JP2020023287A - 水ジェット推進艇 - Google Patents

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直樹 木野本
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Abstract

【課題】ハンドルに設けられたレバーを含む左右の操作子を用いて(アクセル操作によって)水ジェット推進艇を微速前進及び/又は微速後進させることは難しく、簡単な操作によって微速前進及び/又は微速後進させる。【解決手段】ニュートラル操作が行われている状態(リバースバケット52がニュートラル位置にある場合)において、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、左右の操作子とは別に設けられた第3操作子(押しボタン式スイッチ)75に対する操作に基づいて、デフレクタ51及びリバースバケット52を含む噴流調整部材50によって前後に分割される噴流の「前方噴流成分による推力FF」と「後方噴流成分による推力RF」との差を調整するように、噴流調整部材50の移動位置を制御する。【選択図】図10

Description

本発明は、噴流発生装置から船体の後方に噴出する噴流を前進用の噴流と後進用の噴流とに分割可能な噴流調整部材を備えた水ジェット推進艇に関する。
従来から、噴流発生装置(ジェット推進機構)及び噴流調整部材(例えば、リバースバケット)を備える水ジェット推進艇が知られている。噴流発生装置は、エンジンによって駆動され、船体の外部から吸い込んだ水を噴出口から船体の後方に噴出することにより噴流を発生させる。噴流調整部材は、その噴流を「船体の後方に向かう後方噴流成分を有する噴流(以下、「前進用噴流」と称呼する。)」と「船体の前方に向かう前方噴流成分を有する噴流(以下、「後進用噴流」と称呼する。)」とに分割可能である。
このような従来の水ジェット推進艇の一つ(以下、「従来艇」と称呼される。)は、バー状のステアリングハンドルの右グリップ部及び左グリップ部のそれぞれに操作子を備える。従来艇は、操作子に対して所定の前進用操作がなされると、噴流調整部材を「噴流発生装置からの噴流を実質的に遮らない位置(以下、「前進位置」と称呼する。)」に移動させる。その結果、従来艇は強い前進用噴流を得て、これを前進用の推力として前進する。
一方、従来艇は、操作子に対して所定の後進用操作がなされると、噴流調整部材を、噴流発生装置からの噴流を遮り且つ実質的に前方噴流成分のみを発生させる位置(以下、「後進位置」と称呼する。)に移動させる。その結果、従来艇は、後進用噴流を得て、これを後進用の推力として後進する。
更に、従来艇は、操作子に対して所定のニュートラル操作がなされると、噴流調整部材を噴流発生装置からの噴流の一部を遮る位置(以下、「ニュートラル位置」と称呼する。)に移動させる。これにより、従来艇は、前進用噴流による前進用の推力と後進用噴流による後進用の推力とを実質的に釣り合わせ、以て、実質的な停船状態(超微速での「前進状態又は後進状態」を含む。)を維持することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2014−24534号公報
ところで、噴流調整部材が前進位置にあるとき、エンジンの運転状態をアイドル状態に維持しても船体はある程度の速度にて前進する。同様に、噴流調整部材が後進位置にあるとき、エンジンの運転状態をアイドル状態に維持しても船体はある程度の速度にて後進する。従って、例えば、従来艇を桟橋の所定位置に近づける場合などのように従来艇を微速で前進又は後進させるためには、オペレータ(乗員)は操作子に対して前進用操作、後進用操作及びニュートラル操作を頻繁に行う必要があった。更に、操作子に対してニュートラル操作を行っても、河川及び運河などのように水の流れがある場合には従来艇を停船状態に維持することが難しく、そのため、オペレータは操作子を頻繁に操作する必要があった。
本発明は上記課題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、簡便な操作によって微速にて前進及び/又は後進させることが可能な水ジェット推進艇を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る水ジェット推進艇(以下、「本発明艇」とも称呼する。)は、船体と、エンジンと、噴流発生装置と、噴流調整部材と、第1操作子と、第2操作子と、第3操作子と、制御装置と、を備える。
前記エンジンは前記船体に搭載される。前記噴流発生装置は、前記エンジンによって駆動され、前記船体の後方に噴出口から水を噴出することにより噴流を発生させ、前記エンジンがアイドリング状態であっても前記噴流を発生させる。従って、エンジンの回転数が高くなるほど噴流発生装置の噴出口から噴出される噴流の流量は大きくなる。
前記噴流調整部材は、例えば、後述する「デフレクタ及び/又はリバースバケット」であり、前記船体に対して移動可能に設けられる。前記噴流調整部材は、前記噴出口からの噴流を、「前記船体の後方に向かう後方噴流成分を有する前進用噴流」と「前記船体の前方に向かう前方噴流成分を有する後進用噴流」とに分割可能である。前記噴流調整部材は、前記前方噴流成分による推力と前記後方噴流成分による推力の差を移動位置に応じて調整可能である。例えば、後方噴流成分による推力の大きさが前方噴流成分による推力の大きさよりも大きい場合、本発明艇は前進することができる。これに対し、後方噴流成分による推力の大きさが前方噴流成分による推力の大きさよりも小さい場合、本発明艇は後進することができる。
前記第1操作子は、前記船体に設けられたステアリングハンドルの右グリップ部に設けられ且つ操作量が変更可能に構成されている。前記第2操作子は、前記船体に設けられたステアリングハンドルの左グリップ部に設けられ且つ操作量が変更可能に構成されている。
前記制御装置は、第1モードが選択された場合、前記第1操作子及び前記第2操作子の少なくとも何れか一方の操作量に基づいて、前記噴流の量を制御し、且つ、前記噴流調整部材の移動位置を制御する。
更に、前記制御装置は、前記第2モードが選択された場合、前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前記第3操作子に対する操作に応じて前記噴流調整部材の移動位置を制御する。
係る構成を有する本発明艇によれば、第1モードにおいて第1操作子及び第2操作子の何れかの操作量に基づいて噴出口からの噴流の流量を変更することができる。従って、オペレータは第1モードにおいて本発明艇の前進速度又は後進速度を大きく変更することができる。一方、第2モードにおいて、噴出口から噴出される前記噴流の流量は所定の小さな流量(即ち、アイドリング流量)に維持される。
更に、本発明艇によれば、第2モードにおいて、第1操作子及び第2操作子とは別に設けられた第3操作子に対する操作に応じて噴流調整部材の移動位置を変更することにより、前方噴流成分による推力と後方噴流成分による推力との差を調整することができる。このとき、エンジンの運転状態はアイドリング状態に維持されているから、後方噴流成分による推力と前方噴流成分による推力との差の大きさが第3操作子の操作により僅かに変化する。
この結果、後方噴流成分による推力が前方噴流成分による推力よりも大きくなれば、本発明艇は微速にて前進する。これに対し、前方噴流成分による推力が後方噴流成分による推力よりも大きくなれば、本発明艇は微速にて後進する。従って、オペレータは、いったん第2モードを選択すれば、第3操作子を操作することのみで本発明艇を微速にて前進又は後進させることができる。
第3操作子は、例えば、押しボタン式スイッチ及びダイヤル式スイッチ等が右グリップ部の近傍又は左グリップ部の近傍に設けられるとよい。これにより、オペレータは、第2モードにおいて、第3操作子に対する操作を行うことによって、後方噴流成分による推力と前方噴流成分による推力との差を僅かに変更することができる。
本発明に係る水ジェット推進艇によれば、第3操作子に対する操作を行うことにより、水ジェット推進艇を微速にて前進/又は後進させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る水ジェット推進艇の概略構成図である。 図2は、図1に示した水ジェット推進艇のデフレクタの回動位置を説明するための側面図であり、図2(A)は中立位置を表す側面図、図2(B)は下向き位置を表す側面図、図2(C)は上向き位置を表す側面図である。 図3は、図1に示した水ジェット推進艇のリバースバケットが後進位置にある状態における噴流発生装置及び噴流調整部材の配置を説明する図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は上面図である。 図4は、図1に示した水ジェット推進艇のリバースバケットが前進位置にある状態における噴流発生装置及び噴流調整部材の配置を説明する図であり、図4(A)は側面図、図4(B)は上面図である。 図5は、図1に示した水ジェット推進艇のリバースバケットがニュートラル位置にある状態における噴流発生装置及び噴流調整部材の配置を説明する図であり、図5(A)は側面図、図5(B)は上面図である。 図6は、図1に示した水ジェット推進艇のステアリングハンドル周辺の構成を説明する斜視図である。 図7は、図1に示した水ジェット推進艇の左グリップ部周辺の構成を説明する斜視図である。 図8は、図1に示した水ジェット推進艇の制御ブロック図である。 図9は、図1に示した水ジェット推進艇のリバースバケットの回動位置を説明するための側面図であり、図9(A)は微速前進位置を表す側面図、図9(B)は微速後進位置を表す側面図である。 図10は、図1に示したECUのCPUが実行する「噴流調整部材位置制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図11は、第2実施形態に係る水ジェット推進艇のECUのCPUが実行する「噴流調整部材位置制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図12は、図1に示した水ジェット推進艇のデフレクタの移動位置を説明するための側面図であり、図12(A)は中立位置を表す側面図、図12(B)は微速前進位置を表す側面図、図12(C)は微速後進位置を表す側面図である。 図13は、第3実施形態に係る水ジェット推進艇のECUのCPUが実行する「噴流調整部材位置制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図14は、第4実施形態に係る水ジェット推進艇のECUのCPUが実行する「噴流調整部材位置制御ルーチン」を示したフローチャートである。
<第1実施形態>
(構成)
本発明の第1実施形態に係る水ジェット推進艇(以下、「第1ジェット推進艇」とも称呼される。)10は、図1に示したように、船体20、駆動装置30、噴流発生装置40、噴流調整部材50、アクチュエータ60、操作部70及び制御装置(ECU)80等を備えている。
船体20は、ハル21、デッキ22及びシート23を含んでいる。ハル21は、船底を形成する。デッキ22は、ハル21の上方に配置される。シート23は、デッキ22の左右中央に配置されており、図示しないオペレータ(乗員)が着座することができるようになっている。
駆動装置30は、エンジン31、クランクシャフト32及びカップリング33を含んでいる。駆動装置30は、ハル21とデッキ22との間に区画された空間内に配置されている。エンジン31は、火花点火式の多気筒内燃機関である。エンジン31はシート23の下方に配置されている。クランクシャフト32は、エンジン31にて発生した駆動トルクを出力する回転軸である。クランクシャフト32は、ハル21の左右中央に船体20の後方に延出するように配置される。カップリング33は、クランクシャフト32と後述するインペラシャフト45とを連結固定する。
噴流発生装置40は、流路41、吸水口42、インペラハウジング43、インペラ44、インペラシャフト45、静翼46、ノズル47及び噴出口48を含んでいる。流路41はハル21の後方部分且つ左右中央部分に形成される。流路41の一端は、水を吸い込むための吸水口42としてハル21の下方に開口している。流路41の他端41aは、ハル21の後方に開口している。
インペラハウジング43は、流路41の他端41aからハル21の後方に突設される。インペラ44は、インペラシャフト45に連結され、インペラハウジング43内においてインペラシャフト45の中心軸線周りにインペラシャフト45と一体的に回転するようになっている。静翼46は、インペラハウジング43内においてインペラ44の後方に配設固定されている。ノズル47は、円筒形の部材であり、インペラハウジング43の後方端43aに配設固定されている。ノズル47の後方端は水を噴出するための噴出口48として開口している。
このような構成により、エンジン31において発生した駆動力がインペラ44を回転させると、船体20の外部(ハル21の下方)から水が吸水口42を介して流路41に吸い込まれる。流路41に吸い込まれた水は、インペラ44から静翼46に供給される。インペラ44により供給された水は静翼46を通過することにより整流される。整流された水がノズル47を通過して噴出口48から船体20の後方に噴出される。このようにして、噴流発生装置40は、船体20の後方に噴流を発生させることができる。この構成によれば、エンジン31の回転速度が高くされると噴流発生装置40から噴出される噴流の流量は増加する。従って、エンジン31の運転状態(回転速度)を変更することによって噴流発生装置40から噴出される噴流の量が調整される。なお、エンジン31がアイドリング状態であっても流量は発生する。このときの噴流の流量は「アイドリング流量」とも称呼される。
噴流調整部材50は、デフレクタ51及びリバースバケット52を含んでいる。アクチュエータ60は、デフレクタ移動機構61及びリバースバケット移動機構65を含んでいる。
図2(A)に示したように、デフレクタ51は、ノズル47の後方に配置される略円筒状(円錐台状)の部材である。デフレクタ51は船体20の後進方向(紙面の右方向)に向かうほど直径が小さくなるように形成されている。デフレクタ51は、垂直軸(鉛直軸)周りに(船体20の左右方向に)回動可能且つ水平軸周りに(船体20の上下方向に)回動可能に、ノズル47(従って、船体20)に支持されている。デフレクタ51はノズル47の噴出口48を覆っている(図1を参照。)。従って、噴出口48から噴出した噴流はデフレクタ51内を通って排出口51aから噴出する。なお、図2においてリバースバケット52の図示は便宜上省略されている。
デフレクタ51の側部には連結部51bが設けられ、連結部51bに連結された操作ケーブル(図示せず)が操作されることによりデフレクタ51が左右に回動するようになっている。
デフレクタ51の上部には連結部51cが設けられ、連結部51cに連結されたアームがデフレクタ移動機構61によって移動されることによりデフレクタ51が水平軸周りに回動するようになっている。
デフレクタ移動機構61は、トリムアクチュエータ62、トリムアーム63及びリンク64を含んでいる。トリムアクチュエータ62は、周知のサーボモータである。トリムアクチュエータ62は出力軸62aを備えている。トリムアクチュエータ62は出力軸62aの中心軸線が船体20の左右方向と平行となるように配置されている。トリムアーム63は出力軸62aから鉛直上方向に延びるアームである。トリムアーム63は、その下端において出力軸62aと一体回転可能に固定されている。リンク64は、トリムアーム63とデフレクタ51とを連結する。
図2(A)に示したように、トリムアーム63の長手方向が船体20の水平面Lに対して垂直となるとき(即ち、トリムアーム63が基準位置Pb1にあるとき)、デフレクタ51の中心軸の方向は水平面Lに対して略平行に設定される。このとき、ノズル47の噴出口48から噴出した噴流(以下、単に「ノズル噴流」と称呼する場合がある。)はデフレクタ51を通過した後に排出口51aから船体20の後方に水平面Lに対して略平行に噴出される。このときのデフレクタ51の回動位置は「中立位置」と称呼される。
図2(B)に示したように、トリムアーム63が基準位置Pb1から側面視において時計回り(右回り)に所定角度θdだけ回転した位置Pdにあるとき、デフレクタ51の中心軸の方向は水平面Lに対して下向きに設定される。このとき、ノズル噴流はデフレクタ51を通過した後に排出口51aから船体20の後方に水平面Lに対して斜め下方に噴出される。このときのデフレクタ51の回動位置は「下向き位置」と称呼される。
図2(C)に示したように、トリムアーム63が基準位置Pb1から側面視において反時計回り(左回り)に所定角度θuだけ回転した位置Puにあるとき、デフレクタ51の中心軸の方向は水平面Lに対して上向きに設定される。このとき、ノズル噴流はデフレクタ51を通過した後に排出口51aから船体20の後方に水平面Lに対して斜め上方に噴出される。このときのデフレクタ51の回動位置は「上向き位置」と称呼される。更に、デフレクタ移動機構61は、トリムアーム63の回転位置を位置Puと位置Pdとの間の任意の位置(位置Puと位置Pdとを含む。)に変更することができる。
このような構成により、デフレクタ51は、噴出口48の後方において垂直軸周り及び水平軸周りに回動可能に配置される。従って、デフレクタ51は、その回動位置に応じて噴出口48から船体20の後方に噴出される噴流の左右方向の向き及び上下方向の向きを変更可能である。
リバースバケット52は、図3(A)及び(B)に示したように、デフレクタ51の排出口51aを開閉する開閉部としての後壁52a及び船体20の左右方向に面する右側面52R及び左側面52Lを含む。図3(A)に示したように、右側面52R(及び左側面52L)は、船体20の後方(紙面の右方向)に向かうほど上下方向に広がっている。即ち、右側面52R及び左側面52Lのそれぞれは略扇形状を有する。一方、図3(B)に示したように、右側面52R及び左側面52Lは、船体20の後進方向に向かうほど船体20の左右方向に広がっている。
右側面52Rには船体20の斜め右前方に向かう中心軸を有する略円筒形状の噴出通路部52R1が設けられている。噴出通路部52R1の端部には右開口58Rが形成されている。左側面52Lには船体20の斜め左前方に向かう中心軸を有する略円筒形状の噴出通路部52L1が設けられている。噴出通路部52L1の端部には左開口58Lが形成されている。右開口58R及び左開口58Lは船体20の前後方向に延びる中心軸に対して左右対称位置に形成されている。
リバースバケット52は、ノズル47の左右両側にそれぞれ固定された左右一対のブラケット49R及び49Lにそれぞれボルト55R及び55Lにて軸支される。リバースバケット52は、デフレクタ51の後方と上方との間をボルト55Rと55Lの中心を通る水平軸周りに回動可能である。
図3(A)に示したように、リバースバケット52は、後述する後進位置と後述する前進位置との間において、リバースバケット移動機構65により移動(回動)させられるようになっている。リバースバケット移動機構65は、シフトアクチュエータ66、シフトアーム67及びリンク68を含んでいる。シフトアクチュエータ66は、周知のサーボモータである。シフトアクチュエータ66は、出力軸66aを備えている。シフトアクチュエータ66は出力軸66aの中心軸線が船体20の左右方向と平行となるように配置されている。シフトアーム67は、シフトアクチュエータ66の出力軸66aの中心軸線に対して垂直に、出力軸66aに一体回転可能に固定されている。リンク68は、シフトアーム67とリバースバケット52とを連結する。即ち、リンク68はその一端にてシフトアーム67と相対回転可能に連結され、その他端にてリバースバケット52と相対回転可能に連結されている。このような構成により、リバースバケット移動機構65はシフトアクチュエータ66の回転によってリバースバケット52を所定の位置に回動させるとともに、その回動位置を維持させることができるようになっている。
リバースバケット52の位置が後進位置にある場合、図3(A)及び(B)に示したように、背面視にて排出口51aの全領域がリバースバケット52の後壁52aに覆われる。図3(B)に示したように、排出口51aから噴出された噴流は後壁52aの内側に衝突すると、その向きを変え、左開口58L及び右開口58Rからそれぞれ左右方向外方且つ船体20の前方(即ち、船体20の斜め前方)に向かって噴出する。以下、右開口58Rから噴出される噴流は「右噴流JFR」と称呼され、左開口58Lから噴出される噴流は「左噴流JFL」と称呼される。
この場合、排出口51aから噴出された噴流の殆どが右開口58R及び左開口58Lから噴出する。右噴流JFR及び左噴流JFLは、船体20の前方に向かう噴流成分(以下、「前方噴流成分」と称呼される。)をそれぞれ有している。前方噴流成分による推力は、船体20を後進させる推力(後進推力)である。従って、リバースバケット52が後進位置にあるとき、第1ジェット推進艇10は後進することができる。以下、前方噴流成分を有する噴流は「後進用噴流JF」とも称呼される。後進用噴流JFは右噴流JFRと左噴流JFLとのベクトル和である。右噴流JFRの前方噴流成分による推力(後進推力)は推力FFRと称呼される。左噴流JFLの前方噴流成分による推力(後進推力)は推力FFLと称呼される。なお、デフレクタ51の左右方向の回動位置が中立であるとき、右噴流JFRの前方噴流成分と左噴流JFLの前方噴流成分とは実質的に等しい。
リバースバケット52の位置が前進位置にある場合、図4(A)及び(B)に示したように、背面視にて排出口51aの全領域がリバースバケット52の後壁52aに覆われない。排出口51aから噴出された噴流は、リバースバケット52の後壁52aに衝突することなく、船体20の後方に向かって噴出する。
つまり、この噴流は、船体20の後方に向かう噴流成分(以下、「後方噴流成分」と称呼される。)を有している。後方噴流成分による推力は、船体20を前進させる推力(前進推力)である。従って、リバースバケット52が前進位置に位置するとき、第1ジェット推進艇10は前進することができる。以下、後方噴流成分を有する噴流は「前進用噴流JB」とも称呼される。前進用噴流JBの後方噴流成分による推力(前進推力)は推力RFと称呼される。
リバースバケット52の位置がニュートラル位置にある場合、図5(A)及び(B)に示したように、背面視にて排出口51aの中央部及び上部がリバースバケット52の後壁52aに覆われ、排出口51aの下部がリバースバケット52の後壁52aに覆われない。つまり、ニュートラル位置は、後進位置と前進位置との間の位置である。
従って、リバースバケット52の位置がニュートラル位置にある場合、排出口51aから噴出される噴流の一部はリバースバケット52の後壁52aに衝突し、その方向を変え、左開口58L及び右開口58Rから後進用噴流(即ち、右噴流JFR及び左噴流JFL)として噴出する。一方、排出口51aから噴出される噴流の残りはリバースバケット52の下方を通って前進用噴流JBとして後方に噴出する。
リバースバケット52の位置がニュートラル位置にある場合、右噴流JFRの前方噴流成分による推力(後進推力)と左噴流JFLの前方噴流成分による推力(後進推力)との和の大きさ(即ち、後進用噴流JFによる推力の大きさ)と、前進用噴流JBによる推力の大きさと、は互いに略等しい。但し、本例においては、前進用噴流JBによる推力の大きさが後進用噴流JFによる推力の大きさよりも僅かに大きい。従って、船体20は微速にて前進する。
このように、リバースバケット52は、その移動位置(回動位置)に応じてデフレクタ51の排出口51aから噴出される噴流を前進用噴流JBと後進用噴流JFとに分割可能である。
操作部70は、図6に示したように、ステアリングハンドル71、右グリップ部72R、左グリップ部72L、第1操作子73、第2操作子74、第3操作子75、スタートスイッチ76及びストップスイッチ77を含んでいる。
ステアリングハンドル71は船体20に対して左右方向に延びたバー状のハンドルであり、左右中央部分において船体20に回動可能に軸支されている。右グリップ部72R及び左グリップ部72Lは、ステアリングハンドル71の右側及び左側にそれぞれ設けられている。従って、第1ジェット推進艇10のオペレータは、右グリップ部72R及び左グリップ部72Lを把持してステアリングハンドル71を左右に回動させることができる。なお、ステアリングハンドル71には、前述のデフレクタ51の操作ケーブルが機械的に連結されており、ステアリングハンドル71の移動量に応じた移動量にてデフレクタ51を左右に回動させる。これにより排出口51aからの噴流の噴出方向が左右に傾けられる。
第1操作子73は、操作量(運転操作量)を変更するためにオペレータが所定の第1範囲内において移動させることができるレバーを含んでいる。第1操作子73のレバーは右グリップ部72Rの基端部の近傍において回動可能に軸支されている。第1操作子73の操作量(即ち、レバーの移動量)は、第1操作子73の上部に配置された第1ポジションセンサ81によって検出されるようになっている。第1ポジションセンサ81は、周知のポテンショメータである。第1操作子73のレバーに対して後述する所定の前進用操作がなされた状態において、第1操作子73の操作量に応じてエンジン31の出力(回転速度)が変更される。このように第1操作子73は、操作量が変更可能な操作子であって、主として第1ジェット推進艇10を前進させる際に操作される操作子である。
第2操作子74は、操作量(運転操作量)を変更するためにオペレータが所定の第2範囲内において移動させることができるレバーを含んでいる。第2操作子74のレバーは左グリップ部72Lの基端部の近傍において回動可能に軸支されている。第2操作子74の操作量(即ち、レバーの移動量)は、第2操作子74の上部に配置された第2ポジションセンサ82によって検出されるようになっている。第2ポジションセンサ82は、周知のポテンショメータである。第2操作子74のレバーに対して後述する所定の前進用操作がなされた状態において、第2操作子74の操作量に応じてエンジン31の出力(回転速度)が変更される。このように第2操作子74は、操作量が変更可能な操作子であって、主として第1ジェット推進艇10を後進させる際に操作される操作子である。
第3操作子75は、押しボタン式スイッチである。図7に示したように、第3操作子75は、前進用押しボタン(「アップスイッチ」とも称呼される。)75aと、後進用押しボタン(「ダウンスイッチ」とも称呼される。)75bと、を含んでいる。第3操作子75は左グリップ部72Lの近傍であって左グリップ部72Lの左右方向内側に配設される。アップスイッチ75aとダウンスイッチ75bとは、上下方向に並置される。このように第3操作子75が配設されることにより、オペレータは左グリップ部72Lを左手で把持した状態にて左手親指にて第3操作子75を容易に操作することができる。後述するように、所定のニュートラル操作がなされた状態において、第3操作子75が操作されると、その操作に応じて噴流調整部材の位置が変更される。
図6に示したスタートスイッチ76は、ステアリングハンドル71の前方側の面であって第3操作子75の近傍に配設される。スタートスイッチ76は押しボタン式スイッチである。スタートスイッチ76はエンジン31を始動させるためのスイッチである。
ストップスイッチ77は、図6及び図7に示したように、ステアリングハンドル71の後方側の面であって第3操作子75の右側に配設される。ストップスイッチ77は押しボタン式スイッチである。ストップスイッチ77はエンジン31を停止させるためのスイッチである。
図8に示したように、駆動装置30は、燃料噴射装置34、スロットルアクチュエータ35、スロットルバルブ36及び点火装置37等を含んでいる。燃料噴射装置34は、エンジン31の図示しない燃焼室に燃料を供給する。スロットルアクチュエータ35は、スロットルバルブ36の開度を変更する。スロットルバルブ36は、エンジン31の吸気量を調整する。スロットルバルブ36は、エンジン31の複数の気筒に対して共通に備えられている。点火装置37は、燃焼室内の燃料(混合気)に点火する。燃料噴射装置34及び点火装置37はエンジン31の各気筒にそれぞれ備えられている。なお、スロットルバルブ36は、エンジン31の各気筒にそれぞれ備えられていてもよい。
ECU80は、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(又は不揮発性メモリ)及びインタフェースI/F等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ECU80は、燃料噴射装置34、スロットルアクチュエータ35、点火装置37、トリムアクチュエータ62及びシフトアクチュエータ66等と電気的に接続されている。ECU80は、第3操作子75、スタートスイッチ76、ストップスイッチ77、第1ポジションセンサ81、第2ポジションセンサ82、第3ポジションセンサ83、第4ポジションセンサ84及び回転速度センサ85等と電気的に接続されている。ECU80は、これらスイッチ及びセンサからの出力信号を受信するようになっている。
第1ポジションセンサ81は、第1操作子73の操作量(第1アクセル操作量)Am1を表す出力信号を発生するようになっている。第2ポジションセンサ82は、第2操作子74の操作量(第2アクセル操作量)Am2を表す出力信号を発生するようになっている。第3ポジションセンサ83は、トリムアクチュエータ62の回転角度θtを表す出力信号を発生するようになっている。第4ポジションセンサ84は、シフトアクチュエータ66の回転角度θsを表す出力信号を発生するようになっている。回転速度センサ85は、クランクシャフト32の回転速度Neを表す出力信号を発生するようになっている。
ECU80は、エンジン31が停止されると、リバースバケット52を前進位置に移動させるようになっている。更に、ECU80は、エンジン31が始動されると、リバースバケット52を前進位置からニュートラル位置に移動させるようになっている。リバースバケット52が前進位置からニュートラル位置に移動させられている航走モードはニュートラルモードと称呼される場合がある。
ECU80は、リバースバケット52がニュートラル位置に位置しているとき、第1操作子73が操作され、第1操作量Am1が所定の操作量以上となると、リバースバケット52を前進位置に移動させるとともに第1操作量Am1の大きさに応じてスロットルバルブ36の開度を増加させる。このような航走モードは前進モードと称呼される場合がある。
ECU80は、リバースバケット52がニュートラル位置に位置しているとき、第2操作子74が操作され、第2操作量Am2が所定の操作量以上となると、リバースバケット52を後進位置に移動させるとともに第2操作量Am2の大きさに応じてスロットルバルブ36の開度を増加させる。このような航走モードは後進モードと称呼される場合がある。
なお、ECU80は、航走モードが前進モードであるとき、第1操作量Am1をゼロにして且つ第2操作子74を短時間だけ操作すると、航走モードをニュートラルモードに設定するようになっている。ECU80は、航走モードが後進モードであるとき、第2操作量Am2をゼロにすることにより航走モードをニュートラルモードに設定するようになっている。航走モードがニュートラルモードである場合、第1操作量Am1及び第2操作量Am2の何れにも依らず、エンジン31の運転状態はアイドリング状態に維持される。
(作動)
前述したように、第1ジェット推進艇10は、航走モードに応じてリバースバケット52の位置(前進位置、後進位置及びニュートラル位置)が変更される。航走モードは、第1操作子73及び/又は第2操作子74に対する操作(アクセル操作)によって船体20を前進させたり後進させたりできるモード(以下、「第1モード」と称呼される。)と、アクセル操作を行わないモード(以下、「第2モード」と称呼される。)と、を含む。即ち、第1モードは前進モード及び後進モードを含み、第2モードはニュートラルモードを含む。
言い換えると、第1モードは、第1操作子73及び第2操作子74に対して所定の前進用操作又は所定の後進用操作がなされた状態におけるモードである。第1モードにおいて、噴流調整部材50が前進位置又は後進位置に移動させられ、第1操作子73及び/又は第2操作子74に対する操作によって前進推力及び/又は後進推力が変更される。
第2モードは、第1操作子73及び第2操作子74に対して所定のニュートラル操作がなされた状態におけるモードである。第2モードにおいては、第1操作子73及び/又は第2操作子74に対する操作によっては前進推力及び後進推力の何れもが変更されず、第3操作子75に対する操作に応じて噴流調整部材50(本例において、リバースバケット52)の移動位置(回動位置)が調整される。
ECU80は、第1モードにおいて、第1操作子73及び第2操作子74の少なくとも何れか一方の操作量に基づいて排出口51aから噴出される噴流の量を制御する。より具体的に述べると、ECU80は、リバースバケット52が前進位置にある場合において、第1操作子73の操作量Am1に応じてスロットルアクチュエータ35を制御することによりスロットルバルブ36の開度を変更する。これにより、排出口51aから噴出される噴流の量を調整する。これにより、ECU80はエンジン31の回転速度を変更し、排出口51aから噴出される噴流の量を調整する。ECU80は、リバースバケット52が後進位置にある場合において、第2操作子74の操作量Am2に基づいて排出口51aから噴出される噴流の量を調整する。
ECU80は、第2モードにおいて、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、第3操作子75に対する操作に基づいて前方噴流成分による推力(後進推力)と後方噴流成分による推力(前進推力)との差を調整するように、噴流調整部材50の移動位置(回動位置)を制御する。つまり、ECU80は、リバースバケット52がニュートラル位置にある場合において、第3操作子75のアップスイッチ75a又はダウンスイッチ75bに対する操作に基づいてリバースバケット52の移動位置(回動位置)を変更する。換言すると、ECU80はデフレクタ51の排出口51aから噴出される噴流を前進用噴流JBと後進用噴流JFとに分割する割合(「0」及び「無限大」)を含む。)を制御(調整)する。
次に、図5(A)及び図9を参照しながら、第2モードにおいて、噴流調整部材50(リバースバケット52)により分割される噴流について説明する。なお、第2モードにおいては、デフレクタ51の位置は常に中立位置に設定されている。
分割された前進用噴流JBと後進用噴流JFとによって発生する推力を説明するため、「前進用噴流JBの後方噴流成分による前進推力RF」に対する「後進用噴流JFの前方噴流成分による後進推力FF」の比FF/RFを推力比γ(=FF/RF)と定義する。噴流調整部材50は、推力比γを噴流調整部材50の回動位置に応じて変更可能である。推力比γが「1」よりも小さい場合(FF=0であってγ=0である場合を含む。)、前進推力RFが後進推力FFよりも大きいので、第1ジェット推進艇10は前進することができる。これに対し、推力比γが「1」よりも大きい場合(RF=0であってγ=「無限大」である場合を含む。)、後進推力FFが前進推力RFよりも大きいので、第1ジェット推進艇10は後進することができる。
言い換えると、噴流調整部材50は、後進推力FFと前進推力RFとの差(FF−RF)(以下、「推力差FF−RF」と称呼する。)を回動位置に応じて変更可能である。
第1操作子73及び第2操作子74の何れか一方が操作されることにより、ECU80がリバースバケット52をニュートラル位置に移動させたとき、前述したように、前進推力RFと後進推力FFとは略釣り合っている(図5(A)を参照。)。従って、推力比γ(=FF/RF)は実質的に1に等しい。但し、本例において、推力比γは1より僅かに小さい。言い換えると、推力差FF−RFは、0に等しいか又は0より僅かに小さい。更に、ECU80は、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持しているので、第1ジェット推進艇10は、静水において停船状態を維持するか又は極微速にて前進することができる。
図5(A)に示したように、リバースバケット52がニュートラル位置にある場合において、第3操作子75のアップスイッチ75aが押下されると、ECU80は、シフトアクチュエータ66を反時計回り(左回り)に所定角度だけ回転させる。即ち、ECU80は、図9(A)に示したように、リバースバケット52の位置をニュートラル位置から所定量だけ上方に回動させる。この位置は「微速前進位置」と称呼される。
このとき、背面視にて、排出口51aがリバースバケット52から露出する面積はリバースバケット52がニュートラル位置にあるときよりも増加する。一方、排出口51aがリバースバケット52に覆われる面積はリバースバケット52がニュートラル位置にあるときよりも減少する。従って、この場合、リバースバケット52がニュートラル位置にある場合に対し、後方墳流成分が増加する一方で前方噴流成分が減少する。即ち、前進推力RFが増大し、後進推力FFが減少する。よって、推力比γ(=FF/RF)は1より小さくなる。言い換えると、推力差FF−RFは負の値となりその大きさが増加する。
ところで、前述したようにリバースバケット52が前進位置にあるときは、後進推力FFは発生しない。つまり、リバースバケット52が前進位置にあるときは、推力比γ(=FF/RF)は実質的に0に等しい。このときの推力比γ(=FF/RF)は、以下「第1の値」と称呼される。言い換えると、推力差FF−RFは最小となる。つまり、リバースバケット52が微速前進位置にある場合、リバースバケット52が前進位置にあるときと比べ、発生する前進推力RFは小さい。このとき、ECU80は、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持しているので、第1ジェット推進艇10は、微速にて前進することができる。
リバースバケット52がニュートラル位置にある場合(図5(A)を参照。)において、第3操作子75のダウンスイッチ75bが押下されると、ECU80は、シフトアクチュエータ66を時計回り(右回り)に所定角度だけ回転させる。即ち、ECU80は、図9(B)に示したように、リバースバケット52の位置をニュートラル位置から所定量だけ下方に回動させる。この位置は、「微速後進位置」と称呼される。
このとき、背面視にて、排出口51aがリバースバケット52から露出する面積はリバースバケット52がニュートラル位置にあるときよりも減少する。一方、排出口51aがリバースバケット52に覆われる面積はリバースバケット52がニュートラル位置にあるときよりも増加する。従って、この場合、リバースバケット52がニュートラル位置にある場合に対し、後方墳流成分が減少する一方で前方噴流成分が増加する。即ち、前進推力RFが減少し、後進推力FFが増大する。よって、推力比γ(=FF/RF)は1より大きくなる。言い換えると、推力差FF−RFは正となり且つその大きさが増加する。
ところで、本例において、リバースバケット52が微速後進位置にあるときと、リバースバケット52が後進位置にあるとき(図3(A)を参照。)とで、リバースバケット52は同じ位置に移動させられる。即ち、何れの場合においても、背面視にて排出口51aは全てリバースバケット52に覆われている。この場合、後方噴流成分(前進用噴流JB)は殆ど存在せず、前進推力RFは略「0」になるので、推力比γ(=FF/RF)は極めて大きな値となる。このときの推力比γ(=FF/RF)は、以下「第2の値」と称呼される。言い換えると、推力差FF−RFは最大となる。しかし、ECU80は、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持している。従って、第1ジェット推進艇10は、微速にて後進することができる。
なお、リバースバケット52の位置が微速前進位置にある場合にダウンスイッチ75bが押下されると、ECU80は、リバースバケット52の位置をニュートラル位置に移動させる。同様に、リバースバケット52の位置が微速後進位置にある場合にアップスイッチ75aが押下されると、ECU80は、リバースバケット52の位置をニュートラル位置に移動させる。
(第1ジェット推進艇の具体的作動)
次に、第1ジェット推進艇10の実際の作動について、図10を参照しながら説明する。
ECU80のCPUは、図示しないレディスイッチがオン位置に操作されている場合、一定時間が経過する毎に図10にフローチャートにより示した噴流調整部材位置制御ルーチンを実行するようになっている。以下、場合分けをして説明する。なお、ニュートラル位置フラグXNEUの値は、別途実行されるイニシャルルーチンにおいて「0」に設定される。なお、CPUは、エンジン31の停止時にリバースバケット52を前進位置に上昇させ、エンジン31が始動されるとリバースバケット52をニュートラル位置に下降させる。
(1)エンジン始動後、第1操作子、第2操作子及び第3操作子の何れも操作されない場合
CPUは所定の時点にてステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、エンジン31が停止中であるか否かを、エンジン回転速度Neが第1回転速度Ne1以下であるか否かによりを判定する。
現時点においてエンジン31は停止中である。従って、CPUはステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、エンジン31が始動したか否かを、スタートスイッチ76が押下されたか否かにより判定する。
スタートスイッチ76が押下されていない場合、CPUはステップ1010にて「No」と判定してステップ1015に進み、リバースバケット52の位置を前進位置に設定する。なお、エンジン始動前においてリバースバケット52は前進位置にて停止しているので、実際にはリバースバケット52の位置は変わらない。更に、CPUはステップ1015にてニュートラル位置フラグXNEUの値を「0」に設定してステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。フラグXNEUは、その値が「1」であるときに航走モードがニュートラルモードであることを示すフラグである。
この状態において、スタートスイッチ76が押下されると、CPUはステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1020に進み、フラグXNEUの値を「1」に設定してステップ1025に進む。
CPUはステップ1025にて前進用操作及び後進用操作の何れもなされていない状態であるか否かを判定する。上記仮定によれば、前進用操作及び後進用操作の何れもがなされていない状態であるから、CPUはステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進み、ニュートラル操作があったか否かを判定する。上記仮定によれば、ニュートラル操作はなされていない。従って、CPUはステップ1035にて「No」と判定してステップ1045に直接進み、フラグXNEUの値が「0」から「1」に変化した直後であるか否かを判定する。
前述したように、ステップ1020にてフラグXNEUの値が「0」から「1」に変化した直後であるから、CPUはステップ1045にて「Yes」と判定してステップ1050に進み、リバースバケット52を前述したニュートラル位置へ移動させる。
次いで、CPUはステップ1055に進み、フラグXNEUの値が「1」であるか否かを判定する。現時点において、フラグXNEUの値は「1」である。従って、CPUはステップ1055にて「Yes」と判定してステップ1060に進み、前進用押しボタン(アップスイッチ)75aの操作があったか否かを判定する。上記仮定によれば、アップスイッチ75aは操作されていない。よって、CPUはステップ1060にて「No」と判定してステップ1075に進み、後進用押しボタン(ダウンスイッチ)75bの操作があったか否かを判定する。上記仮定によれば、ダウンスイッチ75bは操作されていない。よって、CPUはステップ1075にて「No」と判定してステップ1090に直接進み、リバースバケット52の現時点における位置(この場合、ニュートラル位置)を記憶する。その後、CPUはステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
(2)エンジン始動後、航走モードがニュートラルモードである場合(フラグXNEU=1)であって第3操作子が操作される場合
この場合、CPUは、ステップ1000からステップ1005に進むと、そのステップ1005にて「No」と判定してステップ1025に進み、ステップ1025にても「Yes」と判定してステップ1035に進む。更に、CPUはステップ1035にて「No」と判定してステップ1045に進む。フラグXNEUの値は「1」に維持されているので、CPUはステップ1045にて「No」と判定してステップ1055に直接進む。更に、CPUはステップ1055にて「Yes」と判定してステップ1060に進む。
アップスイッチ75aに対する操作が行われた場合、CPUはステップ1060にて「Yes」と判定してステップ1065に進み、現時点のリバースバケット52の位置が「ニュートラルモードにおける所定の上限位置」に到達していない状態であるか否かを判定する。この所定の上限位置は、ニュートラル位置と前進位置との間の位置である。但し、所定の上限位置は前進位置であってもよい。
いま、リバースバケット52の位置が上限位置に到達していない状態であるとすると、CPUはステップ1065にて「Yes」と判定してステップ1070に進み、リバースバケット52の位置が前進位置へと近付くようにリバースバケット52を所定角度だけ上方向に回動させる。これにより、前進推力RFが増大し、後進推力FFが減少する。その後、CPUはステップ1090の処理を行ってステップ1095に進む。
これに対し、CPUがステップ1065の処理を実行する時点において、リバースバケット52の位置が上限位置に到達している状態であると、CPUはステップ1065にて「No」と判定し、ステップ1090に直接進んだ後、ステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、アップスイッチ75aに対する操作が行われても、リバースバケット52の位置は上限位置に維持される。
一方、CPUがステップ1060の処理を実行する時点において、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われた場合、CPUはステップ1060にて「No」と判定してステップ1075に進み、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われたか否かを判定する。上記仮定によれば、CPUはステップ1075にて「Yes」と判定してステップ1080に進み、現時点のリバースバケット52の位置が「ニュートラルモードにおける所定の下限位置」に到達していない状態であるか否かを判定する。この所定の下限位置は後進位置である。但し、所定の下限位置は、ニュートラル位置と後進位置との間の位置であってもよい。
いま、リバースバケット52の位置が下限位置に到達していない状態であるとすると、CPUはステップ1080にて「Yes」と判定してステップ1085に進み、リバースバケット52の位置が後進位置へと近付くようにリバースバケット52を所定角度だけ下方向に回動させる。これにより、前進推力RFが減少し、後進推力FFが増大する。その後、CPUはステップ1090の処理を行って、ステップ1095に進む。
これに対し、CPUがステップ1080の処理を実行する時点において、リバースバケット52の位置が下限位置に到達している状態であると、CPUはステップ1080にて「No」と判定し、ステップ1090に直接進んだ後、ステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われても、リバースバケット52の位置は下限位置に維持される。
(3)エンジン始動後、前進用操作及び後進用操作の何れかがあった場合
この場合、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定してステップ1025に進む。上記仮定によれば、前進用操作及び後進用操作の何れかがなされた状態にある。よって、CPUはステップ1025にて「No」と判定してステップ1030に進み、前進用操作がなされていた場合にはリバースバケット52の位置を前進位置に移動させ、後進用操作がなされていた場合にはリバースバケット52の位置を後進位置に移動させる。更に、CPUは、フラグXNEUの値を「0」に設定し、ステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
(4)エンジン始動後、航走モードが前進モード又は後進モードである場合(フラグXNEU=0)にニュートラル操作が行われる場合
この場合、フラグXNEUの値はステップ1030の処理によって「0」に設定されている。CPUはステップ1005にて「No」と判定し、ステップ1025にて「Yes」と判定する。そして、CPUは、ステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1040に進み、フラグXNEUの値を「1」に設定する。つまり、CPUはステップ1040にてフラグXNEUの値を「0」から「1」に変更する。
次いで、CPUはステップ1045にて「Yes」と判定してステップ1050に進み、リバースバケット52の位置を前進位置又は後進位置からニュートラル位置に変更する。次いで、CPUはステップ1055にて「Yes」と判定してステップ1060以降に進む。その結果、CPUは、第3操作子75に対する操作に応じてリバースバケット52の回動位置を制御する。
以上説明したように、ECU80は、前進用操作があったとき、デフレクタ51の水平軸周りの回動位置を中立位置に設定するとともに、リバースバケット52の回動位置をデフレクタ51を介して噴出される噴流から前方噴流成分が発生せず後方噴流成分が発生する位置である第1位置(前進位置)に設定する。更に、ECU80は、後進用操作があったとき、デフレクタ51の水平軸周りの回動位置を中立位置に設定するとともに、リバースバケット52の回動位置をデフレクタ51を介して噴出される噴流から少なくとも前方噴流成分が発生する第2位置(後進位置)に設定する。このように、ECU80がリバースバケット52を前進位置又は後進位置に設定するときの航走モードは第1モードに相当する。
一方、ECU80は、ニュートラル操作があったとき、デフレクタ51の水平軸周りの回動位置を中立位置に設定するとともに、リバースバケット52の回動位置をデフレクタを介して噴出される噴流から前方噴流成分及び後方噴流成分が発生する第3位置(ニュートラル位置)に設定する。このように、ECU80がリバースバケット52をニュートラル位置に設定するときの航走モードは第2モードに相当する。
ECU80が実行する噴流調整部材50の移動位置制御の特徴の一つは、前進推力RFに対する後進推力FFの比(推力比γ(=FF/RF))を定義すると、以下のように表すことができる。
ECU80は、
(1)第1操作子73及び第2操作子75に対して前進用操作があったとき推力比γが1より小さい第1の値となり、
(2)第1操作子73及び第2操作子75に対して後進用操作があったとき推力比γが1より大きい第2の値となり、
(3)第1操作子73及び第2操作子75に対してニュートラル操作があったとき推力比γが第1の値より大きく且つ第2の値より小さい第3の値となるように噴流調整部材50の回動位置をアクチュエータ60によって変更させる。
更に、ECU80は、ニュートラル操作がなされた状態において第3操作子75に対する操作があったとき、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、推力比γが「第1の値以上であり且つ第2の値以下である範囲」内において変化するように、噴流調整部材の回動位置をアクチュエータ60によって変更させる。
上記特徴は、後進推力FFと前進推力RFとの差(推力差FF−RF)を用いて定義したとき、以下のように言い換えることができる。即ち、ECU80は、
(1)第1操作子73及び第2操作子75に対して前進用操作があったとき推力差FF−RFが0より小さい第1の値となり、
(2)第1操作子73及び第2操作子75に対して後進用操作があったとき推力差FF−RFが0より大きい第2の値となり、
(3)第1操作子73及び第2操作子75に対してニュートラル操作があったとき推力差FF−RFが第1の値より大きく且つ第2の値より小さい第3の値となるように噴流調整部材50の回動位置をアクチュエータ60によって変更させる。
更に、ECU80は、ニュートラル操作がなされた状態において第3操作子75に対する操作があったとき、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、推力差FF−RFが「第1の値以上であり且つ第2の値以下である範囲」内において変化するように、噴流調整部材の回動位置をアクチュエータ60によって変更させる。
その結果、第1ジェット推進艇10によれば、第2モードにおいてエンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持しながら、第3操作子75に対する操作に基づいて噴流調整部材50の移動位置を制御して前方噴流成分による推力と後方噴流成分による推力との差を調整する。これにより、簡単な操作によって微速にて前進及び/又は後進させることが可能な水ジェット推進艇を提供することができる。
更に、本実施形態においては、リバースバケット52がニュートラル位置にあるときにニュートラル位置の範囲内において微速前進又は後進のために所定の初期位置から所定量だけ移動した後、前進用操作及び後進用操作の何れかがなされたことにより、前進位置又は後進位置に移動し、その後、再びニュートラル位置に移動したときは、リバースバケット52は所定の初期位置に移動するようになっている。言い換えると、リバースバケット52はニュートラル操作が行われニュートラル位置に移動するとき、必ず所定の初期位置に移動するようになっている。
従って、第1ジェット推進艇によれば、直前のニュートラル操作(例えば、第1ニュートラル操作)と今回のニュートラル操作(例えば、第2ニュートラル操作)との間に前進用操作及び後進用操作の何れがなされた場合であっても、ニュートラル操作がなされた直後に発生する推力は常に所定の推力である。従って、第1ニュートラル操作がなされた状態において第3操作子75に対して如何なる操作を行っても、オペレータは第2ニュートラル操作の開始時点において第3操作子75を操作することなく、第1ニュートラル操作の開始時点と同様の推力を得ることができる。
その結果、オペレータはニュートラル操作を行う毎にリバースバケット52の回動位置が同じ位置にあるとの前提に立って第3操作子75を操作することができるので、第1ジェット推進艇を微速にて前進させたり、微速にて後進させたり、停船状態を維持させたりする際の操作性を向上することができる。
前述したように、第1モード(前進用操作及び/又は後進用操作がなされた状態)においては、第1操作子73の操作量及び/又は第2操作子74の操作量に応じてエンジン31の出力が変更される。ところで、「第2モード(ニュートラル操作がなされた状態)において第1操作子73の操作量又は第2操作子74の操作量が「0」から増大してある値に到達したときに、エンジン31の運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前方噴流成分による推力と後方噴流成分による推力との差を調整するように、噴流調整部材50の移動位置を制御する」ように構成することも考えられる。
この場合、第1操作子73及び/又は第2操作子74の操作量の一部は第2モードにおける前方噴流成分による推力と後方噴流成分による推力との差の調整操作に割り当てられ、残りは第1モードにおけるエンジン31の出力変更操作に割り当てられる。しかしながら、第1操作子73及び第2操作子74が上述したようなレバーを含む場合、レバーの可動範囲を大きくとることは操作性の観点から困難であるから、上記のように構成した場合にはエンジン31の出力を変更させるために操作可能なレバーの移動範囲が小さくなってしまう。その結果、エンジン31の出力を調整する操作が難しくなる虞がある。
これに対し、第1ジェット推進艇10においては、噴流調整部材50の移動位置を変更させるための操作が第3操作子75を用いて行われる。従って、第1操作子73が含むレバーが移動できる第1範囲全体をエンジン出力を調整するために使用でき、第2操作子74が含むレバーが移動できる第2範囲全体をエンジン出力を調整するために使用できる。その結果、エンジン出力(即ち、速度)を調整するための第1操作子73及び/又は第2操作子74に対する操作が容易であり、且つ、微速での前進及び/又は微速での後進を第3操作子75に対する簡単な操作により実現可能である。
更に、第3操作子75は、前進用押しボタン(アップスイッチ)75aと後進用押しボタン(ダウンスイッチ)75bとを含んでいる。この態様によれば、オペレータが前進用押しボタン75aを操作することにより、後方噴流成分による推力RFを僅かに増大させるとともに前方噴流成分による推力FFを僅かに減少させることができる。その結果、オペレータは例えば、第1ジェット推進艇10の前進速度を僅かに増大させることができる。同様にオペレータが後進用押しボタン75bを操作することにより、前方噴流成分による推力を僅かに増大させるとともに後方噴流成分による推力を僅かに減少させることができる。その結果、オペレータは例えば、第1ジェット推進艇10の後進速度を僅かに増大させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る水ジェット推進艇(以下、「第2ジェット推進艇10A」とも称呼する。)について説明する。第1ジェット推進艇10の制御装置(ECU)は、ニュートラル操作がなされたとき、リバースバケット52の位置を必ずニュートラル位置に移動させていた。第2ジェット推進艇10Aは、前進用操作及び後進用操作の何れかがなされた直前の時点におけるリバースバケット52の移動位置を記憶し、次にニュートラル操作がなされたとき、記憶した移動位置にリバースバケット52を移動させる点において、第1ジェット推進艇10と異なっている。以下、この相違点を中心に説明する。
(第2ジェット推進艇の具体的作動)
第2ジェット推進艇10Aの実際の作動について、図11を参照しながら説明する。
第2ジェット推進艇10AのECU80のCPUは、一定時間が経過する毎に図11にフローチャートにより示した噴流調整部材位置制御ルーチンを実行するようになっている。なお、第1ジェット推進艇10の作動の説明で参照したステップと同一のステップには同一の符号が付されている。
第2ジェット推進艇10AのCPUは、ステップ1090にて記憶されたリバースバケット52の位置を、ステップ1110にてリバースバケット52の新たな初期位置として更新する。そして、CPUは、図10のステップ1050に代わるステップ1050Aにて、直前のルーチンのステップ1110にて更新されたリバースバケット52の初期位置へリバースバケット52を移動させる。
従って、第2ジェット推進艇10Aによれば、ニュートラル操作(第1ニュートラル操作)がなされた状態から前進用操作及び後進用操作の何れかが行われ、次いで新たなニュートラル操作(第2ニュートラル操作)がなされた場合、第2ニュートラル操作が開始されたときに発生する推力を第1ニュートラル操作が終了したときに発生していた推力と同等にすることができる。
従って、ニュートラル操作の間(第1ニュートラル操作と第2ニュートラル操作との間)に前進用操作及び後進用操作の何れがなされた場合であっても、オペレータは第2ニュートラル操作の開始時点において第3操作子75を再度操作することなく、第1ニュートラル操作の終了時点と同様の推力を得ることができる。従って、例えば、略同じ流れの強さを有する河川を第2ジェット推進艇が航走している場合、第2ジェット推進艇を河川の異なる場所において停船状態を維持する際の操作性を向上することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る水ジェット推進艇(以下、「第3ジェット推進艇10B」とも称呼する。)について説明する。第1ジェット推進艇10の制御装置(ECU)は、ニュートラル操作がなされたとき、第3操作子75に対する操作に応じてリバースバケット52の位置を移動させることにより微速前進又は微速後進を行っていた。これに対し、第3ジェット推進艇10Bは、ニュートラル操作がなされたとき、第3操作子75に対する操作に応じてデフレクタ51の位置を移動させることにより微速前進または微速後進を行う点において、第1ジェット推進艇10及び第2ジェット推進艇10Aと異なっている。以下、この相違点を中心に説明する。
図12(A)に示したように、ECU80がリバースバケット52をニュートラル位置に回動させ、デフレクタ51を中立位置に回動させているとき、排出口51aから噴出される噴流は、前進用噴流JB、左噴流JFL及び左噴流JFLと左右対称の図示しない右噴流JFRに分割される。このとき、前進用噴流JBの後方噴流成分による推力RFと、左噴流JFLの前方噴流成分による推力FFLと図示しない右噴流JFRの前方噴流成分による推力FFRとの和の大きさは、略等しい。従って、このとき、第2ジェット推進艇は静止状態を維持することができる。
図12(B)に示したように、ECU80がリバースバケット52をニュートラル位置に回動させ、デフレクタ51を「下向き位置」に回動させているとき、排出口51aから噴出される噴流がリバースバケット52に遮られる割合は、デフレクタ51の位置を中立位置に回動させているときに比べ減少する。一方、このときデフレクタ51の位置を中立位置に回動させているときに比べ、リバースバケット52に遮られずに後進する排出口51aからの噴流は増加する。つまり、前進用噴流JBは増加し、左噴流JFL及び図示しない右噴流JFRはそれぞれ減少する。
図12(C)に示したように、ECU80がリバースバケット52をニュートラル位置に回動させ、デフレクタ51を「上向き位置」に移動させているとき、排出口51aから噴出される噴流がリバースバケット52に遮られる割合は、デフレクタ51の位置を中立位置に回動させているときに比べ増加する。一方、このときデフレクタ51の位置を中立位置に回動させているときに比べ、リバースバケット52に遮られずに後進する排出口51aからの噴流は減少する。つまり、前進用噴流JBは減少し、左噴流JFL及び図示しない右噴流JFRはそれぞれ増加する。
(第3ジェット推進艇の具体的作動)
第3ジェット推進艇の実際の作動について、図13を参照しながら説明する。
ECU80のCPUは、一定時間が経過する毎に図13にフローチャートにより示した噴流調整部材位置制御ルーチンを実行するようになっている。以下、場合分けをして説明する。なお、図10のフローチャートと同様の処理を行うステップについては説明が省略されることがある。
(1)エンジン始動後、第1操作子、第2操作子及び第3操作子の何れも操作されない場合
CPUは所定の時点にてステップ1300から処理を開始する。例えば、ニュートラル操作が行われ、ニュートラル位置フラグXNEUの値が「1」に設定された場合、CPUは、ステップ1345にて「Yes」と判定してステップ1350に進み、リバースバケット52をニュートラル位置へ移動させるとともに、デフレクタ51を中立位置へ移動させる。次いで、CPUはステップ1355に進み、ステップ1355にて「Yes」と判定してステップ1360に進む。
第3操作子75が操作されない場合、CPUはステップ1360及びステップ1375にてそれぞれ「No」と判定してステップ1390に直接進む。CPUは、ステップ1390にてこのときのデフレクタ51の位置(この場合、中立位置)を記憶してステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
(2)エンジン始動後、航走モードがニュートラルモードである場合であって第3操作子が操作される場合
アップスイッチ75aに対する操作が行われた場合、CPUはステップ1360にて「Yes」と判定してステップ1365に進み、現時点のデフレクタ51の位置が「ニュートラルモードにおける所定の下限位置に到達していない状態である否かを判定する。この所定の下限位置は、「下向き位置」である。但し、所定の下限位置は中立位置と下向き位置との間の位置であってもよい。
いま、デフレクタ51の位置が下限位置に到達していない状態であるとすると、CPUはステップ1365にて「Yes」と判定してステップ1370に進み、デフレクタ51の位置が下向き位置へと近付くようにデフレクタ51を所定角度だけ下方向に回動させる。これにより前進推力RFが増大し、後進推力FFが減少する。その後、CPUはステップ1390の処理を行ってステップ1395に進む。
これに対し、CPUがステップ1365の処理を実行する時点において、デフレクタ51の位置が下限位置に到達している状態であると、CPUはステップ1365にて「No」と判定し、ステップ1390に直接進んだ後、ステップ1395に進み、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、アップスイッチ75aに対する操作が行われても、デフレクタ51の位置は下限位置に維持される。
一方、CPUがステップ1360の処理を実行する時点において、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われた場合、CPUはステップ1360にて「No」と判定してステップ1375に進み、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われたか否かを判定する。上記仮定によれば、CPUはステップ1375にて「Yes」と判定してステップ1380に進み、現時点のデフレクタ51の位置が「ニュートラルモードにおける所定の上限位置」に到達していない状態であるか否かを判定する。この所定の上限位置は「上向き位置」である。但し、所定の上限位置は、中立位置と上向き位置との間の位置であってもよい。
いま、デフレクタ51の位置が上限位置に到達していない状態であるとすると、CPUはステップ1380にて「Yes」と判定してステップ1385に進み、デフレクタ51の位置が上向き位置へと近付くようにデフレクタ51を所定角度だけ上方向に回動させる。これにより前進推力RFが減少し、後進推力FFが増大する。その後、CPUはステップ1390の処理を行ってステップ1395に進む。
これに対し、CPUがステップ1380の処理を実行する時点において、デフレクタ51の位置が上限位置に到達している状態であると、CPUはステップ1380にて「No」と判定し、ステップ1390に直接進んだ後、ステップ1395に進み、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、ダウンスイッチ75bに対する操作が行われても、デフレクタ51の位置は上限位置に維持される。
以上説明したように、本実施形態において、ECU80は、ニュートラル操作がなされた状態において第3操作子75に対する操作があったとき、リバースバケット52の回動位置を第3位置(ニュートラル位置)に設定するとともに、デフレクタ51の水平軸周りの回動位置を中立位置とは異なる位置に設定する。
更に、本実施形態においては、リバースバケット52がニュートラル位置にあるときに、デフレクタ51が可動範囲内において微速前進又は微速後進のために中立位置から所定量だけ移動した後、前進用操作及び後進用操作の何れかがなされると中立位置に移動する。その後、リバースバケット52が再びニュートラル位置に移動したときも、デフレクタ51は中立位置を維持するようになっている。言い換えると、ニュートラル操作が行われリバースバケット52がニュートラル位置に移動するとき、デフレクタ51は必ず中立位置に移動するようになっている。
従って、第3ジェット推進艇によれば、直前のニュートラル操作(例えば、第1ニュートラル操作)と今回のニュートラル操作(例えば、第2ニュートラル操作)との間に前進用操作及び後進用操作の何れがなされた場合であっても、ニュートラル操作がなされた直後に発生する推力は常に所定の推力である。従って、第1ニュートラル操作がなされた状態において第3操作子75に対して如何なる操作を行っても、オペレータは第2ニュートラル操作の開始時点において第3操作子75を操作することなく、第1ニュートラル操作の開始時点と同様の推力を得ることができる。
その結果、オペレータはニュートラル操作を行う毎にデフレクタ51の回動位置が同じ位置にあるとの前提に立って第3操作子75を操作することができるので、第3ジェット推進艇を微速にて前進させたり、微速にて後進させたり、停船状態を維持させたりする際の操作性を向上することができる。即ち、第3ジェット推進艇によれば、第1ジェット推進艇と同等の効果を奏することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る水ジェット推進艇(以下、「第4ジェット推進艇10C」とも称呼する。)について説明する。第3ジェット推進艇10Bの制御装置(ECU)は、ニュートラル操作がなされたとき、デフレクタ51の位置を必ず中立位置(所定の初期位置)に移動させていた。第4ジェット推進艇10Cは、前進用操作及び後進用操作の何れかがなされた直前の時点におけるデフレクタ51の移動位置を記憶し、次にニュートラル操作がなされたとき、記憶した移動位置にデフレクタ51を移動させる点において、第3ジェット推進艇10Bと異なっている。以下、この相違点を中心に説明する。
(第4ジェット推進艇の具体的作動)
第4ジェット推進艇10Cの実際の作動について、図14を参照しながら説明する。
第4ジェット推進艇10CのECU80のCPUは、一定時間が経過する毎に図14にフローチャートにより示した噴流調整部材位置制御ルーチンを実行するようになっている。なお、第3ジェット推進艇10Bの作動の説明で参照したステップと同一のステップには同一の符号が付されている。
第4ジェット推進艇10CのCPUは、ステップ1390にて記憶されたデフレクタ51の位置を、ステップ1410にてデフレクタ51の新たな初期位置として更新する。そして、CPUは、図13のステップ1350に代わるステップ1350Aにて、直前のルーチンのステップ1410にて更新されたデフレクタ51の初期位置へデフレクタ51を移動させる。
従って、第4ジェット推進艇10Cによれば、ニュートラル操作(第1ニュートラル操作)がなされた状態から前進用操作及び後進用操作の何れかが行われ、次いで新たなニュートラル操作(第2ニュートラル操作)がなされた場合、第2ニュートラル操作が開始されたときに発生する推力を第1ニュートラル操作が終了したときに発生していた推力と同等にすることができる。
従って、ニュートラル操作の間(第1ニュートラル操作と第2ニュートラル操作との間)に前進用操作及び後進用操作の何れがなされた場合であっても、オペレータは第2ニュートラル操作の開始時点において第3操作子75を再度操作することなく、第1ニュートラル操作の終了時点と同様の推力を得ることができる。従って、例えば、略同じ流れの強さを有する河川を第4ジェット推進艇10Cが航走している場合、第4ジェット推進艇10Cを河川の異なる場所において停船状態を維持する際の操作性を向上することができる。即ち、第4ジェット推進艇10Cによれば、第2ジェット推進艇10Aと同等の効果を奏することができる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
上記実施形態において、第3操作子75には押しボタン式スイッチが用いられていたが、第3操作子75は、押しボタン式スイッチに限らず、ダイヤル式スイッチ、スライド式スイッチ及びモーメンタリトグルスイッチ等、オペレータが右グリップ部72R又は左グリップ部72Lを把持したまま容易に操作可能なスイッチであればよい。更に、第3操作子75は、左グリップ部72Lの近傍に配設されていたが、右グリップ部72Rの近傍であって右グリップ部72Rの左右方向内側に配設されてもよい。
上記実施形態において、リバースバケット52の回動位置はニュートラル位置から微速前進位置に1段階だけ移動され、微速後進位置に1段階だけ移動される例を用いて説明したが、微速前進位置及び微速後進位置は多段階に設定されてもよい。
上記第1実施形態及び第2実施形態においては、リバースバケット52の回動位置を変更することにより微速前進・微速後進が行われ、第3実施形態及び第2実施形態においては、デフレクタ51の回動位置を変更することにより微速前進・微速後進が行われていたが、リバースバケット52の回動位置及びデフレクタ51の回動位置を同時に変更してもよい。
上記実施形態において、ポジションセンサには、ポテンショメータが用いられていたが、ポジションセンサは、ロータリーエンコーダ、レゾルバ及びホールICの何れであってもよいし、これらのうちの2つ以上を含んでいてもよい。
10…水ジェット推進艇、20…船体、31…エンジン、40…噴流発生装置、50…噴流調整部材、51…デフレクタ、52…リバースバケット、71…ステアリングハンドル、73…第1操作子、74…第2操作子、75…第3操作子、80…制御装置(ECU)。

Claims (11)

  1. 船体と、
    前記船体に搭載されるエンジンと、
    前記エンジンによって駆動され、前記船体の後方に噴出口から水を噴出することにより噴流を発生させ、前記エンジンがアイドリング状態であっても前記噴流を発生させる噴流発生装置と、
    前記船体に対して移動可能に設けられ、前記噴出口からの噴流を、前記船体の後方に向かう後方噴流成分を有する前進用噴流と前記船体の前方に向かう前方噴流成分を有する後進用噴流とに分割可能であって、前記前方噴流成分による推力と前記後方噴流成分による推力の差を移動位置に応じて調整可能な噴流調整部材と、
    前記船体に設けられたステアリングハンドルの右グリップ部に設けられ且つ操作量が変更可能な第1操作子と、
    前記ステアリングハンドルの左グリップ部に設けられ且つ操作量が変更可能な第2操作子と、
    第3操作子と、
    第1モードが選択された場合、前記第1操作子及び前記第2操作子の少なくとも何れか一方の操作量に基づいて、前記噴流の量を制御し、且つ、前記噴流調整部材の移動位置を制御し、
    第2モードが選択された場合、前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前記第3操作子に対する操作に応じて前記噴流調整部材の移動位置を制御する制御装置と、
    を備えた、
    水ジェット推進艇。
  2. 請求項1に記載の水ジェット推進艇において、
    前記第1操作子は、前記操作量を変更するためにオペレータが所定の第1範囲内において移動させることができるレバーを含み、
    前記第2操作子は、前記操作量を変更するために前記オペレータが所定の第2範囲内において移動させることができるレバーを含む、
    水ジェット推進艇。
  3. 請求項1に記載の水ジェット推進艇において、
    前記第3操作子は、押しボタン式スイッチである、
    水ジェット推進艇。
  4. 請求項3に記載の水ジェット推進艇において、
    前記第3操作子は、
    前進用押しボタンと後進用押しボタンとを含み、
    前記制御装置は、
    前記第2モードにおいて、前記第3操作子の前記前進用押しボタンに対する操作があったとき、前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前記後方噴流成分による推力が増加し、且つ前記前方噴流成分による推力が減少するように前記噴流調整部材の前記移動位置を変更させ、
    前記第2モードにおいて、前記第3操作子の前記後進用押しボタンに対する操作があったとき、前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前記後方噴流成分による推力が減少し、且つ前記前方噴流成分による推力が増加するように前記噴流調整部材の前記移動位置を変更させる、
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の水ジェット推進艇において、
    前記噴流調整部材は、
    水平軸周りに回動可能に配置され、且つ、前記前方噴流成分と前記後方噴流成分とを移動位置に応じて調整可能なリバースバケットである、
    水ジェット推進艇。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の水ジェット推進艇において、
    前記噴流調整部材は、
    前記噴出口から噴出される前記噴流の上下方向の向きを変更可能なデフレクタと、
    前記デフレクタの排出口から噴出される前記噴流を、前記前進用噴流と前記後進用噴流とに分割可能であるリバースバケットと、
    を含み、
    前記制御装置は、
    前記第2モードにおいて、前記第3操作子に対する操作があったとき、前記前方噴流成分による推力と前記後方噴流成分による推力の差を調整するように、前記噴出口からの噴流の上下方向の向きを前記デフレクタに変更させる、
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  7. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の水ジェット推進艇において、
    前記制御装置は、
    前記第2モードが選択されているときに前記第1モードが選択されたとき、当該第1モードが選択された直前の時点における前記噴流調整部材の前記移動位置を記憶し、
    当該第1モードが選択されているときに前記第2モードが選択されたとき、前記噴流調整部材の前記移動位置を、前記記憶した移動位置に設定する。
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  8. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の水ジェット推進艇において、
    前記制御装置は、
    前記第2モードが選択されたとき、前記噴流調整部材の前記移動位置を常に所定の移動位置に設定する、
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  9. 請求項1に記載の水ジェット推進艇において、
    前記制御装置は、
    前記第1操作子及び前記第2操作子に対して前記船体を前進させるための前進用操作があったとき、前記差が0より小さい第1の値となり、前記第1操作子及び前記第2操作子に対して前記船体を後進させるための後進用操作があったとき前記差が0より大きい第2の値となるように、前記噴流調整部材の前記移動位置を変更させ、且つ
    前記第1操作子の操作量及び前記第2操作子の操作量の少なくとも一方に基づいて前記エンジンの出力を変更することにより前記噴出口から噴出される噴流の流量を調整し、
    前記第1操作子及び前記第2操作子に対して前記船体を停船状態に維持するためのニュートラル操作があったとき前記差が前記第1の値より大きく且つ前記第2の値より小さい第3の値となるように、前記噴流調整部材の前記移動位置を変更させ、且つ
    前記第1操作子の操作量及び前記第2操作子の操作量の何れにも依らず前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持し、
    前記第2モードにおいて、前記第3操作子に対する操作があったとき、前記エンジンの運転状態をアイドリング状態に維持するとともに、前記差が前記第1の値以上であり且つ前記第2の値以下である範囲内において変化するように、前記噴流調整部材の前記移動位置を変更させる、
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  10. 請求項6に記載の水ジェット推進艇において、
    前記デフレクタは、前記噴出口の後方において少なくとも水平軸周りに回動可能に配置され、
    前記制御装置は、
    前記前進用操作があったとき、前記デフレクタの前記水平軸周りの回動位置を所定の初期位置に設定するとともに、前記リバースバケットの回動位置を前記デフレクタを介して噴出される噴流から前記前方噴流成分が発生せず前記後方噴流成分が発生する位置である第1位置に設定し、
    前記後進用操作があったとき、前記デフレクタの前記水平軸周りの回動位置を前記初期位置に設定するとともに、前記リバースバケットの回動位置を前記デフレクタを介して噴出される噴流から少なくとも前記前方噴流成分が発生する第2位置に設定し、
    前記ニュートラル操作があったとき、前記デフレクタの前記水平軸周りの回動位置を前記初期位置に設定するとともに、前記リバースバケットの回動位置を前記デフレクタを介して噴出される噴流から前記前方噴流成分及び前記後方噴流成分が発生する第3位置に設定する、
    ように構成された、水ジェット推進艇。
  11. 請求項1に記載の水ジェット推進艇において、
    前記制御装置は、
    前記第1操作子及び前記第2操作子の少なくとも何れか一方に対して所定の操作があったとき前記第1モードを選択し、
    前記第1操作子及び前記第2操作子の少なくとも何れか一方に対して所定の操作があったとき前記第2モードを選択する、ように構成された、
    水ジェット推進艇。

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