JP2020024196A - ガスセンサシステム - Google Patents

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Yoshinori Inoue
義規 井上
佑一 後藤
Yuichi Goto
佑一 後藤
知彰 東
Tomoaki Azuma
知彰 東
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Abstract

【課題】簡潔な構成でNOx濃度を精度よく分析できるガスセンサシステムを提供する。【解決手段】本開示は、NOx濃度を分析するガスセンサシステムである。ガスセンサシステムは、被測定ガスの流路に配置された第1センサ及び第2センサと、NOx濃度を算出する制御部とを備える。第2センサは、第1センサと実質的に同一構造を有する。制御部は、第1センサの出力をZ1、第2センサの出力をZ2、第1センサのNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、第2センサのNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、第1センサのNOxの検知感度に対する第2センサのNOxの検知感度の比をβ1としたとき、α1とα2とが異なるとともに、下記式(1)及び式(2)によって、NOx濃度Xを算出する。Z1=X+α1・Y ・・・(1)Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)【選択図】図1

Description

本開示は、ガスセンサシステムに関する。
被測定ガス中のNOxを検出するためのNOxセンサとして、ポンプセルと測定セルとを有する2セルタイプのセンサが知られている。しかし、このセンサは、NOxに加えてアンモニアに対しても感度を有するため、被測定ガスにアンモニアが含まれていると、NOxの測定に誤差が生じ得る。
そこで、被測定ガス中のNOx及びアンモニアを触媒により分離し、分離したNOx及びアンモニアの濃度をそれぞれセンサで個別に測定するようにしたガスセンサシステムが公知である(特許文献1参照)。
特開2002−162393号公報
上記公報のガスセンサシステムでは、被測定ガスの流路を分割する必要がある。また、ガスセンサの上流に、触媒を設ける必要がある。そのため、装置が大型化及び高コスト化しやすい。
本開示の一局面は、簡潔な構成でNOx濃度又はアンモニア濃度を精度よく分析できるガスセンサシステムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ヒータによって加熱される固体電解質層を有するセルの内部抵抗の目標値等を変えると、ガスセンサにおけるNOxの検知感度とアンモニアの検知感度との比が変化することを見出した。
この知見に基づいた本開示の一態様は、被測定ガス中の少なくともNOx濃度を分析するガスセンサシステムである。ガスセンサシステムは、被測定ガスの流路に配置された第1センサ及び第2センサと、第1センサ及び第2センサの出力からNOx濃度を算出するように構成された制御部と、を備える。第1センサ及び第2センサは、それぞれ、固体電解質体に一対の電極を設けた複数のセルと、複数のセルを加熱するように構成されたヒータと、を有する。
また、第2センサは、第1センサと実質的に同一構造を有する。制御部は、第1センサの出力をZ1、第2センサの出力をZ2、第1センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、第2センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、第1センサにおけるNOxの検知感度に対する第2センサにおけるNOxの検知感度の比をβ1、被測定ガス中のNOx濃度をX、被測定ガス中のアンモニア濃度をYとしたとき、α1とα2とが異なるとともに下記式(1)及び式(2)によって、NOx濃度Xを算出する。
Z1=X+α1・Y ・・・(1)
Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)
このような構成によれば、NOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比が異なる2つのガスセンサを用いることにより、被測定ガスの流路に触媒を別途設けることなく、被測定ガスのNOx濃度を精度よく算出することができる。
本開示の一態様では、制御部は、複数のセルのうち1つの特定セルの内部抵抗が目標値となるようにヒータへの通電を制御するように構成されるとともに、第2センサは、特定セルの目標値が第1センサにおける特定セルの目標値とは異なるようにしてもよい。このような構成によれば、2つのガスセンサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比を容易かつ確実に異ならせることができる。
本開示の一態様では、制御部は、第1センサ及び第2センサの出力からアンモニア濃度をさらに算出してもよい。このような構成によれば、NOx濃度とアンモニア濃度とを同時に精度よく得ることができる。
本開示の別の態様は、被測定ガス中の少なくともアンモニア濃度を分析するガスセンサシステムである。ガスセンサシステムは、被測定ガスの流路に配置された第1センサ及び第2センサと、第1センサ及び第2センサの出力からアンモニア濃度を算出するように構成された制御部と、を備える。第1センサ及び第2センサは、それぞれ、固体電解質体に一対の電極を設けた複数のセルと、複数のセルを加熱するように構成されたヒータと、を有する。制御部は、複数のセルのうち1つの特定セルの内部抵抗が目標値となるようにヒータへの通電を制御するように構成される。
また、第2センサは、第1センサと実質的に同一構造を有すると共に、特定セルの目標値が第1センサにおける特定セルの目標値とは異なる。制御部は、第1センサの出力をZ1、第2センサの出力をZ2、第1センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、第2センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、第1センサにおけるNOxの検知感度に対する第2センサにおけるNOxの検知感度の比をβ1、被測定ガス中のNOx濃度をX、被測定ガス中のアンモニア濃度をYとしたとき、下記式(1)及び式(2)によって、アンモニア濃度Yを算出する。
Z1=X+α1・Y ・・・(1)
Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)
このような構成によれば、被測定ガスの流路に触媒を別途設けることなく、被測定ガスのアンモニア濃度を精度よく算出することができる。
実施形態のガスセンサシステムを示す模式的な構成図である。 図1のガスセンサシステムの第1センサと制御部との構成を示す模式的な構成図である。 センサにおけるNOxの検知感度及びアンモニアの検知感度と、内部抵抗の目標値との関係を表すグラフである。
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示すガスセンサシステム1は、被測定ガスG中のNOx濃度及びアンモニア濃度を分析するためのガスセンサである。
被測定ガスGは、NOx及びアンモニアを含むものであれば特に限定されないが、自動車、農機、建機、船舶、試験場、工場等で用いられる内燃機関の排気ガスが挙げられる。
特に、ガスセンサシステム1は、三元触媒によってアンモニアが発生する自動車のガソリンエンジンの排気ガスに対するNOxの検出に有効である。
ガスセンサシステム1は、図1に示すように、第1センサ2と、第2センサ3と、駆動部4とを備える。
<第1センサ及び第2センサ>
第1センサ2及び第2センサ3は、それぞれ、少なくとも一部が被測定ガスGの流路L内に位置するように配置されている。
なお、第1センサ2及び第2センサ3の相対的な位置関係は特に限定されない。つまり、第1センサ2が被測定ガスGの流れ方向の上流側にあってもよいし、第2センサ3が被測定ガスGの流方向の上流側にあってもよいし、第1センサ2と第2センサ3とが被測定ガスGの流方向の同じ位置に配置されてもよい。
また、図1では、1つの流路Lに第1センサ2及び第2センサ3が取り付けられているが、第1センサ2及び第2センサ3は、同一の被測定ガスGが流れる並列の2つの流路Lに取り付けられてもよい。
第1センサ2は、図2に示すように、第1ポンプセル21と、測定セル22と、第2ポンプセル23と、第1測定ガス室24と、基準室25と、第2測定ガス室26と、ヒータ27とを有する。
以下では、第1センサ2の構成について説明するが、後述する特定セルの内部抵抗の目標値を除いて、第2センサ3は、第1センサ2と実質的に同一構造を有するため、説明を省略する。
ここで、「実質的に同一構造を有する」とは、ガス検知の原理、センサの構造、及びセンサの駆動源のうち、少なくとも1つ、好ましくは全てが共通することを意味し、製造上の誤差を含んでいても「同一構造」に含まれる。
第1センサ2は、各セルを構成する複数の固体電解質層と、複数の絶縁層と、複数の電極とが積層された積層体である。つまり、第1センサ2は、固体電解質体に一対の電極を設けた複数のセルを有する。
各固体電解質層は、酸素イオン伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えばジルコニアを主成分とする層が使用できる。なお、「主成分」とは90質量%以上含まれる成分を意味する。また、各絶縁層は、例えばアルミナ等のセラミックを主成分とする層が使用できる。
(第1ポンプセル)
第1ポンプセル21は、第1固体電解質層21Aと、第1固体電解質層21Aを挟むように第1固体電解質層21A上に配置された第1ポンプ電極21B及び第2ポンプ電極21Cとを有する。
第1固体電解質層21Aは、第1絶縁層28Aと第2絶縁層28Bとに挟まれて配置されている。
第1ポンプ電極21Bは、後述する第1測定ガス室24内に配置されている。また、第1ポンプ電極21Bは、第1測定ガス室24内において多孔質層21Dによって覆われている。
第2ポンプ電極21Cは、第1絶縁層28Aに設けられた開口内に配置されている。この開口は、センサを構成する積層体の外部(つまり流路L)と連通しており、開口内には第1多孔質体21Eが充填されている。なお、多孔質層21D及び第1多孔質体21Eは、アルミナ等のセラミックを主成分とする。
(測定セル)
測定セル22は、第2固体電解質層22Aと、第2固体電解質層22Aを挟むように第2固体電解質層22A上に配置された第1測定電極22B及び第2測定電極22Cとを有する。
第2固体電解質層22Aは、第2絶縁層28Bと第3絶縁層28Cとに挟まれて配置されている。
第1測定電極22Bは、第1測定ガス室24内に配置されている。第2測定電極22Cは、後述する基準室25内に一部が露出するように配置されている。
(第2ポンプセル)
第2ポンプセル23は、第3固体電解質層23Aと、第3固体電解質層23Aの第2固体電解質層22A側の面に離間して配置された第3ポンプ電極23B及び第4ポンプ電極23Cとを有する。
第3固体電解質層23Aは、第3絶縁層28Cと第4絶縁層28Dとに挟まれて配置されている。
第3ポンプ電極23Bは、基準室25内に一部が露出し、第2測定電極22Cと対向するように配置されている。第4ポンプ電極23Cは、後述する第2測定ガス室26内に配置されている。
(第1測定ガス室)
第1測定ガス室24は、被測定ガスG中の酸素を取り込む部屋である。第1測定ガス室24には、第1ポンプ電極21B及び第1測定電極22Bが配置されている。
第1測定ガス室24は、第1固体電解質層21Aと第2固体電解質層22Aとの間に設けられた空間を第2多孔質体24A及び第3多孔質体24Bで仕切ることで構成されている。上記空間は、センサを構成する積層体の外部と連通している。また、第2多孔質体24A及び第3多孔質体24Bは、アルミナ等のセラミックを主成分とする。
(基準室)
基準室25は、一定の酸素濃度に制御されることで酸素基準源として機能する部屋である。基準室25には、第2測定電極22C及び第3ポンプ電極23Bのそれぞれの一部が配置されている。
基準室25は、第3絶縁層28Cを厚み方向に貫通する孔が、第2固体電解質層22Aと第3固体電解質層23Aとで挟まれることによって構成されている。また、基準室25には、アルミナ等のセラミックを主成分とする第4多孔質体25Aが充填されている。
(第2測定ガス室)
第2測定ガス室26には、第4ポンプ電極23Cが配置されている。また、第2測定ガス室26は、第3多孔質体24Bを介して第1測定ガス室24と連通している。
第2測定ガス室26は、第3絶縁層28C及び第2固体電解質層22Aを厚み方向に貫通する孔と、第1固体電解質層21Aと第2固体電解質層22Aとの間の空隙のうち、第3多孔質体24Bよりも内側の空間とによって構成されている。
(ヒータ)
ヒータ27は、第1ポンプセル21、測定セル22、及び第2ポンプセル23を加熱し、それぞれの固体電解質層を活性化させる。
ヒータ27は、第4絶縁層28Dと第5絶縁層28Eとの間に配置されている。ヒータ27は、通電により発熱を行う発熱抵抗体を有する。ヒータ27は、例えば白金(Pt)によって形成される。
ヒータ27による各セルの加熱温度は、第1ポンプセル21、測定セル22、及び第2ポンプセル23のうち、いずれか1つの特定セルの内部抵抗の計測によって制御される。つまり、特定セルの内部抵抗が目標値となるようにヒータ27を制御部42が制御する。
ガスセンサシステム1では、第2センサ3の特定セルの内部抵抗の目標値が第1センサ2の特定セルの内部抵抗の目標値と異なっている。つまり、第1センサ2と第2センサ3とは、内部抵抗の目標値として異なる値が設定されている。
図3は、第1センサ2(又は第2センサ3)における特定セルの内部抵抗の目標値を変えながら、NOガスに対するセンサ出力(つまり検知感度)とアンモニアガスに対するセンサ出力とを測定した結果である。
図3から明らかなように、特定セルの内部抵抗の目標値を小さくすると、第1センサ2のNOに対するセンサ出力は小さくなる。一方、特定セルの内部抵抗の目標値を小さくすると、第1センサ2のアンモニアに対するセンサ出力は大きくなる。そのため、各センサの特定セルにおける内部抵抗の目標値を変えることで、NOxに対する検知感度とアンモニアに対する検知感度との差を大きく変えることができる。
なお、第2センサ3における特定セルの内部抵抗の目標値は、第1センサ2よりも小さくてもよいし、大きくしてもよい。第1センサ2と第2センサ3との特定セルの内部抵抗の目標値の差は、例えば50Ω以上100Ω以下が好ましい。
<駆動部>
駆動部4は、図2に示すように、第1センサ2及び第2センサ3を駆動させる少なくとも1つの回路部41と、第1センサ2及び第2センサ3の出力からNOx濃度及びアンモニア濃度を算出する制御部42とを備える。
なお、図2では、駆動部4は、第1センサ2のみと接続されているが、駆動部4は、第2センサ3とも接続されている。駆動部4は、第1センサ2及び第2センサ3の両方に接続された1つの回路部41を有してもよいし、第1センサ2及び第2センサ3のそれぞれに接続された2つの回路部41を有してもよい。
(回路部)
回路部41は、ポンプ電流ドライブ回路41Aと、測定電圧検出回路41Bと、電圧調整回路41Cと、微小電流供給回路41Dと、ポンプ電圧印加回路41Eと、ポンプ電流検出回路41Fと、ヒータ駆動回路41Gとを有する。なお、図2中のV0は基準電位を示す。
ポンプ電流ドライブ回路41Aは、第1ポンプセル21の第2ポンプ電極21Cに接続されている。ポンプ電流ドライブ回路41Aは、第1ポンプセル21に第1ポンピング電流Ip1を供給すると共に、供給した第1ポンピング電流Ip1の大きさを制御部42に出力する。
測定電圧検出回路41Bは、測定セル22の第1測定電極22Bと第2測定電極22Cとの間の電圧Vsを検出するように構成されている。測定電圧検出回路41Bは、電圧Vsを電圧調整回路41Cと制御部42とにそれぞれ出力する。
電圧調整回路41Cは、予め定められた測定セル22の基準電圧と、測定電圧検出回路41Bが検出した電圧Vsとの差をポンプ電流ドライブ回路41Aに出力する。ポンプ電流ドライブ回路41Aは、電圧調整回路41Cからの入力に基づいて、電圧Vsが基準電圧と等しくなるように第1ポンピング電流Ip1の大きさ及び流れ方向を調整する。
微小電流供給回路41Dは、測定セル22の第2測定電極22Cに接続されている。微小電流供給回路41Dは、第2測定電極22Cを介して第1測定ガス室24内の酸素を基準室25に送る向きに、測定セル22に微小電流Icpを供給する。微小電流Icpの供給によって、基準室25内の酸素濃度が基準値に保たれる。
ポンプ電圧印加回路41Eは、第2ポンプセル23の第3ポンプ電極23Bと第4ポンプ電極23Cとの間に一定の電圧Vp2を印加する。この電圧Vp2によって、第3ポンプ電極23B及び第4ポンプ電極23Cの触媒作用によるNOxの還元によって発生した酸素イオンが第3固体電解質層23A内を移動する。
ポンプ電流検出回路41Fは、第2ポンプセル23において、上述の第3固体電解質層23Aにおける酸素イオンの移動によって流れる第2ポンピング電流Ip2を検出して制御部42に出力する。
ヒータ駆動回路41Gは、ヒータ27に駆動電圧Vhを印加することで、ヒータ27を駆動する。ヒータ駆動回路41Gは、特定セルの内部抵抗が目標値になる値となるようにヒータ27の駆動電圧Vhを調整する。
(制御部)
制御部42は、マイクロプロセッサ及びRAM、ROM等の記憶媒体を内蔵している。制御部42は、予め記憶されたプログラムを実行することで、第1センサ2及び第2センサ3を制御する。
また、制御部42は、第1センサ2及び第2センサ3の出力から、被測定ガスGのNOx濃度及びアンモニア濃度を算出する。制御部42は、自動車の電子制御装置(ECU)と接続され、NOx濃度及びアンモニア濃度をECUに出力する。
具体的には、制御部42は、第2ポンピング電流Ip2自身、あるいは第2ポンピング電流Ip2を増幅した電流値又は電圧値を、第1センサ2及び第2センサ3それぞれの出力として受信する。
制御部42は、第1センサ2の出力をZ1、第2センサ3の出力をZ2、第1センサ2におけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、第2センサ3におけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、第1センサ2におけるNOxの検知感度に対する第2センサ3におけるNOxの検知感度の比をβ1としたとき、下記式(1)及び式(2)によって、NOx濃度X及びアンモニア濃度Yを算出する。
Z1=X+α1・Y ・・・(1)
Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)
ここで、各センサの検知感度の比であるα1、α2、及びβ1は、NOx100%のガスに対する各センサの出力と、アンモニア100%のガスに対する各センサの出力とを用いた静的なガス条件において求めることができる。
予めα1、α2、及びβ1を求めておくことで、上記式(1)、(2)は、XとYとの一次の連立方程式となるため、第1センサ2の出力Z1と第2センサ3の出力Z2の値から直ちにNOx濃度X及びアンモニア濃度Yが算出できる。
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)NOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比が異なる2つのガスセンサを用いることで、被測定ガスGの流路に触媒を別途設けることなく、被測定ガスGのNOx濃度及びアンモニア濃度を精度よく算出することができる。
(1b)また、2つのガスセンサにおける特定セルの内部抵抗の目標値を異ならせることで、2つのガスセンサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比を、容易かつ確実に異ならせることができる。その結果、被測定ガスGのNOx濃度及びアンモニア濃度を容易かつ確実に算出することができる。
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(2a)上記実施形態のガスセンサシステム1において、第1センサ2と第2センサ3は、特定セルの内部抵抗の目標値として異なる値が設定されることで、2つのセンサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比が異なるようにされているが、2つのガスセンサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比を異なるようにする方法はこれに限られない。
例えば、第1センサ2と第2センサ3のうちいずれか一方のセンサの測定セル22の基準電圧を、他方のセンサの基準電圧と異なる値に設定することで、2つのセンサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比が異なるようにされてもよい。この場合、第1測定ガス室24内の酸素濃度が、第1測定ガス室24内の電極上で、アンモニアが酸化されNOとなることが抑制される酸素濃度となるようにいずれか一方のセンサの測定セル22の基準電圧が設定されればよい。
(2b)上記実施形態のガスセンサシステム1において、制御部42は、NOx濃度のみ、又はアンモニア濃度のみを算出してもよい。また、制御部42は、NOx濃度とアンモニア濃度の両方を算出した上で、どちらか一方のみを出力してもよい。
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…ガスセンサシステム、2…第1センサ、3…第2センサ、4…駆動部、
21…第1ポンプセル、21A…第1固体電解質層、21B…第1ポンプ電極、
21C…第2ポンプ電極、22…測定セル、22A…第2固体電解質層、
22B…第1測定電極、22C…第2測定電極、23…第2ポンプセル、
23A…第3固体電解質層、23B…第3ポンプ電極、23C…第4ポンプ電極、
24…第1測定ガス室、25…基準室、26…第2測定ガス室、27…ヒータ、
41…回路部、41A…ポンプ電流ドライブ回路、41B…測定電圧検出回路、
41C…電圧調整回路、41D…微小電流供給回路、41E…ポンプ電圧印加回路、
41F…ポンプ電流検出回路、41G…ヒータ駆動回路、42…制御部。

Claims (4)

  1. 被測定ガス中の少なくともNOx濃度を分析するガスセンサシステムであって、
    前記被測定ガスの流路に配置された第1センサ及び第2センサと、
    前記第1センサ及び前記第2センサの出力からNOx濃度を算出するように構成された制御部と、
    を備え、
    前記第1センサ及び前記第2センサは、それぞれ、
    固体電解質体に一対の電極を設けた複数のセルと、
    前記複数のセルを加熱するように構成されたヒータと、
    を有し、
    前記第2センサは、前記第1センサと実質的に同一構造を有し、
    前記制御部は、前記第1センサの出力をZ1、前記第2センサの出力をZ2、前記第1センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、前記第2センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、前記第1センサにおけるNOxの検知感度に対する前記第2センサにおけるNOxの検知感度の比をβ1、前記被測定ガス中のNOx濃度をX、前記被測定ガス中のアンモニア濃度をYとしたとき、前記α1と前記α2とが異なるとともに、下記式(1)及び式(2)によって、前記NOx濃度Xを算出する、ガスセンサシステム。
    Z1=X+α1・Y ・・・(1)
    Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)
  2. 前記制御部は、前記複数のセルのうち1つの特定セルの内部抵抗が目標値となるように前記ヒータへの通電を制御するように構成され、
    前記第2センサは、前記特定セルの前記目標値が前記第1センサにおける前記特定セルの前記目標値とは異なる、請求項1に記載のガスセンサシステム。
  3. 前記制御部は、前記第1センサ及び前記第2センサの出力から前記アンモニア濃度Yをさらに算出する、請求項1または請求項2に記載のガスセンサシステム。
  4. 被測定ガス中の少なくともアンモニア濃度を分析するガスセンサシステムであって、
    前記被測定ガスの流路に配置された第1センサ及び第2センサと、
    前記第1センサ及び前記第2センサの出力からアンモニア濃度を算出するように構成された制御部と、
    を備え、
    前記第1センサ及び前記第2センサは、それぞれ、
    固体電解質体に一対の電極を設けた複数のセルと、
    前記複数のセルを加熱するように構成されたヒータと、
    を有し、
    前記制御部は、前記複数のセルのうち1つの特定セルの内部抵抗が目標値となるように前記ヒータへの通電を制御するように構成され、
    前記第2センサは、前記第1センサと実質的に同一構造を有すると共に、前記特定セルの前記目標値が前記第1センサにおける前記特定セルの前記目標値とは異なり、
    前記制御部は、前記第1センサの出力をZ1、前記第2センサの出力をZ2、前記第1センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα1、前記第2センサにおけるNOxの検知感度に対するアンモニアの検知感度の比をα2、前記第1センサにおけるNOxの検知感度に対する前記第2センサにおけるNOxの検知感度の比をβ1、前記被測定ガス中のNOx濃度をX、前記被測定ガス中のアンモニア濃度をYとしたとき、下記式(1)及び式(2)によって、前記アンモニア濃度Yを算出する、ガスセンサシステム。
    Z1=X+α1・Y ・・・(1)
    Z2=β1・X+α2・Y ・・・(2)
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