JP2020024028A - ガスケット - Google Patents
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例えば、下記特許文献1には、対向面に垂直な方向に対して傾いた方向に組み付けられる2部材の対向面間の隙間を封止する環状のガスケットが開示されている。このガスケットは、2部材のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されるガスケット本体部の他方の部材側に、他方の部材に向かい、かつ対向面に垂直な方向に対して傾いた方向に延びる環状突起部を設けた構成とされている。
本発明によれば、第2部材の傾斜対向面によって、締結する際に第1溝側壁側に滑ろうとするガスケット本体部の溝開口側部位の変形を、溝開口側に設けられた第1側面の突起が第1溝側壁に当接することで抑制することができる。また、ガスケット本体部の第2側面の突起が第1側面の突起よりも溝底側に位置することとなる。従って、傾斜対向面とされた溝底面によって、締結される際に第2溝側壁側に倒れようとするガスケット本体部の溝底側部位の変形を、溝底側に設けられた第2側面の突起が第2溝側壁に当接することで抑制することができる。これにより、ガスケット本体部の溝底側面を溝底面に安定的に当接(弾接)させることができ、シール性の低下を抑制することができる。
本発明によれば、締結する際におけるガスケット本体部の上記のような好ましくない変形をより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、第1部材と第2部材とを締結すれば、ガスケット本体部の両側面の突起が取付溝の各溝側壁に当接して上記のような好ましくない変形の抑制が可能でありながらも、これら突起によって挿入性が低下するようなことを抑制することができる。
本発明によれば、第1部材と第2部材とを締結する前に第1部材の取付溝にガスケット本体部を挿入させた状態で、両側面の突起が取付溝内に位置することとなる。従って、このような状態で一方の突起(第1側面の突起)が取付溝外に位置するようなものと比べて、締結する際に突起が引っ掛かったりするようなことがなく、上記のようなガスケット本体部の好ましくない変形をより効果的に抑制することができる。
本発明によれば、第2部材に対向される反溝底側面に周方向に延びる突部を設けているので、この突部を第2部材に弾接させてシール性を向上させることができる。
また、第2部材の直交対向面に当接される部分の突部を取付溝の溝幅方向で中央部に位置させているので、直交対向面に対して安定的に接触させることができる。一方、第2部材の傾斜対向面に当接される部分の突部を取付溝の溝幅方向で第2溝側壁側に片寄らせた位置に設けているので、上記同様な中央部に設けたものと比べて、締結する際に突部の第2溝側壁側部位を傾斜対向面に早期に接触させることができ、上記のようなガスケット本体部の溝開口側部位の好ましくない変形を効果的に抑制することができ、接触面圧の周方向における均一化を図ることができる。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1〜図8は、本実施形態に係るガスケットの一例及び一変形例を模式的に示す図である。
このガスケット1によって対向面3,8間が密封される第1部材2及び第2部材7としては、例えば、自動車のエンジンを構成するヘッドカバー、シリンダヘッド、シリンダブロック、オイルパン及びチェーンカバーのうちの対向される2部材であってもよく、その他の2部材であってもよい。
これら第1部材2及び第2部材7の周縁部には、全周に亘って互いに平行状に対向し、被シール面を構成する対向面3,8が設けられている。この対向面3,8は、図3に示すように、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て締結方向9に直交する面とされた直交対向面3a,8aと、図4に示すように、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て直交する面から傾斜した面とされた傾斜対向面3b,8bと、を含んでいる。なお、対向面3,8は、周方向の大部分(例えば、60%超)が直交対向面3a,8aとされ、一部分が傾斜対向面3b,8bとされたものでもよい。
第1部材2の取付溝4は、第1部材2の周縁部に沿って全周に亘って設けられている。この取付溝4は、溝深さ方向が締結方向9に沿う方向とされ、かつ第1部材2の対向面3において第2部材7の対向面8に向けて開口するように設けられている。
また、この取付溝4の溝底面5a,6aは、当該第1部材2の対向面3に平行状に形成されている。つまり、取付溝4は、溝底面5aが直交対向面3aに平行状とされた溝底直交部5と、溝底面6aが傾斜対向面3bに平行状とされた溝底傾斜部6と、を含んでいる。つまりは、溝底傾斜部6は、第1部材2の周縁部のコーナー部位に沿って屈曲状とされ、かつ締結方向9に沿う一方向に上り勾配状に傾斜するように設けられている。
溝底直交部5の溝幅寸法と溝底傾斜部6の溝幅寸法W1とは、概ね同寸法とされ、溝底直交部5の溝深さ寸法と溝底傾斜部6の溝深さ寸法D1とは、概ね同寸法とされている。
直交部ガスケット本体部10は、図3に示すように、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て溝深さ方向に長尺な形状とされている。
この直交部ガスケット本体部10は、溝底面5aに当接される溝底側面11と、第1溝側壁5bに対向される第1側面12と、第2溝側壁5cに対向される第2側面14と、を備えている。
また、溝底側面11と両側の第1側面12及び第2側面14との角部にC面取状の面取部を設けた例を示している。また、溝底側部位10aの溝幅方向に沿う寸法を溝開口側部位10bの溝幅方向に沿う寸法よりも小とし、両側の第1側面12及び第2側面14の溝深さ方向途中部位に溝底側に段下状の段部を設けた例を示している。
また、直交部ガスケット本体部10の溝開口側部位10bの端部には、溝幅方向両側に向けて突出する突片部16,16が周方向に延びるように設けられている。これら突片部16,16は、直交対向面3a,8aに平行状となるように締結方向9に対して直交状に突出するように設けられている。
なお、この突部18は、周方向の全体に亘って設けられたものでもよいが、図2(b)に示すように、第2部材7の直交対向面8aの形状に対応させて部分的に設けられていない部位があってもよい。
この直交部ガスケット本体部10は、両側の突片部16,16及び突部18を含み、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝幅方向中心線を対称軸とする線対称状とされている。
図3(b)に示すように、第1部材2と第2部材7とが締結された状態では、直交部ガスケット本体部10が圧縮状態とされ、溝底側面11が溝底面5aに弾性的に接触する。また、この状態では、反溝底側の突部18も圧縮状態とされ、両側の突片部16,16の溝深さ方向両側面が直交対向面3a,8aに当接または近接される。
なお、両側の第1側面12及び第2側面14に、溝深さ方向に延びる抜止突起等を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としてもよい。
この傾斜部ガスケット本体部20は、直交部ガスケット本体部10と概ね同様、図4に示すように、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て溝深さ方向に長尺な形状とされている。
この傾斜部ガスケット本体部20は、溝底面6aに当接される溝底側面21と、第1溝側壁6bに対向される第1側面22と、第2溝側壁6cに対向される第2側面24と、を備えている。
また、この傾斜部ガスケット本体部20の両側の第1側面22及び第2側面24には、第1部材2と第2部材7とが締結された状態で溝底傾斜部6の各溝側壁6b,6cのそれぞれに当接される突起23,25が設けられている。
これら突起23,25は、締結方向9に沿う方向で溝底側端が他方側よりも溝開口側に位置する第1溝側壁6bに対向される第1側面22の突起23が他方側となる第2溝側壁6cに対向される第2側面24の突起25よりも締結方向9に沿う方向で溝開口側に位置するように設けられている。
また、本実施形態では、これら突起23,25は、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て突出方向先側に向かうに従い先細状の略三角形状とされている。また、このように略三角形状とされた突起23,25の両側面の第1側面22及び第2側面24に対する傾斜角度を略同角度とした例を示している。つまりは、これら突起23,25は、略二等辺三角形状の断面形状とされている。また、これら突起23,25の先端部をR面状(突湾曲面状)とした例を示している。
これら突起23,25の周方向に沿う寸法は、上記のように溝底面6aが傾斜対向面とされた溝底傾斜部6の溝長手寸法に応じた寸法でもよく、溝底傾斜部6の溝長手寸法の1/2以上の寸法でもよい。なお、図5(b)において示す第1変形例に係るガスケット1Aのように、傾斜部ガスケット本体部20Aに、周方向に間隔を空けて複数の突起25Aを設けた構成としてもよい。つまりは、上記した例に代えて、周方向に断続的に突起25Aを設けた構成としてもよい。このような構成とすれば、傾斜部ガスケット本体部20Aを溝底傾斜部6に挿入させる際の負荷を軽減することができる。なお、図5(b)では、第2側面24側の突起25Aのみを例示しているが、第1側面22側の突起も同様に周方向に断続的に設けた構成としてもよい。
この第1側面22の突起23の先端から第2側面24の突起25の先端までの溝幅方向に沿う寸法W2は、第1部材2と第2部材7とが締結された状態で、図4(b)に示すように、各突起23,25が各溝側壁6b,6cに弾性的に接触するように適宜の寸法としてもよい。
また、傾斜部ガスケット本体部20の第2部材7の傾斜対向面8bに対向される反溝底側面27に、周方向に延びる突部28を設けた構成としている(図2(b)も参照)。
この突部28は、溝底傾斜部6の溝幅方向で第2溝側壁6c側に片寄った位置となるように設けられている。つまり、突部28は、溝幅方向中心が傾斜部ガスケット本体部20の溝底傾斜部6に挿入される部分の溝幅方向中心よりも第2溝側壁6c側に片寄った位置となるように設けられている。
また、図4(a)に示すように、傾斜部ガスケット本体部20の自然状態における溝底側面21から突片部26,26までの溝深さ方向に沿う寸法は、上記同様、溝底傾斜部6の溝深さ寸法D1よりも大とされている。
図4(b)に示すように、第1部材2と第2部材7とが締結された状態では、上記同様、傾斜部ガスケット本体部20が圧縮状態とされ、溝底側面21が溝底面6aに弾性的に接触する。また、この状態では、両側の第1側面22及び第2側面24の突起23,25が溝底傾斜部6の各溝側壁6b,6cのそれぞれに弾性的に接触する。また、この状態では、反溝底側の突部28も圧縮状態とされ、両側の突片部26,26の溝深さ方向両側面が傾斜対向面3b,8bに当接または近接される。なお、両側の第1側面22及び第2側面24に、溝深さ方向に延びる抜止突起等を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としてもよい。
なお、以下の各変形例では、傾斜部ガスケット本体部の両側面の突起の態様が互いに主に異なり、それ以外の先に説明した例と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
本変形例では、傾斜部ガスケット本体部20Bの両側の各側面22,24の突起23B,25Bの溝底側面の各側面22,24に対する傾斜角度を、突起23B,25Bの溝開口側面の各側面22,24に対する傾斜角度よりも緩やかな角度としている。このような構成とすれば、傾斜部ガスケット本体部20Bを溝底傾斜部6に挿入させる際の挿入性を向上させることができる。
本変形例では、傾斜部ガスケット本体部20Cの両側の各側面22,24の突起23C,25Cは、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て略半円状とされている。このような構成とすれば、傾斜部ガスケット本体部20Cを溝底傾斜部6に挿入させる際の挿入性をより向上させることができる。
本変形例では、傾斜部ガスケット本体部20Dの両側の各側面22,24の突起23D,25Dは、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て略方形状とされている。また、これら突起23D,25Dの先端面を、それぞれが対向される各溝側壁6b,6cに平行状の平坦面としている。このような構成とすれば、これら突起23D,25Dの各溝側壁6b,6cに対する接触面積を大きくすることができる。
本変形例では、傾斜部ガスケット本体部20Eの両側の各側面22,24の突起23E,25Eは、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て先端側を上底とする略台形状とされている。また、これら突起23E,25Eの先端面を、それぞれが対向される各溝側壁6b,6cに平行状の平坦面としている。このような構成とすれば、上記同様、接触面積を大きくすることが可能でありながらも、上記した各例と同様の断面積(溝長手方向に見た断面形状の面積)とした場合には、倒れに対して、より強い姿勢維持力を持たせることができる。
本変形例では、傾斜部ガスケット本体部20Fの両側の各側面22,24に、溝深さ方向に並列状に複数(図例では、2つ)の突起23F,23F,25F,25Fを設けた構成としている。これら突起23F,23F,25F,25Fは、溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て略三角形状とされている。図例では、これら突起23F,23F,25F,25Fを、互いに同寸同形状で、先端が尖頭形状とされた略二等辺三角形状とした例を示している。このような構成とすれば、これら複数の突起23F,23F,25F,25Fによって上記のような傾斜部ガスケット本体部20Fの好ましくない変形を効果的に抑制することができる。
本変形例においても、傾斜部ガスケット本体部20Gの両側の各側面22,24に、溝深さ方向に並列状に複数(図例では、2つ)の突起23G,23H,25G,25Hを設けた構成としている。本変形例では、第1側面22の溝開口側の突起23Gの溝幅方向に沿う突出寸法を、第1側面22の溝底側の突起23Hの同方向に沿う突出寸法よりも大としている。また、第2側面24の溝底側の突起25Gの溝幅方向に沿う突出寸法を、第2側面24の溝開口側の突起25Hの同方向に沿う突出寸法よりも大としている。このような構成とすれば、第1側面22の溝開口側の突起23G及び第2側面24の溝底側の突起25Gを各溝側壁6b,6cに効果的に当接させることができる。
20,20A〜20G 傾斜部ガスケット本体部(取付溝における溝底面が傾斜対向面とされた部位に挿入されるガスケット本体部)
21 溝底側面
22 第1側面
23,23B〜23H 突起
24 第2側面
25,25A〜25H 突起
17,27 反溝底側面
18,28 突部
2 第1部材
3 対向面
4 取付溝
5a 溝底面
6 溝底傾斜部(溝底面が傾斜対向面とされた部位)
6a 溝底面
6b 第1溝側壁
6c 第2溝側壁
7 第2部材
8 対向面
8a 直交対向面
8b 傾斜対向面
9 締結方向
D1 溝深さ寸法
D2 溝底側面から第1側面の突起の先端までの取付溝の溝深さ方向に沿う寸法
W1 溝幅寸法
W2 第1側面の突起の先端から第2側面の突起の先端までの取付溝の溝幅方向に沿う寸法
Claims (5)
- 第1部材に設けられた環状の取付溝の溝底面及びこれに平行状に対向する第2部材の対向面の周方向の一部分の溝長手方向に見た締結方向に沿う断面形状が溝長手方向に見て締結方向に直交する面から傾斜した傾斜対向面とされた該第1部材及び該第2部材の対向面間を密封する環状のガスケットであって、
前記取付溝における溝底面が傾斜対向面とされた部位に挿入されるガスケット本体部の両側面には、締結された状態で前記取付溝の各溝側壁のそれぞれに当接される突起が設けられ、これら突起は、締結方向に沿う方向で溝底側端が他方側よりも溝開口側に位置する第1溝側壁に対向される第1側面の突起が前記他方側となる第2溝側壁に対向される第2側面の突起よりも締結方向に沿う方向で溝開口側に位置するように設けられていることを特徴とするガスケット。 - 請求項1において、
前記ガスケット本体部の両側面の突起は、周方向に延びるように設けられていることを特徴とするガスケット。 - 請求項1または2において、
前記ガスケット本体部の自然状態における前記第1側面の突起の先端から前記第2側面の突起の先端までの前記取付溝の溝幅方向に沿う寸法は、前記取付溝の溝幅寸法よりも小とされていることを特徴とするガスケット。 - 請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記ガスケット本体部の自然状態における溝底側面から前記第1側面の突起の先端までの前記取付溝の溝深さ方向に沿う寸法は、前記取付溝の溝深さ寸法よりも小とされていることを特徴とするガスケット。 - 請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記第2部材に対向される反溝底側面には、周方向に延びる突部が設けられており、
前記突部は、溝長手方向に見て締結方向に直交する前記第2部材の直交対向面に当接される部分が前記取付溝の溝幅方向で中央部に位置し、前記第2部材の傾斜対向面に当接される部分が前記取付溝の溝幅方向で第2溝側壁側に片寄った位置となるように設けられていることを特徴とするガスケット。
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