JP7347719B1 - 一体化成形体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、従来技術に対し、より設計自由度の高い形状を付与することで、高い意匠性をもつ一体化成形体を提供することを課題とする。上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、連続繊維と樹脂とを有するプリプレグを層として含む積層体と樹脂部材とが一体化されてなる一体化成形体であって、前記積層体は、厚み方向における一方の面が意匠面側であり、意匠面側の面と反対の面が非意匠面側であって、前記積層体は、厚み方向に貫通された貫通穴を有し、前記樹脂部材は、前記積層体の意匠面側表層に面する前記貫通穴からの露出面を含む部位と、前記積層体の非意匠面側表層と接合する、前記積層体とのオーバーラップ部位とを有する、一体化成形体である。

Description

本発明は、例えばパソコンやOA機器、携帯電話等の部品や筐体部分として用いられる軽量、高強度・高剛性でかつ薄肉化が要求される用途に適した一体化成形体に関する。
現在、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電子機器は高意匠化の要求が高まっている。その要求を達成するため、製品意匠面の設計自由度の向上が求められている。
特許文献1には、コア材を有したサンドイッチ構造体の意匠面側にスリットを入れ、コア材を圧縮させることで、シャープな輪郭を有する凹上部を形成する構成が開示されている。
特許文献2には、面状成形体に貫通孔を設けることで、打ち抜き模様として意匠性の付与をする構成が開示されている。
特開2019-098634号公報 特開2010-253938号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2については、サンドイッチ構造体または面状成形体を構成する積層体にスリットまたは貫通孔を加工するにあたり、複数のスリットまたは貫通孔を設けるとき、加工時の積層体に用いられている基材のバリや繊維抜け抑制のため、スリットまたは貫通孔には一定の距離を設けなければならないという課題があった。
本発明の目的は、このような従来技術に対し、より設計自由度の高い形状を付与することで、高い意匠性をもつ一体化成形体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る一体化成形体は以下の構成を採用している。すなわち、
(1)連続繊維と樹脂とを有するプリプレグを層として含む積層体と樹脂部材とが一体化されてなる一体化成形体であって、
前記積層体は、厚み方向における一方の面が意匠面側であり、意匠面側の面と反対の面が非意匠面側であって、
前記積層体は、厚み方向に貫通された貫通穴を有し、
前記樹脂部材は、前記積層体の意匠面側表層に面する前記貫通穴からの露出面を含む部位と、前記積層体の非意匠面側表層と接合する、前記積層体とのオーバーラップ部位とを有する、一体化成形体。
(2)前記オーバーラップ部位の最小厚みTbが0.2mm以上である、上記(1)に記載の一体化成形体。
(3)前記オーバーラップ部位の最小厚みTbとなる部分が、前記積層体の貫通穴の壁面から面内方向に最も遠い位置に形成される、上記(1)または(2)に記載の一体化成形体。
(4)前記オーバーラップ部位の最大厚みTa(mm)と最小厚みTb(mm)との比Tb/Taが0より大きく1より小さい、上記(3)に記載の一体化成形体。
(5)前記積層体と前記オーバーラップ部位との接合領域における前記積層体とオーバーラップ部位との合計の厚さが、前記オーバーラップ部位との非接合領域における積層体の厚さよりも薄い、上記(1)~(4)のいずれかに記載の一体化成形体。
(6)前記露出面を含む部位の表面に凹凸部を有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の一体化成形体。
(7)前記凹凸部の凹部の最大深さが意匠面側表面から0.1mm以上10mm以下である、上記(6)に記載の一体化成形体。
(8)前記積層体の外周部に配置した1または2以上の枠材と前記樹脂部材とが一体化されている、上記(1)~(7)のいずれかに記載の一体化成形体。
(9)前記積層体における前記貫通穴の壁面に切り欠きを有する、上記(1)~(8)のいずれかに記載の一体化成形体。
(10)前記凹凸部は、その周囲の部分と異なる意匠を設けられ、前記凹凸部が文字または模様を形成している、上記(6)~(9)のいずれかに記載の一体化成形体。
(11)前記凹凸部がロゴを形成している、上記(10)に記載の一体化成形体。
(12)電子機器筐体として使用される、上記(1)~(11)のいずれかに記載の一体化成形体。
本発明によれば、表面の設計の自由度の高い一体化成形体を得ることが可能となり、例えば、樹脂部材の表面に設けた凹凸部に、電子機器筐体のロゴ等を形成して、より高い意匠性を示すものとできる。
本発明の一実施形態に係る一体化成形体10の概略斜視図である。 図1のA-A´線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 多孔質基材からなるコア層22を設け、積層体20に薄肉部24を設けた場合の、図1のA-A’線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 オーバーラップ部位60にて、樹脂部材40の最小厚みとなる部分から最大厚みとなる部分までが曲面状に形成された場合の、図1のA-A’線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 積層体20にて、貫通穴30の意匠面側壁面に切り欠き70を設けた場合の、図1のA-A’線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 積層体20にて、貫通穴30の非意匠面側壁面に切り欠き70を設けた場合の、図1のA-A’線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 積層体20外周部に2種の枠材を配置し、その中の1つの枠材が樹脂部材40と面内方向における一部の方位において連続した形状とした場合の、図1のB-B’線に沿って見た一体化成形体10の厚さ方向における概略断面図である。 本発明における、積層体20面内に貫通穴30を有する一体化成形体10の概略斜視図である。
以下、実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は図や実施例に何ら限定されるものではない。
本発明に係る一体化成形体は、積層体と樹脂部材とが一体化されてなるものであって、積層体には、連続繊維と樹脂とを含むプリプレグが層を構成するものとして含まれ、例えばプリプレグを積層したものがあげられる。または、後述のようにプリプレグの間に発泡成形体または多孔質基材といったコア層が挟まれた構造のものも好ましく用いられる。
上記積層体は、厚み方向における一方の面が意匠面側である。積層体の表面そのものが意匠面であってもよく、後述のように、積層体の表面にさらに別の基材を設けて意匠面としてもよい。積層体の意匠面側と厚み方向上の反対の側は非意匠面であって、前記積層体は、その厚み方向に図8に示すように、非意匠面まで貫通された貫通穴を有する。
上記樹脂部材は、上記積層体に一体化される部材であって、一体化された例は意匠面側からの外観は図1に示す通りとなり、図1のA-A´線に沿って見ると図2~7に示すとおりであるが、樹脂部材は積層体における貫通穴の壁面内に存在し、積層体の意匠面側表層から露出する面を含む部位と、積層体の非意匠面側表層と接合するオーバーラップ部位とを有する。露出する面とオーバーラップ部位との間に存在する部位は、好ましくは貫通穴の壁面に接合されている。樹脂部材は、樹脂または樹脂組成物を含むものであり、樹脂または樹脂組成物のみからなるものであってもよく、ニーズに応じて繊維、粒子等が含まれることがあってもよい。ただし、後述する凹凸部を露出面に設けることを妨げるもの、例えば一方向繊維が樹脂または樹脂組成物内に隙間なく配列された構成は好ましくない。樹脂として好ましく用いられる種類については、後述のとおりである。
本発明に係る一体化成形体10は、図2に示すように、積層体20に設けられた貫通穴30に樹脂部材40が接合された構成からなる。積層体20の構成は、後述する図3のように、内部層にコア層22を設ける構成、また、後述する図7のように積層体20外周部に枠材を配置する構成等、一体化成形体10の用途、必要な性能に応じて決めればよい。
貫通穴30は、積層体20の面内に複数配置されても良く、本発明の利点を良好に生かすことができる。また、貫通穴30の形状は特に限定せず、円形、三角形や四角形などの多角形や弧形状等、要求される意匠性や用途、必要な形状に応じて決めればよい。また、一体化成形体を上面からみたときの貫通穴30の角部は、樹脂部材との接合の観点から、丸みを有することが好ましく、Rのサイズとしては、0.2mm以上30mm以下が好ましい。加工の生産性の観点から、より好ましくは、0.3mm以上10mm以下、さらに好ましくは、0.5mm以上1.0mm以下が好ましい。
また、貫通穴30の断面積に関しては、一体化成形体10の剛性及び質量の観点から、1つの貫通穴30あたり1~1000mmが好ましく、より好ましくは100~900mm、さらに好ましいのは200~800mmである。
貫通穴30の最小幅に関しては方向に指定はなく、射出樹脂での成形性の観点から、1mm以上が好ましく、より好ましくは、5~100mm、さらに好ましいのは10mm~50mmである。
本発明の一体化成形体において、前記積層体における前記貫通穴の壁面に切り欠きを有することが好ましい。貫通穴の壁面に切り欠きを有する一体化成形体の例を図5、図6に示す。図5及び図6に示すように、貫通穴30の形状に関して、積層体20の貫通穴30の壁面に切り欠き70がついていてもよい。図5のように貫通穴30の意匠面側の壁面に切り欠き70がついている場合、積層体20を樹脂部材40が挟み込む形となり、接合強度を向上させることが可能となる。また、図6のように貫通穴30の非意匠面側壁面に切り欠き70がついている場合、オーバーラップ部位の樹脂高さを増やさずに、樹脂の流動性を向上させることができる。
本発明の一体化成形体において、前記露出面を含む部位の表面に凹凸部を有することが好ましい。樹脂部材40の意匠面側の露出面を含む部位に、積層体20の厚み方向に凹凸部50を設ければ、一体化成形体に高い意匠性を付与することができる。
本発明の一体化成形体において、前記凹凸部は、その周囲の部分と異なる意匠を設けられ、前記凹凸部が文字または模様を形成していることが好ましい。具体的には、凹凸部に色や模様、文字、光沢を付与するため、塗装やシールを貼り付ける等の加飾をすることで、高い意匠性を付与することができる。本発明の一体化成形体において、前記凹凸部がロゴを形成していることが好ましい。凹凸部がロゴを形成するように用いることで、より視認性の高い、ロゴを形成することが可能である。
本発明の一体化成形体において、前記凹凸部の凹部の最大深さが意匠面側表面から0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。前記凹凸部の凹部の深さは、凹凸の強度の観点から0.2mm以上3mm以下であることがより好ましく、意匠性の観点から0.3mm以上1.5mm以下であることがさらに好ましい。なお、複数の凹部が存在し、それらの凹部の深さが互いに異なる場合は、最も深いものの深さを凹部の深さとする。
前記樹脂部材40は、図2に示すように、積層体20の意匠面側からの露出面を含む部位と、積層体20の非意匠面側表面との接合部位であるオーバーラップ部位とを有する。また、図7に示すように枠材と一体化した構成としてもよい。図7に示す態様では、非意匠面における一部の包囲(図中の左側に示す部分)にて樹脂部材40のオーバーラップ部位と枠材とが一体化している。
ここで、連続繊維と不連続繊維について定義する。連続繊維とは、一体化成形体に含まれる強化繊維が一体化成形体の全長または全幅にわたって実質的に連続して配置された様態のものをいう。一方、不連続繊維とは強化繊維が分断されて配置された様態のものをいう。一般的に、一方向に引き揃えた強化繊維に樹脂を含浸させた一方向繊維強化樹脂では連続繊維に該当し、プレス成形に用いるSMC(シートモールディングコンパウンド)基材、射出成形に用いる強化繊維が含有したペレット材料などでは不連続繊維に該当し、連続繊維とは、少なくとも100mm以上の長さにわたり連続した強化繊維を意味する。連続繊維は、少なくとも一方向に100mm以上の長さにわたり連続していることが好ましい。
プリプレグを構成する連続繊維として、本発明では、炭素繊維を用いることが好ましく、以下、連続炭素繊維という。連続炭素繊維としては、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維(黒鉛繊維を含む)が好ましく用いられる。中でも本発明においては、コストの観点からポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維と上記した他の炭素繊維とを併用することも好ましい。
連続炭素繊維としては、積層体20の剛性の点から、引張弾性率が好ましくは200~1000GPa、より好ましくは、プリプレグの取り扱い性の観点から280~900GPaの範囲内であるものが使用できる。炭素繊維の引張弾性率が200GPaよりも小さい場合は、サンドイッチ構造体の剛性が劣る場合があり、1000GPaよりも大きい場合は、炭素繊維の結晶性を高める必要があり、炭素繊維を製造するのが困難となる。炭素繊維の引張弾性率が前記範囲内であると、サンドイッチ構造体の更なる剛性向上、炭素繊維の製造性向上の点で好ましい。なお、炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7301-1986に記載のストランド引張試験により測定することができる。
連続炭素繊維に用いられる炭素繊維の密度としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の場合は、1.6g/cm以上2.0g/cm以下、剛性向上の観点から1.8g/cm以上2.0g/cm以下、ピッチ系炭素繊維の場合は2.0g/cm以上2.5g/cm以下、コストの観点から更には2.0g/cm以上2.3g/cm以下であることが好ましい。
プリプレグに用いられる樹脂としては、特に制限はなく、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の場合、例えば後述するコア層22で用いられる熱可塑性樹脂と同様の種類の樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂などを好ましく用いることができる。これらは、2種以上をブレンドした樹脂などを適用してもよい。この中でも、特に、エポキシ樹脂は、成形体の力学特性や、耐熱性の観点から好ましい。エポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために、使用する樹脂の主成分として含まれるのが好ましく、具体的には樹脂組成物当たり30質量%以上含まれることが好ましい。
プリプレグに含まれる連続炭素繊維の繊維質量維含有率は、積層体20の成形性、座屈特性の観点から、30~70質量%であることが好ましい。30質量%未満であると積層体20の座屈強度の発現が困難となる場合がある。70質量%を超えると樹脂が不足することで成形後の意匠性を損なう場合がある。より好ましくは62~68質量%である。
プリプレグ個々の厚みに関しては、積層体20の厚みの観点から、0.05~1.00mmであることが好ましい。さらに好ましくは、設計の自由度の観点から、0.05~0.20mmであることが好ましい。プリプレグ個々の厚みが0.05mmよりも薄い場合は、製造時、積層時の取り扱い性が困難になる場合がある。
また、積層体20を構成するに際して、強化繊維または樹脂の異なる2種類以上のプリプレグを用いて積層してもよく、要求される特性や材料の供給性、コストを考慮して構成を決めることが好ましい。
積層体20の厚みに関して、0.2mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは、最終製品の薄肉化、剛性の観点から0.5mm以上2.0mm以下が好ましい。
また、積層体20は図3に示すように、面内で厚み差を付与しても良い。図3に示すように、積層体20の薄肉部24と厚肉部25を設け、薄肉部24と樹脂部材40と接合することで、薄厚み化による剛性低下を抑制しつつ、一体化成形体を得ることが可能となる。
本発明において、積層体20の軽量化及び高剛性化の観点から、図3に示すように、プリプレグ21がコア層22の両側に配置されたサンドイッチ構造体であることが好ましい。
コア層22としては、発泡成形体または多孔質基材が好ましい。発泡成形体は発泡体樹脂から構成され、多孔質基材は不連続繊維と熱可塑性樹脂から構成される基材であることが好ましい。
コア層22に発泡成形体を用いる場合の樹脂の種類としては、上記に記載の熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はポリメタクリルイミド樹脂が好適に使用できる。具体的には、軽量性を確保するためにプリプレグより見かけ密度が小さい樹脂を用いることが好ましく、特に、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂又はポリメタクリルイミド樹脂が好ましく使用できる。例示した樹脂種については、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有してもよい。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
コア層22に多孔質基材を用いる場合、不連続繊維と熱可塑性樹脂とからなる前駆体を加熱によるスプリングバックにより厚さ方向に膨張させて空隙を形成させたものを用いることが好ましい。つまり、コア層22を構成する不連続繊維と熱可塑性樹脂とを含有する成形体を樹脂の軟化点または融点以上に加熱及び加圧した後、加圧を解除し、不連続繊維の残留応力解放時に元に戻ろうとする復元力、いわゆるスプリングバックにより膨張させることにより、コア層22内に所望の空隙を形成することができる。その復元過程において、一部の領域で一定の加圧手段等によりその復元作用を抑えると、空隙率を低く抑えることができる。
コア層22に用いられる不連続繊維に関しては、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や黒鉛繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維、および、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維などが用いられる。これらは、単独または2種以上併用して用いられる。これらの繊維素材は、表面処理が施されているものであっても良い。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などが挙げられる。上記繊維の中でも、軽量、剛性の観点からポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維(黒鉛繊維を含む)が好ましく用いられる。中でも本発明においては、生産性に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維がさらに好ましい。
コア層22について、構成する不連続繊維の繊維質量含有率は5~75質量%、熱可塑性樹脂の質量含有率が25~95質量%であることが好ましい。
コア層22の形成において、不連続繊維と熱可塑性樹脂の配合量比は、空隙率を特定する一つの要素である。成形品からの不連続繊維と熱可塑性樹脂の配合量比の求め方に特に制限はないが、例えば、コア層22に含まれる樹脂成分を除去し、残った不連続繊維のみの質量を測定することで求めることができる。コア層22に含まれる樹脂成分を除去する方法として、溶解法、あるいは焼き飛ばし法などを例示することができる。質量の測定には、電子はかり、電子天秤を用いることができる。測定する成形材料の大きさを100mm×100mm角とし、測定数はn=3で行い、その平均値を用いることができる。
コア層22における上記配合量比は、より好ましくは、不連続繊維が7~70質量%に対し熱可塑性樹脂が30~93質量%、さらに好ましくは不連続繊維が20~50質量%に対し熱可塑性樹脂が50~80質量%、特に好ましくは不連続繊維が25~40質量%に対し熱可塑性樹脂が30~75質量%である。不連続繊維が5質量%よりも少なく、熱可塑性樹脂が95質量%よりも多いと、スプリングバックが起きにくくなるため空隙率を高めることができず、コア層22に空隙率が異なる領域を設けにくくなる場合があり、その結果、積層体20と樹脂部材40との接合強度も低下することがある。一方、不連続繊維が75質量%よりも多く、熱可塑性樹脂が25質量%よりも少ないと、積層体20の比剛性が低下することがある。
本発明において、コア層22を構成する不連続繊維の数平均繊維長は、0.5~50mmであることが好ましい。不連続繊維の数平均繊維長を上記長さとすることで、コア層22のスプリングバックによる空隙の生成を確実なものとすることができる。数平均繊維長は、より好ましくは0.8~40mm、さらに好ましくは1.5~20mm、特に好ましくは3~10mmである。数平均繊維長が0.5mmよりも短いと、一定大きさ以上の空隙形成が困難となる場合がある。一方、数平均繊維長が50mmよりも長いと、コア層22の製造時に繊維束からランダム分散させることが困難となり、コア層22が十分なスプリングバックを生じることができなくなる場合があるため、空隙の大きさが限定的となり、その結果、積層体20と樹脂部材40との接合強度が低下する。
不連続繊維の繊維長を測定する方法としては、例えば、不連続繊維群から直接不連続繊維を摘出して顕微鏡観察により測定する方法がある。不連続繊維群に樹脂が付着している場合には、不連続繊維群から、それに付着する樹脂のみを溶解する溶剤を用いて樹脂を溶解させ、残った不連続繊維を濾別して顕微鏡観察により測定する方法(溶解法)や、樹脂を溶解する溶剤がない場合には、不連続繊維が酸化減量しない温度範囲において樹脂のみを焼き飛ばし、不連続繊維を分別して顕微鏡観察により測定する方法(焼き飛ばし法)などがある。不連続繊維群から不連続繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、繊維長とその割合を求めることができる。なお、不連続繊維群から直接不連続繊維を摘出する方法と、焼き飛ばし法や溶解法で不連続繊維を摘出する方法とを比較した場合、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。これらの測定方法の中で溶解法を採用するのが、不連続繊維の質量変化が少ない点で好ましい。
コア層22の形成のため、不連続繊維をマットとして用いることが好ましく、かかる不連続繊維マットは、例えば、不連続繊維を予め繊維束状および/またはモノフィラメント状に分散して製造される。不連続繊維マットの製造方法としては、具体的には、不連続繊維を空気流にて分散シート化するエアレイド法や不連続繊維を機械的にくし削りながら形成してシート化するカーディング法などの乾式プロセス、不連続繊維を水中にて攪拌して抄紙するラドライト法による湿式プロセスを用いることができる。
不連続繊維をよりモノフィラメント状に近づける手段としては、乾式プロセスにおいては、開繊バーを設ける方法や、さらにその開繊バーを振動させる方法、またはカードの目をファイン(極細状態)にする方法や、カードの回転速度を調整する方法などが例示でき、これらを組み合わせることも可能で、湿式プロセスにおいては、不連続繊維の攪拌条件を調整する方法、分散液の強化繊維濃度を希薄化する方法、分散液の粘度を調整する方法、分散液を移送させる際に渦流を抑制する方法などが例示できる。
特に、不連続繊維マットは、湿式法で製造されることが好ましく、投入繊維の濃度を増やしたり、分散液の流速(流量)とメッシュコンベアの速度を調整したりすることで、不連続繊維マットの強化繊維の割合を容易に調整することができる。例えば、分散液の流速に対して、メッシュコンベアの速度を遅くすることで、得られる不連続繊維からなるマット中の繊維の配向が引き取り方向に向き難くなり、嵩高い不連続繊維からなるマットを製造可能である。不連続繊維からなるマットとしては、不連続繊維単体から構成されていてもよく、不連続繊維が粉末形状や繊維形状のマトリックス樹脂成分と混合されていたり、不連続繊維が有機化合物や無機化合物と混合されていたり、不連続の強化繊維同士が樹脂成分で目止めされていてもよい。
コア層22に用いられる熱可塑性樹脂の種類としては特に制限はなく、以下に例示される熱可塑性樹脂のいずれの樹脂も用いることができる。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN樹脂)、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE樹脂)、ポリプロピレン(PP樹脂)、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、得られる積層体20の軽量性の観点からはポリオレフィン樹脂が好ましく、強度の観点からはポリアミド樹脂が好ましく、また直鎖分岐構造をもつ樹脂を用いることでも多孔質基材として剛性が向上する。他にも、表面外観の観点からポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のような非晶性樹脂が好ましく、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましく、連続使用温度の観点からポリエーテルエーテルケトン樹脂が好ましく用いられる。
例示された熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有してもよい。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
本発明において、コア層22に多孔質基材を用いる場合、上述のようにスプリングバックさせずに不連続繊維と熱可塑樹脂とからなる前駆体を波型形状等の3次元形状に賦形してコア層22として用いることで、不連続繊維及び熱可塑樹脂量を減らすことができ、より軽量化を実現することが可能となる。
本発明において、積層体20は、少なくとも連続繊維及び熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなるプリプレグが少なくとも2層積層され、総厚みは、0.3mm以上2.0mm以下が好ましい。なお、総厚みとは積層体20の最も厚い部分の厚みを示す。0.3mmより薄くなると、一体化成形体10としての剛性不足の可能性がある。2.0mmより厚くなると軽量性が損なわれる可能性がある。より好ましくは、剛性、軽量性の観点から0.7mm以上1.5mm以下である。
また、コア層22が多孔質基材である積層体20に関しては、図3のように面内方向に上記総厚み範囲内で第1の平坦部と、より周縁部に近い第2の平坦部で構成される段差部を設定してもよく、段差部は、積層体20に設けた第1の平坦部の面内方向に対して、10°~90°の傾斜面を有することが好ましい。段差部を有する構成とすることで、樹脂部材40及び枠材の厚みを変えることなく、樹脂部材40及び枠材との接合部厚みを増やすことができ、射出成形時の流動性向上の観点から接合強度の向上及び一体化成形体10の薄肉化の両立を実現できる。
本発明において、積層体20の最外層の少なくとも一方の更に外側に連続繊維織物基材を配置して意匠面としても良い。意匠面側に織物模様を配置することで意匠性の高い製品を得ることができる。また、一体化成形体10に求められる特性やコストに応じて、積層体20を構成するプリプレグの積層数、炭素繊維の種類、樹脂の種類を適切に組み合わせた構成とすることが好ましい。
上記連続繊維織物基材について説明する。連続繊維織物基材とは、連続繊維が束になった連続繊維束を経糸、緯糸とし、織機を用い2組の糸を直角に交差させた基材である。
連続繊維織物基材に用いられる繊維には、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維や黒鉛繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維、および、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維などがある。これらは、単独または2種以上併用して用いられる。これらの繊維素材は、表面処理が施されているものであっても良い。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などが挙げられる。
連続繊維織物基材として炭素繊維を用いる場合、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維(黒鉛繊維を含む)が好ましく用いられる。中でも、加工性に優れるPAN系の炭素繊維が望ましい。
連続繊維織物基材について、連続繊維が平織り、綾織、繻子織及び朱子織から選択される少なくとも1つの織物であることが好ましい。連続繊維織物基材は繊維模様に特徴があることから、その特徴ある繊維模様を際立たせることができ、最外層(意匠面側)の更に外側に連続繊維織物基材を用いることにより、連続繊維の織物の形状模様を目立たせて、斬新な表面模様を発現させることができる。かかる基材に用いられる連続繊維束については、1Kから24Kが好ましく、加工時の繊維模様の安定性の観点から、1Kから6Kがより好ましい。なお、一般的に、1000本のまとまった連続繊維束を1Kと呼び、3000本の場合は3K、12000本の場合は12Kと呼ぶ。
本発明において、積層体20の最外層の少なくとも一方の更に外側に、不連続の強化繊維の束状集合体と樹脂とからなるシートモールディングコンパウンド(SMC)を用いることも好ましく、大理石調の外観模様を目立たせることができ、斬新な表面模様を発現させることができる。
本発明においては、積層体20におけるプリプレグ21と樹脂部材40との間、または/およびコア層22と樹脂部材40との間の少なくとも一部に熱可塑性樹脂基材を配置することで、熱可塑性樹脂層を設けることができ、接着剤として機能する。
かかる熱可塑性樹脂基材としては、アクリル系、エポキシ系、スチレン系、ナイロン系、エステル系などの接着剤や、熱可塑性樹脂フィルム、不織布等を用いることができる。また、材質については、樹脂部材40と同材質にすれば、接合強度を高めることも可能である。プリプレグ21またはコア層22の最外層に設ける樹脂は、熱可塑性樹脂基材に用いる接着剤と同一樹脂でなくとも、相溶性が良いものであれば特に限定されるものではなく、樹脂部材40を構成する樹脂の種類によって最適なものを選定することが好ましい。
本発明においては、多孔質基材を用いた積層体20は、一体化成形体10の剛性及び薄肉性の観点から、図3の模式的に示すように、多孔質基材の厚肉領域25の空隙率に対して、樹脂部材40との接合領域である薄肉領域24の空隙率がより低くなることが好ましい。
本発明において、樹脂部材40に使用される樹脂としては特に制限はなく、前述した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。中でも熱可塑性樹脂が好ましく、樹脂部材40の熱可塑性樹脂と前述の熱可塑性樹脂基材を溶融固着した接合構造とすることで、一体化成形体10としてより高い接合強度を実現することができる。溶融固着した接合構造とは、熱により相互の部材が溶融し、冷却して固着した状態の接合構造である。とりわけ、耐熱性、耐薬品性の観点からはPPS樹脂が、成形品外観、寸法安定性の観点からはポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂が、成形品の強度、耐衝撃性の観点からはポリアミド樹脂がより好ましく用いられる。
さらに、樹脂部材40を構成する樹脂には、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で他の充填材や添加剤を含有してもよい。例えば、無機充填材、リン系以外の難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。
樹脂部材40に関して、一体化成形体10の軽量化、高強度・高剛性化を図るために、強化繊維を含有させた樹脂を用いることも好ましい。かかる強化繊維としては、例えばアルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系等の炭素繊維や黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維などの無機繊維や、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維等が使用できる。強化繊維の繊維値としては、要求される凹凸形状の形成を阻害しない繊維長さであることが好ましく、0.05mm以上10mm以下、より好ましくは、0.1mm以上8mm以下、さらに好ましくは、0.2mm以上5mm以下である。これらの強化繊維は単独で用いても、また、2種以上併用してもよい。
中でも、ガラス繊維を用いることで、枠材に電波透過部材としての機能を付与することができる。また、炭素繊維を用いることで、樹脂自体の熱収縮率を押さえ、収縮による意匠面の変形抑制を図ることができる。また、下述の第1の枠材、第2の枠材の同様の構成とすることで、例えば図7のような、樹脂部材の一部を第1の枠材と連続させ、一体として形成することが可能である。
さらに、樹脂部材を構成する樹脂は、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で、他の充填材や添加剤を含有してもよい。例えば、樹脂部材40に含有されるのと同様の充填材や添加剤が挙げられる。
本発明の一体化成形体10において、積層体20の外周部に配置した1または2以上の枠材と前記樹脂部材40とが一体化されていることが好ましい。枠材に使用される材質としては、金属または樹脂を用いることが好ましい。金属を用いる場合、意匠性、高剛性に優れた枠材を得ることができる。また、生産性の面からは樹脂を用いることが好ましく、上述している樹脂部材40として用いられ得る材料を使用することができる。
第1、第2の枠材に樹脂を用いる場合、樹脂部材について上述した樹脂の種類及び強化繊維、充填剤、添加剤と同様のものを使用することができる。強化繊維に関して、中でも、強度の観点から炭素繊維及びガラス繊維であることが好ましい。ガラス繊維を用いることで、枠材に電波透過部材としての機能を付与することができる。また、炭素繊維を用いることで、樹脂自体の熱収縮率を押さえ、低反り化を図ることができる。
樹脂部材及び第1の枠材、第2の枠材に用いられる強化繊維およびその繊維質量含有率については、1~60質量%の不連続繊維であることが好ましい。上記繊維を上記の範囲で用いることで、接合強度を高めるとともに、一体化成形体10の反り低減を図ることができる。1質量%未満であると、一体化成形体10の強度確保が困難になる場合があり、60質量%を超えると、射出成形において、樹脂の充填が一部不十分になる場合がある。樹脂部材の成形性の観点から、より好ましくは5~55質量%、さらに好ましく8~50質量%、特に好ましくは12~45質量%である。
上述のオーバーラップ部位60について、樹脂部材は、面内方向全方位にオーバーラップ部位60が設けられることが好ましい。
オーバーラップ部位60の最小厚みTbは0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上2.0mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上1.0mm以下であることがさらに好ましい。Tbを0.2mm以上とすることにより、射出成形の際に充填不良が発生しにくくなる。Tbを2.0mm以下とすることにより、射出成形時の樹脂量が減り、樹脂温度による積層体20の接合領域の変形を生じにくくすることができる。また、オーバーラップ部位60の最小厚みTbとなる部分が、積層体20の貫通穴30の壁面から面内方向に最も遠い場所に形成されることが好ましい。かかる構成を採用することにより、樹脂の流動性の観点から一体化成形体を形成しやすくなる。
オーバーラップ部位60について、貫通穴壁面部からの面内方向の長さ(オーバーラップ長さ)は、積層体と樹脂部材の接合強度の観点から、1.0mm以上100mm以内が好ましく、より好ましくは2.0mm以上50mm以内、さらに好ましくは3.0mm以上20mm以内であることが好ましい。
オーバーラップ部位60の最大厚みTaは、特に制限はないものの、本発明の一体化成形体は、前記積層体と前記オーバーラップ部位との接合領域における前記積層体とオーバーラップ部位との合計の厚さが、前記オーバーラップ部位との非接合領域における積層体の厚さよりも薄いことが好ましい。かかる構成を採用することにより、電子製品として用いた際に他部品と一体化成形体が干渉し難くなり、製品設計の観点から好ましい一体化成形体が得られやすくなる。図3を用いて具体的に説明すると、積層体20に薄肉部24と厚肉部25とがあって、薄肉部24においてオーバーラップ部位60との接合領域を有する場合、接合領域もしくは樹脂部材の最大厚み26が、非接合領域における厚肉部25の厚み27よりも薄くなることが好ましい。
また、オーバーラップ部位60の最大厚みTa(mm)と最小厚みTb(mm)との比Tb/Taは、0より大きく1より小さいことが好ましく、0より大きく0.8以下であることがより好ましく、0より大きく0.5以下であることがさらに好ましい。上記比Tb/Taを1より小さくすることにより、最大厚み部分で一体化成形体の強度を保ちやすくすることができると共に、最小厚み部分の射出成形に必要な圧力等は小さくできることから、積層体にかかる圧力等の負荷がより少なくなり、外観不良の発生を防止しやすくすることができる。
加えて、オーバーラップ部位60の最小厚みTbと最大厚みTaに該当する部分により構成される樹脂部材40の形状は、均一な直線でなくてもよい。樹脂部材40の形状は、例えば、図4に示すように弧を描くような形や、最小厚みTbと最大厚みTaの厚み範囲を越えない範囲で用途に応じて凹凸部を形成していてもよい。
また、樹脂部材40の形成の際、オーバーラップ部位60において枠材と面内方向における全部または一部の方位において一体化した構造とすることで、一回の射出成形にて樹脂部材40及び枠材もしくは枠材の一部を一体化した構造を形成してもよい。
樹脂部材40の意匠面側露出面の凹凸部50の形状に関しては、樹脂部材40が意匠面よりも積層体20厚み方向に凸の形状であってもよいが、電子機器筐体等に用いた場合、表面平滑性の観点から、凸の形状とならない方が好ましく、凹凸部50の高低差としては、0.1mm~10mmが好ましく、一体化成形体10の厚みの観点から、さらに好ましくは0.1mm~1.0mmである。
また、枠材の構成においては、図7に示すように、第1の枠材80と第2の枠材90とを別々に用意し、予め第2の枠材90を積層体20の外周部に設置し、第1の枠材80を射出成形することも、一体化成形体10の低反り化を実現するうえで有効な手段である。
枠材に樹脂を用いる場合、上述の通り、強化繊維によって樹脂に機能を付与することができ、第1の枠材80と第2の枠材90に用いる強化繊維の種類を異なるものとすることで、それぞれの特性を有効に活用することができる。例えば、第1の枠材80に炭素繊維、第2の枠材90にガラス繊維を用いることで、低反りかつアンテナ性能にも優れた設計が可能となる。
コア層22として発泡成形体を有する積層体20について、その枠材に樹脂を用いる場合、一体化成形体10の接合強度の観点から、枠材の一部に積層体20に入り込む嵌入部を有する構成とすることが好ましい。嵌入部を有することで、積層体20と枠材とがアンカー効果により接合強度をより高めることが可能となるためである。枠材を射出成形にて形成させると、枠材と積層体20のプリプレグ層の平面部又は側面部とが接合するとともに、枠材が射出成形圧力により積層体20の側面部からコア層22内の一部の領域に入り込むようにすることができる。これは、コア層22内の領域は空孔率が高く、溶融した枠材が入り込みやすい構造となっているからである。また、コア層22に上記多孔質基材を用いることで、上記アンカー効果による接合強度をより高めることができる。
上述した各材料に関して、環境負荷低減の観点から、要求される特性に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で、リサイクル材を使用してもよい。
上述した各材料に関して、自動車内外装、電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体等に有効に使用することができる。中でも、本発明の一体化成形体は、電子機器筐体として使用されることが好ましい。電子機器筐体として使用されることにより、製品の薄肉化、高剛性、高意匠といった特性を有効に活用することができる。
以上に記した数値範囲の上限及び下限は、特に断りがない限り、任意に組み合わせることができる。
以下、実施例によって、本発明の一体化成形体およびその製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
(1)外観評価
屋内蛍光灯環境下において、実施例・比較例で得られた一体化成形体10の樹脂部材40の露出面周辺を目視により検査し、変形、色ムラが視認できる場合は不合格、できない場合は合格とした。
(材料組成例1)PAN系炭素繊維束の調整
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本(12K)の炭素繊維連続束を得た。この炭素繊維連続束に浸漬法によりサイジング剤を付与し、加熱空気中で乾燥しPAN系炭素繊維束を得た。このPAN系炭素繊維束の特性は次の通りであった。
単繊維径;7μm
単位長さ当たりの質量:0.83g/m
密度:1.8g/cm
引張強度:4.0GPa
引張弾性率:235GPa
(材料組成例2)エポキシ樹脂フィルムの調整
エポキシ樹脂(ベースレジン:ジシアンジアミド/ジクロロフェニルメチルウレア硬化系エポキシ樹脂)を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布してエポキシ樹脂フィルムを得た。
(材料組成例3)一方向プリプレグの調整
材料組成例1で得たPAN系炭素繊維束をシート状に一方向に配列させ、材料組成例2で作製したエポキシ樹脂フィルム2枚を当該炭素繊維シートの両面から重ね、加熱加圧により樹脂を炭素繊維束に含浸させ、炭素繊維の質量含有率が70%、厚み0.15mmの一方向プリプレグを作製した。
(材料組成例4)発泡成形体
無架橋低発泡ポリプロピレンシート“エフセル”(登録商標)(2倍発泡)(古河気工業(株)製)を使用した。
(材料組成例5)チョップド炭素繊維束
カートリッジカッターを用いて、PAN系炭素繊維(東レ(株)社製“トレカ糸”(登録商標)、品種T700SC)をカットし、繊維長6mmのチョップド炭素繊維束を得た。
(材料組成例6)炭素繊維マット
界面活性剤(和光純薬工業(株)社製、「n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名))の1.5質量%水溶液100リットルを攪拌し、予め泡立てた分散液を作製した。この分散液に、材料組成例5で得られたチョップド炭素繊維束を投入し、撹拌後、長さ400mm×幅400mmの抄紙面を有する抄紙機に流し込み、吸引により脱水後、150℃の温度で2時間乾燥し、炭素繊維マットを得た。得られたマットは良好な分散状態であった。
(材料組成例7)ポリプロピレン樹脂フィルム
無変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)社製、“プライムポリプロ”(登録商標)J105G、融点160℃)を90質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)社製、“アドマー”(登録商標)QE510、融点160℃)を10質量%とをドライブレンドしドライブレンド樹脂を得た。上記ドライブレンド樹脂を用いポリプロピレン樹脂フィルムを得た。
(材料組成例8)多孔質基材
材料組成例6と材料組成例7とで得られた材料を用いて、[ポリプロピレン樹脂フィルム/炭素繊維マット/ポリプロピレン樹脂フィルム]の順序で積層して多孔質基材を得た。
(材料組成例9)ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂
ガラス繊維強化ポリカーボネートのコンパウンドペレット(“Panlite”(登録商標)GXV-3545WI(帝人化成(株)製))を使用した。
(材料組成例10)ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、「“パンライト”(登録商標)L-1225L」)を用いた。
(材料組成例11)ペレット状のCF強化ポリカーボネート樹脂
材料組成例1で得たPAN系炭素繊維束をシート状に一方向に配列させ、材料組成例2と同じ組成のエポキシ樹脂組成物を含浸して得られた樹脂含浸強化繊維束を繊維方向に搬送し、日本製鋼所(株)TEX-30α型2軸押出機の先端に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中に通した。材料組成例10のポリカーボネート樹脂をTEX-30α型2軸押出機のメインホッパーから供給して溶融混練し、溶融した状態で前記ダイ内に吐出させ、樹脂含浸強化繊維束の周囲を被覆するように連続的に配置した。得られた連続状の成形材料を冷却後、カッターで切断して、繊維配向方向長さ7mmのペレット状のCF強化ポリカーボネート樹脂(繊維質量含有率20質量%)を得た。
(材料組成例12)熱可塑性樹脂基材
ポリエステル樹脂(東レ・デュポン(株)社製“ハイトレル”(登録商標))を用い、厚み0.05mmのポリエステル樹脂フィルムを得た。これを熱可塑性樹脂基材として使用した。
(実施例1)
材料組成例3で準備した一方向プリプレグと材料組成例12で準備した熱可塑性樹脂基材を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、[一方向プリプレグ 0°/一方向プリプレグ 90°/一方向プリプレグ 0°/一方向プリプレグ 90°/一方向プリプレグ 0°/熱可塑性樹脂基材]の順序で積層し、150℃に加熱された平板金型にて3MPa×5分の条件でプレス成形を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、20mm×10mm角の貫通穴30を加工した。かかる積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを、150MPa、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、樹脂吐出口Φ3mmの条件で射出成形して、貫通穴30内に、積層体20の意匠面側から露出する面を含み、貫通穴30の壁面と接合する部位と、積層体20の非意匠面側と接合するオーバーラップする部位とを含む樹脂部材40(Tb:0.10mm、Ta:0.20mm、最小オーバーラップ長さ:3.0mm)を形成し、一体化成形体10を製造した。最後に一体化成形体10の意匠面側の凹部と凹み部以外にそれぞれ異なる色味の塗装を実施した。得られた一体化成形体10について上述した方法で外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例2)
材料組成例3で準備した一方向プリプレグと材料組成例4で準備した発泡成形体と材料組成例12で準備した熱可塑性樹脂基材を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、[一方向プリプレグ 0°/一方向プリプレグ 90°/発泡成形体/一方向プリプレグ 90°/一方向プリプレグ 0°/熱可塑性樹脂基材]の順序で積層し、150℃に加熱された平板金型にて2MPa×5分の条件でプレス成形を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工した。かかる積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.30mm、Ta:0.40mm、最小オーバーラップ長さ:2.0mm)を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例3)
材料組成例3で準備した一方向プリプレグと材料組成例8で準備した多孔質基材と材料組成例12で準備した熱可塑性樹脂基材を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、[一方向プリプレグ 0°/一方向プリプレグ 90°/多孔質基材/一方向プリプレグ 90°/一方向プリプレグ 0°/熱可塑性樹脂基材]の順序で積層し、150℃に加熱された平板金型に3MPa×5分の条件でプレス成形を行い、積層体20前駆体を形成した。その後、180℃で積層体20前駆体を加熱し、120℃の3次元形状に設けたプレス金型にて成形を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工した。かかる積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.50mm、Ta:1.00mm、最小オーバーラップ長さ:1.5mm)を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例4)
実施例2と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例2と同じ順序で積層し、実施例2と同じ条件でプレス成形を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工した。かかる積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.50mm、Ta:1.50mm、最小オーバーラップ長さ:5.0mm)を形成した。その後、同じガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂を、別の射出金型を用いて射出して積層体20外周部に枠材を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例5)
実施例3と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例3と同じ順序で積層し、実施例3と同じ条件でプレス成形、加熱を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工した。その後、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて事前に第2の枠材を作成して、第2の枠材と積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例11のCF強化ポリカーボネート樹脂を用いて、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.70mm、Ta:0.80mm、最小オーバーラップ長さ:8.0mm)及び第1の枠材を一部の方位にて連続する形状として一体形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例6)
実施例3と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例3と同じ順序で積層し、実施例3と同じ条件でプレス成形、加熱を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工し、その意匠面側に切り欠き70を形成した。その後、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて事前に第2の枠材を作成して、第2の枠材と積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.30mm、Ta:1.00mm、最小オーバーラップ長さ:2.5mm)及び枠材形状を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(実施例7)
実施例3と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例3と同じ順序で積層し、実施例3と同じ条件でプレス成形、加熱を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工し、その非意匠面側に切り欠き70を形成した。その後、材料組成例11のCF繊維強化ポリカーボネートを用いて事前に第2の枠材を作成して、第2の枠材と積層体20を射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.30mm、Ta:1.50mm、最小オーバーラップ長さ:10.0mm)及び枠材形状を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、合格判定であった。
(比較例1)
実施例3と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例3と同じ順序で積層し、実施例3と同じ条件でプレス成形、加熱を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、実施例1と同じ寸法・形状の貫通穴30を加工した。その後、射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて、実施例1と同じ条件・装置で射出成形して、貫通穴30周辺に樹脂部材40(Tb:0.05mm、Ta:1.5mm、オーバーラップ長さ:(全方位について)0mm)を形成し、一体化成形体10を製造した。外観評価を実施した結果、樹脂部材40に非意匠面側表層と接合するためのオーバーラップ部位がないことから、接合強度不足により、積層体20から外れてしまい、一体化成形体10が得られない結果であった。
(比較例2)
実施例3と同じ材料を用いて、それぞれ400mm×400mm角の大きさに調整後、実施例3と同じ順序で積層し、凹凸部50が賦形されたプレス金型を使用し、実施例3と同じ条件でプレス成形、加熱を行い、積層体20を得た。
続いて、得られた積層体20を300mm×200mm角にカットし、その後、射出金型内にセットし、材料組成例9のガラス繊維強化ポリカーボネートを用いて、実施例1と同じ条件・装置で積層体20の周囲に射出成形して、枠材を形成し、一体化成形体10を製造した。得られた一体化成形体10を上述した方法で外観評価を実施した結果、積層体20表面の凹凸部50形成部周辺に積層体20の破損が見られ、不合格判定であった。
上記実施例、比較例にて得られた一体化成形体10の構成、特性をまとめて表1に示す。
Figure 0007347719000001
本発明の一体化成形体は、自動車内外装、電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体等に有効に使用できる。
10 一体化成形体
20 積層体
21 スキン層(意匠面側)
22 コア層
23 スキン層(非意匠面側)
24 積層体の薄肉部
25 積層体の厚肉部
26 接合領域もしくは樹脂部材の最厚部
27 厚肉部25の厚み
30 貫通穴
31 貫通穴の幅
40 樹脂部材
50 凹凸部
60 オーバーラップ部
70 積層体貫通穴壁面の切り欠き
80 第1の枠材
90 第2の枠材
100 意匠面
110 非意匠面

Claims (12)

  1. 連続繊維と樹脂とを有するプリプレグを層として含む積層体と樹脂部材とが一体化されてなる一体化成形体であって、
    前記積層体は、厚み方向における一方の面が意匠面側であり、意匠面側の面と反対の面が非意匠面側であって、
    前記積層体は、厚み方向に貫通された貫通穴を有し、
    前記樹脂部材は、前記積層体の意匠面側表層に面する前記貫通穴からの露出面を含む部位と、前記積層体の非意匠面側表層と接合する、前記積層体とのオーバーラップ部位とを有する、一体化成形体。
  2. 前記オーバーラップ部位の最小厚みTbが0.2mm以上である、請求項1に記載の一体化成形体。
  3. 前記オーバーラップ部位の最小厚みTbとなる部分が、前記積層体の貫通穴の壁面から面内方向に最も遠い位置に形成される、請求項1または2に記載の一体化成形体。
  4. 前記オーバーラップ部位の最大厚みTa(mm)と最小厚みTb(mm)との比Tb/Taが0より大きく1より小さい、請求項3に記載の一体化成形体。
  5. 前記積層体と前記オーバーラップ部位との接合領域における前記積層体とオーバーラップ部位との合計の厚さが、前記オーバーラップ部位との非接合領域における積層体の厚さよりも薄い、請求項1または2に記載の一体化成形体。
  6. 前記露出面を含む部位の表面に凹凸部を有する、請求項1または2に記載の一体化成形体。
  7. 前記凹凸部の凹部の最大深さが意匠面側表面から0.1mm以上10mm以下である、請求項6に記載の一体化成形体。
  8. 前記積層体の外周部に配置した1または2以上の枠材と前記樹脂部材とが一体化されている、請求項1または2に記載の一体化成形体。
  9. 前記積層体における前記貫通穴の壁面に切り欠きを有する、請求項1または2に記載の一体化成形体。
  10. 前記凹凸部は、その周囲の部分と異なる意匠を設けられ、前記凹凸部が文字または模様を形成している、請求項6に記載の一体化成形体。
  11. 前記凹凸部がロゴを形成している、請求項10に記載の一体化成形体。
  12. 電子機器筐体として使用される、請求項1または2に記載の一体化成形体。
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