JP2020020393A - 摺動部材 - Google Patents

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周作 西室田
Shusaku Nishimurota
周作 西室田
絢亮 武川
Kensuke Takegawa
絢亮 武川
彰 恩田
Akira Onda
彰 恩田
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Abstract

【課題】摺動面の表面粗さなど摺動面の状態に関する値を向上することができる摺動部材を提供する。【解決手段】摺動部材1は、不織布からなる基材2と、この基材2に含浸されたベース樹脂3と、を有している。摺動部材1における摺動面の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0μmの範囲である。さらに、摺動部材1の構成については、不織布は、ポリフェニレンサルファイド繊維からなり、ベース樹脂3は、フェノール樹脂からなることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、滑り軸受の摺動層等に好適な摺動部材に関する。
従来、水車などの滑り軸受の摺動層に使用される摺動部材は、耐摩耗性、耐荷重性などが要求される。このような要求を満たす摺動部材として、布などの基材にベース樹脂を含浸した摺動部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の摺動部材は、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという。)繊維の片撚り糸からなる双糸を経糸及び緯糸として形成した織布を基材とし、この基材に四ふっ化エチレン樹脂が分散含有されたレゾール型フェノール樹脂を含浸させたものである。
摺動部材は円筒状に形成され、軸受を軸に対して適切な寸法とするために摺動面が切削加工される。摺動部材を切削加工すると、織布の撚り糸が毛羽立ちを生じて表面粗さが大きくなる。例えば、水力発電用の水車の水潤滑軸受として適用した場合、表面粗さが大きいと流体潤滑状態を取りにくくなり、充分な摩擦損失の低減が得られずに、発電効率を悪化させる。このため、表面粗さを小さくするために、切削加工後、手作業での研磨などの対応が必要となり、工数の増加や製造コストアップにつながっていた。
特許第5859183号公報
そこで、滑り軸受の摺動部材における摺動面の表面粗さなどを向上させてさらなる滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できればよい。
本発明の目的は、摺動面の表面粗さなど摺動面の状態に関する値を向上することで、さらなる滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できる摺動部材を提供することにある。
[1]上記目的を達成するため、本発明の摺動部材は、
不織布からなる基材と、
前記基材に含浸されたベース樹脂と、を有する摺動部材であって、
前記摺動部材の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0(μm)であることを特徴とする。
かかる構成によれば、摺動部材は、不織布からなる基材を有するので、織布のように繊維から撚糸を作製して布地に織る必要がなく、不織布は繊維同士を接着あるいは絡合させることで作製させるため、織布に比べて製造コストが低くすることができる。さらに、摺動面を加工しても、織布からなる摺動部材のように撚り糸が毛羽立ちを生じないので、加工面であっても表面粗さを向上させることができる。さらに、摺動部材の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0(μm)であるので、織布からなる摺動部材の切削加工された加工面に比較して表面粗さを約1/10程度に小さくすることができ、摺動面と回転軸との摩擦を低減することができる。結果、摺動面の表面粗さなど摺動面の状態に関する値を向上することで、さらなる滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できる。
[2]また、本発明の摺動部材において、
前記不織布は、ポリフェニレンサルファイド繊維からなり、
前記ベース樹脂は、フェノール樹脂からなることが好ましい。
かかる構成によれば、不織布は、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという。)繊維からなるので、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性に優れ、吸湿性、吸水性が小さく水分率を低減することができる。ベース樹脂は、フェノール樹脂からなるので、PPS繊維との親和性を向上させ、PPS繊維からなる不織布に十分に含浸させて接着強度を向上させることができる。結果、摺動面を良好に保つことができる。
[3]また、本発明の摺動部材において、
前記摺動部材は円筒状に形成され、
前記摺動面としての内周面の算術平均粗さRaは、0.6〜1.2(μm)の範囲に含まれていることが好ましい。
かかる構成によれば、PPS不織布からなる摺動部材を例えば軸受の内周面としたときに、内周面の算術平均粗さRaは、0.6〜1.2(μm)であるので、PPS不織布からなる摺動部材の内周面(摺動面)の算術平均粗さを、PPS織布からなる摺動部材の内周面(摺動面)の算術平均粗さの値よりも小さくなると共にばらつきも小さくなる。結果、摺動面の表面粗さなど摺動面の状態に関する値を向上することで、より滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できる。
本発明の一実施形態に係る摺動部材を模式的に示す断面図である。 摺動部材の製造工程の一例を示す図である。 プリプレグを積層した摺動部材の斜視図である。 円筒状の摺動部材の斜視図である。 図5Aは比較例の織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す正面図である。図5Bは比較例の織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す断面図である。図5Cは比較例の織布を基材にした摺動部材の摺動面のプロファイルを示す図である。 図6Aは第1実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す正面図である。図6Bは第1実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す断面図である。図6Cは第1実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面のプロファイルを示す図である。 図7Aは第2実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す正面図である。図7Bは第2実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す断面図である。図7Cは第2実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面のプロファイルを示す図である。 図8Aは第3実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す正面図である。図8Bは第3実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面を示す断面図である。図8Cは第3実施例の不織布を基材にした摺動部材の摺動面のプロファイルを示す図である。 吸水膨潤試験の結果を示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、本発明の実施形態に係る摺動部材1は、例えば滑り軸受において、軸に対して摺動する軸受の摺動面4(図6B参照)に用いられる。
摺動部材1は、PPS繊維の不織布からなるシート状の基材2と、基材2に含浸されたベース樹脂3と、から構成されている。基材2に用いられる不織布は、PPS繊維からなり、ベース樹脂3はフェノール樹脂からなる。
基材2に用いられる不織布は、PPS繊維同士を熱で溶かして接着するサーマルボンド法で作製された、大きいテンションにも耐え得る強度を有するものであることが好ましい。サーマルボンド法で作製されたPPS繊維の不織布とすることで、基材2にベース樹脂3を含浸する樹脂含浸工程におけるライン張力に耐えられ、且つ、適度な含浸性を有することができる。
また、PPS繊維同士をバインダ(ケミカルボンド)で接着するバインダ法でも、大きいテンションにも耐え得る強度を有する。サーマルボンド法やバインダ法で不織布を作製することで、繊維同士を高圧水流で絡合させるスパンレース法、繊維同士をニードルリングして絡合させるニードルパンチ法等で作製された絡合タイプの不織布よりも、摺動部材1の製造工程において与えられるテンションの大きさによって繊維同士の絡みがほどけることが低減される。
なお、基材2に用いられる不織布は、サーマルボンド法、バインダ法、スパンレース法、ニードルパンチ法で作製することに限定されず、不織布であれば他の方法で作製されていても差し支えない。
また、基材2としてサーマルボンド法で作製された不織布を用いる場合には、繊維同士の融着点がフィルム化していないものを用いることが好ましい。繊維同士の融着点がフィルム化していない不織布を基材2に用いることにより、基材2全体において繊維とベース樹脂3とのアンカー効果が発揮され、密着性が向上する。このため、基材2からベース樹脂3の剥離を防止することができる。
フェノール樹脂からなるベース樹脂3には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)粉末が添加されている。ベース樹脂3にPTFE粉末を添加することで、摺動部材1は、潤滑性が改善され、摩擦摩耗特性を向上することができる。
次に摺動部材1の製造工程の一例を説明する。図2に示すように、製造装置10において、アンコイラ11に巻かれたPPS繊維の不織布からなる基材2は、ローラ12によって容器13に送られる。容器13には、PTFE粉末と、フェノール樹脂からなるベース樹脂3と、を含む混合液14が貯留されている。
基材2は、容器13内に設けられた案内ローラ15、16によって容器13内に貯留された混合液14内を通過させられ、不織布が混合液14に浸される。基材2は、送りローラ17により圧縮ローラ21、22に送られ、圧縮ローラ21、22によって、混合液14が基材2(不織布)の内部まで含浸される。
混合液14が含浸された基材2は、乾燥炉23に送られ、乾燥炉23内で溶剤が飛ばされることで、成形可能なプリプレグが作製され、ロール24に巻き取られる。
図3に示すように、摺動部材1と裏金31とからなる摺動体30は、図2で得られた摺動部材1用の半製品であるプリプレグを矩形状に切断し、同様に切断された裏金31用のプリプレグと共に必要枚数積層して型に入れて加熱加圧装置で例えば140〜160℃の温度で加熱し、4.9〜7MPaの圧力で加圧成形して得られたものである。このように、摺動部材1用のプリプレグと裏金31用のプリプレグとを積層し、加熱加圧成形することで、含有される熱硬化性樹脂を硬化させて摺動体30が得られる。
裏金31用のプリプレグは、摺動部材1用のプリプレグと同様の製造方法で得られるが、裏金31用のプリプレグは、摺動部材1のようにPPS繊維からなる不織布とするのではなく、例えばPPS繊維からなる樹脂含浸織布が用いられる。なお、実施形態では、裏金31用のプリプレグを樹脂含浸織布としたが、これに限定されず、裏金31用のプリプレグを、摺動部材1と同様の不織布にしてもよく、すなわち、摺動体30を摺動部材1のみで形成してもよく、ガラス繊維の織布または不織布、炭素繊維の織布または不織布などの無機繊維の織布または不織布にしてもよく、アラミド繊維の織布または不織布、ポリエステル繊維の織布または不織布などの有機繊維の織布または不織布にしてもよく、摺動体30の用途や使用条件に応じて適宜選択されて使用される。
図4は、円筒状の摺動体30であり、摺動部材1が内周面側となるように裏金31と一体的に接合したものである。摺動体30を円筒状とすることで軸受として使用することができる。
次に円筒状とした摺動体30の内周側に設けられた摺動部材1について説明する。円筒状に成形した実施形態のPPS不織布からなる基材2を含む摺動部材1の4つの試験体S1、S2、S3、S4と、比較例のPPS織布からなる基材を含む摺動部材の試験体C1とを作製して比較し、それぞれの摺動部材の摺動面の状態について詳細に説明する。
実施形態の試験体S1、S2、S3、S4及び比較例の試験体C1の試験体寸法は、内径φ60mm、外径φ75mm、長さ50mmの円筒状である。PPS不織布及びPPS織布は全て同一材料で、ベース樹脂の含浸率が約60%となるように調製されている。
表1は、実施形態の試験体S1、S2、S3、S4と比較例の試験体C1の組成を示している。
試験体S1、S2、S3、S4、C1の内周面(摺動面4)は、ノーズRが0.4mmと0.8mmの2種類の超硬合金の切削工具それぞれで、加工条件を回転数(速度)1800rpm(340m/min)、送り0.06mm/rev、切込み深さ0.4mmで加工されている。表2は、ノーズRが0.4mmの切削工具で加工した試験体S1、S2、S3、S4、C1の内周面(摺動面4)の算術平均粗さ(Ra)の測定結果を示している。
表3は、ノーズRが0.8mmの切削工具で加工した試験体S1、S2、S3、S4、C1の内周面(摺動面4)の算術平均粗さ(Ra)の測定結果を示している。
これらの表2及び表3を参照すると分かるように、比較例1の試験体C1と、実施例1〜4の試験体S1、S2、S3、S4それぞれの算術平均粗さRaを比較すると、PPS不織布からなる試験体S1、S2、S3、S4の算術平均粗さRaは、PPS織布からなる試験体C1の算術平均粗さRaよりも小さい。すなわち、通常の同じ加工条件であっても、PPS不織布からなる摺動部材1の摺動面(加工面)4は、PPS織布からなる摺動部材の摺動面(加工面)よりも表面粗さが小さい。
また、実施例1〜4の試験体S1、S2、S3、S4の摺動部材1の摺動面(加工面)4の算術平均粗さRaは、0.67〜1.129μm(おおよそ0.6〜1.2μm)であり、比較例1の摺動部材の摺動面(加工面)の算術平均粗さRaは、1.57〜4.497μmである。PPS不織布からなる摺動部材1の摺動面(加工面)4は、PPS織布からなる摺動部材の摺動面(加工面)よりも表面粗さのばらつきが小さい。
次に切削加工面を観察するために、プリプレグを矩形状に切断するとともに板状に成形した実施形態のPPS不織布からなる基材2を含む摺動部材1の3つの試験体T1、T2、T3と、比較例のPPS織布からなる基材を含む摺動部材の試験体C2とを作製して比較し、それぞれの摺動部材の摺動面の状態について詳細に説明する。
表4は、実施形態の試験体T1、T2、T3と比較例の試験体C2の組成を示している。なお、摺動部材1の3つの試験体T1、T2、T3は、通気度が異なる3種類の基材2を用い、ベース樹脂の含浸率が約60%となるように調製されている。
なお、PTFEの一例として、喜多村社製の「KTL−2N(商品名)」が挙げられる。また、比較例の摺動部材100は、PPSの織布からなる基材に、PTFE粉末を添加材としたフェノール樹脂からなるベース樹脂を含浸したものである。
表4の試験体C2、T1、T2、T3のそれぞれに対して、同一条件で摺動面にフライス盤による切削加工を施した。詳細には、切削条件を、通常の超硬合金の切削工具で、切削速度を100m/mim、送りを150mm/min、切込み深さを0.1mmとして切削加工を施した。結果、表5に挙げる摺動面の状態を得られた。なお、実施形態では、切削条件を上記の値としたが、これに限定されず、摺動部材の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0μmとなれば、切削条件が上記範囲外の値であってもよい。
表5は、試験体T1、T2、T3、C2それぞれの摺動面における、算術平均粗さRa、最大高さRz、十点平均粗さRzjisを示している。
この表5を参照すると分かるように、比較例2の試験体C2と、実施例1〜3の試験体T1、T2、T3それぞれの算術平均粗さRaは異なる。実施例1〜3の試験体T1、T2、T3から、摺動部材1の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0μmであり、摺動部材1の最大高さRzは、9.0〜42.0μmであり、摺動部材1の十点平均粗さRzjisは、7.0〜29.0μmである。この結果から、同様の切削条件で切削加工を施した場合であっても、実施例1〜3の試験体T1、T2、T3の算術平均粗さ(μm)、最大高さ(μm)及び十点平均粗さ(μm)が、比較例2の試験体C2の算術平均粗さ(μm)、最大高さ(μm)及び十点平均粗さ(μm)よりも値が小さく、実施例1〜3の試験体T1、T2、T3は比較例2の試験体C2よりも加工面の状態が良好である。このため、本発明では、摺動面(加工面)の滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できる摺動部材を提供することができる。
次に、比較例2の試験体C2と、実施例1〜3の試験体T1、T2、T3それぞれの摺動面の状態を図面で説明する。
まず、比較例2の試験体C2について説明する。
図5Aに示すように、比較例2の試験体C2の摺動面は、基材102が織布であるため、PPS繊維がまとまって点在しており、基材102とベース樹脂103とがムラがある状態となっている。このため、フライス盤で摺動面を加工すると、基材102であるPPS繊維のまとまった部分が局所的に毛羽立つ状態となっている。
図5Bに示すように、比較例2の試験体C2の加工を施した摺動面(加工面104)の断面図では、基材102であるPPS繊維のまとまった部分で凹凸が形成されている。
図5Cに示すように、比較例2の試験体C2の加工を施した摺動面のプロファイルは、平坦ではなく、100μm程度の大きな凹凸が形成されている。
次いで、実施形態の試験体T1〜T3について説明する。
図6Aに示すように、実施形態の試験体T1の摺動面は、基材2が不織布であるため、PPS繊維が均一に分散しており、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合った状態となっている。このため、フライス盤で摺動面を加工しても、基材2であるPPS繊維が均一に分散しているため、局所的に毛羽立つ状態とならない。
図6Bに示すように、実施形態の試験体T1の加工を施した摺動面(加工面4)の断面図では、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合っていることから、摺動面(加工面4)が平坦である。
図6Cに示すように、実施形態の試験体T1の加工を施した摺動面のプロファイルは、比較例に比べて非常に平坦である。
図7Aに示すように、実施形態の試験体T2の摺動面は、基材2が不織布であるため、PPS繊維が均一に分散しており、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合った状態となっている。このため、フライス盤で摺動面を加工しても、基材2であるPPS繊維が均一に分散しているため、局所的に毛羽立つ状態とならない。
図7Bに示すように、実施形態の試験体T2の加工を施した摺動面(加工面4)の断面図では、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合っていることから、摺動面(加工面4)が平坦である。
図7Cに示すように、実施形態の試験体T2の加工を施した摺動面のプロファイルは、比較例に比べて非常に平坦である。
図8Aに示すように、実施形態の試験体T3の摺動面は、基材2が不織布であるため、PPS繊維が均一に分散しており、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合った状態となっている。このため、フライス盤で摺動面を加工しても、基材2であるPPS繊維が均一に分散しているため、局所的に毛羽立つ状態とならない。
図8Bに示すように、実施形態の試験体T3の加工を施した摺動面(加工面4)の断面図では、基材2とベース樹脂3とが均一に混じり合っていることから、摺動面(加工面4)が平坦である。
図8Cに示すように、実施形態の試験体T3の加工を施した摺動面のプロファイルは、比較例に比べて非常に平坦である。
以上に説明したように、摺動部材1は、不織布からなる基材2を有するので、織布のように繊維から撚糸を作製して布地に織る必要がなく、不織布は繊維同士を接着あるいは絡合させることで作製するため、織布に比べて製造コストを低くすることができる。さらに、摺動面を切削加工しても、織布からなる摺動部材のように撚り糸が毛羽立ちを生じないので、加工面4であっても表面粗さを向上(小さく)させることができる。
さらに、摺動部材1の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0μmであるので、織布からなる摺動部材の切削加工された加工面104に比較して表面粗さを最大で1/10程度に小さくすることができ、摺動面と回転軸との摩擦を低減することができる。このように、摺動面の表面粗さなど摺動面の状態に関する値を制御することで、さらなる滑性及び耐摩耗性などの性能が向上できる。
さらに、不織布は、PPS繊維からなるので、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性に優れ、吸湿性、吸水性が小さく水分率を低減することができる。ベース樹脂は、フェノール樹脂からなるので、PPS繊維との親和性を向上させ、PPS繊維からなる不織布に十分に含浸させて接着強度を向上させることができる。結果、摺動面を良好に保つことができる。
試験片形状を、縦幅28mm、横幅28mm、厚さ5mmとし、基材102をPPS繊維からなる織布とした試験片M1〜M3と、基材2をPPS繊維からなる不織布とした試験片N1〜N3とを、水に浸漬して経過日数に対する肉厚増加率(厚さ5mmの増加率)(%)を計測する吸水膨潤試験を行った結果を図9に示す。その結果から、基材102を織布とした試験片M1〜M3よりも、基材2を不織布とした試験片N1〜N3の方が、肉厚増加率が小さいことが分かる。
このように、PPS繊維からなる不織布を基材2とした摺動部材1が、PPS繊維からなる織布を基材102とした摺動部材100よりも、水中での膨張も抑えられるといえる。
以上から、PPS繊維をからなる織布と、PPS繊維からなる不織布と、を採用した摺動部材1は、表6に挙げることが言える。なお、表6中、〇はかなり良好、△は良好、×はあまり良好ではない、として評価したものである。
表5から、加工性の表面粗さは、不織布の摺動部材(以下、不織布という。)が織布の摺動部材(以下、織布という。)より良好であり、不織布の算術平均粗さRaは、織布の算術平均粗さRaの約1/10となる。
また、摺動面の切削加工後の毛羽立ちについても、不織布の場合は毛羽立ちがほどんど見られず、織布に比べ良好である。
さらに、織布の場合は所望の摺動面を得るために切削加工後の摺動面を手作業で研磨する必要があるが、不織布の場合は切削加工後の摺動面をそのまま使用できることから、不織布は織布よりも加工工数を低減することができる。
なお、実施形態では、不織布にPPS繊維を使用したが、これに限定されず、ガラス繊維不織布やアラミド樹脂繊維不織布、PET繊維不織布などでもよく、摺動部材の算術平均粗さRaが、0.6〜4.0μmであれば、他の材料からなる不織布を使用しても差し支えない。
また、実施形態では、ベース樹脂にフェノール樹脂を採用したが、これに限定されず、不織布に含浸でき、使用時に剥離することが抑えられれば他の樹脂であっても差し支えない。また、実施形態では、添加剤としてPTFEを使用したが、一般的な他の添加剤を使用しても差し支えない。
1…摺動部材
2…基材(PPS)
3…ベース樹脂(フェノール樹脂)
4…加工面(摺動面)

Claims (3)

  1. 不織布からなる基材と、
    前記基材に含浸されたベース樹脂と、を有する摺動部材であって、
    前記摺動部材の摺動面の算術平均粗さRaは、0.6〜4.0(μm)の範囲に含まれていることを特徴とする摺動部材。
  2. 請求項1記載の摺動部材であって、
    前記不織布は、ポリフェニレンサルファイド繊維からなり、
    前記ベース樹脂は、フェノール樹脂からなることを特徴とする摺動部材。
  3. 請求項1又は請求項2記載の摺動部材であって、
    前記摺動部材は円筒状に形成され、
    前記摺動面としての内周面の算術平均粗さRaは、0.6〜1.2(μm)の範囲に含まれていることを特徴とする摺動部材。
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