる。
Claims (13)
- 下記(A)成分を製造する工程、及び
(B)成分:イソシアネート系化合物を含む熱硬化剤を混合する工程
を含む硬化型組成物の製造方法。
◆(A)成分を製造する工程
下記触媒X及びYの存在下に、ソルビトールのアルキレンオキサイド付加物であって、アルキレンオキサイドの付加モル数が1子中に1~20モルである化合物と、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とをエステル交換反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の混合物であって、水酸基価100mgKOH/g以上600mgKOH/g以下である混合物〔(A)成分〕を製造する工程
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体からなる群から選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。 - 前記(A)成分が、温度22℃における蒸留水への溶解度が10%以上である請求項1に記載の硬化型組成物の製造方法。
- 1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項1又は請求項2に記載の硬化型組成物の製造方法。
- 前記触媒Xが、アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくはその錯体、及びピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体よりなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- 前記触媒Yが、有機酸亜鉛又は/及び亜鉛ジケトンエノラートである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- さらに、(C)成分:光重合開始剤を混合する工程を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- さらに、(D)成分:熱重合開始剤を混合する工程を含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- さらに、(E)成分:(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物を混合する工程を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- さらに、(F)成分:水及び/又は有機溶剤を混合する工程を含む請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
- さらに、(G)成分:エチレン性不飽和基とイオン性基を有する化合物を混合する工程を含み、さらに、(G)成分が、下記(G-1)成分を含むものである請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の硬化型成物の製造方法。
(G-1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンとからなる化合物 - 前記(G)成分が、前記(G-1)成分と下記(G-2)成分とを含む請求項10又は請求項11に記載の硬化型組成物の製造方法。
(G-2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオン性基と、カチオンとからなる化合物 - さらに、エチレン性不飽和基を有しないイオン性界面活性剤を混合する工程を含む請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の硬化型組成物の製造方法。
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