JP2020017404A - 蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】集電体の設計の自由度を高めることができる蓄電装置を提供する。【解決手段】蓄電装置1は、電極体21の少なくとも一方の主面21aに正極層22が塗工されたバイポーラ電極16がセパレータ17を介して一方向に積層された積層体14と、電極体21の周縁を保持すると共に積層体14の側面を封止する保持部15と、を有する蓄電セル11と、方向Xにおいて少なくとも積層体14の一方の端部に、蓄電セル11に接触するように配置され、蓄電セル11に電気的に接続される電極体21と、を備え、積層体14には、方向Xにおける両端に配置されると共に、電極体21の一方の主面21aにのみ正極層22が塗工された正極終端電極18が含まれており、電極体21は、正極終端電極18における電極体21の他方の主面21bに接触するように配置される。【選択図】図5
Description
本発明は、蓄電装置に関する。
蓄電装置の一種として、全固体電池が挙げられる。下記特許文献1には、複数の積層電池が正極集電箔及び負極集電箔を介して積み重ねられ、それぞれの正極集電箔は正極端子に接続され、それぞれの負極集電箔は負極端子に接続される態様が開示されている。正極集電箔及び負極集電箔は、一方の面に活物質が塗工されており、積層電池を構成する他の電極と同様に、電極の一部として機能している。これらの積層電池は、互いに並列接続され、且つ、モールド樹脂によって封止されている。
ここで、正極端子に接続される正極集電箔及び負極端子に接続される正極集電箔は、電気抵抗等の観点から適度に厚く形成したり、所望の形状に形成したいといった要望がある。しかしながら、例えば、集電箔の厚みは、ロールから送り出される箔部材に活物質を塗工し、塗工された箔部材をロールに巻き取ることで形成されるので、集電箔を厚くしたり、形状を変更したりするには限度がある。
そこで、本発明の目的は、集電体の設計の自由度を高めることができる蓄電装置を提供することにある。
本発明に係る蓄電装置は、電極体の少なくとも一方の面に活物質が塗工された電極がセパレータを介して一方向に積層された電極群を含む積層体と、電極体の周縁を保持すると共に積層体の側面を封止する保持部と、を有する蓄電セルと、一方向において少なくとも蓄電セルの一方の端部に接触するように配置され、蓄電セルと電気的に接続される集電体と、を備え、積層体には、一方向における電極群の両端に配置されると共に、電極体の一方の面にのみ活物質が塗工された終端電極が含まれており、集電体は、終端電極における電極体の他方の面に接触するように配置される。
この構成の蓄電装置では、集電体が、蓄電セルを形成する部材とは別の部材として形成され、その集電体の少なくとも一方の面は、片面に活物質が塗工された電極に接触するように配置されている。このため、集電体そのものに、活物質を塗工する必要がないので、集電体の厚みを自由に変えたり、形状を変更したりすることが容易となる。この結果、集電体の設計の自由度を高めることができる。
本発明に係る蓄電装置では、一方向における集電体の両面に終端電極における電極体の他方の面が接触するように、集電体が配置されていてもよい。この構成の蓄電装置では、一つの集電板で隣り合う二つの蓄電セルに電気的に接続することができる。
本発明に係る蓄電装置では、集電体における厚みを、電極体における厚みよりも大きくしてもよい。この構成の蓄電装置では、集電体の電気抵抗を小さくすることができる。
本発明に係る蓄電装置では、複数の蓄電セルと、複数の蓄電セルのそれぞれに接触して配置される集電体とが一方向に配列されてなる配列体を、一方向における両側から荷重を付加した状態で拘束する拘束部を更に備えてもよい。この構成の蓄電装置は、蓄電装置を構成する全ての電極を積層するにあたり、モールド等によって一体化して積層する場合と比べて作業性に優れる。
本発明に係る蓄電装置では、蓄電セルを一方向から見たときに、保持部は、積層体から枠状に突出していてもよい。この構成の蓄電装置では、例えば、一方向から見たときに、周縁が保持部によって囲まれるように集電体を配置することができる。これにより、集電板を介しての短絡の可能性を低減できる。
本発明に係る蓄電装置では、集電体は、積層体から枠状に突出する保持部に嵌合するように配置されていてもよい。この構成の蓄電装置では、積層体に集電体を嵌合させることにより、蓄電セルと集電体とを容易に一体化させることができる。これにより、蓄電装置を構成する全ての電極を積層するにあたり、集電体が一体化された蓄電セルを積層する作業で済むので作業性が向上する。
本発明に係る蓄電装置では、集電体は、枠状の保持部に嵌合される本体部と、一方向から見たときに枠状の保持部の外側に突出する突出部と、を有しており、本体部における厚みは、突出部における厚みよりも大きくてもよい。この構成の蓄電装置では、集電体が突出部を有する構成であっても、集電体を蓄電セルに一体化させることができる。
本発明に係る蓄電装置では、保持部には、互いに隣り合う保持部との間で、一方向に重複する重複部が形成されていてもよい。この構成の蓄電装置では、隣り合う蓄電セル間において、蓄電セルの外部から積層体及び集電体までの経路を長くできる。これにより、蓄電セルにおける短絡の可能性を低減できる。
本発明によれば、集電体の設計の自由度を高めることができる。
以下、添付図面を参照しながら一実施形態に係る蓄電装置を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置1は、セルスタック(配列体)2と、セルスタック2に電気的に接続される接続部材3,4と、セルスタック2を拘束する一対の拘束部材5,6と、セルスタック2と拘束部材5との間に配置される絶縁緩衝部材7と、セルスタック2と拘束部材6との間に配置される絶縁緩衝部材8と、セルスタック2の一部を覆うカバー部材9とを備える。以下では、拘束部材5,6がセルスタック2を拘束する方向を図1に示される方向X(一方向)とし、水平方向において方向Xと交差もしくは直交する方向を方向Yとし、方向X及び方向Yと交差もしくは直交する方向を方向Zとする。
セルスタック2は、方向Xに沿って配列される複数の蓄電セル11を有する。すなわち、セルスタック2は、複数の蓄電セル11の集合体である。セルスタック2は、例えば、89個以上111個以下の蓄電セル11を含む。蓄電セル11の構成の詳細については、後述する。また、セルスタック2は、図1では示されていないが、複数の正極集電板(集電体)12及び負極集電板(集電体)13も有する。正極集電板12及び負極集電板13の詳細についても、後述する。
接続部材3は、蓄電装置1の正極として機能する導電部材(バスバー)であり、略平板形状を呈している。接続部材3は、方向Yにおけるセルスタック2の一端側に設けられている。接続部材3は、例えば、金属板又は合金板である。金属板は、例えば、銅板、アルミニウム板、チタン板、もしくはニッケル板である。合金板は、例えば、ステンレス鋼板(SUS301、SUS304等)、もしくは上記金属の合金板である。
接続部材3は、方向Xに沿って延在すると共に方向Zにおいてセルスタック2及び絶縁緩衝部材7に重なる主板部3aと、主板部3aにおける拘束部材5側の一端から方向Xに沿って突出する突出板部3bとを有する。接続部材3の主板部3aは、セルスタック2内に含まれる複数の蓄電セル11の各正極端子に電気的に接続されている。接続部材3の突出板部3bは、主板部3aに連続して設けられている。方向Xに沿った突出板部3bの端は、拘束部材5よりも外側に位置する。接続部材3は、拘束部材5,6と離間している。
接続部材4は、蓄電装置1の負極として機能する導電部材(バスバー)であり、略平板形状を呈している。接続部材4は、方向Yにおけるセルスタック2の他端側に設けられている。接続部材4は、接続部材3と同様に、例えば、金属板又は合金板である。接続部材4は、接続部材3と同一の金属板又は合金板であってもよいし、異なる金属板又は合金板であってもよい。
接続部材4は、方向Xに沿って延在すると共に方向Zにおいてセルスタック2及び絶縁緩衝部材8に重なる主板部4aと、主板部4aにおける拘束部材6側の一端から方向Xに沿って突出する突出板部4bとを有する。突出板部4bは、方向Xにおいて接続部材3の突出板部3bと反対側に設けられている。接続部材4の主板部4aは、セルスタック2内に含まれる複数の蓄電セル11の各負極端子に電気的に接続されている。接続部材4の突出板部4bは、主板部4aに連続して設けられている。方向Xに沿った突出板部4bの端は、拘束部材6よりも外側に位置する。接続部材4は、接続部材3と同様に拘束部材5,6と離間している。
拘束部材5,6のそれぞれは、セルスタック2に対して方向Xに沿った拘束力(荷重)を付加する部材であり、略L字板形状を呈するエンドプレートである。拘束部材5は、方向Xにおけるセルスタック2の一端側に配置されており、セルスタック2に対して荷重を付加する主部5aと、方向Zにおける主部5aの一端から方向Xに沿って延在する延在部5bとを有する。延在部5bは、セルスタック2から離れるように延在している。
拘束部材6は、方向Xにおけるセルスタック2の他端側に配置されており、セルスタック2に対して荷重を付加する主部6aと、方向Zにおける主部6aの一端から方向Xに沿って延在する延在部6bとを有する。延在部6bは、拘束部材5の延在部5bと同様に、セルスタック2から離れるように延在している。
拘束部材5,6のそれぞれは、例えば、金属製又は合金製の板材である。拘束部材5,6は、例えば、締結部材(例えば、ボルト及びナット)等を用いた連結部材を介して互いに連結されてもよい。この場合、拘束部材5,6のそれぞれには、方向Xに沿って延在するボルト等の連結部材が挿通される貫通孔等が設けられてもよい。拘束部材5,6のそれぞれは、図示しない基台又はケース等に固定されてもよい。この場合、拘束部材5,6のそれぞれには、これらを基台等に固定するための部材が挿通される貫通孔等が設けられてもよい。
絶縁緩衝部材7,8のそれぞれは、蓄電セル11の膨張を吸収するための絶縁部材であり、略直方体形状を呈している。絶縁緩衝部材7は、方向Xにおいてセルスタック2と拘束部材5との間に配置されている。絶縁緩衝部材8は、方向Xにおいてセルスタック2と拘束部材6との間に配置されている。絶縁緩衝部材7,8のそれぞれにおいて接続部材3,4に対向する端面は、セルスタック2において接続部材3,4に対向する端面に対して揃ってもよい。すなわち、上記端面同士は、面一になっていてもよい。
絶縁緩衝部材7,8のそれぞれは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ナイロン66(PA66)を含む。絶縁緩衝部材7,8の少なくとも一つは、弾性を示してもよい。絶縁緩衝部材7,8の方向Xに沿った長さ(すなわち、厚さ)は、例えば、1mm以上10mm以下である。
カバー部材9は、蓄電セル11の方向Zにおける移動を規制するための部材であり、略逆U字板形状を呈している。カバー部材9は、方向Yにおいて接続部材3,4の間に設けられており、且つ、接続部材3,4と離間している。カバー部材9は、方向Xに沿って延在するカバー部9aと、方向Xにおけるカバー部9aの一端から方向Zに沿って延在する第1取付部9bと、方向Xにおけるカバー部9aの他端から方向Zに沿って延在する第2取付部9cとを有する。第1取付部9bは、締結部材E等を介して拘束部材5に固定されている。第2取付部9cは、第1取付部9bと同様に、締結部材等を介して拘束部材6に固定されている。このため、カバー部材9は、拘束部材5,6を連結するための連結部材として機能する。カバー部材9は、例えば、金属板又は合金板である。
次に、図2〜図4を参照しながら、セルスタック2に含まれる蓄電セル11と正極集電板12と負極集電板13との詳細について説明する。まず、蓄電セル11の構成の詳細について説明する。
図2〜図4に示されるように、蓄電セル11は、略直方体形状を呈する単電池である。蓄電セル11においては、方向Xに沿った辺が最も短く、方向Yに沿った辺が最も長くなっている。蓄電セル11は、例えば、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電セル11は、電気二重層キャパシタでもよい。蓄電セル11は、全固体電池でもよい。
本実施形態の蓄電セル11は、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池である。蓄電セル11は、方向Xにおいて正極集電板12と負極集電板13とによって挟まれており、正極集電板12を介して接続部材3に電気的に接続されると共に、負極集電板13を介して接続部材4に電気的に接続される。
図5に示されるように、蓄電セル11は、積層体14と、保持部15と、を備える。積層体14は、複数のバイポーラ電極(電極)16と複数のセパレータ17とを含む電極群114と、正極終端電極(終端電極)18と、負極終端電極(終端電極)19と、を有する。複数のバイポーラ電極16と、複数のセパレータ17とは、方向Xに沿って交互に配置されている。なお、図5では、一の蓄電セル11に隣接する他の蓄電セル11,11の一部が示されている。
複数のバイポーラ電極16のそれぞれは、電極体21と、正極層22と、負極層23とを備える。電極体21は、方向Xに交差する一対の主面21a,21bを有する。電極体21の主面(一方の面)21a上には正極層22が設けられ、電極体21の主面(他方の面)21b上には負極層23が設けられる。このため、電極体21は、方向Xに沿って正極層22と負極層23とによって挟まれている。
電極体21は、シート状の導電部材であり、略矩形状を呈している。電極体21は、例えば、金属箔又は合金箔である。金属箔は、例えば、銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、もしくはニッケル箔である。電極体21が金属箔である場合、機械的強度を確保する観点から、当該金属箔はアルミニウム箔であってもよい。合金箔は、例えば、ステンレス鋼箔(SUS301、SUS304等)、もしくは上記金属の合金箔である。電極体21が合金箔である場合、もしくは電極体21がアルミニウム箔以外の金属箔である場合、電極体21の表面にはアルミニウムが被覆されていてもよい。電極体21の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下である。
正極層22は、正極活物質と電解質とを含む層状部材であり、略矩形状を呈している。本実施形態の正極活物質は、例えば、複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等である。複合酸化物の組成には、例えば、マンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。電解質は、例えば、固体電解質、固体高分子電解質、もしくはゲル状電解質である。固体電解質は、ジルコニア、もしくはβアルミナを含む。固体高分子電解質は、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のアルキレンオキシド系高分子化合物、もしくはこれらの共重合体を含む。加えて、正極層22が固体高分子電解質を含む場合、正極層22は、例えば、イオン伝導性を高めるための支持塩、電子伝導性を高めるための導電助剤、粘度調整溶媒、重合開始剤の少なくともいずれかを含む。
支持塩は、アルキレンオキシド系高分子化合物に容易に溶解可能な観点から、例えばリチウム塩である。リチウム塩は、例えば、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、もしくはこれらの混合物である。導電助剤は、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。粘度調整溶媒は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等である。重合開始剤は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等である。ゲル状電解質は、流動性を完全にもしくはほぼ完全に示さない。例えば、20℃におけるゲル状電解質の粘度は、0.1Pa・S以上である。
負極層23は、負極活物質と電解質とを含む層状部材であり、略矩形状を呈している。本実施形態の負極活物質は、例えば、黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物、ホウ素添加炭素などである。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。負極層23の電解質としては、正極層22に含まれる電解質と同様のものが用いられる。
正極終端電極18は、積層体14の方向Xにおける一方の端部に設けられている。正極終端電極18は、電極体21の一方の主面21aにのみ上記の正極層(活物質)22が塗工されて形成された電極である。すなわち、方向Xにおいて積層体14の一端(図5における紙面右側)に配置される電極体21の主面21b上には、負極層23が配置されていない。このため、当該電極体21は、積層体14における正極端子に相当し、主面21bは、積層体14の主面14aに相当する。
負極終端電極19は、積層体14の方向Xにおける他方の端部に設けられている。負極終端電極19も、正極終端電極18と同様に、電極体21の一方の主面21bにのみ負極層(活物質)23が塗工されて形成された電極である。すなわち、方向Xにおいて積層体14の他端(図5における紙面左側)に配置される電極体21の主面21a上には、正極層22が配置されていない。このため、当該電極体21は、積層体14における負極端子に相当し、主面21aは、積層体14の主面14bに相当する。
セパレータ17は、隣り合うバイポーラ電極16の間、バイポーラ電極16と正極終端電極18との間、及びバイポーラ電極16と負極終端電極19との間のそれぞれを隔てる層状部材であり、略矩形状を呈している。セパレータ17は、隣り合うバイポーラ電極16,16間の短絡を防止する部材である。セパレータ17は、正極層22及び負極層23に含まれる電解質によって構成されている。セパレータ17が固体電解質によって構成される場合、セパレータ17は、略矩形板形状を呈してもよい。セパレータ17の厚さは、例えば、1μm以上10μm以下である。
保持部15は、積層体14に含まれる複数のバイポーラ電極16、複数のセパレータ17、正極終端電極18、及び負極終端電極19を保持する部材であり、絶縁性を有している。積層体14は、方向Xに交差する一対の主面14a,14b及び主面14a,14bをつなぐ外周面14cを有する。保持部15は、少なくとも積層体14の外周面14c上に設けられる。保持部15は、積層体14の外周面14cを封止するように略矩形枠形状を呈する封止部材、及び、積層体14内のバイポーラ電極16同士の短絡を防止する短絡防止部材としても機能し得る。
保持部15は、積層体14の外周面14cと接触する内周面15aと、内周面15aの反対側に位置する外周面15bと、方向Xに交差する側面15cとを有する。側面15cは、積層体14の主面14a,14bに対して略平行に設けられる。保持部15の側面15cは、方向Xから見たときに、積層体14から枠状に突出している。
保持部15を形成する材料の例には、耐熱性を示す樹脂部材等が含まれる。耐熱性を示す樹脂部材の例には、ポリイミド、PP、PPS、及びPA66等が含まれる。保持部15の厚さは、例えば、1mm以上10mm以下である。この場合、熱等による保持部15の破損防止と、蓄電セル11の重量低減とを両立可能である。保持部15の厚さは、方向Yもしくは方向Zに沿った内周面15aと外周面15bとの距離に相当する。
次に、正極集電板12及び負極集電板13の構成について説明する。なお、図2〜図5に示される正極集電板12及び負極集電板13は、セルスタック2に配置する前の状態である。正極集電板12及び負極集電板13のそれぞれに対しては、セルスタック2に配置される前に、屈曲加工等が施される。屈曲加工等が実施された正極集電板12及び負極集電板13についての詳細は、後述する。
正極集電板12は、積層体14に接触する導電部材であり、板形状を呈している。正極集電板12は、方向Xに沿って蓄電セル11に隣接している。正極集電板12は、正極集電板12の一方の面12iが一の蓄電セル11における正極終端電極18の電極体21に接触するように配置されると共に、正極集電板12の他方の面12hが、一の蓄電セル11に隣り合う他の蓄電セル11における正極終端電極18の電極体21に接触するように配置される。すなわち、本実施形態の蓄電装置1では、方向Xにおいて蓄電セル11に挟まれる正極集電板12は、その両方の面12h,12iが、一方の主面21aにのみ正極層22が形成された電極体21の他方の主面21bに接触するように配置される。また、方向Xにおいて蓄電セル11の一方の端部に配置される正極集電板12は、その片方の面12iが、一方の主面21aにのみ正極層22が形成された電極体21の他方の主面21bに接触するように配置されている。
正極集電板12は、正極端子として機能する電極体21に接触する本体部12aと、方向Zに沿って本体部12aの縁12bの一部から突出する突出部12cとを有する。本体部12aは、方向Xにおいてバイポーラ電極16及びセパレータ17に重なる部分であり、略矩形状を呈している。本実施形態では、正極集電板12が2つの蓄電セル11によって方向Xに沿って挟持される場合、本体部12aの一方の面12iは一方の蓄電セル11に接触し、本体部12aの他方の面12hは他方の蓄電セル11に接触する。このとき、正極集電板12は、各蓄電セル11の正極終端電極18に接触しており、負極終端電極19には接触していない。
負極集電板13は、積層体14に接触する導電部材であり、板形状を呈している。負極集電板13は、正極集電板12と同様に方向Xに沿って蓄電セル11に隣接している。負極集電板13は、負極集電板13の一方の面13hが一の蓄電セル11における負極終端電極19の電極体21に接触するように配置されると共に、負極集電板13の他方の面13iが、一の蓄電セル11に隣り合う他の蓄電セル11における負極終端電極19の電極体21に接触するように配置される。すなわち、本実施形態の蓄電装置1では、方向Xにおいて蓄電セル11に挟まれる負極集電板13は、その両方の面13h,13iが、一方の主面21bにのみ負極層23が形成された電極体21の他方の主面21aに接触するように配置され、方向Xにおいて蓄電セル11の他方の端部に配置される負極集電板13は、その片方の面13hが、一方の主面21bにのみ負極層23が形成された電極体21の他方の主面21aに接触するように配置されている。
負極集電板13は、負極端子として機能する電極体21に接触する本体部13aと、方向Zに沿って本体部13aの縁13bの一部から突出する突出部13cとを有する。本体部13aは、方向Xにおいてバイポーラ電極16及びセパレータ17に重なる部分であり、略矩形状を呈している。本実施形態では、負極集電板13が2つの蓄電セル11によって方向Xに沿って挟持される場合、本体部13aの一方の面13hは一方の蓄電セル11に接触し、本体部13aの他方の面13iは、他方の蓄電セル11に接触する。このとき、負極集電板13は、各蓄電セル11の負極終端電極19に接触しており、正極終端電極18には接触していない。
正極集電板12の厚みt12及び負極集電板13の厚みt13は、バイポーラ電極16を構成する電極体21の厚みt21よりも大きい。本実施形態では、正極集電板12の厚みt12及び負極集電板13の厚みt13が、例えば、50μmであるのに対して、電極体21の厚みt21の厚みt21は、例えば、10μm〜20μmである。正極集電板12及び負極集電板13において、本体部12a及び本体部13aの厚みT1は、突出部12c及び突出部13cの厚みT2よりも大きい。
蓄電セル11を方向Xから見たときに、保持部15は、積層体14から枠状に突出している。詳細には、正極集電板12及び負極集電板13の突出部12c,13cが接触する部分の保持部15における突出量P1(図5参照)は、突出部12c,13cが接触しない部分の突出量P2(図5参照)と比べて小さい。また、正極集電板12及び負極集電板13は、保持部15に内包されるように形成されている。更に詳細には、正極集電板12の本体部12a及び負極集電板13の本体部13aは、積層体14から突出する保持部15の側面15cに嵌合するように配置されている。言い換えれば、正極集電板12の本体部12aにおける周縁12gは保持部15の内周面15aの一部に接触され、負極集電板13の本体部13aにおける周縁13gは保持部15の内周面15aの一部に接触されている。
負極集電板13の突出部13cは、方向Zにおいて正極集電板12の突出部12cが突出する方向に沿って突出している。この突出部13cは、方向Xにおいて突出部12cと重なっておらず、方向Yにおいて突出部12cと距離を置いて設けられている。本実施形態では、突出部12cは蓄電セル11の方向Yにおける一端側(図2においては紙面右側)に設けられ、突出部13cは蓄電セル11の方向Yにおける他端側(図2においては紙面左側)に設けられる。突出部12c,13cの突出量は、少なくとも保持部15の厚さよりも大きくなっている。
図6に示されるように、セルスタック2内では、複数の蓄電セル11と複数の集電板とが方向Xに沿って交互に配列されている。より具体的には、蓄電セル11、正極集電板12、蓄電セル11、負極集電板13の順に配置されたグループが方向Xに沿って連続して並ぶことによって、セルスタック2が構成されている。各蓄電セル11及び各集電板には、拘束部材5,6によって方向Xに沿った拘束力が、絶縁緩衝部材7,8を介して付加されている。
方向Xにおいて最も外側に位置する蓄電セル11に接触する正極集電板12は、当該蓄電セル11と絶縁緩衝部材7との間に配置されており、且つ、当該正極集電板12の本体部12aは、絶縁緩衝部材7の主面7aと接触している。以下では、方向Xにおいて最も外側に位置する正極集電板12を最外正極集電板112と呼称する。なお、絶縁緩衝部材7は、方向Xに交差すると共に本体部12aに接触する主面7aと、主面7aの縁から方向Xに沿って延在する外周面7bとを有する。
セルスタック2内の各正極集電板12の突出部12cには、屈曲加工が施されている。最外正極集電板112を除く正極集電板12の突出部12cは、保持部15の外周面15bに沿うように折り曲げられている。最外正極集電板112の突出部12cは、絶縁緩衝部材7の外周面7bに沿うように折り曲げられている。最外正極集電板112を除く正極集電板12の突出部12cと、最外正極集電板112の突出部12cとは、互いに同一方向に折り曲げられている。
最外正極集電板112を除く正極集電板12の突出部12cの全体は、保持部15の外周面15bと、接続部材3との両方に密着している。溶接部W1は、正極集電板12と接続部材3とを接合する部分であり、突出部12cと接続部材3とが接触している箇所に設けられる。溶接部W1は、例えば、レーザ溶接等によって形成される。
最外正極集電板112における突出部12cは、方向Zにおいて絶縁緩衝部材7と重なり、且つ、絶縁緩衝部材7の外周面7bに沿って延在している。突出部12cの全体は、絶縁緩衝部材7の外周面7bと、接続部材3との両方に密着している。溶接部W2は、最外正極集電板112と接続部材3とを接合する部分である。溶接部W2は、溶接部W1と同様に、例えば、レーザ溶接等によって形成される。
図7に示される、方向Xにおいて最も外側に位置する蓄電セル11に接触する負極集電板13は、蓄電セル11と絶縁緩衝部材8との間に配置されており、且つ、当該負極集電板13の本体部13aは、絶縁緩衝部材8の主面8aと接触している。以下では、方向Xにおいて最も外側に位置する負極集電板13を最外負極集電板113とも呼称する。
セルスタック2内の各負極集電板13の突出部13cには、屈曲加工が施されている。最外負極集電板113を除く負極集電板13の突出部13cは、保持部15の側面15cと外周面15bに沿うように折り曲げられている。最外負極集電板113の突出部13cは、絶縁緩衝部材8の主面8a及び外周面8bに沿うように折り曲げられている。最外負極集電板113を除く負極集電板13の突出部13cと、最外負極集電板113の突出部13cとは、互いに同一方向に折り曲げられている。なお、各正極集電板12の突出部12cと、各負極集電板13の突出部13cとは、方向Xにおいて、互いに反対方向に折り曲げられている。
最外負極集電板113を除く負極集電板13の突出部13cの全体は、保持部15の外周面15bと、接続部材4との両方に密着している。溶接部W3は、負極集電板13と接続部材4とを接合する部分であり、先端部13eと接続部材4とが接触している箇所に設けられる。溶接部W3は、例えば、レーザ溶接等によって形成される。
最外負極集電板113における突出部13cは、方向Zにおいて絶縁緩衝部材8と重なり、且つ、絶縁緩衝部材8の外周面8bに沿って延在している。突出部13cの全体は、絶縁緩衝部材8の外周面8bと、接続部材4との両方に密着している。溶接部W4は、最外負極集電板113と接続部材4とを接合する部分である。溶接部W4は、溶接部W3と同様に、例えば、レーザ溶接等によって形成される。
上記実施形態の蓄電装置1における作用効果について説明する。上記実施形態の蓄電装置1によれば、図5に示されるように、接続部材3に接続される正極集電板12が、蓄電セル11を形成する部材とは別の部材として形成され、その正極集電板12の少なくとも一方の面12iが、片面に正極層22が塗工された正極終端電極18に接触するように配置されている。このため、接続部材3に接続される正極集電板12そのものに、正極層22を塗工する必要がないので、正極集電板12の厚みを自由に変えたり、形状を変更したりすることが容易となる。この結果、正極集電板12の設計の自由度を高めることができる。なお、接続部材4に接続される負極集電板13についての構成も、正極集電板12と同様であり、負極集電板13の設計の自由度を高めることができる。
上記実施形態の蓄電装置1では、正極集電板12の両方の面12h,12iが、片面に正極層22が塗工された正極終端電極18に接触するように、正極集電板12が配置されている。これにより、一つの正極集電板12で隣り合う二つの蓄電セル11,11に電気的に接続することができる。なお、接続部材4に接続される負極集電板13についての構成も、正極集電板12と同様であり、一つの負極集電板13で隣り合う二つの蓄電セル11,11に電気的に接続することができる。
上記実施形態の蓄電装置1では、正極集電板12における厚みt12が、電極体21における厚みt21よりも大きいので、電極体21の電気抵抗を小さくすることができる。この結果、蓄電セル11の集電効率を高めることができる。なお、負極集電板13についての構成も、正極集電板12と同様であり、蓄電セル11の集電効率を高めることができる。
上記実施形態の蓄電装置1では、セルスタック2が、拘束部材5,6によって、方向Xの両端から荷重が付加された状態で拘束されている。これにより、蓄電装置1を構成する全てのバイポーラ電極16を積層するにあたり、モールド等によって一体化して積層する場合と比べて作業性に優れる。
上記実施形態の蓄電装置1では、蓄電セル11を方向Xから見たときに、保持部15は、積層体14から枠状に突出するように形成されている。これにより、方向Xから見たときに、正極集電板12の周縁12gが保持部15によって囲まれるように正極集電板12を配置することができる。負極集電板13についても、周縁13gが保持部15によって囲まれるように配置することができる。これにより、正極集電板12及び負極集電板13を介しての短絡の可能性を低減できる。
上記実施形態の蓄電装置1では、正極集電板12は、積層体14から枠状に突出する保持部15に嵌合するように配置されている。これにより、保持部15に正極集電板12を嵌合させることにより、蓄電セル11と正極集電板12とを容易に一体化させることができる。負極集電板13についても、同様に、保持部15に篏合させることが可能である。この結果、蓄電装置1を構成する全てのバイポーラ電極16を積層するにあたり、正極集電板12(及び/又は負極集電板13)が一体化された蓄電セル11を積層する作業で済むので作業性が向上する。
上記実施形態の蓄電装置1では、正極集電板12の本体部12aにおける厚みT1は、突出部12cにおける厚みT2よりも大きい。これにより、正極集電板12が接続部材3に接続される突出部12cを有する構成であっても、正極集電板12を蓄電セル11に一体化させることができる。なお、負極集電板13についての構成も、正極集電板12と同様であり、負極集電板13が接続部材4に接続される突出部13cを有する構成であっても、負極集電板13を蓄電セル11に一体化させることができる。
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、互いに隣り合う蓄電セル11における保持部15,15の側面15c,15c同士は、互いに対向している例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、図8(a)及び図8(b)に示されるように、互いに隣り合う蓄電セル11における保持部15,15には、互いに隣り合う保持部15,15との間で、方向Xに重複する重複部15d,15dが形成されていてもよい。この構成では、重複部15d,15dがない構成と比べて、隣り合う蓄電セル11,11間において、蓄電セル11の外部から積層体14、正極集電板12及び負極集電板13までの経路を長くできる。これにより、蓄電セル11における短絡の可能性を低減できる。
上記実施形態では、一つの正極集電板12(又は一つの負極集電板13)で隣り合う二つの蓄電セル11,11に電気的に接続することができる構成を例に挙げて説明したが、一つの蓄電セル11ごとに一つの正極集電板12及び一つの負極集電板13が配置されていてもよい。すなわち、正極集電板12の一方の面12iのみが、正極終端電極18における電極体21に接触するように配置され、負極集電板13の一方の面13hのみが、負極終端電極19における電極体21に接触するように配置されてもよい。
上記実施形態では、正極集電板12の突出部12c及び負極集電板13の突出部13cは、折り曲げ加工されている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、正極集電板12の突出部12c及び負極集電板13の突出部13cは、折り曲げられずに、本体部12a(本体部13a)と突出部12c(突出部13c)とが直線状に形成されていてもよい。
上記実施形態では、正極集電板12の突出部12c及び負極集電板13の突出部13cは、方向Zにおいて同方向に突出する例を挙げて説明したが、例えば、方向Zにおいて互いに異なる方向に突出していてもよい。この場合、上記実施形態と比べて突出部12c及び突出部13cのY方向における長さを長くすることができる。すなわち、接続部材3又は接続部材4との接続部における電気抵抗を小さくすることができる。
1…蓄電装置、2…セルスタック(配列体)、3,4…接続部材、5,6…拘束部材、11…蓄電セル、12…正極集電板(集電体)、12a…本体部、12c…突出部、13…負極集電板(集電体)、13a…本体部、13c…突出部、14…積層体、15…保持部、16…バイポーラ電極(電極)、17…セパレータ、18…正極終端電極(終端電極)、19…負極終端電極(終端電極)、21…電極体、112…最外正極集電板、113…最外負極集電板。
Claims (8)
- 電極体の少なくとも一方の面に活物質が塗工された電極がセパレータを介して一方向に積層された電極群を含む積層体と、前記電極体の周縁を保持すると共に前記積層体の側面を封止する保持部と、を有する蓄電セルと、
前記一方向において少なくとも前記蓄電セルの一方の端部に接触するように配置され、前記蓄電セルと電気的に接続される集電体と、を備え、
前記積層体には、前記一方向における前記電極群の両端に配置されると共に、前記電極体の一方の面にのみ活物質が塗工された終端電極が含まれており、
前記集電体は、前記終端電極における前記電極体の他方の面に接触するように配置される、蓄電装置。 - 前記一方向における前記集電体の両面に前記終端電極における前記電極体の他方の面が接触するように、前記集電体が配置されている、請求項1記載の蓄電装置。
- 前記集電体における厚みは、前記電極体における厚みよりも大きい、請求項1又は2記載の蓄電装置。
- 複数の前記蓄電セルと、複数の前記蓄電セルのそれぞれに接触して配置される前記集電体とが前記一方向に配列されてなる配列体を、前記一方向における両側から荷重を付加した状態で拘束する拘束部を更に備える、請求項1〜3の何れか一項記載の蓄電装置。
- 前記蓄電セルを前記一方向から見たときに、前記保持部は、前記積層体から枠状に突出している、請求項1〜4の何れか一項記載の蓄電装置。
- 前記集電体は、前記積層体から枠状に突出する前記保持部に嵌合するように配置されている、請求項5記載の蓄電装置。
- 前記集電体は、前記枠状の保持部に嵌合される本体部と、前記一方向から見たときに枠状の前記保持部の外側に突出する突出部と、を有しており、
前記本体部における厚みは、前記突出部における厚みよりも大きい、請求項6記載の蓄電装置。 - 前記保持部には、互いに隣り合う前記保持部との間で、前記一方向に重複する重複部が形成されている、請求項1〜7の何れか一項記載の蓄電装置。
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