JP2020026054A - 樹脂成形品 - Google Patents

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Toshimitsu Kamiya
俊光 神谷
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Abstract

【課題】耐傷つき性を有するとともに、低グロスで指紋跡がつき難い、意匠性に優れた樹脂成形品を提供する。【解決手段】樹脂成形品10は、基部11と、基部11の表面11Aに形成されたシボパターン14を構成する複数の第1凸部12と、第1凸部12の突出端面12Aに形成された複数の第2凸部20と、突出端面12Aにおいて第2凸部20と重ならない位置に形成された、第2凸部20より小さい径を有する複数の第3凸部30と、少なくとも突出端面12Aに形成された、第3凸部30より小さい径を有する複数の第4凸部40と、を備える。【選択図】図2

Description

本明細書によって開示される技術は、樹脂成形品に関する。
自動車のインストルメントパネルやドアトリムなどの車両用内装部品に用いられる樹脂成形品には、その表面に、シボ加工によってシボパターンが施されているものがある。シボパターンは、樹脂成形品の基部の表面に形成された凸部からなっており、このような樹脂成形品の表面に乗員の爪等の干渉物が接触した場合、シボパターンを形成する凸部の表面に連続的な線状の傷が生じる虞がある。
上記のような傷を目立ち難くするため、シボパターンの凸部の表面に一定の大きさの微小凸部を一定の間隔で設け、連続的な線状の傷ではなく、断続的な傷となるようにすることで、傷を目立ち難くする技術が知られている。下記特許文献1にそのような技術の一例が記載されている。
また、特許文献2には、指紋が付着し難い、自動車塗装保護用コーティング材が開示されている。
特開2016−107598号公報 特開2006−77071号公報
特許文献1に開示のような微小凸部は、配置される間隔が大きくなる程、傷の分散性が良好となるが、シボパターンの凸部の表面において微小凸部が配されていない領域に指先が接触し易くなる。このため、そのような領域に指紋跡がつき、樹脂成形品の外観不良を招くことが懸念される。
また、樹脂成形品においては、意匠性の観点から、低グロスで深みのある色調の意匠を呈するものが求められる場合がある。そして、樹脂成形品の光沢値を低減するために、樹脂成形品の表面に入射する光を拡散反射する作用を有する、微小凸部よりさらに微細な凹凸形状を付与することが考えられている。
樹脂成形品の表面に指紋跡がつくことを抑制するための対策として、例えば、樹脂成形品を特許文献2に開示のようなコーティング材で樹脂成形品をコーティングした場合、上述の微細な凹凸形状による拡散反射の作用が損なわれて、樹脂成形品の光沢値が高くなることが懸念される。
本明細書によって開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、耐傷つき性を有するとともに、低グロスで指紋跡がつき難い、意匠性に優れた樹脂成形品を提供することを目的とする。
本明細書によって開示される樹脂成形品は、基部と、前記基部の表面に形成されたシボパターンを構成する複数の第1凸部と、前記第1凸部の突出端面に形成された複数の第2凸部と、前記突出端面において前記第2凸部と重ならない位置に形成された、前記第2凸部より小さい径を有する複数の第3凸部と、少なくとも前記突出端面に形成された、前記第3凸部より小さい径を有する複数の第4凸部と、を備える。
上記構成によれば、複数の第2凸部を有することにより、シボパターンが施された樹脂成形品の表面に干渉物が接触し傷が生じた場合でも、傷が複数の第2凸部に分散してつくことにより、突出端面に線状の傷がつく事態を抑制することができる。このような複数の第2凸部は、互いに離間して配される程、傷の分散性が良好となるが、突出端面において第2凸部が配されていない領域に指先が接触し易くなる。
本願発明者は、複数の第4凸部が形成された面は、複数の第4凸部が形成されていない面に比して、第4凸部による拡散反射により光沢値が低減し、低グロスで深みのある色調の意匠を実現することができる反面、指先で触れた際に指紋跡が目立ち易いという問題があることを確認するに至った。そして、突出端面において複数の第2凸部の各々と重ならない位置に第3凸部が配されることにより、指先が触れる範囲が第3凸部の表面に限られ、第3凸部を有しない構成に比して、複数の第4凸部と指先との接触面積を低減することができる上記構成のものを開発するに至った。さらに、上記構成によれば、第3凸部を第2凸部より小さい径とすることにより、仮に第3凸部を第2凸部と同等の径とする場合に比して、傷の分散性が損なわれる事態が抑制され、また、第3凸部と第2凸部の表面に跨るようにして指紋跡がつき外観不良が発生する事態が抑制される。これらの結果、耐傷つき性を有するとともに、低グロスで指紋跡がつき難い、意匠性に優れた樹脂成形品を提供することができる。
前記第2凸部は、150μm〜300μmの径を有し、前記第3凸部は、100μm〜150μmの径を有していてもよい。このような構成によれば、第2凸部により樹脂成形品の表面に線状の傷が付く事態が好適に抑制され、樹脂成形品の耐傷付き性を向上することができる。また、第3凸部を150μm以下とすることにより、第3凸部の表面積を小さいものとすることができ、第3凸部の表面に指紋跡が付くことにより外観不良が発生し難くなる。また、第3凸部を100μm以上とすることにより、第3凸部を、例えば、化学エッチング等の一般的な手法で形成することができ、第3凸部を形成するために要するコストを低減することができる。
前記第2凸部及び前記第3凸部は、前記突出端面に選択的に形成されていてもよい。このような構成によれば、第2凸部と第3凸部がシボパターンにランダムに配される構成に比して、シボパターンのパターン形状が損なわれ難く、シボパターンが際立った意匠を実現することができる。
複数の前記第4凸部は、平均直径が2.0μm以下であってもよい。このような構成によれば、微小な第4凸部による拡散反射により、突出端面の光沢値を好適に低減することができ、樹脂成形品の意匠性を好適に向上することができる。
複数の前記第4凸部は、前記突出端面と前記第2凸部の表面と前記第3凸部の表面とに跨って配されていてもよい。このような構成によれば、突出端面と第2凸部の表面及び第3凸部の表面に入射する光を第4凸部で拡散反射することにより、突出端面と第2凸部及び第3凸部とのコントラストを小さくすることができる。この結果、突出端面において、第2凸部及び第3凸部が模様として視認される事態を抑制することができる。
本明細書によって開示される技術によれば、耐傷つき性を有するとともに、低グロスで指紋跡がつき難い、意匠性に優れた樹脂成形品を提供することができる。
実施形態1に係るインストルメントパネルを示す図 樹脂成形品の表面を示す模式図 樹脂成形品の表面を示す概略断面図 第2凸部及び第3凸部を形成するためのエッチング工程に用いるマスクパターンを示す図 実施形態2に係る樹脂成形品の表面を示す模式図 実施例及び比較例における指紋部に係る測定結果を表す表
<実施形態1>
実施形態1について図1ないし図4を参照して説明する。本実施形態に係るインストルメントパネル1は、傷が目立ち難い構成を備える樹脂成形品10にて構成され、樹脂成形品10は、合成樹脂(例えばポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂)からなり、黒色を呈するものとされる。樹脂成形品10は、本実施形態のようなインストルメントパネル1の他、ドアトリムなどの車両用内装材やその他の樹脂製品に用いられる。
インストルメントパネル1は、図1に示されるように、フロントウィンドウ2の直下に配される。つまり、インストルメントパネル1は、車室内において、比較的外光が多く照射される位置に配される。
樹脂成形品10は、図1及び図2に示されるように、基部11と、複数の第1凸部12と、複数の第2凸部20と、複数の第3凸部30と、複数の第4凸部40と、を備えている。基部11は、樹脂成形品10の主体をなし、その表面11Aに第1凸部12が形成されている。本実施形態では、基部11は、板状をなし、一方の板面が表面11Aを構成する。
複数の第1凸部12は、図2及び図3に示されるように、基部11の表面11Aに形成されたシボパターン14を構成する。具体的には、シボパターン14は、複数の第1凸部12と、互いに隣接する第1凸部12の間に形成された皺状の第1凹部13と、により構成されている。各第1凸部12は、その高さ方向に沿った断面が台形状をなしており、基端部(台形の下底)と突出端面12A(台形の上底)との間の距離である高さが100μm〜200μmの範囲で設定されている。各第1凸部12は、突出端面12Aの外接矩形の隣り合う二辺BR1,BR2の長さがそれぞれ1000μm〜4000μmの範囲になるように設定されている(図4参照)。複数の第1凸部12は、この外接矩形の隣り合う二辺BR1,BR2の長さ及びその組み合わせが異なる第1凸部12を含み、複雑なシボパターン14を形成している。このような第1凸部12は、例えば、エッチングによって形成された複数の凹部を有する成形型を用いて成形されている。以下、成形型に第1凸部12を成形するための凹部を形成するエッチング工程を第1エッチング工程と呼ぶ。
複数の第2凸部20は、図2に示されるように、第1凸部12より小さい径を有し、第1凸部12の突出端面12Aに形成されている。複数の第2凸部20は、複数の第1凸部12の各々に1つずつ形成されていてもよいが、1つの第1凸部12の突出端面12Aに対して複数形成されることがより好ましい。第2凸部20は、樹脂成形品10の表面10A(より具体的には突出端面12A)に傷が付くことを抑制する役割を担っている。
第2凸部20は、図2及び図3に示されるように、高さ10μm〜30μm、直径150μm〜300μmのドーム形状をなしている。第2凸部20は、互いの距離が150μm〜500μmの範囲で間隔を置いて配されている。便宜上、複数の第2凸部20のうち、直径の異なる3つの第2凸部20に対しそれぞれ符号21,22,23を付して説明する。なお、図4においては、図2の第2凸部21,22,23に対応するマスクパターン50の開口52に、それぞれ第2凸部21,22,23の直径D1、D2、及びD3の符号を付して描いている。これらの互いに隣り合う第2凸部21,22,23は互いに異なる直径D1、D2、及びD3をそれぞれ有している。本実施形態では、D1、D2、及びD3として、150μm、200μm、300μmのものを例示する。また、第2凸部21と第2凸部22の間の距離L1、第2凸部22と第2凸部23の間の距離L2、第2凸部23と第2凸部21の間の距離L3は、それぞれ異なるものとなっている(図4参照)。このような構成により、複数の第2凸部20に干渉物が接触し傷が生じた場合でも、傷が複数の第2凸部20の各々に分散してつくことにより規則的な傷となり難く、傷を目立ち難いものとすることができる。
複数の第3凸部30は、図2及び図3に示されるように、第2凸部20より小さい径を有し、突出端面12Aにおいて第2凸部20と重ならない位置に形成されている。ところで、樹脂成形品10の表面10Aに付着する指紋跡は、主に油分で構成され、皮脂等の油分が指先F1に付着した状態で、指紋パターンの隆起部が樹脂成形品10の表面10Aに触れることで付着するものと考えられる。指紋パターンは、一般的には、約100μm〜300μmの幅の隆起部が概ね500μm以下のピッチで並ぶものとされる。このような指紋パターンの隆起部は、300μm以上の離間距離を有して隣接する第2凸部20,20の間に入り込むことが想定され得る。第3凸部30は、突出端面12Aにおいて第2凸部20が配されていない領域に配されることで、突出端面12Aと指先F1(その指紋パターンの隆起部)との接触面積を低減し、指紋跡を低減する役割を担っている。
第3凸部30は、図2及び図3に示されるように、第2凸部20より低い高さで、第2凸部20より小さい直径を有するドーム形状をなしている。具体的には、第3凸部30としては、直径100μm〜150μmとすることができる。本実施形態では、複数の第3凸部30の各々が同一径とされるものを例示する。なお、第3凸部30として、直径150μmのものを採用した場合には、複数の第2凸部20のうち直径150μmより大きい凸部を「第2凸部」として「第3凸部」と区別すればよい。また、第3凸部30は、第2凸部20に干渉物が接触した際に第3凸部30にまで傷が及ばないようにするために、高さ25μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがより好ましく、10μm以下とすることが更に好ましい。第3凸部30の突出高さの下限値は特に定めるものではないが、第3凸部30は後述する第4凸部40の突出高さに比して大きいものとされ、例えば、5.0μm以上とすることができる。
第3凸部30は、図2に示されるように、互いに隣接する第2凸部20,20の間に位置するようにして配されている。具体的には、第3凸部30は、互いに隣接する第2凸部20,20の離間距離に応じて、第2凸部20の各々から離れた位置に分散して2個ないし1個配されている。図4においては、互いに隣接する第2凸部20,20に対応する開口52を1点鎖線で繋ぎ、第3凸部30に対応する開口53が1点鎖線上に位置する様子を描いている。このような構成によれば、第3凸部30が第2凸部20の配置と関係なくランダムに配される構成に比して、少ない数の第3凸部30により、効率よく樹脂成形品10の表面10Aと指先F1との接触面積を低減可能となる。
複数の第2凸部20及び複数の第3凸部30は、例えば、エッチングによって形成された複数の凹部を有する成形型を用いて成形されている。以下、成形型に第2凸部20及び第3凸部30を成形するための凹部を形成するエッチング工程を第2エッチング工程と呼ぶ。樹脂成形品10を成形する成形型は、第1エッチング工程の後に、第2エッチング工程を行うことにより、第1凸部12を形成するための凹部の底面に、第2凸部20を成形するための凹部と、第3凸部30を成形するための凹部とが形成されている。
第2エッチング工程は、例えば、成形型を構成する金属を腐食させる酸性の溶液(例えば硝酸など)と、この溶液を遮断する耐酸性のインク51と、を使用して行う。具体的には、まず、成形型を洗浄した後、成形面以外の面をテープ等でマスキングする。続いて、図4に示されるような、耐酸性のインク51によって、第2凸部20と第3凸部30の根元径に対応する径の開口52,53を有するマスクパターン50を成形面に転写する。なお、図4においては、第1凸部12と第2凸部20と第3凸部30の位置関係を表すために、マスクパターン50の当該部位に対応して位置する第1凸部12の外形を2点破線で描いている。その後、酸性の溶液を使って成形面を腐食させる。そうすると、耐酸性のインク51に覆われたところは腐食されずに残り、覆われていない開口52,53が腐食されることで凹部となる。この結果、開口52,53の径に応じて、成形面に第2凸部20を成形するための凹部と第3凸部30を成形するための凹部が形成される。つまり、本実施形態では、第3凸部30を成形するための凹部を、第2凸部20を成形するための凹部とともに第2エッチング工程において形成するものとされる。このため、これらを別の工程で形成する場合に比して、第3凸部30の形成に係るコストを低減することができ、また、第3凸部30と第2凸部20の相互の位置及び突出高さの関係の整合性を取り易く好ましい。
第3凸部30が第2凸部20による傷の分散性を損なわないようにするためには、第3凸部30の突出高さは第2凸部20より突出高さより小さいことが好ましい。上述のようなエッチング処理において、マスクパターン50の開口52,53の径と、成形型の成形面に形成される凹部の深さには正の相関関係がある。樹脂成形品10において、マスクパターン50の開口52,53の径は、第2凸部20及び第3凸部30の根元の径に対応し、凹部の深さは第2凸部20及び第3凸部30の突出高さに対応する。このため、樹脂成形品10において、第3凸部30の径が第2凸部20の径より小さくなるように設計することにより、第3凸部30が第2凸部20より突出高さが低い構成を好適に実現することができる。第2エッチング工程では、径100μmの開口53において、多少のばらつきがあるものの深さ10μm程度の凹部を形成可能とされる。
複数の第4凸部40は、図2及び図3に示されるように、第3凸部30より小さい径を有し、少なくとも突出端面12Aに形成されている。本実施形態では、複数の第4凸部40は、第1凸部12の突出端面12Aと第2凸部20の表面20A及び第3凸部30の表面30Aとに跨って配されている。さらに、複数の第4凸部40は、樹脂成形品10の表面10Aの全域に亘って配されている。一般的に、人の目の分解能は100μm程度と言われており、上述のような大きさを有する第2凸部20及び第3凸部30は模様として視認される可能性がある一方、第4凸部40は模様として視認されることがない程度の微小な大きさに設定されている。第4凸部40は、樹脂成形品10の表面10A(より具体的には突出端面12A、第2凸部20の表面20A、第3凸部30の表面30A)において、正反射される光の量を低減し、拡散反射される光の量を増大させる役割を担っている。
複数の第4凸部40は、平均直径が2.0μm以下とされることが好ましく、1.0μmとされることがより好ましく、0.8μm以下とされることがさらに好ましい。また、第3凸部30の平均直径の下限値は、可視光の波長を考慮して、0.1μm以上とされることが好ましく、0.4μm以上とされることがより好ましい。本願発明者等は、鋭意研究した結果、このような平均直径を有する第4凸部40によれば、突出端面12Aと第2凸部20の表面20A及び第3凸部30の表面30Aとの間の光沢値を効果的に低減することができることを見出した。このような複数の第4凸部40は、例えば、第2凸部20及び第3凸部30に対応する複数の凹部を有する成形型の成形面が、粗面状をなすめっき層で覆われた成形型を用いて形成することができる。めっき層は、その凹部の平均内径が、第4凸部40の平均直径に樹脂成形時における収縮率や凹部への樹脂材料の充填率を加味した値となるようにその表面の凹凸形状が適宜設計されている。
複数の第4凸部40は、図2及び図3に示されるように、第1凸部12の突出端面12Aと第2凸部20の表面20A及び第2凸部20の表面20Aが粗面状をなすように、少なくとも一部の第4凸部40が連続的に配されている。なお、各図では、第4凸部40を模式的に実際の大きさより大きく単純な形状で描いているが、複数の第4凸部40は、概ね0.2μm〜4.0μmの範囲内において、様々な大きさを有するとともに、より複雑な立体形状(例えば、突出先端部が尖った形状等も含む)を有している。そして、樹脂成形品10は、多様な大きさかつ形状を有する複数の第4凸部40により、表面10Aに入射する光が複雑に拡散反射される構成となっている。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、複数の第2凸部20を有することにより、シボパターン14が施された樹脂成形品10の表面10Aに干渉物が接触し傷が生じた場合でも、傷が複数の第2凸部20に分散してつくことにより、突出端面12Aに線状の傷がつく事態を抑制することができる。このような複数の第2凸部20は、互いに離間して配される程、傷の分散性が良好となるが、突出端面12Aにおいて第2凸部20が配されていない領域に指先F1が接触し易くなる。
本願発明者は、複数の第4凸部40が形成された面は、複数の第4凸部40が形成されていない面に比して、第4凸部40による拡散反射により光沢値が低減し、低グロスで深みのある色調の意匠を実現することができる反面、指先F1で触れた際に指紋跡が目立ち易いという問題があることを確認するに至った。そして、突出端面12Aにおいて複数の第2凸部20の各々と重ならない位置に第3凸部30が配されることにより、指先F1が触れる範囲が第3凸部30の表面に限られ、第3凸部30を有しない構成に比して、複数の第4凸部40と指先F1との接触面積を低減することができる本願技術のものを開発するに至った。さらに、本実施形態によれば、第3凸部30を第2凸部20より小さい径とすることにより、仮に第3凸部30を第2凸部20と同等の径とする場合に比して、傷の分散性が損なわれる事態が抑制され、また、第3凸部30の表面30Aと第2凸部20の表面20Aに跨るようにして指紋跡がつき外観不良が発生する事態が抑制される。これらの結果、耐傷つき性を有するとともに、低グロスで指紋跡がつき難い、意匠性に優れた樹脂成形品10を提供することができる。
また、本実施形態では、第2凸部20は、150μm〜300μmの径を有し、第3凸部30は、100μm〜150μmの径を有している。このため、第2凸部20により樹脂成形品10の表面10Aに線状の傷が付く事態が好適に抑制され、樹脂成形品10の耐傷付き性を向上することができる。また、第3凸部30を150μm以下とすることにより、第3凸部30の表面積を小さいものとすることができ、第3凸部30の表面30Aに指紋跡が付くことにより外観不良が発生し難くなる。また、第3凸部30を100μm以上とすることにより、第3凸部30を、例えば、化学エッチング等の一般的な手法で形成することができ、第3凸部30を形成するために要するコストを低減することができる。
また、本実施形態では、複数の第4凸部40は、平均直径が2.0μm以下である。このため、微小な第4凸部40による拡散反射により、突出端面12Aの光沢値を好適に低減することができ、樹脂成形品10の意匠性を好適に向上することができる。
また、本実施形態では、複数の第4凸部40は、突出端面12Aと第2凸部20の表面20Aと第3凸部30の表面30Aとに跨って配されている。このため、突出端面12Aと第2凸部20の表面20A及び第3凸部30の表面30Aに入射する光を第4凸部40で拡散反射することにより、突出端面12Aと第2凸部20及び第3凸部30とのコントラストを小さくすることができる。この結果、突出端面12Aにおいて、第2凸部20及び第3凸部30が模様として視認される事態を抑制することができる。
<実施形態2>
次に、実施形態2を図5によって説明する。本実施形態の樹脂成形品110は、第2凸部120及び第3凸部130の配置領域が、実施形態1と相違する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
第2凸部120及び第3凸部130は、突出端面12Aに選択的に形成されている。言い換えれば、第2凸部120及び第3凸部130は、互いに隣接する第1凸部12,12の間に形成された第1凹部13の内面には形成されない構成となっている。第1凹部13の内面は、その構成上、干渉物や指先F1が接触し難く、傷つきや指紋跡の付着をいう問題が生じ難い部位と言える。本実施形態では、耐傷つき性及び指紋跡の付着低減という観点から、第2凸部120及び第3凸部130が特に必要とされる突出端面12Aにのみ配される構成となっている。
本実施形態では、樹脂成形品110を成形する成形型において、第1凸部12を成形するための凹部を第1エッチング工程で形成し、第2凸部120及び第3凸部130を成形するための凹部を第2エッチング工程で形成する。これらの凹部を共にエッチングにより形成することにより、各エッチング工程におけるマスクパターン(不図示)をそれぞれ適宜設計し易く、第1凸部12と、第2凸部120及び第3凸部130との位置を好適に整合させることができる。
本実施形態によれば、第2凸部120と第3凸部130がシボパターン14にランダムに配される構成に比して、シボパターン14のパターン形状が損なわれ難く、シボパターン14が際立った意匠を実現することができる。
<実施例>
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
(1)実施例及び比較例に係る樹脂成形品の作成
まず、次のようにして実施例の樹脂成形品を準備した。実施例の樹脂成形品を成形するための成形型は、上述したような第1エッチング工程と、第2エッチング工程と、微細凹凸形状を有するクロムめっき層を形成するめっき工程を施すことにより、第1凸部を成形するための凹部と、第2凸部及び第3凸部を成形するための凹部と、第4凸部を成形するための凹部を、それぞれ形成した。めっき工程では、クロム酸と硫酸を主成分とするめっき浴(クロムめっき浴、サージェント浴)に金型母材を浸し、電流密度30A/dm、浴温30℃の条件で電気めっきを行った。そして、得られた成形型を用いて、黒色の樹脂成形品を射出成形した。第3凸部は、互いに隣接する第2凸部の間に2個配されるような条件で設けた。実施例1では第3凸部の径を100μmとして、実施例2では第3凸部の径を150μmとした。その他は、実施例1と実施例2は同様の条件で樹脂成形品を作成した。比較例は、第3凸部を設けない他は、実施例1と同様にして樹脂成形品を作成した。
(2)樹脂成形品の光沢度、明度、色度の測定と色差の算出
まず、比較例の樹脂成形品において、表面に指紋跡をつけていない状態において、樹脂成形品の光沢度、明度、色度を次のようにして測定した。この結果を、図6の表において比較例2(指紋部の有無:なし)として記す。この比較例2の明度(L)、色度(a)、色度(b)をそれぞれL 、a 、b として、実施例1、実施例2、比較例1における指紋跡を評価する際の基準とした。
光沢度(GU):光沢計(オールインワン光沢計IQ、RHOPOINT INSTRUMENTS社製)によって、60度光沢値を測定した。
明度(L)、色度(a)、色度(b):分光測色計(CM−700d、コニカミノルタ社製)によって、L表色系における明度及び色度を測定した。
次に、実施例1、実施例2、比較例の樹脂成形品に指紋跡をつけて、当該部分(以下、指紋部と称する)の光沢度、明度、色度を比較例2と同様に測定した。この結果を、図6の表において実施例1、実施例2、比較例1(指紋部の有無:あり)としてそれぞれ記す。さらに、実施例1、実施例2、比較例1の明度(L)、色度(a)、色度(b)をそれぞれL 、a 、b とした場合に、比較例2との色差ΔEabを次の式により算出した。この結果を、図6の表中、「比較例2との色差」にそれぞれ記す。
ΔEab=[(L −L +(a −a +(b −b 1/2
(3)評価
比較例1では、指紋跡をつけていない比較例2(光沢度:0.9GU)に比して、指紋部の光沢度が1.4GUと大きくなっていた。一方、実施例1及び実施例2では、指紋部の光沢度が1.1GUと、比較例2よりは大きいものの比較例1より小さくなっていた。この結果から、第3凸部を設けた実施例1及び実施例2では、第3凸部を設けていない比較例1に比して、第4凸部と指先との接触面積が低減して、第4凸部による拡散反射の作用が損なわれ難く、指紋跡付着による光沢度の上昇が抑制されたものと推察される。
また、比較例1は、比較例2を基準とした指紋部の色差が1.4であったが、実施例1では色差0.9、実施例2では色差1.2と、実施例1及び実施例2では、比較例1に比して指紋跡をつけていない比較例2との色差が小さくなっていた。ここで、一般的に、色差は、0.5〜0.8の範囲が一般人が色違いを識別できる範囲であり、0.8〜1.5の範囲が製品の色管理でよく使用される範囲であるとされている。実施例1、実施例2、比較例1の色差の程度は、実施例1、実施例2、比較例1の各指紋部を目視にて観察した結果とも合致したものとなっていた。この結果から、第3凸部を設けた実施例1及び実施例2では、第3凸部を設けていない比較例1に比して、第4凸部と指先との接触面積が低減して、指紋跡による外観不良の発生が抑制されたものと推察され得る。また、実施例1(第3凸部径:100μm)では、実施例2(第3凸部径:150μm)より色差が小さくなっており、第3凸部は径100μm程度(例えば、100μm〜120μmの径)において指紋跡による外観不良を抑制する効果が高いことが示唆された。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術の範囲は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術の範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第4凸部として、成形型に形成されためっき層の凹部により成形されたものを例示したが、第4凸部の成形態様はこれに限られない。例えば、第3凸部は、成形型に電解エッチング法によって形成された凹部により成形されてもよい。
(2)上記実施形態以外にも、第4凸部の大きさ、配置、構成は適宜設計可能である。例えば、第4凸部は第2凸部又は/及び第3凸部の表面には配されていなくてもよい。また、互いに隣接する第1凸部の間の凹部には、第4凸部が配されない構成であってもよい。
(3)上記実施形態以外にも、第2凸部の大きさ、配置、構成は適宜設計可能である。例えば、第2凸部の形状は、ドーム形状に限られず、円錐台状や角錐台状をなしていてもよい。また、隣り合う第2凸部は、必ずしも異なる直径を有するものでなくてもよく、いくつかの隣り合う第2凸部は同じ直径を有していてもよい。
(4)上記実施形態以外にも、第3凸部の大きさ、配置、構成は適宜設計可能である。例えば、第3凸部の形状は、ドーム形状に限られず、円錐状や角錐状をなしていてもよい。また、第3凸部は、互いに隣接する第2凸部の間に配される構成に限られず、所定の領域内においてランダムに配置されていてもよく、また、3つの第2凸部に囲まれる領域の中心に配される構成であってもよい。
(5)また、第2凸部及び第3凸部は、エッチングによって形成された複数の凹部を有する成形型によって成形されたものに限られない。例えば、第2凸部をエッチングによって形成された複数の凹部によって成形し、第3凸部をレーザー加工によって形成された凹部によって成形してもよい。レーザー加工は、エッチングによって成形型に凹部を設ける場合と比べて、より複雑な形状の凹部を形成することができ、例えば、第3凸部の頂角を第2凸部の頂角より尖った形状に成形することができる。
(6)樹脂成形品は、黒色を呈する樹脂からなるものに限定されず、黒色以外の樹脂からなるものであってもよい。
(7)本明細書によって開示される技術の適用範囲は車両用内装材に限定されるものではなく、例えば、車両以外の乗物の内装材や住宅用内装材にも適用することができる。また、電化製品の筐体等、内装材以外の樹脂製品にも適用することができる。
10,110…樹脂成形品、11…基部、11A…表面、12…第1凸部、12A…突出端面、14…シボパターン、20,120…第2凸部、20A…表面、21…第2凸部、22…第2凸部、23…第2凸部、30,130…第3凸部、30A…表面、40…第4凸部

Claims (5)

  1. 基部と、
    前記基部の表面に形成されたシボパターンを構成する複数の第1凸部と、
    前記第1凸部の突出端面に形成された複数の第2凸部と、
    前記突出端面において前記第2凸部と重ならない位置に形成された、前記第2凸部より小さい径を有する複数の第3凸部と、
    少なくとも前記突出端面に形成された、前記第3凸部より小さい径を有する複数の第4凸部と、を備える樹脂成形品。
  2. 前記第2凸部は、150μm〜300μmの径を有し、
    前記第3凸部は、100μm〜150μmの径を有する、請求項1に記載の樹脂成形品。
  3. 前記第2凸部及び前記第3凸部は、前記突出端面に選択的に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形品。
  4. 複数の前記第4凸部は、平均直径が2.0μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
  5. 複数の前記第4凸部は、前記突出端面と前記第2凸部の表面と前記第3凸部の表面とに跨って配されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
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