JP2020017595A - 樹脂封止用基材の安定化方法、樹脂封止用基材の安定化装置、及び樹脂封止装置 - Google Patents

樹脂封止用基材の安定化方法、樹脂封止用基材の安定化装置、及び樹脂封止装置 Download PDF

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Abstract

【課題】封止樹脂にボイドや未充填の部分が発生することを抑制することができる樹脂封止用基材の安定化装置を提供する。【解決手段】樹脂封止用基材の安定化装置2は、成形金型1に対して定位置にあるガイド部20と、ガイド部20に、成形金型1のキャビティ150内からキャビティ150外へ出る動きができるように通されてガイドされ、成形金型1の型締め後のキャビティ150内で、リードフレームFを所定位置で支持可能な複数の支持ピン25と、支持ピン25が通され、支持ピン25の方向に沿って駆動されると共に、キャビティ150外へ出る位置に先行移動させる支持ピン25を動かす先行駆動体261、及び先行移動させる支持ピン25と異なるタイミングでキャビティ150外へ出る位置に後続移動させる支持ピン25を動かす後続駆動体263を有する駆動部26とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂封止用基材の安定化方法、樹脂封止用基材の安定化装置、及び樹脂封止装置に関するものである。
樹脂封止型半導体装置の製造においては、樹脂封止用基材の熱による歪みや変形を抑えるために、キャビティ内に注入する樹脂の量を監視して、適宜のタイミングで支持ピンを引き抜き、その後、樹脂を硬化させて樹脂封止を行っている。
このような支持ピンを使用した半導体装置の樹脂封止に関連する技術としては、例えば特許文献1に記載された「樹脂封止形半導体装置の製法」がある。
この製法では、樹脂封止体内のボイド(空洞、気孔等)の発生を抑制し、且つ支持板の裏面に均一厚さの薄い封止樹脂層を良好に形成するために、まず、進退自在な押圧型片を支持板の他方の主面から離れた離間位置に配置し、一方の型片、及び他方の型片を型締めし、ゲートからキャビティ内に流動状態の樹脂を部分的に注入する。
続いて、支持型片を支持板の一方の主面に当接させた状態で、離間位置から支持板の他方の主面に接近する近接位置に押圧型片を移動した後、支持板の一方の主面から支持型片を離間させ、ゲートから更に樹脂を注入してキャビティ内を満たし、キャビティ内の樹脂の硬化後に支持板を被覆する樹脂封止体が形成されたリードフレーム組立体を成形型から取り出すというものである。
特開2004−153153号公報
しかしながら、上記従来の製法、及びこの製法に適用される樹脂封止装置の概念的構造を表した樹脂封止装置PO(図7参照)では、一つのキャビティ内で複数の支持型片を使用する場合、複数の支持型片が同時に引き抜かれるため、注入されている封止樹脂において、一度に引き抜かれる支持型片の抜き跡の領域(容量)の合計が比較的大きくなる。
これにより、支持型片の抜き跡の領域に流入する封止樹脂の量も多くなるので、封止樹脂にボイド(空洞や気孔等)や未充填の部分が発生しやすいという問題があった。
即ち、樹脂封止装置POは、リードフレームFを支持する複数の支持ピン70(支持型片に相当)がキャビティ71内からキャビティ71外へ同時に移動する構造である。
そして、樹脂封止装置POでは、図8(a)に示すようにキャビティ71に封止樹脂72が注入され、(b)に示すように封止樹脂72の注入が完了し、(c)に示すように支持ピン70がリードフレームFの支持を解除してキャビティ71外へ移動し、(d)に示すように支持ピン70の抜き跡73が、流入する封止樹脂72によって埋められる。
つまり、上記(d)の工程においては、全部の支持ピンの抜き跡73を、最後にまとめて封止樹脂72で埋めることになる。また、この時点では、熱硬化樹脂である封止樹脂72の硬化がある程度進んでいる。
このため、封止樹脂72が、注入開始当初より流動しにくくなっており、抜き跡73を埋める速度も遅くなるので、結果的に封止樹脂72にボイドや未充填の部分が発生しやすかった。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、封止樹脂にボイドや未充填の部分が発生することを抑制することができる、樹脂封止用基材の安定化方法、樹脂封止用基材の安定化装置、及び樹脂封止装置を提供することを目的とするものである。
(1)上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止用基材の安定化方法は、成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を複数の支持ピンにより所定位置で支持し、キャビティ内に熱硬化性の封止樹脂を注入した後、支持ピンによる樹脂封止基材の支持を解除して、支持ピンが移動する前に位置していた領域に封止樹脂を満たす樹脂封止用基材の安定化方法において、支持ピンによる樹脂封止基材の支持の解除を、異なるタイミングで行うステップを備える。
本発明の樹脂封止用基材の安定化方法によれば、支持ピンによる樹脂封止基材の支持の解除を、異なるタイミングで行うことにより、樹脂封止基材の支持を解除する支持ピンが移動する前に支持していた箇所は、支持ピンが移動する前に位置していた領域(以降、本欄で引用する際は、「上記領域」という場合がある)に流入する封止樹脂によって、先に移動した支持ピンに対応する箇所から順次支持される。
なお、支持ピンによる樹脂封止用基材の支持の解除、及び支持ピンのキャビティ外への移動は、キャビティ内が封止樹脂で満たされた後で行うようにしてもよいし、キャビティ内が封止樹脂で満たされる前に行うようにしてもよい。
(2)本発明の樹脂封止用基材の安定化方法は、キャビティの樹脂注入口に近い所に位置する支持ピンによる樹脂封止基材の支持の解除を先に行う構成とすることもできる。
この場合は、樹脂注入口から封止樹脂が注入されることによりキャビティ内を流れる封止樹脂の上流に位置する支持ピンから順に、下流に位置する支持ピンへ向けて、樹脂封止基材の支持の解除が行われる。
封止樹脂の流れの上流に位置する封止樹脂は、下流に位置する封止樹脂と比較して、キャビティ内に注入開始当初に近い流動しやすい状態で上記領域に流入するので、ごく短い時間でスムーズに支持ピンが移動する前に位置していた領域を埋めることができる。
(3)上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、成形金型に対して定位置にあるガイド部と、ガイド部に、成形金型のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きができるように通されてガイドされ、成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能な複数の支持ピンと、支持ピンが通され、支持ピンの軸方向に沿って駆動されると共に、キャビティ外へ出る位置に先行移動させる支持ピンを動かす先行駆動体、及び先行移動させる支持ピンと異なるタイミングでキャビティ外へ出る位置に後続移動させる支持ピンを動かす後続駆動体を有する駆動部とを備える。
本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、成形金型に対して定位置にあるガイド部によって、複数の支持ピンを成形金型のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きができるように通してガイドすることができる。また、支持ピンを通してガイドすることで、支持ピンに樹脂封止用基材を所定位置で支持するという重要な働きをさせることが可能になる。
本発明の樹脂封止用基材の安定化装置によれば、支持ピンによる樹脂封止基材の支持の解除を、異なるタイミングで行うことにより、先行して樹脂封止基材の支持を解除する支持ピンが支持していた箇所は、支持ピンが移動する前に位置していた領域に流入する封止樹脂によって、先に移動した支持ピンに対応する箇所から順次支持される。
(4)本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、先行移動させる支持ピンが、後続移動させる支持ピンと比較して、キャビティの樹脂注入口に近い所に配置されている構成としてもよい。
この場合は、樹脂注入口から封止樹脂が注入されることにより、キャビティ内を流れる封止樹脂の上流に位置する支持ピンから下流に位置する支持ピンへ、順次樹脂封止基材の支持の解除が行われる。
即ち、樹脂注入口から注入される流動性を有する封止樹脂は、通常、キャビティ内の樹脂注入口に近い方から遠い方へ向けて順に充填されていくので、キャビティ内には、樹脂注入口に近い方が上流で、遠い方が下流となる封止樹脂の流れが生じる。
そして、封止樹脂の上流に位置する支持ピンから下流に位置する支持ピンへ、順次樹脂封止基材の支持の解除を行うことにより、上流に位置する支持ピンに対応する上記領域から順に、上記領域を封止樹脂で埋める動きをする。封止樹脂の流れの上流に位置する封止樹脂は、下流に位置する封止樹脂と比較して、キャビティ内に注入開始当初に近い流動しやすい状態で支持ピンが移動する前に位置していた領域に流入するので、ごく短い時間でスムーズに上記領域を埋めることができる。
(5)本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、ガイド部が、先行移動させる支持ピンを止める第1のストッパーと、後続移動させる支持ピンを止める第2のストッパーを有し、第1のストッパーと先行駆動体の間には、先行移動させる支持ピンがキャビティ外へ出る位置で、先行駆動体を停止させる長さの第1の間隔設定具が配され、第2のストッパーと後続駆動体の間には、後続移動させる支持ピンがキャビティ外へ出る位置で、後続駆動体を停止させる長さの第2の間隔設定具が配されており、駆動部には、先行駆動体と後続駆動体の間隔を拡げる方向に付勢する付勢手段が設けられている構成とすることもできる。
この場合は、ガイド部が、先行移動させる支持ピンを止める第1のストッパーと、後続移動させる支持ピンを止める第2のストッパーを有しているので、先行駆動体が先行移動させる支持ピンを動かしたときに、第1のストッパーにより予め決められた位置で支持ピンを止めることができる。また、後続駆動体が後続移動させる支持ピンを動かしたときに、第2のストッパーにより予め決められた位置で支持ピンを止めることができる。
また、駆動部には、先行駆動体と後続駆動体の間隔を拡げる方向に付勢する付勢手段が設けられているので、先行駆動体が第1の間隔設定具に当たって止まった後も、後続移動体は第2の間隔設定具に当たるまで、先行駆動体に対して反発した状態を維持したまま近付くことができる。これにより、後続移動体は、後続移動させる支持ピンが第2のストッパーにより止められるまで、支持ピンを支障なく動かすことができる。
(6)本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、第1の間隔設定具、及び第2の間隔設定具が、それぞれ取り替えが可能である構成とすることもできる。
この場合は、第1の間隔設定具、及び第2の間隔設定具が、それぞれ取り替えが可能であるので、各間隔設定具に起因する不具合が生じた際にも、容易に対応することができる。また、第2の間隔設定具を長さの異なる間隔設定具に取り替えることにより、先行移動させる支持ピンが移動した後に後続移動させる支持ピンの動き出すタイミングを調節することが可能になる。
(7)上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止用基材の安定化装置は、成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能であると共に、キャビティ内とキャビティ外の間で移動可能な複数の支持ピンと、支持ピンに対して、異なるタイミングでキャビティ内からキャビティ外へ出る動きをさせる駆動部とを備える。
本発明の樹脂封止用基材の安定化装置によれば、支持ピンは、成形金型のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きができるようにしてあるので、キャビティ内で樹脂封止用基材を所定位置で支持する機能と、樹脂封止用基材の支持を解除してキャビティ外へ移動する機能の両方を果たすことが可能である。
更には、樹脂封止用基材の支持を最後に解除した支持ピンに対応する上記領域を、封止樹脂が埋める動きをする際に、封止樹脂の加熱時間が長くなって硬化が進み、ある程度流動しにくくなっているとしても、先行して樹脂封止用基材の支持を解除して移動した支持ピンに対応する上記領域は、既に流動性のよい状態の封止樹脂を流入させることによりボイドや未充填の部分をほとんど生じることなく埋まっているので、総体的に見ればボイドや未充填の部分を減らすことができる。
(8)上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止装置は、樹脂封止用基材の樹脂封止を行う成形金型と、成形金型に対して定位置にあるガイド部、ガイド部に、成形金型のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きができるように通されてガイドされ、成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能な複数の支持ピン、及び支持ピンが通され、支持ピンの軸方向に沿って駆動されると共に、キャビティ外へ出る位置に先行移動させる支持ピンを動かす先行駆動体、及び先行移動させる支持ピンと異なるタイミングでキャビティ外へ出る位置に後続移動させる支持ピンを動かす後続駆動体を含む駆動部とを有する樹脂封止用基材の安定化装置とを備える。
本発明の樹脂封止装置は、上記(3)に係る樹脂封止用基材の安定化装置の作用で説明したように、支持ピンが移動する前に位置していた領域を封止樹脂で埋める動きが、従来よりも早いタイミングで行われ、封止樹脂は流動しやすい状態で上記領域に流入するので、ボイドや未充填の部分をほとんど生じることなく充填され、総体的に見ればボイドや未充填の部分を減らすことができる、等の機能性を備える樹脂封止装置として、樹脂封止型半導体装置等の製造に使用することができる。
(9)上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止装置は、樹脂封止用基材の樹脂封止を行う成形金型と、成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能であると共に、キャビティ内とキャビティ外の間で移動可能な複数の支持ピン、及び支持ピンに対して、異なるタイミングでキャビティ内からキャビティ外へ出る動きをさせる駆動部とを備える樹脂封止用基材の安定化装置とを備える。
本発明の樹脂封止装置は、上記(7)に係る樹脂封止用基材の安定化装置の作用で説明したように、支持ピンが移動する前に位置していた領域を封止樹脂で埋める動きが、従来よりも早いタイミングで行われ、封止樹脂は流動しやすい状態で上記領域に流入するので、ボイドや未充填の部分をほとんど生じることなく充填され、総体的に見ればボイドや未充填の部分を減らすことができる、等の機能性を備える樹脂封止装置として、樹脂封止型半導体装置等の製造に使用することができる。
本発明は、封止樹脂にボイドや未充填の部分が発生することを抑制することができる、樹脂封止用基材の安定化方法、樹脂封止用基材の安定化装置、及び樹脂封止装置を提供することができる。
本発明の樹脂封止装置の一実施の形態を示す断面説明図である。 図1に示す樹脂封止装置を構成する成形金型の構造の概略を示し、(a)は平面視説明図、(b)はA−A断面説明図、(c)はB−B断面説明図である。 図1に示す状態から、先行移動する支持ピンがキャビティ外へ移動した状態を示す断面説明図である。 図3に示す状態から、後続移動する支持ピンがキャビティ外へ移動した状態を示す断面説明図である。 本発明の樹脂封止装置の作用を説明する図で、(a)はキャビティに封止樹脂を注入している状態、(b)は先行移動する支持ピンがキャビティ外へ移動した状態、(c)は先行移動した支持ピンの抜き跡が封止樹脂で埋められた状態、(d)は後続移動する支持ピンがキャビティ外へ移動した状態、(e)は後続移動した支持ピンの抜き跡が封止樹脂で埋められた状態の断面説明図である。 樹脂封止装置を構成する成形金型の他の例の構造を示し、(a)は平面視説明図、(b)はC−C断面説明図、(c)はD−D断面説明図である。 従来の製法に適用される樹脂封止装置の概念的構造を表した断面説明図である。 図7に示す樹脂封止装置の作用を説明する図で、(a)はキャビティに封止樹脂を注入している状態、(b)は封止樹脂の注入が完了した状態、(c)は支持ピンがキャビティ外へ移動した状態、(d)は支持ピンの抜き跡が封止樹脂で埋められた状態の断面説明図である。
図1乃至図5を参照して、本発明の樹脂封止装置の一実施の形態を更に詳細に説明する。なお、以下の説明において、位置や方向を表すために「上下・左右」の用語を使用する場合がある。「上下」については、図1において後述する下型11がある方を下、駆動部26がある方を上とし、これを基準とする。また、「左右」については、図1において後述する昇降駆動体28がある方を右とし、昇降駆動体28aがある方を左とし、これを基準とする。
樹脂封止装置Pは、成形金型1と、成形金型1のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きが可能な支持ピンにより、樹脂封止用基材をキャビティ内の所定位置で支持可能な樹脂封止用基材の安定化装置2により構成されている(図1、図3及び図4参照)。
支持ピンは、支持部材とも換言でき、キャビティ内でリードフレームを所定位置で支持する機能と、後述するように、リードフレームの支持を解除してキャビティ外へ移動する機能の両方を果たすことができる。
(成形金型1)
成形金型1の説明では、図1、図2を参照する。なお、図2(a)乃至(c)では、図示の便宜上、装置の要部を表しており、特に図2(a)は、(b)、(c)と対応させるために、模式的に表している。
成形金型1は、モールド金型であり、下型11と上型12を有している。下型11には、樹脂タブレット(図示省略)が入るポット13が形成されている。ポット13には、図示しないプランジャーを備えている。プランジャーは、樹脂タブレットを溶融させたポット13内の封止樹脂を加圧し、後述するキャビティ150へ送る。
また、上型12には、下型11のポット13に対応する位置から所定の方向へ向けて、カル・ランナー凹部14(図2、図5参照)が延設されている。更に、上型12には、カル・ランナー凹部14の先端部につながる平面視で四角形のキャビティ凹部15が形成されている。カル・ランナー凹部14とキャビティ凹部15の境界部には、樹脂注入口であるゲート16が形成されている。
キャビティ凹部15の四つの角部近傍には、後述する支持ピン25を、封止樹脂の漏れを防止しつつ、スライド可能に通すためのガイド孔17が形成されている。各ガイド孔17は、円孔であり、図1に示すように上型12のキャビティ凹部15と上面18の間を貫通して設けられている。なお、図2(a)、(b)においては、右側のキャビティ凹部15の図示を省略している。
上記成形金型1は、下型11と上型12の型合わせを行うことで、下型11の上面110と上型12のカル・ランナー凹部14により、封止樹脂が流れるランナー140(図2、図5参照)が形成される。また、下型11の上面110と上型12のキャビティ凹部15により、封止樹脂の成形部となるキャビティ150が形成される。
なお、本実施の形態の樹脂封止装置Pは、半導体素子(図示省略)を搭載した樹脂封止用基材であるリードフレームFを、下型11の上面110に当てて後述する支持ピン25のピン本体251の下端で挟んで支持する、リードフレームFのインモールドタイプの樹脂封止を行うものである(図1、図2参照)。
(樹脂封止用基材の安定化装置2)
図1を参照する。
樹脂封止用基材の安定化装置2は、成形金型1に対して定位置にあるガイド部20を有している。即ち、ガイド部20は、図示しない付帯部材を介して、成形金型1の固定型である上型12に対し相互の位置関係が変わらないようにして固定されている。ガイド部20が成形金型1に対して定位置にあることにより、ガイド部20を成形金型1に対する可動部である、後述する支持ピン25の取付位置とすることができる。
ガイド部20は、二枚のブロック21、22で構成されている。このうち、下のブロック21において、上型12の各ガイド孔17に対向する箇所には、カラーガイド孔23がガイド孔17と同軸方向(上下方向)に上下面(符号省略)の間を貫通して、合計八箇所に設けられている。各カラーガイド孔23は、上面に接続する径大孔231と、下面に接続する径小孔232により構成されている。
径大孔231の内径は、後述する支持ピン25の係止部252がスライドできるように、係止部252よりやや径大に形成されている。また、径小部232の内径は、後述する支持ピン25に嵌め込まれている円管状のカラー253、253aがスライドできるように、カラー253、253aの外径よりやや径大に形成されている。
ブロック21の上に合わせて固定されている上のブロック22には、ブロック21の各カラーガイド孔23に対向する箇所に、ガイド孔24、24aがカラーガイド孔23と同軸方向に、上下面(符号省略)の間を貫通して、合計八箇所に設けられている。
図1において上記キャビティ凹部15のゲート16から近い方の支持ピン25が通されるガイド孔24は、支持ピン25の後述するピン本体251が通されてスライドできるように、ピン本体251の外径よりやや径大に形成されている。なお、ゲート16から近い方の支持ピン25が、先行移動させる支持ピンとなる。
また、図1においてゲート16から遠い方の支持ピン25が通されるガイド孔24aは、ブロック22の下面に接続する径大孔241と、上面に接続する径小孔242により構成されている。径小孔242は、ガイド孔24と同径であり、支持ピン25のピン本体251が通される。なお、ゲート16から遠い方の支持ピン25が、後続移動させる支持ピンとなる。
そして、ガイド部20のブロック21、22において、カラーガイド孔23とガイド孔24を組とする四組のガイド孔部(符号省略)と、カラーガイド孔23とガイド孔24aを組とする同じく四組のガイド孔部(符号省略)には、支持ピン25がスライド可能に通されている。
支持ピン25は、丸棒状で径小な所定の長さを有するピン本体251と、ピン本体251の上端寄りに設けられた、円板状でやや径大な係止部252により構成されている。また、ピン本体251の係止部252より下には、間隔設定具である長さが比較的短いカラー253、又はそれより長さが長いカラー253aがスライド可能に嵌め込まれている。
カラーガイド孔23とガイド孔24を組とするガイド孔は、図1においてゲート16から近い方に設けられ、カラーガイド孔23とガイド孔24aを組とするガイド孔は、ゲート16から遠い方に設けられている。
ゲート16から近い方のガイド孔部には、ピン本体251の係止部252より下に、第1の間隔設定具である短い方のカラー253が嵌め込まれた支持ピン25が通されている。支持ピン25は、係止部252が径大孔231の内部にスライド可能に位置させてあり、係止部252より上のピン本体251は、ガイド孔24に通され、係止部25より下のピン本体251は、カラー253を介在させて径小孔232に通されている。
支持ピン25は、係止部252の上面が径大孔231に対向するブロック22の下面に当接することにより、上昇が停止する。このブロック22の下面(符号省略)の部分が、第1のストッパーを構成する。
このように、第1のストッパーと先行駆動体261の間に、先行移動させる支持ピン25がキャビティ150外へ出る位置で、先行駆動体261を停止させる長さのカラー253が配されているので、先行駆動体261との間にカラー253が介在した状態で動かすことにより、先行移動させる支持ピン25を所定位置に止めることができる。
また、ゲート16から遠い方のガイド孔部には、ピン本体251の係止部252より下に、第2の間隔設定具である長い方のカラー253aが嵌め込まれた支持ピン25が通されている。支持ピン25は、係止部252が径大孔231の内部にスライド可能に位置させてあり、係止部252より上のピン本体251は、ガイド孔24aの径小孔242に通され、係止部25より下のピン本体251は、カラー253aを介在させて径小孔232に通されている。
ゲート16から遠い方のガイド孔部において、径大孔231の内部には、係止部252の上面と、ブロック22のガイド孔24aの径大孔241の天面(符号省略)との間に、コイルバネ233が所定の付勢力を以てピン本体251に嵌め入れてある。
これにより、ゲート16から遠い方の支持ピン25は、初期状態(図1参照)において、係止部252の下面がカラーガイド孔23の径大孔231の内底面に当たって停止するようにしてある。
また、後述する先行駆動体261が下降すると、ゲート16から近い方のガイド孔部において、支持ピン25は、自身の重さによって下方へ落ちて、係止部252の下面がカラーガイド孔23の径大孔231の内底面に当たって停止するようになっている。
なお、支持ピン25のピン本体251の下端は、後述する初期状態において、キャビティ150内でリードフレームFを下型11の上面110に当てて支持するときに、リードフレームFを押さえることができる。
成形金型1の上方には、ガイド部20を囲むように形成された駆動部26が、上下方向へ所定の範囲で移動可能に配されている。なお、本実施の形態においては、駆動部26は、後述するように、ガイド20に通されている支持ピン25をガイドとして上下動が可能であるが、別にガイドを設けることもできる。
駆動部26は、門型の上枠260と、上枠260の下部に設けられている後続駆動体263と先行駆動体261を有している。上枠260は、左右方向に所定の間隔で上下方向と平行に配された脚部材265、266を有し、脚部材265、266の上端間に梁部材267を架け渡して固定した構造である。
脚部材265、266の下端間には、後続駆動体263が梁部材267と平行に固定されている。後続駆動体263の上記各ガイド孔17に対向する箇所には、支持ピン25のピン本体251をスライド可能に通すガイド孔264が、上下面(符号省略)の間を貫通して、合計八箇所に設けられている。
また、後続駆動体263の上には、後続駆動体263の長手方向の三箇所に等間隔で設けた付勢手段であるコイルバネ268を介して、先行駆動体261が後続駆動体263と平行に取り付けられている。これにより、先行駆動体261と後続駆動体263は、間隔が狭くなってコイルバネ268が縮むと、間隔を拡げる方向に付勢される。
先行駆動体261の上記各ガイド孔17に対向する箇所のうち、ゲート16から近い方の支持ピン25に対応する箇所には、ピン本体251をスライド可能に通すガイド孔262が、上下面(符号省略)の間を貫通して、合計四箇所に設けられている。
また、先行駆動体261の上記各ガイド孔17に対向する箇所のうち、ゲート16から遠い方の支持ピン25に対応する箇所には、ピン本体251に嵌め込まれている長い方のカラー253aをスライド可能に通すガイド孔262aが、上下面(符号省略)の間を貫通して、合計四箇所に設けられている。
駆動部26の右方には昇降駆動体28が配され、左方には昇降駆動体28aが配されている。昇降駆動体28、28aは、下端に設けてあるフック280を後続駆動体263の左右両端の下面に掛けて駆動部26を支えており、図示しないアクチュエータ等の駆動手段によって、駆動部26を昇降駆動する。
そして、駆動部26は、図1に示すように、成形金型1の上型12に設けてある各ガイド孔17に、上記支持ピン25のピン本体251を通して、後続駆動体263の底部を成形金型1の上型12の上面18に載置した状態を、作動における初期状態とする。
即ち、初期状態において、駆動部26を上下方向に貫通している支持ピン25は、それぞれピン本体251の下端がキャビティ15内の下型11の上面110に当接するリードフレームFの上面を押圧して固定できる位置にある。
また、ピン本体251の上端は、それぞれ駆動部26の上枠260を構成する梁部材267の天面(符号省略)に当接しており、支持ピン25の係止部252の下面は、カラーガイド孔23の径大孔231の内底面に当たって停止する。
なお、先行駆動体261は、各ガイド孔262に支持ピン25のピン本体251を通し、コイルバネ268が軽く付勢された状態で、ガイド部20のブロック21の下面とは、所定の間隔をおいて、後続駆動体263の上方に位置している。
ゲート16から近い方の支持ピン25に嵌め込まれている上記短い方のカラー253の下端が先行駆動体261の上面に当接し、上端が支持ピン25の係止部252の下面に当接している。
また、ゲート16から遠い方の支持ピン25に嵌め込まれている上記長い方のカラー253aが先行駆動体261のガイド孔262aを貫通し、その下端が後続駆動体263の上面に当接し、上端は支持ピン25の係止部252の下面と所定の間隔を設けて位置している(図1参照)。
なお、先行駆動体261は、通された支持ピン25の軸方向に沿って駆動されるので、支持ピン25の軸方向に沿う動きの制御を、比較的簡易な構造で容易に行うことができる。また、先行駆動体261は、キャビティ150外へ出る位置に先行移動させる支持ピン25を動かすので、支持ピン25の軸方向へ駆動されることにより、所定の支持ピン25を、後続の他の支持ピン25に先行してキャビティ外へ移動させることができる。
更に、後続駆動体263は、先行駆動体261と同様に、通された支持ピン25の軸方向に沿って駆動されるので、支持ピンの軸方向に沿う動きの制御を、比較的簡易な構造で容易に行うことができる。
また、後続駆動体263は、キャビティ150外へ出る位置に、先行移動させる支持ピン25と異なるタイミングで後続移動させる支持ピン25を動かすので、支持ピン25の軸方向へ駆動されることにより、所定の支持ピン25を、先行する支持ピン25に続いて、キャビティ150外へ移動させることができる。
(作用)
図1乃至図5を参照し、樹脂封止装置Pの作用、及びリードフレームFの安定化方法について説明する。なお、図1、図3、図4においては、ポットからキャビティ内に注入される封止樹脂の図示は省略している。樹脂封止装置Pは、例えば樹脂封止型半導体装置の製造装置として好適に使用することができる。
樹脂封止装置Pにおいては、加熱保持された成形金型1の下型11のポット13に樹脂タブレットが入り、半導体素子を搭載したリードフレームFがインローダー(図示省略)により下型11の所定位置に搬入され、下型11と上型12の型締めが行われる。次に、駆動部26が下降し、支持ピン25が上枠260で押し下げられ、キャビティ150内のリードフレームFが下型11の上面110に押し付けられて支持されて初期状態となる(図1参照)。
そして、ポット13内部の樹脂タブレットが過熱溶融され、プランジャーで加圧された流動性を有する封止樹脂9は、ランナー140を通り、ゲート16からキャビティ150内部に注入される(図5参照)。
ゲート16から注入される流動性を有する封止樹脂9は、通常、キャビティ150内のゲート16から近い方から遠い方へ向けて順に充填されていくので、キャビティ150内には、ゲート16から近い方が上流で、遠い方が下流となる封止樹脂9の流れが生じる(図5参照)。
封止樹脂9の注入に伴い、キャビティ150内の空気はキャビティ150に通じるエアベント(図示省略)から排出され、キャビティ150内への封止樹脂9の注入が円滑に行われる(図5(a)、(b)参照)。なお、封止樹脂9の注入は、支持ピン25の抜き跡(封止樹脂9において支持ピン25が移動する前に位置していた領域S)が封止樹脂9で充填されるまで、所定の流量で継続的に行われる。
このようにして、封止樹脂9はキャビティ150内に充填され、注入開始から所定の時間が経ったところで、ゲート16から近い方の支持ピン25から、ゲート16から遠い方の支持ピン25へ、順次キャビティ150外への移動が始まる。
この移動では、支持ピン25はリードフレームFの支持を解除し、続いてやや硬化が進んでいる封止樹脂9から抜き取られて、下端がガイド孔17のキャビティ凹部15に開口した孔口(符号省略)に位置する。つまり、成形金型1のキャビティ150内でのリードフレームFの支持は、支持する支持ピン25の数が段階的に少なくなる状況下で行われる。
そして、封止樹脂9の上流に位置する支持ピン25から下流に位置する支持ピン25へ、順次リードフレームFの支持の解除を行うことにより、上流に位置する支持ピン25に対応する領域Sから順に封止樹脂9が流入し、領域Sを埋める。
なお、支持ピン25がキャビティ150外へ移動する際の封止樹脂9の流動性の程度(硬化の程度)については、支持ピン25の移動(封止樹脂9からの抜き取り)が可能であり、かつ支持ピン25の抜き跡である領域Sを、封止樹脂9を充填して埋めることが可能であれば、特に限定するものではない。
また、樹脂封止用基材の安定化装置において、支持ピン25を異なるタイミングでキャビティ150内からキャビティ150外へ出る動きをさせるために、支持ピン25を各種アクチュエータ等の駆動手段で直接駆動できるようにした構成とすることもできる。
本実施の形態では、支持ピン25をキャビティ150内からキャビティ150外へ出す動きのタイミングを違える段階を二段階としているが、これに限定するものではなく、更に後続する支持ピン、及び間隔設定具等を設けて、支持ピン25を三段階以上の異なるタイミングで動かすこともできる。
ここで、図1、図3を参照して、樹脂封止装置Pにおいて先行移動する支持ピン25を作動させるメカニズムを詳細に説明する。
(1)図1において、上記のようにキャビティ150内に封止樹脂9(図1、図3、図4では図示省略)の注入が行われると、昇降駆動体28、28aが図示しない駆動手段によって上昇し、昇降駆動体28、28aのフック280で支持されている駆動部26が所定のストロークLで上昇する(図3参照)。なお、ストロークLは、この工程でゲート16から近い方の支持ピン25が上昇するストロークと同じである。
(2)駆動部26の全体が上昇することにより、先行駆動体261でゲート16から近い方の支持ピン25に嵌め込まれている短い方のカラー253が押し上げられ、各ゲート16から近い方の支持ピン25は係止部252の上面が径大孔231に対向するブロック22の下面に当接する。
(3)また、ゲート16から近い方の支持ピン25のピン本体251の下端は、ガイド孔17のキャビティ凹部15に開口した孔口に位置する(図5(b)を併せて参照)。ゲート16から近い方の支持ピン25が、リードフレームFを支持する位置から移動して、支持を解除することにより、封止樹脂9の抜き跡である領域Sには、ゲート16から近い方の支持ピン25の移動と共に、或いは移動するのと同時に、流動性を有する封止樹脂9が、その領域Sを埋めるように流入する。
なお、この時点では、封止樹脂9は充分な流動性を有しており、支持ピン25の移動に伴う封止樹脂9においてゲート16から近い方の支持ピン25が移動する前に位置していた領域Sの縮小に追随する動き(換言すれば封止樹脂9の領域Sへの流入)は円滑に行われるので、封止樹脂9の中にボイドや未充填の部分は生じにくい。
このようにして、先行移動してリードフレームFの支持を解除するゲート16から近い方の支持ピン25が支持していた箇所は、既にキャビティ150内に注入されており、封止樹脂9においてゲート16から近い方の支持ピン25が移動する前に位置していた領域Sに流入する封止樹脂9によって、先に移動した支持ピン25に対応する箇所から順次支持される(図5(c)参照)。
(4)更に、ゲート16から近い方の支持ピン25が押し上げられると同時に、ゲート16から遠い方の支持ピン25に嵌め込まれている長い方のカラー253aが、後続駆動体263で押し上げられる。カラー253aは、ピン本体251に対してスライドしながら、ゲート16から遠い方の支持ピン25を動かすことなく押し上げられ、その上端がゲート16から遠い方の支持ピン25の係止部251の下面に当接する(図3参照)。
先行するゲート16から近い方の支持ピン25の移動が終わった後、所定の時間をおいて、異なるタイミングで、ゲート16から遠い方の支持ピン25のキャビティ150外への移動が始まり、ゲート16から遠い方の支持ピン25はリードフレームFの支持を解除し、続いてやや硬化が進んでいる封止樹脂9から抜き取られて、下端がガイド孔17のキャビティ凹部15に開口した孔口に位置する(図4参照)。
ここで、図3、図4を参照して、樹脂封止装置Pにおいて後続移動するゲート16から遠い方の支持ピン25を作動させるメカニズムを、上記(4)に続いて詳細に説明する。
(5)図3に示す状態から、更に昇降駆動体28、28aが上昇し、昇降駆動体28、28aのフック280で支持されている駆動部26が、上記ストロークLと同じストロークで上昇する(図4参照)。
(6)駆動部26は上昇するが、先行駆動体261は、これ以上は上昇しないゲート16から近い方の支持ピン25に嵌め込まれているカラー253で止められており、上昇しない。一方、後続駆動体263は、各コイルバネ268の付勢力に抗して上昇する。
後続駆動体263により、カラー253aは、ピン本体251に対してスライドしながら、係止部252の下面との間隔の分だけ、ゲート16から遠い方の支持ピン25を動かすことなく押し上げられ、その上端がゲート16から遠い方の支持ピン25の係止部252の下面に当接すると、カラー253aと共に、ゲート16から遠い方の支持ピン25を押し上げる。
この、ゲート16から遠い方の支持ピン25を動かすことなくカラー253aが押し上げられる時間が、先行移動するゲート16から近い方の支持ピン25の停止から後続移動するゲート16から遠い方の支持ピン25の移動開始までの時間差となる。すなわち、カラー253、253aの長さを適宜設定することにより、先行移動するゲート16から近い方の支持ピン25と後続移動するゲート16から遠い方の支持ピン25を異なるタイミングで作動させるための時間差を適宜調節することが可能になる。
(7)ゲート16から遠い方の支持ピン25は、コイルバネ233の付勢力に抗して上昇し、係止部252でコイルバネ233を圧縮して、先行移動しているゲート16から近い方の支持ピン25と略同じ高さで停止する。この圧縮したコイルバネ233の下端が第2のストッパーを構成する。後続移動したゲート16から遠い方の支持ピン25は、ピン本体251の下端がガイド孔17のキャビティ凹部15に開口した孔口に位置する(図4、図5(d)参照)。
なお、第2のストッパーと後続駆動体263の間に、後続移動させる支持ピン25がキャビティ150外へ出る位置で、後続駆動体263を停止させる長さのカラー253aが配されているので、後続駆動体263との間にカラー253aが介在した状態で動かすことにより、後続移動させる支持ピン25を所定位置に止めることができる。また、後続移動させる支持ピン25が動き出すタイミングは、カラー253aの長さに依存する。
(8)ゲート16から遠い方の支持ピン25が、リードフレームFを支持する位置から移動して、支持を解除することにより、封止樹脂9の領域Sには、ゲート16から遠い方の支持ピン25の移動と共に、或いは移動するのと同時に、流動性を有する封止樹脂9が、その領域Sを埋めるように流入する(図5(e)参照)。この流入は、円滑に行われるので、封止樹脂9の中にボイドや未充填の部分は生じにくい。
なお、リードフレームFの支持を後続移動して解除したゲート16から遠い方の支持ピン25の領域Sを、封止樹脂9が埋める動きをする際に、タイミング的に封止樹脂9の加熱時間が長くなって硬化が進み、ある程度流動しにくくなっているとしても、先行移動してリードフレームFの支持を解除したゲート16から近い方の支持ピン25の領域Sは、既に流動性のよい状態の封止樹脂9が流入することにより、ボイドや未充填の部分をほとんど生じることなく充填されているので、総体的に見ればボイドや未充填の部分を減らすことができる。
また、封止樹脂9の領域Sを埋める動きは、支持ピン25がリードフレームFの支持を解除した順で行われることになる。つまり、リードフレームFの支持を先行して解除するゲート16から近い方の支持ピン25の領域Sに封止樹脂9を埋める動きには、リードフレームFの支持の解除を後続して行うゲート16から遠い方の支持ピン25の領域Sを封止樹脂9で埋める動きに対して、段階的な時間差が生じることになる。
つまり、リードフレームFの支持の解除を後続して行うゲート16から遠い方の支持ピン25の領域Sを封止樹脂9で埋める動きが、上記従来の製法に適用される樹脂封止装置における、全部の支持ピンの抜き跡を、最後にまとめて封止樹脂で埋める動きをするのと同じタイミングだとすれば、従来よりも早いタイミングで領域Sを封止樹脂9で埋める動きをする。
従って、封止樹脂9は、キャビティ150内で加熱される時間が比較的短く流動しやすい状態で領域Sに流入するので、ごく短い時間でスムーズに領域Sを埋めることができ、この点からも、封止樹脂9にボイドや未充填の部分が生じにくくなる。
これにより、成形金型1のキャビティ150内でリードフレームFを支持ピン25で支持し、封止樹脂9を注入した後で、支持ピン25による支持を解除する樹脂封止において、封止樹脂9にボイドや未充填の部分が発生することを抑制することが可能になる。
リードフレームFの樹脂封止が終了し、型抜きをした後には、昇降駆動体28、28aにより駆動部26を下降させることにより、支持ピン25を含む各部を図1に示す初期状態に戻すことができる。
なお、支持ピン25の移動速度、又は封止樹脂9からの抜き取りの速度は、特に限定するものではなく、適宜設定が可能である。先行移動する支持ピン25と後続移動する支持ピン25の作動のタイミングのずれは、封止樹脂9の好適な流動性が維持できる範囲で適宜設定される。樹脂封止装置Pによる型入れから型抜きまでの一連の作業は、例えば10〜20秒で行われるが、これに限定されるものではなく、適宜設定が可能である。
次に、図6を参照して、樹脂封止装置を構成する成形金型の他の例を説明する。図6において、上記成形金型1と同等箇所には、同じ符号を付して示し、その部分の構造の説明は省略する。また、図6(a)、(b)においては、右側のキャビティ等の図示を省略している。
成形金型1aは、下型11aにキャビティ凹部15bを有し、上型12aにキャビティ凹部15aを有している。そして、キャビティ凹部15a、15bを合わせることで形成されるキャビティ151、152の内部には、半導体素子(図示省略)を搭載したリードフレームFが、支持ピン25a、25bにより支持されている。
支持ピン25a、25bは、下型11aと上型12aを貫通しており、下型11aと上型12aの境界部に位置するリードフレームFの片方寄りを上下から挟んで保持することができる。
なお、支持ピン25a、25bは、それぞれ上記樹脂封止用基材の安定化装置2と略同様の構造の樹脂封止用基材の安定化装置(図示省略)によって、上記支持ピン25と同様に作動する。そして、成形金型1aと樹脂封止用基材の安定化装置を組み合わせて樹脂封止装置とすることにより、封止樹脂9にボイドや未充填の部分が発生することを抑制して、リードフレームFの樹脂封止を行うことができる。
本明細書、及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書、及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
P 樹脂封止装置
1 成形金型
11 下型
110 上面
12 上型
13 ポット
14 カル・ランナー凹部
140 ランナー
15 キャビティ凹部
150 キャビティ
16 ゲート
17 ガイド孔
18 上面
2 樹脂封止用基材の安定化装置
20 ガイド部
21 ブロック
22 ブロック
23 カラーガイド孔
231 径大孔
232 径小孔
24、24a ガイド孔
241 径大孔
242 径小孔
25 支持ピン
251 ピン本体
252 係止部
253 カラー
253a カラー
233 コイルバネ
26 駆動部
260 上枠
261 先行駆動体
262 ガイド孔
262a ガイド孔
263 後続駆動体
264 ガイド孔
265、266 脚部材
267 梁部材
268 コイルバネ
28、28a 昇降駆動体
280 フック
F リードフレーム
S 領域(抜き跡)
1a 成形金型
11a 下型
12a 上型
15a、15b キャビティ凹部
151、152 キャビティ
25a、25b 支持ピン

Claims (9)

  1. 成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を複数の支持ピンにより所定位置で支持し、前記キャビティ内に熱硬化性の封止樹脂を注入した後、前記支持ピンによる前記樹脂封止基材の支持を解除して、前記支持ピンが移動する前に位置していた領域に封止樹脂を満たす樹脂封止用基材の安定化方法において、
    前記支持ピンによる前記樹脂封止基材の支持の解除を、異なるタイミングで行うステップを備える
    樹脂封止用基材の安定化方法。
  2. 前記キャビティの樹脂注入口に近い所に位置する前記支持ピンによる前記樹脂封止基材の支持の解除を先に行う
    請求項1記載の樹脂封止用基材の安定化方法。
  3. 成形金型に対して定位置にあるガイド部と、
    該ガイド部に、前記成形金型のキャビティ内からキャビティ外へ出る動きができるように通されてガイドされ、前記成形金型の型締め後の前記キャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能な複数の支持ピンと、
    該支持ピンが通され、前記支持ピンの軸方向に沿って駆動されると共に、前記キャビティ外へ出る位置に先行移動させる前記支持ピンを動かす先行駆動体、及び先行移動させる前記支持ピンと異なるタイミングで前記キャビティ外へ出る位置に後続移動させる前記支持ピンを動かす後続駆動体を有する駆動部とを備える
    樹脂封止用基材の安定化装置。
  4. 先行移動させる前記支持ピンが、前記後続移動させる前記支持ピンと比較して、前記キャビティの樹脂注入口に近い所に配置されている
    請求項3記載の樹脂封止用基材の安定化装置。
  5. 前記ガイド部が、先行移動させる前記支持ピンを止める第1のストッパーと、後続移動させる前記支持ピンを止める第2のストッパーを有し、
    前記第1のストッパーと前記先行駆動体の間には、先行移動させる前記支持ピンが前記キャビティ外へ出る位置で、前記先行駆動体を停止させる長さの第1の間隔設定具が配され、
    前記第2のストッパーと前記後続駆動体の間には、後続移動させる前記支持ピンが前記キャビティ外へ出る位置で、前記後続駆動体を停止させる長さの第2の間隔設定具が配されており、
    前記駆動部には、前記先行駆動体と前記後続駆動体の間隔を拡げる方向に付勢する付勢手段が設けられている
    請求項3又は4記載の樹脂封止用基材の安定化装置。
  6. 前記第1の間隔設定具、及び前記第2の間隔設定具が、それぞれ取り替えが可能である
    請求項5記載の樹脂封止用基材の安定化装置。
  7. 成形金型の型締め後のキャビティ内で、樹脂封止用基材を所定位置で支持可能であると共に、前記キャビティ内と前記キャビティ外の間で移動可能な複数の支持ピンと、
    該支持ピンに対して、異なるタイミングで前記キャビティ内から前記キャビティ外へ出る動きをさせる駆動部とを備える
    樹脂封止用基材の安定化装置。
  8. 樹脂封止用基材の樹脂封止を行う成形金型と、
    該成形金型に対して定位置にあるガイド部、該ガイド部に、前記成形金型のキャビティ内から該キャビティ外へ出る動きができるように通されてガイドされ、前記成形金型の型締め後の前記キャビティ内で、前記樹脂封止用基材を所定位置で支持可能な複数の支持ピン、及び該支持ピンが通され、前記支持ピンの軸方向に沿って駆動されると共に、前記キャビティ外へ出る位置に先行移動させる前記支持ピンを動かす先行駆動体、及び先行移動させる前記支持ピンと異なるタイミングで前記キャビティ外へ出る位置に後続移動させる前記支持ピンを動かす後続駆動体を含む駆動部とを有する樹脂封止用基材の安定化装置とを備える
    樹脂封止装置。
  9. 樹脂封止用基材の樹脂封止を行う成形金型と、
    該成形金型の型締め後のキャビティ内で、前記樹脂封止用基材を所定位置で支持可能であると共に、前記キャビティ内と前記キャビティ外の間で移動可能な複数の支持ピン、及び該支持ピンに対して、異なるタイミングで前記キャビティ内から前記キャビティ外へ出る動きをさせる駆動部とを有する樹脂封止用基材の安定化装置とを備える
    樹脂封止装置。
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