JP2020026071A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Noboru Shimoyama
昇 下山
木田 朗
Akira Kida
朗 木田
淳 甲野藤
Atsushi Konoto
淳 甲野藤
倉田 哲治
Tetsuji Kurata
哲治 倉田
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Abstract

【課題】記録ヘッドを移動させるインクジェット記録装置において、記録ヘッドを高精度に位置決めする移動手段を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置は、メンテナンス動作から記録動作に移行する際に、ヘッドホルダ20が、メンテナンス位置から記録位置まで移動されて、プラテンの幅方向の両側に左右対照に装置内に固定されている当接部材21に当接した状態から、ヘッドホルダを、この当接の方向に更に押圧する付勢部材505を備える。【選択図】図13

Description

本発明は、インクを吐出して画像を記録する記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置に関する。
特許文献1には、フルライン式の記録ヘッド(ラインヘッド)を用いる記録装置において、記録動作からメンテナンス動作に移行する際にラインヘッドを移動させる構成が開示されている。
特開2009−72925号公報
しかしながら特許文献1の構成では、記録ヘッドを移動させることにより、記録媒体の裏面を支持する部材(例えばプラテン)と記録ヘッドの吐出口面との距離が不安定になる虞がある。
上記課題に鑑みて本発明は、記録ヘッドを移動させるインクジェット記録装置において、記録ヘッドを高精度に位置決めすることを目的とする。
そのために本発明は、インクを吐出する吐出口が配列された記録ヘッドを保持するヘッドホルダと、前記ヘッドホルダを所定の位置に移動させることが可能な移動手段とを備えるインクジェット記録装置であって、前記移動手段によって移動され、前記所定の位置において当接部材に当接した状態にある前記ヘッドホルダを、前記当接の方向に付勢する付勢部材を更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッドを移動させるインクジェット記録装置において、記録ヘッドを高精度に位置決めすることが可能となる。
記録装置が待機状態にあるときの図である。 記録装置の制御構成図である。 記録装置が記録状態にあるときの図である。 第1カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。 記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。 記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。 メンテナンスユニットの構成を示す斜視図である。 循環型インク供給システムを示す図である。 記録ヘッドを移動させる機構を説明する図である。 記録ヘッドを移動させる様子を示す図である。 記録位置にあるときのヘッドホルダを示す斜視図である。 第1の実施形態の記録位置における記録ヘッドと当接部材の側面図である。 第2の実施形態の記録位置における記録ヘッドと当接部材の側面図である。
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列する方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFで自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えば、コントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。
図4(a)〜(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第1カセット5A内の1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。
記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、搬送ローラ7と拍車7bに案内されながら、先端が右に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pの位置から、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。
記録媒体Sは、鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。排出された記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で、排出トレイ13上に保持される。
図5(a)〜(c)は、第2カセット5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内の1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bに給送されて記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字上に湾曲されてプラテン9まで搬送される。
その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
図6(a)〜(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は図4(a)〜(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以後、図4(c)以後の搬送工程について説明する。
記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。
その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外周面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。
その後の搬送経路は、図4(b)および4(c)で示した第1面記録の場合と同様である。図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。図1でも説明したように、本実施形態のメンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
図7は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
図8(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、図8(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。図8(a)は図1に対応し、図8(b)は図7に対応している。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は図8(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10は鉛直方向上方に移動しており、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ部材10aを有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させることにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。また、キャップユニット10は、キャップ部材10aに予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクを不図示の吸引ポンプに吸引させる機能も備えている。
一方、図8(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニットを備えている。
ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。
ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。
一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。バキュームワイパ172cの先端には、不図示の吸引ポンプに接続された吸引口が形成されている。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら吸引口に吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、吐出口面8aに対するバキュームワイパ172cの位置合わせに利用される。
本実施形態では、ブレードワイパユニット171によるワイピング動作を行いバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を行わない第1のワイピング処理と、両方のワイピング処理を順番に行う第2のワイピング処理を実施することができる。第1のワイピング動作を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16から引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。この移動により、吐出口面8aに付着するインク等はブレードワイパ171aに拭き取られる。すなわち、ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16から引き出された位置からメンテナンスユニット16内へ移動する際に吐出口面8aをワイピングする。
ブレードワイパユニット171が収納されると、プリントコントローラ202は、次にキャップユニット10を鉛直方向上方に移動させ、キャップ部材10aを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させる。そして、プリントコントローラ202は、その状態で記録ヘッド8を駆動して予備吐出を行わせ、キャップ部材10a内に回収されたインクを吸引ポンプによって吸引する。
一方、第2のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。これにより、ブレードワイパ171aによるワイピング動作が吐出口面8aに対して行われる。次に、プリントコントローラ202は、再び記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す。続いて、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を図7に示すワイピング位置に下降させながら、平板172aと位置決めピン172dを用いて吐出口面8aとバキュームワイパユニット172の位置決めを行う。その後、プリントコントローラ202は、上述したバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を実行する。プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向上方に退避させ、ワイピングユニット17を収納した後、第1のワイピング処理と同様に、キャップユニット10によるキャップ部材内への予備吐出と回収したインクの吸引動作を行う。
図9は、本実施形態のインクジェット記録装置1で採用する循環型インク供給システムを示す図である。循環型インク供給システムは、インクタンクユニット14、インク供給ユニット15、記録ヘッド8が連結されて構成される。ここでは、1色のインクについての循環システムを示しているが、実際にはこのような循環システムが、インク色ごとに用意されている。
インクタンクユニット14には、比較的大容量のインクを貯留するメインタンク141が設置されている。インク供給ユニット15には、バッファタンク151と、これに連結する3つのポンプP0、P1、P2が含まれている。循環ポンプP1およびP2は、供給システム中のインクが循環ポンプP1からバッファタンク151を経由して循環ポンプP2方向へ移動するように、循環経路全体のインクを流動させる。補充ポンプP0は、バッファタンク151内のインク残量が少なくなった時に作動し、メインタンク141より新たなインクを補充する。
記録ヘッド8は、インク吐出ユニット80と、循環ユニット81と、負圧制御ユニット82を有している。インク吐出ユニット80は吐出データに従ってインク滴を吐出するための構造を備えている。本実施形態では、個々の記録素子にヒータを配備し、当該ヒータに電圧を印加することによってインク内に膜沸騰を生じさせ、泡の成長エネルギに伴って吐出口からインクを吐出させる方式を採用する。負圧制御ユニット82は、インク吐出ユニット80において、インクが正常な方向に適切な圧力で流れるように調整する。インク循環ユニット81は、バッファタンク151、負圧制御ユニット82およびインク吐出ユニット80の間で、インクの供給や回収を制御する。
バッファタンク151から循環ユニット81に供給されたインクは、フィルタ811を介して負圧制御ユニット82に供給される。負圧制御ユニット82には、高流圧でインクを流出する負圧制御ユニットHと、低流圧でインクを流出する負圧制御ユニットLが配されている。負圧制御ユニットHから流出されたインクと負圧制御ユニットLより流出されたインクは、それぞれ別の経路で循環ユニット81を介しインク吐出ユニット80に供給される。
インク吐出ユニット80には、複数のノズルがy方向に配列される記録素子基板80aが更にy方向に複数配置され、長尺のノズル列が形成されている。また、負圧制御ユニットHによって高流圧で供給されるインクを導くための共通供給流路80bと、負圧制御ユニットLによって低流圧で供給されるインクを導くための共通回収流路80cも、インク吐出ユニット80内に形成されている。さらに個々の記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別流路と、共通回収流路80cと接続する個別流路が形成されている。このため、個々の記録素子基板80aには、高圧力を有する共通供給流路80bより流入し、低圧力を有する共通供給流路80cへ流出するような、インクの流れが生成される。そして、記録素子基板80aで吐出動作が行われると、循環するインクの一部は吐出によって消費されるが、残りのインクは共通回収流路80cを経て循環ユニット81に還流され、循環ポンプP1を経てバッファタンク151に戻される。
このような循環型インク供給システムにおいては、記録素子基板80aの吐出動作で発生する熱が循環するインクによって奪われるので、吐出動作が連続して行われても蓄熱に伴う吐出不良を抑えることができる。また、吐出動作に伴って発生する泡や増粘インク、さらに異物などが停滞しにくい構成のため、すべてのノズルの吐出状態を良好に維持することができる。
特に、吐出動作に伴って発生した泡は上方へと移動する性質があるため、本実施形態のように吐出口面8a即ちインク吐出ユニット80を傾けた状態で記録動作を行うと、特定の記録素子基板80aや特定の吐出口に泡が滞留するおそれが生じる。しかしながら、循環型インク供給システムを採用すれば、発生した泡も共通回収流路80cを介して確実に回収できるため、吐出動作時における記録ヘッド8の姿勢の自由度も増す。結果として、図3のような記録位置も可能となり装置の小型化することができる。
但し、その一方で、メンテナンス位置においては、個々の記録素子基板80aおよび個々の吐出口に対し重力の影響を均等に作用させるために吐出口面8aは水平になっていることが望ましい。このため、記録ヘッド8は、図1に示す待機位置、図3に示す記録位置、および図7に示すメンテナンス位置の間を適宜移動する必要が生じ、簡潔で短時間に移動可能な構成が求められる。
図10(a)および(b)は、待機位置と記録位置およびメンテナンス位置の間で記録ヘッド8を移動させる機構を説明するための図である。ヘッドホルダ20の長手方向の両端には、他部材との係合部となる第1ピン801、第2ピン802、第3ピン803が突出しており、図10(a)は記録ヘッド8を装着した状態の記録装置1の手前側の様子を示している。第1ピン801は図における記録ヘッド8の左側上部に設けられ、第1本体ガイド501に係合し、第1ガイド501aに沿って移動可能である。第1ガイド501aの上部は鉛直方向に延びる直線形状、下部は図10(a)における右側に屈曲する形状となっている。第1ピン801が第1ガイド501aの屈曲形状に沿って移動するとき、記録ヘッド8は回転移動する。
第2ピン802は記録ヘッド8の下部に設けられ、第2本体ガイド502に係合し、第2ガイド502aに沿って移動可能である。第2ガイド502aの一部は、図10における右下に向けて屈曲している。第2ピン802がこの屈曲形状に沿って移動するとき、記録ヘッド8は回転移動する。第1本体ガイド501および第2本体ガイド502は記録装置1に固定されている。
第3ピン803は記録ヘッド8の上部に設けられ、駆動ギア504によって装置本体に対してスライドするスライド部材503に係合し、第3ガイド503aに沿って移動可能である。第3ガイド503aはL字状に屈曲している。第3ピン803が第3ガイド503a(図11参照)に沿って図10における左側に向けて移動するとき、記録ヘッド8は回転移動する。
図10(b)は、駆動ギア504とスライド部材503の結合状態を説明する図である。スライド部材503はL字状のガイド部材であり、バネ部材などで構成される付勢部材505を介してスライドラックギア506と連結している。スライドラックギア506は、左側面に形成されているギアレールが装置本体に固定された駆動ギア504と噛合い、駆動ギア504の回転に伴って上下にスライド可能になっている。すなわち、スライド部材503に対し付勢部材505に抗する力が作用していないとき、スライド部材503は、駆動ギア504の回転に伴ってスライドラックギア506と共に上下方向に移動する。一方、スライド部材503に対し付勢部材505に抗する力が作用しているとき、スライド部材503は付勢部材505を押し縮め、スライドラックギア506に対しz方向に移動する。
図11(a)〜(d)は、待機位置、記録位置およびメンテナンス位置の間で記録ヘッド8を移動させる様子を示す図である。図11(a)は図1の待機位置、図11(b)は待機位置から記録位置への遷移図、図11(c)は図3の記録位置、図11(d)は図7のメンテナンス位置にそれぞれ相当する。
ヘッドホルダ20の第3ピン803が第3ガイド503aに支持されているため、記録ヘッド8は、駆動ギア504の回転位置に応じてスライド部材503とともに上下に移動する。また、この上下移動に伴って、第1ピン801は第1ガイド501aに沿って、第2ピン802は第2ガイド502aに沿ってそれぞれ移動する。なお、駆動ギア504の回転方向および回転量は、プリントコントローラ202の指示のもと、ヘッドキャリッジ制御部208によって制御される。
図11(a)に示す待機位置において、吐出口面8aはキャップ10によりキャッピングされる。駆動ギア504はスライドラックギア506の途中に位置している。第1ピン801は第1ガイド501aの直線部分に位置し、第2ピン802は第2ガイド502aの直線部分に位置するため、記録ヘッド8の吐出口面8aは水平状態にある。
記録ヘッド8が図11(a)に示す待機位置から図11(c)に示す記録位置に移行する際、プリントコントローラ202は、駆動ギア504を図の時計回りに回転させる。
図11(b)は、駆動ギア504の回転によってスライド部材503が鉛直下方へスライドしている途中の遷移図を示す。スライド部材503のスライドによって、第1ピン801は第1ガイド501aの直線部分の途中まで下降し、第2ピン802は第2ガイド502aの屈曲形状に沿って進む。そのため記録ヘッド8は、鉛直下方への移動に加えて、第2ガイド502aの屈曲に沿った回転移動を行う。更にこの回転移動に伴い、第3ピン803は第3ガイド503aに沿って左に移動する。
図11(c)は、駆動ギア504の回転によって記録ヘッド8が記録位置に到達した状態を示している。第1ピン801は第1ガイド501aの屈曲部分の先端に到達し、第2ピン802も第2ガイドの屈曲形状の先端に位置している。これら第1ガイド501aと第2ガイド502aの屈曲により、記録ヘッド8は図11(a)に示した待機位置から約45度回転し、図11(c)に示す記録位置に到達する。
なお、記録ヘッド8が右下へ直線移動できるように、第1ガイド501aの最下部と第2ガイド502aの最下部のガイド方向は略平行となっている。上述した待機位置から記録位置への移動により、駆動ギア504はラックギア506の上端近くまで移動する。
記録ヘッド8が記録位置にあるときの第1ピン801と第2ピン802の水平方向成分の相対的な距離は、記録ヘッド8が待機位置にあるときの相対的な距離よりも大きい。反対に、記録ヘッド8が記録位置にあるときの第1ピン801と第2ピン802の鉛直方向成分の相対的な距離は、記録ヘッド8が待機位置にあるときの相対的な距離よりも小さい。このため、記録ヘッド8全体が反時計回りに約45度回転し、その吐出口面8aはプラテン9と対向する。
一方、このような直線移動と回転移動に伴い、第3ピン803は第3ガイド503aに沿って図の左方向に移動した後、図の右上方向に移動する。図11(c)に示す記録位置において、第3ピン803は第3ガイド503aの斜面に当接しており、約45度回転した記録ヘッドを支持している。
記録ヘッド8が図11(c)の記録位置から図11(d)に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、駆動ギア504を反時計回りに回転させる。駆動ギア504の回転によってスライド部材503は鉛直上方へスライドし、図11(b)の遷移図に示す状態および図11(a)に示す待機位置を経由して、図11(d)の位置に到達する。図11(d)のメンテナンス位置において、駆動ギア504はスライドラックギア506のほぼ下端に位置している。これにより、第1ピン801は第1ガイド501aの直線部分に戻り、第2ピン802は第2ガイド502aの直線部分に戻り、夫々のピンは各ガイドのほぼ上端に到達する。一方、第3ピン803は第3ガイド503aの右端部に戻る。すなわち、記録ヘッド8は時計回り方向に回転しながら鉛直上方に移動し、図1に示す待機位置よりも更に上方において吐出口面8aが水平となる向きで停止する。このようなメンテナンス位置において、吐出口面8aはブレードワイパユニット171によってワイピング可能となる。
なお、図11(a)と11(d)では、メンテナンス位置と待機位置とで記録ヘッド8の鉛直方向の位置を比較するためにキャップユニット10を同じ高さに示している。しかし、待機位置にある記録ヘッド8がメンテナンス位置に移動する際には、実際のキャップユニット10は、記録ヘッド8の鉛直方向上方への移動と並行して吐出口面8aから離間するように鉛直方向下方に移動している。
以上説明したように本実施形態によれば、記録ヘッド8の第1ピン801、第2ピン802及び第3ピン803が、第1ガイド501a、第2ガイド502a及び第3ガイド503aそれぞれに沿って移動することにより、記録ヘッド8の位置と向きが変更される。そしてこのような記録ヘッド8の位置と向きの変更すなわち記録ヘッド8の直線移動と回転移動は、1つの駆動源および1つの駆動ギア504の回転によって同時に進行されている。結果、直線移動を行うための機構と回転移動を行うための機構とが個別に用意される構成に比べ、より簡易な構成のもと、記録ヘッド8の移動を短時間で行うことが可能となる。
図12は、記録位置にあるときのヘッドホルダ20を示す斜視図である。ここでは、説明の便宜上、記録ヘッド8をヘッドホルダ20に搭載しない状態で示している。プラテン9の幅方向(±y方向)の両側には、水平方向に対し45度傾いた状態でヘッドホルダ20を支持するための当接部材21が、左右対照に装置内に固定されている。一方、ヘッドホルダ20の±y方向の両端部における底部には、搬送方向の上流側と下流側に基準部20a(突当部)が形成されている。ヘッドホルダ20が記録位置に移動するとき、これら基準部20aが当接部材21上の所定の部位と対向し当接することにより、記録ヘッド8の吐出口面がプラテン9に対し、適切な間隔を持って位置決めされる。以降で、記録ヘッド8の吐出口面とプラテン9との距離を紙間距離と称する。
しかしながら、本実施形態のように比較的大型の記録ヘッド8とヘッドホルダ20を水平方向に対し45度傾けた姿勢においては、記録ヘッド8の自重によってヘッドホルダ20は回転し易く、紙間距離は不安定になり易い。そして、このような紙間距離を、吐出口面8aの全域において維持するためには、ヘッドホルダ20に配された4つの基準部20aが、上記回転を阻止する方向に適切な圧力で付勢され、当接部材21に当接されることが好ましい。本実施形態においては、このような付勢力を生成するために、図10(b)で説明した付勢部材505(バネ部材)を利用している。
図13(a)および(b)は、記録位置における記録ヘッド8と当接部材21の側面図である。図13(a)は、図11で説明した遷移図に従って待機位置から記録位置に移動し基準部20a(図13では不図示)が当接部材21に当接した状態を示している。一方、図13(b)は、図13(a)に示す状態から、駆動ギア504を更に図の時計回り方向に2歯分ほど回転させた状態を示している。
駆動ギア504を回転した分、駆動ギア504と直接噛み合っているスライドラックギア506は下方に移動する。しかし、既にヘッドホルダ20の基準部20aが当接部材21に当接しているため、ヘッドホルダ20の第3ピン803と当接するスライド部材503は付勢部材505の付勢力に抗して鉛直方向の高さを保っている。このため、付勢部材505は圧縮されて、当接部材21に当接した状態のヘッドホルダ20の基準部20aに対して適切な付勢力を付与する。この付勢力によって、図13(a)の状態よりも、図13(b)の方が、記録ヘッド8の吐出口面とプラテン9との紙間距離が安定する。以下、付勢部材505を配することによる付勢力について更に詳しく説明する。
図13(a)および(b)において、P1およびP2は、ヘッドホルダ20における搬送方向上流側の基準部20aと下流側の基準部20aのそれぞれが、当接部材21に当接する点を示している。また、P3は第3ピン803が第3ガイド503aに当接する点、Gは記録ヘッド8を装着したヘッドホルダ20の重心を示している。また、図ではP1と重心Gを結ぶ直線の長さをL1、P1とP3を結ぶ直線の長さをL2、点P1と重心Gを結ぶ線が鉛直下方とが成す角をθ1、重心Gに作用する重力をMgとして示している。
重心Gには重力の影響により、P1を支点とした反時計回りに回転する力F1=Mg×sinθ1が作用する。そして、この力は、P3において、より大きな回転力F2(F2=F1×L2/L1)に換算される。すなわち、図13(a)のように、基準部20aが当接部材21に当接しただけの状態では、第3ピン803が第3ガイド503aのガイド面に沿ってP1を支点として反時計回りに揺らぎやすく、下流側の当接点P2における当接が不安定になる。
一方、図13(b)に示すように、駆動ギア504を更に回転させた状態において、第3ピン803の当接点P3には、押し縮められた付勢部材505より、鉛直下方に向く付勢力F3が作用する。ここで、第3ガイド503aの斜面と鉛直方向がなす角度をθ2とすると、第3ピン803が第3ガイド503aの斜面の法線方向に受ける力F4はF4=F3×sinθ2となる。更に、P1とP3を結ぶ線と第3ガイド503aの斜面の法線がなす角度をθ3とし、F4を支点P1に向う方向とこれと垂直な方向の力F5に分解すると、F5=F4×sinθ3となる。そして、このF5が、P1を支点としてヘッドホルダ20を時計回りに回転させようとする力となる。
すなわち、基準部20aが当接部材21に当接しただけの状態では反時計回りに揺らぎやすいヘッドホルダ20に対し、駆動ギア504を更に回転させることによって、上記回転を抑止する方向の力F5を作用させることができる。そして、F5>F2となるように付勢部材505の圧縮率すなわち駆動ギア504の回転量を調整すれば、当接点P2においても適切な当接圧を生み出すことができる。つまり、比較的大型の記録ヘッド8を水平方向から傾けた状態であっても、ヘッドホルダ20の4つの基準部20aを適切な付勢力で当接部材21に当接され、吐出口面8aとプラテン9との紙間距離を、吐出口面8aの全域において一様に維持することができる。
なお、以上では、吐出口面8aが水平方向に対し45度傾いた位置を記録位置としたが、本実施形態はこのような角度に限定されるものではない。記録位置において、吐出口面8aが水平方向から傾いた状態であれば、記録ヘッドの回転や紙間距離の課題は生じ、本実施形態の効果を発揮することは出来る。すなわち、本実施形態によれば、ヘッドホルダ20が当接部材21に当接した状態において、ヘッドホルダ20を当接の方向に更に押圧することにより、記録位置の位置決めを高精度に行い、吐出口面8aとプラテンの紙間距離を安定させることができる。
ところで、以上では、ヘッドホルダ20が記録位置にある場合の紙間距離を安定させる効果について説明したが、スライド部材503とスライドラックギア506の間に付勢部材505を介在させることの効果は、これに限らない。例えば、図11(a)に示す待機位置において、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ10との当接圧を調整する場合にも本構成は有効である。この場合、図11(a)のように、吐出口面8aをキャップ10と当接させた状態で、更に駆動ギア504を回転させることにより、吐出口面8aに対するキャップ圧を好ましい値に調整することが出来る。
メンテナンス位置においても同様である。例えば、吐出口面をワイパーに当接させた後に、更に駆動ギアを回転させれば、吐出口面に対するワイピング圧を適切な強さに調整することができる。すなわち、吐出口面8aがキャップ部材10と当接した状態、吐出口面8aがワイパーと当接した状態においても、ヘッドホルダ20を当接の方向に更に押圧することにより、吐出口面8aに対するキャッピングやワイピングの圧力を適正化することが可能となる。
無論、記録位置、待機位置およびメンテナンス位置のそれぞれで、当接圧を調整してもよい。この場合、付勢部材による当接圧すなわち当接した後の駆動ギアの回転量は、それぞれの位置において適正化されることが好ましい。
更に、以上では、記録位置とメンテナンス位置との間で移動する途中に、吐出口面8aが水平である待機位置を設ける構成で説明したが、本実施形態はこのような構成に限定されるものでもない。待機位置において吐出口面8aは水平と鉛直の間であってもよいし、待機位置は記録位置またはメンテナンス位置のどちらか一方と同じ位置であっても良い。例えば、待機位置と記録位置において、吐出口面8aが水平方向から45度傾いた状態とした場合、待機位置においても記録ヘッドは回転し易い状態にあるので、待機状態にある吐出口面を確実にキャップするために、本実施形態の構成を活用しても良い。
加えて、以上説明した実施形態では、インク内に膜沸騰を生じさせ、泡の成長エネルギによって吐出口からインクを吐出させる方式の記録ヘッドで説明したが、本発明はこのような記録ヘッドに限定されるものではない。また、循環型インク供給システムについても、本実施形態において必須の構成ではない。
但し、泡の成長エネルギによってインクを吐出させる方式の記録ヘッドにおいては、循環型インク供給システムによって泡を除去することが安定した吐出のために有効であり、且つ循環型インク供給システムによって記録時における記録ヘッドの姿勢の自由度も増す。すなわち、上記方式の記録ヘッドと循環型インク供給システムの組み合わせによって、図3の姿勢での記録動作と記録装置の小型化が実現され、本実施形態で説明した記録ヘッドとプラテンの紙間距離を安定させるための機能の有効性も高まる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記録ヘッド8を搭載したヘッドホルダ20が記録位置に移動するとき、直線移動と回転移動を行った。これに対し本実施形態では、直線移動だけで待機位置から記録位置に移動可能な構成とする。
図14(a)および(b)は、本実施形態において記録ヘッド8を搭載したヘッドホルダ20が記録位置に移動する状態を示す図である。図14(a)は、待機位置から記録位置に記録ヘッド8が直線移動し基準部20aが当接部材21に当接した状態を示している。一方、図14(b)は、図14(a)に示す状態から、駆動ギア504を更に図の時計回り方向に2歯分ほど回転させた状態を示している。
本実施形態の場合、ヘッドホルダ20の移動は直線移動のみであり、記録ヘッド8に配されたピンは第3ピン803のみである。また、スライド部材503にガイドは設けられておらず、第3ピン803はスライド部材503に嵌め込まれた状態となっている。そして、記録位置において、記録ヘッド8の吐出口面8aとプラテン9は共に水平である。
このような本実施形態の記録位置において、第1の実施形態のような記録ヘッド8の回転は懸念されない。しかしながら、このような構成であっても、記録ヘッド8の自重のみでは、ヘッドホルダ20の基準部20aと当接部材21の間に十分な当接圧が得られず、紙間距離が不安定になるおそれは生じる。このような場合であっても、図10(b)に示した様に、スライド部材503とスライドラックギア506の間に付勢部材505を介在させることにより、紙間距離を安定させることができる。
1 インクジェット記録装置
8 記録ヘッド
8a 吐出口面
9 プラテン
20 ヘッドホルダ
21 当接部材
503 スライド部材
504 駆動ギア
505 付勢部材
506 スライドラックギア
803 第3ピン

Claims (12)

  1. インクを吐出する吐出口が配列された記録ヘッドを保持するヘッドホルダと、
    前記ヘッドホルダを所定の位置に移動させることが可能な移動手段と
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記移動手段によって移動され、前記所定の位置において当接部材に当接した状態にある前記ヘッドホルダを、前記当接の方向に付勢する付勢部材を更に備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録ヘッドによって記録される記録媒体を支持するプラテンを更に備え、
    前記所定の位置は、前記記録ヘッドが記録動作を行うための位置であり、
    前記当接部材は、前記記録ヘッドの長手方向において、前記プラテンの両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録ヘッドの前記吐出口が配列された吐出口面をキャッピング可能なキャップを更に備え、
    前記所定の位置は、前記キャップにより前記吐出口面をキャッピングするための位置であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記移動手段は、駆動ギアと、該駆動ギアの回転に伴ってスライドするスライドラックギアと、前記ヘッドホルダと係合し前記スライドラックギアに連動してスライドすることが可能なスライド部材とを有し、
    前記付勢部材は、前記スライドラックギアと前記スライド部材との間に介在するバネ部材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記移動手段は、前記駆動ギアを所定の方向に回転させることによって前記ヘッドホルダを前記当接部材に当接させ、
    前記付勢部材は、前記ヘッドホルダが前記当接部材に当接した状態において、前記駆動ギアが前記所定の方向に更に回転することによって、前記ヘッドホルダを押圧することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記所定の位置において、前記記録ヘッドの前記吐出口が配された吐出口面は水平方向に対し傾いていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記所定の位置において、前記吐出口面は水平方向に対し45度傾いていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記所定の位置において、前記記録ヘッドの前記吐出口が配された吐出口面は水平であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記移動手段は、前記記録ヘッドの回転移動と鉛直方向の直線移動を並行して行うことによって、前記記録ヘッドを前記所定の位置に移動させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 記録媒体を搬送する搬送手段を更に備え、
    前記吐出口は、前記搬送手段によって搬送される記録媒体の幅方向に配列されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記記録ヘッドに供給するためのインクを貯留するインクタンクユニットと、
    前記インクタンクユニットと前記記録ヘッドを接続する流路の途中に設けられ、前記記録ヘッドに対しインクの供給と回収を行いながらインクの流圧を調整するインク供給ユニットと、
    を更に備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記記録ヘッドは、インク内に膜沸騰を生じさせ、泡の成長エネルギによって吐出口からインクを吐出させることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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