JP2020023726A - 二酸化炭素還元用電極、及び二酸化炭素還元装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二酸化炭素を効率的に還元可能な二酸化炭素還元用電極の提供。【解決手段】 二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれている二酸化炭素還元用電極。【選択図】 図1

Description

本発明は、二酸化炭素還元用電極、及び二酸化炭素還元装置に関する。
地球温暖化が認知されて以来、産業活動に伴って大気中に排出される二酸化炭素を如何に削減するかが重要な課題となっている。
大気中の二酸化炭素を減少させる方法として、人工光合成の技術が、近年、注目を集めている。人工光合成の技術は、太陽光のエネルギーによって二酸化炭素を還元し、利用可能な有機化合物に変換する技術である。人工光合成では、電解液の入った槽中で、アノードに置いた光励起材料に太陽光を照射することで電子とプロトンとを発生させる。そして、発生した電子とプロトンとをカソードに置いた還元触媒に送り、二酸化炭素と反応させることで、一酸化炭素や有機化合物を生成する。この際のカソード側の反応は、一種の電解還元であり、カソードの触媒上では、二酸化炭素が、2つの電子及び2つのプロトンと段階的に反応して、ギ酸ないし一酸化炭素、ホルムアルデヒド、メタノール、メタンと、有用性の高い物質へと還元されていく。
電解還元の一般的な方法では、作用極、対極、及び槽を有する電気化学セルを用いる(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011/132375号パンフレット
二酸化炭素の電解還元においては、二酸化炭素を還元する反応場に二酸化炭素、電子、プロトンを絶えず供給することが、反応の効率を高める上で重要になってくる。
しかし、従来の技術では、電極上への二酸化炭素の保持の点、及び反応場へのプロトンの供給の点で、十分であるとはいえない。
本発明は、二酸化炭素を効率的に還元可能な二酸化炭素還元用電極、及び二酸化炭素還元装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
1つの態様では、二酸化炭素還元用電極は、
二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれている。
また、1つの態様では、二酸化炭素還元装置は、
二酸化炭素還元用電極をカソード側の電極として有する二酸化炭素還元装置であって、
前記二酸化炭素還元用電極が、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれている。
本発明の二酸化炭素還元用電極によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、二酸化炭素を効率的に還元可能な二酸化炭素還元用電極を提供できる。
本発明の二酸化炭素還元装置によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、二酸化炭素を効率的に還元可能な二酸化炭素還元装置を提供できる。
図1は、二酸化炭素還元用電極の一例の断面模式図である。 図2は、二酸化炭素還元用電極の一例の拡大模式図である。 図3は、二酸化炭素還元装置の一例の断面模式図である。 図4は、二酸化炭素還元装置の他の一例の断面模式図である。 図5は、参考例1〜6の二酸化炭素吸着特性を示したグラフである。 図6は、参考例7のプロトン伝導率の測定結果のグラフである。 図7は、参考例8のプロトン伝導率の測定結果のグラフである。 図8は、実施例1の電解前及び電解後のカソード側の気体の成分の分析結果である。
(二酸化炭素還元用電極)
開示の二酸化炭素還元用電極は、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び導電性材料とは異なる導電性多孔体を有する。
二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料は、導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれている。
二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料は、混合物の状態であっても、これらの複合物の状態であってもよい。少なくとも一部に含まれている状態とは、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料が、導電性多孔体の空隙(細孔)部分に充填されていることを指す。ただし、導電性多孔体の空隙に、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料が充填されている状態は、導電性多孔体の空隙が二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料により完全に埋められている状態ではなく、空隙部分が残っている状態を指す。
二酸化炭素の電解還元においては、触媒を兼ねる電極上に二酸化炭素を保持すること、及び反応場へプロトンを供給することが、反応の効率を高める上で重要になってくる。
本発明者らは、二酸化炭素吸着剤を用いて二酸化炭素を保持し、その細孔内や細孔近傍を反応の場とすることが有効であると考えた。二酸化炭素吸着量の大きい二酸化炭素吸着剤を電極上に配置すれば、そこに二酸化炭素を吸着又は保持した状態で二酸化炭素を電解でき、還元反応の高効率化が期待できるためである。
しかし、一般的に常温常圧で固体である二酸化炭素吸着剤を電極上に固定すると、表面積が限定されるため、二酸化炭素を二酸化炭素吸着剤に供給しながら連続的に反応させることが困難になる。二酸化炭素吸着剤の量と吸着可能な二酸化炭素の量とは、ほぼ比例関係にあるため、電極上の二酸化炭素吸着剤の量を増加させるためには、電極上に二酸化炭素吸着剤を多く配することが考えられる。しかし、電極上に二酸化炭素吸着剤を多く配するようにすると、二酸化炭素吸着剤の厚みを多くする必要がある。この際に、電極表面からの遠い場所にある二酸化炭素吸着剤中の二酸化炭素は、電子などの供与が不十分となりやすく、二酸化炭素還元反応に関与しなくなる。二酸化炭素吸着剤と導電性フィラー及び二酸化炭素還元触媒とを混合して、電極に配する方法も考えられるが、二酸化炭素を還元して得られた還元生成物が、二酸化炭素吸着剤に吸着されたままの状態になり、還元生成物の回収が困難になる。
更に、二酸化炭素吸着剤の粉体を固定した二酸化炭素還元用電極を電解液に浸すと、二酸化炭素吸着剤の粉体が剥離する可能性がある。また、電解液が水系であると、二酸化炭素吸着剤の細孔が水で塞がれ、二酸化炭素を取り込みにくくなるということが起こる。
そこで、本発明者らが検討した結果、電極を多孔体にし、その内部に二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料を配置した二酸化炭素還元用電極が、二酸化炭素を還元する反応場を増やすことができる、即ち、反応場の面積を大きくできることを見出した。その結果、二酸化炭素を効率的に還元できることを見出し、本発明の完成に至った。
<導電性多孔体>
導電性多孔体は、導電性であり、かつ二酸化炭素、二酸化炭素の還元生成物などの液体又は気体状態の物質を通すことができる空隙(細孔)を有する物質のことである。導電性多孔体は、後述の導電性材料とは異なるものである。
導電性多孔体としては、例えば、金属多孔体、カーボン多孔体、金属メッシュ、繊維状のカーボン、繊維状のグラフェンなどが挙げられる。金属メッシュは、金属メッシュを複数枚重ねたものでもよい。繊維状のカーボン、及び繊維状のグラフェンは、所望の形状となるように固めて成形したものでもよい。これらの中でも、金属多孔体が好ましい。
導電性多孔体の孔径としては、0.5mm〜2.0mmが好ましい。孔径が、0.5mm未満であると、反応物又は生成物の液体又は気体の流路を阻害する可能性があり、2.0mmを超えると、後述する二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料を含有させることができなくなる可能性がある。なお、孔径は、空隙の外接円の直径を指す。例えば、空隙が正十二面体にモデル化できる場合は、その正十二面体の外接球の直径が孔径となる。
導電性多孔体の細孔の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
導電性多孔体の窓径としては、0.23mm以上1.6mm以下が好ましく、0.5mm以上1.0mm以下がより好ましい。窓径とは、空隙の形状を正十二面体にモデル化した場合の、その正十二面体を構成する正五角形の内接円の大きさのことを言う。
導電性多孔体の多孔化率としては、95%以上程度が好ましい。導電性多孔体の多孔化率とは、見かけの体積に対する孔の体積の割合のこと(孔の体積/見かけの体積)を指す。多孔化率が95%程度であれば、プロトン伝導材料などを細孔に充填した場合であっても、二酸化炭素などの気体が通り抜ける程度の空隙を維持することができ、かつ、プロトン伝導材料などを空隙に十分に充填できる。
導電性多孔体の形状としては、二酸化炭素還元装置に用いることのできる形状であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直方体などが挙げられる。
導電性多孔体の大きさとしては、二酸化炭素還元装置に通常用いられる程度の大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
導電性多孔体の厚みとしては、導電性であり、かつ二酸化炭素、二酸化炭素の還元生成物などの液体又は気体状態の物質を通すことができる程度の厚みであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、数cm程度が好ましく、0.5cm〜1.5cmがより好ましい。
<二酸化炭素吸着剤>
二酸化炭素吸着剤としては、二酸化炭素を吸着できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、活性炭、ゼオライト、多孔性金属錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、多孔性金属錯体が好ましい。
前記多孔性金属錯体とは、中心金属として金属イオンと、配位子としてアニオン性配位子とを含有する多孔性材料である。前記多孔性金属錯体(MOF)は、多孔性配位高分子(PCP)とも呼ばれることがある。
<<中心金属>>
中心金属としては、例えば、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、マグネシウム、銅、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<配位子>>
配位子としては、金属(中心金属)に配位可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン配位子などが挙げられる。
アニオン配位子としては、例えば、以下のアニオンが挙げられる。
・フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン
・テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンなどの無機酸イオン
・トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンなどのスルホン酸イオン
・ギ酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、イソ酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、エナント酸イオン、シクロヘキサンカルボン酸イオン、カプリル酸イオン、オクチル酸イオン、ペラルゴン酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、ミリスチン酸イオン、ペンタデシル酸イオン、パルミチン酸イオン、マルガリン酸イオン、ステアリン酸イオン、ツベルクロステアリン酸イオン、アラキジン酸イオン、ベヘン酸イオン、リグノセリン酸イオン、α−リノレン酸イオン、エイコサペンタエン酸イオン、ドコサヘキサエン酸イオン、リノール酸イオン、オレイン酸イオンなどの脂肪族モノカルボン酸イオン
・安息香酸イオン、2,5−ジヒドロキシ安息香酸イオン、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸イオン、2,6−ジヒドロキシ−1−ナフトエ酸イオン、4,4’−ジヒドロキシ−3−ビフェニルカルボン酸イオンなどの芳香族モノカルボン酸イオン
・ニコチン酸イオン、イソニコチン酸イオンなどの複素芳香族モノカルボン酸イオン
・1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートイオン、フマレートイオンなどの脂肪族ジカルボン酸イオン
・1,3−ベンゼンジカルボキシレートイオン、5−メチル−1,3−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ベンゼンジカルボキシレートイオン、1,4−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,6−ナフタレンジカルボキシレートイオン、2,7−ナフタレンジカルボキシレートイオン、4,4’−ビフェニルジカルボキシレートイオンなどの芳香族ジカルボン酸イオン
・2,5−チオフェンジカルボキシレート、2,2’−ジチオフェンジカルボキシレートイオン、2,3−ピラジンジカルボキシレートイオン、2,5−ピリジンジカルボキシレートイオン、3,5−ピリジンジカルボキシレートイオンなどの複素芳香族ジカルボン酸イオン
・1,3,5−ベンゼントリカルボキシレートイオン、1,3,4−ベンゼントリカルボキシレートイオン、ビフェニル−3,4’,5−トリカルボキシレートイオンなどの芳香族トリカルボン酸イオン
・1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボキシレートイオン、[1,1’:4’,1’’]ターフェニル−3,3’’,5,5’’−テトラカルボキシレートイオン、5,5’−(9,10−アントラセンジイル)ジイソフタレートイオンなどの芳香族テトラカルボン酸イオン
・イミダゾレートイオン、2−メチルイミダゾレートイオン、ベンゾイミダゾレートイオンなどの複素環化合物のイオン
ここで、アニオン性配位子とは金属イオンに対して配位する部位がアニオン性を有する配位子を意味する。
これらの中でも、アニオン性配位子としては、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、イミノ基、チオール基、カルボキシレート基、及びオキシム基から選択される少なくともいずれかの官能基を有するものが好ましい。これらの中でも、アニオン性配位子としては、カルボキシレート基を有するものがより好ましい。すなわち、脂肪族モノカルボン酸イオン、芳香族モノカルボン酸イオン、複素芳香族モノカルボン酸イオン、脂肪族ジカルボン酸イオン、芳香族ジカルボン酸イオン、複素芳香族ジカルボン酸イオン、芳香族トリカルボン酸イオン及び芳香族テトラカルボン酸イオンから選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、配位子としては、下記構造式で表される化合物(2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、dobdc)のように、少なくとも1つの芳香族炭化水素環と、少なくとも1つの芳香族炭化水素環に結合する2対のカルボキシ基及び水酸基とを有し、2対のカルボキシ基及び水酸基のそれぞれは、少なくとも1つの芳香族炭化水素環基における隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合していることが好ましい。そうすることにより、M(dobdc)〔M/DOBDC錯体〕と同様に、多孔質構造を形成しやすい。
金属に配位子が配位し、多孔質構造を形成した多孔性金属錯体としては、例えば、下記文献に記載のM/DOBDC錯体(M=Ni、Mg、Co等)などが知られている。
文献:N. L. Rosi, J. Kim, M. Eddaoudi, B. Chen, M. O’Keeffe, O. M. Yaghi, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 1504−1518
文献:Dietzel, P. D. C.; Panella, B.; Hirscher, M.; Blom, R.; Fjellvag, H. Chem. Commun. 2006, 959.
文献:S. R. Caskey, A. G. Wong−Foy, A. J. Matzger, J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 10870−10871.
文献:Dietzel, P. D. C.; Besikiotis, V.; Blom, R. J. Mater. Chem. 2009, 19, 7362−7370.
文献:Liu, J.; Tian, J.; Thallapally, P. K.; McGrail, B. P. J. Phys. Chem. C 2012, 116, 9575−9581.
多孔性金属錯体の製造方法としては、例えば、下記文献に記載の製造方法などが挙げられる。
文献:Ru−Qiang Zou, Hiroaki Sakurai, Song Han, Rui−Qin Zhong, and Qiang Xu, J. Am. Chem.Soc., 2007, 129, 8402−8403
<導電性材料>
導電性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性カーボン材料などが挙げられる。導電性カーボン材料としては、例えば、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、ナノグラフェンなどが挙げられる。
導電性カーボン材料は、前述の二酸化炭素吸着剤との親和性を高める点から、カルボキシ基により修飾されていることが好ましい。
導電性材料に官能基を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、官能基を持たない導電性材料を混酸に浸漬する方法などが挙げられる。
導電性材料は、二酸化炭素を還元可能な金属を担持していることが好ましい。二酸化炭素を還元可能な金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、銅、金、銀、亜鉛、鉄、インジウムなどが挙げられる。
導電性材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する二酸化炭素吸着剤に対して、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜5質量%がより好ましい。導電性材料の含有量が、二酸化炭素吸着剤に対して、1質量%未満であると、所望の導電性が得られないことがある。導電性材料の含有量が、二酸化炭素吸着剤に対して、10質量%超であると、二酸化炭素還元用電極の質量が増える。このため、二酸化炭素還元用電極の単位質量あたりの二酸化炭素吸着量が低くなることがある。
<プロトン伝導材料>
プロトン伝導材料は、プロトンを通す性質を有する化合物を指す。
プロトン伝導材料としては、例えば、ナフィオン(登録商標)、イオン液体などが挙げられる。
ナフィオンとは、炭素−フッ素(炭素原子とフッ素原子)からなる疎水性テフロン(登録商標)骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料である。具体的には、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2−(フルオロスルフォニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体である。
イオン液体としては、プロトンを伝達できる性質があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
プロトン伝導材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性材料と二酸化炭素吸着剤とを合計した質量に対して、30質量%〜50質量%が好ましい、プロトン伝導材料の含有量が、導電性材料と二酸化炭素吸着剤とを合計した質量に対して、30質量%未満であると、所望のプロトン伝導性が得られないことがある。プロトン伝導材料の含有量が、導電性材料と二酸化炭素吸着剤とを合計した質量に対して、50質量%超であると、二酸化炭素吸着量が減ることがある。
ここで、前記二酸化炭素還元用電極の一例を図を用いて説明する。
図1は、二酸化炭素還元用電極1の断面模式図である。図1の二酸化炭素還元用電極1は、導電性多孔体2を有している。導電性多孔体2には、導電性多孔体が有する空隙(細孔)3が存在し、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料の混合物4が空隙内に配されている。
図2は、細孔3に存在する二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料の混合物4の拡大模式図である。細孔3には、二酸化炭素吸着剤6、導電性材料5、及びプロトン伝導材料7の混合物4が存在する。プロトン、及び電子は、混合物4内の至るところから行き来できる。また、二酸化炭素及び生成物は、細孔と細孔との間を通り抜け、二酸化炭素還元用電極との外部と細孔内とを様々な方向に行き来できる。
二酸化炭素は、導電性多孔体の空隙を通って、二酸化炭素吸着剤は、還元反応に用いることのできる二酸化炭素を効率的かつ多量に吸着する。二酸化炭素の還元反応に用いられる、電子及びプロトンは、導電性材料及びプロトン伝導材料により効率的かつ多量に運ばれ、二酸化炭素の近傍に配される。
二酸化炭素、電子、及びプロトンが、二酸化炭素還元の反応場に効率的かつ多量に運ばれることにより、二酸化炭素が効率的に還元できる。得られた生成物は、導電性多孔体の空隙を通って、二酸化炭素還元用電極の外部に送られ、回収できる。したがって、二酸化炭素還元電極を用いることで、二酸化炭素を効率的に還元反応させ、生成物を効率的に回収することができ、二酸化炭素の効率的な還元を行うことができる。
<二酸化炭素還元用電極の製造方法>
開示の二酸化炭素還元用電極の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料のそれぞれを導電性多孔体の細孔に固定させて製造できる。
導電性多孔体の細孔に二酸化炭素吸着剤を固定する方法としては、例えば、二酸化炭素吸着剤が粒子状のものである場合、二酸化炭素吸着剤を有機溶媒に分散させ、分散物を導電性多孔体に注入し、乾燥させる方法が挙げられる。また、二酸化炭素吸着剤が多孔性金属錯体である場合、配位子の溶液と中心金属の溶液の混合溶液に導電性多孔体を浸漬し、水熱合成(ソルボサーマル法)を行い、導電性多孔体の細孔表面に二酸化炭素吸着剤を析出させる方法でもよい。
導電性多孔体の細孔にプロトン伝導材料を固定する方法としては、例えば、あらかじめ二酸化炭素吸着剤を固定した導電性多孔体に、液状に希釈したプロトン伝導剤を含浸させる方法が挙げられる。
導電性多孔体の細孔に導電性材料を固定する方法としては、例えば、二酸化炭素吸着剤の分散物に導電性材料を混合させて、二酸化炭素吸着剤と共に導電性多孔体に注入する方法が挙げられる。また、二酸化炭素吸着剤を水熱合成(ソルボサーマル法)により導電性多孔体に析出させる際に、導電性材料を配位子の溶液などとあらかじめ混合させて、水熱合成を行う方法でもよい。
開示の二酸化炭素還元用電極は、単独で二酸化炭素吸着剤ユニットとしても用いることができる。例えば、二酸化炭素排出源に二酸化炭素還元用電極を置いて二酸化炭素を吸着させた後、二酸化炭素を吸着した二酸化炭素還元用電極を太陽光の得られる反応施設まで輸送して、後述する二酸化炭素還元装置に入れ、二酸化炭素を還元するといった使用が可能である。
(二酸化炭素還元装置)
開示の二酸化炭素還元装置は、二酸化炭素還元用電極をカソード側の電極として有する。
前記二酸化炭素還元装置の反応の一例を以下に示す。
前記二酸化炭素還元装置のアノード側では、例えば、アノード電極に照射された光エネルギーを利用して、以下に示す水の分解が生じる。
O → 1/2O + 2H +2e
一方、前記二酸化炭素還元装置のカソード側では、例えば、以下に示す二酸化炭素の還元が生じる。
CO + 2H + 2e → HCOOH
トータルの反応式としては、例えば、以下のようになる。
O + CO → HCOOH + 1/2O
生成するギ酸は、例えば、濃縮され回収される。
開示の二酸化炭素還元装置の一例としては、二酸化炭素還元用電極をカソード側の電極として有し、更に必要に応じて、カソード槽、アノード槽、隔壁などのその他の部材を有する。
二酸化炭素還元用電極は、開示の二酸化炭素還元用電極である。
<<カソード槽>>
カソード槽は、二酸化炭素還元用電極を備える。二酸化炭素還元用電極は、後述する隔壁に密着させて配置することが好ましい。
<<アノード槽>>
アノード槽は、アノード電極を有し、更に必要に応じて、その他の部を有する。
アノード電極及びカソード電極に対して外部電源を用いて通電して行う通常の電解還元におけるアノード電極の材質としては、例えば、Ptなどが挙げられる。
一方、アノード電極に光を照射して行う二酸化炭素の電解還元(所謂人工光合成)におけるアノード電極の材質としては、例えば、水の酸化分解が可能な光励起材料や多接合半導体などが挙げられる。光励起材料としては、例えば、窒化物半導体層を具備するアノード電極などが挙げられる。
<<隔壁>>
隔壁は、カソード槽とアノード槽との間に挟まれており、カソード槽内の内容物と、アノード槽内の電解液とが混合することを防ぐ。隔壁は、二酸化炭素還元用電極と接していることが好ましい。
隔壁としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プロトン透過膜であることが好ましい。
プロトン透過膜は、ほぼプロトンのみがプロトン透過膜を通過し、かつ他の物質がプロトン透過膜を通過できないものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述のプロトン伝導材料を用いることができる。
<<その他の部材>>
その他の部材としては、例えば、アノード槽用電解液、二酸化炭素供給部材、電源、光源などが挙げられる。
−アノード槽用電解液−
アノード槽用電解液は、アノード槽内に収容される。
アノード槽用電解液としては、例えば、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
アノード槽用電解液における電解質の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2mol/L以上が好ましく、1mol/L以上がより好ましい。
−二酸化炭素供給部材−
二酸化炭素供給部材としては、カソード槽に二酸化炭素を供給する部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−電源−
電源としては、直流電流を印加可能な部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−光源−
光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キセノンランプなどが挙げられる。
光源は、アノード電極に光を照射して行う二酸化炭素の電解還元(所謂人工光合成)において、アノード電極に光を照射するために用いられる。
ここで、開示の二酸化炭素還元装置の態様の一例を図を用いて説明する。
図3は、二酸化炭素還元装置10Aの断面模式図である。
二酸化炭素還元装置10Aは、アノード槽120と、カソード電極である二酸化炭素還元用電極1をこの順で有する。更に、定電圧電源装置15を有する。
二酸化炭素還元用電極1は、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び導電性材料とは異なる導電性多孔体(不図示)を有する。
二酸化炭素還元用電極1は、プロトン透過膜である隔壁8と密着(接着)している。
アノード槽120には、アノード槽用電解液122が収容されている。そして、アノード槽120内において、アノード電極12が、アノード槽用電解液122に浸されている。
二酸化炭素還元装置10Aにおいては、定電圧電源装置15により、二酸化炭素還元用電極1と、アノード電極12との間に電圧が印加される。そうすると、アノード側では、水の酸化分解が生じ、一方、カソード側では、二酸化炭素の還元が生じる。カソード側は、電解液に浸漬する必要がないため、電解液への二酸化炭素及び二酸化炭素還元生成物の溶解が少ない。そして、カソード側では、二酸化炭素還元用電極における二酸化炭素吸着剤の作用により、二酸化炭素還元用電極に二酸化炭素を保持できる。更に、導電性材料により、二酸化炭素還元用電極の導電性が高められている。また、プロトン伝導材料により、二酸化炭素還元用電極のプロトン伝導性が高められている。更に、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料が、導電性多孔体内にあることから、二酸化炭素及び二酸化炭素の還元生成物は導電性多孔体の細孔を通って二酸化炭素還元用電極外へと行き来できる。したがって、反応場への二酸化炭素の供給、及び反応場からの生成物の回収を効率的に行うことができる。
図4は、二酸化炭素還元装置10Bの断面模式図である。
二酸化炭素還元装置10Bは、アノード槽120と、カソード電極である二酸化炭素還元用電極1とをこの順で有する。更に、光源16を有する。
二酸化炭素還元用電極1は、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び導電性材料とは異なる導電性多孔体(不図示)を有する。
二酸化炭素還元用電極1は、プロトン透過膜である隔壁8と密着(接着)している。
アノード槽120には、アノード槽用電解液122が収容されている。そして、アノード槽120内において、アノード電極12が、アノード槽用電解液122に浸されている。
アノード電極12は、二酸化炭素還元用光化学電極である。
二酸化炭素還元装置10Bにおいては、光源16からの光がアノード電極12に照射されることで、アノード電極12表面では、水の酸化分解が生じる。その反応によって、導線17により接続されたアノード電極12と二酸化炭素還元用電極1との間に起電力が生じる。その起電力により、カソード側では、二酸化炭素の還元が生じる。カソード側は、電解液に浸漬する必要がないため、電解液への二酸化炭素及び二酸化炭素還元生成物の溶解が少ない。そして、カソード側では、二酸化炭素還元用電極における二酸化炭素吸着剤の作用により、二酸化炭素還元用電極に二酸化炭素を保持できる。更に、導電性材料により、二酸化炭素還元用電極の導電性が高められている。また、プロトン伝導材料により、二酸化炭素還元用電極のプロトン伝導性が高められている。更に、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、及びプロトン伝導材料が、導電性多孔体内にあることから、二酸化炭素及び二酸化炭素の還元生成物は導電性多孔体の細孔を通って二酸化炭素還元用電極外へと行き来できる。したがって、反応場への二酸化炭素の供給、及び反応場からの生成物の回収を効率的に行うことができる。
以下、開示の技術について説明するが、開示の技術は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(参考例1)
<Ni(dobdc)錯体の合成>
CO吸着性能を有する多孔性金属錯体として、Ni(dobdc)錯体を合成し、評価した。
2,5−ジヒドロキシテレフタル酸(下記構造式)のTHF(テトラヒドロフラン)溶液と、酢酸ニッケル四水和物の水溶液とを、1:2(2,5−ジヒドロキシテレフタル酸:酢酸ニッケル四水和物)のモル比で混合し、耐圧容器を用い、110℃で3日間加熱するソルボサーマル法により、黄色粉末であるNi(dobdc)錯体を得た。合成は、以下の文献を参考にして行った。
<文献>
Liu, J.; Tian, J.; Thallapally, P. K.; McGrail, B. P. J. Phys. Chem. C 2012, 116, 9575−9581.
(参考例2)
Ni(dobdc)錯体と2wt%相当の単層カーボンナノチューブとを複合化した試料を以下の方法で調製した。
単層カーボンナノチューブ(株式会社名城ナノカーボン製)を、混酸(硫酸:硝酸=3:1)に1時間浸漬した後、洗浄、乾燥し、単層カーボンナノチューブにおけるカルボキシル基や水酸基等の官能基を修飾した。これを酢酸ニッケル水溶液に加え、超音波で分散させた後、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸のTHF溶液と混合し、ソルボサーマル法により合成することで、Ni(dobdc)錯体とカーボンナノチューブとが均一に複合化した試料を得た。
(参考例3)
参考例2において、単層カーボンナノチューブの量を5wt%相当とした以外は、参考例2と同様にして、Ni(dobdc)錯体と単層カーボンナノチューブとが複合化した試料を得た。
(参考例4)
Ni(dobdc)錯体と40wt%相当のナフィオンとを複合化した試料を以下の方法で調製した。
Ni(dobdc)粉末0.06gに、20%ナフィオン分散溶液(和光純薬工業株式会社製)0.2gと少量のメタノールとを加えて混錬し、これを100℃で加熱乾燥することで固化させた。その後、粉末に砕くことで錯体とナフィオンコロイドが均一に複合化した粉体試料を得た。
(参考例5)
参考例2のNi(dobdc)と単層カーボンナノチューブ(2wt%)とを複合化した試料に、更に40wt%相当のナフィオンと複合化した試料を以下の方法で調製した。
参考例1で得た粉末0.06gに20%ナフィオン分散溶液(和光純薬工業株式会社製)0.2gと少量のメタノールとを加えて混錬し、100℃で加熱乾燥して固化させた。固化させた化合物を粉末に砕くことで、錯体とナフィオンコロイドとが均一に複合化した粉体試料を得た。
(参考例6)
参考例5において、複合化した試料を参考例3のNi(dobdc)と単層カーボンナノチューブ(5wt%)との粉末にした以外は、参考例5と同様にして、40wt%相当のナフィオンと複合化した試料を得た。
参考例1〜6の各粉末試料について、CO吸着特性をガス/蒸気吸着量測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した結果、図5の吸着等温線が得られた。
参考例1と比べると、カーボンナノチューブ、及びナフィオンを複合化した試料は、添加した重量に応じて吸着総量は減少するが、吸着特性は保持していることが確認された。
(参考例7)
Ni(dobdc)錯体とナフィオンとを種々の比率で複合化した試料について、プロトン伝導率を評価した。試料は参考例4と同様の方法で調製し、錯体粉末に対してナフィオンの比率が0、10、30、40、50wt%のものについて用意した。
プロトン伝導率を評価するために、電気化学測定システム(ソーラートロン社製Modulab XM ECS)を用いて交流インピーダンスを測定した。各粉末試料は、粉体用伝導度測定セルを用いて直径10mm、厚さ約0.3mmのペレットにし、2端子の電極を厚み方向に接続して、周波数1MHz〜0.1Hz、印加電圧0〜1Vの範囲で測定を行った。ナイキストプロットのx切片から求まる抵抗値について、以下の(式1)からプロトン伝導率を算出した。
プロトン伝導率(S/cm)
=電極間距離(cm)÷抵抗値(Ω)÷断面積(cm) (式1)
その結果、乾燥状態ではプロトンはほとんど伝導しないが、高湿度条件下では、約1〜2×10−3S/cmであり、電極材料として適用可能であることが示唆された(図6)。
(参考例8)
Ni(dobdc)錯体とイオン液体とを種々の比率で複合化した試料について、プロトン伝導率を評価した。試料は、錯体粉末に対して、イオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの比率が0、10、30、40、50wt%となるよう混合、少量のメタノールを加えて混錬し、これを100℃で加熱乾燥することで用意した。
プロトン伝導率を参考例7と同様に測定した結果、含有率が40、50wt%の試料においては、乾燥状態でも、それぞれ6.8×10−3、9.0×10−3S/cmのプロトン伝導率を示した(図7)。このことから、電解液に浸漬しない図3、4の電解還元装置に適用するには、イオン液体を用いるのがより好適であることが示唆された。
(実施例1)
導電性の多孔質支持体(導電性多孔体)中に、多孔性金属錯体粉体と導電性カーボン、プロトン伝導体を充填したユニットを作製し、CO電解還元の電極として機能を評価した。導電性多孔体として、住友電工製の多孔質金属体(セルメット)を用いた。材質はニッケル、孔径1.9mm、窓径0.95mm、厚み10mm、多孔化率95%の部材を、30mm×40mmに切断して使用した。これに参考例2のNi(dobdc)+単層CNT(2wt%)の複合体粉末をメタノールに分散させて注入、乾燥後、イオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを浸み込ませて電極ユニットとした。
得られた電極ユニットを図3の電解還元装置に組み込み、カソード側の雰囲気を二酸化炭素で置換し、ナフィオン膜で隔てたアノード側は0.2M KHCO水溶液を電解液とし、白金電極をアノードとした。ポテンショスタットを接続してカソードに−2Vの電圧を20時間印加し、電解反応の前後のカソード側の気体を採取してガスクロマトグラフ装置で分析した。図8にその結果を示す。20時間後に二酸化炭素(R.Time=14.8min)が吸着剤に吸着されることで減少し、代わりに細孔中に残留していた窒素(R.Time=4.5min)が置き換わることで増大した。還元生成物ピーク強度から(表1)、水素(R.Time=1.3min)、及び一酸化炭素(R.Time=5.7min)の量が増大していることが観測され、本発明の電極により二酸化炭素が連続的に吸着、還元されていることが確認された。
(比較例1)
導電性の多孔質支持体(導電性多孔体)を用いない電極を用いて、CO電解還元の評価を行った。参考例2のNi(dobdc)+単層CNT(2wt%)の複合体粉末にイオン液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを40wt%添加、混練した試料を図3の電解還元装置のナフィオン(隔壁)膜上に塗布して固定し、電解還元を行った。なお、ナフィオン膜上に塗布した試料の量は、実施例1とほぼ同様の量とした。電解の条件は、実施例1と同様にした。電解反応の前後のカソード側の気体を採取してガスクロマトグラフ装置で分析した結果(表1)、ピーク強度の比較から、多孔質支持体を用いない場合でも電解還元は進行するが、用いた場合の方が還元生成物の水素や一酸化炭素の量が多くなることが確認された。
(比較例2)
実施例1において、多孔性金属錯体粉体(二酸化炭素吸着剤)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、二酸化炭素還元用電極を作製した。
得られた電極を実施例1と同様にして、電解還元装置に組み込み、実施例1と同様の条件で電解還元を行い、電解反応の前後のカソード側の気体を採取してガスクロマトグラフ装置で分析した。その結果(表1)、二酸化炭素吸着剤を用いない場合は、CO還元生成物の一酸化炭素はほとんど得られないことが確認された。
(比較例3)
実施例1において、導電性カーボン(導電性材料)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、二酸化炭素還元用電極を作製した。
得られた電極を実施例1と同様にして、電解還元装置に組み込み、実施例1と同様の条件で電解還元を行い、電解反応の前後のカソード側の気体を採取してガスクロマトグラフ装置で分析した。その結果(表1)、導電性材料を用いない場合は、CO還元生成物の一酸化炭素はほとんど得られないことが確認された。
更に以下の付記を開示する。
(付記1)
二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれていることを特徴とする二酸化炭素還元用電極。
(付記2)
前記二酸化炭素吸着剤が、多孔性金属錯体である付記1に記載の二酸化炭素還元用電極。
(付記3)
前記導電性材料が、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びナノグラフェンから選択される少なくとも1種である付記1から2のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
(付記4)
前記プロトン伝導材料が、高分子電解質、及びイオン液体から選択される少なくとも1種である付記1から3のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
(付記5)
前記導電性多孔体の孔径が、0.5mm〜2.0mmである付記1から4のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
(付記6)
二酸化炭素還元用電極をカソード側の電極として有する二酸化炭素還元装置であって、
前記二酸化炭素還元用電極が、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれていることを特徴とする二酸化炭素還元装置。
(付記7)
前記二酸化炭素還元装置が、アノードとカソードとの間にプロトン伝導材料を含有する隔壁を有し、
前記二酸化炭素還元用電極が、前記隔壁と接している付記6に記載の二酸化炭素還元装置。
1 二酸化炭素還元用電極
2 導電性多孔体
3 細孔
4 混合物
5 導電性材料
6 二酸化炭素吸着剤
7 プロトン伝導材料
8 隔壁
10A 二酸化炭素還元装置
10B 二酸化炭素還元装置
12 アノード電極
15 定電圧電源装置
16 光源
17 導線
120 アノード槽
122 アノード槽用電解液

Claims (6)

  1. 二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
    前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれていることを特徴とする二酸化炭素還元用電極。
  2. 前記二酸化炭素吸着剤が、多孔性金属錯体である請求項1に記載の二酸化炭素還元用電極。
  3. 前記導電性材料が、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びナノグラフェンから選択される少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
  4. 前記プロトン伝導材料が、高分子電解質、及びイオン液体から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
  5. 前記導電性多孔体の孔径が、0.5mm〜2.0mmである請求項1から4のいずれかに記載の二酸化炭素還元用電極。
  6. 二酸化炭素還元用電極をカソード側の電極として有する二酸化炭素還元装置であって、
    前記二酸化炭素還元用電極が、二酸化炭素吸着剤、導電性材料、プロトン伝導材料、及び前記導電性材料とは異なる導電性多孔体を有し、
    前記二酸化炭素吸着剤、前記導電性材料、及び前記プロトン伝導材料が、前記導電性多孔体の有する空隙の少なくとも一部に含まれていることを特徴とする二酸化炭素還元装置。

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