(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例1は、マンション等の集合住宅に設置されるインターホンシステムに関するが、来訪者と居住者とが1対1で会話した後に解錠することを目的としたインターホンの基本機能に追加した機能に関する。追加の機能に関して、これまでの集合住宅におけるインターホンシステムでは、各住戸に設置された住戸端末が制御装置に接続されており、住戸端末は制御装置と通信している。一方、本実施例における追加の機能は、住戸端末間で通信することに関する。特に、複数の住戸端末によってグループが形成され、グループに含まれた住戸端末間において通信がなされる。本実施例における通信は、例えば、音声通信、テキスト通信である。
図1は、本発明の実施例1に係るインターホンシステム100の構成を示す。インターホンシステム100は、ロビーインターホン10、制御装置12、住戸端末16と総称される第1住戸端末16a、第2住戸端末16b、第3住戸端末16c、第N住戸端末16n、ドアホン18と総称される第1ドアホン18a、第2ドアホン18b、第3ドアホン18c、第Nドアホン18n、管理室端末20、増設カメラ22、GW(GateWay)装置30を含む。また、GW装置30には、VPN(Virtual Private Network)装置32が接続され、VPN装置32には、サーバ装置28が接続される。
集合住宅40内には、住戸14と総称される第1住戸14a、第2住戸14b、第3住戸14c、第N住戸14nが含まれる。第1住戸14aには、第1住戸端末16a、第1ドアホン18aが設置され、第2住戸14bには、第2住戸端末16b、第2ドアホン18bが設置され、第3住戸14cには、第3住戸端末16c、第3ドアホン18cが設置され、第N住戸14nには、第N住戸端末16n、第Nドアホン18nが設置される。また、集合住宅40内には、インターホンシステム100、VPN装置32が設置される。
ここでは、インターホンシステム100のうち、従来のインターホンシステムに対応した基本機能をまず説明する。ロビーインターホン10は、ロビーに設置されたインターホンであり、増設カメラ22を接続する。なお、増設カメラ22は、ロビーインターホン10内に撮像部として設けられてもよい。ロビーインターホン10に備えられたボタンは、来訪者が集合住宅40内に入る際に押されるとともに、増設カメラ22は、来訪者を撮像する。なお、増設カメラ22は、ロビー以外の場所、例えば、駐車場等の共用部に設置されてもよい。ロビーインターホン10は、共用部幹線24を介して制御装置12に接続され、制御装置12は、占有幹線26を介して複数の住戸端末16のそれぞれに接続される。
制御装置12は、機械室や管理人室などの共用スペースに設置され、ロビーインターホン10と住戸端末16との間の信号を中継する。共用部幹線24、占有幹線26は、ロビーインターホン10からの呼出信号、住戸端末16からの応答信号等を伝送するための伝送路である。共用部幹線24、占有幹線26には、増設カメラ22において撮影された来訪者の映像信号、ロビーインターホン10と住戸端末16から出力される来訪者の音声信号、居住者の音声信号も伝送する。
住戸端末16は、住戸14内に設置されており、住宅情報盤、住戸機、居室親機、住宅親機とも呼ばれる。また、住戸端末16には、住戸14の玄関の外側に設置されたドアホン18が接続される。ドアホン18は、ドアインターホン、居室子機とも呼ばれる。ドアホン18には、呼出ボタンが設けられており、呼出ボタンが押し下げられると、呼出信号を住戸端末16に出力する。住戸端末16は、ロビーインターホン10あるいはドアホン18からの呼出信号を入力すると、居住者の呼出を実行する。それに応じて、ロビーインターホン10あるいはドアホン18と、住戸端末16との通話が可能になる。また、ドアホン18には撮像部が備えられており、撮像部は、呼出ボタンが押し下げられた場合に、来訪者を撮像する。増設カメラ22あるいは撮像部において撮像された映像は、住戸端末16に備えられた表示部に表示される。そのため、居住者は、住戸端末16の表示部に表示された映像を見ることによって、来訪者を確認する。
管理室端末20は、制御装置12に接続されるとともに、管理人室に設置される。また、管理室端末20は、共用親機とも呼ばれる。管理室端末20は、集合住宅40の管理人によって、例えば、制御装置12の設定を確認したり、制御装置12の設定を行ったり、住戸の住戸端末と通話したりするために使用される。
制御装置12は、従来のインターホンシステムに対応した処理に加えて、住戸端末16間の通信を制御する。住戸端末16間の通信には、2つの住戸端末16が1対1で実行する通信もあれば、複数の住戸端末16が含まれたグループ内での通信もある。後者は、グループ通信とも呼ばれ、制御装置12は、グループ通信を実行するためのグループも作成する。このようなインターホンシステム100による通信処理については、後述する。
なお、図1において、GW装置30は、第1ネットワーク34を介して制御装置12に接続され、VPN装置32は、第2ネットワーク36を介してGW装置30に接続され、サーバ装置28は、第3ネットワーク38を介してVPN装置32に接続される。GW装置30、VPN装置32、第1ネットワーク34、第2ネットワーク36、第3ネットワーク38は公知の技術でよいので、ここではこれらの説明を省略する。
図2は、住戸端末16およびドアホン18の構成を示す。住戸端末16は、処理部70、通信部72、制御部74、操作部76、非常ボタン88を含み、処理部70は、IF部78、記憶部80、表示部82、マイク84、スピーカ86を含む。ドアホン18は、処理部50、呼出ボタン52、通信部54を含み、処理部50は、IF部56、撮像部58、マイク60、スピーカ62を含む。
ドアホン18の呼出ボタン52は、来訪者の操作を受けつけるためのユーザインタフェースである。呼出ボタン52が来訪者によって押し下げられると、呼出ボタン52は、呼出信号を住戸端末16に出力する。また、呼出ボタン52が来訪者によって押し下げられると、処理部50が動作する。
撮像部58は、来訪者を撮影するためのものであり、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の固体撮像素子を備える。当該固体撮像素子は光電変換した映像信号をIF部56に出力する。IF部56は、撮像部58からの映像信号に対して種々の信号処理を実行する。種々の信号処理は、例えば、映像信号の露出を制御する露出制御処理、映像信号の色バランスを制御する色バランス制御処理、映像信号の階調特性を制御する階調特性制御処理、映像信号の輪郭強調度合いを制御する輪郭強調制御処理を含む。IF部56は、信号処理を実行した映像信号(以下、これもまた「映像信号」という)を通信部54に出力し、通信部54は、映像信号を住戸端末16に送信する。
マイク60とスピーカ62は、来訪者が居住者と通話するためのユーザインタフェースである。マイク60は来訪者の声を集音し、電気信号に変換してIF部56に出力する。スピーカ62は、IF部56からの電気信号を再生して音声出力する。IF部56は、マイク60からの電気信号を受けつけ、これを住戸端末16に伝送するための形式の信号(以下、「音声信号」という)に変換する。IF部56は、音声信号を通信部54に出力し、通信部54は、音声信号を住戸端末16に送信する。一方、通信部54は、住戸端末16において生成された音声信号を受信し、IF部56は、音声信号を電気信号に変換する。IF部56は、電気信号をスピーカ62に出力する。
住戸端末16の通信部72は、ドアホン18との通信を実行するとともに、占有幹線26を介して図示しないロビーインターホン10との通信も実行する。通信部72は、ドアホン18からの呼出信号、あるいはロビーインターホン10からの呼出信号を受信する。通信部72は、受信した呼出信号を制御部74に出力する。制御部74は、呼出信号を受信すると、居住者の呼出を実行するとともに、処理部70を動作させる。
通信部72は、ドアホン18からの映像信号、あるいはロビーインターホン10からの映像信号を受信し、映像信号をIF部78に出力する。また、通信部72は、ドアホン18からの音声信号、あるいはロビーインターホン10からの音声信号を受信し、音声信号をIF部78に出力する。さらに、通信部72は、IF部78からの音声信号を入力し、音声信号をドアホン18あるいはロビーインターホン10に送信する。
IF部78、マイク84、スピーカ86は、IF部56、マイク60、スピーカ62と同様の処理を実行する。記憶部80は、後述のテーブル等を記憶する。また、表示部82は、IF部78からの映像信号を入力し、映像信号を映像として表示する。そのため、表示部82は、撮像部58あるいは図示しない増設カメラ22において撮像された映像を表示可能である。
操作部76は、制御部74による呼出がなされた後、居住者が応答する際に押し下げられるボタンである。操作部76は、ロビーの鍵を解錠するための解錠ボタンであってもよい。操作部76が押し下げられると、制御部74は、通信部72、占有幹線26を介して解錠信号を送信する。非常ボタン88は、居住者によって非常時に押し下げられるボタンである。なお、操作部76は、タッチパネル式の入力装置であってもよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
これまで、図1と図2とを使用しながら、来訪者の訪問時の処理を中心に説明した。以下では、インターホンシステム100における前述の通信処理、特にグループ通信処理を説明する。ここでは、通信処理を1.グループ通信処理、2.グループ作成・登録処理、3.グループ参加要請処理、4.グループ参加希望処理の順に説明する。
1.グループ通信処理
図3は、インターホンシステム100によるグループ通信処理の概要を示す。ここでは、説明を明瞭にするために、住戸端末16として、第1住戸端末16a、第2住戸端末16b、第3住戸端末16cを示すが、インターホンシステム100に含まれる住戸端末16の数は「3」に限定されない。第1住戸端末16aは、第1処理部70a、第1通信部72a、第1制御部74a、第1操作部76aを含む。第2住戸端末16bは、第2処理部70b、第2通信部72b、第2制御部74b、第2操作部76bを含む。第3住戸端末16cは、第3処理部70c、第3通信部72c、第3制御部74c、第3操作部76cを含む。
第1処理部70a、第2処理部70b、第3処理部70cは、前述の処理部70に相当し、第1通信部72a、第2通信部72b、第3通信部72cは、前述の通信部72に相当する。第1制御部74a、第2制御部74b、第3制御部74cは、前述の制御部74に相当し、第1操作部76a、第2操作部76b、第3操作部76cは、前述の操作部76に相当する。制御装置12は、許可部110、作成部112、管理部114、記憶部116、要請部118、問い合せ部120を含む。
各住戸端末16には、固有のID(以下、「端末ID」という)が付与されており、例えば、端末IDは、住戸の番号に応じて設定される。そのため、住戸の番号が「101」の場合、端末IDは「T101」のように設定される。さらに、複数の住戸端末16を含めるように、グループが形成されているが、各グループにも、固有のID(以下、「グループID」とう)が付与されている。グループIDは、例えば、「G01」のように設定される。
図4(a)−(b)は、インターホンシステム100において記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図4(a)は、制御装置12の記憶部116に記憶されるテーブルのデータ構造を示しており、前述のように設定されたグループIDの一覧が含まれる。ここでは、各グループIDに含まれた2つ以上の端末IDが示されている。また、第1住戸端末16aの第1処理部70aに含まれた記憶部80(以下、「第1記憶部80a」ともいう)には、図4(b)に示されたテーブルが記憶される。これは、図4(a)に示されたテーブルのうち、第1住戸端末16aの端末IDを含んだグループIDだけが含まれたテーブルである。図4(b)のようなテーブルは、各住戸端末16の処理部70に含まれた記憶部80にも記憶されている。なお、記憶部80に記憶されたテーブルは、占有幹線26を介して、記憶部116に示されたテーブルに同期される。図3に戻る。
第1住戸端末16aの居住者は、第1操作部76aを操作しながら、第1記憶部80aに記憶されたテーブルの中から、通信対象となるグループを選択する。第1住戸端末16aは、制御装置12に対して、グループIDで示されたグループ通信の開始を要求するための要求信号200を制御装置12に送信する。要求信号200によって、認証処理が要求されてもよい。制御装置12の許可部110は、要求信号200に含まれたグループIDをもとに、記憶部116に記憶されたテーブルを参照しながら、グループ通信の対象となる第1住戸端末16a以外の住戸端末16を特定する。ここでは、例えば、第2住戸端末16bと第3住戸端末16cとが特定される。許可部110は、特定した第2住戸端末16bと第3住戸端末16cとに、要求信号202を送信する。
第2住戸端末16bと第3住戸端末16cは、要求信号202を受信し、かつグループ通信の開始を承認した場合、制御装置12に応答信号204を送信する。制御装置12の許可部110は、応答信号204を受信すると、グループ通信の開始を許可する。許可部110は、グループ通信の開始の許可が示された応答信号206を第1住戸端末16aに送信する。第1住戸端末16aが応答信号206を受信することよって、グループ通信が開始される。このように、許可部110は、住戸端末16の通信を制御する。その後、第1住戸端末16aから第3住戸端末16cは、制御装置12を介さずに、通話信号208を直接送受信することによって、グループ通信を実行する。このようなグループ通信は、制御装置12を介してなされてもよい。なお、要求信号200に含まれるグループIDが1つの端末IDである場合、2つの住戸端末16間の1対1の通信が実行される。
図5(a)−(c)は、インターホンシステム100において使用される信号のデータフォーマットを示す。信号は、一例としてパケット信号とされる。図5(a)は、2つの住戸端末16間の1対1の通信において使用される信号を示す。ここでは、送信側の端末ID「T101」、受信側の端末ID「T102」、データが順に配置される。送信側と受信側とが逆になる場合、送信側の端末ID「T102」、受信側の端末ID「T101」、データが順に配置される。図5(b)は、グループ通信において使用される信号を示す。ここでは、送信側の端末ID「T101」、受信側のグループID「G01」、データが順に配置される。送信側が別の住戸端末16になる場合、送信側の端末ID「T102」、受信側のグループID「G01」、データが順に配置される。なお、グループ通信を実行する場合、グループIDの代わりに、グループに含まれた住戸端末16の端末IDが直接示されてもよい。図5(c)では、送信側の端末ID「T101」、受信側の端末ID「T102」と「T201」、データが順に配置される。図3に戻る。
このように、住戸端末16がグループ内で論理的な通信を直接実行する場合、送信すべきパケット信号の最終相手先アドレス領域に、グループIDを入れる。また、各住戸端末16に含まれた通信部72は、信号に含まれた端末IDあるいはグループIDをもとに、当該信号が自らの住戸端末16宛であるか否かを判定し、自らの住戸端末16宛である場合にその信号を受信する。通信部72は、自らの住戸端末16宛でない場合にその信号を破棄する。
2.グループ作成・登録処理
この処理は、前述したグループ通信処理を実行する前段階の処理であり、グループ通信の前提となるグループを作成し、かつ作成したグループに住戸端末16を含めるための処理である。図6は、インターホンシステム100によるグループ作成・登録処理の概要を示す。図6における制御装置12、第1住戸端末16aから第3住戸端末16cは、図3と同様に示される。ここでは、第1住戸端末16aを操作する居住者がグループを作成する場合を想定する。居住者は、第1操作部76aを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ作成指示信号210を送信することによって、制御装置12の作成部112に対してグループ作成を指示する。この第1操作部76aは、居住者がグループ開設を設定するための入力手段といえる。
図7(a)−(b)は、表示部82に表示される画面を示す。図7(a)は、第1住戸端末16aの第1処理部70aに含まれた表示部82(以下、「第1表示部82a」ともいう)に、グループ作成時に表示される画面を示す。居住者が第1操作部76aを操作しながら、「はい」を選択した場合、第1住戸端末16aの第1通信部72aは、グループ作成指示信号210を送信する。図7(b)については後述し、図6に戻る。
作成部112は、第1住戸端末16aからのグループ作成指示信号210を受信した場合、グループを作成するとともに、作成したグループに対してグループIDを付与する。このグループは、居住者によって開設可能であり、それには、占有幹線26を介して接続された複数の住戸端末16のうち、互いに通信可能な2つ以上の住戸端末16が将来的に含まれる。なお、グループIDは、グループを作成した住戸端末16の端末IDにもとづいて、当該住戸端末16によって付与されてもよい。その場合、作成部112は、住戸端末16からグループIDを受けつける。作成部112は、作成したグループに関する情報を管理部114に出力する。
管理部114は、グループに関する情報を作成部112から入力する。管理部114は、グループに関する情報を記憶部116に記憶させることによって、作成部112において作成したグループを管理する。グループに関する情報を記憶部116に記憶させることは、記憶部116に記憶したテーブルに、グループに関する情報を追加することに相当する。
このようにグループが作成された後、グループを作成した第1住戸端末16a以外の住戸端末16は、グループに参加するために、グループへの登録を実行する。ここでは、第3住戸端末16cがグループに登録する場合を想定する。居住者は、第3操作部76cを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ登録信号212を送信することによって、制御装置12の管理部114に対してグループへの登録を指示する。この第3操作部76cは、既に作成されたグループに対し、グループ参加のためのグループを登録設定するための入力手段といえる。
図7(b)は、第3住戸端末16cの第1処理部70aに含まれた表示部82(以下、「第3表示部82c」ともいう)に、グループ登録時に表示される画面を示す。居住者が第3操作部76cを操作しながら、「はい」を選択した場合、第3住戸端末16cの第3通信部72cは、グループ登録信号212を送信する。なお、登録先として複数のグループが選択可能である場合、第3表示部82cは、複数のグループの一覧を表示してもよい。その際、居住者は、第3操作部76cを操作しながらいずれかのグループを選択し、第3通信部72cは、選択したグループに関する情報が含まれたグループ登録信号212を送信する。図6に戻る。
管理部114は、グループに未参加の第3住戸端末16cからのグループ登録信号212を受信した場合、当該第3住戸端末16cをグループに登録する。具体的に説明すると、管理部114は、記憶部116に記憶したテーブルにおけるグループであって、かつグループ登録信号212によって選択されるグループに対して、第3住戸端末16cの端末IDを追加する。このように、第3住戸端末16cを操作する居住者によるグループ登録が可能である。その結果、第3住戸端末16cにもグループIDが付与される。
なお、制御装置12に含まれた作成部112、管理部114は、各住戸端末16に含まれてもよい。例えば、第1住戸端末16aに含まれた作成部112がグループを作成する。また、第1住戸端末16aに含まれた管理部114は、他の住戸端末16に含まれた管理部114との間でグループ情報、つまり記憶部80に記憶したテーブルを共有する。
3.グループ参加要請処理
この処理は、グループを作成した後に、当該グループに参加していない住戸端末16に参加を要請するための処理である。図8は、インターホンシステム100によるグループ参加要請処理の概要を示す。図8における制御装置12、第1住戸端末16aから第3住戸端末16cは、図3と同様に示される。ここでは、第1住戸端末16aを操作する居住者が、第3住戸端末16cにグループの参加を要請する場合を想定する。居住者は、第1操作部76aを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ参加要請信号220を送信することによって、制御装置12の要請部118に対してグループ参加要請を指示する。この第1操作部76aは、居住者が他の住戸端末16にグループへの参加を要請するための入力手段といえる。
図9(a)−(b)は、表示部82に表示される画面を示す。図9(a)は、第1住戸端末16aの第1表示部82aに、グループ参加要請時に表示される画面を示す。居住者が第1操作部76aを操作しながら、グループへの参加を要請する住戸の番号を入力し、「確定」を選択した場合、第1住戸端末16aの第1通信部72aは、グループ参加要請信号220を送信する。グループ参加要請信号220には、入力した番号の住戸に設置された住戸端末16の端末IDが含まれる。図9(b)については後述し、図8に戻る。
制御装置12の要請部118は、第1住戸端末16aからのグループ参加要請信号220を受信した場合、グループ参加要請信号220に含まれた端末IDの住戸端末16に対して、グループ参加要請信号222を送信する。グループ参加要請信号222を送信することは、グループに未参加の住戸端末16に対して、グループへの参加を要請することに相当する。
第3住戸端末16cの第3通信部72cは、グループ参加要請信号222を受信する。第3住戸端末16cを操作する居住者が、グループへの参加要請に応じてグループに参加する場合、グループへの登録を実行する。居住者は、第3操作部76cを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ登録信号224を送信することによって、制御装置12の管理部114に対してグループへの登録を指示する。その際、第3表示部82cは、グループ参加要請を受けつけた旨を示す画像を表示する。図9(b)は、第3住戸端末16cの第3表示部82cに、グループ参加要請時に表示される画面を示す。居住者が第3操作部76cを操作しながら、「はい」を選択した場合、第3住戸端末16cの第3通信部72cは、グループ登録信号224を送信する。図8に戻る。
管理部114は、グループに未参加の第3住戸端末16cからのグループ登録信号224を受信した場合、つまり要請部118において参加を要請した第3住戸端末16cが参加する場合に、当該第3住戸端末16cをグループに登録する。具体的に説明すると、管理部114は、記憶部116に記憶したテーブルにおけるグループであって、かつグループ登録信号224によって選択されるグループに対して、第3住戸端末16cの端末IDを追加する。このように、第1住戸端末16aを操作する居住者によるグループ参加要請が可能である。その結果、第3住戸端末16cにもグループIDが付与される。
なお、グループに参加していない住戸端末16、例えば、第3住戸端末16cは、制御装置12の管理部114に対して、グループへの参加を拒否することを設定してもよい。この操作は、第3住戸端末16cの第3操作部76cをユーザが操作することによってなされる。管理部114は、第3住戸端末16cから、グループ参加拒否の設定を受信した場合、グループへの参加を拒否する住戸端末16として第3住戸端末16cを登録する。具体的に説明すると、管理部114は、グループ参加を拒否している住戸端末16を記憶部116のテーブルに記憶する。図10は、記憶部116に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、グループ参加を拒否している住戸端末16の端末IDがリスト形式で示される。図8に戻る。
このような状況下において、グループ参加を拒否している住戸端末16に対するグループ参加要請信号220を要請部118が受信した場合、要請部118は、グループ参加要請信号222を送信しない。その結果、管理部114は、当該住戸端末16をグループに登録することを拒否する。なお、グループ参加要請信号220が、グループ参加を拒否している住戸端末16に対するものであるかは、記憶部116に記憶されたテーブルを参照することによって確認される。管理部114は、グループに登録を拒否する場合、第1住戸端末16aに、グループ登録不可であることを通知する。
なお、制御装置12に含まれた要請部118は、各住戸端末16に含まれてもよい。例えば、第1住戸端末16aに含まれた要請部118は、制御装置12を介さずに、第3住戸端末16cにグループ参加要請信号220を直接送信する。その際、第1住戸端末16aに含まれた要請部118は、第3住戸端末16cにグループIDを知らせる。また、第3住戸端末16cに含まれた管理部114は、グループ登録を拒否する情報を保持してもよく、制御装置12を介さずにグループ参加要請信号220を直接受信した場合、第1住戸端末16aにグループ登録不可である旨を通知してもよい。
4.グループ参加希望処理
この処理は、グループを作成した後に、当該グループに参加していない住戸端末16が参加を希望するための処理である。図11は、インターホンシステム100によるグループ参加希望処理の概要を示す。図11における制御装置12、第1住戸端末16aから第3住戸端末16cは、図3と同様に示される。ここでは、第3住戸端末16cを操作する居住者が、第1住戸端末16aにグループへの参加を希望する場合を想定する。居住者は、第3操作部76cを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ参加希望信号230を送信することによって、制御装置12の問い合せ部120に対してグループ参加希望を指示する。この第3操作部76cは、居住者が他の住戸端末16にグループへの参加を希望するための入力手段といえる。
図12(a)−(b)は、表示部82に表示される画面を示す。図12(a)は、第3住戸端末16cの第3表示部82cに、グループ参加希望時に表示される画面を示す。居住者が第3操作部76cを操作しながら、グループへの参加を希望し、「はい」を選択した場合、第3住戸端末16cの第3通信部72cは、グループ参加希望信号230を送信する。グループ参加希望信号230には、参加を希望するグループのグループIDが含まれる。図12(b)については後述し、図11に戻る。
制御装置12の問い合せ部120は、第3住戸端末16cからのグループ参加希望信号230を受信した場合、グループ参加希望信号230に含まれたグループIDを抽出する。問い合せ部120は、記憶部116に記憶されたテーブルを参照することによって、当該グループを作成した住戸端末16の端末IDを特定する。問い合せ部120は、特定した端末IDの住戸端末16に対して、グループ参加問い合せ信号232を送信する。グループ参加問い合せ信号232を送信することは、グループに未参加の住戸端末16からの参加希望に対する可否を問い合わせることに相当する。
第1住戸端末16aの第1通信部72aは、グループ参加問い合せ信号232を受信する。第1住戸端末16aを操作する居住者が、グループへの参加問い合せに応じてグループへの参加を許可する場合、グループへの参加を承認する。一方、第1住戸端末16aを操作する居住者が、グループへの参加問い合せに応じてグループへの参加を許可しない場合、グループへの参加を承認しない。参加を承認する場合、居住者は、第3操作部76cを操作しながら、占有幹線26を介して制御装置12にグループ参加承認信号234を送信することによって、制御装置12の管理部114に対してグループへの登録を指示する。その際、第3表示部82cは、グループ参加問い合せを受けつけた旨を示す画像を表示する。図12(b)は、第1住戸端末16aの第1表示部82aに、グループ参加問い合せ時に表示される画面を示す。居住者が第1操作部76aを操作しながら、「はい」を選択した場合、第1住戸端末16aの第1通信部72aは、グループ参加承認信号234を送信する。図8に戻る。
管理部114は、第1住戸端末16aからのグループ参加承認信号234を受信した場合、つまり問い合せ部120において問い合せた第3住戸端末16cの参加が承認された場合に、当該第3住戸端末16cをグループに登録する。具体的に説明すると、管理部114は、記憶部116に記憶したテーブルにおけるグループであって、かつグループ参加承認信号234によって選択されるグループに対して、第3住戸端末16cの端末IDを追加する。このように、第3住戸端末16cを操作する居住者によるグループ参加希望、第1住戸端末16aを操作する居住者によるグループ参加許可/拒否が可能である。
参加が承認された場合、第3住戸端末16cにもグループIDが付与されるとともに、これが第3住戸端末16cに通知されることによって、第3表示部82cには、参加可能を示す表示がなされる。参加が承認されなかった場合、第3住戸端末16cにグループIDが付与されないとともに、これが第3住戸端末16cに通知されることによって、第3表示部82cには、参加可能を示す表示がされないか、参加拒否されたことを示す表示がなされる。
なお、制御装置12に含まれた問い合せ部120は、各住戸端末16に含まれてもよい。例えば、第3住戸端末16cに含まれた問い合せ部120は、制御装置12を介さずに、第1住戸端末16aにグループ参加希望信号230を直接送信する。また、第1住戸端末16aに含まれた管理部114は、制御装置12を介さずに、第3住戸端末16cにグループ参加承認信号234を直接送信する。その際、第1住戸端末16aの管理部114は、第3住戸端末16cにグループIDを知らせる。
以上の1.グループ通信処理から4.グループ参加希望処理で説明したように、占有幹線26を介して複数の住戸端末16のそれぞれと通信可能な制御装置12の記憶部116は、管理部114において管理するグループの情報をテーブルとして記憶する。また、グループに含まれた少なくとも1つの住戸端末16の記憶部80は、管理部114において管理するグループの情報をテーブルとして記憶する。ここでは、特に、当該住戸端末16が含まれたグループの情報を記憶する。
なお、共用部幹線24に接続されて、複数の住戸端末16のうちのいずれかを呼出可能なロビーインターホン10が記憶部を備えてもよく、当該記憶部が、管理部114において管理するグループの情報をテーブルとして記憶してもよい。本インターホンシステム100に外部から接続されたサーバ装置28の記憶部が、管理部114において管理するグループの情報をテーブルとして記憶してもよい。
以上の構成によるインターホンシステム100の動作を説明する。図13は、インターホンシステム100によるグループ作成・登録処理手順を示すシーケンス図である。第1住戸端末16aに対して、居住者は、グループ作成の指示を入力する(S10)。第1住戸端末16aは、グループ作成指示信号210を制御装置12に送信する(S12)。制御装置12は、グループを作成する(S14)。第3住戸端末16cに対して、居住者は、グループ登録を入力する(S16)。第3住戸端末16cは、グループ登録信号212を制御装置12に送信する(S18)。制御装置12は、第3住戸端末16cをグループに登録する(S20)。
図14は、インターホンシステム100によるグループ参加要請処理手順を示すシーケンス図である。第1住戸端末16aに対して、居住者は、グループ参加要請を入力する(S40)。第1住戸端末16aは、グループ参加要請信号220を制御装置12に送信する(S42)。制御装置12は、グループ参加要請信号222を第3住戸端末16cに送信する(S44)。第3住戸端末16cに対して、居住者は、グループ登録を入力する(S46)。第3住戸端末16cは、グループ登録信号224を制御装置12に送信する(S48)。制御装置12は、第3住戸端末16cをグループに登録する(S50)。
図15は、インターホンシステム100によるグループ参加希望処理手順を示すシーケンス図である。第3住戸端末16cに対して、居住者は、グループ参加希望を入力する(S70)。第3住戸端末16cは、グループ参加希望信号230を制御装置12に送信する(S72)。制御装置12は、グループ参加問い合せ信号232を第1住戸端末16aに送信する(S74)。第1住戸端末16aに対して、居住者は、グループ参加承認を入力する(S76)。第1住戸端末16aは、グループ参加承認信号234を制御装置12に送信する(S78)。制御装置12は、第3住戸端末16cをグループに登録する(S80)。
本発明の実施例によれば、互いに通信可能な2つ以上の住戸端末を含むべきグループを作成するので、グループに含まれた複数の住戸端末間の通信を実現できる。また、互いに通信可能な2つ以上の住戸端末を含むべきグループを作成するので、集合住宅において、居住者主導でインターホンを利用して簡便にコミュニティネットワークを形成できる。また、グループに未参加の住戸端末をグループに登録するので、グループに参加登録することができる。また、グループに未参加の住戸端末に対してグループへの参加を要請し、当該住戸端末が参加すればグループに登録するので、グループに未参加の住戸端末に対して参加を促すことができる。また、グループへの参加を拒否する住戸端末が登録されており、当該住戸端末をグループに登録することを拒否するので、グループの参加を希望しない場合に自動的に参加を拒否できる。また、自動的に参加が拒否されるので、居住者の負担を軽減できる。
また、グループに未参加の住戸端末からの参加希望に対する可否を問い合わせ、当該住戸端末の参加が承認されると、当該住戸端末をグループに登録するので、グループに含まれる住戸端末を選択できる。また、グループに未参加の住戸端末からの参加希望に対する可否を問い合わせ、当該住戸端末の参加が承認されると、当該住戸端末をグループに登録するので、グループに含まれるべきではない住戸端末がグループに含まれることを阻止できる。
また、住戸端末がグループの情報を記憶するので、処理を高速化できる。また、制御装置がグループの情報を記憶するので、住戸端末に備えられるメモリの容量を小さくできる。また、住戸端末に備えられるメモリの容量が小さくなるので、住戸端末のコストを低減できる。また、ロビーインターホンがグループの情報を記憶するので、制御装置が設置されないような小規模の集合住宅においても、居住者主導でインターホンを利用して簡便にコミュニティネットワークを形成できる。また、サーバ装置がグループ情報を記憶するので、居住者のグループ関係などの居住者情報の取り扱いをサービス提供会社などの第三者に委託しやすくできる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様のインターホンシステム100は、占有幹線26を介して接続された複数の住戸端末16のうち、互いに通信可能な2つ以上の住戸端末16を含むべきグループを作成する作成部112と、作成部112において作成したグループを管理する管理部114と、を備える。
管理部114は、グループに未参加の住戸端末16をグループに登録してもよい。
グループに未参加の住戸端末16に対して、グループへの参加を要請する要請部118をさらに備えてもよい。管理部114は、要請部118において参加を要請した住戸端末16が参加する場合に、当該住戸端末16をグループに登録してもよい。
グループに未参加の住戸端末16からの参加希望に対する可否を問い合わせる問い合せ部120をさらに備えてもよい。管理部114は、問い合せ部120において問い合せた住戸端末16の参加が承認された場合に、当該住戸端末16をグループに登録してもよい。
管理部114は、グループへの参加を拒否する住戸端末16を登録しており、当該住戸端末16をグループに登録することを拒否してもよい。
グループに含まれた少なくとも1つの住戸端末16は、管理部114において管理するグループの情報を記憶してもよい。
占有幹線26に接続され、かつ複数の住戸端末16のそれぞれと通信可能な制御装置12をさらに備えてもよい。制御装置12は、管理部114において管理するグループの情報を記憶してもよい。
共用部幹線24に接続され、かつ複数の住戸端末16のうちのいずれかを呼出可能なロビーインターホン10をさらに備えてもよい。ロビーインターホン10は、管理部114において管理するグループの情報を記憶してもよい。
本インターホンシステム100に外部から接続されたサーバ装置28をさらに備えてもよい。サーバ装置28は、管理部114において管理するグループの情報を記憶してもよい。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、マンション等の集合住宅に設置されるインターホンシステムに関するが、来訪者と居住者とが1対1で会話した後に解錠することを目的としたインターホンの基本機能に追加した機能に関する。実施例1では、複数の住戸端末によってグループが形成され、グループに含まれた住戸端末間において通信がなされている。一方、実施例2は、グループに含まれた住戸端末間においてセキュリティ発報がなされることに関する。実施例2に係るインターホンシステム100、住戸端末16の構成は、図1、図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図16は、本発明の実施例2に係るインターホンシステム100によるセキュリティ発報処理の概要を示す。図16における制御装置12、第1住戸端末16aから第3住戸端末16cは、図3と同様に示される。なお、第1住戸端末16aには第1非常ボタン88aが示され、第2住戸端末16bには第2非常ボタン88bが示され、第3住戸端末16cには第3非常ボタン88cが示される。第1非常ボタン88a、第2非常ボタン88b、第3非常ボタン88cは、図2の非常ボタン88に相当する。さらに、制御装置12は、通報部122を含む。ここでは、管理部114において管理するグループに含まれた第1住戸端末16aを操作する居住者が、セキュリティ発報を行う場合を想定する。
第1非常ボタン88aは、非常状態の発生時に、居住者によって押し下げられる。第1制御部74aが第1非常ボタン88aの押下げを検出すると、第1通信部72aは、占有幹線26を介して、警報信号240を送信する。また、第1住戸端末16aには、図示しない防災/防犯センサが接続されており、防災/防犯センサが非常状態の発生を検出した場合にも、第1通信部72aは、占有幹線26を介して、警報信号240を送信してもよい。その際、第1通信部72aは、最終宛先アドレス領域に制御装置12のアドレスが含まれた警報信号240を生成し、当該警報信号240を制御装置12に送信する。これに続いて、第1通信部72aは、最終宛先アドレス領域にグループIDが含まれた警報信号240を、グループIDに対応したグループに含まれた第2住戸端末16b、第3住戸端末16cに送信する。制御装置12の通報部122は、警報信号240を受信した場合、公衆回線などを経由して消防署や管理会社などへ通報する。
なお、第1通信部72aは、制御装置12宛の警報信号240を送信しなくてもよい。その場合、制御装置12がすべての信号を受信し、受信した信号がグループ宛の警報信号240である場合に、通報部122は、通報を実行する。一方、受信した信号がグループ宛の警報信号240でない場合、例えば、音声通信やテキスト通信の信号である場合、制御装置12は、当該信号を破棄する。
管理部114において管理するグループに含まれた第2住戸端末16b、第3住戸端末16cは、警報信号240を受信する。第2住戸端末16b、第3住戸端末16cは、警報信号240を受信すると、セキュリティ発報を通知する。この通知は、表示部82における表示、あるいはスピーカ86における鳴動などでなされる。図17は、表示部82に表示される画面を示す。図示のごとく、セキュリティ発報がなされことが、発信元になる住戸の番号とともに表示される。
図18は、本発明の実施例2に係るインターホンシステム100によるセキュリティ発報処理の別の概要を示す。これは、図16に続く処理を示す。第3住戸端末16cの第3表示部82cに図17に示した画面が表示されている場合に、居住者は、画面上の「確認」を選択すると、第3通信部72cは、受信した警報信号240に対する応答信号252を第1住戸端末16aに送信する。ここで、画面上の「確認」の選択は、第3操作部76cの操作によってなされる。
その際、第3通信部72cは、最終宛先アドレス領域にグループIDが含まれた応答信号252を、グループIDに対応したグループに含まれた第1住戸端末16aに送信する。また、第3通信部72cは、最終宛先アドレス領域に制御装置12のアドレスが含まれた応答信号252を生成し、当該応答信号252を制御装置12に送信してもよい。その際、制御装置12の通報部122は、応答信号252を受信した場合、公衆回線などを経由して消防署や管理会社などへ通報するとともに、制御装置12の記憶部116は、応答信号252を送信した第3住戸端末16cに関する情報を記憶してもよい。
さらに、制御装置12は、サーバ装置28に、応答信号252を送信した第3住戸端末16cに関する情報を送信し、サーバ装置28が当該情報を記憶してもよい。なお、第3通信部72cが制御装置12宛の応答信号252を送信しない場合、制御装置12がすべての信号を受信し、受信した信号がグループ宛の応答信号252であれば、通報部122は、通報を実行してもよい。一方、受信した信号がグループ宛の応答信号252でなければ、制御装置12は、当該信号を破棄してもよい。第2住戸端末16bにおいても同様の処理が実行され、第2住戸端末16bは、応答信号250を第1住戸端末16aに送信する。
第1住戸端末16aは応答信号250、応答信号252を受信した場合、応答信号250、応答信号252の受信を通知する。これは、セキュリティ発報に対する応答があったことを通知することに相当する。ここでも通知は、第1表示部82aにおける表示、あるいは第1スピーカ86aにおける鳴動などでなされる。図19(a)−(b)は、表示部82に表示される画面を示す。図19(a)では、セキュリティ発報に対する応答があったことが表示される。図19(b)については後述し、図18に戻る。
さらに、第1住戸端末16aは、受信した応答信号250、応答信号252の送信元になる住戸端末16の情報を通知してもよい。住戸端末16の情報とは、応答した住戸端末16の数、応答した住戸端末16が設置された住戸の番号などである。図19(b)では、セキュリティ発報に応答した住戸端末16の数である「2件」と、当該住戸端末16が設置された住戸の番号「102」、「201」が表示される。
以上の構成によるインターホンシステム100の動作を説明する。図20は、本発明の実施例2に係るインターホンシステム100によるセキュリティ発報処理手順を示すシーケンス図である。第1住戸端末16aに対して、居住者は、非常ボタン88を押し下げることによって、セキュリティ発報を入力する(S100)。第1住戸端末16aは、警報信号240を第2住戸端末16b、第3住戸端末16c、制御装置12に送信する(S102、S104、S106)。制御装置12は、通報を実行する(S108)。第2住戸端末16bは、応答信号250を第1住戸端末16aに送信し(S110)、第3住戸端末16cは、応答信号252を第1住戸端末16aに送信する(S112)。第1住戸端末16aは、応答信号250、応答信号252の受信を表示する(S114)。
本発明の実施例によれば、グループに含まれた住戸端末間で警報信号を直接送信するので、グループに含まれた住戸端末が設置された住戸の居住者が、消防や管理会社よりも早く現場に駆けつけられる可能性を向上できる。また、セキュリティ発報の受信を通知するので、グループ内におけるセキュリティ発報の存在を居住者に知らせることができる。また、応答信号の受信を通知するので、グループ内の他の住戸端末にセキュリティ発報が届いたことを知らせることができる。また、応答信号の送信元になる住戸端末についての詳細な情報を通知するので、どの程度の住戸端末にセキュリティ発報が届いたかを把握できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。管理部114において管理するグループに含まれた第1の住戸端末16は、警報信号240を送信し、管理部114において管理するグループに含まれた第2の住戸端末16は、警報信号240を受信してもよい。
第2の住戸端末16は、受信した警報信号240に対する応答信号250、252を送信し、第1の住戸端末16は、応答信号250、252の受信を通知してもよい。
第1の住戸端末16は、受信した応答信号250、252の送信元になる第2の住戸端末16の情報を通知してもよい。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、マンション等の集合住宅に設置されるインターホンシステムに関するが、来訪者と居住者とが1対1で会話した後に解錠することを目的としたインターホンの基本機能に追加した機能に関する。実施例2では、追加した機能として、グループに含まれた住戸端末間においてセキュリティ発報がなされるが、実施例3は、実施例2に続く処理に関する。実施例3に係るインターホンシステム100、住戸端末16の構成は、図1、図2と同様のタイプである。また、実施例3に係るインターホンシステム100では、図16、図18に示された処理が既になされている。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図21(a)−(b)は、本発明の実施例3に係る処理部70の構成を示す。処理部70は、図16に示された第1住戸端末16a、つまり警報信号240を送信し、かつ応答信号250、応答信号252を受信した第1住戸端末16aに含まれていることを想定する。図21(a)に示された処理部70は、図2に示された処理部70に対して解錠部90が追加される。解錠部90は、住戸端末16が設置された住戸の電子錠に接続され、当該電子錠に信号を送信することによって、当該電子錠を解錠可能である。電子錠の構成は公知の技術でよいので、ここでは説明を省略する。第1住戸端末16aが応答信号250、応答信号250を受信した場合、解錠部90は、電子錠を解錠する。
第1住戸端末16aの解錠部90が電子錠を解錠した場合、第1住戸端末16aは、解錠部90による解錠の情報を状態信号として制御装置12に送信する。制御装置12の記憶部116は、解錠部90による解錠の情報を記憶する。図22は、本発明の実施例3に係る記憶部116に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、解錠した住戸の番号、解錠した状態、解錠した日時が示される。図1における制御装置12は、解錠部90による解錠の情報をサーバ装置28に送信してもよい。サーバ装置28は、記憶部116と同様に、解錠部90による解錠の情報を記憶する。
なお、図21(a)の記憶部80は、解錠拒否の設定を記憶する。図21(b)では、解錠拒否の設定の状態が「オン」として記憶されている。解錠部90は、記憶部80に解錠拒否の設定が記憶されている場合、第1住戸端末16aが応答信号250、応答信号252を受信しても解錠を未実行である。
以上の構成によるインターホンシステム100の動作を説明する。図23は、本発明の実施例3に係るインターホンシステム100による解錠処理手順を示すシーケンス図である。第1住戸端末16aに対して、居住者は、非常ボタン88を押し下げることによって、セキュリティ発報を入力する(S130)。第1住戸端末16aは、警報信号240を第2住戸端末16b、第3住戸端末16c、制御装置12に送信する(S132、S134、S136)。制御装置12は、通報を実行する(S138)。第2住戸端末16bは、応答信号250を第1住戸端末16aに送信し(S140)、第3住戸端末16cは、応答信号252を第1住戸端末16aに送信する(S142)。第1住戸端末16aは、電子錠を解錠する(S144)。第1住戸端末16aは、解錠が示された状態信号をサーバ装置28に送信する(S146)。サーバ装置28は、状態信号を記憶する(S148)。
本発明の実施例によれば、応答信号を受信した場合に住戸の電子錠を解錠するので、セキュリティ発報を受けて駆けつけた人が住戸内に侵入できる。また、駆けつけた人が住戸内に侵入するので、当該住戸の居住者を救助できる。また、解錠の情報を記憶するので、不審者もしくは意図せぬ目的によって解錠された場合の記録を後で解析できる。また、解錠の情報を記憶するので、不審者もしくは意図せぬ目的によって解錠された場合の記録を証拠として利用できる。また、解錠拒否が設定されている場合、応答信号を受信しても解錠されないので、非常状態であっても、防犯上、消防署や管理会社の人以外を住戸内に入れないようにすることができる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。第1の住戸端末16が設置された住戸14の電子錠を解錠可能である解錠部90をさらに備えてもよい。解錠部90は、第1の住戸端末16が応答信号250、252を受信した場合に解錠してもよい。
解錠部90による解錠の情報を記憶する記憶部116をさらに備えてもよい。
解錠部90は、解錠拒否が設定されている場合、第1の住戸端末16が応答信号を受信しても解錠を未実行であってもよい。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、マンション等の集合住宅に設置されるインターホンシステムに関するが、来訪者と居住者とが1対1で会話した後に解錠することを目的としたインターホンの基本機能に追加した機能に関する。実施例2では、追加した機能として、グループに含まれた住戸端末間においてセキュリティ発報がなされるが、実施例4は、実施例2に続く処理に関する。実施例4に係るインターホンシステム100、住戸端末16の構成は、図1、図2と同様のタイプである。また、実施例3に係るインターホンシステム100では、図16に示された処理が既になされている。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図24は、本発明の実施例4に係る住戸端末16の構成を示す。住戸端末16は、図16に示された第1住戸端末16a、つまり警報信号240を送信した第1住戸端末16aを想定する。住戸端末16では、図2に示された構成のうち、処理部70、通信部72が示される。また、処理部70は、図21(a)と同様に示される。さらに、住戸端末16には、受信部92が接続される。
受信部92は、本住戸端末16が設置された住戸の玄関付近に取り付けられる。また、受信部92は、通信部72、IF部78を介して、解錠部90に接続される。受信部92は、例えば、RFID(Radio Frequency Identifier)のリーダによって構成される。受信部92は、ID情報を埋め込んだRFタグからの信号であって、かつ電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信信号を受信可能である。受信部92は、RFタグからの信号を受信した場合、受信した結果を通信部72、IF部78を介して、解錠部90に出力する。
解錠部90は、本住戸端末16の通信部72が警報信号240を送信した場合に、送信した結果を通信部72から入力する。また、解錠部90は、受信部92から受信した結果も入力する。解錠部90は、送信した結果を入力し、かつ受信した結果を入力した場合に、電子錠を解錠する。
この状況は、図16を使用すると、次のように説明される。前述のごとく、第1住戸端末16aは、図24の住戸端末16に対応しており、警報信号240を送信する。第2住戸端末16b、第3住戸端末16cは、警報信号240を受信すると、セキュリティ発報を通知する。その結果、第2住戸端末16bが設置された住戸と、第3住戸端末16cが設置された住戸の少なくとも一方の居住者は、RFタグを所持しながら、第1住戸端末16aが設置された住戸に移動する。第1住戸端末16aが設置された住戸の玄関付近に取り付けられた受信部92にRFタグがかざされると、解錠部90は、警報信号240を送信した結果と、RFタグからの信号を受信した結果をともに取得する。その結果、第1住戸端末16aが設置された住戸の電子錠が解錠される。
以上の構成によるインターホンシステム100の動作を説明する。図25は、住戸端末16による解錠処理手順を示すフローチャートである。通信部72が警報信号240を送信し(S160のY)、受信部92がRFタグからの信号を受信している場合(S162のY)、解錠部90は、電子錠を解錠する(S164)。通信部72が警報信号240を送信しない場合(S160のN)、あるいは受信部92がRFタグからの信号を受信しない場合(S162のN)、処理が終了される。
本発明の実施例によれば、特定のRFタグを所持した人だけに対して解錠するので、安全性を向上できる。また、警報信号を送信し、かつ特定のRFタグからの信号を受信した場合に解錠するので、安全性を向上できる。また、特定のRFタグを所持した人しか解錠できないので、擬似の応答信号を送信するなどして電子錠を解錠して侵入しようとする不審者の侵入を防止できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。第1の住戸端末16が設置された住戸の電子錠を解錠可能である解錠部90と、解錠部90に接続され、かつ特定の信号を受信可能である受信部92をさらに備えてもよい。解錠部90は、第1の住戸端末16が警報信号を送信し、かつ受信部92が特定の信号を受信した場合に、電子錠を解錠してもよい。
(実施例5)
次に、実施例5を説明する。実施例5は、これまでと同様に、マンション等の集合住宅に設置されるインターホンシステムに関するが、来訪者と居住者とが1対1で会話した後に解錠することを目的としたインターホンの基本機能に追加した機能に関する。実施例5は、集合住宅の居住者間のコミュニティを形成するために、グループの情報をグループ通信以外に活用することに関する。実施例5に係るインターホンシステム100、住戸端末16の構成は、図1、図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
図26(a)−(b)は、本発明の実施例5に係るインターホンシステム100による処理の概要を示す。図26(a)は、図4(a)と同様に、制御装置12の記憶部116に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。ここでは、図4(a)でのテーブルに対して、共通属性情報が追加されている。共通属性情報は、グループに含まれる複数の住戸端末16のそれぞれが設置された住戸の居住者に共通の属性を示し、例えば、「XX小学校」、「テニス」、「自治会」、「ゴルフ」のように所属や趣味等の分野である。なお、共通属性情報は、住戸端末16の記憶部80、ロビーインターホン10、サーバ装置28のそれぞれに記憶されるグループの情報に付加されてもよい。
図26(b)は、住戸端末16の表示部82に表示される電子掲示板の画面を示す。これは、制御装置12あるいはサーバ装置28に備えられた電子掲示板サーバ機能、電子掲示板情報の配信機能によって提供される。住戸端末16は、ブラウザ機能を有しており、表示部82によって電子掲示板を閲覧可能である。さらに、住戸端末16は、ブラウザ機能によって電子掲示板への書き込みも可能である。このような状況下において、制御装置12あるいはサーバ装置28は、記憶部116等に記憶されたテーブルであって、かつ図4(a)、図26(a)に示されたテーブルをもとに、グループ内の住戸端末16のみが書き込みまたは閲覧可能な電子掲示板を提供する。
本発明の実施例によれば、グループの共通属性が設定されているので、同じ嗜好のグループの形成を促進できる。また、グループに対する電子掲示板が提供されるので、同じ嗜好を有する居住者同士の情報交換を容易にできる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例1乃至5において、作成部112、管理部114、要請部118、問い合せ部120は、まとめて制御装置12あるいは住戸端末16に含まれている。しかしながらこれに限らず例えば、これらは、ロビーインターホン10に含まれてもよく、サーバ装置28に含まれてもよい。さらに、作成部112、管理部114、要請部118、問い合せ部120は、制御装置12、住戸端末16、ロビーインターホン10、サーバ装置28のうちの2つ以上に分けられながら含まれてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
本実施例2乃至4において、警報信号240、応答信号250、応答信号252は、住戸端末16間において通信される。しかしながらこれに限らず例えば、警報信号240、応答信号250、応答信号252は、制御装置12を介して通信されてもよい。変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
本実施例1乃至5において、インターホンシステム100はマンション等の集合住宅に設置されている。しかしながらこれに限らず例えば、インターホンシステム100は、オフィスや工場等の建物内、あるいは建物外に設置されてもよい。本変形例によれば、本実施例の適用範囲を拡大できる。