JP2020018976A - 薬剤保管機能付アイソレーター - Google Patents
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Abstract
【課題】グローブボックス内での薬剤の調製作業の終了後、薬剤を内部において適正に保管することができ、調製作業の円滑性及び経済性の向上を図ることができるアイソレーターを提供する。【解決手段】室内が陰圧に保持されるグローブボックス2と、グローブボックス2内に対象物を搬入するためのパスボックス3を有し、グローブボックス2内の空間からアクセス可能な位置、より具体的には、グローブボックス2の室内空間を取り囲む壁部のうち、パスボックス3とは反対側の壁部(右側の壁部24)に、冷却機能を有するとともに、開閉扉の内側面に収納手段を有する薬剤用の保管庫4を形成した。尚、保管庫4の開閉扉は、奥側の側縁が枢着され、手前側の側縁が大きく回動して、グローブボックス2の内側へ向かって開くように構成した。【選択図】図1
Description
本発明は、医療施設等において抗がん薬等の薬剤の調製に用いられるアイソレーターに関する。
医療施設等における抗がん薬の調製作業は、作業者における曝露等の危険を回避するために、アイソレーター(或いは、安全キャビネット)と呼ばれる設備を用いて行われている。抗がん薬の調製作業に利用されるアイソレーターは、一般的に、室内が陰圧に保持されるとともに、前面側に左右一対のグローブが取り付けられたグローブボックスと、取扱対象物をグローブボックス内へ安全に搬入するためのパスボックス等を有しており、作業者が、アイソレーターの外側(前面側)からグローブ内に手を差し込むことにより、グローブボックスの室内空間において、抗がん薬等の危険薬剤の調製作業を、絶縁状態で安全に行うことができるようになっている。
従来、アイソレーターを用いて抗がん薬の調製作業が行われる場合、抗がん薬を収容したバイアル瓶と、当該バイアル瓶から抗がん薬を取り分けて患者に処方するための容器と、抗がん薬を取り分けるための注射器等の器材が、パスボックスを経由してグローブボックス内に搬入され、グローブボックス内で調製作業が実施された後、抗がん薬を注入した処方用の容器、及び、注射器等の器材が、ファスナー付きのビニール袋等によってそれぞれ密閉された状態で、パスボックスを経由して搬出されることになる。また、抗がん薬を収容したバイアル瓶については、内部に抗がん薬が残っている場合でも、同様に密閉された状態で搬出され、その後、安全性が確保された適正な経路で廃棄されることになる。
しかしながら、抗がん薬は非常に高価であるため、調製作業毎にグローブボックス内にバイアル瓶を搬入し、調製作業の終了後、バイアル瓶内に残留している抗がん薬についてもすべて廃棄してしまうこととすると、経済性の面で問題があるほか、調製作業の円滑な実施が妨げられてしまうという問題がある。
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、グローブボックス内での薬剤の調製作業の終了後、薬剤を内部において適正に保管することができ、調製作業の円滑性及び経済性の向上を図ることができるアイソレーターを提供することを目的とする。
本発明に係るアイソレーターは、室内が陰圧に保持されるグローブボックスと、グローブボックス内に対象物を搬入するためのパスボックスを有し、グローブボックス内の空間からアクセス可能な位置に薬剤用の保管庫が形成されていることを特徴としている。
尚、上記保管庫は、冷却機能を有していることが好ましく、また、グローブボックスの室内空間を取り囲む壁部のうち、パスボックスとは反対側の壁部に取り付けられていることが好ましい。また、上記保管庫は、開閉扉の奥側の側縁が枢着され、手前側の側縁が回動して開閉扉が開閉するように構成されていることが好ましい。
更に、上記保管庫は、開閉扉の内側面に対象物を収納できる収納ポケット又はハンガータイプの収納手段を有していることが好ましく、また、パスボックス内の空間からアクセス可能な位置に、第二の保管庫が形成されていることが好ましい。
本発明に係るアイソレーターは、グローブボックスの室内空間から容易にアクセスできる位置において、高価な抗がん薬等の薬剤を適正に保管することができるため、従来は調製作業の終了後に廃棄されていた残留薬剤を、次回以降の調製作業においても利用することができ、また、調製作業毎に薬剤をグローブボックス内に搬入する必要がないため、薬剤の調製作業の円滑性、及び、経済性の向上を図ることができる。
また、保管庫を、開閉扉の奥側の側縁が枢着され、手前側の側縁が回動して開閉扉が開閉するように構成し、また、開閉扉の内側面に対象物の収納手段を配置した場合、開閉扉を開くことによって、保管庫内からグローブボックス内の空間に保管対象物を移動させることができ、作業者において、保管対象物を容易に取り扱うことができる。
以下、添付図面に沿って本発明「アイソレーター」の実施形態について説明する。図1は、本発明に係るアイソレーター1の外観構成を示す斜視図である。このアイソレーター1の内部には、室内が陰圧に保持されるグローブボックス2と、グローブボックス2内に薬剤等を搬入するためのパスボックス3が形成されており、それらの前面側には、内部を視認できるように透明な板が嵌め込まれた前面扉21,31がそれぞれ取り付けられている。
グローブボックス2の前面扉21には、左右一対の開口部22が形成されている。そして、これらの開口部22には、グローブ23の基端部がそれぞれ気密的に取り付けられており、作業者は、アイソレーター1の外側(前面側)からこれらのグローブ23内に手を差し込むことにより、グローブボックス2の室内空間において、抗がん薬等の危険薬剤の調製作業を、絶縁状態で安全に行うことができる。
パスボックス3は、グローブボックス2に隣接して形成されており、それらの間に配置されているシャッター(図示せず)を開放すると、パスボックス3内空間とグローブボックス2内空間とが連通し、シャッターを閉じると、両空間が遮断、絶縁されるようになっている。
従って、パスボックス3の前面扉31を開いて、薬剤等の対象物をパスボックス3内に搬入し、前面扉31を閉じてからシャッターを開放し、対象物をパスボックス3内からグローブボックス2内へ移送し、シャッターを閉じることによって、アイソレーター1の外側からグローブボックス2内へ薬剤等の対象物を安全に搬入することができ、また反対に、前面扉31を閉じた状態でシャッターを開放し、対象物をグローブボックス2内からパスボックス3内へ移送し、シャッターを閉じてからパスボックス3の前面扉31を開くことにより、対象物を安全に取り出すことができる。
また、本発明に係るアイソレーター1においては、図1に示すように、冷却機能を有する(収容物を冷蔵できる)保管庫4が設けられている。この保管庫4は、グローブボックス2の室内空間を取り囲む壁部のうち、右側の壁部24(パスボックス3とは反対側の壁部)の一部を矩形状に切り欠いて取り付けられている。尚、保管庫4の開閉扉は、右側の壁部24の切欠部に嵌合し、保管庫4の本体がその外側へ突出するように取り付けられ、開閉扉が、壁部24の切欠部に嵌合した状態から、グローブボックス2の内側へ向かって開くようになっており、グローブボックス2内の空間からアクセス可能なように構成されている。
より具体的には、図2(1)に示すように、保管庫4の開閉扉41が閉じた状態(壁部24の切欠部に嵌合した状態)にあるとき、グローブボックス2の室内空間と保管庫4内の空間とが開閉扉41によって仕切られ、また、図2(2)に示すように、開閉扉41をグローブボックス2の内側へ向かって開けると、両空間が連通するように構成され、作業者は、グローブ23(図1参照)を介して、保管庫4内に収容しておいた薬剤等をグローブボックス2内において取り扱うことができ、また、グローブボックス2内で取り扱われた薬剤等を、保管庫4内に収容できる状態とすることができる。
尚、開閉扉41は、奥側の側縁42(図2(1)に示す閉状態において奥側となる側縁)が保管庫4に対してヒンジ(図示せず)を介して枢着され、当該ヒンジを軸として、手前側の側縁43(図2(1)に示す閉状態において手前側となる側縁)が、図2(2)に示すように、グローブボックス2の奥側の壁部25の近傍の位置まで大きく回動するような開閉動作が可能なように構成されている。
また、図2に示す実施形態においては、開閉扉41の内側面(図2(1)に示す閉状態において保管庫4の内側となる面)に、収納ポケット(収納手段44)が取り付けられており、ここに保管対象物5(抗がん薬を収容したバイアル瓶等)を収納できるようになっている。従って、開閉扉41を開くと、図2(2)に示すように、保管対象物5が、保管庫4内からグローブボックス2内の空間に移動するとともに、グローブ23が取り付けられている前面扉21(図1参照)側を向いて露呈することになり、作業者において、グローブ23(図1参照)を介して、保管対象物5を容易に取り扱うことができる。尚、開閉扉41においては、図2に示すような収納ポケットの代わりに、図3に示すようなハンガータイプの収納手段44を採用することもできる。
また、本実施形態における保管庫4は、内蔵するペルチェ素子によって庫内を冷却できるように構成されており、更に、図1に示すように、保管庫4の筐体の外側部には、ペルチェ素子の排熱側(放熱側)を冷却するための放熱用ファン45が取り付けられている。尚、保管庫4の全体をグローブボックス2の室内に配置した場合、ペルチェ素子の排熱によってグローブボックス2の室内温度が上昇してしまうという問題が生じかねないが、本実施形態においては、保管庫4が、グローブボックス2の右側の壁部24からアイソレーター1の外側へ突出するように取り付けられているため、放熱用ファン45を、アイソレーター1の外側の空気と接する位置に配置することができ、グローブボックス2の室内温度の上昇を回避することができる。
また、図1に示すアイソレーター1においては、パスボックス3の右側にのみグローブボックス2が形成されているが、本発明は、パスボックスの左右両側にグローブボックスが一つずつ形成されたアイソレーター(図示せず)に適用することもできる。この場合も、保管庫は、各グローブボックスの室内空間を取り囲む壁部のうち、パスボックスが形成されている側とは反対側の壁部において、各グローブボックス内の空間からアクセス可能なように配置されることが好ましい。
尚、パスボックス内の空間からアクセス可能な位置(例えば、パスボックスの室内空間を取り囲む壁部のうち、奥側の壁部に沿った位置)に、第二の保管庫を形成することもできる。この第二の保管庫としては、冷却機能を有していないものを採用してもよく、この場合、冷蔵が必要となる薬剤(抗がん薬等)以外の薬剤或いは機材等の保管用として好適に利用することができる。
1:アイソレーター、
2:グローブボックス、
3:パスボックス、
4:保管庫、
5:保管対象物、
21:前面扉、
22:開口部、
23:グローブ、
24:右側の壁部、
25:奥側の壁部、
31:前面扉、
41:開閉扉、
42:奥側の側縁、
43:手前側の側縁、
44:収納手段、
45:放熱用ファン
2:グローブボックス、
3:パスボックス、
4:保管庫、
5:保管対象物、
21:前面扉、
22:開口部、
23:グローブ、
24:右側の壁部、
25:奥側の壁部、
31:前面扉、
41:開閉扉、
42:奥側の側縁、
43:手前側の側縁、
44:収納手段、
45:放熱用ファン
Claims (6)
- 室内が陰圧に保持されるグローブボックスと、グローブボックス内に対象物を搬入するためのパスボックスを有するアイソレーターにおいて、
グローブボックス内の空間からアクセス可能な位置に薬剤用の保管庫が形成されていることを特徴とするアイソレーター。 - 保管庫が冷却機能を有していることを特徴とする、請求項1に記載のアイソレーター。
- グローブボックスの室内空間を取り囲む壁部のうち、パスボックスとは反対側の壁部に、保管庫が取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアイソレーター。
- 保管庫は、開閉扉の奥側の側縁が枢着され、手前側の側縁が回動して開閉扉が開閉するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアイソレーター。
- 保管庫が、開閉扉の内側面に対象物を収納できる収納ポケット又はハンガータイプの収納手段を有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアイソレーター。
- パスボックス内の空間からアクセス可能な位置に、第二の保管庫が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアイソレーター。
Priority Applications (1)
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JP2018145308A JP2020018976A (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | 薬剤保管機能付アイソレーター |
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JP2018145308A JP2020018976A (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | 薬剤保管機能付アイソレーター |
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- 2018-08-01 JP JP2018145308A patent/JP2020018976A/ja active Pending
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