以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[車両構成]
図1は本発明の一実施の形態である車両用電源装置10が搭載された車両11の構成例を示す概略図である。図1に示すように、車両11には、エンジン12を動力源に用いたパワーユニット13が搭載されている。エンジン12のクランク軸14には、ベルト機構15を介してスタータジェネレータ(発電電動機)16が連結されている。また、エンジン12にはトルクコンバータ17を介して変速機構18が連結されており、変速機構18にはデファレンシャル機構19等を介して車輪20が連結されている。
エンジン12に連結されるスタータジェネレータ16は、発電機および電動機として機能する所謂ISG(Integrated Starter Generator)である。スタータジェネレータ16は、クランク軸14に駆動される発電機として機能するだけでなく、クランク軸14を駆動する電動機として機能する。例えば、アイドリングストップ制御においてエンジン12を再始動させる場合や、発進時や加速時においてエンジン12を補助する場合に、スタータジェネレータ16は力行状態に制御され、スタータジェネレータ16は電動機として機能する。
スタータジェネレータ16は、ステータコイルを備えたステータ30と、フィールドコイルを備えたロータ31と、を有している。また、スタータジェネレータ16には、ステータコイルやフィールドコイルの通電状態を制御するため、インバータ、レギュレータ、マイコンおよび各種センサ等からなるISGコントローラ32が設けられている。ISGコントローラ32によってフィールドコイルやステータコイルの通電状態を制御することにより、スタータジェネレータ16の発電電圧、発電トルク、力行トルク等を制御することができる。
また、パワーユニット13には、エンジン12を始動回転させるスタータモータ(電気負荷)33が設けられている。スタータモータ33のピニオン34は、トルクコンバータ17のリングギヤ35に噛み合う突出位置と、リングギヤ35との噛み合いが外れる退避位置と、に移動自在である。後述するように、乗員によってスタータボタン36が押されると、スタータモータ33の通電を制御するスタータリレー37がオン状態に切り替えられる。これにより、スタータリレー37を介してスタータモータ33に通電が為され、スタータモータ33のピニオン34は突出位置に移動して回転する。また、スタータリレー37を介してスタータモータ33を制御するため、車両11にはマイコン等からなるエンジンコントローラ38が設けられている。また、エンジンコントローラ38は、スタータリレー37を制御するだけでなく、スロットルバルブ、インジェクタおよび点火装置等のエンジン補機39を制御する。
前述したように、図示する車両11には、エンジン12を始動回転させる電動機として、スタータジェネレータ16およびスタータモータ33が設けられている。アイドリングストップ制御によってエンジン12を再始動させる場合、つまりエンジン運転中に停止条件が成立することでエンジン12を停止させ、エンジン停止中に始動条件が成立することでエンジン12を再始動させる場合には、スタータジェネレータ16を用いてエンジン12の始動回転が行われる。一方、車両11の制御システムを起動させて最初にエンジン12を始動させる場合、つまり乗員のスタータボタン操作によってエンジン12を始動させる場合には、スタータモータ33を用いてエンジン12の始動回転が行われる。
[電源回路]
車両用電源装置10が備える電源回路50について説明する。図2は電源回路50の一例を簡単に示した回路図である。図2に示すように、電源回路50は、スタータジェネレータ16に電気的に接続される鉛バッテリ(第1蓄電体)51と、これと並列にスタータジェネレータ16に電気的に接続されるリチウムイオンバッテリ(第2蓄電体)52と、を備えている。なお、リチウムイオンバッテリ52を積極的に放電させるため、リチウムイオンバッテリ52の端子電圧は、鉛バッテリ51の端子電圧よりも高く設計されている。また、リチウムイオンバッテリ52を積極的に充放電させるため、リチウムイオンバッテリ52の内部抵抗は、鉛バッテリ51の内部抵抗よりも小さく設計されている。
スタータジェネレータ16の正極端子16aには正極ライン53が接続され、リチウムイオンバッテリ52の正極端子52aには正極ライン54が接続され、鉛バッテリ51の正極端子51aには正極ライン55を介して正極ライン56が接続される。これらの正極ライン53,54,56は、接続点57を介して互いに接続されている。また、スタータジェネレータ16の負極端子16bには負極ライン58が接続され、リチウムイオンバッテリ52の負極端子52bには負極ライン59が接続され、鉛バッテリ51の負極端子51bには負極ライン60が接続される。これらの負極ライン58,59,60は、基準電位点61を介して互いに接続されている。
図1に示すように、鉛バッテリ51の正極ライン55には、正極ライン62が接続されている。この正極ライン62には、各種アクチュエータや各種コントローラ等の電気機器(電気負荷)63からなる電気機器群64が接続されている。また、鉛バッテリ51の負極ライン60には、バッテリセンサ65が設けられている。バッテリセンサ65は、鉛バッテリ51の充放電状況を検出する機能を有している。鉛バッテリ51の充放電状況としては、例えば、鉛バッテリ51の充電電流、放電電流、端子電圧、充電状態SOC等が挙げられる。
また、電源回路50には、鉛バッテリ51、スタータモータ33および電気機器63からなる第1電源系71が設けられており、リチウムイオンバッテリ52およびスタータジェネレータ16からなる第2電源系72が設けられている。そして、第1電源系71と第2電源系72との間に設けられる正極ライン(通電径路)56を介して、鉛バッテリ51とリチウムイオンバッテリ52とは互いに並列接続されている。この正極ライン56には、過大電流によって溶断する電力ヒューズ73が設けられるとともに、オン状態とオフ状態とに制御される第1スイッチSW1が設けられている。また、リチウムイオンバッテリ52の正極ライン54には、オン状態とオフ状態とに制御される第2スイッチSW2が設けられている。
スイッチSW1をオン状態に制御することにより、第1電源系71と第2電源系72とを互いに接続することができる一方、スイッチSW1をオフ状態に制御することにより、第1電源系71と第2電源系72とを互いに切り離すことができる。また、スイッチSW2をオン状態に制御することにより、スタータジェネレータ16とリチウムイオンバッテリ52とを互いに接続することができる一方、スイッチSW2をオフ状態に制御することにより、スタータジェネレータ16とリチウムイオンバッテリ52とを互いに切り離すことができる。
これらのスイッチSW1,SW2は、MOSFET等の半導体素子によって構成されるスイッチであっても良く、電磁力等を用いて接点を機械的に開閉させるスイッチであっても良い。また、スイッチSW1,SW2のオン状態とは、電気的に接続される通電状態や導通状態を意味しており、スイッチSW1,SW2のオフ状態とは、電気的に切断される非通電状態や遮断状態を意味している。なお、スイッチSW1,SW2は、リレーやコンタクタ等とも呼ばれている。
図1に示すように、電源回路50には、バッテリモジュール74が設けられている。このバッテリモジュール74は、リチウムイオンバッテリ52を有するとともに、スイッチSW1,SW2を有している。また、バッテリモジュール74は、マイコンや各種センサ等からなるバッテリコントローラ75を有している。バッテリコントローラ75は、リチウムイオンバッテリ52の充電状態SOC、充電電流、放電電流、端子電圧、セル温度、内部抵抗等を監視する機能や、スイッチSW1,SW2を制御する機能を有している。なお、充電状態SOC(State Of Charge)とは、バッテリの設計容量に対する蓄電量の比率である。
[制御系]
図1に示すように、車両用電源装置10は、パワーユニット13や電源回路50等を互いに協調させて制御するため、マイコン等からなるメインコントローラ80を有している。このメインコントローラ80は、エンジン12を制御するエンジン制御部81、スタータジェネレータ16を制御するISG制御部(発電電動機制御部)82、スイッチSW1を制御する第1スイッチ制御部83、およびスイッチSW2を制御する第2スイッチ制御部(スイッチ制御部)84を有している。また、メインコントローラ80は、スタータモータ33を制御するスタータ制御部85、後述するアイドリングストップ制御を実行するアイドリング制御部86、後述するモータアシスト制御を実行するアシスト制御部87等を有している。
メインコントローラ80や前述した各コントローラ32,38,42,75は、CANやLIN等の車載ネットワーク88を介して互いに通信自在に接続されている。メインコントローラ80は、各種コントローラや各種センサからの情報に基づいて、パワーユニット13や電源回路50等を制御する。なお、メインコントローラ80は、ISGコントローラ32を介してスタータジェネレータ16を制御し、バッテリコントローラ75を介してスイッチSW1,SW2を制御する。また、メインコントローラ80は、エンジンコントローラ38を介してエンジン12やスタータモータ33を制御する。また、エンジンコントローラ38には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ89が接続されている。なお、エンジン回転数Neとは、エンジン12の回転速度、つまりエンジン12が備えるクランク軸14の回転速度である。
[スタータジェネレータ発電制御]
続いて、メインコントローラ80によるスタータジェネレータ16の発電制御について説明する。メインコントローラ80のISG制御部82は、ISGコントローラ32に制御信号を出力し、スタータジェネレータ16を発電状態や力行状態に制御する。例えば、ISG制御部82は、リチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが低下すると、スタータジェネレータ16の発電電圧を上げて燃焼発電状態に制御する一方、リチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが上昇すると、スタータジェネレータ16の発電電圧を下げて発電休止状態に制御する。なお、後述する図3以降の各図面において、「ISG」とはスタータジェネレータ16を意味している。
図3はスタータジェネレータ16を燃焼発電状態に制御したときの電流供給状況の一例を示す図である。なお、スタータジェネレータ16の燃焼発電状態とは、エンジン動力によってスタータジェネレータ16を発電させる状態、つまりエンジン内で燃料を燃焼させてスタータジェネレータ16を発電させる状態である。例えば、リチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが所定の下限値を下回る場合には、リチウムイオンバッテリ52を充電して充電状態SOCを高めるため、エンジン動力によってスタータジェネレータ16を発電させる。このように、スタータジェネレータ16を燃焼発電状態に制御する際には、スタータジェネレータ16の発電電圧が、鉛バッテリ51およびリチウムイオンバッテリ52の端子電圧を上回るように上げられる。これにより、図3に黒塗りの矢印で示すように、スタータジェネレータ16から、リチウムイオンバッテリ52、電気機器群64および鉛バッテリ51等に対して電流が供給され、リチウムイオンバッテリ52や鉛バッテリ51が緩やかに充電される。
図4はスタータジェネレータ16を発電休止状態に制御したときの電流供給状況の一例を示す図である。例えば、リチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが所定の上限値を上回る場合には、リチウムイオンバッテリ52を積極的に放電させるため、エンジン動力を用いたスタータジェネレータ16の発電が休止される。このように、スタータジェネレータ16を発電休止状態に制御する際には、スタータジェネレータ16の発電電圧が、鉛バッテリ51およびリチウムイオンバッテリ52の端子電圧を下回るように下げられる。これにより、図4に黒塗りの矢印で示すように、リチウムイオンバッテリ52から電気機器群64に電流が供給されるため、スタータジェネレータ16の発電を停止させることができ、エンジン負荷を軽減することができる。なお、発電休止状態におけるスタータジェネレータ16の発電電圧としては、リチウムイオンバッテリ52を放電させる発電電圧であれば良い。例えば、スタータジェネレータ16の発電電圧を0Vに制御しても良く、スタータジェネレータ16の発電電圧を0Vよりも高く制御しても良い。
前述したように、メインコントローラ80のISG制御部82は、充電状態SOCに基づきスタータジェネレータ16を燃焼発電状態や発電休止状態に制御しているが、車両減速時には多くの運動エネルギーを回収して燃費性能を高めることが求められる。そこで、車両減速時には、スタータジェネレータ16の発電電圧が引き上げられ、スタータジェネレータ16は回生発電状態に制御される。これにより、スタータジェネレータ16の発電電力を増加させることができるため、運動エネルギーを積極的に電気エネルギーに変換して回収することができ、車両11のエネルギー効率を高めて燃費性能を向上させることができる。このような回生発電を実行するか否かについては、アクセルペダルやブレーキペダルの操作状況等に基づき決定される。つまり、アクセルペダルの踏み込みが解除される減速走行時や、ブレーキペダルが踏み込まれる減速走行時には、スタータジェネレータ16が回生発電状態に制御される。
ここで、図5はスタータジェネレータ16を回生発電状態に制御したときの電流供給状況の一例を示す図である。スタータジェネレータ16を回生発電状態に制御する際には、前述した燃焼発電状態よりもスタータジェネレータ16の発電電圧が上げられる。これにより、図5に黒塗りの矢印で示すように、スタータジェネレータ16から、リチウムイオンバッテリ52や鉛バッテリ51に対して大きな電流が供給されるため、リチウムイオンバッテリ52や鉛バッテリ51は急速に充電される。また、リチウムイオンバッテリ52の内部抵抗は、鉛バッテリ51の内部抵抗よりも小さいことから、発電電流の大部分はリチウムイオンバッテリ52に供給される。
なお、図3〜図5に示すように、スタータジェネレータ16を燃焼発電状態、回生発電状態および発電休止状態に制御する際に、スイッチSW1,SW2はオン状態に保持されている。つまり、車両用電源装置10においては、スイッチSW1,SW2の切替制御を行うことなく、スタータジェネレータ16の発電電圧を制御するだけで、リチウムイオンバッテリ52の充放電を制御することが可能である。これにより、簡単にリチウムイオンバッテリ52の充放電を制御することができるだけでなく、スイッチSW1,SW2の耐久性を向上させることができる。
[アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動]
メインコントローラ80のアイドリング制御部86は、自動的にエンジン12を停止させて再始動するアイドリングストップ制御を実行する。アイドリング制御部86は、エンジン運転中に所定の停止条件が成立した場合に、燃料カット等を実施してエンジン12を停止させる一方、エンジン停止中に所定の始動条件が成立した場合に、スタータジェネレータ16を回転させてエンジン12を再始動させる。エンジン12の停止条件としては、例えば、車速が所定値を下回り、かつブレーキペダルが踏み込まれることが挙げられる。また、エンジン12の始動条件としては、例えば、ブレーキペダルの踏み込みが解除されることや、アクセルペダルの踏み込みが開始されることが挙げられる。なお、アイドリング制御部86は、アイドリングストップ制御を実行する際に、エンジン制御部81やISG制御部82に制御信号を出力し、エンジン12やスタータジェネレータ16を制御する。
また、アイドリング制御部86は、アイドリングストップ制御でのエンジン停止中に始動条件が成立すると、スタータジェネレータ16を力行状態に制御してエンジン12を始動回転させる。ここで、図6はスタータジェネレータ16を力行状態に制御したときの電流供給状況の一例を示す図である。図6に示すように、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、スタータジェネレータ16を力行状態に制御する際には、スイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替えられる。つまり、スタータジェネレータ16によってエンジン12を始動回転させる場合には、スイッチSW1がオフ状態に切り替えられ、第1電源系71と第2電源系72とが互いに切り離される。これにより、リチウムイオンバッテリ52からスタータジェネレータ16に大電流が供給される場合であっても、第1電源系71の電気機器群64に対する瞬間的な電圧低下を防止することができ、電気機器群64等を正常に機能させることができる。
[モータアシスト制御]
メインコントローラ80のアシスト制御部87は、発進時や加速時等にスタータジェネレータ16を力行状態に制御し、スタータジェネレータ16によってエンジン12を補助するモータアシスト制御を実行する。なお、アシスト制御部87は、モータアシスト制御を実行する際に、ISG制御部82に制御信号を出力し、スタータジェネレータ16を制御する。
ここで、図7はスタータジェネレータ16を力行状態に制御したときの電流供給状況の一例を示す図である。図7に示すように、モータアシスト制御に伴ってスタータジェネレータ16を力行状態に制御する際には、スイッチSW1,SW2は共にオン状態に保持される。このように、スタータジェネレータ16によってエンジン12を補助する場合には、スイッチSW1,SW2をオン状態に制御することにより、電気機器群64に鉛バッテリ51とリチウムイオンバッテリ52との双方を接続している。これにより、電気機器群64の電源電圧を安定させることができ、車両用電源装置10の信頼性を向上させることができる。
前述したように、スタータジェネレータ16によるエンジン再始動時には、スイッチSW1がオフ状態に切り替えられる一方、スタータジェネレータ16によるモータアシスト時には、スイッチSW1がオン状態に保持される。つまり、エンジン再始動とは、停止中のエンジン12をスタータジェネレータ16によって回転させ始める状況であり、スタータジェネレータ16の消費電力が増加し易い状況である。これに対し、モータアシスト時とは、回転中のエンジン12をスタータジェネレータ16によって補助的に駆動する状況であり、スタータジェネレータ16の消費電力が抑制される状況である。このように、モータアシスト制御においては、スタータジェネレータ16の消費電力が抑制されることから、スイッチSW1をオン状態に保持したとしても、鉛バッテリ51からスタータジェネレータ16に大電流が流れることはなく、電気機器群64の電源電圧を安定させることができる。
[エンジン初始動制御,鉛バッテリ補充電制御]
続いて、スタータモータ33を用いてエンジン12を始動するエンジン初始動制御について説明した後に、エンジン初始動後のスタータジェネレータ16による鉛バッテリ補充電制御について説明する。ここで、図8はエンジン初始動制御における電流供給状況の一例を示す図である。また、図9は鉛バッテリ補充電制御における電流供給状況の一例を示す図である。
車両11の制御システムを起動させて最初にエンジン12を始動する場合、つまりスタータボタン操作によってエンジン12を始動する場合には、スタータモータ33によってエンジン12の始動回転が行われる。このエンジン初始動制御においては、図8に示すように、スイッチSW1がオフ状態に制御され、スイッチSW2がオフ状態に制御され、スタータリレー37がオン状態に制御される。これにより、鉛バッテリ51からスタータモータ33に電流が供給され、スタータモータ33を回転させることでエンジン12が始動される。
このように、スタータモータ33によってエンジン12が始動されると、図9に示すように、スタータリレー37がオフ状態に切り替えられ、スイッチSW1がオン状態に切り替えられ、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。すなわち、エンジン12が始動されると、スイッチSW2をオフ状態に保持したまま、スイッチSW1がオン状態に切り替えられ、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。これにより、スタータジェネレータ16によって鉛バッテリ51を積極的に充電することができ、停車中やエンジン初始動時に低下する鉛バッテリ51の充電状態SOCを回復させることができる。
つまり、停車中には鉛バッテリ51から電気機器群64に暗電流が流れ、エンジン初始動時には鉛バッテリ51からスタータモータ33に大電流が流れるため、停車中からエンジン初始動時にかけて鉛バッテリ51の充電状態SOCは徐々に低下する。このため、エンジン初始動後に鉛バッテリ補充電制御を実行することにより、低下した鉛バッテリ51の充電状態SOCを回復させている。なお、鉛バッテリ補充電制御は、所定時間に渡って継続しても良く、鉛バッテリ51の充電状態SOCが所定値に回復するまで継続しても良い。
[エンスト防止制御1]
以下、車両用電源装置10によって実行されるエンスト防止制御1について説明する。前述したように、スタータジェネレータ16の燃焼発電状態においては、エンジン12によってスタータジェネレータ16が駆動されるため、エンジン負荷が増加してエンジンストールを発生させてしまう虞がある。そこで、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される場合、つまりエンジン動力を用いて発電するエンジン発電制御が実行される場合に、メインコントローラ80は、エンジンストールを防止するためのエンスト防止制御1を実行する。
図10はエンスト防止制御1を実行する際のエンジン回転数NeやISGトルク等の推移の一例を示すタイミングチャートである。なお、図10に示されるISGトルクは、スタータジェネレータ16の発電トルクや力行トルクである。また、図11(A)および(B)は、エンスト防止制御1を実行する際の電流供給状況の一例を示す図である。なお、図11(A)および(B)において、黒塗りの矢印は電流の供給状況を示す矢印であり、白抜きの矢印はトルクの伝達状況を示す矢印である。
まず、図10に示されるエンジン発電制御の実行状況は、停車中や停車直前の減速走行中に、エンジン12がアイドリング状態で運転される状況であり、かつスタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される状況である。図10に示すように、エンジン発電制御においては、エンジン回転数Neが所定のアイドリング回転数(アイドリング回転速度)Nidに制御され(符号a1)、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態(発電状態)に制御される(符号b1)。ここで、アイドリング回転数Nidとは、乗員がアクセルペダルを操作していない状態のもとで、エンジン12がエンジン負荷や機械損失等に打ち勝って維持する回転数である。このアイドリング回転数Nidは、スタータジェネレータ16の発電トルク、エンジン12の冷却水温、図示しないコンプレッサの作動状況等に応じて変化する。
例えば、スタータジェネレータ16の発電トルクが大きい場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、スタータジェネレータ16の発電トルクが小さい場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。また、エンジン12の冷却水温が低い場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、エンジン12の冷却水温が高い場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。また、図示しないエアコンディショナのコンプレッサが作動する場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、エアコンディショナのコンプレッサが停止する場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。
図11(A)に示すように、エンジン発電制御においては、エンジン12によってスタータジェネレータ16が駆動された状態のもとで、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。また、スイッチSW1,SW2の双方がオン状態に制御されており、スタータジェネレータ16からの発電電流は、鉛バッテリ51、リチウムイオンバッテリ52および電気機器群64に供給される。このとき、エンジン12に作用する負荷、つまりスタータジェネレータ16の発電トルクは、バッテリ51,52の内部抵抗や電気機器群64の消費電流等によって変動する。また、アイドリング状態で出力されるエンジントルクは小さいことから、エンジン負荷やエンジントルクの変動状況によっては、エンジン停止つまりエンジンストールが発生する虞がある。
そこで、メインコントローラ80は、図10に示すように、エンジン発電制御を実行した状態のもとで、エンジン負荷やエンジントルクの変動によってエンジン回転数Neが低下し(符号a2)、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると(符号a3)、エンジンストールの虞があると判定する。そして、メインコントローラ80は、スタータジェネレータ16の力行トルクを急速に増加させ(符号b2)、スタータジェネレータ16を燃焼発電状態から力行状態に切り替える(符号b3)。
これにより、スタータジェネレータ16を用いてエンジン回転数Neを上昇させることができ(符号a4)、エンジンストールを回避することができる。つまり、図11(B)に示すように、リチウムイオンバッテリ52からスタータジェネレータ16に電流が供給され、スタータジェネレータ16によってエンジン12が駆動される。これにより、エンジンストールを回避してエンジン12の運転状態を継続することができる。なお、リチウムイオンバッテリ52の内部抵抗は、鉛バッテリ51の内部抵抗よりも小さいことから、スタータジェネレータ16の消費電流の大部分はリチウムイオンバッテリ52から供給される。
このように、スタータジェネレータ16によってエンジン12がアシスト駆動され、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1よりも高い補助終了閾値N2を上回ると(符号a5)、メインコントローラ80は、エンジンストールの虞が解消したと判定する。そして、メインコントローラ80は、スタータジェネレータ16の力行トルクを「0」に向けて緩やかに減少させ(符号b4)、スタータジェネレータ16を力行状態から燃焼発電状態に切り替える(符号b5)。このように、エンジンストールが回避されると、再びスタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御され、図11(A)に示すように、バッテリ51,52を充電するためのエンジン発電制御が継続される。
前述したように、エンスト防止制御1においては、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると、スタータジェネレータ16が力行状態に切り替えられ、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回ると、スタータジェネレータ16が発電状態に切り替えられる。ここで、補助開始閾値N1および補助終了閾値N2は、エンジン12のアイドリング回転数Nidに基づき設定されており、アイドリング回転数Nidよりも低く設定されている。例えば、補助開始閾値N1は、アイドリング回転数Nidに所定係数(例えば0.5)を乗じることで設定される(N1=Nid×0.5)。また、補助終了閾値N2は、アイドリング回転数Nidに所定係数(例えば0.65)を乗じることで設定される(N2=Nid×0.65)。このように、アイドリング回転数Nidに基づき補助開始閾値N1や補助終了閾値N2を設定することにより、発電トルク等に応じてアイドリング回転数Nidが上下した場合であっても、適切に補助開始閾値N1や補助終了閾値N2を設定することができる。
また、アイドリング回転数Nidよりも補助開始閾値N1を低く設定することにより、スタータジェネレータ16の力行開始タイミングを遅らせることができる。これにより、エンジンストールが発生することのない状況において、不要にスタータジェネレータ16を力行状態に制御することがなく、スタータジェネレータ16の消費電力を抑制することができる。また、アイドリング回転数Nidよりも補助終了閾値N2を低く設定することにより、スタータジェネレータ16の力行停止タイミングを早めることができる。これにより、エンジンストールが回避された状況において、スタータジェネレータ16の力行状態を不要に継続することがなく、スタータジェネレータ16の消費電力を抑制することができる。
また、図10に示すように、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回り、スタータジェネレータ16を発電状態から力行状態に切り替える際には、スタータジェネレータ16の力行トルクを第1変化速度で急速に増加させている(符号b2)。このように、スタータジェネレータ16の力行トルクを素早く増加させることにより、スタータジェネレータ16の力行開始タイミングを遅らせつつ、エンジンストールを防止することができる。一方、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回り、スタータジェネレータ16を力行状態から発電状態に切り替える際には、スタータジェネレータ16の力行トルクを第1変化速度よりも遅い第2変化速度で緩やかに減少させている(符号b4)。このように、スタータジェネレータ16の力行トルクを緩やかに減少させることにより、トルク変動に伴う違和感を乗員に与えることなくスタータジェネレータ16を制御することができる。
続いて、前述したエンスト防止制御1をフローチャートに沿って説明する。図12はエンスト防止制御1の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示されるLiBは、リチウムイオンバッテリ52である。
図12に示すように、ステップS10では、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。この燃焼発電状態において、スイッチSW1,SW2はオン状態に制御されている。続くステップS11では、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回るか否かが判定される。ステップS11において、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると判定された場合、つまりエンジンストールの虞があると判定された場合には、ステップS12に進み、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であるか否かが判定される。ステップS12において、リチウムイオンバッテリ52が放電可能である状況とは、例えば、バッテリモジュール74が正常に動作しており、かつリチウムイオンバッテリ52の温度が所定範囲(例えば、−10℃以上、60℃以下)に収まっており、かつリチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが所定値(例えば、20%)以上に確保されている状況である。
ステップS12において、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であると判定されると、ステップS13に進み、スタータジェネレータ16が発電状態から力行状態に切り替えられる。このように、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であると判定した上で、スタータジェネレータ16を力行状態に制御したので、適切にリチウムイオンバッテリ52からスタータジェネレータ16に電流を供給することができる。これにより、エンジンストールの虞があるエンジン12を、スタータジェネレータ16によって適切にアシスト駆動することができる。
続くステップS14では、スタータジェネレータ16のアシスト駆動によって上昇するエンジン回転数Neが、補助開始閾値N1よりも高い補助終了閾値N2を上回るか否かが判定される。ステップS14において、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回ると判定された場合には、エンジンストールの虞が解消された状況であることから、ステップS15に進み、スタータジェネレータ16の力行トルクが徐々に下げられる。
そして、ステップS16では、スタータジェネレータ16の力行状態が停止したか否か、つまり力行トルクが「0」まで低下したか否かが判定される。ステップS16において、スタータジェネレータ16が力行状態であると判定された場合には、ステップS14に戻り、力行トルクの引き下げが継続される。一方、ステップS16において、スタータジェネレータ16の力行状態が停止したと判定された場合には、ステップS17に進み、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。
一方、ステップS14において、スタータジェネレータ16にアシスト駆動された状態のもとで、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2以下であると判定された場合には、ステップS18に進み、スタータジェネレータ16の力行開始からの経過時間Taが所定の制限時間T1(例えば3秒)を上回るか否かが判定される。ステップS18において、経過時間Taが制限時間T1以下であると判定された場合には、ステップS13に戻り、スタータジェネレータ16の力行状態が継続される。一方、ステップS18において、経過時間Taが制限時間T1を上回ると判定された場合には、スタータジェネレータ16によるアシスト駆動が困難な状況であるため、ステップS19に進み、スタータジェネレータ16の力行状態が停止される。
[エンスト防止制御2]
前述したエンスト防止制御1においては、図3に示すように、双方のスイッチSW1,SW2がオン状態に制御され、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される際に、エンスト防止制御を実行しているが、これに限られることはない。例えば、図9に示すように、スイッチSW1がオン状態に制御され、スイッチSW2がオフ状態に制御され、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される際に、エンスト防止制御を実行しても良い。
以下、車両用電源装置10によって実行されるエンスト防止制御2について説明する。前述したように、スタータジェネレータ16の燃焼発電状態においては、エンジン12によってスタータジェネレータ16が駆動されるため、エンジン負荷が増加してエンジンストールを発生させてしまう虞がある。そこで、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される場合、つまりエンジン動力を用いて発電するエンジン発電制御が実行される場合に、メインコントローラ80は、エンジンストールを防止するためのエンスト防止制御2を実行する。
図13はエンスト防止制御2を実行する際のエンジン回転数NeやISGトルク等の推移の一例を示すタイミングチャートである。なお、図13に示されるISGトルクは、スタータジェネレータ16の発電トルクや力行トルクである。また、図14(A)および(B)は、エンスト防止制御2を実行する際の電流供給状況の一例を示す図である。なお、図14(A)および(B)において、黒塗りの矢印は電流の供給状況を示す矢印であり、白抜きの矢印はトルクの伝達状況を示す矢印である。
まず、図13に示されるエンジン発電制御の実行状況は、エンジン初始動後の鉛バッテリ補充電時に、エンジン12がアイドリング状態で運転される状況であり、かつスタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される状況である。図13に示すように、エンジン発電制御においては、エンジン回転数Neが所定のアイドリング回転数(アイドリング回転速度)Nidに制御され(符号a1)、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態(発電状態)に制御される(符号b1)。ここで、アイドリング回転数Nidとは、乗員がアクセルペダルを操作していない状態のもとで、エンジン12がエンジン負荷や機械損失等に打ち勝って維持する回転数である。このアイドリング回転数Nidは、スタータジェネレータ16の発電トルク、エンジン12の冷却水温、図示しないコンプレッサの作動状況等に応じて変化する。
例えば、スタータジェネレータ16の発電トルクが大きい場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、スタータジェネレータ16の発電トルクが小さい場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。また、エンジン12の冷却水温が低い場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、エンジン12の冷却水温が高い場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。また、図示しないエアコンディショナのコンプレッサが作動する場合には、アイドリング回転数Nidが高く設定される一方、エアコンディショナのコンプレッサが停止する場合には、アイドリング回転数Nidが低く設定される。
図14(A)に示すように、エンジン発電制御においては、エンジン12によってスタータジェネレータ16が駆動された状態のもとで、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。また、スイッチSW1はオン状態に制御される一方、スイッチSW2はオフ状態に制御されており、スタータジェネレータ16からの発電電流は、鉛バッテリ51および電気機器群64に供給される。このとき、エンジン12に作用する負荷、つまりスタータジェネレータ16の発電トルクは、鉛バッテリ51の内部抵抗や電気機器群64の消費電流等によって変動する。また、アイドリング状態で出力されるエンジントルクは小さいことから、エンジン負荷やエンジントルクの変動状況によっては、エンジン停止つまりエンジンストールが発生する虞がある。
そこで、メインコントローラ80は、図13に示すように、エンジン発電制御を実行した状態のもとで、エンジン負荷やエンジントルクの変動によってエンジン回転数Neが低下し(符号a2)、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると(符号a3)、エンジンストールの虞があると判定する。そして、メインコントローラ80は、スイッチSW2をオフ状態からオン状態に切り替え(符号c1)、スタータジェネレータ16の力行トルクを急速に増加させ(符号b2)、スタータジェネレータ16を燃焼発電状態から力行状態に切り替える(符号b3)。
これにより、スタータジェネレータ16を用いてエンジン回転数Neを上昇させることができ(符号a4)、エンジンストールを回避することができる。つまり、図14(B)に示すように、リチウムイオンバッテリ52からスタータジェネレータ16に電流が供給され、スタータジェネレータ16によってエンジン12が駆動される。これにより、エンジンストールを回避してエンジン12の運転状態を継続することができる。なお、リチウムイオンバッテリ52の内部抵抗は、鉛バッテリ51の内部抵抗よりも小さいことから、スタータジェネレータ16の消費電流の大部分はリチウムイオンバッテリ52から供給される。
このように、スタータジェネレータ16によってエンジン12がアシスト駆動され、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1よりも高い補助終了閾値N2を上回ると(符号a5)、メインコントローラ80は、エンジンストールの虞が解消したと判定する。そして、メインコントローラ80は、スタータジェネレータ16の力行トルクを「0」に向けて緩やかに減少させ(符号b4)、スイッチSW2をオン状態からオフ状態に切り替え(符号c2)、スタータジェネレータ16を力行状態から燃焼発電状態に切り替える(符号b5)。このように、エンジンストールが回避されると、再びスタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御され、図14(A)に示すように、バッテリ51,52を充電するためのエンジン発電制御が継続される。
前述したように、エンスト防止制御2においては、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると、スイッチSW2がオン状態に切り替えられ、スタータジェネレータ16が力行状態に切り替えられる。一方、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回ると、スイッチSW2がオフ状態に切り替えられ、スタータジェネレータ16が発電状態に切り替えられる。ここで、補助開始閾値N1および補助終了閾値N2は、エンジン12のアイドリング回転数Nidに基づき設定されており、アイドリング回転数Nidよりも低く設定されている。例えば、補助開始閾値N1は、アイドリング回転数Nidに所定係数(例えば0.5)を乗じることで設定される(N1=Nid×0.5)。また、補助終了閾値N2は、アイドリング回転数Nidに所定係数(例えば0.65)を乗じることで設定される(N2=Nid×0.65)。このように、アイドリング回転数Nidに基づき補助開始閾値N1や補助終了閾値N2を設定することにより、発電トルク等に応じてアイドリング回転数Nidが上下した場合であっても、適切に補助開始閾値N1や補助終了閾値N2を設定することができる。
また、アイドリング回転数Nidよりも補助開始閾値N1を低く設定することにより、スタータジェネレータ16の力行開始タイミングを遅らせることができる。これにより、エンジンストールが発生することのない状況において、不要にスタータジェネレータ16を力行状態に制御することがなく、スタータジェネレータ16の消費電力を抑制することができる。また、アイドリング回転数Nidよりも補助終了閾値N2を低く設定することにより、スタータジェネレータ16の力行停止タイミングを早めることができる。これにより、エンジンストールが回避された状況において、スタータジェネレータ16の力行状態を不要に継続することがなく、スタータジェネレータ16の消費電力を抑制することができる。
また、図13に示すように、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回り、スタータジェネレータ16を発電状態から力行状態に切り替える際には、スタータジェネレータ16の力行トルクを第1変化速度で急速に増加させている(符号b2)。このように、スタータジェネレータ16の力行トルクを素早く増加させることにより、スタータジェネレータ16の力行開始タイミングを遅らせつつ、エンジンストールを防止することができる。一方、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回り、スタータジェネレータ16を力行状態から発電状態に切り替える際には、スタータジェネレータ16の力行トルクを第1変化速度よりも遅い第2変化速度で緩やかに減少させている(符号b4)。このように、スタータジェネレータ16の力行トルクを緩やかに減少させることにより、トルク変動に伴う違和感を乗員に与えることなくスタータジェネレータ16を制御することができる。
続いて、前述したエンスト防止制御2をフローチャートに沿って説明する。図15はエンスト防止制御2の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、図15に示されるLiBは、リチウムイオンバッテリ52である。
図15に示すように、ステップS20では、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。この燃焼発電状態において、スイッチSW1はオン状態に制御されており、スイッチSW2はオフ状態に制御されている。続くステップS21では、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回るか否かが判定される。ステップS21において、エンジン回転数Neが補助開始閾値N1を下回ると判定された場合、つまりエンジンストールの虞があると判定された場合には、ステップS22に進み、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であるか否かが判定される。ステップS22において、リチウムイオンバッテリ52が放電可能である状況とは、例えば、バッテリモジュール74が正常に動作しており、かつリチウムイオンバッテリ52の温度が所定範囲(例えば、−10℃以上、60℃以下)に収まっており、かつリチウムイオンバッテリ52の充電状態SOCが所定値(例えば、20%)以上に確保されている状況である。
ステップS22において、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であると判定されると、ステップS23に進み、スイッチSW2がオフ状態からオン状態に切り替えられ、ステップS24に進み、スタータジェネレータ16が発電状態から力行状態に切り替えられる。このように、リチウムイオンバッテリ52が放電可能であると判定した上で、スイッチSW2をオン状態に切り替え、スタータジェネレータ16を力行状態に制御したので、適切にリチウムイオンバッテリ52からスタータジェネレータ16に電流を供給することができる。これにより、エンジンストールの虞があるエンジン12を、スタータジェネレータ16によって適切にアシスト駆動することができる。
続くステップS25では、スタータジェネレータ16のアシスト駆動によって上昇するエンジン回転数Neが、補助開始閾値N1よりも高い補助終了閾値N2を上回るか否かが判定される。ステップS25において、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2を上回ると判定された場合には、エンジンストールの虞が解消された状況であることから、ステップS26に進み、スタータジェネレータ16の力行トルクが徐々に下げられる。
そして、ステップS27では、スタータジェネレータ16の力行状態が停止したか否か、つまり力行トルクが「0」まで低下したか否かが判定される。ステップS27において、スタータジェネレータ16が力行状態であると判定された場合には、ステップS25に戻り、力行トルクの引き下げが継続される。一方、ステップS27において、スタータジェネレータ16の力行状態が停止したと判定された場合には、ステップS28に進み、スイッチSW2がオフ状態に切り替えられ、ステップS29に進み、スタータジェネレータ16が燃焼発電状態に制御される。
一方、ステップS25において、スタータジェネレータ16にアシスト駆動された状態のもとで、エンジン回転数Neが補助終了閾値N2以下であると判定された場合には、ステップS30に進み、スタータジェネレータ16の力行開始からの経過時間Taが所定の制限時間T1(例えば3秒)を上回るか否かが判定される。ステップS30において、経過時間Taが制限時間T1以下であると判定された場合には、ステップS24に戻り、スタータジェネレータ16の力行状態が継続される。一方、ステップS30において、経過時間Taが制限時間T1を上回ると判定された場合には、スタータジェネレータ16によるアシスト駆動が困難な状況であるため、ステップS31に進み、スタータジェネレータ16の力行状態が停止される。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図10や図13に示した例では、エンジン12をアイドリング状態に制御しているが、これに限られることはなく、エンジン回転数Neが低くエンジンストールの虞がある状況であれば、エンジン12の運転状態としてはアイドリング状態以外であっても良い。また、前述の説明では、第1蓄電体として鉛バッテリ51を用いているが、これに限られることはなく、第1蓄電体として他の種類のバッテリやキャパシタを用いても良い。また、第2蓄電体としてリチウムイオンバッテリ52を用いているが、これに限られることはなく、第2蓄電体として他の種類のバッテリやキャパシタを用いても良い。また、図1および図2に示した例では、リチウムイオンバッテリ52の正極ライン54にスイッチSW2を設けているが、これに限られることはない。例えば、図2に一点鎖線で示すように、リチウムイオンバッテリ52の負極ライン59にスイッチSW2を設けても良い。また、前述の説明では、メインコントローラ80に、各種制御部81〜87を設けているが、これに限られることはない。他のコントローラに、各種制御部81〜87の一部や全部を設けても良い。