JP2020020430A - 高圧ガス容器の固定構造および水素トレーラ - Google Patents
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Abstract
Description
ただし、発明による固定構造は特許文献1の例とは異なり、上記の各パネルについて、複数形成された上記支持孔の位置が、上記縁部同士を突き合わせて積み重ねられた隣接の(つまり上下に隣接する)パネル2枚において鉛直線上に並んでおらず、かつ、各パネルが、固定用フレームとして設けられた一対の支持柱の間に横長方向の端部を挿入して固定されていることを特徴とする。図1に示すものは本発明の一例であり、上記の特徴を有している。
a) 上下に隣接するパネル2枚において、支持孔の位置(したがって高圧ガス容器の中心線の位置)が鉛直線上に並んでいない(すなわち、いわゆる千鳥配置またはそれに近い配置となっている)。そのため、各パネルの上下(高さ)方向の寸法を高圧ガス容器の直径以下にすることが可能で、限られたスペースに多数の高圧ガス容器を固定することができる。
たとえば、高圧ガス容器の位置が鉛直線上に並んだ図9(b)の例では、上下の容器間の接触を防止する目的で上下の各段間に各容器の直径を超える間隔が必要になり、各パネルの上下方向寸法を容器の直径よりも大きくしなければならない。図10の例でも、パネルに相当する拘束部材の上下方向寸法は容器の直径より大きい。しかし、発明の固定構造では、高圧ガス容器の位置を鉛直線上に並べないため、図1(a)に示すとおり、上下各段間の容器の間隔、すなわち各パネルの上下方向寸法を、容器の直径と同じかまたはそれより短くすることができる。こうして容器の上下間間隔を短くできると、限られたスペース内に多数の高圧ガス容器を固定できることになる。
b) パネルの高さ寸法を高圧ガス容器の直径以下にすると、積み重ねるとき左右方向へのパネルの位置が正しくなかった場合や左右に移動した場合等に、高圧ガス容器同士が衝突したり不適切な力を受けたりする恐れがある。しかし、発明による固定構造では、上記のように各パネルが固定用フレーム(図1の符合30)の一対の支持柱(同32・33)の間に挿入されることから、そのような不都合が生じない。そして、各パネルが支持柱間に挿入されて固定されることから、高圧ガス容器がしっかりと安定的に支持される。
上記のように各パネルの支持孔の位置を定めるとともに、各パネルの上下方向寸法(高圧ガス容器間の上記の間隔に相当する)を容器胴部の直径以下にすることで、高圧ガス容器の配置を最も効果的にコンパクト化することが可能になる。
高圧ガス容器のネック部を、それが挿通されたパネル自体によって保持するためには、パネルそのものに相当の厚みをもたせる必要がある。厚みがないと、ネック部を十分に拘束することができず、また高圧ガス容器から作用する力により簡単に変形するため当該容器をしっかりと固定することができないからである。しかし、そのためにパネルの全体を厚くすると、やはりパネルが重くなり、設備コストも取扱いコストも増加してしまう。上記のように各パネルの各支持孔にブラケットを取り付け、高圧ガス容器のネック部をそれらブラケットに挿通して拘束するなら、各パネルの重量化を抑制できるとともに、ネック部の拘束ないし保持を確実化することが可能である。
各パネル(の主面)に上記の各支持孔のみが開いているとすると、複数の高圧ガス容器を各パネルに取り付けて積み上げた状態では、容器の状況や、場合によっては容器の有無を外側から観察することが難しくなる。その点、上記した開口が各パネルに設けられていると、上記ネック部の先端の側から、その開口を通して高圧ガス容器の胴部をいつでも観察することができ、各容器の概略の状況を確認したり容器の数をチェックしたりすることが容易になる。
固定された状態の複数の高圧ガス容器のそれぞれには、ガスを供給するための配管が接続される。その配管は、各部に分岐・合流部分を有するうえ、安全弁や各種の調整弁、各種の計器類等を付属させたものであるため、全体として相当の長さがあり重量を有している。そのため、各種の弁や計器類を含む配管が適切なフレーム類により支持されているのが好ましい。上記のように、高圧ガス容器を支持する上記のパネルに配管支持用の適切な部材が取り付けられていて、その部材に配管等を支持させることができるなら、他に専用のフレーム類を設けることなく配管系を効果的に支持することができる。
そのような水素トレーラでは、複数の高圧ガス容器が、コンパクトなスペースに収められるとともに安定的に固定されるからである。高圧ガス容器の搭載高さを抑制できることから、低重心にしてトレーラの走行を安定化させるという利点もある。
発明の水素トレーラによれば、複数の高圧ガス容器が所定のスペース内にコンパクトに収められ、かつ、しっかりと安定的に固定される。高圧ガス容器を複数搭載した状態の車両を低重心化する上でも有利である。
高圧ガス容器1は、図2(a)〜(c)に示すように円筒状(略円筒状)の胴部1aを有し、その両端にその胴部1aよりも小径のネック部1bが設けられた容器であり、胴部1a内に高圧ガスが充填される。高圧ガス容器1は、アルミ合金等の軽量金属製容器の外側に炭素繊維等の繊維層を積層した複合容器であり、内部に350気圧以上の圧力で水素等を充填することができる。両端のネック部1bのうち一方にはガスの供給用の元弁(図示省略)が設けられる。
なお、上記のブラケット11には、容器1のたわみ等によってネック部1bの角度が変化することに追随できるよう、球面部材を含む軸受構造を含めると好ましい。また、温度や圧力に応じて容器1の長さが変化し得ることに対応すべく、1本の容器1に使用する2個のブラケット11のうち一方は、ネック部1bをスライド可能に支持するものにするとよい。
ただし、図1(a)に示すとおり、上下に隣接する各段において、パネル10内の高圧ガス容器1の数および配置を異ならせることにより、高圧ガス容器1の位置が鉛直線上に並ばないようにしている。つまり、図2(a)では1対のパネル10間に4本の高圧ガス容器1を組み付けた連結体22を示したが、それとは別に、1対のパネル10間に5本の高圧ガス容器1を異なる配置で組み付けた連結体21を、図1(a)のように連結体22と交互に積み重ねている。そうすることにより上下各段の高圧ガス容器1の間隔(上下方向の間隔)を狭めて、当該容器1のコンパクトな配置を可能にしている。図1の例では、各段の間隔、すなわちパネル10の高さ寸法を、高圧ガス容器1の胴部1aの直径と同等程度以下にまで小さくしている。
こうした支持柱32・33の間にパネル10を挿入することとすると、パネル10の位置が左右へずれる恐れがないため、上下の高圧ガス容器1同士が接触することが確実に防止される。また、上下のパネル10同士が連結されるだけでなく、すべてのパネル10が支持柱32・33によって支えられるため、各容器1が安定的に固定される。
各パネル10は、前面または後面に該当する主面10aに、上記のように高圧ガス容器1のネック部1bを挿入できる支持孔10bが等間隔に4箇所または5箇所形成されている。主面10aの上下各縁部には、隣接する上段または下段のパネル10等と確実に積み重ねられ連結されるための屈曲部10cが設けられている。また、横長の主面10aの左右端部には、固定用フレーム30(図4参照)の支持柱32または33に近接してそれらと接合される屈曲部10dが形成されている。屈曲部10cは、容器1のネック部1bの端部寄り(外向き)に屈曲し、屈曲部10dはそれとは逆に容器1の胴部1a寄り(内向き)に屈曲している。屈曲部10cには、隣接する上段または下段のパネル10との間で連結されるためのボルトの挿通孔が複数設けられ、屈曲部10dには、上記支持柱32または33との間で連結されるためのボルトの挿通孔が複数設けられている。屈曲部10c・10dは、主面10aと連続する部材を90°だけ曲げ加工することにより形成されているが、それに代えて山形鋼などの付加部材を主面10aの該当箇所に溶接等して同様に形成するのもよい。
また、各パネル10に配管等の支持部材を取り付けておくのも好ましい。高圧ガス容器1と接続された配管やその付属機器を、その支持部材によってサポートするためである。
図4に示す固定用フレーム30は、鋼板製のベースプレート31の上面に、上方へ延びた形鋼製の2組の支持柱32・33を立設したものである。それら支持柱32・33に、連結体21・22の各パネル10(の左右端部の屈曲部10d)との連結のための挿通孔32a・33aがそれぞれ形成されている。また、ベースプレート31の上面には、最下段の連結体21のパネル10(の下方縁部の屈曲部10c)の連結孔に挿入される連結ボルト30aが上向きに固定されている。
上部固定用フレーム40は、左右に延びた平行なアーム41・42を連結梁43に取り付けたものである。各アーム41・42の下面には挿通孔(図示せず)が形成され、これら挿通孔を、最上段にある連結体21のパネル10の上方縁部の挿通孔と通じさせてボルト(図示省略)により連結することができる。さらに、各アーム41・42の両端部は、固定用フレーム30の支持柱32・33に対してボルトにより連結することができる。ボルト等を利用した上記各部の連結が完了すると、5段に積み重ねられた高圧ガス容器1の連結体21・22は、左右および上下のいずれの側でも固定用フレーム30・40と一体化され、安定的に固定された状態となる。
なお、図7・図8の例において、高圧ガス容器1の元弁に配管類を介して接続されている各種の計器や操作バルブ等は、台車上の後端部に近い位置にまとめて設置するのも好ましい。
1a 胴部
1b ネック部
10(10A・10B・10C・10D・10E) パネル
10a 主面
10b 支持孔
10c・10d 屈曲部(主面と直角な部分)
11 ブラケット
21・22 連結体
30 固定用フレーム
32・33 支持柱
40 上部固定用フレーム
50 構造体
A・B 水素トレーラ
Claims (7)
- 筒状の胴部の両端部に当該胴部よりも小径のネック部を有する複数の高圧ガス容器を、上下の複数段にわたり結合して固定するために、
2枚の横長のパネルが上記容器の長さ方向に間隔をあけて平行に配置され、各パネルに複数形成された支持孔のそれぞれに上記ネック部が挿入され保持されることによって横並びに複数の上記容器が平行に支持され、各パネルが、上下の縁部同士を突き合わせて積み重ねられている高圧ガス容器の固定構造であって、
上記の各パネルについて、複数形成された上記支持孔の位置が、上記縁部同士を突き合わせて積み重ねられた隣接のパネル2枚において鉛直線上に並んでおらず、かつ、各パネルが、固定用フレームとして設けられた一対の支持柱の間に横長方向の端部を挿入して固定されている
ことを特徴とする高圧ガス容器の固定構造。 - 上記の各パネルにおける上記支持孔の位置は、上記隣接のパネル2枚において、一方のパネルにおける支持孔が、他方のパネルに設けられた各支持孔間の中央位置を通る鉛直線上に設けられていること、
および、各パネルの上下方向寸法が、高圧ガス容器における胴部の直径以下であること
を特徴とする請求項1に記載した高圧ガス容器の固定構造。 - 上記の各パネルは、上記積み重ねのための上下の縁部に、曲げ加工または付加部材の溶接によってそのパネルの主面と直角な部分を設けたものであることを特徴とする請求項1または2に記載した高圧ガス容器の固定構造。
- 上記各パネルの各支持孔に、そのネック部を挿入し拘束することができるブラケットが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した高圧ガス容器の固定構造。
- 上記の各パネルに、高圧ガス容器の上記ネック部の先端の側から上記胴部の側を観察することを可能にする開口が、上記支持孔とは別に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した高圧ガス容器の固定構造。
- 上記の各パネルに、高圧ガス容器と接続された配管を支持するための部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載した高圧ガス容器の固定構造。
- 水素が充填された高圧ガス容器が、請求項1〜6のいずれかに記載した固定構造によって台車上に複数搭載されていることを特徴とする水素トレーラ。
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